JP2002245960A - 荷電粒子ビーム装置及びそのような装置を用いたデバイス製造方法 - Google Patents

荷電粒子ビーム装置及びそのような装置を用いたデバイス製造方法

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JP2002245960A
JP2002245960A JP2001042957A JP2001042957A JP2002245960A JP 2002245960 A JP2002245960 A JP 2002245960A JP 2001042957 A JP2001042957 A JP 2001042957A JP 2001042957 A JP2001042957 A JP 2001042957A JP 2002245960 A JP2002245960 A JP 2002245960A
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Hiroshi Nishimura
宏 西村
Muneki Hamashima
宗樹 浜島
Mamoru Nakasuji
護 中筋
Shinji Nomichi
伸治 野路
Toru Satake
徹 佐竹
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Nikon Corp
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Ebara Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 観察対象の試料に生ずるチャージアップに起
因する焦点位置のずれを操作者の手を煩わすことなく補
正することができ、その結果として試料がチャージアッ
プしている場合であっても焦点のあった鮮明な観察及び
高精度の欠陥検査を行うことができる荷電粒子ビーム欠
陥検査装置及び方法を提供する。 【解決手段】 主制御系34は、試料10上に一次電子
ビームB1を照射した際に生ずるチャージアップ量に応
じ、試料面におけるマルチビームB1の焦点ずれ量を示
す電圧マップを予め作成し記憶装置43に記憶する。主
制御系34は、試料10の観察を行う際に記憶装置43
に記憶された電圧マップを読み出し、対物レンズ8に印
加する電圧又は試料10に印加する電圧を制御してマル
チビームB1の焦点位置を補正する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、荷電粒子ビーム欠
陥検査装置及び方法に係り、特に電子ビームやイオンビ
ーム等の荷電粒子線を用いて半導体基板や液晶基板等の
物体面の観察や欠陥の検査等を行う荷電粒子ビーム欠陥
検査装置及び方法に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体素子はプレーナ技術を用いて半導
体基板表面に微細なパターンを形成したものであるが、
半導体素子の小型化の要求によりそのパターンは微細化
され、高集積化されている。かかる半導体素子の表面状
態の観察及び欠陥検査を行うために電子ビーム(電子
線)等の荷電粒子を用いた荷電粒子線顕微鏡が用いられ
ている。従来から荷電粒子顕微鏡として一般的に知られ
ており、使用頻度が高い顕微鏡は走査型電子顕微鏡(S
EM:Scanning Electron Microscope)である。近
年、走査型電子顕微鏡以外にマルチビームを用いた電子
顕微鏡が案出されており、このマルチビ−ムを用いた電
子顕微鏡の荷電粒子線光学系の開発が行われている。以
下、マルチビームを用いた光学系の構成について簡単に
説明する。
【0003】荷電粒子発生源としての電子銃から放出さ
れた照明用の電子線としての一次電子ビームは、マルチ
開口を通過することによってマルチビーム化され、一次
光学系を通過して、イー・クロス・ビー(E×B)と呼
ばれる電磁プリズムに入射する。イー・クロス・ビーを
通過した後の一次電子ビームは、試料の物体面を落射照
明する。物体面に一次電子ビームが照射されると、物体
面で反射する比較的エネルギーの高い反射電子ビーム
と、物体面から放出される低エネルギーの二次電子ビー
ムとが発生する。
【0004】これらの物体面から放出される電子ビーム
のうち、通常二次電子ビームが結像に用いられる。観察
用の電子線としての二次電子ビームは、対物レンズを通
過して、イー・クロス・ビーに入射する。イー・クロス
・ビーを通過した二次電子ビームは、結像光学系として
の二次光学系を通過して、複数の電子ビーム検出器に入
射する。この電子ビーム検出器に入射した二次電子ビー
ムによって得られる情報に基づいて物体面の観察や欠陥
検査等を行うことになる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した走
査型電子顕微鏡やマルチビーム電子顕微鏡の電子ビーム
等の荷電粒子を物体に照射して物体の観察や欠陥結果を
行う装置では、荷電粒子を試料の物体面に照射している
ため、試料がチャージアップする。試料の物体面に対し
て一様な分布を有する荷電粒子を照射してもチャージア
ップの程度は材料に応じて異なる。よって、例えば半導
体素子のように、配線が形成された箇所におけるチャー
ジアップ量と酸化防止膜が形成された箇所におけるチャ
ージアップ量は異なるため、チャージアップ量の分布
(物体の蓄積荷電量に応じた物体の表面電圧分布)が生
ずる。
【0006】また、チャージアップが生じた部分におい
て発生する二次電子ビームの初期エネルギーと、チャー
ジアップが全く生じない部分において発生する二次電子
ビームの初期エネルギーとは異なる。よって、チャージ
アップが全く生じてない部分に結像させるように一次光
学系の焦点位置を合わせても、チャージアップが生じた
部分において一次電子ビームに対しては焦点位置が合わ
ない。従って、かかるチャージアップが生じた部分につ
いて観察をより正確に行うためには、一次光学系を制御
してこの焦点位置のずれを補正する必要がある。しかし
ながら、焦点位置のずれを補正するには操作者が手動で
試料毎に補正する必要があり極めて煩雑な作業となる。
【0007】本発明は、前記事情に鑑みてなされたもの
であり、観察対象の試料にチャージアップが生じてお
り、このチャージアップに起因する焦点位置のずれを操
作者の手を煩わすことなく補正することができ、その結
果として試料がチャージアップしている場合であっても
焦点のあった鮮明な観察を行うことができるとともに高
精度の欠陥検査を行うことができる荷電粒子ビーム装置
及び方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、本発明の第1の観点による荷電粒子ビーム装置は、
複数の荷電粒子ビームを一次ビームとして物体表面上に
照射する照射手段と、一次ビームの照射により前記物体
表面から発生する二次電子を複数の検出器で検出する二
次光学系とを有し、物体表面上に照射される一次ビーム
の間隔は、二次光学系の分解能より大きい間隔とされ、
一次ビームを照射した際に生ずる物体表面の蓄積荷電量
に応じた前記物体表面の電圧分布を検出する検出手段と
を具備することを特徴とする。
【0009】この発明によれば、複数の一次ビームを物
体表面に照射した際に該表面に生ずる蓄積荷電量に応じ
た電圧分布を検出手段によって検出しているため、物体
表面の蓄積荷電に起因して生ずる諸問題(焦点位置のず
れ、像歪等)を解決する情報が得られる。
【0010】また、本発明の第2の観点による荷電粒子
ビーム装置は、複数の荷電粒子ビームを一次ビームとし
て物体表面上に照射する照射手段と、一次ビームの照射
により物体表面から発生する二次電子を複数の検出器で
検出する二次光学系とを有し、物体表面上に照射される
一次ビームの間隔は、二次光学系の分解能より大きい間
隔とされ、一次ビームを照射した際に生ずる物体表面の
蓄積荷電量に応じた電子検出手段の検出面における二次
ビームの焦点ずれ量を予め検出する焦点ずれ量検出手段
と、前記焦点ずれ量検出手段によって検出された前記焦
点ずれ量に応じて前記一次ビームの焦点位置を制御する
焦点制御手段とを具備することを特徴とする。
【0011】この発明によれば、焦点ずれ量検出手段に
よって、物体上に一次ビームを照射した際に生ずる蓄積
荷電量に応じた検出面における二次ビームの焦点ずれ量
を予め検出し、この検出された焦点ずれ量に応じて一次
ビームの焦点位置を補正している。よって、物体に蓄積
荷電が生じた場合であっても物体の像を合焦した状態で
観察することができるため、焦点のあった鮮明な観察を
行うことができるとともに、高精度の欠陥検査を行うこ
とができる。
【0012】また、本発明の第3の観点による荷電粒子
ビーム装置は、物体表面の高さを検出する高さ検出手段
を更に具備し、焦点制御手段は、焦点ずれ量と高さ検出
手段の検出結果との双方に基づいて前記一次ビームの焦
点位置を制御することを特徴とする。
【0013】この発明によれば、物体に生ずる蓄積荷電
に起因する一次電子の焦点ずれ量を補正するのみなら
ず、物体の高さ位置を検出し、検出された高さも考慮し
て一次ビームの焦点位置を制御している。よって、例え
ば物体に反りが生じている場合においても物体の像を合
焦した状態で観察することができるため、焦点のあった
鮮明な観察を行うことができるとともに、高精度の欠陥
検査を行うことができる。
【0014】また、本発明の第4の観点による荷電粒子
ビーム装置は、更に、物体に所定の電圧を印加する電圧
印加手段を具備し、焦点制御手段は、電圧印加手段を介
して物体に印加する電圧を制御することにより一次ビー
ムの焦点位置を制御することを特徴とする。
【0015】この発明によれば、マルチビーム光学系の
複雑な制御を行わずとも、単に物体に印加する電圧を変
えるだけで一次ビームの焦点位置を制御することができ
るので、一次電子ビームの焦点位置の制御が容易にな
り、その結果としてスループットの向上が期待できると
ともに焦点のあった鮮明な観察及び高精度の欠陥検査を
容易に行うことできる。
【0016】更に、本発明の第5の観点によれば、複数
の荷電粒子ビームを一次ビームとして物体表面上に照射
し、該照射に基づき前記物体表面から発生する二次電子
を、前記物体表面での一次ビームの間隔より小さい分解
能をもって検出して前記物体表面の評価をする荷電粒子
ビームを用いた評価方法であって、一次ビームを照射し
た際に生ずる前記物体表面の蓄積荷電量に応じた前記一
次ビームの焦点位置のずれ量を予め検出し、検出したず
れ量に応じて当該一次ビームの焦点位置を制御すること
を特徴とする電子ビーム欠陥検査方法を提供する。ま
た、この方法を用いてプロセス途中あるいは終了後のウ
ェハを評価する事を特徴とするデバイス製造方法を提供
する。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明に係
る荷電粒子ビーム欠陥検査装置の実施形態について詳細
に説明する。
【0018】図1は、本発明の一実施形態による荷電粒
子ビーム欠陥検査装置の構成を示す図である。尚、以下
の説明においては、図1中に示されたXYZ直交座標系
を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の
位置関係について説明する。図1に示したXYZ直交座
標系では、試料の物体面内にXY平面を設定し、試料の
物体面の法線方向をZ軸方向に設定してある。図1中の
XYZ座標系は、実際にはXY平面が水平面に平行な面
に設定され、Z軸が鉛直下方向に設定される。
【0019】本実施形態の荷電粒子ビーム欠陥検査装置
は、主として電子ビームをマルチビーム化して試料に導
くための一次コラム19と、電子ビームを試料に照射し
た際に発生する二次電子ビームを電子ビーム検出器13
の検出面に集束させるための二次コラム20と、観測対
象である試料10を収容するチャンバー30とから構成
されている。一次コラム10の光軸はZ軸に設定され、
二次コラム20の光軸はZ軸と約30度の傾に設定され
る。よって、一次コラム19から二次コラム2へは一次
ビームB1が垂直から入射する。一次コラム19、二次
コラム20、及びチャンバー30には真空排気系(図示
省略)が繋がっており、真空排気系が備えるターボポン
プ等の真空ポンプにより排気されており、これらの内部
は真空状態に維持される。
【0020】一次コラム1内部には熱電子放出型電子銃
1が設けられており、この熱電子放出型電子銃1から照
射される一次電子ビームB1の光軸上に一次光学系19
が配置される。ここで、熱電子放出型電子銃1のチップ
としては、例えば複数個の突起を直線上に並べたランタ
ンヘキサボライト(LaB6)を用いることが好まし
い。一次光学系19は、マルチ開口絞り3、照射レンズ
2,4,6,8、アパーチャ7で構成されている。ここ
で、照射レンズ2,4,6,8は電子レンズであり、軸
対称レンズが用いられる。一次光学系19が備える照射
レンズ2,4,6,8のマルチ電子ビームB1に対する
収束特性は印加する電圧を変えることにより変化する。
尚、照射レンズ2,4,6,8は、ユニポテンシャルレ
ンズ又はアインツェルレンズと称される回転軸対称型の
レンズであってもよい。
【0021】二次コラム20内には二次光学系が配置さ
れている。二次光学系20は試料10にマルチ電子ビー
ムB1を照射した場合に生ずる二次電子ビームB2を収
束して電子ビーム検出器13の検出面に結像させるため
のものであり、試料10側から−Z方向へ順に対物レン
ズ8、開口絞り7、イー・クロス・ビー9、拡大レンズ
11、拡大レンズ12、が配置されてなるものである。
【0022】二次光学系20が備えるマルチ開口絞りF
13は、対物レンズ8と拡大レンズ11,12、試料1
0の物体面と共役な位置関係に設定されている。また、
二次光学系20の拡大レンズ11及び拡大レンズ12は
電子レンズであり、円形レンズが用いられる。尚、対物
レンズ8、拡大レンズ11、及び拡大レンズ12は、ユ
ニポテンシャルレンズ又はアインツェルレンズと称され
る回転軸対称型のレンズであってもよい。また、二次光
学系20が備える対物レンズ8、結像レンズ11、及び
結像レンズ12の二次電子ビームB2に対する収束特
性、つまり二次電子ビームB2の焦点位置は印加する電
圧を変えることにより変化する。また、イー・クロス・
ビー23の一次電子ビームB1及び二次電子ビームB2
に対する偏向特性は印加する電圧又は電流を変えること
により変化する。
【0023】更に、二次光学系20が備える−Z方向に
はマルチ開口検出器13が配置される。このマルチ開口
検出器13の検出面には電子ビームB1を試料10に照
射したときに放出される二次電子ビームB2が二次光学
系20によって結像される。ここで、マルチ開口検出器
13は、電子を選択通過するためのマルチ開口と、電子
を光に変換するための蛍光体と、蛍光体から放出された
光を電気信号に変えるPMTとから構成されている。検
出器14,15,16から画像信号を出力する。
【0024】主制御系34はコントロールユニット33
から出力される画像信号に対して、例えばテンプレート
マッチング等の画像処理を行って試料10の欠陥の有無
を判断する。また、主制御系34は一次光学系制御部3
5及び二次光学系制御部36に制御信号を出力して一次
光学系19及び二次光学系20の光学特性の制御及びイ
ー・クロス・ビー8の電磁界制御を行う。尚、コントロ
ールユニット33から主制御系34へ出力される画像信
号をCRT(Cathod Ray Tube)等の表示装置へ表示
させれば試料10の像は表示装置へ表示されることにな
る。更に、主制御系34は送光系37a及び受光系37
bからなるZセンサに制御信号を出力し、試料10のZ
軸方向における位置座標を計測する。更に、主制御系3
4は試料10のチャージアップ量(試料の蓄積荷電量に
応じた試料の表面電圧分布)を間接的に計測する。
【0025】ここで、送光系37a及び受光系37bか
らなるZセンサの構成について説明する。本実施形態の
荷電粒子ビーム欠陥検査装置が備えるZセンサは、試料
10に対して斜め方向から照明光を照射して試料10の
Z軸方向の位置を検出するものである。図2は、本発明
の一実施形態による荷電粒子ビーム欠陥検査装置が備え
るZセンサの構成を示す側面図である。図2に示したよ
うに、送光系37aは光源50、照明レンズ51、送光
スリット52、平行平面板53、及び投影レンズ54か
らなる。また、受光系37bは集光レンズ55、振動ミ
ラー56、平行平面板57、受光スリット58、及びシ
リコン・フォト・ダイオード59からなる。図2におい
て光源50から射出された照明光は照明レンズ51を透
過した後、送光スリット52を照明する。送光スリット
52を通過した照明光は、平行平面板53及び投影レン
ズ54を順に通過して不図示の真空窓を介して試料10
を斜め方向から照明して送光スリット52のスリット像
を形成する。ここで、平行平面板53は図2中Y軸に平
行な回転軸を中心に回転自在に構成されており、光源5
0から射出された照明光の進行方向をシフトするために
配置される。平行平面板53の回転角、即ち照明光のシ
フト量は制御部60により制御される。尚、試料10に
照射される照明光の入射角θは、試料10の物体面を確
実に捉え、高い検出感度を得るために70度以上に設定
される。
【0026】試料10の表面における反射光は不図示の
真空窓を介して集光レンズ55で集光された後、振動ミ
ラー56に入射する。振動ミラー56は図中Y軸方向に
平行な軸を中心として一定周期で振動している。振動ミ
ラー56により反射された光は平行平面板57を透過し
て受光スリット58に至り、受光スリット58を通過し
た光のみがシリコン・フォト・ダイオード59に入射
し、その光量が検出される。シリコン・フォト・ダイオ
ード59の検出結果は制御部60へ出力され、試料10
のZ方向の変位量が求められる。この変位量は図1に示
した主制御系34へ出力される。ここで、平行平面板5
7は前述の平行平面板53と同様に、図中Y軸に平行な
回転軸を中心に回動自在に構成されており、試料10に
よって反射された照明光の進行方向をシフトするために
配置され、そのシフト量は制御部60により制御され
る。
【0027】次に、以上の構成におけるZセンサの計測
原理について説明する。図3は、Zセンサの計測原理を
説明するための図である。いま、試料10の物体面の位
置が図3中のZ1の位置にあるとし、このとき入射角θ
で入射する照明光Tは試料10の物体面で反射され、反
射光T1となる。次に、試料10のZ位置がΔZだけ変
位し、物体面が図3中のZ2の位置になり、試料10の
物体面において反射される光は反射光T2になったとす
る。このとき送光スリット52のスリット像が形成され
る位置がΔXだけ移動し、反射光T2は反射光T1に対
して横方向の変位hを有する。この変位は幾何学的に求
めることができ、以下の(1)式で表される h=2・ΔZ・sinθ ・・・(1) 従って、前記(1)式から明らかなように、変位hを計
測することで試料10のZ軸方向の変位ΔZを求めるこ
とができる。ここで、前述したように平行平面板53,
57を回転させることにより照明及び試料10表面の反
射光の光路をシフトさせたとき、シリコン・フォト・ダ
イオード59が検出する試料10のZ軸方向の位置が変
化する。よって、平行平面板53,57を回転させる際
に以下の(2),(3)式を共に満足するように制御す
ることで、試料10がZ軸方向に変位しても送光スリッ
ト52のスリット像の検出位置の変位ΔXを生じずに試
料10のZ軸方向の位置を計測することができる。
【0028】h/2=h1・M1 ・・・(2) h/2=h2・M2 ・・・(3) ここで、h1:投影光学系の平行平面板53の回転によ
る照明光の平行シフト量 h2:集光光学系の平行平面板57の回転による反射光
の平行シフト量 M1:送光スリット52から試料10までの光学系の倍
率の逆数 M2:試料10から受光スリット58までの光学系の倍
率の逆数 である。尚、前記(2),(3)式におけるh/2は、
2つの平行平面板53,57を同時に回転させ、試料1
0上における送光スリット52のスリット像の位置を変
動させないための条件である。
【0029】ここで、前述したように、シリコン・フォ
ト・ダイオード59は振動ミラー56の回転角と受光ス
リット58のスリット幅によって決定される信号、つま
りいわゆる光電顕微鏡の原理による信号を検出すること
になる。この検出信号により制御部60によって受光ス
リット58上の光の横方向の変位を求める。次に、この
変位置から平行平面板53,57がある角度で配置され
たときの光のシフト量を差し引いて、更に集光レンズ5
5の倍率M2分を加味することで試料10のZ軸方向の
位置を検出する。そして、制御部60にて平行平面板5
3,57の回転による試料10上でのZ軸方向の変位置
を求め、この変位量を先にシリコン・フォト・ダイオー
ド59にて求めた変位量に加算して、最終的に試料10
のZ方向の変位量を算出する。算出した変位量は図1中
の主制御系34へ出力され。試料10のZ軸方向の位置
調整等の処理を行う。
【0030】図1に戻り、42は試料10に対して負の
電圧を設定する可変電源であり、試料10の設定電圧は
主制御系34によって制御される。ここで、試料10を
負の電圧に設定するのは、一次電子ビームB1を試料1
0に照射したときに放出される二次電子ビームB2を対
物レンズ8の方向、つまり−Z方向へ加速させるためで
ある。また、主制御系34には制御装置43が接続され
る。この制御装置43は、一次光学系19の焦点位置を
制御する、試料10のZ軸方向の位置情報、試料10に
設定した負の電圧、及びマルチ検出器から画像形成回路
33は主制御系34の制御により画像信号を形成する。
【0031】この記憶装置43を設ける理由は、試料1
0にチャージアップが生じている場合であっても、チャ
ージアップに起因する一次電子ビームB1の焦点位置の
ずれの補正量を求め、マルチ検出器14,15,16の
検出面に二次電子ビームを結像させて試料10上に生じ
た欠陥を検出することができる程度の鮮明な画像を得る
ためである。このために、本実施形態においては、試料
10の観察及び欠陥検査を行う前に、チャージアップの
量に応じた焦点位置のずれを示すマップ(以下、電圧マ
ップと称する)を作成する。ここで、電圧マップは焦点
位置のずれ量を直接記憶することができればそのまま記
憶することが好ましい。しかしながら、本実施形態にお
いては、焦点位置のずれを一次光学系19に印加する電
圧又は試料10に印加する電圧により制御しているた
め、電圧マップには焦点位置を調整するために必要な電
圧が記憶される。この電圧マップの作成方法及び作成し
た電圧マップに基づいて焦点位置を補正する際の動作の
詳細については後述する。
【0032】次に、チャンバー30内の構成について説
明する。チャンバー30の内部には、試料10を載置し
た状態でXY平面内で移動自在に構成されたXYステー
ジ38が配置されている。XYステージ38上の一端に
はL字型の移動鏡39が取り付けられ、移動鏡39の鏡
面に対向した位置にレーザ干渉計40が配置されてい
る。図1では簡略化して図示しているが、移動鏡39は
X軸に垂直な反射面を有する平面鏡及びY軸に垂直な反
射面を有する平面鏡より構成されている。また、レーザ
干渉計40は、X軸に沿って移動鏡39にレーザビーム
を照射する2個のX軸用のレーザ干渉計及びY軸に沿っ
て移動鏡39にレーザビームを照射するY軸用のレーザ
干渉計より構成され、X軸用の1個のレーザ干渉計及び
Y軸用の1個のレーザ干渉計により、XYステージ38
のX座標及びY座標が計測される。また、X軸用の2個
のレーザ干渉計の計測値の差により、XYステージ38
のXY平面内における回転角が計測される。
【0033】レーザ干渉計40の計測結果は主制御系3
4に出力され、主制御系34はこの計測結果に基づいて
駆動装置41に対して制御信号を出力し、XYステージ
38のXY平面内における位置を制御する。また、図示
は省略しているが、XYステージ38以外に試料10の
Z軸方向の位置を変化させることができるZステージや
試料10の物体面のXY平面に対する傾斜を制御するチ
ルトステージを設けることが好ましい。尚、本実施形態
においては、理解を容易にするため、試料10の一例と
して図4に示した試料10を考える。図4は、試料10
の一例を示す上面図である。図4に示した試料10は半
導体ウェハであり、試料10の物体面10aには複数の
ショット領域SA1,SA2,〜,SAn(nは自然
数)が設定されているとする。そして、各々のショット
領域SA1〜SA2には同一のパターンが形成されてい
るとする。
【0034】以上、本発明の一実施形態による荷電粒子
ビーム欠陥検査装置の構成について説明したが、次に本
発明の一実施形態による荷電粒子ビーム欠陥検査装置の
一次電子ビームB1と二次電子ビームB2の軌道につい
て概略を説明する。図1で本発明の一実施形態による荷
電粒子ビーム欠陥検査装置のマルチビームB1の主光線
の軌道が破線で示されている。熱電子放出型電子銃1か
ら放出された一次電子ビームB1は、図1に示したよう
に照射レンズ2,4,6,8によって形成された電場の
影響を受けて集束及び発散される。ここで、熱電子放出
型電子銃1が有するマルチ突起を有する形状のチップの
突起の並び方向をx軸方向に設定し、それに直角の方向
をy軸方向に設定する。カソードの突起方向に放出され
た電子ビームはコンデンサレンズ2で集束され、マルチ
開口板3を通過してマルチビームとなる。
【0035】レンズ4による集束作用を受けた後、マル
チビームB1はイー・クロス・ビー9に入射する。イー
・クロス・ビー9を通過したマルチビームB1は開口絞
り7に達し、この位置で熱電子放出型電子銃10のクロ
スオーバーの像を形成する。開口絞り7を通過したマル
チビームB1は、対物レンズ8による作用を受けて、試
料10を照射する。
【0036】試料10にマルチビームB1が照射される
と、試料10からは試料10の表面形状、材質分布、電
位の変化等に応じた分布の二次電子ビームB2及び反射
電子ビームが発生する。このうち、主に二次電子ビーム
B2が観察用電子ビームとなる。前述したように、二次
電子ビームB2の初期エネルギーは低く、0.5〜2e
V程度である。
【0037】次に、試料10から発生した二次電子ビー
ムB2の軌道について説明する。図1で、本発明の一実
施形態による荷電粒子ビーム欠陥検査装置の二次電子ビ
ームB2の軌道は実線で示されている。尚、図1におい
ては理解を容易にするため、二次光学系20が備える部
材の一部の図示を省略している。
【0038】試料10から放出された二次電子ビームB
2は、二次光学系20が備える対物レンズ8、開口絞り
7、イー・クロス・ビー9を順に通過する。二次電子ビ
ームB2がイー・クロス・ビー9を通過するとき35°
Y軸方向へ偏向される。図1では二次光学系については
YZ面について示されている。結像レンズ11によって
収束され、試料10の像をマルチ開口絞り13の位置に
結像する。マルチ開口絞り13を通過した二次電子ビー
ムB2は電子ビーム検出器14,15,16で検出され
る。ここでマルチビームB1の間隔は二次光学系の分解
能より若干大きい間隔で照射される。従って一つのマル
チビームから放出された二次電子が隣の検出器に入る恐
れがない様に設計される。なお、マルチビーム間は走査
を行う事により、全面を観察する事ができる。
【0039】以上、本発明の一実施形態による荷電粒子
ビーム欠陥検査装置の構成について説明したが、次に前
記構成における本発明の一実施形態の荷電粒子ビ−ム欠
陥検査装置の焦点位置を合わせる際の動作について図1
を参照して概説する。まず、観察対象の試料10をロー
ダ(図示省略)上に載置すると、試料10はローダによ
ってチャンバ30内に搬送される。試料10がチャンバ
30内に搬入されると、XYステージ38上に載置され
る。試料10がXYステージ38上に載置されると主制
御系34は駆動装置41を介してXYステージ38を駆
動して、試料10を計測範囲に移動する。試料10のX
Y平面内における移動を終了すると、主制御系34は二
次光学系20の倍率を例えば低倍率に設定して広い計測
範囲を確保する。
【0040】以上の処理が終了すると、主制御系34は
送光系37a及び受光系37bからなるZセンサを制御
して試料10のZ軸方向の位置を計測する。主制御系3
4はZセンサの計測結果に基づいて制御信号を一次光学
系制御部35へ出力して第1光学系19の焦点を調整
し、試料10へマルチビームか焦点を合わせて照射され
る様にする。つまり、試料10のZ軸方向の位置に応じ
てマルチビームB2の焦点位置は変わるため、Zセンサ
にて試料10のZ軸方向の位置を計測して第1光学系1
9の焦点を調整する必要がある。
【0041】そして、主制御系34は熱電子放出電子銃
1に対して電子の放出を開始させ、一次光学系19、イ
ー・クロス・ビー9、開口絞り7、及び対物レンズ21
を介して一次電子ビームB1を試料10の物体面上に照
射し、試料10の物体面から発生する二次電子ビームB
2を二次光学系20で集光し、その像をマルチ穴検出器
13の検出面に結像させる。マルチ穴検出器13を通過
した電子は蛍光体で光に、さらにPMTで画像信号に変
換され、変換された画像信号が画像処理回路33に入力
される。主制御系34は入力される画像に基づいてテン
プレートマッチング等の画像処理を行って欠陥の有無の
判断を行う。
【0042】試料10を拡大して観察する場合には、主
制御系34は一次光学系制御部35に対して制御信号を
出力してマルチビームの走査幅を小さくする。このとき
も主制御系34はZセンサの計測結果に基づいて一次光
学系19の焦点を調整して試料10への一次電子ビーム
B1の焦点位置を試料面10に設定する。このように、
通常は試料10のZ軸方向の位置ずれに起因する焦点位
置のずれを補正して試料10の物体面の観察及び欠陥検
査が行われる。
【0043】ところで、マルチビームB1を試料に照射
することにより試料10にチャージアップが生じている
場合には、試料10への一次電子ビームB1のランディ
ングエネルギーが、チャージアップが生じていない場合
の試料10への一次電子ビームB1のランディングエネ
ルギーよりも大であるため、試料10のZ軸方向の位置
ずれに起因する焦点位置のずれを補正したとしても一次
電子ビームB1の像の位置、つまり焦点位置はずれる。
よって、この焦点位置のずれを調整するためには試料1
0のチャージアップ量に応じたずれ量を検出し、このず
れ量の分だけ一次電子ビームB1の焦点位置を調整すれ
ばよい。
【0044】また、可変電源42を制御することにより
チャージアップが生じている際の試料10への一次電子
ビームB1のランディングエネルギーの値を、チャージ
アップが生じていない場合における試料10への一次電
子ビームB1のランディングエネルギーの値と等価にす
ることで、チャージアップが生じていない場合における
試料10への一次電子ビームB1のランディングエネル
ギーの値と等価になるので、対物レンズに印加する電圧
はZセンサの計測結果のみに基づいて行えば良いことに
なる。
【0045】チャージアップ量に応じた一次電子ビーム
B1の焦点位置のずれ量を調整するためには予め試料1
0のチャージアップ量と一次電子ビームB1の焦点位置
のずれ量が分からなければならない。このため、本実施
形態においては試料10の観察及び欠陥検査を行う前
に、予めチャージアップの量に応じた一次電子ビームB
1の焦点位置のずれを示す電圧マップを作成している。
チャージアップ量は試料10の表面形状、材質分布、電
位の変化等によって変化するが、その平均値を試料10
全体のチャージアップ量として電圧マップを作成しても
良い。
【0046】また、図4に示したように、物体面10a
に複数のショット領域SA1〜SAnが形成された試料
10の場合には、1つのショット領域(例えば、ショッ
ト領域SA1)に対する電圧マップを作成し、その電圧
マップを他のショット領域を計測する際の焦点位置調整
に用いても良い。また、通常、半導体素子の製造にあた
っては複数枚のウェハがロット単位で処理される。よっ
て、予め作成した電圧マップは同一ウェハ内の複数のシ
ョット領域を計測する際の焦点位置調整に用いるのみな
らず、同一パターンがショット領域に形成された他のウ
ェハの計測を行うときにも前記の電圧マップを用いるよ
うにしても良い。 [電圧マップの第1作成方法]次に、電圧マップの作成
方法について説明する。図5は、電圧マップの第1作成
方法を示すフローチャートである。電圧マップの第1の
作成方法は、図1に示した荷電粒子ビーム欠陥検査装置
が試料10をZ軸方向に移動させることが可能なZステ
ージを有する場合についての電圧マップの作成方法であ
る。電圧マップの作成が開始されると、まず1つのショ
ット領域内に計測範囲が配置されるよう試料10のXY
面内における位置及び一次光学系19の合焦条件を設定
し、試料10に所定の負の電圧を印加する。次に、送光
系37a及び受光系37bからなるZセンサを用いて試
料10のZ軸方向の位置を計測し(ステップS1)、こ
の計測結果に基づいて主制御系34が駆動装置41を介
してZステージを駆動して試料10を予め設定されたZ
位置に配置させる(ステップS2)。試料10を予め設
定されたZ位置に配置した後、主制御系34は試料10
にチャージアップが生じていないとした場合において、
試料10に合焦される対物レンズ8に印加する電圧を調
整する(ステップS3)。
【0047】試料10にチャージアップが生じている場
合には、かかる調整を行っても一次電子ビームB1の焦
点位置はずれている。そこで、例えばマルチ検出器1
4,15,16からコントロールユニット33を介して
主制御系34に入力される画像信号をモニタしながら対
物レンズ8に印加する電圧を微調整してマルチビームB
1の焦点位置を調整する(ステップS4)。ここで、マ
ルチビームB1の焦点位置を調整するために対物レンズ
8に印加した電圧が、試料10が配置されているZ位置
における電圧マップとなる。作成された電圧マップは、
主制御系34が記憶装置43に記憶させる(ステップS
5)。以上の処理を行うことにより、図1に示した荷電
粒子ビーム欠陥検査装置が試料10をZ軸方向に移動さ
せることが可能なZステージを有する場合についての電
圧マップが作成される。 [電圧マップの第2作成方法]以上説明した電圧マップ
の第1作成方法は、荷電粒子ビーム欠陥検査装置がZス
テージを有し、試料10のZ軸方向の位置を可変するこ
とができる場合の電圧マップの作成方法である。しかし
ながら、試料10が載置されるXYステージ38等のス
テージはチャンバ3内、即ち真空中に配置されているた
め、チャンバ3内における構造の簡略化の要請からZス
テージを設けない場合がある。このような場合にXYス
テージ38の平坦性が悪かったり、観測対象の試料10
に反りが生じているときには、XYステージ38をXY
平面内に移動させるだけで試料10のZ軸方向における
位置が変化する。
【0048】かかる場合には、まず送光系37a及び受
光系37bからなるZセンサを用いて試料10のZ軸方
向の位置を計測し、この計測結果に基づいて主制御系3
4が対物レンズ8に印加する電圧を制御して、試料10
のZ軸方向の位置に応じたマルチビームB1の焦点位置
合わせを行い、マルチビームB1の焦点位置合わせを行
えば良いと考えられる。ここで、マルチビームB1の焦
点位置合わせのために対物レンズ8に印加させる電圧
は、試料10のZ軸方向の位置ずれに起因する電圧の変
化量と、チャージアップに起因する電圧の変化量とを合
わせた電圧である。
【0049】よって、例えば同じZ位置に配置されたチ
ャージアップ量が異なる2つの試料へのマルチビームB
1の焦点位置を共に試料面に合わせるためには、対物レ
ンズ8に印加する電圧を、試料10のZ軸方向の位置ず
れに起因する電圧変化量と、チャージアップに起因する
電圧変化量とを合わせた電圧変化量とに分離する必要が
ある。換言すると、これらの電圧を合わせた電圧を電圧
マップとして作成してもチャージアップ量に応じた焦点
位置を補正する電圧マップとしての意味がなく、これら
の電圧を分離した電圧マップを作成しないとチャージア
ップ量に応じた焦点位置の調整を行うことはできない。
【0050】以下に説明する電圧マップの第2作成方法
は、荷電粒子ビーム欠陥検査装置がZステージを備えな
いために試料10のZ軸方向の位置を可変させることが
できない場合における電圧マップの作成方法である。図
9は、電圧マップの第2作成方法を示すフローチャート
である。電圧マップの作成が開始されると、まず1つの
ショット領域内部に計測範囲が配置されるよう試料10
のXY面内における位置及び対物レンズ8の電圧を設定
し、試料10に所定の負の電圧を印加して電圧マップ作
成の準備を行う。
【0051】次に、主制御系34は試料10にチャージ
アップが生じていないとした場合において、試料10に
マルチビームB1が結像するよう対物レンズ8に印加す
る電圧を設定する(ステップS10)。この設定処理が
終了すると、主制御系34は駆動装置41を介してXY
ステージ38を駆動して試料10をXY平面内において
移動させつつ送光系37a及び受光系37bからなるZ
センサを用いて試料10のZ軸方向の位置を計測する。
そして、主制御系34は二次光学系20に印加している
電圧、Zセンサにて計測された試料10のZ軸方向の位
置、及び検出器郡14,15,16からコントロールユ
ニット33を介して主制御系34に入力される画像信号
を対応させて記憶装置43に記憶させる(ステップS1
1)。
【0052】次に、主制御系34は、試料10を移動さ
せる範囲全てについて移動処理が終了したか否かを判断
する(ステップS12)。試料10を移動させる範囲
は、試料10の物体面10aに複数のショット領域(図
4参照)が形成されている場合には、例えば1つのショ
ット領域に設定される。試料10を移動させる範囲の残
りがあると判断された場合(ステップS12の判断結果
が「NO」である場合)には、ステップS11に戻り、
試料10の移動を行いつつZセンサにて試料10のZ軸
方向の位置が計測され、対物レンズ8に印加している電
圧、試料10のZ軸方向の位置、及び画像信号を対応さ
せて記憶装置43に記憶させる処理が繰り返し行われ
る。
【0053】一方、設定された移動範囲全てに亘って移
動処理が終了したと判断された場合(ステップS12の
判断結果が「YES」である場合)には、主制御系34
は、二次光学系20に印加する電圧を制御して二次電子
ビームB2の焦点位置を変更する(ステップS13)。
ここで、マルチビームB1の焦点位置を変更する量は、
予め対物レンズ8の焦点深度をシミュレーションにて求
めておき、求めた焦点深度に応じて設定する。尚、電圧
マップの第2作成方法においては、マルチビームB1の
焦点位置の調整は、図1中の対物レンズ8に印加する電
圧及びイー・クロス・ビー9に印加する電圧又は電流を
ともに制御しながら行う。
【0054】マルチビームB1の焦点位置が変更される
と、予め設定された焦点を可変する範囲全てに亘って焦
点を可変する処理が終了したか否かが判断される(ステ
ップS14)。焦点を可変する範囲がまだあると判断さ
れた場合(ステップS14における判断結果が「YE
S」である場合)にはステップS11に戻り、前述した
処理が繰り返される。ステップS14からステップS1
1に処理が戻る場合には、ステップS13にてマルチビ
ームB1の焦点位置が変更されているので、ステップS
11において記憶装置43に記憶される対物レンズ8に
印加している電圧の値は異なった値となる。ステップS
14において、予め設定された焦点を可変する範囲全て
に亘って焦点を可変する処理が終了したと判断された場
合(ステップS14における判断結果が「NO」である
場合)には処理ステップS15へ進む。
【0055】ステップS15では、主制御系34は以上
の処理で記憶装置43に記憶した画像信号に対して画像
処理を施し、ショット領域全面において焦点があった画
像信号抽出する処理が行われる。この処理では、例えば
信号のコントラストに基づいて焦点が合っているか否か
が判断される。そして、主制御系34は抽出した画像信
号に対応して記憶されている対物レンズ8の印加電圧と
Zセンサの計測結果とを取得する(ステップS16)。
【0056】次に、主制御系34は、ステップS16に
て取得したZセンサの計測結果で示される位置に試料1
0が配置されている場合に、試料10にチャージアップ
が生じていないと仮定したときにマルチビームB1を試
料面に焦点を合わせることができる対物レンズ8に印加
する電圧をシミュレーションにより算出する(ステップ
S17)。そして、ステップS16の処理にて焦点が合
った画像信号に対応して記憶されている対物レンズ8の
印加電圧とステップS17でシミュレーションによって
算出した印加電圧との差を電圧マップとして記憶装置4
3に記憶させる(ステップS18)。
【0057】以上の処理を行うことにより、試料10の
Z軸方向の位置ずれに起因する焦点位置のずれと試料1
0に生じているチャージアップに起因する焦点位置のず
れとを分離することができる。よって試料10のチャー
ジアップ量に応じた焦点位置のずれを補正するための電
圧マップが作成される。このようにして生成された電圧
マップは図1に示した荷電粒子ビーム欠陥検査装置が試
料10をZ軸方向に移動させるZステージを有しない場
合について用いることができる。 [電圧マップの第3作成方法]以上説明した電圧マップ
の第2作成方法は、荷電粒子ビーム欠陥検査装置がZス
テージを備えない場合であって、マルチビームB1の焦
点位置を対物レンズ8に印加する電圧を制御するときに
用いる電圧マップの作成方法であった。電圧マップの第
3作成方法は、荷電粒子ビーム欠陥検査装置がZステー
ジを備えない点において電圧マップの第2作成方法の場
合と同様であるが、可変電源42を制御して試料10に
印加する負の電圧を変えることによりマルチビームB1
の焦点位置を変化させて電圧マップを作成している点に
おいて異なる。以下、電圧マップの第3作成方法につい
て説明する。
【0058】図7は、電圧マップの第3作成方法を示す
フローチャートである。電圧マップの作成が開始される
と、1つのショット領域内部に計測範囲が配置されるよ
う試料10のXY面内における位置及び対物レンズ8の
電圧を設定して電圧マップ作成の準備を行う。次に、主
制御系34は試料10にチャージアップが生じていない
とした場合において試料10に印加する電圧を設定する
(ステップS20)。次に、主制御系34は駆動装置4
1を介してXYステージ38を駆動して試料10をXY
平面内において移動させつつ送光系37a及び受光系3
7bからなるZセンサを用いて試料10のZ軸方向の位
置を計測する。
【0059】そして、主制御系34は試料10にチャー
ジアップが生じていないと仮定した場合に、Zセンサの
計測結果に試料10が配置されたときにマルチビームB
1を試料面に焦点を合わせることができる電圧を対物レ
ンズ8に印加してマルチビームの焦点位置を設定する
(ステップS21)。この処理は、試料10のZ軸方向
の位置ずれに起因する焦点位置のずれの影響を除くため
に行われる処理である。尚、この処理を行っても試料1
0にチャージアップが生じているため、試料面にマルチ
ビームB1の焦点位置が配置されるとは限らない。
【0060】次に、主制御系34は、試料10に印加し
た電圧と、撮像素子32からコントロールユニット33
を介して主制御系34に入力される画像信号とを対応さ
せて記憶装置43に記憶させる(ステップS22)。ス
テップS22の処理が終了すると、主制御系34は、試
料10を移動させる範囲全てについて移動処理が終了し
たか否かを判断する(ステップS23)。試料10を移
動させる範囲は、試料10の物体面10aに複数のショ
ット領域(図4参照)が形成されている場合には、例え
ば1つのショット領域に設定される。試料10を移動さ
せる範囲の残りがあると判断された場合(ステップS2
3の判断結果が「NO」である場合)には、ステップS
21に戻り、前述した処理が繰り返し行われる。
【0061】一方、設定された移動範囲全てに亘って移
動処理が終了したと判断された場合(ステップS23の
判断結果が「YES」である場合)には、主制御系34
は、可変電源42を制御して、試料10に印加する電圧
を僅かに偏向して、マルチビームB1の焦点位置を変え
る(ステップS24)。前述した電圧マップの第2作成
方法では、マルチビームB1の焦点位置を対物レンズ8
に印加する電圧を制御することにより変えており、イー
・クロス・ビー9におけるウィーン条件を満足させるた
めに、図1中の結像レンズ前群2,4及び結像レンズ後
群8に印加する電圧及びイー・クロス・ビー9に印加す
る電圧又は電流をともに制御しなければならなかった。
これに対し、ステップS24の処理では試料10に印加
する電圧を偏向してマルチビームB1の焦点位置を変え
ているため、イー・クロス・ビー9におけるウィーン条
件はイー・クロス・ビー9に印加する電圧または電流を
制御しなくとも満足されるため、制御が簡単化される。
【0062】試料10に印加する電圧を制御してマルチ
ビームB1の焦点位置が変更されると、予め設定された
電圧を可変する範囲全てに亘って焦点を可変する処理が
終了したか否かが判断される(ステップS25)。焦点
を可変する範囲がまだあると判断された場合(ステップ
S25における判断結果が「YES」である場合)には
ステップS21に戻り、前述した処理が繰り返される。
ステップS25からステップS21に処理が戻る場合に
は、ステップS24にて試料10に印加する電圧が変更
されているので、ステップS22において制御装置43
に記憶される試料10に印加される電圧の値は異なった
値となる。ステップS25のおいて、予め設定された電
圧を可変する範囲全てに亘って試料10に印加する電圧
を可変する処理が終了したと判断された場合(ステップ
S25における判断結果が「NO」である場合)には処
理がステップS26へ進む。
【0063】ステップS26では、主制御系34は以上
の処理で記憶した画像信号に対して画像処理を施し、シ
ョット領域全面において焦点があった画像信号を抽出す
る処理が行われる。この処理では、電圧マップの第2作
成方法の場合と同様に例えば信号のコントラストに基づ
いて焦点が合っているか否かが判断される。そして、主
制御系34は抽出した画像信号に対応して記憶されてい
る試料の印加電圧を取得し(ステップS27)、ここで
取得した試料10の印加電圧と、試料10にチャージア
ップが生じていない場合における試料10の印加電圧と
の差を電圧マップとして記憶させる(ステップS2
8)。
【0064】以上の処理を行うことにより、試料10の
Z軸方向の位置ずれに起因する焦点位置のずれと試料1
0に生じているチャージアップに起因する焦点位置のず
れとを分離することができる。よって試料10のチャ−
ジアップ量に応じた焦点位置のずれを補正するための電
圧マップが作成される。このようにして生成された電圧
マップは図1に示した荷電粒子ビーム欠陥検査装置が試
料10をZ軸方向に移動させるZステージを有しない場
合について用いることができる。以上、電圧マップの作
成方法について説明したが、次に作成した電圧マップを
用いて試料10のチャージアップに起因するマルチビー
ムB1の焦点位置ずれを補正する際の動作について説明
する。 [第1作成方法により作成された電圧マップを用いた焦
点位置の補正]まず、1つのショット領域内に計測範囲
が配置されるよう試料10のXY面内における位置及び
対物レンズ8の電圧を設定し、試料10に所定の負の電
圧を印加する。次に、試料10のZ軸方向の位置を送光
系37a及び受光系37bからなるZセンサにより計測
する。この計測結果に基づいて主制御系34は駆動装置
41を介してZステージを駆動して試料10を予め設定
されたZ位置に配置させる。
【0065】試料10を予め設定されたZ位置に配置し
た後、主制御系34は試料10にチャージアップが生じ
ていないとした場合において、マルチビームB1が試料
面に結像するよう対物レンズ8に印加する電圧を調整す
る。次に、主制御系34は記憶装置43に記憶されてい
る電圧マップを読み出して、この電圧マップに基づいて
対物レンズ8に印加する電圧を調整してマルチビームB
1の焦点位置を試料面に配置して、二次電子ビームB2
の像を検出面に結像させ、焦点位置のあった像を得る。 [第2作成方法により作成された電圧マップを用いた焦
点位置の補正]まず、第1作成方法により作成された電
圧マップを用いて補正を行う場合と同様に、1つのショ
ット領域内に計測範囲が配置されるよう試料10のXY
面内における位置及び対物レンズ8の電圧を設定し、試
料10に所定の負の電圧を印加する。次に、試料10の
Z軸方向の位置を送光系37a及び受光系37bからな
るZセンサにより計測する。この計測結果に基づいて主
制御系34は、試料10にチャージアップが無いとした
場合においてマルチビームB1の焦点位置が試料面上に
配置されるよう対物レンズ8に印加する電圧を設定す
る。
【0066】そして、記憶装置43から電圧マップを読
み出して対物レンズ8に印加する電圧を調整してマルチ
ビームB1の焦点位置を試料面に配置して、二次電子ビ
ームB2の像を検出面に結像させ、焦点位置のあった像
を得る。 [第3作成方法により作成された電圧マップを用いた焦
点位置の補正]最初に、1つのショット領域内に計測範
囲が配置されているよう試料10のXY面内における位
置及び一次光学系19の走査幅を設定し、Zセンサにて
試料10のZ軸方向の位置を計測する。そして、試料1
0にチャージアップが生じていないと仮定した場合に、
Zセンサの計測結果に試料10を配置したときにマルチ
ビームB1を試料面に焦点を合わせることができる電圧
を対物レンズ8に印加してマルチビームB1の焦点位置
を設定する。
【0067】次に、主制御系34は記憶されている電圧
マップを読み出して、試料10にチャージアップが生じ
ていない場合において試料10に印加する電圧を記憶装
置から読み出した電圧マップで補正した値の電圧を試料
10に印加することにより二次電子ビーム34の焦点位
置を補正する。尚、第3作成方法により作成された電圧
マップを用いて焦点位置を補正する場合には、試料10
に印加する電圧を補正して試料10へのマルチビームB
1のランディングエネルギーを調整し、その結果として
マルチビームB1の焦点位置を補正している。よって、
イー・クロス・ビー9におけるウィーン条件は満足され
るため、制御を簡単化することができる。尚、観察を行
ったショット領域以外のショット領域を観察する場合に
も、以上説明した第1〜第3作成方法により作成された
電圧マップ各々を用いて各々の方法により焦点位置の調
整を行って観察を行う。
【0068】以上、本発明の一実施形態による荷電粒子
ビーム欠陥検査装置について説明したが、本発明は前記
実施形態に制限されることなく本発明の範囲内で自由に
変更が可能である。例えば、前述の電圧マップの第1作
成方法においては、対物レンズに印加する電圧を制御す
ることによって電圧マップを作成するとともに、マルチ
ビームB1の焦点位置の補正を行っていたが、試料10
に印加する電圧に関する電圧マップを作成するようにし
てもよい。また、前記実施形態においては、試料10上
に複数のショット領域が設定されており、1つのショッ
ト領域に対して電圧マップを生成する場合について説明
したが、低倍率の観察を行う場合には試料10のチャー
ジアップ量の平均値を試料10全体のチャージアップ量
として電圧マップを作成するとともに、この電圧マップ
に基づいて焦点位置の補正を行うようにしても良い。
【0069】また、前記実施形態においては、イー・ク
ロス・ビー9を用いて一次電子ビームB1を直進試料1
0に照射させ、試料10から発生した二次電子ビームB
2を偏向させる場合について説明した。しかしながら、
本発明はこれに限られず、一次電子ビームB1を偏向さ
せて、二次電子ビームB2を直進させる電磁プリズムを
用いても良い。また本実施形態では、電子ビームを用い
た荷電粒子線写像投影光学系について示したが、電子ビ
ームの代わりにイオンビームを用いた荷電粒子線写像投
影光学系としても良い。更に、本実施形態のマルチビー
ム光学系は、線源からの電子ビームにて試料の物体面を
複数のビームで照明し像面へ結像する、いわゆるマルチ
ビームの荷電粒子線光学系であり、観察装置及び検査装
置の単体装置としてではなく、半導体露光装置等にも簡
単に応用することができる。更に、本実施形態において
は、物体の蓄積荷電に起因する焦点位置ずれの補正に関
して説明を行ってきたが、物体の表面電圧分布を検出す
ることにより、そのデータを像歪の解析やその補正にも
利用することができる。
【0070】
【発明の効果】以上、説明したように、本発明の第1の
観点による荷電粒子ビーム欠陥検査装置によれば、一次
ビームを物体に照射した際に生ずる物体の蓄積荷電量に
応じた物体の表面電圧分布を検出手段によって検出して
いるため、物体の蓄積荷電に起因して生ずる諸問題(焦
点位置のずれ、像歪等)を解決する情報が得られるとい
う効果がある。
【0071】本発明の第2の観点による荷電粒子ビーム
欠陥検査装置によれば、焦点ずれ量検出手段によって、
物体上に一次ビームを照射した際に生ずる蓄積荷電量に
応じた検出面における二次ビームの焦点ずれ量を予め検
出し、焦点制御手段がこの検出された焦点ずれ量に応じ
て一次ビームの焦点位置を補正している。よって、物体
に蓄積荷電が生じた場合であっても物体の像を合焦した
状態で観察することができるため、焦点のあった鮮明な
観察を行うことができるとともに、高精度の欠陥検査を
行うことができるという効果がある。
【0072】また、本発明の第3の観点による荷電粒子
ビーム欠陥検査装置によれば、予め物体の蓄積荷電に起
因する一次電子ビームの焦点ずれ量を記憶手段に記憶
し、物体の観察を行う際に記憶手段に記憶した焦点ずれ
量を読み出して一次ビームの焦点位置を制御するように
している。よって、例えば物体が半導体基板であり、そ
の表面には同一のパターンが形成された複数のショット
領域が設定されている場合には各々のショット領域毎の
一次電子ビームの焦点ずれ量を検出する必要がなく、1
つのショット領域に対してのみ焦点ずれ量を検出すれば
よい。また、各々のショット領域の観察を行う場合に
は、記憶された共通の焦点ずれ量を用いて焦点位置を制
御すれば良いためスループット、即ち単位時間に観察す
ることができる物体の数を高くすることができるという
効果がある。また、同一の処理工程を経た複数の物体、
例えば1ロット内の複数枚の基板を観察する場合にも物
体毎に焦点ずれ量を検出することがないため、複数の物
体を観察する場合においてもスループットの向上に資す
ることができるという効果がある。
【0073】また、本発明の第4の観点による荷電粒子
ビーム欠陥検査装置によれば、物体に生ずる蓄積荷電に
起因する一次電子の焦点ずれ量を補正するのみならず、
物体の高さ位置を検出し、検出された高さも考慮して一
次ビームの焦点位置を制御している。よって、例えば物
体に反りが生じている場合においても物体の像を合焦し
た状態で観察することができるため、焦点のあった鮮明
な観察を行うことができるとともに、高精度の欠陥検査
を行うことができる。
【0074】また、本発明の第5の観点による荷電粒子
ビーム欠陥検査装置によれば、検出された物体の高さと
検出された焦点ずれ量とを対応させて記憶し、観察を行
う際にはこれらの双方に基づいて一次ビームの焦点位置
を制御するようにしているので、例えば物体に反りが生
じている場合においても焦点のあった鮮明な観察を高い
スループットで行うことができるという効果がある。
【0075】また、本発明の第7の観点による荷電粒子
ビーム欠陥検査装置によれば、写像電子光学系の複雑な
制御を行わずとも、単に物体に印加する電圧を変えるだ
けで一次ビームの焦点位置を制御することができるの
で、一次電子ビームの焦点位置の制御が容易になり、そ
の結果としてスループットの向上が期待できるとともに
焦点のあった鮮明な観察及び高精度の欠陥検査を容易に
行うことができるという効果がある。
【0076】また、本発明の第8の観点による荷電粒子
ビーム欠陥検査装置によれば、予め物体の蓄積荷電に起
因する一次電子ビームの焦点ずれ量を記憶手段に記憶
し、物体の観察を行う際に記憶手段に記憶した焦点ずれ
量を読み出して物体に印加する電圧を制御して一次ビー
ムの焦点位置を制御するようにしている。よって、第3
の観点による荷電粒子ビーム欠陥検査装置と同様に、例
えば物体が半導体基板であり、その表面には同一のパタ
ーンが形成された複数のショット領域が設定されている
場合には各々のショット領域毎の一次電子ビームの焦点
ずれ量を検出する必要がなく、1つのショット領域に対
してのみ焦点ずれ量を検出すればよい。また、各々のシ
ョット領域の観察を行う場合には記憶された共通の焦点
ずれ量を用いて焦点位置を制御すれば良いためスループ
ット、即ち単位時間に観察することができる物体の数を
高くすることができるという効果がある。また、同一の
処理工程を経た複数の物体、例えば1ロット内の基板を
観察する場合にも物体毎に焦点ずれ量を検出することが
ないため、複数の物体を観察する場合においてもスルー
プットの向上に資することができるという効果がある。
【0077】また、本発明の第9の観点による荷電粒子
ビーム欠陥検査装置及び第10の観点による荷電粒子ビ
ーム欠陥検査装置によれば、高さ検出手段によって物体
の高さを検出し、物体の高さを考慮して物体の蓄積荷電
に起因する焦点ずれ量を求めている。よって、荷電粒子
ビーム欠陥検査装置の構成の簡略化のため、物体の高さ
位置を変えるステージを有していなくとも、物体の高さ
ずれに起因する焦点ずれ量と物体の蓄積荷電に起因する
焦点ずれ量とを分離して得ているため、物体に蓄積電荷
が生じている場合に、蓄積荷電に起因する焦点ずれ量を
補正する際には極めて好適であるという効果がある。
【0078】また、本発明の荷電粒子ビーム欠陥検査方
法によれば、上述の本発明の荷電粒子ビーム欠陥検査装
置と同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態による荷電粒子ビーム欠
陥検査装置の構成を示す図である。
【図2】 本発明の一実施形態による荷電粒子ビーム欠
陥検査装置が備えるZセンサの構成を示す側面図であ
る。
【図3】 Zセンサの計測原理を説明するための図であ
る。
【図4】 試料10の一例を示す上面図である。
【図5】 電圧マップの第1作成方法を示すフローチャ
ートである。
【図6】 電圧マップの第2作成方法を示すフローチャ
ートである。
【図7】 電圧マップの第3作成方法を示すフローチャ
ートである。
【符号の説明】
1 熱電子放出型電子銃(荷電粒子源) 8 対物レンズ(照射手段、検出電子光学系) 9 イー・クロス・ビー(照射手段、検出電子光学系) 10 試料(物体) 13 マルチ開口検出器(電子検出手段) 19 一次光学系(照射手段) 20 二次光学系(検出電子光学系) 34 主制御系(検出手段、焦点ずれ量検出手段、焦点
制御手段、合焦位置演算手段) 37a 送光系(高さ検出手段) 37b 受光系(高さ検出手段) 42 可変電源(電圧印加手段) 43 記憶装置(記憶手段) AS 開口絞り(照射手段) B1 一次電子ビーム(一次ビーム) B2 二次電子ビーム(二次ビーム)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G21K 5/04 G21K 5/04 C 5C033 A H01J 37/21 B H01J 37/21 37/29 37/29 H01L 21/66 C H01L 21/66 G01R 31/28 L (72)発明者 浜島 宗樹 東京都千代田区丸の内3丁目2番3号 株 式会社ニコン内 (72)発明者 中筋 護 東京都大田区羽田旭町11番1号 荏原マイ スター株式会社内 (72)発明者 野路 伸治 東京都大田区羽田旭町11番1号 株式会社 荏原製作所内 (72)発明者 佐竹 徹 東京都大田区羽田旭町11番1号 株式会社 荏原製作所内 Fターム(参考) 2F067 AA62 CC17 EE00 FF01 HH06 HH13 JJ05 KK04 2G001 AA03 BA07 CA03 DA06 EA04 GA01 GA06 GA09 GA12 GA13 JA02 JA03 JA11 KA03 LA11 MA05 2G011 AA01 AC06 AE01 2G132 AD15 AF13 AL11 4M106 BA02 BA14 CA38 DB04 DB05 DB12 DB14 DB20 DB30 DE01 DE11 DE21 DJ21 DJ24 5C033 MM03 UU02 UU04

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の荷電粒子ビームを一次ビームとし
    て物体表面上に照射する照射手段と、 前記一次ビームの照射により前記物体表面から発生する
    二次電子を複数の検出器で検出する二次光学系とを有
    し、物体表面上に照射される前記一次ビームの間隔は、
    前記二次光学系の分解能より大きい間隔とされ、 前記一次ビームを照射した際に生ずる前記物体表面の蓄
    積荷電量に応じた前記物体表面の電圧分布を検出する検
    出手段とを具備することを特徴とする荷電粒子ビーム装
    置。
  2. 【請求項2】 複数の荷電粒子ビームを一次ビームとし
    て物体表面上に照射する照射手段と、 前記一次ビームの照射により前記物体表面から発生する
    二次電子を複数の検出器で検出する二次光学系とを有
    し、物体表面上に照射される前記一次ビームの間隔は、
    前記二次光学系の分解能より大きい間隔とされ、 前記一次ビームを照射した際に生ずる前記物体表面の蓄
    積荷電量に応じた前記物体表面における一次ビームの焦
    点ずれ量を予め検出する焦点ずれ量検出手段と、 前記焦点ずれ量検出手段によって検出された前記焦点ず
    れ量に応じて前記一次ビームの焦点位置を制御する焦点
    制御手段とを具備することを特徴とする荷電粒子ビーム
    装置。
  3. 【請求項3】 前記物体表面の高さを検出する高さ検出
    手段を更に具備し、 前記焦点制御手段は、前記焦点ずれ量と前記高さ検出手
    段の検出結果との双方に基づいて前記一次ビームの焦点
    位置を制御することを特徴とする請求項2記載の荷電粒
    子ビーム装置。
  4. 【請求項4】 前記物体に所定の電圧を印加する電圧印
    加手段を具備し、 前記焦点制御手段は、前記電圧印加手段を介して前記物
    体に印加する電圧を制御することにより前記一次ビーム
    の焦点位置を制御することを特徴とする請求項2から請
    求項5のいずれか1項に記載の荷電粒子ビーム装置。
  5. 【請求項5】 複数の荷電粒子ビームを一次ビームとし
    て物体表面上に照射し、該照射に基づき前記物体表面か
    ら発生する二次電子を、前記物体表面での一次ビームの
    間隔より小さい分解能をもって検出して前記物体表面の
    評価をする荷電粒子ビームを用いた評価方法であって、 前記一次ビームを照射した際に生ずる前記物体表面の蓄
    積荷電量に応じた当該一次ビームの焦点位置のずれ量を
    予め検出し、 検出したずれ量に応じて前記一次ビームの焦点位置を制
    御することを特徴とする電子ビーム欠陥検査方法。
  6. 【請求項6】 請求項5の方法を用いてプロセス途中あ
    るいは終了後のウェハを評価する事を特徴とするデバイ
    ス製造方法。
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