JP2002243996A - 分散補償ファイバ及び分散補償ファイバユニット並びに分散補償器 - Google Patents

分散補償ファイバ及び分散補償ファイバユニット並びに分散補償器

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JP2002243996A
JP2002243996A JP2001036895A JP2001036895A JP2002243996A JP 2002243996 A JP2002243996 A JP 2002243996A JP 2001036895 A JP2001036895 A JP 2001036895A JP 2001036895 A JP2001036895 A JP 2001036895A JP 2002243996 A JP2002243996 A JP 2002243996A
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dispersion compensating
dispersion
coating
compensating fiber
optical fiber
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JP2001036895A
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Takashi Fujii
隆志 藤井
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Sumitomo Electric Industries Ltd
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Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 分散補償ファイバを使った分散補償ファイバ
ユニット及び分散補償器のヒートサイクルによる温度変
化に対する伝送損失の変化量を低減させる。 【解決手段】 石英系ガラスからなる光ファイバ1の周
囲に被覆2を施した分散補償ファイバ3であって、被覆
2は内層被覆2aと外層被覆2cとその間に設けた潤滑
層2bとからなり、前記光ファイバ1と前記内層被覆2
aとの間のプルアウト力は5N以上で、かつ前記内層被
覆2aと前記外層被覆2cとの間のプルアウト力は0.
1N〜5.0Nの範囲にあるものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】本発明は、光ファイバ伝送路の波長分散に
伴う伝送歪みを低減するために使用する分散補償ファイ
バ及び分散補償ファイバユニット並びに分散補償器に関
する。
【0002】
【従来の技術】零分散波長を1.3μm帯にもつシング
ルモード型光ファイバを用いて波長1.55μm帯での
長距離大容量の光伝送を行うため、1.55μm帯での
波長分散を相殺する分散補償器が開発されている(特開
平10−123342号公報等)。そのような分散補償
器は、零分散波長を1.3μm帯にもつシングルモード
型光ファイバの1.55μm帯での波長分散と逆符号の
波長分散をもつ長尺の分散補償ファイバを胴径の小さい
ボビンに巻き取ってコンパクト化したものである。
【0003】図7(A)は、特開平10−123342
号公報に記載されている分散補償ファイバの一例を示す
横断面図であって、21は石英系ガラスからなる光ファ
イバ、21aはコア部、21bはディプレストクラッド
部、21cは外部クラッド部、22は内層被覆、23は
外層被覆、24は被覆である。また、図7(B)はその
光ファイバ21の半径方向の屈折率分布を示す図であ
る。光ファイバ21は、中央の屈折率が石英ガラスに比
べてΔ+だけ高いコア部21aと、それを取り囲む屈折
率が石英ガラスに比べてΔ−だけ低いディプレストクラ
ッド部21bと、その周りの石英ガラスと同じ屈折率を
有する外部クラッド部21cとからなる。
【0004】また、光ファイバ21上の被覆24の内層
被覆22及び外層被覆23は、それぞれウレタンアクリ
レート樹脂等の紫外線硬化型樹脂からなり、内層被覆2
2は比較的ヤング率の低い樹脂で、外層被覆23は比較
的ヤング率の高い樹脂で構成され、光ファイバ21の外
径は約100μm、内層被覆22の外径は140μm、
外層被覆23の外径は180μmである。また、内層被
覆22及び外層被覆23の厚さは、それぞれ20μmで
ある。
【0005】分散補償器を構成するに当たって、500
m以上の長尺の分散補償ファイバを胴径の小さいボビン
に巻付けるため、左右又は上下に隣接する分散補償ファ
イバ同士が互いに側圧を与えることで伝送損失が増加す
るという問題がある。この問題に対処するため、特開平
10−123342号公報に記載された技術では、ボビ
ンに分散補償ファイバを巻付けた後、中のボビンを抜き
取るか、ボビンの胴径を縮小して、分散補償ファイバを
ボビンの胴から離す。
【0006】分散補償ファイバをボビンの胴から抜いた
だけの状態は、分散補償ファイバ同士が固く密着した塊
状態であるが、この状態のものをここではコイルと呼
ぶ。このコイルを振動させるか、あるいはコイルを両手
で持って捻ると、分散補償ファイバ同士の密着程度が緩
んで巻き状態が変形し、分散補償ファイバ同士が固く密
着していない状態となるが、この状態のものをここでは
束と呼ぶ。分散補償ファイバはコイル状態にした時、分
散補償ファイバ同士の密着による側圧によって伝送損失
が増加するが、密着程度を緩めて束状態とすることによ
って分散補償ファイバ同士が及ぼし合う側圧が低減し、
伝送損失の増加が抑制される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、束状態
の分散補償ファイバは自由に移動できる状態にあるた
め、振動や衝撃によって束の形状が変形し易く、束の変
形によって曲げ損失が生じるという問題点がある。この
変形を抑制するため、筐体内に束を複数箇所で固定する
という方法が特開平10−123342公報には記載さ
れているが、振動が長期的に付加されると固定部以外で
は振動ずれが生じ、局所的な曲げ損失が生じる恐れがあ
る。また、束が局所的に固定されているため、ヒートサ
イクルによって温度変化を与えた場合の伝送損失の変化
が大きい。
【0008】本発明は、上述した従来技術による問題点
を解消した分散補償ファイバ及び分散補償ファイバユニ
ット並びに分散補償器を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の分散補償ファイ
バは、石英系ガラスからなる光ファイバの周囲に被覆を
施した分散補償ファイバであって、該被覆は内層被覆と
外層被覆とその間に設けた潤滑層とからなり、前記光フ
ァイバと前記内層被覆との間のプルアウト力は5N以上
で、かつ前記内層被覆と前記外層被覆との間のプルアウ
ト力は0.1N〜5.0Nの範囲にあるものである。
【0010】また、本発明の分散補償ファイバユニット
は、鋼線に上記の分散補償ファイバを複数本沿わせて、
常温でのヤング率が500MPa以下の保護層によって
前記鋼線と前記分散補償ファイバの周囲を満たして覆っ
たものである。
【0011】また、本発明の分散補償器は、上記の分散
補償ファイバをコイルまたは束にして筐体内に収容し、
前記筐体内の分散補償ファイバの周囲を常温でのヤング
率が50MPa以下の充填材料によって満たしたもので
ある。
【0012】これによって、本発明の分散補償ファイバ
を使った分散補償ファイバユニット及び分散補償器にお
けるヒートサイクルによる温度変化に対する伝送損失の
変化量を低減させることが出来る。
【0013】なお、上記のプルアウト力の測定は次の方
法による。また、図6は、その測定方法を説明する図で
あって、図6(A)は被測定試料を固定したときの平面
図、図6(B)はX−X断面図、図6(C)はY−Y断
面図である。また、図6において、1は光ファイバ、2
は被覆、2aは内層被覆、2bは潤滑層、2cは外層被
覆、3は分散補償ファイバ、11は型紙、12は接着剤
である。
【0014】なお、プルアウト力の測定手順は次の通り
である。 (1)長さ160mmの被測定分散補償ファイバ3(試
料)を採取する。 (2)25mm×25mmの型紙11を2枚用意する。 (3)図6(A)に示すように、被測定分散補償ファイ
バ3の両端を型紙11に沿わせて接着剤12にて接着固
定する。接着剤12はアロンアルファ(商品名)であ
る。 (4)一方の型紙の内側(Y−Y断面の個所)から型紙
側に10mm入った個所(X−X断面の個所)にて、被
測定分散補償ファイバ3と接着剤12をナイフで切断す
る。(型紙は切断しない。また、その部分で型紙を折り
曲げて、被測定分散補償ファイバ3の石英ガラスからな
る光ファイバ1の部分が確実に切断されていることを確
認することが望ましい。) (5)一方の型紙の内側(Y−Y断面の個所)部分にお
いて分散補償ファイバ3の被覆2に剃刀で切傷を入れ
る。光ファイバ1と内層被覆2aとの間のプルアウト力
を測定する場合の切傷の深さは、図6(C)のL2−L2
ラインまでとする。即ち、内層被覆2aの厚さの中間付
近まで切込むが、石英ガラスからなる光ファイバ1には
切傷が生じないようにする。また、内層被覆2aと外層
被覆2cとの間のプルアウト力を測定する場合の切傷の
深さは、図6(C)のL1−L1ラインまでとする。即
ち、外層被覆2cの厚さの中間付近まで切込み、内層被
覆2aには切傷が生じないようにする。 (6)両方の型紙11をテンシロン型引張り試験機のチ
ャックに固定し、引張り速度5mm/分にて引張り試験
を行い、光ファイバが引抜けるときの最大張力をもって
プルアウト力とする。なお、光ファイバ1と内層被覆2
aとの間のプルアウト力を測定する場合は、長さ10m
mの光ファイバ1が被覆2から抜け出す。また内層被覆
2aと外層被覆2cとの間のプルアウト力を測定する場
合は、長さ10mmの光ファイバ1が内層被覆2aで覆
われた状態で外層被覆2cから抜け出す。
【0015】また、充填材料または保護層のヤング率
は、樹脂シートからJIS K 7113による3号形
試験片を採り、引張り試験を行う。引張り試験の引張り
速度は2mm/分、試料温度及び測定温度は23℃、測
定環境相対湿度は50%RHとし、2.5%割線式を用
いてヤング率を求める。また、試料数5個の平均値でも
って判断する。
【0016】
【発明の実施の形態】図1は、本発明にかかる分散補償
ファイバの実施形態を示す横断面図であって、1は光フ
ァイバ、2は被覆、2aは内層被覆、2bは潤滑層、2
cは外層被覆、3は分散補償ファイバである。また、図
2(A)は、光ファイバ1の一例を示す横断面図であっ
て、図2(B)は光ファイバ1の半径方向の屈折率分布
の例を示すものである。なお、図2において、1は光フ
ァイバ、1aはコア部、1bはディプレストクラッド
部、1cは外部クラッド部を示す。
【0017】光ファイバ1は、例えば図2(B)に示す
ように中央の屈折率が石英ガラスに比べてΔ+だけ高い
コア部1aと、それを取り囲む屈折率が石英ガラスに比
べてΔ−だけ低いディプレストクラッド部1bと、その
周りの石英ガラスと同じ屈折率の外部クラッド部1cと
からなる。
【0018】なお、分散補償器用の分散補償ファイバに
使用する光ファイバの一例ではコア部1aの外径は2.
7μm、ディプレストクラッド部1bの外径は6.6μ
m、外部クラッド部1cの外径は125μmであって、
屈折率の増減率を示すΔ+は1.9%、Δ−は−0.4
%である。また、この光ファイバの波長分散及び波長分
散傾斜並びに伝送損失は、波長1.55μmにおいてそ
れぞれ、−120ps/nm/km、−0.28ps/
nm2/km、0.40dB/kmである。また、分散
補償ファイバユニット用の分散補償ファイバに使用する
光ファイバの一例ではコア部1aの外径は3.8μm、
ディプレストクラッド部1bの外径は7.5μm、外部
クラッド部1cの外径は125μmであって、屈折率の
増減率を示すΔ+は1.4%、Δ−は−0.4%であ
る。また、この光ファイバの波長分散及び波長分散傾斜
並びに伝送損失は、波長1.55μmにおいてそれぞ
れ、−45ps/nm/km、−0.07ps/nm2
/km、0.27dB/kmである。
【0019】なお、上記では光ファイバとして2重クラ
ッド構造の例を示したが、分散補償機能を有するものな
らそれ以外のものでもよく、一般にセグメント型と呼ば
れる光ファイバを用いることも可能である。また、波長
1.55μmにおいて高次モードを伝播する光ファイバ
を使って分散補償機能を持たせる場合にも適用が可能で
ある。
【0020】また、図1に示す通り、光ファイバ1上に
は被覆2を施して分散補償ファイバ3とする。なお、被
覆2は、内層被覆2a及び外層被覆2cとその間に設け
た潤滑層2bとで構成する。更に、外部被覆層2cの外
側に必要に応じて更なる層を設けても良い。また、内層
被覆2a及び外層被覆2cは、それぞれウレタンアクリ
レート樹脂等の紫外線硬化型樹脂で構成し、内層被覆2
aは比較的ヤング率の低い樹脂で、外層被覆2cは比較
的ヤング率の高い樹脂で構成する。例えば、内層被覆2
aのヤング率は1MPaとし、外層被覆2cのヤング率
は800MPaとする。
【0021】また、潤滑層2bは、シリコーンオイル、
石油ジェリー、動植物油、二塩基性エステル、グラファ
イト、二硫化モリブデン、タルク、グリース等からなる
潤滑性の高い物質で構成する。また、光ファイバ1の外
径は約125μm、内層被覆2aの厚さは15μm〜3
5μm程度、潤滑層2bの厚さは1μm〜5μm程度、
外層被覆2cの厚さは15μm〜20μm程度である。
また、分散補償ファイバ3の外径は180μm〜245
μm程度であるが、それより細径であってもよい。
【0022】また、光ファイバ1と内層被覆2aとの間
のプルアウト力が5N以上となるようにする。光ファイ
バ1と内層被覆2aとの間のプルアウト力を変えるに
は、内層被覆2a中に添加するシランカップリング剤の
量を加減すれば良い。そして、更に内層被覆2aと外層
被覆2cとの間のプルアウト力が0.1N〜5.0Nの
範囲になるようにする。内層被覆2aと外層被覆2cと
の間のプルアウト力を変えるには潤滑層2bの材料及び
厚さを調整すれば良い。潤滑層2bの材料としてシリコ
ーンオイルを使用する場合は、その厚さを1μm程度と
すると内層被覆2aと外層被覆2cとの間のプルアウト
力は6N程度に、その厚さを2μm程度とすると内層被
覆2aと外層被覆2cとの間のプルアウト力は4N程度
に、その厚さを5μm程度とすると内層被覆2aと外層
被覆2cとの間のプルアウト力は1N程度になる。
【0023】また、光ファイバ1と内層被覆2aとの間
のプルアウト力が5Nよりも小さいと、内層被覆2aと
光ファイバ1に密着度が低くなり、曲げに対する光ファ
イバの強度が低下するので好ましくない。また、内層被
覆2aと外層被覆2cとの間のプルアウト力が0.1N
よりも小さいと、外層被覆2cが内層被覆2a上で滑り
易くなり、巻き替えによって外層被覆が波打ったり、接
続作業時の被覆除去が綺麗に出来なかったりするので好
ましくない。また、内層被覆2aと外層被覆2cとの間
のプルアウト力が5.0Nよりも大きいと、実施例にて
説明する通り、温度変化時の伝送損失の変化量が大きく
なるので好ましくない。
【0024】図3は、本発明にかかる分散補償ファイバ
ユニットの実施形態を示す横断面図であって、3は分散
補償ファイバ、4は鋼線、5は保護層である。この分散
補償ファイバユニットは、鋼線4に複数本の分散補償フ
ァイバ3を沿わせて、シリコーン樹脂、ブタジエンゴム
あるいはシリコーンゴムをベースにした高粘性ジェリー
混和物等の熱硬化型樹脂又は紫外線硬化型樹脂からなる
保護層5でもって、鋼線4及び分散補償ファイバ3の間
を満たすように充填して被覆する。また、この保護層5
の上に別の被覆層を設けても良い。
【0025】分散補償ファイバ3が8本の場合、鋼線の
外径は0.6mm程度とし、保護層の外径は2.6mm
程度とする。また、保護層5の常温でのヤング率は50
0MPa以下とすることが、温度変化時の伝送損失の変
化量を抑制する上で望ましい。なお、保護層のヤング率
は使用する樹脂の架橋点を調整することによって変える
ことが出来る。また、この分散補償ファイバユニット
は、通常の場合光ケーブル内に収容し、その光ケーブル
を延線して使用する。
【0026】また図4は、本発明にかかる分散補償器の
実施形態を示すものであって、図4(A)は内部構成平
面図、図4(B)はX方向断面図である。図4におい
て、3は分散補償ファイバ、6は筐体、7は充填材料で
ある。この分散補償器は、分散補償ファイバ3をコイル
または束にして筐体6内に収容し、筐体6内の分散補償
ファイバ3の周囲を充填材料7で満たして構成する。な
お、分散補償ファイバ3をコイルにするに当たっては、
例えば長さ約5kmの分散補償ファイバ3を胴径120
mm程度のボビンに巻き付け、ボビンの胴を抜いて分散
補償ファイバ同士が密着して塊状態となったコイルを取
出せばよい。また、そのコイルを振動させるか、両手で
持って捻るかすれば、分散補償ファイバ同士の密着状態
が緩んで巻き状態が変形し分散補償ファイバ3の束が出
来る。筐体内に収容するのはコイルまたは束のいずれで
も、その周囲に満たした充填材料によってコイルまたは
束の全体が均一に保持されるため、ヒートサイクル時の
伝送損失の変動を小さくすることは出来るが、束にして
収容した方が分散補償ファイバ同士の隙間にも充填材料
が行き渡るので、更にヒートサイクル時の伝送損失差を
より小さくすることが出来る。
【0027】また、充填材料7としては、シリコーン樹
脂、ブタジエンゴムあるいはシリコーンゴムをベースに
した高粘性ジェリー混和物等の熱硬化型樹脂又は紫外線
硬化型樹脂を用いることが出来る。また、充填材料7の
常温でのヤング率は50MPa以下とすることが、温度
変化時の伝送損失の変化量を抑制する上で望ましい。な
お、充填材料のヤング率は樹脂の架橋点を調整すること
によって変えることが出来る。
【0028】また、充填材料7に分散補償ファイバ3の
潤滑層に用いる材料と同様の材料、例えば潤滑層の材料
がシリコーンオイルである場合、充填材料にもシリコー
ンオイルを添加しておけば、潤滑層の材料が分散補償フ
ァイバの表面に沁み出して減少するのを防止することが
出来る。また、シリコーンオイルは充填材料であるシリ
コーン樹脂とも相溶性が良いので、シリコーン樹脂中に
シリコーンオイルを容易に添加することが出来、充填材
料であるシリコーン樹脂の硬化を阻害することもない。
【0029】
【実施例】先に説明した図2に示す光ファイバの上に図
1に示す被覆を設けた分散補償ファイバを作った。な
お、分散補償ファイバユニット用の分散補償ファイバに
使用した光ファイバと、分散補償器用の分散補償ファイ
バに使用した光ファイバとは、先に例示した通りコア部
及びディプレストクラッド部の屈折率分布を変えたもの
とした。また、潤滑層はシリコーンオイルで形成し、潤
滑層の厚さを変えることによって、各種の内層被覆−外
層被覆間のプルアウト力を有する分散補償ファイバを得
た。
【0030】また、光ファイバ−内層被覆間のプルアウ
ト力は、内層被覆に添加するシランカップリング剤の量
によって調整した。出来上がった各種のプルアウト力を
有する分散補償ファイバを使って、分散補償ファイバユ
ニット及び分散補償器を製造した。分散補償ファイバユ
ニットの保護層及び分散補償器の充填材料には、シリコ
ーンオイルを添加したシリコーン樹脂を用いた。また、
シリコーン樹脂の架橋点を調整することによって常温で
のヤング率を種々変えたシリコーン樹脂を用意して使用
した。なお、分散補償ファイバユニット及び分散補償器
の分散補償ファイバの長さは各5kmとした。
【0031】また、ヒートサイクルによる伝送損失差は
次のようにして求めた。出来上がった分散補償ファイバ
ユニット及び分散補償器を恒温槽内に入れ、−20℃5
時間保持→+70℃5時間保持→−20℃の繰り返しヒ
ートサイクルを5サイクル行い、各温度での5時間の保
持時間の終了前1時間以内にそれぞれ波長1.55μm
で伝送損失を測定し、その測定値の最大値から最小値を
差し引いたものを伝送損失差とした。
【0032】3種類に内層被覆と外層被覆との間のプル
アウト力を変えた分散補償ファイバと2種類に常温での
ヤング率を変えた保護層材料を組み合わせて、5種類の
分散補償ファイバユニットを得た。そして、それら5種
類の分散補償ファイバユニットについてヒートサイクル
時の伝送損失差を測定した結果は、表1のケース番号1
〜5の通りである。これによると、ケース番号1〜4の
ものは、伝送損失差が0.0005dB/km以下で満
足出来る値であるが、ケース番号5のものは、伝送損失
差が0.0010dB/kmと大きい。分散補償ファイ
バユニットの場合は、伝送損失差が0.0005dB/
km以上を超えれば不良として扱われるので、ケース番
号5は不良である。その原因は、内層被覆と外層被覆と
の間のプルアウト力が6Nと大きいためと考えられる。
【0033】また、ケース番号1〜4の伝送損失差の結
果から、保護層の常温でのヤング率が大きくなれば、伝
送損失差も大きくなることが分かる。なお、ケース番号
2、4の場合、保護層の常温でのヤング率は600MP
aであって、伝送損失差は0.0005dB/kmと良
好ながら上限範囲ぎりぎりである。従って、保護層の常
温でのヤング率は500MPa以下とすることが望まし
い。
【0034】
【表1】
【0035】7種類にプルアウト力または被覆外径を変
えた分散補償ファイバと3種類に常温でのヤング率を変
えた充填材料を組み合わせて、9種類の分散補償器を得
た。なお、いずれの分散補償器の場合も、筐体内には分
散補償ファイバは束状態にして収容し、その周囲に充填
材料を満たした。そして、それら9種類の分散補償器に
ついてヒートサイクル時の伝送損失差を測定した結果
は、表2のケース番号11〜19の通りである。これに
よると、ケース番号11〜16、18、19のものは、
いずれも伝送損失差が0.025dB/km以下で小さ
いのに対し、ケース番号17のものは伝送損失差が0.
035dB/kmであって大きい。分散補償器の場合
は、伝送損失差が0.025dB/kmを超えるものは
不良として扱われるので、ケース番号17は不良であ
る。また、ケース番号11の場合は、光ファイバと内層
被覆との間に剥離が認められたので、これも不良であっ
た。
【0036】それら不良の原因は、ケース番号17の場
合は内層被覆−外層被覆間のプルアウト力が6Nと大き
いためと考えられる。また、ケース番号11の場合は、
光ファイバと内層被覆との間のプルアウト力が4Nと小
さかったためと考えられる。また、ケース番号13と1
4の比較、ケース番号15と16の比較、からいずれの
場合においても、充填材料の常温でのヤング率が高くな
れば伝送損失差が大きくなることが分かる。なお、ケー
ス番号16の場合、充填材料の常温でのヤング率が60
MPaであって、伝送損失差は0.025dB/kmと
良好ながら上限範囲ぎりぎりである。従って、充填材料
の常温でのヤング率は50MPa以下とすることが望ま
しい。
【0037】また、ケース番号11〜17は分散補償フ
ァイバの外径が185μmであるのに対し、ケース番号
18、19は分散補償ファイバの外径が245μmであ
る。ケース番号18、19の場合も伝送損失差は良好で
あるので、これによって分散補償ファイバの外径が24
5μmと比較的大きい場合であっても、外径が185μ
mの場合と同様に伝送損失差を低減させることが可能で
あることが分かる。
【0038】
【表2】
【0039】表2に示す分散補償器において、光ファイ
バと内層被覆との間のプルアウト力及び充填材料のヤン
グ率が同じで、内層被覆−外層被覆間のプルアウト力が
異なるケース番号14、15、17について、内層被覆
−外層被覆間のプルアウト力と伝送損失差の関係をグラ
フにしたものが図5である。このグラフによると、内層
被覆−外層被覆間のプルアウト力がほぼ5N以下であれ
ば、伝送損失差が0.025dB/km以下で良好であ
ることが分かる。
【0040】
【発明の効果】本発明の分散補償ファイバは、石英系ガ
ラスからなる光ファイバの周囲に被覆を施した分散補償
ファイバであって、該被覆は内層被覆と外層被覆とその
間に設けた潤滑層とからなり、前記光ファイバと前記内
層被覆との間のプルアウト力は5N以上で、かつ前記内
層被覆と前記外層被覆との間のプルアウト力は0.1N
〜5.0Nの範囲にあるものであるので、この分散補償
ファイバを使った分散補償ファイバユニット及び分散補
償器におけるヒートサイクルによる温度変化に対する伝
送損失の変化量を低減させることが出来る。
【0041】また、分散補償ファイバユニットの保護層
の常温でのヤング率を500MPa以下とし、又分散補
償器の充填材料の常温でのヤング率が50MPa以下と
することによって、ヒートサイクルによる温度変化に対
する伝送損失の変化量を更に小さくすることが出来る。
また、充填材料に分散補償ファイバの潤滑層に用いる材
料と同様の材料を添加しておけば、潤滑層の材料が分散
補償ファイバの表面に沁み出して減少するのを防止する
ことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる分散補償ファイバの実施形態を
示す横断面図である。
【図2】(A)は、分散補償ファイバに使用する光ファ
イバの一例を示す横断面図であって、(B)は光ファイ
バの半径方向の屈折率分布を示すものである。
【図3】本発明にかかる分散補償ファイバユニットの実
施形態を示す横断面図である。
【図4】本発明にかかる分散補償器の実施形態を示すも
のであって、(A)は内部構成平面図、(B)はX方向
断面図である。
【図5】内層被覆−外層被覆間のプルアウト力と伝送損
失差の関係を示すグラフである。
【図6】プルアウト力の測定方法を説明する図であっ
て、(A)は被測定試料を固定したときの平面図、
(B)はX−X断面図、(C)はY−Y断面図である。
【図7】(A)は、従来技術による分散補償ファイバの
一例を示す横断面図であって、(B)はそれに使われる
光ファイバの半径方向の屈折率分布を示す図である。
【符号の説明】
1:光ファイバ 1a:コア部 1b:ディプレストクラッド部 1c:外部クラッド部 2:被覆 2a:内層被覆 2b:潤滑層 2c:外層被覆 3:分散補償ファイバ 4:鋼線 5:保護層 6:筐体 7:充填材料 11:型紙 12:接着剤

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 石英系ガラスからなる光ファイバの周囲
    に被覆を施した分散補償ファイバであって、該被覆は内
    層被覆と外層被覆とその間に設けた潤滑層とからなり、
    前記光ファイバと前記内層被覆との間のプルアウト力は
    5N以上で、かつ前記内層被覆と前記外層被覆との間の
    プルアウト力は0.1N〜5.0Nの範囲にあることを
    特徴とする分散補償ファイバ。
  2. 【請求項2】 鋼線に請求項1に記載の分散補償ファイ
    バを複数本沿わせて、常温でのヤング率が500MPa
    以下の保護層によって前記鋼線と前記分散補償ファイバ
    の周囲を満たして覆ったことを特徴とする分散補償ファ
    イバユニット。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の分散補償ファイバをコ
    イルまたは束にして筐体内に収容し、前記筐体内の分散
    補償ファイバの周囲を常温でのヤング率が50MPa以
    下の充填材料によって満たしたことを特徴とする分散補
    償器。
  4. 【請求項4】 前記筐体内に収容する分散補償ファイバ
    は束であることを特徴とする請求項3に記載の分散補償
    器。
  5. 【請求項5】 前記充填材料には前記潤滑層の材料と同
    じ材料が添加されていることを特徴とする請求項3また
    は請求項4に記載の分散補償器。
  6. 【請求項6】 前記潤滑層の材料は、シリコーンオイル
    であることを特徴とする請求項5に記載の分散補償器。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP2354820A1 (en) * 2010-02-04 2011-08-10 OFS Fitel, LLC Optical fiber coatings for reducing microbend losses
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