JP2002234757A - セメントクリンカ及びセメント組成物 - Google Patents
セメントクリンカ及びセメント組成物Info
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Abstract
料として大量に使用したセメントクリンカにおいて、品
質が安定なセメントクリンカと、そのセメントクリンカ
を用いたセメント組成物を提供すること。 【解決手段】 SiO2とAl2O3を主成分とする産業廃棄物
を原料として使用し、水硬率(H.M.)が1.8〜2.3、ケイ
酸率(S.M.)が1.3〜2.3、鉄率(I.M.)が1.3〜1.8であ
るセメントクリンカ。前記セメントクリンカに、総SO3
量が2.0〜5.0重量%となるように石膏を混合して粉砕す
るか/又は互いに分離粉砕した後混合したセメント組成
物。
Description
成分とする産業廃棄物(例えば、石炭灰や下水スラッジ
等)を原料として利用したセメントクリンカとそのセメ
ントクリンカを用いたセメント組成物に関する。
は、各種産業廃棄物の有効利用が進められており、SiO2
とAl2O3を主成分とする産業廃棄物もセメントクリンカ
の製造に利用されている。具体的には、セメントクリン
カ1ton当たり50〜100kg程度の石炭灰が原料として利用
されている。そして、産業廃棄物の有効利用の観点か
ら、今後、セメントクリンカ用原料として利用する産業
廃棄物の量を増やすことが望まれている。
トクリンカ用原料として利用する産業廃棄物の量を増や
すと、セメントクリンカの化学組成が変化し一定の品質
のものが得られ難いという問題がある。例えば、SiO2と
Al2O3を主成分とする産業廃棄物を有効利用する方法と
して、特殊セメントの製造に石炭灰を利用する方法が、
特公平1-49657号公報に開示されている。該特公平1-496
57号公報は、「石炭燃焼時に精製した石炭灰100重量部
と石灰石200〜400重量部との粉砕混合物を焼成すること
によって15〜25%の3CaO・Al2O3を含有するクリンカー
を形成し、次いで、このクリンカーにSO3量が3〜21%と
なるように石膏を混合して粉砕するか、互いに分離粉砕
した後混合して、使用時にカルシウムサルホアルミネー
ト水和物である針状結晶のエトリンガイトが多量に形成
されるセメントを得る特殊セメントの製造法」である。
そして、クリンカーを形成する際の目標鉱物としては3C
aO・SiO2(C3S)量を規定するのが良く、その量を50〜6
0%程度にするのが望ましい、としている。
クリンカ1ton製造するのに、石炭灰を300〜400kg使用す
るものではある(特公平1-49657号公報第1表参照)。
しかしながら、石炭灰は、その使用した石炭の炭種や燃
焼温度等の条件により、化学組成が大きく異なることが
知られている。例えば、現在主に使用されている海外炭
では、石炭灰の化学組成が、SiO2が44.6〜74.0%、Al2O
3が16.4〜38.3%、CaOが0.1〜14.3%、Fe2O3が0.6〜22.
7%の範囲であることが報告されている(日本フライア
ッシュ協会発行「石炭灰」平成10年)。このような石炭
灰を用いてセメントクリンカを製造する場合、上記特公
平1-49657号公報のように単にC3S量を規定しても、他の
鉱物(2CaO・SiO2、3CaO・Al2O 3、4CaO・Al2O3・Fe
2O3)の生成量は、石炭灰の化学組成の影響を受け異な
るものであり、一定の品質のセメントクリンカ及びセメ
ント組成物を得ることは不可能であった。
すると、焼成時の操業条件(例えば、NSPキルンの燃
料使用量、生産量、プレヒーター出口温度等)を変える
ことが必要となり、実用的な方法とは言い難かった。
を鑑みSiO2とAl2O3を主成分とする産業廃棄物を原料と
して利用したセメントクリンカとそのセメントクリンカ
を用いたセメント組成物に関し鋭意研究した結果、セメ
ントクリンカの水硬率、ケイ酸率及び鉄率を特定の範囲
とすること、そして総SO3量を特定の範囲とするように
該セメントクリンカに石膏を混合して粉砕するか/又は
分離粉砕した後混合することによって、SiO2とAl2O3を
主成分とする産業廃棄物を原料として利用したセメント
クリンカとそのセメントクリンカを用いたセメント組成
物であっても、安定した品質のものが得られることを見
いだし、本発明を完成させたものである。
する産業廃棄物を原料として使用し、水硬率(H.M.)が
1.8〜2.3、ケイ酸率(S.M.)が1.3〜2.3、鉄率(I.M.)
が1.3〜1.8であることを特徴とするセメントクリンカで
ある(請求項1)。そして、前記SiO2とAl2O3を主成分
とする産業廃棄物が、SiO2量が40〜80重量%であり、Al
2O3量が10〜40重量%の産業廃棄物である請求項1記載
のセメントクリンカである(請求項2)。また、本発明
は、前記セメントクリンカに、総SO3量が2.0〜5.0重量
%となるように石膏を混合して粉砕するか/又は互いに
分離粉砕した後混合することを特徴とするセメント組成
物である(請求項3)。
する。本発明のセメントクリンカは、SiO2とAl2O3を主
成分とする産業廃棄物を原料として使用するものであ
る。前記SiO2とAl2O3を主成分とする産業廃棄物は、SiO
2量が40〜80重量%であり、Al2O3量が10〜40重量%であ
る産業廃棄物を使用することが好ましい。SiO2量とAl2O
3量が前記範囲であれば、セメントクリンカの水硬率、
ケイ酸率及び鉄率の調整が比較的容易となる。本発明に
おいて、SiO2とAl2O3を主成分とする産業廃棄物(以
降、産業廃棄物と称す)としては、石炭灰の他、下水ス
ラッジ、浄水スラッジ、製紙スラッジ等のスラッジ類
や、前記スラッジ類の焼却灰等が挙げられる。
棄物を原料として使用し、水硬率(H.M.)、ケイ酸率
(S.M.)および鉄率(I.M.)を一定範囲とするものであ
る。一般に、セメントクリンカの製造においては、原料
の水硬率(H.M.)、ケイ酸率(S.M.)および鉄率(I.
M.)で管理されている。それゆえに、セメントクリンカ
の品質を管理し、操業条件を安定させるには、前記各係
数(H.M.、S.M.、I.M.)を一定範囲とすることが不可欠
である。クリンカの各係数(H.M.、S.M.、I.M.)を一定
範囲とすることによって、化学組成が大きく異なる産業
廃棄物を原料として使用した場合でも、セメントクリン
カの品質を安定化させること、また操業条件も安定化さ
せることが可能となる。そして、セメントクリンカの品
質が安定しているため、該セメントクリンカを用いたセ
メント組成物も安定した品質のものが得られる。
の有効利用の推進、セメントクリンカ及びセメント組成
物の生産性(焼成温度、焼成のし易さ、粉砕性等)、セ
メント組成物の品質(発熱量、凝結、強度発現性等)を
考慮して、水硬率(H.M.)を1.8〜2.3、ケイ酸率(S.
M.)を1.3〜2.3、鉄率(I.M.)を1.3〜1.8とするのが好
ましい。なお、セメントクリンカの各係数は、産業廃棄
物及び後述するセメントクリンカ用原料を前記範囲とな
るように混合することで調整することができる。水硬率
(H.M.)が小さくなると、セメントクリンカ中の間隙相
(3CaO・Al2O3、4CaO・Al2O3・Fe2O3)の含有量が多く
なる傾向にある。そして、間隙相の生成量が多くなりす
ぎると、キルン内の液相が増加し、安定したクリンカの
焼成が困難となる。一方、水硬率(H.M.)が大きくなる
と、初期の発熱量が増加する傾向にある。そのため、水
硬率(H.M.)は1.8〜2.3が好ましい。ケイ酸率(S.M.)
が小さくなると、セメントクリンカ中の間隙相(3CaO・
Al2O 3、4CaO・Al2O3・Fe2O3)の含有量が多くなる傾向
にある。そして、間隙相の生成量が多くなりすぎると、
キルン内の液相が増加し、安定したクリンカの焼成が困
難となる。一方、ケイ酸率(S.M.)が大きくなると、産
業廃棄物をセメントクリンカ用の原料として大量に使用
することが困難となり、産業廃棄物の有効利用を推進す
るという本願発明の目的を達成することが困難となる。
そのため、ケイ酸率(S.M.)は1.3〜2.3が好ましい。鉄
率(I.M.)が大きくなると、セメントクリンカ中の3CaO
・Al2O3の含有量が多くなり、該セメントクリンカを用
いたセメント組成物では、初期の発熱量が増加する傾向
にある。また、強度発現性が低下する。一方、鉄率(I.
M.)が小さくなると、セメントクリンカの粉砕性が低下
し、セメント組成物の生産性が極端に低下する。そのた
め、鉄率(I.M.)は1.3〜1.8が好ましい。
学組成を前記範囲に調整するのに、前記産業廃棄物以外
に、CaO原料及びFe2O3原料を使用する必要がある。ま
た、使用する産業廃棄物の化学組成によってはSiO2原料
を使用しなければならない場合もある。ここで、CaO原
料としては、石灰石、生石灰、消石灰等を使用すること
ができる。また、Fe2O3原料としては、鉄滓、鉄ケーキ
等を使用することができる。SiO2原料としては、珪石、
粘土等を使用することができる。
を所定のH.M.、S.M.、I.M.となるように混合し、焼成す
ることによって得られるものである。各原料を混合する
方法は、特に限定するものではなく、慣用の装置等で行
えばよい。また、セメントクリンカの焼成も、慣用の装
置(ポルトランドセメントクリンカの焼成に用いられて
いるNSPキルン、SPキルン等)で行えばよい。
を推進するという観点から、セメントクリンカ1ton当た
り、産業廃棄物を100kg以上原料として使用するのが好
ましく、より好ましくは150〜350kgである。なお、産業
廃棄物の使用量が350kgを超えると、セメントクリンカ
の水硬率(H.M.)、ケイ酸率(S.M.)及び鉄率(I.M.)
を所定の範囲に調整することが困難となる。
明する。本発明のセメント組成物は、上記セメントクリ
ンカに総SO3量が2.0〜5.0重量%となるように石膏を混
合して粉砕するか/又は互いに分離粉砕した後混合した
ものである。セメント組成物の生産性の点からは、セメ
ントクリンカに石膏を混合して粉砕するのが好ましい。
総SO3量が2.0重量%未満では、急結等の異常凝結が生じ
ることがあり好ましくない。一方、総SO3量が5.0重量%
を超えると、強度発現性の低下や硬化後の寸法安定性が
低下するので好ましくない。石膏としては2水、半水、
無水石膏又はこれらの混合物が挙げられる。粉砕に用い
る装置は、特に限定されず、従来よりポルトランドセメ
ントクリンカの粉砕に用いられているボールミル等を用
いることができる。セメント組成物のブレーン比表面積
は3000〜4500cm2/gであることが好ましい。
ルタル又はコンクリートの状態で使用される。減水剤と
しては、リグニン系、ナフタレンスルホン酸系、メラミ
ン系、ポリカルボン酸系の減水剤(高性能減水剤・高性
能AE減水剤も含む)が使用できる。モルタル又はコン
クリートの状態で使用する場合は、通常モルタル、コン
クリートの製造に使用されている細・粗骨材、すなわ
ち、川砂、山砂、海砂、砕砂等や、川砂利、山砂利、海
砂利、砕石等を使用することができる。また、必要に応
じて、支障のない範囲内で、空気連行剤、消泡剤等を添
加することができる。
有する産業廃棄物(石炭灰)、石灰石、珪石、鉄原料を
使用した。
(H.M.)、ケイ酸率(S.M.)及び鉄率(I.M.)となるよ
うに慣用の方法で配合し混合し、NSPキルンを用いて
1450℃で焼成し、セメントクリンカを調製した。
るように石膏を添加し、混合粉砕してブレーン比表面積
約3300cm2/gのセメント組成物を製造した。
1)〜2)の特性を測定した。 1)圧縮強度 「JIS R 5201(ポルトランドセメントの物理試験方
法)」に準じて、材令3、7、28日の圧縮強度を測定し
た。 2)水和熱 「JIS R 5201(ポルトランドセメントの物理試験方
法)」に準じて、材令7、28日の水和熱を測定した。そ
れらの結果を表3に示す。
を原料として使用した場合でも、安定した品質のセメン
ト組成物が得られていることが分かる(表3のNo1、2
参照)。一方、本発明で規定する鉄率よりも大きな鉄率
のセメントクリンカを使用した表3のNo3のセメント組
成物では、強度発現性が小さく、水和熱も大きかった。
クリンカは、水硬率(H.M.)、ケイ酸率(S.M.)及び鉄
率(I.M.)を一定範囲に調整したものであるので、化学
組成が大きく異なる産業廃棄物を原料として使用した場
合でも、焼成時の操業条件(例えば、NSPキルンの燃
料使用量、生産量、プレヒーター出口温度等)を変える
ことなく、セメントクリンカの品質を安定化させること
が可能となり実用的である。そして、セメントクリンカ
の品質が安定しているため、該セメントクリンカを用い
たセメント組成物も安定した品質のものが得られる。
カ1ton当たり産業廃棄物を100kg以上原料として使用す
るので、産業廃棄物の有効利用を推進することができ
る。
Claims (3)
- 【請求項1】 SiO2とAl2O3を主成分とする産業廃棄物
を原料として使用し、水硬率(H.M.)が1.8〜2.3、ケイ
酸率(S.M.)が1.3〜2.3、鉄率(I.M.)が1.3〜1.8であ
ることを特徴とするセメントクリンカ。 - 【請求項2】 前記SiO2とAl2O3を主成分とする産業廃
棄物が、SiO2量が40〜80重量%であり、Al2O3量が10〜4
0重量%の産業廃棄物である請求項1記載のセメントク
リンカ。 - 【請求項3】 請求項1又は2記載のセメントクリンカ
に、総SO3量が2.0〜5.0重量%となるように石膏を混合
して粉砕するか/又は互いに分離粉砕した後混合するこ
とを特徴とするセメント組成物。
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JP2015010009A (ja) * | 2013-06-27 | 2015-01-19 | 太平洋セメント株式会社 | 混合セメント |
-
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- 2001-02-06 JP JP2001029117A patent/JP4164240B2/ja not_active Expired - Lifetime
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