JP2002234320A - タイヤ空気圧検出装置 - Google Patents

タイヤ空気圧検出装置

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JP2002234320A
JP2002234320A JP2001032479A JP2001032479A JP2002234320A JP 2002234320 A JP2002234320 A JP 2002234320A JP 2001032479 A JP2001032479 A JP 2001032479A JP 2001032479 A JP2001032479 A JP 2001032479A JP 2002234320 A JP2002234320 A JP 2002234320A
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Japan
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variation
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JP2001032479A
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English (en)
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Motonori Tominaga
元規 富永
Yuichi Inoue
祐一 井上
Masahiro Yonetani
正弘 米谷
Kazuhiro Kamiya
和宏 神谷
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Denso Corp
Toyota Motor Corp
Soken Inc
Aisin Corp
Original Assignee
Aisin Seiki Co Ltd
Denso Corp
Nippon Soken Inc
Toyota Motor Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 駆動力のバラツキが小さい場合においても、
正確にタイヤ空気圧低下を検出できるようにする。 【解決手段】 車輪駆動力のバラツキが有ることが検出
された場合には、今回演算されたスリップ偏差値Aに基
づいて車輪速度偏差値Dの補正を行い、車輪駆動力のバ
ラツキが無いことが検出された場合には、前回演算され
たスリップ偏差値A*に基づいて車輪速度偏差値Dの補
正を行う。このようにすることで、駆動力のバラツキが
小さい場合においても、微旋回等のわずかな外乱によっ
て回帰精度が悪化することなく、正確に回転状態値の補
正を行うことができ、正確にタイヤ空気圧低下を検出で
きる。

Description

【発明の詳細な説明】本発明は、車両におけるタイヤの
空気圧の状態を検出するタイヤ空気圧検出装置に関す
る。
【0001】
【従来の技術】従来のタイヤ空気圧検出装置として特開
平10−100624号公報に示されるものがある。こ
の従来公報に示されたタイヤ空気圧検出装置について説
明する。
【0002】従来公報に示されたタイヤ空気圧検出装置
は、下記のように示される車輪速度偏差値Dと前後車輪
速度比βとの関係に基づいて、タイヤ空気圧の低下を検
出している。
【0003】
【数1】
【0004】
【数2】
【0005】ただし、VFRは右側前輪車輪速度、VFL
左側前輪車輪速度、VRRは右側後輪車輪速度、VRLは左
側後輪車輪速度である。
【0006】車輪速度偏差値Dは、4輪の車輪速度から
求められる回転状態値であり、例えば対角線の関係にあ
る前後輪における車輪速度比の差分として与えられる変
数で、4輪のうちのいずれかのタイヤの空気圧が低下す
ると、それに伴って増減する。前後車輪速度比βは、4
輪の車輪速度から求められるスリップ状態値であり、駆
動輪に伝達される駆動力の作用で駆動輪に生じるスリッ
プ状態の程度を表すもので、例えば後輪駆動であれば前
後車輪速度比βが小さいほど駆動輪がスリップしている
ことを表している。
【0007】各車輪のタイヤ空気圧が規定値となってい
る場合には車輪速度偏差値Dが0になるが、4輪のうち
のいずれかのタイヤ空気圧が規定値よりも低下すると車
輪速度偏差値Dが増減するため、これに基づいてタイヤ
空気圧の低下を検出することが可能となる。
【0008】しかしながら、例えば後輪駆動車におい
て、駆動輪となる右側後輪のタイヤ空気圧が規定値より
も低下すると、空気圧の低下によって右側後輪の回転半
径が小さくなるが、逆に他の駆動輪よりも接地面積が大
きくなってスリップを抑制する力を増加させるため、他
の駆動輪の方がスリップし易くなり、スリップ状態の程
度に応じて車輪速度偏差値Dが変動する。
【0009】このため、図8(a)に示すように、最小
2乗法を用いてスリップ状態の程度を表す前後車輪速度
比βと車輪速度偏差値Dとの関係を一次関数に回帰する
ことによって回帰直線を求め、車輪速度偏差値Dをスリ
ップが生じていない理想的な走行状態(すなわち前後車
輪速度比β=1)における値に補正することで、駆動輪
のスリップによる影響を排除し、正確にタイヤ空気圧の
低下を検出できるようにしている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来方法は、車輪駆動力が常にバラツキを持っていること
を前提としたものであり、例えば平坦路を一定速度で走
行している時のように車輪駆動力のバラツキが少なくな
る場合には、演算された車輪速度偏差値Dや前後車輪速
度比βのバラツキも小さくなるため、図8(b)に示す
ように微旋回等のわずかな外乱によって回帰精度が悪化
し、車輪速度偏差値Dの補正が正確に行われなくなる可
能性がある。その結果、空気圧の検知精度が低下すると
いう問題が発生し得る。
【0011】本発明は上記点に鑑みて、駆動力のバラツ
キが小さい場合においても、正確にタイヤ空気圧低下を
検出できるようにすることを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1に記載の発明では、車輪駆動力のバラツキ
を検出するバラツキ検出手段(3j)を備え、回転状態
値補正手段では、バラツキ検出手段によって車輪駆動力
のバラツキが有ることが検出された場合には、回帰演算
手段によって今回演算された今回の回帰直線に基づいて
回転状態値の補正が行われ、車輪駆動力のバラツキが無
いことが検出された場合には、回帰演算手段によって前
回演算された回帰直線に基づいて回転状態値の補正が行
われるようになっていることを特徴としている。
【0013】このように、車輪駆動力のバラツキが有る
場合に、回帰演算手段によって求められた今回の回帰直
線によって回転状態の補正を行い、バラツキが無い場合
には、前回の回帰直線によって回転状態の補正を行うよ
うにしている。このため、駆動力のバラツキが小さい場
合においても、微旋回等のわずかな外乱によって回帰精
度が悪化することなく、正確に回転状態値の補正を行う
ことができ、正確にタイヤ空気圧低下を検出できる。
【0014】なお、車輪駆動力のバラツキは、例えば、
請求項2に示すように、スリップ状態値演算手段によっ
て求められるスリップ状態値のバラツキに基づいて検出
することができる。
【0015】また、スリップ状態値としては、例えば、
請求項3に示すように、両前輪の車輪速度に対する両後
輪の車輪速度の比として与えられる前後車輪速度比
(β)が挙げられる。
【0016】この場合、請求項4に示すように、前後車
輪速度比記憶手段(3f)を備えることでスリップ状態
値演算手段が演算した前後車輪速度比を記憶しておき、
前後車輪速度比記憶手段に記憶されている前後車輪速度
比の最大値と最小値との差分(Ep)から車輪駆動力の
バラツキを検出することができ、請求項5に示すよう
に、前後車輪速度比の最大値と最小値との差分が第1の
判定値(Ep*+Eth)よりも大きい場合に、車輪駆
動力のバラツキが有ると検出することができる。
【0017】請求項6に記載の発明においては、バラツ
キ検出手段は、スリップ偏差値記憶手段に記憶されたス
リップ偏差値が更新されないまま所定時間(Cth)経
過すると、第1の判定値よりも小さな第2の判定値(E
th′)を設定し、前後車輪速度比の最大値と最小値と
の差分が第2の判定値よりも大きい場合に、車輪駆動力
のバラツキが有ると検出するようになっていることを特
徴としている。
【0018】このようにすれば、スリップ偏差値が長時
間更新されないことを防止することができ、かなり前の
データに基づいてタイヤ空気圧検出が行われることを防
止することができる。これにより、現在のタイヤ空気圧
低下の状況をより的確に検出することができる。
【0019】請求項7に記載の発明では、回帰演算手段
は、前後車輪速度比に対する車輪速度偏差値の変化量で
表されるスリップ偏差値(A)を求めるものであり、回
転状態値補正手段は、スリップ偏差値に基づき、回転状
態値演算手段によって求められた回転状態値を補正する
ものであることを特徴としている。このように、スリッ
プ偏差値に基づいて回転状態値を補正することができ
る。
【0020】この場合、請求項8に示すように、回帰演
算手段によって求められたスリップ偏差値が記憶される
スリップ偏差値記憶手段を備え、バラツキ検出手段によ
って求められる車輪駆動力のバラツキが所定の判定値
(Ep*+Eth)よりも大きい場合には、スリップ偏
差値記憶手段に前回記憶されたスリップ偏差値が、回帰
演算手段によって演算された今回のスリップ偏差値に更
新されるようにし、スリップ偏差値記憶手段に記憶され
ているスリップ偏差値に基づき、回転状態値演算手段に
よって求められた回転状態値を補正する。
【0021】請求項9に記載の発明では、スリップがな
い理想的な走行状態でのスリップ状態値に相当する理想
状態値(βid=F(A))を演算する理想走行状態値
演算手段(3i)を有し、回転状態値補正手段は、回帰
演算手段によって求められた回帰直線と理想走行状態演
算手段によって求められた理想状態値とから、理想走行
状態における回転状態値を求めるようになっていること
を特徴としている。
【0022】このように、回帰直線と理想状態値とか
ら、理想走行状態における回転状態値を求めることがで
き、この理想走行状態における回転状態値に基づいて、
正確にタイヤ空気圧の低下を判定することができる。
【0023】なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述
する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すも
のである。
【0024】
【発明の実施の形態】(第1実施形態)図1に、本発明
の一実施形態におけるタイヤ空気圧検出装置の概略構成
を示し、この図に基づいてタイヤ空気圧検出装置の説明
を行う。
【0025】タイヤ空気圧検出装置は、各車輪のいずれ
かのタイヤの空気圧が低下したことを検出するものであ
り、タイヤ空気圧の低下を検出すると運転者にその旨の
警告を行うようになっている。このタイヤ空気圧検出装
置は、前輪駆動もしくは後輪駆動の車両に搭載される
が、本実施形態では後輪駆動の車両に搭載された場合を
例に挙げて説明する。
【0026】タイヤ空気圧検出装置は、車両の各車輪1
a、1b、1c、1dに対応して設けられた車輪速度検
出手段としての車輪速度センサ2a、2b、2c、2d
と、各車輪速度センサ2a〜2dからの検出信号が入力
される演算処理装置3と、演算処理装置3からの警告信
号に基づいてタイヤ空気圧の低下を運転者に警告する警
報装置4とを有して構成されている。
【0027】車輪速度センサ2a〜2dのうち、2つの
車輪速度センサ2a、2bは従動輪(右前輪、左前輪)
1a、1bにおける車輪速度信号の検出を行い、残る2
つの車輪速度センサ2c、2dは駆動輪(右後輪、左後
輪)1c、1dにおける車輪速度信号の検出を行う。
【0028】演算処理装置3は、マイクロコンピュータ
等で構成され、車輪速度センサ2a〜2dから入力され
た検出信号に基づいて各種演算を行う。この演算処理装
置3は、以下のように構成されている。
【0029】演算処理装置3には、車輪速度演算手段と
しての車輪速度演算部3a、車輪速度偏差値処理部3b
が備えられている。車輪速度演算部3aは、車輪速度セ
ンサ2a〜2dからの検出信号(例えばパルス信号)に
基づいて各車輪1a〜1dの車輪速度の演算が行うもの
である。車輪速度偏差値処理部3bは、回転状態値演算
手段としての車輪速度偏差値演算部、第1車輪速度偏差
値記憶部、車輪速度偏差値平均処理部を有して構成され
ているもので、車輪速度演算部3aでの演算結果に基づ
いて車輪速度偏差値Dに関する各種処理を行うものであ
る。
【0030】これらの構成においては、まず、車輪速度
演算部3aにより車輪速度センサ2a〜2dからの検出
信号に基づいて各車輪1a〜1dの車輪速度の演算が行
われる。例えば数ms内に入力される各車輪速度センサ
2a〜2dからの検出信号の数から各車輪それぞれの車
輪速度VFL、VFR、VRL、VRRが演算される。次に、車
輪速度が演算されると、この車輪速度に関するデータに
基づき、車輪速度偏差値演算部によって上記数1に示さ
れる車輪速度偏差値Dが演算される。そして、この演算
結果に関するデータが第1車輪速度偏差値記憶部に備え
られたメモリに記憶されると共に、この記憶内容に基づ
き車輪速度偏差値平均処理部にて車輪速度偏差値Dの平
均値DAVEが求められる。なお、車輪速度偏差値Dの平
均値DAVEは、次式のように示され、n0個の車輪速度偏
差値Dを平均化したものに相当する。
【0031】
【数3】
【0032】また、演算処理装置3には、前後車輪速度
比処理部3cが備えられている。この前後車輪速度比処
理部3cは、スリップ状態値演算手段としての前後車輪
速度比演算部、前後車輪速度比記憶部、前後車輪速度比
平均処理部を有して構成されている。この前後車輪速度
比処理部3cでは、車輪速度演算部3aから送られる車
輪速度に関するデータに基づき、前後車輪速度比演算部
にて上記数2に示される前後車輪速度比βが演算された
のち、この演算結果に関するデータが前後車輪速度比記
憶部に備えられたメモリに記憶され、この記憶内容に基
づいて前後車輪速度比平均処理部が前後車輪速度比βの
平均値βAVEを求めるようになっている。なお、前後車
輪速度比βの平均値βAVEは、次式のように示され、n0
個の前後車輪速度比βを平均化したものに相当する。
【0033】
【数4】
【0034】また、演算処理装置3には、スリップ偏差
値演算部3d、理想的走行状態値演算部3e、回帰精度
処理部3f、車輪速度偏差値補正処理部3gが備えられ
ている。
【0035】スリップ偏差値演算部3dでは、車輪速度
偏差値処理部3b内の車輪速度偏差値演算部によって演
算された車輪速度偏差値Dと、前後車輪速度比処理部3
c内の前後車輪速度比演算部によって演算された前後車
輪速度比βとに基づいて、スリップ偏差値Aを演算す
る。このスリップ偏差値Aとは、前後車輪速度比βに対
する車輪速度偏差値Dの変化量(ΔD/Δβ)に相当
し、n0個の車輪速度偏差値Dと前後車輪速度比βとを
もとに最小2乗法を用いて演算される。なお、このスリ
ップ偏差値演算部3dが回帰演算手段に相当する。
【0036】理想走行状態値演算部3eでは、スリップ
偏差値演算部3dでの演算結果に基づいて理想走行状態
値βidを演算する。この理想走行状態値βidとは、
補正基準となるスリップのない理想的な走行状態での前
後車輪速度比βに相当し、スリップ偏差値Aの1次又は
それ以上の関数として演算される。すなわち、理想走行
状態値βidは、βid=F(A)で表され、例えばス
リップ偏差値Aの1次の関数となる場合には、βid=
1−Coef×|A|で表される。ただし、Coefは
定数である。
【0037】回帰精度処理部3fでは、前後車輪速度比
処理部3c内の前後車輪速度比記憶部に記憶された内容
に基づいて、後述する車輪速度偏差値補正値D′AVE
演算として使用するスリップ偏差値AAの演算を行う。
具体的には、記憶されている前後車輪速度比βから回帰
精度評価を行い、回帰精度が向上させられる場合には今
回求めたスリップ偏差値Aをスリップ偏差値AAとして
記憶し、回帰精度が向上させられない場合には前回求め
たスリップ偏差値A(後述する偏差値ストック値A*に
相当)をそのままスリップ演算値AAとして記憶してお
くという処理を行う。ここでの回帰精度評価は、例え
ば、記憶されている前後車輪速度比βの最大値と最小値
との差分Epが所定の判定値Ep*+Ethよりも大き
いか否かによって行われる。この回帰精度処理部3jが
車輪駆動力のバラツキを検出するバラツキ検出手段、お
よびスリップ偏差値Aを記憶するスリップ偏差値記憶手
段としての役割を果たす。
【0038】車輪速度偏差値補正処理部3gは、車輪速
度偏差値補正部、第2車輪速度偏差値記憶部を有して構
成されている。車輪速度偏差値補正部は回転状態値補正
手段に相当する。この車輪速度偏差値補正部では、車輪
速度偏差値処理部3b内の車輪速度偏差値平均処理部で
演算された車輪速度偏差値平均値DAVEと、前後車輪速
度比処理部3c内の前後車輪速度比平均処理部で演算さ
れた前後車輪速度比平均値βAVEと、回帰精度処理部3
fで記憶してあるスリップ偏差値AAと、理想的走行状
態値演算部3eで演算された理想走行状態値βidとに
基づいて、補正後車輪速度偏差値D′AVEを演算する。
この補正後車輪速度偏差値D′AVEとは、理想的な走行
状態における車輪速度偏差値Dに相当する。具体的に
は、補正後車輪速度偏差値D′AVEを次式のように求め
ている。
【0039】
【数5】
【0040】そして、第2車輪速度偏差値記憶部では、
車輪速度偏差値補正部で演算された補正後車輪速度偏差
値D′AVEのうち、基準値D′AVEstdをメモリに記憶
する。この基準値D′AVEstdとは、空気圧判定の基
準となる4輪同圧時の補正後車輪速度偏差値D′AVE
あり、演算処理装置3の起動後、最初に演算された車輪
速度偏差値Dと前後車輪速度比βとから求められた車輪
速度偏差値平均値DAV E、前後車輪速度比平均値βAVE
スリップ偏差値A、理想走行状態値βidから演算され
たものに相当する。
【0041】さらに、演算処理装置3には、差圧判定値
演算部3h、空気圧低下判定部3iとが備えられてい
る。差圧判定値演算部3hでは、車輪速度偏差値補正処
理部3f内の第2車輪速度偏差値記憶部に記憶された基
準値D′AVEstdと、車輪速度偏差値補正部で求めら
れた補正後車輪速度偏差値D′AVEとに基づいて差圧判
定値ΔD′AVEを求める。この差圧判定値ΔD′AVEは、
基準値D′AVEstdと車輪速度偏差値D′AVEとの差分
(ΔD′AVE=D′AVEstd−D′AVE)に相当し、こ
の差圧判定値ΔD′AVEが空気圧の低下量の評価に用い
られる。
【0042】空気圧低下判定部3iでは、差圧判定値Δ
D′AVEの絶対値|ΔD′AVE|と予め設定されたスレッ
ショルド値Dshとを比較することによって、空気圧判
定を行う。具体的には、絶対値|ΔD′AVE|の方がス
レッショルド値Dshよりも大きければ、タイヤ空気圧
が低下している旨の警告信号を警報装置4に送るように
なっている。
【0043】そして、警報装置4は、このタイヤ空気圧
が低下している旨の警告信号が入力されると、例えば車
室内に備えられた警告ランプを点灯させること等によ
り、運転者に対してタイヤ空気圧が低下したことを警告
するようになっている。
【0044】次に、図2、図3に、上記構成のタイヤ空
気圧検出装置によるタイヤ空気圧判定処理のフローチャ
ートを示し、これらの図に基づいてタイヤ空気圧判定処
理の詳細を説明する。
【0045】まず、ステップS100では、演算回数カ
ウントNをN=0にリセットする。そして、ステップS
101では、車輪速度センサ2a〜2dからの検出信号
に基づく車輪速度演算処理として、車輪速度演算部3a
で各車輪それぞれの車輪速度VFL、VFR、VRL、VRR
演算を行ったのち、車輪速度の演算回数Nをインクリメ
ントする。この処理は、例えば数秒間の車輪速度パルス
をもとに、数秒毎の車輪速度の平均値を各車輪毎に演算
することで行う。
【0046】続く、ステップS102では、車輪速度偏
差値演算処理として、車輪速度偏差値処理部3b内の車
輪速度偏差値演算部で車輪速度偏差値Dを演算する。こ
の車輪速度偏差値DはステップS101で求められた各
車輪速度を上記数1に代入することにより求められる。
そして、ステップS103で、第1車輪速度偏差値記憶
部のメモリに、今まで記憶させてきた車輪速度偏差値D
(N)の一つとして、今回演算された車輪速度偏差値D
を記憶させる。なお、D(N)はn0個分の車輪速度偏
差値Dの配列で、車輪速度偏差値Dをn0個格納し、演
算回数Nと一致する場所に車輪速度偏差値Dを記憶する
ようになっている。そして、n0個の車輪速度偏差値D
が格納された後において、例えば上記カウンタリセット
処理(ステップS100)で演算回数Nが0にリセット
されると、演算回数Nに応じた場所に記憶された車輪速
度偏差値Dが新しく演算された車輪速度偏差値Dに適宜
更新されるようになっている。
【0047】続く、ステップS104では、前後車輪速
度比演算処理として、前後車輪速度比処理部3c内の前
後車輪速度比演算部で前後車輪速度比βを演算する。こ
の前後車輪速度比βもステップS101で求められた各
車輪速度を上記数2に代入することにより求められる。
そして、ステップS105で、前後車輪速度比記憶部の
メモリに、今まで記憶させてきた前後車輪速度比β
(N)の一つとして、今回演算された前後車輪速度比β
を記憶させる。なお、β(N)はn0個分の前後車輪速
度比βの配列で、前後車輪速度比βをn0個格納し、演
算回数Nと一致する場所に前後車輪速度比βを記憶する
ようになっている。そして、n0個の前後車輪速度比β
が格納された後においては、上記したD(N)と同様
に、適宜、新しく演算された前後車輪速度比βへと更新
されるようになっている。
【0048】この後、ステップS106で、演算回数N
がn0以上であるか否かを判定する。そして、肯定判定
されればn0個分の車輪速度偏差値Dや前後車輪速度比
βが記憶されたものとしてステップS107に進み、否
定判定されればステップS101に戻る。
【0049】続く、ステップS107では、スリップ偏
差値演算処理として、スリップ偏差値演算部3dでスリ
ップ偏差値Aを求める。すなわち、最小2乗法を用いて
0個分の前後車輪速度比βと車輪速度偏差値Dとの関
係を一次関数に回帰した回帰直線を導出し、この回帰直
線の傾きからスリップ偏差値Aを求める。このスリップ
偏差値Aは、車輪速度偏差値Dの前後車輪速度比βに対
する依存性を表す。
【0050】続く、ステップS108では、車輪速度偏
差値平均化処理として、車輪速度偏差値処理部3b内の
車輪速度偏差値平均処理部で車輪速度偏差値Dの平均値
AV Eを演算する。この平均値DAVEは、ステップS10
3で記憶されたn0個分の車輪速度偏差値Dを上記数3
に代入することにより求められる。
【0051】続く、ステップS109では、前後車輪速
度比平均処理として、前後車輪速度比処理部3c内の前
後車輪速度比平均処理部で前後車輪速度比βの平均値β
AVEを演算する。この平均値βAVEは、ステップS105
で記憶されたn0個分の前後車輪速度比βを上記数4に
代入することにより求められる。
【0052】続く、ステップS110では、理想的走行
状態値演算処理として、理想的走行状態値演算部3iで
理想的走行状態値βidを演算する。この理想的走行状
態値βidは、ステップS110で演算されたスリップ
偏差値Aに関する1次もしくはそれ以上の関数から求め
られる。
【0053】そして、ステップS111では、回帰精度
評価値判定処理を行う。この回帰精度評価判定処理は回
帰精度処理部3fにて行われる。この回帰精度評価判定
処理の詳細を図4に示すフローチャートに基づいて説明
する。
【0054】まず、ステップS201では、回帰精度評
価値演算処理として、回帰精度処理部3eにて、前後車
輪速度比処理部3c内の前後車輪速度比記憶部に記憶さ
れている前後車輪速度比βの最大値と最小値との差分E
pを演算する。この処理によって、前後車輪速度比βの
バラツキを求めることができる。この差分Epは、車輪
駆動力のバラツキが生じているか否かの判定基準値に相
当する。
【0055】続く、ステップS202では、差分Epの
差分ストック値Ep*が記憶済みであるか否か、つまり
差分Epが一度でも演算されているか否かを判定する。
ここで否定判定されればステップS203に進み、演算
された差分Epを差分ストック値Ep*として記憶して
おくと共に、ステップS107で演算されたスリップ偏
差値Aを偏差値ストック値A*として記憶しておく。
【0056】一方、肯定判定されればステップS204
に進み、差分Epが差分ストック値Ep*にしきい値E
thを加算した判定値Ep*+Ethよりも大きいか否
かを判定する。すなわち、車輪駆動力のバラツキと前後
車輪速度比βのバラツキとは相関関係があり、車輪駆動
力がばらつくと前後車輪速度比βもばらつくということ
を利用し、前後車輪速度比βのバラツキ(Ep)に基づ
いて車輪駆動力のバラツキの有無を検出している。
【0057】車輪駆動力のバラツキが有る場合と無い場
合、それぞれの状況における車輪速度偏差値Dおよび前
後車輪速度比βをプロットすると、図5(a)、(b)
のように表される。これらの図から分かるように、車輪
駆動力のバラツキがある程度ある場合には、回帰直線の
傾きの誤差範囲が図中矢印で示すように小さくなり、車
輪駆動力のバラツキが小さい場合には、回帰直線の傾き
の誤差範囲が図中矢印で示すように大きくなる。このこ
とから、車輪駆動力のバラツキがある程度有る場合に求
められたスリップ偏差値Aの信頼性は高いと言え、車輪
駆動力のバラツキが無い場合に求められたスリップ偏差
値Aの信頼性はあまり高いとは言えない。
【0058】このため、ステップS204で否定判定さ
れるような状況は、車輪駆動力のバラツキがなく、この
ときに求められたスリップ偏差値Aの信頼性があまり高
いものとは言えないため、この場合にはステップS20
5に進み、偏差値ストック値A*として記憶されている
値を車輪速度偏差値補正値D′AVEの演算として使用す
るスリップ偏差値AAとして記憶する。
【0059】逆に、肯定判定されるような状況は、車輪
駆動力のバラツキがある程度あり、このときに求められ
たスリップ偏差値Aの信頼性は高いものと考えられるた
め、この場合には、ステップS206に進み、今回求め
られたスリップ偏差値Aを車輪速度偏差値補正値D′
AVEの演算として使用するスリップ偏差値AAとして記
憶すると共に、今回求められた差分Epを新たな差分ス
トック値Ep*として記憶する。
【0060】そして、ステップS207に進み、ステッ
プS205もしくはS206で設定されたスリップ偏差
値AAを偏差値ストック値A*として記憶し、回帰精度
評価判定処理を終了する。
【0061】続く、ステップS112では、車輪速度偏
差値補正処理として、車輪速度偏差値補正処理部3g内
の車輪速度偏差値補正部で、ステップS108〜S11
1で求められた車輪速度偏差値平均値DAVE、前後車輪
速度比平均値βAVE、理想走行状態値βid、およびス
リップ偏差値AAを、上記数5に代入することにより補
正後車輪速度偏差値D′AVEを求める。
【0062】図6に、補正後車輪速度偏差値D′
AVEと、この補正後車輪速度偏差値D′AVEの導出に用い
るスリップ偏差値A、理想的走行状態値βid、車輪速
度偏差値平均値DAVE、および前後車輪速度比平均値β
AVEの相関関係を示し、これらの関係について具体的に
説明する。
【0063】図6は、駆動輪1c、1dのいずれか一
方、ここでは左後輪のタイヤ空気圧が低下した時におけ
る車輪速度偏差値Dと前後車輪速度比βとの相関関係を
示している。この図中、白丸が、演算されたn0個分の
車輪速度偏差値Dと前後車輪速度比βとの関係を示し、
黒丸が車輪速度偏差値平均値DAVEと前後車輪速度比平
均値βAVEとの関係を示している。
【0064】駆動輪1c、1dの一方である左後輪のタ
イヤ空気圧が低下すると、左後輪における車輪速度VRL
が増加するため、タイヤ空気圧の低下に伴って前後車輪
速度比βが1より低下する。そして、理想的な走行状態
においては、理想的走行状態値βidがβid=F
(A)の関係となる。このため、本実施形態のステップ
S113に示したように、スリップ偏差値Aに基づき、
βid=F(A)の関係から理想的走行状態値βidが
求められる。
【0065】一方、ステップS107に示したように、
最小2乗法を用いてn0個分の前後車輪速度比βと車輪
速度偏差値Dとの関係を一次関数に回帰した回帰直線を
導出することができる。
【0066】従って、ステップS112で示したよう
に、導出した回帰直線と理想的走行状態値βid=F
(A)との交点を求めることにより、駆動輪1c、1d
の空気圧低下時の理想的な走行状態における車輪速度偏
差値D、すなわち補正後車輪速度偏差値D′AVEを求め
ることができる。
【0067】このようにして、駆動輪1c、1dの空気
圧低下時における理想的な走行状態での車輪速度偏差値
Dである補正後車輪速度偏差値D′AVEを正確に求める
ことができる。
【0068】そして、ステップS113で基準値D′
AVEstdがすでに検出済みであるか否かを判定する。
これは、車輪速度偏差値補正処理部3g内の第2車輪速
度偏差値記憶部のメモリに基準値D′AVEstdが記憶
されているか否かによって判定される。そして、今回演
算された補正後車輪速度偏差値D′AVEが、演算処理装
置3の起動後最初に求められたものであれば、基準値
D′AVEstdが記憶されていないため、ステップS1
14に進んで今回演算されたD′AVEを基準値D′A VE
tdとしてメモリに記憶し、ステップS100に戻る。
また、今回演算された補正後車輪速度偏差値D′
AVEが、最初に求められたものでなければステップS1
15に進む。
【0069】続く、ステップS115では、差圧判定値
演算処理として、差圧判定値演算部3hで基準値D′
AVEstdと補正後車輪速度偏差値D′AVEとの差分とな
る差圧判定値ΔD′AVEを求める。
【0070】そして、ステップS116で、差圧判定値
ΔD′AVEの絶対値|ΔD′AVE|と予め設定されたスレ
ッショルド値Dshとを大小比較し、絶対値|ΔD′
AVE|がスレッショルド値Dshよりも大きいか否かを
判定する。
【0071】これにより、肯定判定されるとステップS
117に進み、タイヤ空気圧が低下しているとして、そ
の旨の警告信号を警報装置4に送り、否定判定されると
そのまま処理を終了し、ステップS101に戻る。以上
の処理により、各車輪1a〜1dにおけるタイヤ空気圧
が低下しているか否かが判定できる。
【0072】以上説明したように、回帰精度評価値判定
処理によって、前後車輪速度比βの最大値と最小値との
差分Epに基づき、車輪駆動力のバラツキが生じている
か否かを検出している。そして、車輪駆動力のバラツキ
が小さいときに演算されたスリップ値Aは車輪速度偏差
値補正値D′AVEの演算に使用せず、その場合には車輪
駆動力のバラツキが小さくなる前に演算されたスリップ
値Aを車輪速度偏差値補正値D′AVEの演算に使用する
スリップ値AAとしている。このため、駆動力のバラツ
キが小さい場合においても、微旋回等のわずかな外乱に
よって回帰精度が悪化することなく、正確に車輪速度偏
差値Dの補正を行うことができ、正確にタイヤ空気圧低
下を検出できる。
【0073】なお、一般的な道路を走行する上では、車
輪駆動力のバラツキが小さくなる期間はタイヤ空気圧が
低下する時間よりも十分に小さくなると考えられるた
め、車輪駆動力のバラツキが小さくなる前に演算された
スリップ値Aを車輪速度偏差値補正値D′AVEの演算に
使用するスリップ値AAとしても、問題なくタイヤ空気
圧の低下を検出することができる。
【0074】また、従来公報では、理想的な走行状態を
定める基準値を前後車輪速度比β=1として車輪速度偏
差値Dの補正を行っているが、実際には駆動輪の空気圧
低下時の前後車輪速度比βが1にならないため、過補正
になってしまう。このような場合、タイヤ空気圧の低下
に対する車輪速度偏差値Dの変化量が駆動輪と転動輪
(従動輪)とによって異なり、タイヤ空気圧低下時に警
報される圧力がばらついてしまう。
【0075】しかしながら、本実施形態におけるタイヤ
空気圧検出装置では、車輪速度偏差値Dと前後車輪速度
比βとに基づいてスリップ偏差値Aを求め、このスリッ
プ偏差値Aから理想走行状態値βid=F(A)に基づ
いて車輪速度偏差値Dを補正している。このため、駆動
輪1c、1dの空気圧低下時における理想的な走行状態
での車輪速度偏差値Dである補正後車輪速度偏差値D′
AVEを、過補正することなく正確に求めることができ
る。
【0076】従って、駆動輪と従動輪共に補正後車輪速
度偏差値D′AVEの変化量が一致し、タイヤ空気圧低下
時において、警報される圧力にバラツキが生じないよう
にできる。
【0077】(第2実施形態)本実施形態では、第1実
施形態に対して回帰精度評価値判定処理の方法を変更し
たものである。なお、本実施形態におけるタイヤ空気圧
検出装置の基本構成は第1実施形態と同様であるため、
回帰精度評価判定処理についてのみ説明する。
【0078】図7に、本実施形態におけるタイヤ空気圧
検出装置が実行する回帰精度評価値判定処理のフローチ
ャートを示し、この図に基づいて回帰精度評価判定処理
の詳細を説明する。
【0079】まず、ステップS301では、第1実施形
態におけるステップS201と同様の処理を行い、前後
車輪速度比記憶部3fに記憶されている前後車輪速度比
βの最大値と最小値との差分Epを演算する。
【0080】続く、ステップS302では、演算処理装
置3に備えられた図示しないカウンタのカウント値が所
定のしきい値Cthよりも大きいか否かを判定する。こ
れにより、偏差値ストック値A*が更新されてから所定
期間(=しきい値Cth)経過しているか否かが判定さ
れる。
【0081】ここで否定判定されれば、ステップS30
3に進み、第1実施形態におけるステップS202と同
様の処理として、差分ストック値Ep*が記憶済みであ
るか否かの判定を行う。そして、ステップS303で否
定判定されると、ステップ304に進んで、第1実施形
態におけるステップS203と同様に、演算された差分
Epを差分ストック値Ep*として記憶しておくと共
に、ステップS107で演算されたスリップ偏差値Aを
偏差値ストック値A*として記憶しておく。逆に、ステ
ップS303で否定判定されると、ステップS305に
進む。
【0082】ステップS305では、第1実施形態のス
テップS204と同様の処理として、差分Epが判定値
Ep*+Ethよりも大きいか否かを判定する。このと
き、否定判定されると、ステップS306に進んでカウ
ンタのカウント値をインクリメントしたあと、ステップ
S307に進み、第1実施形態のステップS205と同
様の処理として、偏差値ストック値A*として記憶され
ている値をスリップ偏差値AAとして記憶する。逆に、
肯定判定されると、ステップS308に進んで、第1実
施形態のステップS206と同様の処理として、今回求
められたスリップ偏差値Aをスリップ偏差値AAとして
記憶すると共に、今回求められた差分Epを新たな差分
ストック値Ep*として記憶する。
【0083】一方、ステップS302で肯定判定される
と、ステップS309に進み、差分Epがスレッショル
ド値Eth′よりも大きいか否かを判定する。このとき
用いられるスレッショルド値Eth′は、判定値Ep*
+Ethよりも小さい値が設定されている。ここで肯定
判定されると、ステップS310に進んでカウンタのカ
ウント値を0にリセットしたあと、ステップS308に
進み、今回求められたスリップ偏差値Aをスリップ偏差
値AAとして記憶すると共に、今回求められた差分Ep
を新たな差分ストック値Ep*として記憶する。逆に、
否定判定されると、ステップS311に進み、ステップ
S307と同様に偏差値ストック値A*として記憶され
ている値をスリップ偏差値AAとして記憶する。
【0084】そして、ステップS312に進み、ステッ
プS307、S308もしくはS311で設定されたス
リップ偏差値AAを偏差値ストック値A*として記憶
し、回帰精度評価判定処理を終了する。
【0085】以上説明したように、ステップS305で
肯定判定されると、偏差値ストック値A*が今回求めら
れたスリップ偏差値Aに更新されるようになっている
(ステップS308、S312)。そして、所定期間経
過しても偏差値ストック値A*が更新されない場合に
は、差分Epをスレッショルド値Eth′と比較し(ス
テップS309)、差分Epがスレッショルド値Et
h′よりも大きくなるとき、つまり車輪駆動力のバラツ
キが小さいなりにも許容できる程度有ると想定されると
きには、偏差値ストック値A*が今回求められたスリッ
プ偏差値Aに更新されるようになっている。
【0086】このため、長時間偏差値ストック値A*が
更新されないことを防止することができ、かなり前のデ
ータに基づいてタイヤ空気圧検出が行われることを防止
することができる。これにより、現在のタイヤ空気圧低
下の状況をより的確に検出することができる。
【0087】(他の実施形態)上記各実施形態では、後
輪駆動の車両に本発明の一実施形態を適用したものを例
に挙げて説明したが、前輪駆動の車両に適用してもよ
い。この場合には、駆動輪のタイヤ空気圧低下に伴っ
て、理想的走行状態値βidが1より大きくなるという
関係になる。
【0088】また、上記説明においては、回転状態値と
して数1に示される車輪速度偏差値Dを用いているが、
他のものを用いても良い。すなわち、回転状態値とは、
車両旋回に起因して発生し得る左右輪間の車輪速度の偏
りが打ち消されるように、各車輪1a〜1dの車輪速度
を関係づけた値であればよく、数1で表されるものの
他、例えば以下に表すものがある。
【0089】
【数6】
【0090】
【数7】
【0091】
【数8】
【0092】これらの関係式はすべて、車両旋回時に同
様の車輪速度の偏りが発生しうる左前後輪間と右前後輪
間とのそれぞれの差分をとることで、車両旋回に起因し
て発生する左右前輪間および左右後輪間の車輪速度の偏
りが打ち消されるように、各車輪1a〜1dの車輪速度
を関係づけたものである。
【0093】また、上記実施形態で説明したように、車
輪速度偏差値Dが所定のしきい値を超える時にタイヤ空
気圧低下を警告するようなシステムである場合には、ス
リップ偏差値(傾き)Aが小さいときに、スリップによ
る車輪速度偏差値Dの補正を行わなくても良い。これ
は、後輪(駆動輪)減圧時の場合、スリップ偏差値Aが
小さい時は、車輪速度偏差値Dがしきい値を超える可能
性がないことから、多少の誤差があったとしても問題が
ないし、また、前輪(転動輪)減圧時はいかなる場合で
も傾きAがほぼんど零になることから、スリップによる
車輪速度偏差値Dの補正は不要であるためである。従っ
て、スリップ偏差値Aが小さい場合を補正対象から除く
ことにより、後輪減圧時のうちの補正の必要性に乏しい
場合、及び前輪減圧時を補正対象から除外することが可
能である。
【0094】また、上記各実施形態では、車輪速度偏差
値Dの平均値DAVEを求めた後に、平均値DAVEをβid
=F(A)で表される曲線上に投影することによって補
正後車輪速度偏差値D′AVEを求めるようにしている
が、車輪速度偏差値Dのそれぞれをβid=F(A)で
表される曲線上に投影した後、それらの平均値を採るよ
うにしても良い。
【0095】また、上記各実施形態では、演算回数Nが
0となるごとに、それまでにデータとして記憶された
0個分の車輪速度偏差値Dや前後車輪速度比βから、
それらの平均値DAVEや平均値βAVEを求め、差圧判定値
ΔD′AVEの絶対値|ΔD′A VE|を求めるようにしてい
る。しかしながら、このような場合にはn0個分のデー
タが蓄積される間、タイヤ空気圧判定が行えない。この
ため、車輪速度偏差値記憶部や前後車輪速度比記憶部
で、最も古くに記憶された車輪速度偏差値Dや前後車輪
速度比βが新しく演算された車輪速度偏差値Dや前後車
輪速度比βに適宜更新されるようにし、更新される毎に
平均値DAVEや平均値βAVEを求めるようにするという移
動平均とすることで、短時間毎にタイヤ空気圧判定が行
えるようにできる。
【0096】なお、上記各実施形態では、理想走行状態
値βid=F(A)に基づいて回転状態値(車輪速度偏
差値D)を補正する場合を例に挙げたが、従来公報に示
すような回転状態値の補正方法を採用したものにおい
て、各実施形態で示す回帰精度評価値判定処理を施すこ
とも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態におけるタイヤ空気圧検
出装置の概略構成を示す図である。
【図2】図1に示すタイヤ空気圧検出装置が実行する制
御のフローチャートである。
【図3】図2に続くタイヤ空気圧検出装置が実行する制
御のフローチャートである。
【図4】図3に示す回帰精度評価値判定処理のフローチ
ャートである。
【図5】車輪駆動力のバラツキが有る場合と無い場合、
それぞれの状況における車輪速度偏差値Dおよび前後車
輪速度比βをプロットした図である。
【図6】図1に示すタイヤ空気圧検出装置における補正
前の車輪速度偏差値平均値DAV Eと補正後車輪速度偏差
値D′AVEとの関係を示した図である。
【図7】本発明の第2実施形態におけるタイヤ空気圧検
出装置が実行する回帰精度評価値判定処理のフローチャ
ートである。
【図8】(a)は、従来のタイヤ空気圧検出装置におけ
る補正前の車輪速度偏差値Dと補正後車輪速度偏差値
D′との関係を示した図であり、(b)は、車輪駆動力
のバラツキが無いときに、微旋回等のわずかな外乱が生
じた場合の回帰精度を示した図である。
【符号の説明】
1a〜1d…車輪、2a〜2d…車輪速度センサ、3…
演算処理装置、3a…車輪速度演算部、3b…車輪速度
偏差値処理部、3c…前後車輪速度比処理部、3d…ス
リップ偏差値演算部、3e…理想的走行状態値演算部、
3f…回帰精度処理部、3g…車輪速度偏差値補正処理
部、3h…差圧判定値演算部、3i…空気圧低下判定
部、4…警報装置。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (71)出願人 000000011 アイシン精機株式会社 愛知県刈谷市朝日町2丁目1番地 (72)発明者 富永 元規 愛知県西尾市下羽角町岩谷14番地 株式会 社日本自動車部品総合研究所内 (72)発明者 井上 祐一 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会 社デンソー内 (72)発明者 米谷 正弘 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 神谷 和宏 愛知県刈谷市朝日町2丁目1番地 アイシ ン精機株式会社内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 前輪駆動もしくは後輪駆動の車両の各車
    輪の車輪速度を検出する車輪速度検出手段(2a〜2
    d、3a)と、 車両旋回に起因して発生する左右輪間の車輪速度の偏り
    が打ち消されるように、前記車輪速度検出手段によって
    検出された各車輪速度を関係づけすることで求められる
    回転状態値(D)を演算する回転状態値演算手段(3
    b)と、 前記車輪速度検出手段により検出された車輪速度に基づ
    いて、駆動輪と従動輪との間のスリップ状態の程度に依
    存するスリップ状態値(β)を演算するスリップ状態値
    演算手段(3c)と、 前記回転状態値演算手段によって演算された回転状態
    値、および前記スリップ状態値演算手段によって演算さ
    れたスリップ状態値を一次関数に回帰させて、回帰直線
    を導出する回帰演算手段(3d)と、 前記回帰演算手段によって求められた回帰直線に基づ
    き、前記回転状態値演算手段によって求められた回転状
    態値を補正する回転状態値補正手段(3g)と、 前記回転状態値補正手段が求めた補正後の回転状態値に
    基づいて、前記各車輪のタイヤ空気圧の低下を判定する
    空気圧低下判定手段(3i)とを有しているタイヤ空気
    圧検出装置であって、 車輪駆動力のバラツキを検出するバラツキ検出手段(3
    f)を備え、 前記回転状態値補正手段では、前記バラツキ検出手段に
    よって前記車輪駆動力のバラツキが有ることが検出され
    た場合には、前記回帰演算手段によって今回演算された
    今回の回帰直線に基づいて前記回転状態値の補正が行わ
    れ、前記車輪駆動力のバラツキが無いことが検出された
    場合には、前記回帰演算手段によって前回演算された回
    帰直線に基づいて前記回転状態値の補正が行われるよう
    になっていることを特徴とするタイヤ空気圧検出装置。
  2. 【請求項2】 前記バラツキ検出手段は、前記スリップ
    状態値演算手段によって求められるスリップ状態値のバ
    ラツキに基づいて前記車輪駆動力のバラツキを検出する
    ようになっていることを特徴とする請求項1に記載のタ
    イヤ空気圧検出装置。
  3. 【請求項3】 前記スリップ状態値演算手段は、前記ス
    リップ状態値として、両前輪の車輪速度に対する両後輪
    の車輪速度の比として与えられる前後車輪速度比(β)
    を求めるものであり、 前記バラツキ検出手段は、前記前後車輪速度比のバラツ
    キに基づいて前記車輪駆動力のバラツキを検出するよう
    になっていることを特徴とする請求項2に記載のタイヤ
    空気圧検出装置。
  4. 【請求項4】 前記スリップ状態値演算手段が演算した
    前後車輪速度比を記憶しておく前後車輪速度比記憶手段
    (3c)を備え、 前記バラツキ検出手段は、前記前後車輪速度比記憶手段
    に記憶されている前後車輪速度比の最大値と最小値との
    差分(Ep)から前記車輪駆動力のバラツキを検出する
    ようになっていることを特徴とする請求項3に記載のタ
    イヤ空気圧検出装置。
  5. 【請求項5】 前記バラツキ検出手段は、前記前後車輪
    速度比の最大値と最小値との差分が第1の判定値(Ep
    *+Eth)よりも大きい場合に、前記車輪駆動力のバ
    ラツキが有ると検出するようになっていることを特徴と
    する請求項4に記載のタイヤ空気圧検出装置。
  6. 【請求項6】 前記回帰演算手段により、前記前後車輪
    速度比に対する前記車輪速度偏差値の変化量で表される
    スリップ偏差値(A)を求めると共に、求められたスリ
    ップ偏差値を記憶しておくスリップ偏差値記憶手段を備
    え、 該スリップ偏差値記憶手段は、前記バラツキ検出手段に
    よって前記車輪駆動力のバラツキが有ることが検出され
    ると、前記スリップ偏差値記憶手段に前回記憶されたス
    リップ偏差値を、前記回帰演算手段によって演算された
    今回のスリップ偏差値に更新するようになっており、 前記バラツキ検出手段は、前記スリップ偏差値記憶手段
    に記憶されたスリップ偏差値が更新されないまま所定時
    間(Cth)経過すると、前記第1の判定値よりも小さ
    な第2の判定値(Eth′)を設定し、前記前後車輪速
    度比の最大値と最小値との差分が第2の判定値よりも大
    きい場合に、前記車輪駆動力のバラツキが有ると検出す
    るようになっていることを特徴とする請求項5に記載の
    タイヤ空気圧検出装置。
  7. 【請求項7】 前記回帰演算手段は、前記前後車輪速度
    比に対する前記車輪速度偏差値の変化量で表されるスリ
    ップ偏差値(A)を求めるものであり、 前記回転状態値補正手段は、前記スリップ偏差値に基づ
    き、前記回転状態値演算手段によって求められた回転状
    態値を補正するものであることを特徴とする請求項1乃
    至4のいずれか1つに記載のタイヤ空気圧検出装置。
  8. 【請求項8】 前記回帰演算手段によって求められたス
    リップ偏差値を記憶しておくスリップ偏差値記憶手段を
    備え、 該スリップ偏差値記憶手段は、前記バラツキ検出手段に
    よって求められる前記車輪駆動力のバラツキが所定の判
    定値(Ep*+Eth)よりも大きい場合には、前記ス
    リップ偏差値記憶手段に前回記憶されたスリップ偏差値
    を、前記回帰演算手段によって演算された今回のスリッ
    プ偏差値に更新するようになっており、 前記回転状態値補正手段は、前記スリップ偏差値記憶手
    段に記憶されているスリップ偏差値に基づき、前記回転
    状態値演算手段によって求められた回転状態値を補正す
    るものであることを特徴とする請求項7に記載のタイヤ
    空気圧検出装置。
  9. 【請求項9】 スリップがない理想的な走行状態での前
    記スリップ状態値に相当する理想状態値(βid=F
    (A))を演算する理想走行状態値演算手段(3i)を
    有し、 前記回転状態値補正手段は、前記回帰演算手段によって
    求められた回帰直線と前記理想走行状態演算手段によっ
    て求められた理想状態値とから、理想走行状態における
    回転状態値を求めるようになっていることを特徴とする
    請求項1乃至8のいずれか1つに記載のタイヤ空気圧検
    出装置。
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