JP2002226700A - ベルト成形用材料及び伝動ベルト - Google Patents

ベルト成形用材料及び伝動ベルト

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JP2002226700A
JP2002226700A JP2001025302A JP2001025302A JP2002226700A JP 2002226700 A JP2002226700 A JP 2002226700A JP 2001025302 A JP2001025302 A JP 2001025302A JP 2001025302 A JP2001025302 A JP 2001025302A JP 2002226700 A JP2002226700 A JP 2002226700A
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plasticizer
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prepolymer
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Koichiro Hara
浩一郎 原
Toyoshige Inoue
豊茂 井上
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Bando Chemical Industries Ltd
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Bando Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 環境に対する負荷が低い可塑剤が使用され、
また、従来のウレタン製の伝動ベルトと同等以上の性能
を有する伝動ベルトを製造することができるベルト成形
用材料を提供する。 【解決手段】 ベルト成形用金型に注入し、硬化反応さ
せてウレタン製の伝動ベルトを製造するために使用され
るベルト成形用材料において、ポリイソシアネートとポ
リオールとを合成して生成されたプレポリマーに、トリ
メリト酸アルキルエステルからなる第1可塑剤、及びク
エン酸エステル、アセチル化モノグリセライド、ポリエ
ーテルエステルのうち少なくとも1種からなる第2可塑
剤をそれぞれプレポリマー100質量部に対して10〜
20質量部含有させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ベルト成形用材料
及び該材料が硬化反応してベルト本体が構成された伝動
ベルトに関する。
【0002】
【従来の技術】一般産業用機械、OA機器等の分野にお
いて、ウレタン製の伝動ベルトが使用されている。かか
るウレタン製の伝動ベルトは、トリレンジイソシアネー
ト(以後「TDI」と称する)等のポリイソシアネート
とポリテトラメチレンエーテルグリコール(以後「PT
MG」と称する)等のポリオールとを合成して生成され
た液状のプレポリマーに、3,3’−ジアミノジフェニ
ルメタン等の硬化剤及びその他の配合剤を含有させてな
るベルト成形用材料をベルト成形用金型に注入し、それ
を硬化反応させることにより製造される。ここで、上記
配合剤には可塑剤が含まれ、可塑剤を含めることにより
ベルト成形用材料の粘度が低いものとなって注型加工性
が向上し、また、製造されるベルトの剛性が適度に低め
られて屈曲性が付与されると共に耐寒性が高められ、さ
らに、可塑剤がベルト表面に析出することによってベル
トとプーリとの接触が滑らかなものとなってベルトの耐
久性向上が図られる。そして、この可塑剤として塩化ビ
ニルの可塑剤として汎用であるジ−(2−エチルヘキシ
ル)フタレート(以後「DOP」と称する)又はジオク
チルアジペート(以後「DOA」と称する)が最も一般
的に使用されている。
【0003】ところで、可塑剤として使用されているD
OP及びDOAは、PRTR法(Pollutant Release an
d Transfer Register)で指定化学物質に定められてい
るように、それらの環境に対する負荷が大きく、使用す
ることが好ましくない物質であるといえる。
【0004】特開平6−16925号公報には、分子量
200〜10000のPTMGと分子量200〜100
00のポリプロピレングリコールとのブレンドからな
り、かつ両者の割合が質量比でPTMG/ポリプロピレ
ングリコール=55/45〜90/10であるポリオー
ルと、TDIとを重合反応させて得られ、末端にイソシ
アネート基をもつウレタンプレポリマーと、このウレタ
ンプレポリマーに添加される架橋剤とでベルト成形用ウ
レタン組成物を構成することが開示されており、かかる
構成によれば、ウレタンプレポリマーの粘度を適度に低
くでき、可塑剤を添加しなくても気泡の巻き込みや金型
への未充填等の不具合を解消し得てベルトの成形性を良
くすることができるとともに、成形されたベルトの可塑
剤のブリードによる摩擦係数の低下をなくし得て搬送機
能を向上させることができる、との内容が記載されてい
る。
【0005】また、特開平10−311376号公報に
は、パラフェニレンジイソシアネートと、ポリエステル
系ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、ポリカーボ
ネート系ポリオールの1種又は2種以上からなるプレポ
リマーにエーテル・エステル系可塑剤と硬化剤とを配合
して成るポリウレタンエラストマーを用いた歯付ベルト
が開示されており、かかる構成によれば、歯付ベルトが
耐熱性に優れるとともに従来より耐熱屈曲性能に優れ
る、と記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本出願の課題は、DO
PやDOAに比べて環境に対する負荷が低い可塑剤が使
用され、また、DOPやDOAを可塑剤として用いたウ
レタン製の伝動ベルトと同等以上の性能を有する伝動ベ
ルトを製造することができるベルト成形用材料、及びそ
の材料が硬化反応してベルト本体が構成された伝動ベル
トを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、ベルト成形用
材料の可塑剤として、トリメリト酸アルキルエステルか
らなる第1可塑剤、及びクエン酸エステル、アセチル化
モノグリセライド、ポリエーテルエステルのうち少なく
とも1種からなる第2可塑剤をそれぞれ所定量ずつプレ
ポリマーに含有させたものである。
【0008】具体的には、本発明は、ベルト成形用金型
に注入し、硬化反応させてウレタン製の伝動ベルトを製
造するために使用されるベルト成形用材料であって、ポ
リイソシアネートとポリオールとを合成して生成された
プレポリマーに、トリメリト酸アルキルエステルからな
る第1可塑剤、及びクエン酸エステル、アセチル化モノ
グリセライド、ポリエーテルエステルのうち少なくとも
1種からなる第2可塑剤をそれぞれ上記プレポリマー1
00質量部に対して10〜20質量部含有させてなるこ
とを特徴とする。
【0009】上記の構成によれば、第1及び第2可塑剤
は共にDOPやDOAのようにPRTR法で指定化学物
質に定められたものではないので、成形される伝動ベル
トは環境に対する負荷が低いものとなる。
【0010】また、第1可塑剤は、ウレタンのプレポリ
マーとの相溶性が低いために硬化後ベルト表面に析出し
て表面潤滑性を付与し、それによってプーリとの滑らか
な接触を実現してベルト寿命を向上させる機能を有する
が、その第1可塑剤がベルト表面へのその析出量が過剰
とならない程度プレポリマーに含有させ、一方、第2可
塑剤は、プレポリマーとの相溶性が高いために硬化後ベ
ルト本体に混ざり込んでベルト表面性状をほとんど変化
させないもののベルトの剛性には影響を与えるが、その
第2可塑剤がベルトの剛性を調整するためにプレポリマ
ーに含有させており、それによって適度なベルトの表面
潤滑性及び剛性が確保され、DOPやDOAを可塑剤と
して用いたウレタン製の伝動ベルトと同等以上の性能を
有する伝動ベルトを得ることができる。
【0011】ここで、第1可塑剤の含有量がプレポリマ
ー100質量部に対して10質量部より少ないと、ベル
ト表面への可塑剤の析出量が少なくなり、ベルトとプー
リとの滑らかな接触が実現されないものとなる。第1可
塑剤の含有量がプレポリマー100質量部に対して20
質量部より多いと、ベルト表面への可塑剤の析出量が過
剰となって外観が悪い上にベルトがプーリ上でスリップ
する原因ともなる。
【0012】また、第2可塑剤の含有量がプレポリマー
100質量部に対して10質量部より少ないと、ベルト
の剛性が高くなりすぎて屈曲性が悪くなる。第2可塑剤
の含有量がプレポリマー100質量部に対して20質量
部より多いと、ベルトの剛性が低くなりすぎて発熱を生
じ易くなる。
【0013】プレポリマーを構成するポリイソシアネー
トとしては、特に限定されるものではなく、TDI、ジ
フェニルメタンジイソシアネート(MDI)等を挙げる
ことができる。
【0014】プレポリマーを構成するポリオールとして
は、特に限定されるものではなく、例えば、PTMG、
ポリプロピレンエーテルグリコール(PPG)等のポリ
エーテルグリコールや、ポリエチレンアジペート(PE
A)、ポリ−ε−カプロラクトングリコール(PCL)
等のポリエステルグリコールを挙げることができる。
【0015】トリメリト酸アルキルエステルは、1,
2,4−ベンゼントリカルボン酸の3つのカルボキシル
基が全てアルキルアルコールとエステルを形成した化合
物であり、特に限定されるものではないが、全てのカル
ボキシル基がそれぞれ同一のアルキルアルコールとエス
テルを形成したものであっても、3つのうちの1つが異
なるアルキルアルコールとエステルを形成したものであ
っても、全てがそれぞれ相互に異なるアルキルアルコー
ルとエステルを形成したものであってもよい。また、単
一の化合物で構成されるものではなく、3つのエステル
構成が異なる化合物を混合したトリメリト酸混合アルキ
ルエステルであってもよい。カルボキシル基とエステル
を形成するアルキルアルコールは、例えば、イソオクチ
ルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、イソデ
シルトリエチルアルコール、炭素(C)数が6〜10で
あるアルキルアルコールを挙げることができる。
【0016】クエン酸エステルは、特に限定されるもの
ではなく、例えば、トリエチルシトレート(TEC)、
トリ-n-ブチルシトレート(TBC)、アセチルトリエ
チルシトレート、アセチルトリ-n-ブチルシトレート
(以後「ATBC」と称する)、アセチルトリ-(2-エ
チルヘキシル)シトレート等を挙げることができる。
【0017】アセチル化モノグリセライドは、特に限定
されるものではなく、例えば、グリセリンジアセトモノ
ラウレート、グリセリンジアセトモノステアレート、グ
リセリンジアセトモノオレート等を挙げることができ
る。
【0018】ポリエーテルエステルは、特に限定される
ものではなく、例えば、脂肪酸を酸成分とする一方、分
子鎖の長いポリエチレングリコールをアルコール成分と
して形成されたポリエーテルエステル等を挙げることが
できる。
【0019】第1及び第2可塑剤として使用される具体
例を表1に示す。
【0020】
【表1】
【0021】以上の構成は、プレポリマー成形法に用い
るベルト成形用材料に限定されず、擬プレポリマー成形
法に用いるベルト成形材料であっても適用可能である。
その場合、ポリイソシアネートとポリオールとを合成し
て生成された擬プレポリマーと、その擬プレポリマーを
構成するポリオールと同種又は別種のポリオールと、の
混合物に、トリメリト酸アルキルエステルからなる第1
可塑剤、及びクエン酸エステル、アセチル化モノグリセ
ライド、ポリエーテルエステルのうち少なくとも1種か
らなる第2可塑剤をそれぞれその混合物100質量部に
対して10〜20質量部含有させればよい。
【0022】また、この構成は、ワンショット成形法に
用いるベルト成形材料であっても適用可能である。その
場合、ポリイソシアネートとポリオールとの混合物に、
トリメリト酸アルキルエステルからなる第1可塑剤、及
びクエン酸エステル、アセチル化モノグリセライド、ポ
リエーテルエステルのうち少なくとも1種からなる第2
可塑剤をそれぞれその混合物100質量部に対して10
〜20質量部含有させればよい。
【0023】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
第1及び第2可塑剤は共にPRTR法で指定化学物質に
定められているものではなく、環境に対する負荷が低い
伝動ベルトを得ることができる。
【0024】また、プレポリマーに第1及び第2可塑剤
を含有させて適度なベルトの表面潤滑性及び剛性が確保
されるようにしているので、DOPやDOAを可塑剤と
して用いたウレタン製の伝動ベルトと同等以上の性能を
有する伝動ベルトを得ることができる。
【0025】
【発明の実施の形態】本発明の実施形態を図面に基づい
て説明する。
【0026】(歯付ベルトBの構成)図1は本発明の実
施形態に係る歯付ベルトBを示す。
【0027】歯付ベルトBは、内周面にベルト長さ方向
に所定ピッチでベルト歯2,2,…が設けられたベルト
本体1によって形成されている。また、各ベルト歯2の
底部に沿って抗張体としての心線3が略ベルト長さ方向
に延び且つベルト幅方向にピッチを形成して螺旋状に設
けられている。さらに、ベルト歯2,2,…と心線3と
の間に位置するように補強布4が埋設されている。
【0028】ベルト本体1は、ポリイソシアネート成分
をTDIとし且つポリオール成分をPTMGとして両者
を合成して生成された液状のプレポリマーに、硬化剤と
しての1,1’−メチレンビス(o−クロロアニリン)
(以下「MOCA」と称する)と、反応促進剤としての
有機酸であるオレイン酸と、第1可塑剤としてトリメリ
ト酸アルキルエステルであるトリメリト酸混合アルキル
エステルと、第2可塑剤としてのクエン酸エステルであ
るアセチルトリブチルシトレートと、が含有されたベル
ト成形用材料が硬化反応したもので構成されている。こ
こで、プレポリマーに含まれるイソシアネート基のモル
数に対するMOCA(硬化剤)に含まれるアミノ基のモ
ル数の比が0.7〜1.3となるようにされている。ま
た、オレイン酸(反応促進剤)は、プレポリマー100
質量部に対して0.4質量部含有されている。さらに、
トリメリト酸混合アルキルエステル(第1可塑剤)及び
アセチルトリブチルシトレート(第2可塑剤)はそれぞ
れプレポリマー100質量部に対して10〜20質量部
含有されている。このトリメリト酸混合アルキルエステ
ル(第1可塑剤)はプレポリマーとの相溶性が低い可塑
剤である一方、アセチルトリブチルシトレート(第2可
塑剤)はプレポリマーとの相溶性の高い可塑剤である。
【0029】心線3は、アラミド繊維の撚糸により形成
されており、エポキシ樹脂溶液への浸漬及び加熱による
接着処理が施されている。
【0030】補強布4は、セルロース繊維の不織布によ
り形成されている。
【0031】(歯付ベルトBの製造方法)次に、歯付ベ
ルトBの製造方法について説明する。
【0032】<補強布・心線セット工程>軸方向に延び
るベルト歯形成溝が周方向に所定ピッチで設けられた内
金型の周面を補強布としてのセルロース繊維の不織布で
被覆し、次いでアラミド繊維の撚糸からなる心線を所定
ピッチで螺旋状に巻き付ける。そして、円筒状の外金型
の中心に上記内金型を設置する。このとき、内金型と外
金型との間にはウレタン組成物を注入するための隙間が
形成される。
【0033】<ベルト成形用材料準備工程>TDIとP
TMGとにより合成されたプレポリマーを80℃に温調
すると共に減圧して脱泡する。次いで、100℃に温調
された容器内でMOCA(硬化剤)とオレイン酸(反応
促進剤)とトリメリト酸混合アルキルエステル(第1可
塑剤)とアセチルトリブチルシトレート(第2可塑剤)
とを混ぜ合わせて均一な溶液とし、これをプレポリマー
に注入して攪拌することにより液状のベルト成形用材料
を作成する。このとき、MOCA(硬化剤)の含有量を
プレポリマーに含まれるイソシアネート基のモル数に対
するMOCA(硬化剤)に含まれるアミノ基のモル数の
比が0.7〜1.3となるように設定する。また、オレ
イン酸(反応促進剤)の含有量をプレポリマー100質
量部に対して0.4質量部とする。さらに、トリメリト
酸混合アルキルエステル(第1可塑剤)及びアセチルト
リブチルシトレート(第2可塑剤)のそれぞれの含有量
をプレポリマー100質量部に対して10〜20質量部
とする。
【0034】<ベルト成形用材料注入・硬化工程>得ら
れたベルト成形用材料を外金型と内金型との間の隙間に
注入し、これを100℃雰囲気下に15分保持する。こ
れによって、ベルト成形用材料の硬化反応が進行する。
【0035】<脱型工程>外金型及び内金型からベルト
成形用材料が硬化して形成された円筒状のベルト前駆体
を脱型する。
【0036】<幅カット工程>脱型したベルト前駆体を
所定幅に輪切りにし、歯付ベルトBを得る。
【0037】(作用・効果)上記構成のベルト成形用材
料によれば、第1及び第2可塑剤は共にDOPやDOA
のようにPRTR法で指定化学物質に定められたもので
はなく、成形される歯付ベルトBは環境に対する負荷が
低いものとなる。
【0038】また、第1可塑剤は、ウレタンのプレポリ
マーとの相溶性が低いために硬化後ベルト表面に析出し
て表面潤滑性を付与し、それによってプーリとの滑らか
な接触を実現してベルト寿命を向上させる機能を有する
が、その第1可塑剤がベルト表面へのその析出量が過剰
とならない程度プレポリマーに含有され、一方、第2可
塑剤は、プレポリマーとの相溶性が高いために硬化後ベ
ルト本体に混ざり込んでベルト表面性状をほとんど変化
させないもののベルトの剛性には影響を与えるが、その
第2可塑剤がベルトの剛性を調整するためにプレポリマ
ーに含有されており、それによって製造される歯付ベル
トBは、適度な表面潤滑性及び剛性を有し、DOPやD
OAを可塑剤として用いた歯付ベルトと同等以上の性能
を有するものとなる。
【0039】(その他の実施形態)上記実施形態では、
ベルト成形用材料で形成される伝動ベルトを歯付ベルト
としたが、特にこれに限定されるものではなく、平ベル
ト、Vベルト、Vリブドベルト、丸ベルト等であっても
よい。
【0040】また、上記実施形態では、プレポリマーを
形成するポリイソシアネートとしてTDIを用いたが、
特にこれに限定されるものではなく、ジフェニルメタン
ジイソシアネート(MDI)であってもよい。
【0041】また、上記実施形態では、プレポリマーを
形成するポリオールとしてPTMGを用いたが、特にこ
れに限定されるものではなく、ポリプロピレンエーテル
グリコール(PPG)等の他のポリエーテルグリコール
や、ポリエチレンアジペート(PEA)、ポリ−ε−カ
プロラクトングリコール(PCL)等のポリエステルグ
リコールであってもよい。但し、グリコールの結晶性が
高い場合には、可塑剤含有による硬度調整効果が小さい
ものとなるので、ポリエーテルグリコールが好適に用い
られる。
【0042】また、上記実施形態では、硬化剤としてM
OCAを用いたが、特にこれに限定されるものではな
く、その他のジアミンやポリオールであってもよい。
【0043】また、上記実施形態では、反応促進剤とし
て有機酸であるオレイン酸を用いたが、特にこれに限定
されるものではなく、セバシン酸やアジピン酸等の脂肪
族カルボン酸、安息香酸やトルイル酸のような芳香族カ
ルボン酸であってもよい。但し、配合等の加工性を考慮
すると室温で液状であるオレイン酸が特に好ましく用い
られる。
【0044】また、上記実施形態では、第2可塑剤とし
てアセチルトリブチルシトレートを用いたが、特にこれ
に限定されるものではなく、トリエチルシトレート(T
EC)等の他のクエン酸エステルであっても、グリセロ
ールジアセチルモノラウレート等のアセチル化モノグリ
セライドやポリエーテルエステルであってもよい。
【0045】また、上記実施形態では、第1及び第2可
塑剤のみを含有させたが、それに加えて、ブチルステア
レート等の脂肪酸エステルや牛脂、豚脂等のトリグリセ
リドを加えるようにしてもよい。
【0046】また、上記実施形態では、プレポリマーと
硬化剤と有機酸と第1及び第2可塑剤とによりベルト成
形用材料を構成したが、特にこれに限定されるものでは
なく、必要に応じて顔料や滑剤等を含有させたものであ
ってもよい。
【0047】また、上記実施形態では、心線4としてア
ラミド繊維の撚糸を用いたが、特にこれに限定されるも
のではなく、ポリエステル繊維等の撚糸であってもよ
い。
【0048】また、上記実施形態では、歯付ベルトBの
製造に際し、プレポリマーを80℃に温調すると共に硬
化剤等を100℃に温調し、金型温度を100℃として
加熱時間を15分としたが、特にこれらに限定されるも
のではなく、プレポリマーや硬化剤等の種類によってプ
レポリマーの温調温度は60〜100℃、硬化剤等の温
調温度は100〜150℃、金型温度は100〜150
℃、加熱時間は10〜90分の各範囲で適宜選択される
べきものである。
【0049】また、上記実施形態では、プレポリマー法
によって歯付ベルトBの製造を行ったがワンショット法
や擬プレポリマー法によって製造を行ってもよい。前者
の場合、TDIとPTMGとを合成して生成された擬プ
レポリマーとPTMG又は他のポリオールとの混合物
に、トリメリト酸混合アルキルエステルからなる第1可
塑剤及びアセチルトリブチルシトレートからなる第2可
塑剤をそれぞれその混合物100質量部に対して10〜
20質量部含有させればよい。後者の場合、TDIとP
TMGとの混合物に、トリメリト酸混合アルキルエステ
ルからなる第1可塑剤及びアセチルトリブチルシトレー
トからなる第2可塑剤をそれぞれその混合物100質量
部に対して10〜20質量部含有させればよい。
【0050】
【実施例】(試験評価サンプルベルト) −例1− TDIとPTMGとからなるプレポリマーに、硬化剤と
してのMOCA(イハラケミカル株式会社製 商品名:
キュアミンMT)と、可塑剤としてのATBC(三建化
工株式会社製)と、を含有させたベルト成形用材料が硬
化反応してベルト本体が構成された歯付ベルトを上記実
施形態に準じる方法で作成し、それを例1とした。この
とき、MOCA(硬化剤)の含有量をプレポリマー10
0質量部に対して13質量部とした。また、ATBC
(可塑剤)の含有量をプレポリマー100質量部に対し
て30質量部とした。歯付ベルトは、周長900mm、
ベルト幅20mm及びベルト歯ピッチ8mmの構成のも
のを作成した。
【0051】−例2− TDIとPTMGとからなるプレポリマーに、硬化剤と
してのMOCA(イハラケミカル株式会社製 商品名:
キュアミンMT)と、第1可塑剤としてのトリメリト酸
混合アルキルエステル(旭電化工業株式会社製 商品名
C−79)と、第2可塑剤としてのATBC(三建化工
株式会社製)と、を含有させたベルト成形用材料が硬化
反応してベルト本体が構成された歯付ベルトを上記実施
形態に準じる方法で作成し、それを例2とした。このと
き、MOCA(硬化剤)の含有量をプレポリマー100
質量部に対して13質量部とした。また、トリメリト酸
混合アルキルエステル(第1可塑剤)の含有量をプレポ
リマー100質量部に対して5質量部とし、ATBC
(第2可塑剤)の含有量をプレポリマー100質量部に
対して25質量部とした。歯付ベルトは、例1同様、周
長900mm、ベルト幅20mm及びベルト歯ピッチ8
mmの構成のものとした。
【0052】−例3− トリメリト酸混合アルキルエステル(第1可塑剤)の含
有量をプレポリマー100質量部に対して10質量部と
し、ATBC(第2可塑剤)の含有量をプレポリマー1
00質量部に対して20質量部としたことを除いては例
2と同一構成の歯付ベルトを例3とした。
【0053】−例4− トリメリト酸混合アルキルエステル(第1可塑剤)の含
有量をプレポリマー100質量部に対して15質量部と
し、ATBC(第2可塑剤)の含有量をプレポリマー1
00質量部に対して15質量部としたことを除いては例
2と同一構成の歯付ベルトを例4とした。
【0054】−例5− トリメリト酸混合アルキルエステル(第1可塑剤)の含
有量をプレポリマー100質量部に対して20質量部と
し、ATBC(第2可塑剤)の含有量をプレポリマー1
00質量部に対して10質量部としたことを除いては例
2と同一構成の歯付ベルトを例5とした。
【0055】−例6− トリメリト酸混合アルキルエステル(第1可塑剤)の含
有量をプレポリマー100質量部に対して5質量部と
し、ATBC(第2可塑剤)の含有量をプレポリマー1
00質量部に対して25質量部としたことを除いては例
2と同一構成の歯付ベルトを例6とした。
【0056】−例7− TDIとPTMGとからなるプレポリマーに、硬化剤と
してのMOCA(イハラケミカル株式会社製 商品名:
キュアミンMT)と、可塑剤としてのトリメリト酸混合
アルキルエステル(旭電化工業株式会社製 商品名C−
79)と、を含有させたベルト成形用材料が硬化反応し
てベルト本体が構成された歯付ベルトを上記実施形態に
準じる方法で作成し、それを例7とした。このとき、M
OCA(硬化剤)の含有量をプレポリマー100質量部
に対して13質量部とした。トリメリト酸混合アルキル
エステル(可塑剤)の含有量をプレポリマー100質量
部に対して30質量部とした。歯付ベルトは、例1同
様、周長900mm、ベルト幅20mm及びベルト歯ピ
ッチ8mmの構成のものとした。
【0057】−例8− TDIとPTMGとからなるプレポリマーに、硬化剤と
してのMOCA(イハラケミカル株式会社製 商品名:
キュアミンMT)と、可塑剤としてのDOA(三建化工
株式会社製)と、を含有させたベルト成形用材料でベル
ト本体が構成された歯付ベルトを上記実施形態に準じる
方法で作成し、それを例8とした。このとき、MOCA
(硬化剤)の含有量をプレポリマー100質量部に対し
て13質量部とした。DOA(可塑剤)の含有量をプレ
ポリマー100質量部に対して30質量部とした。歯付
ベルトは、例1同様、周長900mm、ベルト幅20m
m及びベルト歯ピッチ8mmの構成のものとした。
【0058】(試験評価方法) <可塑剤のベルト表面析出状態>製造された例1〜7に
係る各歯付ベルトの表面を観察し、従来例である例8を
基準として可塑剤のベルト表面への析出状態を「多
い」、「やや多い」、「同等」、「やや少ない」及び
「少ない」の5段階で評価した。
【0059】<耐久性試験>製造された例1〜8に係る
各歯付ベルトを直径75mm、プーリ歯数30の駆動プ
ーリと、直径75mm、プーリ歯数30の従動プーリと
に巻き掛け、駆動プーリの回転数を1800rpm、従
動プーリの負荷を0.49N・m及びベルト初張力を3
9.2Nとした条件でベルトを走行させた。そして、ベ
ルトの走行開始から切断に至るまでのベルト走行時間を
計測した。ベルト寿命の評価は、例8のベルト走行時間
を100として例1〜7のものを相対的指数で表して行
った。
【0060】(試験結果)試験結果を表2に示す。
【0061】
【表2】
【0062】同表によれば、トリメリト酸混合アルキル
エステル(第1可塑剤)の含有量を多く、且つATBC
(第2可塑剤)の含有量を少なくすると、ベルト表面へ
の可塑剤の析出量が多くなると共にベルト寿命が長くな
るということが分かる。これは、トリメリト酸混合アル
キルエステル(第1可塑剤)がプレポリマーとの相溶性
が低いために硬化後にベルト表面へ析出し、それによっ
てベルト表面に潤滑性が付与され、プーリとの接触が滑
らかなものとなってベルトの耐久性が高められるためで
あると考えられる。
【0063】また、トリメリト酸混合アルキルエステル
(第1可塑剤)の含有量を少なく、且つATBC(第2
可塑剤)の含有量を多くすると、ベルト表面への可塑剤
の析出量が少なくなると共にベルト寿命が短くなること
が分かる。これは、ATBC(第2可塑剤)がプレポリ
マーとの相溶性が高いために硬化後にベルト本体に混入
してしまい、ベルトとプーリとの滑らかな接触が実現さ
れないためであると考えられる。
【0064】なお、第1及び第2可塑剤の総含有量はプ
レポリマー100質量部に対して30質量部であり、ま
た、表2には示していないが、各ベルトの硬度Hsは約
80°(JIS A)であったことから、ATBC(第
2可塑剤)はベルトの剛性に対して影響を及ぼすもので
あるということが分かる。
【0065】例3〜5は、プレポリマーにトリメリト酸
混合アルキルエステル(第1可塑剤)及びATBC(第
2可塑剤)がそれぞれ適量含有させたベルト成形用材料
が硬化反応することによってベルト本体が構成され、そ
れによって可塑剤のベルト表面への適度な析出による表
面潤滑性付与及び適度な剛性の調整が図られ、DOAを
可塑剤として用いた例8と同等以上(ベルト寿命が±1
0%の範囲は同水準と考えられる)の性能を有する歯付
ベルトとなっているのが分かる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る歯付ベルトBの側面図
である。
【符号の説明】
B 歯付ベルト 1 ベルト本体 2 ベルト歯 3 心線 4 補強布
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F16G 1/16 F16G 1/16

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ベルト成形用金型に注入し、硬化反応さ
    せてウレタン製の伝動ベルトを製造するために使用され
    るベルト成形用材料であって、 ポリイソシアネートとポリオールとを合成して生成され
    たプレポリマーに、トリメリト酸アルキルエステルから
    なる第1可塑剤、及びクエン酸エステル、アセチル化モ
    ノグリセライド、ポリエーテルエステルのうち少なくと
    も1種からなる第2可塑剤をそれぞれ上記プレポリマー
    100質量部に対して10〜20質量部含有させてなる
    ことを特徴とするベルト成形用材料。
  2. 【請求項2】 ベルト成形用金型に注入し、硬化反応さ
    せてウレタン製の伝動ベルトを製造するために使用され
    るベルト成形用材料であって、 ポリイソシアネートとポリオールとを合成して生成され
    た擬プレポリマーと、該擬プレポリマーを構成するポリ
    オールと同種又は別種のポリオールと、の混合物に、ト
    リメリト酸アルキルエステルからなる第1可塑剤、及び
    クエン酸エステル、アセチル化モノグリセライド、ポリ
    エーテルエステルのうち少なくとも1種からなる第2可
    塑剤をそれぞれ上記混合物100質量部に対して10〜
    20質量部含有させてなることを特徴とするベルト成形
    用材料。
  3. 【請求項3】 ベルト成形用金型に注入し、硬化反応さ
    せてウレタン製の伝動ベルトを製造するために使用され
    るベルト成形用材料であって、 ポリイソシアネートとポリオールとの混合物に、トリメ
    リト酸アルキルエステルからなる第1可塑剤、及びクエ
    ン酸エステル、アセチル化モノグリセライド、ポリエー
    テルエステルのうち少なくとも1種からなる第2可塑剤
    をそれぞれ上記混合物100質量部に対して10〜20
    質量部含有させてなることを特徴とするベルト成形用材
    料。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれか一に記載のベ
    ルト成形用材料が硬化反応してベルト本体が構成された
    ことを特徴とする伝動ベルト。
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