JP2002226688A - 生分解性ポリエステル樹脂組成物及びフィルム - Google Patents

生分解性ポリエステル樹脂組成物及びフィルム

Info

Publication number
JP2002226688A
JP2002226688A JP2001023685A JP2001023685A JP2002226688A JP 2002226688 A JP2002226688 A JP 2002226688A JP 2001023685 A JP2001023685 A JP 2001023685A JP 2001023685 A JP2001023685 A JP 2001023685A JP 2002226688 A JP2002226688 A JP 2002226688A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin composition
polyester resin
biodegradable polyester
molecular weight
film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001023685A
Other languages
English (en)
Inventor
Koji Nakada
幸司 仲田
Hitomi Oomae
比登美 大前
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Daicel Corp
Original Assignee
Daicel Chemical Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Daicel Chemical Industries Ltd filed Critical Daicel Chemical Industries Ltd
Priority to JP2001023685A priority Critical patent/JP2002226688A/ja
Publication of JP2002226688A publication Critical patent/JP2002226688A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Biological Depolymerization Polymers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 Tダイ押出成形やインフレーション成形など
の成形加工性及びフィルム引裂強度に優れた生分解性フ
ィルム 【解決手段】 重縮合ポリエステル、溶融粘度が10,
000〜50,000poiseの高分子量ポリカプロ
ラクトン、及び溶融粘度が1,000〜3,000po
iseの低分子量ポリカプロラクトンからなる生分解性
ポリエステル樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、重縮合ポリエステ
ル、高分子量ポリカプロラクトン、及び低分子量ポリカ
プロラクトンからなる生分解性ポリエステル樹脂組成
物、及びそれをインフレーション成形又はTダイ押出成
形してなる成形加工性及び引裂強度の向上した生分解性
フィルム(本発明ではシートも含む。)に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、環境問題が更に注目されるように
なってきており、それに伴って省エネルギー化、資源の
リサイクル化、及び環境に優しい商品、特に生分解性を
有する商品の開発が高まっている。生分解性を有する商
品には、例えば、生分解性樹脂が使用されるので、その
研究が活発に行われている。生分解性樹脂とは、生分解
性プラスチック研究会の定義によれば「使用中は汎用の
プラスチックと同等の物性を有するが、ひとたび廃棄さ
れると自然環境中の微生物の働きで分解、資化され最終
的には水と二酸化炭素にまで分解されるプラスチック」
のことを指すとされている。
【0003】現在、一般的な生分解性プラスチックとし
て、モンサント(株)製のバイオポール(3−ヒドロ
キシ酪酸、3−ヒドロキシ吉草酸等のポリマー)等の微
生物産生のポリマー、ダイセル化学工業(株)製のセ
ルグリーン(酢酸セルロース(PCA)系)等の天然物
由来のポリマー、昭和高分子(株)製のビオノーレ
(ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネー
ト・アジペートなど)、ダイセル化学工業(株)製のセ
ルグリーン(ポリカプロラクトン系)、三井化学(株)
製のレイシア(ポリ乳酸系)等のような化学合成ポリマ
ーが知られている。この中で最も開発が盛んであるのは
化学合成系のポリマーであるが、これらは開発中の段階
であり、生分解性を保ったまま、実用的な物性値を十分
満足できるものは、未だ殆ど無い。また、生分解性プラ
スチックが現在試験されている用途としては、農業用フ
ィルム、コンポスト袋、生ゴミ袋などの主にフィルム用
途が先行している。しかし、フィルムの生分解性および
汎用樹脂に対する物性の両者を兼ね備える面では未だ不
十分であり、例えば、生分解性が優れているが物性が劣
っていたり、それなりの物性を有しているが生分解性が
不十分であったりする場合が多い。特に、生分解性に比
べて物性が劣っている場合が多い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】フィルム用途で考える
と、Tダイ押出成形やインフレーション成形などの成形
加工が汎用樹脂並みに可能かどうかが第1の課題であ
り、さらに、フィルムの物性、特に引裂強度が充分なも
のが得られるかが第2の課題である。本発明の目的は、
成形加工性及びフィルム引裂強度の両者に優れた生分解
性フィルム及びそれに使用する樹脂組成物を提供するこ
とである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意検討
の結果、重縮合ポリエステル(A)と溶融粘度が10,
000〜50,000poise(レオメーター測定
値)の高溶融粘度ポリカプロラクトン(B(H))の混合
物に、溶融粘度が1,000〜3,000poise
(レオメーター測定値)の低溶融粘度ポリカプロラクト
ン(B(L))を添加することにより、かかる問題点を解
決しうることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0006】すなわち本発明の第1は、重縮合ポリエス
テル(A)、溶融粘度が10,000〜50,000p
oise(レオメーター測定値)の高分子量ポリカプロ
ラクトン(B(H))、及び溶融粘度が1,000〜3,
000poise(レオメーター測定値)の低分子量ポ
リカプロラクトン(B(L))からなる生分解性ポリエス
テル樹脂組成物を提供する。本発明の第2は、B(H)/
B(L)の重量比が90/10〜10/90である本発明
の第1に記載の生分解性ポリエステル樹脂組成物を提供
する。本発明の第3は、(B(H)+B(L))/Aの重量比
が10/90〜70/30である本発明の第1又は2に
記載の生分解性ポリエステル樹脂組成物を提供する。本
発明の第4は、高分子量ポリカプロラクトン(B(H))
及び低分子量ポリカプロラクトン(B(L))がε−カプ
ロラクトンの開環重合により合成されるポリカプロラク
トンである本発明の第1〜3のいずれかに記載の生分解
性ポリエステル樹脂組成物を提供する。本発明の第5
は、重縮合ポリエステル(A)が、1,4−ブタンジオ
ールとコハク酸との重縮合、又は1,4−ブタンジオー
ルとコハク酸およびアジピン酸との重縮合で得られる構
造を有する共重合体である本発明の第1〜4のいずれか
に記載の生分解性ポリエステル樹脂組成物を提供する。
本発明の第6は、さらに、無機添加剤(D)を添加して
なる本発明の第1〜5のいずれかに記載の生分解性ポリ
エステル樹脂組成物を提供する。本発明の第7は、無機
添加剤(D)がタルク及び/又は炭酸カルシウムである
本発明の第6に記載の生分解性ポリエステル樹脂組成物
を提供する。本発明の第8は、さらに、共重合ポリエス
テル(C)を添加してなる本発明の第1〜7のいずれか
に記載の生分解性ポリエステル樹脂組成物を提供する。
本発明の第9は、共重合ポリエステル(C)が、ジオー
ル成分としてエチレングリコール及び/又は1,4−ブ
タンジオール、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸、
コハク酸及び/又はアジピン酸、並びにラクトン成分と
してε−カプロラクトンを使用して、ジオール成分とジ
カルボン酸成分とラクトン成分のランダム重縮合で得ら
れる構造を有する共重合体である本発明の第8に記載の
生分解性ポリエステル樹脂組成物を提供する。本発明の
第10は、本発明の第1〜9のいずれかに記載の生分解
性ポリエステル樹脂組成物からなるフィルムを提供す
る。本発明の第11は、Tダイ成形またはインフレーシ
ョン成形して得られる本発明の第10に記載のフィルム
を提供する。
【0007】
【発明の実施の形態】重縮合ポリエステル(A) 本発明で使用する重縮合ポリエステル(A)としては、
特に限定されるものではないが、融点が100℃以上
で、熱可塑性を有する脂肪族ポリエステルが好ましい。
重縮合ポリエステル(A)を構成するモノマーとして
は、炭素数4〜10の脂肪族ジカルボン酸と炭素数2〜
10の脂肪族ジオールである。上記脂肪族ジカルボン酸
としては、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸等が挙げら
れる。上記脂肪族ジオールとしては、エチレングリコー
ル(EG)、1,4−ブタンジオール(1,4−B
G)、ネオペンチルグリコール(NPG)等が挙げられ
る。重縮合ポリエステル(A)としては、コハク酸と
1,4−ブタンジオールから得られるポリエステル樹
脂、コハク酸と1,4−ブタンジオールから得られるポ
リエステル樹脂、コハク酸とアジピン酸と1,4−ブタ
ンジオールから得られるポリエステル樹脂、シュウ酸と
ネオペンチルグリコールから得られるポリエステル樹
脂、シュウ酸と1,4−ブタンジオールから得られるポ
リエステル樹脂、シュウ酸とエチレングリコールから得
られるポリエステル樹脂等が例示できるが、特に好まし
くはコハク酸と1,4−ブタンジオールから得られるポ
リエステル樹脂である。これらは、ジオール成分とジカ
ルボン酸成分の重縮合で得られる構造を有するポリエス
テルであればよく、ジオール成分とジカルボン酸成分の
脱水直接重縮合、ジオール成分とジカルボン酸塩化物の
脱塩酸直接重縮合、ジオール成分とジカルボン酸アルコ
ールエステルとのエステル交換反応などにより得られた
ものでもよい。重縮合ポリエステル樹脂(A)の数平均
分子量としては、20,000以上、好ましくは40,
000以上の範囲であり、上限は特にないが、実用上5
00,000程度のものも使用できる。
【0008】また、本発明で使用する重縮合ポリエステ
ル樹脂(A)としては、ウレタン結合を含むものを使用
することができる。ウレタン結合を含む重縮合ポリエス
テル樹脂は、前記重縮合ポリエステル樹脂を、好ましく
は脂肪族ジイソシアネート化合物により高分子量化した
ものである。上記脂肪族ジイソシアネート化合物として
は、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシ
アネートメチルエステル{OCN−(CH24−CH
(−NCO)(−COOCH3)}、トリメチルヘキサ
メチレンジイソシアネート等が例示されるが、中でもヘ
キサメチレンジイソシアネートが好ましい。またウレタ
ン結合を含む重縮合ポリエステル樹脂の好ましい数平均
分子量としては、20,000以上、更に好ましくは4
0,000以上の範囲である。
【0009】ポリカプロラクトン 本発明で使用する高分子量ポリカプロラクトン(B
(H))及び低分子量ポリカプロラクトンとしては、例え
ばアルコール類などの活性水素含有化合物を開始剤とし
て、カプロラクトンを常法の開環重合を行うことにより
得られるものが使用できる。前記開始剤の官能数は、特
に制限はなく、2官能や3官能のものが好ましく使用で
きる。また、使用するポリカプロラクトンとしては、ε
−カプロラクトンの単独開環重合体以外に、バレロラク
トンや、グリコリド、ラクチドなどのコモノマー構成単
位を、例えば20モル%以下含まれる共重合体も使用可
能である。
【0010】本発明で使用する高分子量ポリカプロラク
トン(B(H))の数平均分子量は、60,000〜15
0,000、好ましくは60,000〜70,000で
ある。さらに、高分子量ポリカプロラクトンのレオメー
ター測定による溶融粘度が10,000〜50,000
poise、好ましくは20,000〜40,000p
oiseである。上記高分子量ポリカプロラクトンを使
用すると、機械物性、生分解性をいずれも高くバランス
させることが可能である。
【0011】本発明で使用する低分子量ポリカプロラク
トン(B(L))の数平均分子量は、10,000〜5
0,000、好ましくは30,000〜50,000で
ある。さらに、低分子量ポリカプロラクトンのレオメー
ター測定による溶融粘度が500〜3,000pois
e、好ましくは1,000〜1,500poiseであ
る。低分子量ポリカプロラクトンを使用すると、樹脂組
成物の溶融粘度が調節され、成形性、機械物性が向上す
る等のメリットが現れる。
【0012】本発明で使用される高分子量ポリカプロラ
クトン(B(H))としては、ダイセル化学工業(株)製
のPCLH7(ホモポリマー、Mn約70,000、溶
融粘度35,000poise(210℃、レオメーター測
定値))等が、低分子量ポリカプロラクトン(B(L))
としてはPCLH5(ホモポリマー、Mn約50,00
0、溶融粘度1,800poise(210℃、レオメータ
ー測定値))、PCLH1(ホモポリマー、Mn約1
0,000、溶融粘度700poise(210℃、レオメ
ーター測定値))等が挙げられる。
【0013】上記高分子量ポリカプロラクトン(B
(H))と低分子量ポリカプロラクトン(B(H))の重量比
B(H)/B(L)は90/10〜10/90、好ましくは8
0/20〜40/60である。なお、B(H)とB(L)の合
計は100である。B(H)の比率が上記範囲より大きす
ぎると、溶融粘度が下がりきらず流動性を調節できない
ために、成形性の向上、引裂強度の向上が不充分であ
り、上記範囲より小さすぎると樹脂の流動性が高くなり
すぎ、且つ成形体の耐熱性、機械物性が低下する。
【0014】高分子量ポリカプロラクトン(B(H))と
低分子量ポリカプロラクトン(B(L))の合計と、重縮
合ポリエステル(A)との重量比(B(H)+B(L))/A
は、10/90〜70/30、好ましくは30/70〜
50/50である。なお、(B(H)+B(L))とAとの合
計は100である。重縮合ポリエステル(A)の比率が
上記範囲より大きすぎると生分解時間が長くなりすぎて
生分解性樹脂としてのメリットが乏しくなり、上記範囲
より小さすぎると実用耐熱性を示さなくなる。
【0015】共重合ポリエステル(C) 本発明の生分解性ポリエステル樹脂組成物には、必要に
応じて共重合ポリエステル(C)を添加することができ
る。共重合ポリエステル(C)としては、特に限定され
るものではないが、脂肪族ポリエステル(A)とポリカ
プロラクトンを構成するモノマー構成単位の少なくとも
一種、好ましくは二種以上を有する共重合ポリエステル
樹脂が使用され、あるいは三種以上であっても構わな
い。例えば1,4−BGとコハク酸の重縮合より得られ
るポリブチレンサクシネート(PBS)とポリカプロラ
クトン(PCL)をブレンドする場合、PBSを構成す
るモノマーである1,4−BGとコハク酸に、他のエス
テルモノマーを合わせて共重合させた共重合ポリエステ
ル、あるいはPCLを構成するモノマーであるε−カプ
ロラクトンに他のエステルモノマーを合わせて共重合さ
せた共重合ポリエステル、更にはそれら両方、即ち1,
4−BGとコハク酸とCLを合わせて共重合させた共重
合体(P(B・S・CL)と略す。)等が生分解性を損
なわずにその引裂強度を向上させる効果を有する。共重
合ポリエステル(C)のモノマー構成単位とは、上のP
(B・S・CL)の例では、1,4−ブチレンジオキシ
基とサクシニル基と5−オキシカプロイル基であり、該
モノマー構成単位を与えるモノマーがそれぞれBGとコ
ハク酸とCLである。
【0016】共重合ポリエステル(C)を構成するモノ
マーとしては、上記のように脂肪族ポリエステル(A)
とポリラクトンのポリマーを構成するモノマー構成単位
の少なくとも一種を与えるものが使用されればよい。従
って、他のモノマーとして、テレフタル酸、パラヒドロ
キシ安息香酸などの芳香族ジカルボン酸、芳香族ヒドロ
キシカルボン酸等を使用することができる。仕込み組成
としては、ジカルボン酸1モルに対して、ジオール1〜
2モルとラクトン0.1〜10モル、好ましくはジオー
ル1.1〜1.5モルとラクトン0.5〜2モルであ
る。この様な共重合ポリエステルとしては、例えば、
1,4−BGとテレフタル酸とCLを合わせて3元共重
合させた共重合体(P(B・T・CL)と略す。)のラ
ンダム共重合体(東洋紡(株)製のペルプレン・シリー
ズ)もしくはブロック共重合体や、上記P(B・S・C
L)のランダム共重合体もしくはブロック共重合体など
が挙げられる。
【0017】共重合ポリエステル(C)の添加割合とし
ては、脂肪族ポリエステル(A)と二種類のポリカプロ
ラクトンの合計(A+(B(H)+B(L)))100重量部
に対して、0.5〜50重量部、好ましくは1〜10重
量部である。これにより、フィルムの引裂強度は向上す
る。ただし、共重合ポリエステル(C)が、後述する生
分解テストによる生分解性を有さない場合はその添加量
は1重量部以下に限られる。
【0018】無機添加剤(D) 本発明で使用する無機添加剤(D)としては、特に限定
されるものではないが、例えばタルク、炭酸カルシウ
ム、マイカ、珪酸カルシウム、酸化チタン、ガラス繊
維、陶土(焼成)、ホワイトカーボン等が挙げられ、好
ましくはタルク又は炭酸カルシウムである。これらは二
種以上を混合して使用することができる。無機添加剤を
添加することにより更にその引裂強度は向上し、また成
形加工性も向上する。無機添加剤の添加割合は、樹脂分
の合計(A+(B(H)+B(L))+C)100重量部に対
して、無機添加剤(D)0〜100重量部、好ましくは
1重量部以上、さらに好ましくは10〜40重量部であ
る。無機添加剤の添加割合が100重量部を超えると、
フィルム又はシートとした場合その伸度が極端に下がり
実用物性を保持できなくなる。また、1重量部未満では
引裂強度向上の効果が充分でない場合がある。
【0019】本発明の生分解性樹脂組成物には、その他
の成分として、必要に応じて、固体滑剤、液状滑剤、で
ん粉、木粉、カーボンブラックなどや、その他の生分解
性樹脂(ポリ乳酸、PVAなど)等を添加することがで
きる。上記滑剤としては、特に制限はなく、具体的には
流動パラフィン等の炭化水素系、高級脂肪酸等の脂肪酸
系、ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド系、グリセリ
ン等のアルコール系等が挙げられる。滑剤の添加量は、
上記(A)+(B)(即ち、(B(H)+B(L)))+
(C)+(D)の合計100重量部に対して、0〜5重
量部、好ましくは0.1〜3重量部、特に好ましくは
0.3〜0.7重量部である。
【0020】脂肪族ポリエステル(A)、ポリカプロラ
クトン(B)、共重合ポリエステル(C)、無機添加剤
(D)、及び必要に応じて添加される上記その他の成分
の混練方法は、一般的な方法が好ましく使用できる。具
体的には、それぞれの原料樹脂ペレットや粉体、固体の
細片等をヘンシェルミキサーやリボンミキサーで乾式混
合し、単軸や2軸の押出機、バンバリーミキサー、ニー
ダー、ミキシングロールなどの公知の溶融混合機に供給
して溶融混練することができる。
【0021】上記のようにして得られた生分解性樹脂組
成物は、そのまま、或いは好ましくはペレット状にし
て、フィルム(本発明ではシートも含めてフィルムとい
う。)に成形される。フィルムの成形方法としては、特
に限定は無く、従来の方法が使用可能である。具体的に
は、インフレーション成形、Tダイ押出成形、カレンダ
ー成形などが挙げられ、好ましくはインフレーション成
形又はTダイ押出成形である。フィルムは無延伸でも、
一軸延伸でも、二軸延伸でもよい。延伸する場合には、
延伸倍率は1〜20倍、好ましくは2〜5倍である。本
発明のフィルムの引裂強度は、後述する条件下で、60
g/20μm以上、好ましくは100g/20μm以上
である。
【0022】生分解性ポリエステル樹脂組成物から得ら
れたフィルムのサンプルの生分解性評価方法は、JIS
K6950に準じた活性汚泥を使用する方法や、土壌
中の埋設、海水中や河川中への浸漬、コンポストでの評
価など種々あるが、実施例では、一般フィールドでの分
解性と相関関係があるとされるJIS K6950に準
じて行う。本発明で提供される生分解性ポリエステル樹
脂組成物は、下記JIS K6950で規定する都市下
水標準汚泥中での4週間培養後の分解率が60%以上、
好ましくは80%を上回るものである。また本発明で提
供される生分解性ポリエステル樹脂組成物は、従来のポ
リエチレンやその他のポリオレフィンの代替としてフィ
ルムを始めとする広範な用途に使用することができる。
特に環境に放置されやすいフィルム用途に用いることが
好ましい。
【0023】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。使用
原料は以下のものであり、樹脂原料は成形に使用する前
に、乾燥(60℃×10時間以上)した。 PCL H7:ダイセル化学工業(株)製高溶融粘度ポ
リカプロラクトン、数平均分子量≒70,000 PCL H5:ダイセル化学工業(株)製低溶融粘度ポ
リカプロラクトン、数平均分子量≒50,000 #1903:昭和高分子(株)製重縮合ポリエステル樹
脂Bionolle#1903、ポリブチレンサクシネ
ート、数平均分子量≒70,000 #3001:昭和高分子(株)製重縮合ポリエステル樹
脂Bionolle#3001、ポリブチレンサクシネ
ート・アジペート、数平均分子量≒70,000 ペルプレンS1002:東洋紡(株)製ブタンジオール
・テレフタル酸・カプロラクトンランダム共重合体、数
平均分子量≒100,000 ハイトロンA:竹原化学(株)製タルク、平均粒径3.
3μm
【0024】[コンパウンド及びペレットの製造]上記
原料を表1に示す比率(重量部)でタンブラーを用いて
ブレンドした後、2軸押出機で下記押出条件でコンパウ
ンド化しペレットを製造した。 <押出条件> C1(ホッパー下):100℃ C2:180℃ C3:200℃ C4:200℃ C5:200℃ C6:210℃ C7:210℃ AD:210℃(アダプター) D:200℃(ダイス) Cの1〜7の番号は、C1のホッパー下からダイ方向へ
向かって大きくなる。なお、フィルム化工程の番号付け
も同様である。ホッパーから供給された樹脂は、C1か
らDへ押出された後ペレタイザーによりカットされる。
【0025】[フィルム化]上記ペレットを用いてフィ
ルム化を行なった。フィルム化方法に関しては特に限定
されるものではなく、インフレーション成形法あるいは
Tダイ押出成形法が使用出来るが、この実施例および比
較例ではインフレーション成形法を用いてフィルム化し
た。成形条件は以下の通りである。 <インフレーション成形条件> C1(ホッパー下):100℃ C2:180℃ C3:200℃ C4:200℃ C5:210℃ C6:210℃ AD:210℃(アダプター) D1:210℃(ダイス) D2:210℃ ホッパーから供給されたペレットはC1からD方向へ押
出され、ダイスDでは上方向へ押出され空気圧により円
筒状に膨張されフィルムとなる。 フィルム引取速度:17.0〜25.0 m/min リップ幅:2.0 mm フィルム幅:1,350mm フィルム厚み:20μm
【0026】[実施例及び比較例]この様にして得られ
たフィルムを農業用マルチフィルムとした。上記ペレッ
ト及びフィルムを使用して以下に示す各種評価を行い、
その結果を表1に示した。 [手裂き性評価]現在汎用フィルムとして広く使用されて
いるポリエチレンフィルム(インフレーション成形)に切
り込みを入れたものを手で裂いた時の感覚を基準(10
点満点)とし、上記で得られた各フィルムを手で裂いた
時の感覚を10点満点で評価した。点数が低いほど裂い
た時の手にかかる抵抗が少なく、裂けの断面も波打たな
い。この時の判断基準としては手で裂いた時の手に伝わ
る抵抗や、裂け方(直線性の有無)、裂け面の波打ちな
ど、単なる強度以外に全体的な引裂き性を官能的に評価
した。官能評価の評価基準は次の通りである。 ◎:裂け面が波打ち、また斜めに裂け、引裂き抵抗大の
もの。 ○:裂け面が直線的で、波打ちも少ないが引裂き抵抗大
のもの。 ×:裂け面が直線的で引裂き抵抗小のもの。 ××:×より引裂き抵抗小で裂けが伝播しやすいもの。 [引裂強度]サンプル:上記で得られた各フィルムを幅2
5mm、長さ(MD方向)100mmにカットし、幅の
一端に真ん中から長さ方向に30mmの切り込みを入れ
たものを用いた。サンプルは23℃×50%RHの恒温
恒湿室にて24時間調湿して測定に供した。 <引裂強度測定条件> サンプル長さ(チャック間距離):30mm 使用機器:OLIENTEC社製、RTA−500 ロードセル:5kgf,20% クロスヘッドスピード:500mm/min 試験回数:n=3 (n=3の結果を平均した) 官能評価の評価基準は次の通りである。 ◎:引裂強度強く、斜めに裂け、裂け面が波打つもの。 ○:引裂強度強く、裂け面が直線的で、裂け面が波打つ
もの。 ×:引裂強度弱く、裂け面が直線的なもの。 ××:引裂強度非常に弱く、裂け面が直線的で裂け面の
波打ちが殆どないもの。 [引張試験]上記で得られた各フィルムをJIS K−7
113に基づいて2号ダンベル片に打ち抜いたものを用
いて引張試験を行なった。なお、フィルムの打ち抜きは
MD,TD両方向について行なった。サンプルは23℃
×50%RHの恒温恒湿室にて24時間調湿して測定に
供した。なお、測定条件は以下の通りである。 <引張試験測定条件> サンプル長さ(チャック間距離):80mm 使用機器: OLIENTEC社製、RTA−500 ロードセル:10kgf,40% クロスヘッドスピード:500mm/min 試験回数: n=3(n=3の結果を平均した) [成形加工性評価]上記で得られた各コンパウンドのペ
レットを一軸押出機を用いて3mmφのストランドに成
形し、適当な長さに切断したものをサンプルとして1軸
伸長粘度を測定した。この時、各サンプルに歪み硬化性
があるかどうか、またその歪み硬化性の度合いで成形加
工性を官能評価した。 ◎:歪み硬化性が非常に大きく、インフレーション成形
が可能なもの。 ○:歪み硬化性があり、その度合いは大きくないがイン
フレーション成形が可能なもの。 ×:歪み硬化性を示さず、インフレーション成形が不可
能なもの。 [生分解性]汚泥を用いた簡易分解度試験(JIS K−
6950)に従って生分解性評価を行なった。姫路市標
準活性汚泥を使用し、試験期間28日後の生分解性(重
量%)を測定した。また、上記で得られた生分解性の数
値が60%以下のものを×、60%以上のものを○、8
0%以上のものを◎と表示した。
【0027】
【表1】
【0028】
【発明の効果】本発明によれば、生分解性、成形加工
性、及び物性、特に引裂強度に優れた生分解性フィルム
が得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F071 AA43 AA44 AB30 AF15Y AF16Y AH01 AH04 BB06 BB09 BC01 BC12 4J002 CF031 CF192 CF193 DE136 DE236 DJ006 DJ046 DJ056 DL006 DM006 FA046 FD016 GA01 GG02

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重縮合ポリエステル(A)、溶融粘度が
    10,000〜50,000poise(レオメーター
    測定値)の高分子量ポリカプロラクトン(B(H))、及
    び溶融粘度が1,000〜3,000poise(レオ
    メーター測定値)の低分子量ポリカプロラクトン(B
    (L))からなる生分解性ポリエステル樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 B(H)/B(L)の重量比が90/10〜1
    0/90である請求項1に記載の生分解性ポリエステル
    樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 (B(H)+B(L))/Aの重量比が10/
    90〜70/30である請求項1又は2に記載の生分解
    性ポリエステル樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 高分子量ポリカプロラクトン(B(H))
    及び低分子量ポリカプロラクトン(B(L))がε−カプ
    ロラクトンの開環重合により合成されるポリカプロラク
    トンである請求項1〜3のいずれかに記載の生分解性ポ
    リエステル樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 重縮合ポリエステル(A)が、1,4−
    ブタンジオールとコハク酸との重縮合、又は1,4−ブ
    タンジオールとコハク酸およびアジピン酸との重縮合で
    得られる構造を有する共重合体である請求項1〜4のい
    ずれかに記載の生分解性ポリエステル樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 さらに、無機添加剤(D)を添加してな
    る請求項1〜5のいずれかに記載の生分解性ポリエステ
    ル樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 無機添加剤(D)がタルク及び/又は炭
    酸カルシウムである請求項6に記載の生分解性ポリエス
    テル樹脂組成物。
  8. 【請求項8】 さらに、共重合ポリエステル(C)を添
    加してなる請求項1〜7のいずれかに記載の生分解性ポ
    リエステル樹脂組成物。
  9. 【請求項9】 共重合ポリエステル(C)が、ジオール
    成分としてエチレングリコール及び/又は1,4−ブタ
    ンジオール、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸、コ
    ハク酸及び/又はアジピン酸、並びにラクトン成分とし
    てε−カプロラクトンを使用して、ジオール成分とジカ
    ルボン酸成分とラクトン成分のランダム重縮合で得られ
    る構造を有する共重合体である請求項8に記載の生分解
    性ポリエステル樹脂組成物。
  10. 【請求項10】 請求項1〜9のいずれかに記載の生分
    解性ポリエステル樹脂組成物からなるフィルム。
  11. 【請求項11】 Tダイ成形またはインフレーション成
    形して得られる請求項10に記載のフィルム。
JP2001023685A 2001-01-31 2001-01-31 生分解性ポリエステル樹脂組成物及びフィルム Pending JP2002226688A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001023685A JP2002226688A (ja) 2001-01-31 2001-01-31 生分解性ポリエステル樹脂組成物及びフィルム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001023685A JP2002226688A (ja) 2001-01-31 2001-01-31 生分解性ポリエステル樹脂組成物及びフィルム

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002226688A true JP2002226688A (ja) 2002-08-14

Family

ID=18888938

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001023685A Pending JP2002226688A (ja) 2001-01-31 2001-01-31 生分解性ポリエステル樹脂組成物及びフィルム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002226688A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2707427B1 (de) 2011-05-10 2015-07-08 Basf Se Biologisch abbaubare polyesterfolie
JP2015535027A (ja) * 2012-11-15 2015-12-07 ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピアBasf Se 生分解性ポリエステル混合物

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2707427B1 (de) 2011-05-10 2015-07-08 Basf Se Biologisch abbaubare polyesterfolie
JP2015535027A (ja) * 2012-11-15 2015-12-07 ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピアBasf Se 生分解性ポリエステル混合物

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5867406B2 (ja) 生分解性フィルム
WO2011054191A1 (zh) 一种脂肪族-芳香族共聚酯及其制备方法和用途
JP2004002683A (ja) 生分解性樹脂組成物及びその成形体
EP3666826B1 (en) Polylactic acid composite material and application thereof
JP2001123055A (ja) ポリ乳酸系樹脂組成物
JPH09111107A (ja) 生分解性フィルムあるいはシート、および、生分解性プラスチック成形品
KR101152097B1 (ko) 생분해성 수지 조성물 및 필름 또는 시트
JP4127648B2 (ja) 生分解速度が制御された生分解性樹脂組成物、フィルム及び農業用マルチフィルム
JP2005525448A (ja) ポリエステルブレンド組成物およびそれから製造された生分解性フィルム
JP2004082512A (ja) 生分解性フィルムおよび該フィルムからなる生分解性袋体
JP2002047402A (ja) 生分解性農業用マルチフィルム
JP3084239B2 (ja) 生分解性積層フィルム
JPWO2014156952A1 (ja) フィルム
JP3512970B2 (ja) 生分解性多孔質フィルム
JP3321379B2 (ja) 生分解性多孔質フィルム
JP3905896B2 (ja) 水蒸気バリヤー性が改善された生分解性フィルムおよび水蒸気バリヤー性のコントロール方法
JP2002226688A (ja) 生分解性ポリエステル樹脂組成物及びフィルム
JP2001031853A (ja) ポリ乳酸系重合体組成物
JP3572162B2 (ja) 生分解性多孔質フィルム
JP2000264343A (ja) 生分解性チャック付き袋
JP2007284595A (ja) 脂肪族ポリエステルフィルム
JP2003231798A (ja) 乳酸系樹脂組成物とそのシート状物、及び袋状製品
JP4246523B2 (ja) 乳酸系樹脂組成物
JP2005002165A (ja) 生分解性樹脂組成物、農業用マルチフィルムおよび生分解性の抑制方法
JP2001329149A (ja) 生分解性ポリエステル系樹脂組成物及びフィルム

Legal Events

Date Code Title Description
RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20050825