JP2002225291A - インクジェット式記録ヘッド及びその製造方法並びにインクジェット式記録装置 - Google Patents

インクジェット式記録ヘッド及びその製造方法並びにインクジェット式記録装置

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JP2002225291A
JP2002225291A JP2001030223A JP2001030223A JP2002225291A JP 2002225291 A JP2002225291 A JP 2002225291A JP 2001030223 A JP2001030223 A JP 2001030223A JP 2001030223 A JP2001030223 A JP 2001030223A JP 2002225291 A JP2002225291 A JP 2002225291A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 クロストークを防止してインク吐出特性及び
印字品質を向上したインクジェット式記録ヘッド及びそ
の製造方法並びにインクジェット式記録装置を提供す
る。 【解決手段】 ノズル開口21に連通する圧力発生室1
2が画成された流路形成基板10と、該流路形成基板1
0の一方面側に振動板50を介して下電極60、圧電体
層70及び上電極80からなる圧電素子300とを具備
するインクジェット式記録ヘッドにおいて、前記圧力発
生室12の形成された前記流路形成基板10を研磨によ
り薄く形成することで、前記圧力発生室12を画成する
隔壁11の剛性を確保した状態で当該圧力発生室12を
高密度に配設して、インク吐出特性及び印字品質を向上
する。また、流路形成基板10の研磨面に厚さ指標とな
る凹部15を設けることにより、流路形成基板10の厚
さの制御を容易に行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インク滴を吐出す
るノズル開口と連通する圧力発生室の一部を振動板で構
成し、この振動板を介して圧電素子を設けて、圧電素子
の変位によりインク滴を吐出させるインクジェット式記
録ヘッド及びその製造方法並びにインクジェット式記録
装置に関する。
【0002】
【従来技術】インク滴を吐出するノズル開口と連通する
圧力発生室の一部を振動板で構成し、この振動板を圧電
素子により変形させて圧力発生室のインクを加圧してノ
ズル開口からインク滴を吐出させるインクジェット式記
録ヘッドには、圧電素子が軸方向に伸長、収縮する縦振
動モードの圧電アクチュエータを使用したものと、たわ
み振動モードの圧電アクチュエータを使用したものの2
種類が実用化されている。
【0003】前者は圧電素子の端面を振動板に当接させ
ることにより圧力発生室の容積を変化させることができ
て、高密度印刷に適したヘッドの製作が可能である反
面、圧電素子をノズル開口の配列ピッチに一致させて櫛
歯状に切り分けるという困難な工程や、切り分けられた
圧電素子を圧力発生室に位置決めして固定する作業が必
要となり、製造工程が複雑であるという問題がある。
【0004】これに対して後者は、圧電材料のグリーン
シートを圧力発生室の形状に合わせて貼付し、これを焼
成するという比較的簡単な工程で振動板に圧電素子を作
り付けることができるものの、たわみ振動を利用する関
係上、ある程度の面積が必要となり、高密度配列が困難
であるという問題がある。
【0005】一方、後者の記録ヘッドの不都合を解消す
べく、特開平5−286131号公報に見られるよう
に、振動板の表面全体に亙って成膜技術により均一な圧
電材料層を形成し、この圧電材料層をリソグラフィ法に
より圧力発生室に対応する形状に切り分けて各圧力発生
室毎に独立するように圧電素子を形成したものが提案さ
れている。
【0006】これによれば圧電素子を振動板に貼付ける
作業が不要となって、リソグラフィ法という精密で、か
つ簡便な手法で圧電素子を作り付けることができるばか
りでなく、圧電素子の厚さを薄くできて高速駆動が可能
になるという利点がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うなインクジェット式記録ヘッドでは、圧力発生室が流
路形成基板を貫通して形成されているため、圧力発生室
の配列密度を高くすると、圧力発生室を区画する隔壁の
厚さが薄くなり、隣接する圧力発生室間でクロストーク
が発生し所望の吐出特性が得られないという問題があ
る。
【0008】本発明はこのような事情に鑑み、クロスト
ークを防止してインク吐出特性及び印字品質を向上した
インクジェット式記録ヘッド及びその製造方法並びにイ
ンクジェット式記録装置を提供することを課題とする。
【0009】
【発明が解決するための手段】上記課題を解決する本発
明の第1の態様は、ノズル開口に連通する圧力発生室が
画成された流路形成基板と、該流路形成基板の一方面側
に振動板を介して下電極、圧電体層及び上電極からなる
圧電素子とを具備するインクジェット式記録ヘッドにお
いて、前記流路形成基板の他方面側には、当該流路形成
基板の厚さ指標となる凹部を有することを特徴とするイ
ンクジェット式記録ヘッドにある。
【0010】かかる第1の態様では、凹部により容易に
流路形成基板の厚さを判別することができる。
【0011】本発明の第2の態様は、第1の態様におい
て、前記流路形成基板が他方面側を研磨することにより
所定の厚さに形成されていることを特徴とするインクジ
ェット式記録ヘッドにある。
【0012】かかる第2の態様では、流路形成基板の厚
さを容易に薄くでき、圧力発生室を画成する隔壁の剛性
を高めてクロストークを防止することができる。このた
め圧力発生室を高密度に配置できる。
【0013】本発明の第3の態様は、第1又は2の態様
において、前記流路形成基板の厚さが、前記凹部の位置
及び形状の何れか一方により識別できることを特徴とす
るインクジェット式記録ヘッドにある。
【0014】かかる第3の態様では、凹部の位置及び形
状の何れか一方により容易に流路形成基板の厚さを判別
することができる。
【0015】本発明の第4の態様は、第1〜3の何れか
の態様において、前記流路形成基板がシリコン単結晶基
板であることを特徴とするインクジェット式記録ヘッド
にある。
【0016】かかる第4の態様では、圧力発生室及び凹
部を容易且つ高精度に形成することができる。
【0017】本発明の第5の態様は、第4の態様におい
て、前記シリコン単結晶基板の主面が(110)方位で
あると共に前記凹部が異方性エッチングにより形成され
ていることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドに
ある。
【0018】かかる第5の態様では、凹部を異方性エッ
チングにより容易且つ高精度に形成することができる。
【0019】本発明の第6の態様は、第5の態様におい
て、前記凹部は、(110)面に対して傾斜する(11
1)面が交差する点で深さが決められていることを特徴
とするインクジェット式記録ヘッドにある。
【0020】かかる第6の態様では、凹部を所定の深さ
で容易且つ高精度に形成することができる。
【0021】本発明の第7の態様は、第1〜6の何れか
の態様のインクジェット式記録ヘッドを具備することを
特徴とするインクジェット式記録装置にある。
【0022】かかる第7の態様では、インク吐出特性を
均一化したインクジェット式記録装置を実現できる。
【0023】本発明の第8の態様は、シリコン単結晶基
板からなる流路形成基板に圧力発生室を形成すると共
に、前記流路形成基板の一方面側に振動板を介して成膜
及びリソグラフィ法により形成された薄膜からなる下電
極、圧電体層及び上電極からなる圧電素子を形成するイ
ンクジェット式記録ヘッドの製造方法において、前記流
路形成基板の一方面側に前記振動板を介して前記下電
極、圧電体層及び上電極を順次積層及びパターニングし
て前記圧電素子を形成した後に、当該流路形成基板の他
方面側を研磨して所定の厚さとする研磨工程を有するこ
とを特徴とするインクジェット式記録ヘッドの製造方法
にある。
【0024】かかる第8の態様では、流路形成基板を容
易且つ確実に薄く形成でき、圧力発生室間のクロストー
クを防止して圧力発生室を高い配列密度で形成できる。
【0025】本発明の第9の態様は、第8の態様におい
て、前記研磨工程は、前記流路形成基板の他方面に所定
の深さを有し且つそれぞれの深さが異なる複数の凹部を
形成した後に行うことを特徴とするインクジェット式記
録ヘッドの製造方法にある。
【0026】かかる第9の態様では、凹部により流路形
成基板の厚さを容易に判別することができる。
【0027】本発明の第10の態様は、第9の態様にお
いて、前記研磨工程では、前記凹部を前記流路形成基板
の厚さ指標として研磨することを特徴とするインクジェ
ット式記録ヘッドの製造方法にある。
【0028】かかる第10の態様では、凹部を指標とす
ることにより流路形成基板の厚さを容易に制御すること
ができる。
【0029】本発明の第11の態様は、第9又は10の
態様において、前記研磨工程の後に、前記凹部の位置及
び形状の何れか一方によって当該流路形成基板の厚さを
識別することを特徴とするインクジェット式記録ヘッド
の製造方法にある。
【0030】かかる第11の態様では、凹部の位置及び
形状の何れか一方により容易に流路形成基板の厚さを識
別することができる。
【0031】本発明の第12の態様は、第8〜11の何
れかの態様において、前記研磨工程の前に、前記流路形
成基板の他方面側に前記圧力発生室を形成することを特
徴とするインクジェット式記録ヘッドの製造方法にあ
る。
【0032】かかる第12の態様では、圧力発生室を形
成した後に流路形成基板を研磨することにより、研磨す
る領域が少なくなるため、比較的短時間で容易に研磨で
きる。
【0033】本発明の第13の態様は、第9〜11の何
れかの態様において、前記研磨工程の前に、前記流路形
成基板の他方面側に前記圧力発生室と前記凹部とを同時
に形成することを特徴とするインクジェット式記録ヘッ
ドの製造方法にある。
【0034】かかる第13の態様では、圧力発生室と凹
部とを同時に形成することにより、製造工程を簡略化す
ることができる。
【0035】本発明の第14の態様は、第8〜11の何
れかの態様において、前記研磨工程の後に、前記流路形
成基板の他方面側に前記圧力発生室を形成することを特
徴とするインクジェット式記録ヘッドの製造方法にあ
る。
【0036】かかる第14の態様では、流路形成基板を
研磨した後に圧力発生室を形成することによって、研磨
による隔壁の破壊を確実に防止することができる。
【0037】本発明の第15の態様は、第14の態様に
おいて、前記圧力発生室の形成は、前記流路形成基板の
研磨面にマスクパターンを形成し、該マスクパターンを
介して前記流路形成基板をエッチングすることにより形
成することを特徴とするインクジェット式記録ヘッドの
製造方法にある。
【0038】かかる第15の態様では、圧力発生室を容
易且つ高精度に形成することができる。
【0039】本発明の第16の態様は、第9〜15の何
れかの態様において、前記シリコン単結晶基板の主面が
(110)方位からなり、前記凹部を異方性エッチング
により形成することを特徴とするインクジェット式記録
ヘッドの製造方法にある。
【0040】かかる第16の態様では、凹部を異方性エ
ッチングにより容易且つ高精度に形成することができ
る。
【0041】本発明の第17の態様は、第16の態様に
おいて、前記凹部は、(110)面に対して傾斜する
(111)面が交差する点で深さが決められていること
を特徴とするインクジェット式記録ヘッドの製造方法に
ある。
【0042】かかる第17の態様では、凹部を所定の深
さで容易且つ高精度に形成することができる。
【0043】
【発明の実施の形態】以下に本発明を実施形態に基づい
て詳細に説明する。
【0044】(実施形態1)図1は、本発明の実施形態
1に係るインクジェット式記録ヘッドを示す分解斜視で
あり、図2は、インクジェット式記録ヘッドの平面図で
あり、図3(a)は、インクジェット式記録ヘッドの圧
力発生室の長手方向断面図、図3(b)は(a)のA−
A′断面図、図3(c)は(b)のB−B′断面図であ
る。
【0045】図示するように、流路形成基板10は、本
実施形態では面方位(110)のシリコン単結晶基板か
らなる。流路形成基板10の一方の面は開口面となり、
他方の面には予め熱酸化により形成した二酸化シリコン
からなる、厚さ0.1〜2μmの弾性膜50が形成され
ている。
【0046】この流路形成基板10には、異方性エッチ
ングすることにより、複数の隔壁11によって区画され
た圧力発生室12が幅方向に並設されている。この圧力
発生室12の配列密度は、1インチ当たり360個であ
る。また、その長手方向外側には、後述するリザーバ形
成基板のリザーバ部に連通して各圧力発生室12の共通
のインク室となるリザーバ100の一部を構成する連通
部13が形成され、各圧力発生室12の長手方向一端部
とそれぞれインク供給路14を介して連通されている。
【0047】ここで、異方性エッチングは、シリコン単
結晶基板をKOH等のアルカリ溶液に浸漬すると、徐々
に侵食されて(110)面に垂直な第1の(111)面
と、この第1の(111)面と約70度の角度をなし且
つ上記(110)と約35度の角度をなす第2の(11
1)面とが出現し、(110)面のエッチングレートと
比較して(111)面のエッチングレートが約1/18
0であるという性質を利用して行われるものである。か
かる異方性エッチングにより、二つの第1の(111)
面と斜めの二つの第2の(111)面とで形成される平
行四辺形状の深さ加工を基本として精密加工を行うこと
ができ、圧力発生室12を高密度に配列することができ
る。
【0048】本実施形態では、各圧力発生室12の長辺
を第1の(111)面で、短辺を第2の(111)面で
形成している。この圧力発生室12は、流路形成基板1
0をほぼ貫通して弾性膜50に達するまでエッチングす
ることにより形成されている。ここで、弾性膜50は、
シリコン単結晶基板をエッチングするアルカリ溶液に侵
される量がきわめて小さい。また、各圧力発生室12の
一端に連通する各インク供給路14は、圧力発生室12
より浅く形成されている。すなわち、インク供給路14
は、シリコン単結晶基板を厚さ方向に途中までエッチン
グ(ハーフエッチング)することにより形成されてい
る。なお、ハーフエッチングは、エッチング時間の調整
により行われる。
【0049】このような流路形成基板10の厚さは、圧
力発生室12を配列密度に合わせて最適な厚さを選択す
ればよく、例えば、1インチ当たり180個程度の配列
密度であれば、流路形成基板10の厚さは、220μm
程度であればよいが、例えば、1インチ当たり200個
以上と比較的高密度に配列する場合には、流路形成基板
10の厚さは、100μm以下と比較的薄くするのが好
ましい。これは、隣接する圧力発生室12間の隔壁11
の剛性を保ちつつ、配列密度を高くできるからである。
なお、本実施形態では、流路形成基板の厚さを約75μ
mとした。
【0050】また、流路形成基板10の開口側の面に
は、所定の深さを有する複数の凹部15が形成されてい
る。
【0051】ここで、流路形成基板10は、開口側の面
を研磨することにより薄く形成されており、研磨した際
に、凹部15の位置及び形状の何れか一方により流路形
成基板10の厚さを識別することができる。
【0052】詳しくは、流路形成基板10は、ウェハ上
に後述する圧電素子等の薄膜を形成し、圧力発生室12
をエッチングにより形成後、図1に示す一つのチップサ
イズ毎に切り分けられて形成されるが、一般的には切り
分ける前のウェハ状態で研磨して所定の厚さにする。こ
のためウェハ上の位置によって、流路形成基板10の厚
さにバラツキが生じる可能性があるが、複数の凹部15
により、各流路形成基板10の厚さを容易に識別するこ
とができる。
【0053】すなわち、所定の深さの複数の凹部15
は、流路形成基板10となるウェハを研磨する際に、研
磨量によって浅い凹部15から消失し、残った凹部15
の位置及び凹部15の形状の少なくとも一方によって、
切り分けた各流路形成基板10の厚さを容易に識別する
ことができる。本実施形態では、流路形成基板10の厚
さを研磨により約220μmから約75μmの厚さに形
成するため、深さが135μm〜155μmで5μmず
つ深さの異なる凹部15を5つ設けるようにした。
【0054】このようにウェハを所定の厚さまで研磨
し、流路形成基板10に切り分けた際に、例えば、5つ
の凹部15の内、深さが135μm及び140μmの2
つの凹部15が消失し、145μm〜155μmの3つ
の凹部15が残った流路形成基板10の厚さは70μm
よりも厚く、80μmよりも薄いと識別することができ
る。
【0055】このように残った凹部15の位置及び形状
を確認するだけで流路形成基板10の厚さを容易に識別
することができる。また、流路形成基板10を厚さの違
いで分類することができるため、流路形成基板10の厚
さ、すなわち圧力発生室12の深さに応じて駆動波形を
選択するようにすれば、各インクジェット式記録ヘッド
のインク吐出特性を均一化させることができる。
【0056】なお、本実施形態では、凹部15を圧力発
生室12の並設方向の一端部に圧力発生室12の長手方
向に向かって縦に並設するように、異方性エッチング
(ウェットエッチング)により形成した。このような凹
部15は、マスクパターンの開口の圧力発生室12の長
手方向側の長さを変えることで深さが調整されている。
すなわち、流路形成基板10は、面方位(110)のシ
リコン単結晶基板からなり、凹部15をウェットエッチ
ングにより形成すると、表面の(110)面に対して傾
斜する第2の(111)面が交差する深さで自動的にエ
ッチングが終了される。このように、凹部15を形成す
るマスクパターンの開口の圧力発生室12の長手方向側
の長さ、すなわち、表面の(110)面に対して垂直な
第1の(111)面の長さが、短ければ浅い凹部15が
形成され、逆に長ければ深い凹部15が形成される。し
たがって、マスクパターンの開口の圧力発生室12の長
手方向側の長さを変えるだけで所定の深さの複数の凹部
15を容易且つ高精度に形成することができる。
【0057】また、流路形成基板10の開口面側には、
各圧力発生室12のインク供給路14とは反対側で連通
するノズル開口21が穿設されたノズルプレート20が
接着剤や熱溶着フィルム等を介して固着されている。な
お、ノズルプレート20は、厚さが例えば、0.1〜1
mmで、線膨張係数が300℃以下で、例えば2.5〜
4.5[×10−6/℃]であるガラスセラミックス、
又は不錆鋼などからなる。ノズルプレート20は、一方
の面で流路形成基板10の一面を全面的に覆い、シリコ
ン単結晶基板を衝撃や外力から保護する補強板の役目も
果たす。
【0058】ここで、インク滴吐出圧力をインクに与え
る圧力発生室12の大きさと、インク滴を吐出するノズ
ル開口21の大きさとは、吐出するインク滴の量、吐出
スピード、吐出周波数に応じて最適化される。例えば、
1インチ当たり360個のインク滴を記録する場合、ノ
ズル開口21は数十μmの径で精度よく形成する必要が
ある。
【0059】一方、流路形成基板10に設けられた弾性
膜50の上には、厚さが例えば、約0.2μmの下電極
膜60と、厚さが例えば、約1μmの圧電体層70と、
厚さが例えば、約0.1μmの上電極膜80とが、後述
するプロセスで積層形成されて、圧電素子300を構成
している。ここで、圧電素子300は、下電極膜60、
圧電体層70、及び上電極膜80を含む部分をいう。一
般的には、圧電素子300の何れか一方の電極を共通電
極とし、他方の電極及び圧電体層70を各圧力発生室1
2毎にパターニングして構成する。そして、ここではパ
ターニングされた何れか一方の電極及び圧電体層70か
ら構成され、両電極への電圧の印加により圧電歪みが生
じる部分を圧電体能動部という。本実施形態では、下電
極膜60は圧電素子300の共通電極とし、上電極膜8
0を圧電素子300の個別電極としているが、駆動回路
や配線の都合でこれを逆にしても支障はない。何れの場
合においても、各圧力発生室毎に圧電体能動部が形成さ
れていることになる。また、ここでは、圧電素子300
と当該圧電素子300の駆動により変位が生じる振動板
とを合わせて圧電アクチュエータと称する。なお、上述
した例では、弾性膜50及び下電極膜60が振動板とし
て作用するが、下電極膜が弾性膜を兼ねるようにしても
よい。
【0060】また、圧電素子300の個別電極である上
電極膜80は、圧電素子300の長手方向一端部近傍か
ら弾性膜50上に延設されたリード電極90を介して図
示しない外部配線と接続されている。
【0061】さらに、流路形成基板10の圧電素子30
0側には、リザーバ100の少なくとも一部を構成する
リザーバ部31を有するリザーバ形成基板30が接合さ
れている。このリザーバ部31は、本実施形態では、リ
ザーバ形成基板30を厚さ方向に貫通して圧力発生室1
2の幅方向に亘って形成されており、上述のように流路
形成基板10の連通部13と連通されて各圧力発生室1
2の共通のインク室となるリザーバ100を構成してい
る。
【0062】このようなリザーバ形成基板30として
は、流路形成基板10の熱膨張率と略同一の材料、例え
ば、ガラス、セラミック材料等を用いることが好まし
く、本実施形態では、流路形成基板10と同一材料のシ
リコン単結晶基板を用いて形成した。これにより、上述
のノズルプレート20の場合と同様に、熱硬化性の接着
剤を用いた高温での接着であっても両者を確実に接着す
ることができる。したがって、製造工程を簡略化するこ
とができる。
【0063】また、リザーバ形成基板30の圧電素子3
00に対向する領域には、圧電素子300の運動を阻害
しない程度の空間を確保した状態で、その空間を密封可
能な圧電素子保持部32が設けられ、圧電素子300は
この圧電素子保持部32内に密封されている。なお、本
実施形態では、圧電素子保持部32は並設された複数の
圧電素子300を覆う大きさで形成されている。
【0064】さらに、リザーバ形成基板30には、封止
膜41及び固定板42とからなるコンプライアンス基板
40が接合されている。ここで、封止膜41は、剛性が
低く可撓性を有する材料(例えば、厚さが6μmのポリ
フェニレンスルフィド(PPS)フィルム)からなり、
この封止膜41によってリザーバ部31の一方面が封止
されている。また、固定板42は、金属等の硬質の材料
(例えば、厚さが30μmのステンレス鋼(SUS)
等)で形成される。この固定板42のリザーバ100に
対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部4
3となっているため、リザーバ100の一方面は可撓性
を有する封止膜41のみで封止され、内部圧力の変化に
よって変形可能な可撓部25となっている。
【0065】また、このリザーバ100の長手方向略中
央部外側のコンプライアンス基板40上には、リザーバ
100にインクを供給するためのインク導入口44が形
成されている。さらに、リザーバ形成基板30には、イ
ンク導入口44とリザーバ100の側壁とを連通するイ
ンク導入路36が設けられている。なお、本実施形態で
は、一つのインク導入口44及びインク導入路36によ
って、リザーバ100にインクを供給するようにしてい
るが、これに限定されず、例えば、所望のインク供給量
に応じて、複数のインク導入口及びインク導入路を設け
るようにしてもよいし、あるいはインク導入口の開口面
積を大きくしてインク流路を拡大するようにようにして
もよい。
【0066】このような本実施形態のインクジェット式
記録ヘッドは、図示しない外部インク供給手段と接続し
たインク導入口44からインクを取り込み、リザーバ1
00からノズル開口21に至るまで内部をインクで満た
した後、図示しない外部の駆動回路からの記録信号に従
い、圧力発生室12に対応するそれぞれの下電極膜60
と上電極膜80との間に電圧を印加し、弾性膜50、下
電極膜60及び圧電体層70をたわみ変形させることに
より、各圧力発生室12内の圧力が高まりノズル開口2
1からインク滴が吐出する。
【0067】ここで、このようなインクジェット式記録
ヘッドの製造方法を詳細に説明する。なお、図4〜図6
は、インクジェット式記録ヘッドの製造方法を示す断面
図であり、図4及び図6は、圧力発生室の並設方向の断
面図、図5は、圧力発生室の長手方向に沿った凹部の並
設方向の断面図である。
【0068】まず、図4(a)に示すように、流路形成
基板10となるシリコン単結晶基板のウェハを約110
0℃の拡散炉で熱酸化して二酸化シリコンからなる弾性
膜50及び第1の保護膜55を形成する。第1の保護膜
55は、後の工程で凹部15を形成するためのマスクパ
ターンとして用いられる。なお、シリコン単結晶基板
は、本実施形態では220μmの厚さとした。
【0069】次に、図4(b)に示すように、スパッタ
リングで下電極膜60を流路形成基板10の弾性膜50
上の全面に亘って形成すると共に所定形状にパターニン
グする。この下電極膜60の材料としては、白金、イリ
ジウム等が好適である。これは、スパッタリング法やゾ
ル−ゲル法で成膜する後述の圧電体層70は、成膜後に
大気雰囲気下又は酸素雰囲気下で600〜1000℃程
度の温度で焼成して結晶化させる必要があるからであ
る。すなわち、下電極膜60の材料は、このような高
温、酸化雰囲気下で導電性を保持できなければならず、
殊に、圧電体層70としてチタン酸ジルコン酸鉛(PZ
T)を用いた場合には、酸化鉛の拡散による導電性の変
化が少ないことが望ましく、これらの理由から白金、イ
リジウムが好適である。
【0070】次に、図4(c)に示すように、圧電体層
70及び上電極膜80を形成すると共に圧電体層70及
び上電極膜80のみをエッチングして圧電素子300の
パターニングを行う。
【0071】この圧電体層70は、例えば、本実施形態
では、金属有機物を触媒に溶解・分散したいわゆるゾル
を塗布乾燥してゲル化し、さらに高温で焼成することで
金属酸化物からなる圧電体層70を得る、いわゆるゾル
−ゲル法を用いて形成した。圧電体層70の材料として
は、PZT系の材料がインクジェット式記録ヘッドに使
用する場合には好適である。なお、この圧電体層70の
成膜方法は、特に限定されず、例えば、スパッタリング
法又はMOD法(有機金属熱塗布分解法)等のスピンコ
ート法により成膜してもよい。
【0072】また、ゾル−ゲル法又はスパッタリング法
もしくはMOD法等によりチタン酸ジルコン酸鉛の前駆
体膜を形成後、アルカリ水溶液中での高圧処理法にて低
温で結晶化させる方法を用いてもよい。
【0073】さらに、上電極膜80は、導電性の高い材
料であればよく、アルミニウム、金、ニッケル、白金等
の多くの金属や、導電性酸化物等を使用できる。本実施
形態では、白金をスパッタリングにより成膜している。
【0074】次に、図4(d)に示すように、リード電
極90を流路形成基板10の全面に亘って形成すると共
に、各圧電素子300毎にパターニングする。
【0075】以上が膜形成プロセスである。このように
して膜形成を行った後、前述したアルカリ溶液によるシ
リコン単結晶基板の異方性エッチングを行い、図5に示
すように、圧力発生室12、連通部13、インク供給路
14及び凹部15を異方性エッチングにより形成する。
なお、図4は、圧力発生室の並設方向の断面図である
が、図5は、圧力発生室の長手方向に沿った凹部15の
並設方向の断面図である。
【0076】具体的には、まず図5(a)に示すように
シリコン単結晶基板の他方面側に形成された第1の保護
膜55の凹部15が形成される領域をパターニングする
ことにより開口15aを形成する。
【0077】ここで、後の工程で形成される凹部15
は、その並設方向に向かって深さが段階的に深くなるよ
うに形成するため、凹部15が形成される領域に対応し
て設けられた第1の保護膜55の開口15aは、シリコ
ン単結晶基板の(110)面に対して垂直な第1の(1
11)面方向の長さが徐々に長くなるように設けられて
いる。
【0078】次いで、図5(b)に示すように、前述し
たアルカリ溶液によるシリコン単結晶基板の異方性エッ
チングを行い、所定の深さで複数の凹部15を形成す
る。
【0079】このとき、凹部15は異方性エッチングに
より表面の(110)面に対して傾斜する第2の(11
1)面が交差する深さまでエッチングされて自動的に終
了する。そのため、第1の保護膜55に形成された開口
15aの(110)面に対して垂直な第1の(111)
面の長さの違いにより深さの異なる凹部15を同時に複
数形成することができる。なお、本実施形態では、13
5μm〜155μmで5μmずつ深さが異なる凹部15
を5つ形成した。
【0080】次いで、図5(c)に示すように、流路形
成基板10の凹部15側の面を研磨、例えば、ダイヤモ
ンド砥粒を用いた片面ラッピングにより、流路形成基板
10を所定の厚さ、本実施形態では略75μmにした。
具体的には、まず、粒径が3μm程度の砥粒(多結晶)
を用いて荒研磨し、その後、粒径が1μm程度の砥粒
(多結晶)を用いて仕上げ研磨を行った。
【0081】このように流路形成基板10を研磨する
と、複数の凹部15の内、浅い凹部15から徐々に消失
し、凹部15の形状及び残った凹部15の位置の少なく
とも一方から流路形成基板10の厚さを識別することが
できる。図5(c)に示す流路形成基板10では、研磨
により5つの凹部15の内、浅い2つの凹部15が消失
し、深い3つの凹部15が残ったため、70μmより厚
く80μmよりも薄いと識別することができる。
【0082】また、本実施形態では、流路形成基板10
に135μm〜155μmまで5μmずつ深さの異なる
5つの凹部15を設けたため、流路形成基板10の10
μm以上の厚さの違いを識別し、分類することができ
る。なお、凹部15の数は、特に限定されず、例えば、
135μm〜155μmまで2μmずつ深さの異なる凹
部を11個設けるようにすれば、4μm以上の厚さの違
いを識別し、分類することができる。また、凹部15の
深さを135μm〜155μmの範囲と限定する必要も
なく、分類したい流路形成基板の厚さの違いや研磨器具
の性能等によって凹部の深さの範囲及び深さの差を適宜
決定すればよい。
【0083】また、本実施形態では、流路形成基板10
の厚さを薄くして圧力発生室12を浅く形成したため、
隔壁11の剛性を高めて圧力発生室12間のクロストー
クを防止することができる。このため、圧力発生室12
を高い配列密度で形成でき、インク吐出特性を向上する
ことができると共にノズル開口21を高い配列密度で配
置して高解像度の印字品質を達成することができる。
【0084】なお、本実施形態では、流路形成基板10
に凹部15を形成してから、流路形成基板10を薄く研
磨し、その後、圧力発生室12を形成するようにした
が、これに限定されず、例えば、凹部15、圧力発生室
12、連通部13及びインク供給路14を同時に異方性
エッチングにより形成後、流路形成基板10を薄く研磨
するようにしてもよく、圧力発生室12と凹部15とを
別工程で形成するようにしてもよい。
【0085】次いで、図6(a)に示すように、流路形
成基板10の研磨面を、例えば、TEOS−CVD法に
より低温(350〜500℃)で二酸化シリコン層を形
成すると共にパターニングして第2の保護膜56を形成
する。
【0086】このとき、TEOS−CVD法により低温
で第2の保護膜56を形成するため、流路形成基板10
や圧電素子300へのダメージを無くすことができる。
【0087】次いで、図6(b)に示すように、前述し
たアルカリ溶液によるシリコン単結晶基板の異方性エッ
チングを行い、圧力発生室12を形成する。
【0088】このような一連の膜形成及び異方性エッチ
ングによって、一枚のウェハ上に多数のチップを同時に
形成し、プロセス終了後、図1に示すような一つのチッ
プサイズの流路形成基板10毎に分割する。このとき、
前述したように各流路形成基板10の凹部15の形状及
び位置の少なくとも一方により、流路形成基板10の厚
さを識別して分類することができる。そして、分割した
流路形成基板10に、ノズルプレート20、リザーバ形
成基板30及びコンプライアンス基板40を順次接着し
て一体化し、インクジェット式記録ヘッドとする。
【0089】(実施形態2)実施形態2は、流路形成基
板10の形成される一つのウェハの所定位置に複数の凹
部を設け、この凹部を指標としてウェハを研磨するよう
にした製造工程の例である。
【0090】ここで、本実施形態の製造工程について詳
細に説明する。図7は、実施形態2に係るインクジェッ
ト式記録ヘッドの製造工程を説明するウェハの斜視図で
ある。なお、上述した実施形態1と重複する製造工程の
説明は省略する。
【0091】上述した実施形態1と同様に、ウェハ11
0上に弾性膜50、圧電素子300及びリード電極90
を形成後、図示するように深さの異なる5つの凹部15
で構成される凹部グループ16をウェハ110の所定位
置に複数設ける。この凹部グループ16は、本実施形態
では、切り分けられる流路形成基板10以外の領域に4
つ形成し、ウェハ110の略中央部に一つ形成した。
【0092】ウェハ110の略中央部に形成した凹部グ
ループ16の凹部15は、隣り合う流路形成基板10に
亘って設けるようにしてもよく、一つの流路形成基板1
0に設けるようにしてもよい。また、これら凹部グルー
プ16の数は、特に限定されない。
【0093】なお、凹部グループ16を構成する5つの
凹部15の形成は、上述した実施形態1と同様であるの
で重複する説明を省略する。
【0094】次いで、図7(b)に示すように、複数の
凹部グループ16をウェハ110の厚さ指標として研磨
し、所定の厚さのウェハ110を形成する。
【0095】具体的には、ウェハ110の圧電素子30
0側の面を、上述した実施形態1と同様に、ダイヤモン
ド砥粒を用いた片面ラッピングにより、各凹部グループ
16を構成する所定の深さの複数の凹部15を指標とし
て凹部15側を研磨する。このとき、複数の凹部15
は、浅い凹部15から徐々に消失し、凹部15の形状及
び残った凹部15の位置の少なくとも一方からウェハ1
10の厚さを識別してウェハ110を所望の厚さまで研
磨することができる。
【0096】また、各凹部グループ16の凹部15の途
中まで研磨された凹部15の形状及び残った凹部15の
位置を同じになるように研磨することで、ウェハ110
の面方向の厚さを略均一に形成することができる。
【0097】なお、本実施形態では、各凹部グループ1
6において、凹部グループ16を構成する5つの凹部1
5の内、135μm及び140μmの2つの凹部15が
消失し、145μm〜155μmの3つの凹部15が残
るように研磨すれば、ウェハ110の厚さを70μmよ
りも厚く、80μmよりも薄く略均一な厚さに形成する
ことができる。したがって、このウェハ110から切り
分けた全ての流路形成基板10が略均一な厚さとなる。
【0098】その後の圧力発生室12の形成や、ノズル
プレート20、リザーバ形成基板30及びコンプライア
ンス基板40の接合等は上述した実施形態1と同様であ
る。
【0099】なお、本実施形態では、ウェハ110を研
磨する際の厚さ指標となる凹部15からなる凹部グルー
プ16を設けるようにしたが、これに限定されず、例え
ば、この凹部グループ16に加え、上述した実施形態1
と同様に流路形成基板10毎に凹部15を設けるように
してもよい。
【0100】(他の実施形態)以上、本発明の実施形態
1及び2を説明したが、インクジェット式記録ヘッド及
びその製造方法の基本的構成は上述したものに限定され
るものではない。
【0101】上述した実施形態1及び2では、流路形成
基板10を面方位(110)のシリコン単結晶基板と
し、凹部15を形成するマスクパターンである第1の保
護膜55の開口15aの(110)面に対して垂直な第
1の(111)面方向の長さを変えて異方性エッチング
することにより、深さの異なる複数の凹部15を形成し
たが、これに限定されず、例えば、流路形成基板に面方
位(100)のシリコン単結晶基板を用いてもよく、凹
部をドライエッチングのエッチング時間の調整(ハーフ
エッチング)により深さの異なる複数の凹部を形成する
ようにしてもよい。何れにしても、所定の深さの複数の
凹部を各流路形成基板10のそれぞれに設ければ、流路
形成基板10の厚さを容易に識別して分類することがで
きる。また、所定の深さの複数の凹部をウェハに設け、
この凹部を指標としてウェハを研磨して所定の厚さとす
ることで、ウェハの面方向の厚さを略均一にすることが
でき、切り分けた流路形成基板の厚さを均一化すること
ができる。
【0102】また、上述した実施形態1及び2のインク
ジェット式記録ヘッドの製造方法では、流路形成基板1
0に凹部15を設け、流路形成基板10又はウェハ11
0を研磨する際に、この凹部15を厚さ指標としたが、
勿論、凹部15を設けずに流路形成基板10を研磨する
ようにしてもよい。何れにしても、流路形成基板10に
圧電素子300を形成後、研磨して所定の厚さとするこ
とにより、隔壁11の剛性を高め、圧力発生室12を高
い配列密度で配置してもクロストークを防止することが
できる。したがって、吐出特性が向上すると共に高品質
印刷を達成することができる。
【0103】また、上述した実施形態のインクジェット
式記録ヘッドは、インクカートリッジ等と連通するイン
ク流路を具備する記録ヘッドユニットの一部を構成し
て、インクジェット式記録装置に搭載される。図8は、
そのインクジェット式記録装置の一例を示す概略図であ
る。
【0104】図8に示すように、インクジェット式記録
ヘッドを有する記録ヘッドユニット1A及び1Bは、イ
ンク供給手段を構成するカートリッジ2A及び2Bが着
脱可能に設けられ、この記録ヘッドユニット1A及び1
Bを搭載したキャリッジ3は、装置本体4に取り付けら
れたキャリッジ軸5に軸方向移動自在に設けられてい
る。この記録ヘッドユニット1A及び1Bは、例えば、
それぞれブラックインク組成物及びカラーインク組成物
を吐出するものとしている。
【0105】そして、駆動モータ6の駆動力が図示しな
い複数の歯車およびタイミングベルト7を介してキャリ
ッジ3に伝達されることで、記録ヘッドユニット1A及
び1Bを搭載したキャリッジ3はキャリッジ軸5に沿っ
て移動される。一方、装置本体4にはキャリッジ3に沿
ってプラテン8が設けられている。このプラテン8は図
示しない紙送りモータの駆動力により回転できるように
なっており、給紙ローラなどにより給紙された紙等の記
録媒体である記録シートSがプラテン8に巻き掛けられ
て搬送されるようになっている。
【0106】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によると、
流路形成基板に、流路形成基板を研磨する際に指標とな
る凹部を設けることにより、流路形成基板の厚さを容易
に識別することができる。また、識別した厚さによって
駆動波形を選択するようにすれば、インク吐出特性を均
一化することができる。さらに、ウェハ状態で凹部を指
標として研磨することにより面方向の厚さが略均一な流
路形成基板を形成することができる。これにより、製造
工程を簡略化して製造コストを低減することができる。
【0107】また、流路形成基板の厚さを研磨により薄
くすることで圧力発生室を高い配列密度で配置でき、イ
ンク吐出特性を向上することができると共に高印刷品質
を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1に係るインクジェット式記
録ヘッドの斜視図である。
【図2】本発明の実施形態1に係るインクジェット式記
録ヘッドの平面図である。
【図3】本発明の実施形態1に係るインクジェット式記
録ヘッドの断面図であり、(a)は圧力発生室の長手方
向の断面図、(b)は(a)のA−A′断面図、(c)
は(b)のB−B′断面図である。
【図4】本発明の実施形態1に係るインクジェット式記
録ヘッドの製造工程を示す凹部の並設方向の断面図であ
る。
【図5】本発明の実施形態1に係るインクジェット式記
録ヘッドの製造工程を示す凹部の並設方向の断面図であ
る。
【図6】本発明の実施形態1に係るインクジェット式記
録ヘッドの製造工程を示す圧力発生室の並設方向の断面
図である。
【図7】本発明の実施形態2に係るインクジェット式記
録ヘッドの製造工程を示すウェハの斜視図である。
【図8】本発明の一実施形態に係るインクジェット式記
録装置の概略図である。
【符号の説明】
10 流路形成基板 11 隔壁 12 圧力発生室 13 連通部 14 インク供給路 15 凹部 16 凹部グループ 20 ノズルプレート 21 ノズル開口 30 リザーバ形成基板 40 コンプライアンス基板 50 弾性膜 60 下電極膜 70 圧電体層 80 上電極膜 90 リード電極 100 リザーバ 110 ウェハ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 村井 正己 長野県諏訪市大和3丁目3番5号 セイコ ーエプソン株式会社内 Fターム(参考) 2C057 AF34 AF40 AF93 AG12 AG42 AP02 AP22 AP34 AQ02 BA04 BA14

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ノズル開口に連通する圧力発生室が画成
    された流路形成基板と、該流路形成基板の一方面側に振
    動板を介して下電極、圧電体層及び上電極からなる圧電
    素子とを具備するインクジェット式記録ヘッドにおい
    て、 前記流路形成基板の他方面側には、当該流路形成基板の
    厚さ指標となる凹部を有することを特徴とするインクジ
    ェット式記録ヘッド。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記流路形成基板が
    他方面側を研磨することにより所定の厚さに形成されて
    いることを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2において、前記流路形成
    基板の厚さが、前記凹部の位置及び形状の何れか一方に
    より識別できることを特徴とするインクジェット式記録
    ヘッド。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3の何れかにおいて、前記流
    路形成基板がシリコン単結晶基板であることを特徴とす
    るインクジェット式記録ヘッド。
  5. 【請求項5】 請求項4において、前記シリコン単結晶
    基板の主面が(110)方位であると共に前記凹部が異
    方性エッチングにより形成されていることを特徴とする
    インクジェット式記録ヘッド。
  6. 【請求項6】 請求項5において、前記凹部は、(11
    0)面に対して傾斜する(111)面が交差する点で深
    さが決められていることを特徴とするインクジェット式
    記録ヘッド。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6の何れかのインクジェット
    式記録ヘッドを具備することを特徴とするインクジェッ
    ト式記録装置。
  8. 【請求項8】 シリコン単結晶基板からなる流路形成基
    板に圧力発生室を形成すると共に、前記流路形成基板の
    一方面側に振動板を介して成膜及びリソグラフィ法によ
    り形成された薄膜からなる下電極、圧電体層及び上電極
    からなる圧電素子を形成するインクジェット式記録ヘッ
    ドの製造方法において、 前記流路形成基板の一方面側に前記振動板を介して前記
    下電極、圧電体層及び上電極を順次積層及びパターニン
    グして前記圧電素子を形成した後に、当該流路形成基板
    の他方面側を研磨して所定の厚さとする研磨工程を有す
    ることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドの製造
    方法。
  9. 【請求項9】 請求項8において、前記研磨工程は、前
    記流路形成基板の他方面に所定の深さを有し且つそれぞ
    れの深さが異なる複数の凹部を形成した後に行うことを
    特徴とするインクジェット式記録ヘッドの製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項9において、前記研磨工程で
    は、前記凹部を前記流路形成基板の厚さ指標として研磨
    することを特徴とするインクジェット式記録ヘッドの製
    造方法。
  11. 【請求項11】 請求項9又は10において、前記研磨
    工程の後に、前記凹部の位置及び形状の何れか一方によ
    って当該流路形成基板の厚さを識別することを特徴とす
    るインクジェット式記録ヘッドの製造方法。
  12. 【請求項12】 請求項8〜11の何れかにおいて、前
    記研磨工程の前に、前記流路形成基板の他方面側に前記
    圧力発生室を形成することを特徴とするインクジェット
    式記録ヘッドの製造方法。
  13. 【請求項13】 請求項9〜11の何れかにおいて、前
    記研磨工程の前に、前記流路形成基板の他方面側に前記
    圧力発生室と前記凹部とを同時に形成することを特徴と
    するインクジェット式記録ヘッドの製造方法。
  14. 【請求項14】 請求項8〜11の何れかにおいて、前
    記研磨工程の後に、前記流路形成基板の他方面側に前記
    圧力発生室を形成することを特徴とするインクジェット
    式記録ヘッドの製造方法。
  15. 【請求項15】 請求項14において、前記圧力発生室
    の形成は、前記流路形成基板の研磨面にマスクパターン
    を形成し、該マスクパターンを介して前記流路形成基板
    をエッチングすることにより形成することを特徴とする
    インクジェット式記録ヘッドの製造方法。
  16. 【請求項16】 請求項9〜15において、前記シリコ
    ン単結晶基板の主面が(110)方位からなり、前記凹
    部を異方性エッチングにより形成することを特徴とする
    インクジェット式記録ヘッドの製造方法。
  17. 【請求項17】 請求項16において、前記凹部は、
    (110)面に対して傾斜する(111)面が交差する
    点で深さが決められていることを特徴とするインクジェ
    ット式記録ヘッドの製造方法。
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