JP2002212782A - 電気メッキ構造及び当該電気メッキ構造を有する配線基板 - Google Patents

電気メッキ構造及び当該電気メッキ構造を有する配線基板

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JP2002212782A
JP2002212782A JP2001038707A JP2001038707A JP2002212782A JP 2002212782 A JP2002212782 A JP 2002212782A JP 2001038707 A JP2001038707 A JP 2001038707A JP 2001038707 A JP2001038707 A JP 2001038707A JP 2002212782 A JP2002212782 A JP 2002212782A
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Ryuzo Fukao
隆三 深尾
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 低抵抗かつ高強度にして耐食性及び接着性に
優れた電気メッキ構造を提供する。 【解決手段】 電気メッキ膜の少なくとも表層部を2種
類以上の金属の合金で形成する。この場合、合金の組成
を電気メッキ膜の厚さ方向に変化させ、電気メッキ膜の
表層部における合金の添加金属濃度を最も高くするとい
う構成にすることもできるし、電気メッキ膜を均一組成
の合金で形成するという構成にすることもできる。さら
には、電気メッキ膜を、単一金属層と当該単一金属層の
外面に形成された合金層とから形成するという構成にす
ることもできる。また、前記合金は、銅とニッケルの二
元合金とすることもできるし、銅とニッケルと銀の三元
合金とすることもできる。電気メッキ膜中に単一金属層
を有する場合には、当該単一金属層を銅で形成すること
が好ましい。また、前記合金としては、ニッケル−リン
合金を用いることもでき、この合金は、銅の表層に形成
される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気メッキ構造及
び当該電気メッキ構造を有する配線基板に係り、特に、
エレクトロニクス用その他の精密加工用の部品や材料に
使用される電気メッキ構造と、当該電気メッキ構造を有
する配線層を備えた配線基板に関する。
【0002】
【従来の技術】最近、エレクトロニクス用及びその他の
精密加工用途において、電気メッキによる構造が注目を
集めている。特に、半導体実装においては、メッキを用
いてウェハに再配線を施してチップサイズで実装してい
くスーパーコネクトと呼ばれる方式が活発に検討されて
いる。このメッキ配線は、通常銅を用いて数ミクロン〜
十数ミクロン厚さに形成され、低抵抗であると共に従来
の配線基板上の配線に比べて著しくサイズが小さいとい
う特徴を有している。
【0003】このように、銅は配線材料として適してい
るが、一方で実用上いくつかの難点がある。
【0004】難点の第1は、腐食されやすいことであ
り、そのために保護被膜等の処理を必要とする。保護被
膜としては、ハンダ接続性の向上をも考慮して、通常、
無電解メッキされた金が使用されるが、銅と金を直接接
触させると、いわゆるマイグレーションを起こして脆化
するため、銅層と金層との間にニッケル等の拡散バリア
層を設ける必要が生じる。このため、銅を配線材料とし
て用いた場合、無電解メッキを含めた2段階のメッキ工
程が必要になると共に、高価な金の管理等で工程が複雑
化する。さらに、金は金属としては軟質であるため、傷
つきやすいという問題もある。
【0005】難点の第2は、接着性が比較的弱く相手材
料によっては中間接着層等を設ける必要があることであ
る。特に上記再配線工程の場合、ウェハ面のポリイミド
などの絶縁膜あるいはアルミニウム電極パッドに対して
銅は接着性が弱く、クロム層などの接着層を設ける必要
がある。また、銅配線部上に保護膜あるいは線間絶縁膜
などの樹脂を塗布する場合も、接着性の面で材料が限定
される。
【0006】さらに、銅は金属としては軟質であるた
め、傷つきやすいという問題もある。
【0007】なお、ニッケルなどの他の材料を配線材料
として使用すれば前記耐食性の問題や強度上の問題は解
決できるが、電気抵抗が高いため、それらは基本的に配
線材料として使用することができない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる従来
技術の実状に鑑みてなされたものであり、その課題とす
るところは、低抵抗かつ高強度にして耐食性及び他種金
属との接合性に優れた電気メッキ構造を提供すること、
及び、このような電気メッキ構造を有する配線層を備え
た配線基板を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記の課題を
解決するため、電気メッキ膜の少なくとも表層部を、2
種類以上の金属の合金で形成するという構成にした。
【0010】前記合金は、低抵抗かつ高強度にして耐食
性及び他金属との接合性に優れることから、銅とニッケ
ルの二元合金、又は銅とニッケルと銀の三元合金、若し
くはリンとニッケルの二元合金とすることができる。
【0011】前記合金として、銅とニッケルの二元合金
又は銅とニッケルと銀の三元合金を形成する場合には、
前記電気メッキ構造を、前記合金の組成を電気メッキ膜
の厚さ方向に変化させ、電気メッキ膜の表層部における
前記合金の添加金属濃度を最も高くするという構成にす
ることもできるし、電気メッキ膜を均一組成の合金で形
成するという構成にすることのできるし、さらには、電
気メッキ膜を、単一金属層と当該単一金属層の外面に形
成された合金層とから形成するという構成にすることも
できる。一方、前記合金として、リンとニッケルの二元
合金を形成する場合には、前記電気メッキ構造を、単一
金属層と当該単一金属層の外面に形成された合金層とか
ら形成するという構成にする。電気メッキ膜中に単一金
属層を有する場合には、低抵抗であることから当該単一
金属層を銅で形成することが好ましい。
【0012】電気メッキ膜に銅とニッケルの二元合金又
は銅とニッケルと銀の三元合金を形成する場合において
は、抵抗、強度、耐食性及び他金属との接合性のバラン
スを考慮して、電気メッキ膜の表層部に形成された合金
中の添加金属濃度を重量比で5%以上20%以下にする
ことが好ましい。5%以下では、上記合金としての性質
が得られず、20%以上では、固溶状態が変化して別種
の合金になる。また、電気メッキ膜にリンとニッケルの
二元合金を形成する場合においては、前記と同様の理由
から、電気メッキ膜の表層部に形成された合金中のリン
濃度を重量比で12%以上20%以下にすることが好ま
しい。
【0013】銅とニッケルの二元合金からなる合金メッ
キ膜の形成は、例えば、電気メッキを実行する際に、銅
とニッケルとの2つの源を陽極に用いて各々の陽極に加
える電流条件をメッキの進行に伴って調整すること、あ
るいは溶液中への銅イオンとニッケルイオンとの添加濃
度をメッキの進行に伴って調整することにより厚さ方向
に組成が変化した合金膜が得られる。この場合、メッキ
の初期過程では銅陽極のみに通電し、メッキの進行に応
じて徐々にニッケル陽極への通電量を増やしていくこと
で、表層部にはニッケル含有量の高い組成が得られる。
銅成分の多い領域では導電性が高く、ニッケル成分の多
い領域では耐食性や強度が高い。これらの組成を適当に
調整することにより、前述の耐食性、他金属との接合
性、強度及び脆化等の問題を実質的に解決することがで
きる。
【0014】この方法によれば、単に銅とニッケルとを
積層した場合に比べて合金化による種々の効果が得られ
る。つまり、銅ベースのニッケル合金においては、耐食
性や強度といった性質は大幅に向上する。具体的には、
まず第1に、耐食性の面では、周知のように銅中にニッ
ケルが含有されることで耐食性は著しく向上し、ニッケ
ルが約20重量%の範囲まではニッケル含有量の増加と
共に耐食性が高まる。特に約20%ニッケルを含有した
銅−ニッケル合金で耐食性はもっとも高くなり、白銅と
呼ばれるきわめて強い耐食性をもつ組成が得られる。第
2に、上記銅−ニッケル合金によって機械的強度が向上
し、例えば数%のニッケルが銅中に含有されることによ
り銅、ニッケルそれぞれの単体よりも高強度の合金材料
が得られる。
【0015】また、この電気メッキ構造の大きな利点
は、これらの組成を製品の仕様に合わせて任意に操作で
きることである。つまり、耐食性よりも導電性が重視さ
れる場合はニッケルの含有量を少なくして必要最小限の
耐食性を得るようにし、逆の場合はニッケル量を多くし
て所望の性質を得るようにすることができる。また、表
面に保護樹脂等が接着される場合はその樹脂の性質に合
わせて表面部の組成を調整することができる。つまり、
樹脂との接着性の相性により、表面をニッケルの多い組
成にしたり少ない組成にして調整することができる。
【0016】さらに単純に銅とニッケルを積層した場合
に比べて、グラジュアルな傾斜構造にすることにより積
層界面での剥離の恐れ等のない堅牢な一体型構造が得ら
れる。
【0017】一般に、パターニングされた銅配線上にニ
ッケルバッファ層を介して金接点膜を形成する場合、ニ
ッケルと金とを順に無電解メッキして行われる。したが
って無電解メッキ工程が2回必要であるためより工程が
複雑なものになっているが、以上説明したように本方法
によればニッケル無電解メッキは不要であり、プロセス
の簡略化が得られる。また、銅−ニッケル形の合金は、
はんだに対するぬれ性が良好であるので、金メッキ自体
を省略することも可能であり、さらに大きなプロセス上
のメリットが得られる。
【0018】状況によっては、この合金配線をグラジュ
アルな傾斜構造にせず、組成の異なる二層形式にしても
よい。例えば初期からのメッキの成長を銅単独で行い、
表層部のみニッケルを添加した合金層にすることでも効
果が得られる。あるいは、用途によっては全体を均一な
組成にしてもよい。例えば、全体をニッケルを数%含有
した銅合金にして、耐食性、強度、及び導電性をあるバ
ランスのとれた状態にして、使用することもできる。
【0019】特に、高い導電性が必要な場合は、銀を添
加した三元系の合金組成にすることが有効である。銅と
ニッケルと銀の三元合金からなる合金メッキ膜の形成も
前記と同様の方法で行うことができる。
【0020】一方、リンとニッケルの合金メッキ膜の形
成は、例えば、電気メッキを実行する際の建浴剤、補給
剤及びその他の添加剤等を用いて、メッキ浴中のリンイ
オンとニッケルイオンとの添加濃度を調整することによ
り得られる。これにより、前述の耐食性、強度及び脆化
等の問題を実質的に解決することができると共に、リン
とニッケルとの組成比が異なる合金が得られて、用途に
よって異なる性質の合金を適宜使い分けることができ
る。
【0021】この方法によれば、銅の表層にニッケルと
金とを積層する従来技術に比べて、種々の効果が得られ
る。第1に、銅メッキとニッケル−リン合金メッキとを
一連の電気メッキ工程で連続的に行えるので、工程を短
縮することができる。特に、無電解メッキを用いないこ
とから、速い加工速度を得ることができる。第2に、表
層のニッケル−リン合金は、機械的強度が金や銅よりも
高いため、耐摩耗性に優れる。第3に、当然のことなが
ら、金と銅の相互拡散による脆課の問題を生じることが
ない。第4に、メッキ材料として高価な金を用いないた
め、材料管理や金メッキ液として一般に使用される有害
なシアンの廃液管理が不要になり、製造工程を簡略化す
ることができる。第5に、ニッケル−リン合金は、銅に
対する接合性が高く、銅膜上に形成した場合に剥離等の
おそれのない強固な複合メッキ膜を得ることができる。
さらに、ニッケル−リン合金は、ニッケル単体よりも耐
食性が高く、かつハンダとの接合性も良好であるため、
従来のニッケルと金との積層膜と比べて、配線材料とし
ての機能に遜色がない。また、適当なエッチング液を選
択することにより、下地の銅と同時にエッチングするこ
とができるので、所要の配線基板等の製造を容易化する
ことができる。
【0022】なお、単体のニッケルは磁性を帯びている
ため、高周波回路用の配線基板材料として用いた場合に
は、表皮効果等による損失が懸念されるが、一定量のリ
ンを含有することによって非磁性になるため、磁性によ
る損失の問題も解消することができる。
【0023】上記の電気メッキ構造は、配線基板におけ
る配線層の形成等に応用される。そして、当該配線層の
形成においては、配線層のパターニングを行うためにシ
ード層の形成が必要になる場合があるが、従来のよう
に、パターニングされた銅配線上にニッケルバッファ層
を介して金接点膜を形成するという方法をとると、ニッ
ケルバッファ層の形成と金接点膜の形成とシード層の形
成という3工程の無電解メッキが必要になるため、配線
層の形成が極めて複雑なものになる。これに対して、上
記の電気メッキ構造を応用すれば、ニッケルバッファ層
の無電解メッキに相当する工程を省略することができる
ので、シード層の形成を含む配線基板の形成を容易化す
ることができる。
【0024】なお、典型的な配線基板は、銅のメッキ配
線部が数μm乃至20μm程度の厚さに形成され、表層
部のニッケル−リン合金が1μm乃至3μm程度の厚さ
に形成される。但し、使用目的によって各部の厚さ配分
を適宜変化させることはもちろん可能である。
【0025】その他、本欄では配線基板への応用例のみ
について説明したが、本発明の電気メッキ構造は、配線
基板のほか、各種の電子部品並びに精密加工部品に適用
することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】〈第1実施形態例〉メッキ浴とし
てピロリン酸浴を使用し、ステンレス基板を陰極とし、
陽極に銅を用いて銅−ニッケル合金のメッキ膜を形成し
た。浴中添加剤として、最初はピロリン酸銅のみを添加
しておき、メッキの進行に伴って徐々に塩化ニッケルを
量を増やしながら添加した。浴中には補助添加剤として
アンモニアを一定量含有させた。この結果、約10μm
厚さのメッキ膜において、底部は銅単独、表面部は約5
%のニッケルを含有した銅合金で、膜厚方向にニッケル
量が分布した組成が得られた。
【0027】この合金メッキ膜の諸性質を銅単体のメッ
キ膜と比較した。その結果を以下に示す。
【0028】(1)85℃、80%雰囲気の高温、高湿
中放置で1000時間後、銅単体では腐食が生じたのに
対し、合金メッキ膜には腐食が生じなかった。
【0029】(2)銅単体の場合に比べて表面のビッカ
ース硬度が約1.5倍に高まり、耐摩耗性が向上した。
【0030】(3)エタノールで表面を洗浄してハンダ
(共晶ハンダ)を融着させた結果、銅単体の場合は表面
酸化物の影響により接合力が弱く、ピンセット等で押す
ことで簡単に剥離が生じたのに対し、本実施形態例の合
金メッキ膜には剥離が生じなかった。
【0031】(4)ポリイミド樹脂に対する接着性は銅
単体に比べて高かった。またこの合金メッキ膜は、単体
の銅に対する電気抵抗率の増加は約2%程度であった。
【0032】〈第2実施形態例〉浴中に添加する塩化ニ
ッケルの量を増加して表面部を約20%のニッケルを含
有した銅合金にし、他は第1実施形態例と同様の方法で
合金メッキ膜を作製した。この合金は、第1実施形態例
の場合に比べて耐食性と強度がさらに高まり、海水に浸
責しても腐食は生じなかった。この場合、電気抵抗率の
増加は約10%であった。
【0033】〈第3実施形態例〉メッキの初度から浴中
に塩化ニッケルを添加し、メッキ終了まで銅とニッケル
とを一定の割合になるように成膜を行い、全体に5%の
ニッケルを含有した厚さ10μmの均質な銅合金膜を形
成した。この合金膜は第1実施形態例の場合とほぼ同等
の性質を有し、銅単体に対する電気抵抗率の増加は約5
%程度であった。
【0034】〈第4実施形態例〉メッキの最終段階のみ
に塩化ニッケルを添加し、表面部約1μmの領域のみが
5%のニッケルを含有した銅合金の組成になるようにし
た厚さ10μmの銅合金膜を形成した。この合金膜は、
85℃、80%雰囲気の高温、高湿中で1000時間放
置後も腐食は生じなかった。また、銅単体に対する電気
抵抗率の増加は1%以下で、実質的に有意差はなかっ
た。一方、表面強度については、銅単体よりは向上して
いたが、第1乃至第3の実施形態例の場合に比べると効
果は少なかった。
【0035】〈第5実施形態例〉第3の材料として、浴
中にさらにピロリン酸銀カリウムを添加して銅−ニッケ
ル−銀の三成分系による合金メッキ膜を形成した。形成
法は、第1実施形態例を基本とし、最初に銅と銀との二
種類の源を添加して、途中からニッケル源を添加して、
表面部組成が、85%銅−10%銀−5%ニッケルとな
るように調整された合金膜を形成した。この合金は、銅
よりも電気抵抗率が低く、かつ他の諸性質は第1実施形
態例の場合と同程度であった。
【0036】なお、前記各実施形態例においては、ピロ
リン酸浴を用いた場合を例にとって説明したが、かかる
構成に代えて、他の硫酸浴又はスルファミン酸浴を用い
ても実施することもできる。
【0037】〈第6実施形態例〉メッキ浴として硫酸浴
を使用し、厚さ10μmの銅メッキが施されたポリイミ
ドフィルムを陰極とし、陽極にステンレスを用いてニッ
ケル−リン合金のメッキ膜を形成した。メッキ液とし
て、キザイ工業株式会社製の「エバナイ」を使用し、添
加ニッケル源として、硫酸ニッケルと塩化ニッケルとを
加えた。浴温は60℃、電流密度は5A/dmで行
い、厚さが3μmのニッケル−リン合金膜を形成した。
このときの合金中のリン含有率は、約10%であった。
【0038】この合金メッキ膜の諸性質を銅単体のメッ
キ膜と比較した。その結果を以下に示す。
【0039】(1)85℃、80%雰囲気の高温、高湿
中放置で1000時間後、銅単体では腐食が生じたのに
対し、合金メッキ膜には腐食が生じなかった。
【0040】(2)銅単体の場合に比べて表面のビッカ
ース硬度が約1.6倍に高まり、耐摩耗性が向上した。
【0041】(3)エタノールで表面を洗浄してハンダ
(共晶ハンダ)を融着させた結果、銅単体の場合は表面
酸化物の影響により接合力が弱く、ピンセット等で押す
ことで簡単に剥離が生じたのに対し、本実施形態例の合
金メッキ膜には剥離が生じなかった。
【0042】なお、本実施形態例の合金メッキ膜は、未
処理の状態で非磁性であり、300℃の熱処理を行うこ
とによって磁性を示した。本実施形態例の合金メッキ膜
を形成した後、当該合金メッキ膜上に所要のマスク及び
レジストを施して硝酸でエッチングすることにより、精
密な電子回路用配線基板を作製することができた。
【0043】〈第7実施形態例〉浴中のリンの濃度を高
めて、ニッケル−リン合金の電気メッキを行った。その
他の条件については、第6実施形態例と同じにした。形
成されたニッケル−リン合金中のリン含有量は、重量比
で約13%であった。
【0044】この合金は、第6実施形態例に係る合金に
比べて、耐食性と強度がさらに高まり、85℃、80%
の高温、高湿雰囲気中に2000時間放置した後も、腐
食が起こらず、かつ、表面硬度は銅単体の約2倍であっ
た。また、第6実施形態例に係る合金と同様に、ハンダ
との良好な接合性が得られた。さらに、本実施形態例に
係る合金は、非磁性であり、300℃で熱処理しても磁
性を示さなかった。
【0045】本実施形態例の合金メッキ膜を形成した
後、当該合金メッキ膜上に所要のマスク及びレジストを
施して硝酸でエッチングすることにより、精密な電子回
路用配線基板を作製することができた。
【0046】〈第8実施形態例〉浴中のリンの濃度を下
げて、ニッケル−リン合金の電気メッキを行った。その
他の条件については、第6実施形態例と同じにした。形
成されたニッケル−リン合金中のリン含有量は、重量比
で約5%であった。
【0047】この合金は、第6実施形態例に係る合金に
比べて、耐食性と強度が若干低下し、85℃、80%の
高温、高湿雰囲気中に1000時間放置した後、若干の
変色が認められた。但し、銅単体に比べては、明らかに
腐蝕の度合いは少なかった。表面硬度は銅単体の約1.
4倍であった。また、第6実施形態例に係る合金と同様
に、ハンダとの良好な接合性が得られた。但し、本実施
形態例に係る合金は、未処理の状態でも磁性を示した。
【0048】本実施形態例の合金メッキ膜を形成した
後、当該合金メッキ膜上に所要のマスク及びレジストを
施して硝酸でエッチングすることにより、精密な電子回
路用配線基板を作製することができた。
【0049】〈比較例〉厚さ10μmの銅メッキが施さ
れたポリイミドフィルムを用い、前記銅メッキ膜上に厚
さが3μmの無電解ニッケル膜と厚さが0.1μmの無
電解金メッキをこの順に形成した。この作業に要した工
数は、前記第6乃至第8の実施形態例に係る合金膜の形
成に要した工数の約2倍であった。本例のメッキ膜は、
耐食性とハンダ接合性については第6実施形態例に係る
合金膜と同等であったが、表層の金メッキ膜の硬度が低
いために、表層にスクラッチ傷等の傷が生じやすかっ
た。また、エッチングによって所要の配線パターンを有
する配線基板を作製する場合、エッチングをメッキ膜の
形成以前に行わなくてはならず、前記第6乃至第8の実
施形態例に係る配線基板を作製する場合に比べて工程が
複雑であり、所要の配線基板を得るのに多くの工数を要
した。
【0050】なお、前記第6乃至第8の実施形態例にお
いては、硫酸浴を用いた場合を例にとって説明したが、
かかる構成に代えて、スルファミン酸浴等の他の液浴を
用いても実施することもできる。
【0051】以下、本発明を応用した半導体モジュール
の製造方法の第1例を、図1にしたがって説明する。図
1は1層の配線層を有する半導体モジュール1Aの製造
方法を示す工程図である。
【0052】まず、図1(a)に示すように、表面にニ
ッケルメッキ1が施されたステンレス製の仮基体2を用
意し、前記ニッケルメッキ1の表面に、前記各実施形態
例に示したいずれかの方法で、所要のパターンを有する
配線層3を形成する。この配線層3の形成は、ニッケル
メッキ1上にフォトレジスト膜を均一に塗布した後、当
該フォトレジスト膜を配線層3のパターンに露光し、次
いで、露光部を現像処理にて除去した後、ニッケルメッ
キ1を給電膜として銅又は銅合金を電気メッキすること
により行うことができる。
【0053】次に、図1(b)に示すように、前記ニッ
ケルメッキ1の表面及び配線層3の表面に、所要のパタ
ーンで開口部4aが開設された絶縁層4を形成する。こ
の絶縁層2の形成は、前記ニッケルメッキ1の表面及び
配線層3の表面に感光性樹脂を均一に塗布した後、開口
部4aに対応する部分を露光し、この露光部を現像処理
にて除去することにより行うことができる。
【0054】次に、図1(c)に示すように、開口部4
aにより外部に露出された配線層3と半導体チップ5の
金バンプ5aとを、はんだ6を介して接続する。配線層
3と金バンプ5aとのはんだ付けは、はんだ6を介して
配線層3と金バンプ5aとを対向に配置した後、これら
配線層3と金バンプ5aとの間に所要の熱と加圧力とを
作用することによって行うことができる。
【0055】次に、図1(d)に示すように、半導体チ
ップ5と、当該半導体チップ5と配線層3との接続部を
モールド樹脂7にてモールドする。
【0056】次に、図1(e)に示すように、ニッケル
メッキ1とステンレス製の仮基体2との界面を剥離し、
ニッケルメッキ1を露出させる。
【0057】次に、図1(f)に示すように、ニッケル
メッキ1をパターニングして、配線層3の所定の部分と
選択的に接続されたニッケル層8を形成する。ニッケル
層8の形成は、ニッケルメッキ1の表面にフォトレジス
トを均一に塗布した後、ニッケル層8に対応する部分の
みを選択的に露光し、現像処理によって非露光部を除去
した後、エッチング処理によって非露光部に対応するニ
ッケルメッキ1を除去することにより行うことができ
る。しかる後に、図12(f)に示すように、ニッケル
層8の形成部を除く配線層3及び絶縁層4の表面に、保
護樹脂層9を形成する。
【0058】最後に、図1(g)に示すように、ニッケ
ル層8に外部端子10を形成して、所要の半導体モジュ
ール1Aを得る。
【0059】以下、本発明を応用した半導体モジュール
の製造方法の第2例を、図2にしたがって説明する。図
2は2層の配線層を有する半導体モジュール1Bの製造
方法を示す工程図である。
【0060】まず、図2(a)に示すように、仮基体2
の表面に施されたニッケルメッキ1上に、前記各実施形
態例に示したいずれかの方法で、所要のパターンを有す
る第1配線層3を形成する。次に、図2(b)に示すよ
うに、前記ニッケルメッキ1の表面及び第1配線層3の
表面に、所要のパターンで第1開口部4aが開設された
第1絶縁層4を形成する。ここまでの工程は、前記製造
方法の第1例と同じであるので、重複を避けるために詳
細な説明は省略する。
【0061】次に、図2(c)に示すように、前記第1
絶縁層4上及び第1開口部4a内に、前記各実施形態例
に示したいずれかの方法で、第2配線層11を形成す
る。第2配線層11の形成は、第1絶縁層4上及び第1
開口部4a内に銅又は銅合金からなる給電膜をスパッタ
リングした後、当該給電膜に通電して銅又は銅合金を電
気メッキすることにより行うことができる。
【0062】次に、図2(d)に示すように、前記第2
配線層11及び第1絶縁層4の表面に、所要のパターン
で第2開口部12aが開設された第2絶縁層12を形成
する。この第2絶縁層12の形成は、前記第2配線層1
1及び第1絶縁層4の表面に感光性樹脂を均一に塗布し
た後、第2開口部12aに対応する部分を露光し、この
露光部を現像処理にて除去することにより行うことがで
きる。
【0063】次に、図2(e)に示すように、第2開口
部12aにより外部に露出された第2配線層11と半導
体チップ5の金バンプ5aとを、はんだ6を介して接続
する。第2配線層11と金バンプ5aとのはんだ付け
は、はんだ6を介して第2配線層11と金バンプ5aと
を対向に配置した後、これら第2配線層11と金バンプ
5aとの間に所要の熱と加圧力とを作用することによっ
て行うことができる。
【0064】次に、図2(f)に示すように、半導体チ
ップ5と、当該半導体チップ5と第2配線層11との接
続部をモールド樹脂7にてモールドする。
【0065】次に、図2(g)に示すように、ニッケル
メッキ1とステンレス製の仮基体2との界面を剥離し、
ニッケルメッキ1を露出させる。
【0066】次に、図2(h)に示すように、ニッケル
メッキ1をパターニングして、第1配線層3の所定の部
分と選択的に接続されたニッケル層8を形成した後、ニ
ッケル層8の形成部を除く配線層3及び絶縁層4の表面
に、保護樹脂層9を形成する。ニッケルメッキ1のパタ
ーニング方法については、前記製造方法の第1例の場合
と同じであるので、重複を避けるために詳細な説明は省
略する。
【0067】最後に、図2(i)に示すように、ニッケ
ル層8に外部端子10を形成して、所要の半導体モジュ
ール1Bを得る。
【0068】なお、図1及び図2の例においては、銅の
表層にニッケルメッキを形成したが、ニッケルメッキに
代えてニッケル−リン合金を電気メッキしても、所要の
半導体モジュールを製造することができる。
【0069】また、本発明に係る電気メッキ構造は、半
導体モジュールの製造のみならず、半導体実装における
ウェハのスーパーコネクトやその他のエレクトロニクス
用又は精密加工用に適用することができる。
【0070】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
導電性を実質的に低下させることなく耐食性及び強度を
改良したメッキ膜が得られる。さらにメッキ条件等を調
整することにより、要求仕様に応じて上記諸性質を適宜
調整できるという利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電気メッキ構造を応用した半導体
モジュールの製造方法の第1例を示す工程図である。
【図2】本発明に係る電気メッキ構造を応用した半導体
モジュールの製造方法の第2例を示す工程図である。
【符号の説明】 1 ニッケルメッキ 2 仮基体 3 配線層(第1配線層) 4 絶縁層(第1絶縁層) 5 半導体チップ 6 はんだ 7 モールド樹脂 8 ニッケル層 9 保護樹脂層 10 外部端子 11 第2配線層 12 第2絶縁層

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電気メッキ膜の少なくとも表層部を、2
    種類以上の金属の合金で形成したことを特徴とする電気
    メッキ構造。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の電気メッキ構造におい
    て、前記合金の組成を前記電気メッキ膜の厚さ方向に変
    化させ、前記電気メッキ膜の表層部における合金の添加
    金属濃度を最も高くしたことを特徴とする電気メッキ構
    造。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の電気メッキ構造におい
    て、前記電気メッキ膜を、均一組成の合金で形成したこ
    とを特徴とする電気メッキ構造。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の電気メッキ構造におい
    て、前記電気メッキ膜を、単一金属層と、当該単一金属
    層の外面に形成された合金層とから形成したことを特徴
    とする電気メッキ構造。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至4に記載の電気メッキ構造
    において、前記合金が、銅とニッケルの二元合金である
    ことを特徴とする電気メッキ構造。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至4に記載の電気メッキ構造
    において、前記合金が、銅とニッケルと銀の三元合金で
    あることを特徴とする電気メッキ構造。
  7. 【請求項7】 請求項5又は6に記載の電気メッキ構造
    において、前記電気メッキ膜の表層部に形成された合金
    中の添加金属濃度を、重量比で5%以上20%以下にし
    たことを特徴とする合金メッキ膜。
  8. 【請求項8】 請求項4に記載の電気メッキ構造におい
    て、前記合金層が、リンとニッケルの二元合金からなる
    ことを特徴とする電気メッキ構造。
  9. 【請求項9】 請求項8に記載の電気メッキ構造におい
    て、前記合金層の表層部に形成された合金中のリン濃度
    を、重量比で12%以上20%以下にしたことを特徴と
    する合金メッキ膜。
  10. 【請求項10】 請求項4に記載の電気メッキ構造にお
    いて、前記単一金属層を銅で形成したことを特徴とする
    電気メッキ構造。
  11. 【請求項11】 絶縁基板と当該絶縁基板に担持された
    配線層とを有する配線基板において、前記配線層を、少
    なくとも表層部が2種類以上の金属の合金で形成された
    電気メッキ膜にて形成したことを特徴とする配線基板。
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