JP2002212317A - 光学用フィルムおよび積層体 - Google Patents

光学用フィルムおよび積層体

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JP2002212317A
JP2002212317A JP2001015456A JP2001015456A JP2002212317A JP 2002212317 A JP2002212317 A JP 2002212317A JP 2001015456 A JP2001015456 A JP 2001015456A JP 2001015456 A JP2001015456 A JP 2001015456A JP 2002212317 A JP2002212317 A JP 2002212317A
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optical
fatty acid
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JP2001015456A
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Masayuki Fukuda
雅之 福田
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Teijin Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ディスプレイ等の表面反射を小さくし、映像
の色相のコントラストを高め、認視性を向上させるため
の光学用フィルムおよびそれを用いた積層体を提供す
る。 【解決手段】 二軸配向光学用フィルムであって、該フ
ィルムのヘーズ値が5%以下、波長400〜750nm
の光線の吸光度が0.15〜0.35であることを特徴
とする光学用フィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光学用フィルム及び
それを用いた光学用積層体に関し、更に詳しくはディス
プレイ等の表面反射を小さくし、映像の色相のコントラ
ストを高め、認視性を向上させるための光学用フィルム
及びそれを用いた積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエステルフィルム、特にポリエチレ
ンテレフタレートやポリエチレン−2,6−ナフタレー
トの二軸延伸フィルムは、優れた機械的性質、耐熱性、
耐薬品性を有するため、種々の用途に広く用いられてい
る。
【0003】特に、近年、窓ガラス、ショーケース、メ
ガネ、計器類、ディスプレイ、ランプなどの表面保護材
としての用途が注目されており、かかる用途では表面硬
度、耐摩耗性などに優れていると共に、十分な透明性、
反射防止能を有していることが要求される。
【0004】このような要求を満たすために、ポリエス
テルフィルムにハードコート(HC)層、反射防止(ア
ンチリフレクション(AR))層を積層することが試み
られているが、ポリエステルフィルムとの接着性が不十
分であることから満足な結果が得られていない。
【0005】このようなポリエステルフィルムの接着性
を改善する方法としては、例えば、インモールド用転写
フィルムのべースフィルムにガラス転移点が40〜85
℃の水性ポリエステルの被膜を形成してメジューム層と
の接着性を向上させる方法が知られている(特開平7−
156358号公報)。
【0006】しかしながら、この方法では、インモール
ド用転写フィルムにおけるべースフィルムとメジューム
層との接着性は向上するものの、その他の用途における
接着性は十分満足できるレベルまで改善されないことが
多い。
【0007】一方、表面が平坦な易滑性ポリエステルフ
ィルムを得る目的で、ポリウレタン又はアクリル系樹脂
と脂肪酸アミド又はビスアミドを含む組成物からなる塗
膜をポリエステルフィルムの表面に形成することも知ら
れている(特開昭63−194948号公報)。
【0008】しかし、脂肪酸アミド又はビスアミドを用
いることによって、接着性が向上することについては示
唆されていない。
【0009】更に、ポリエチレンテレフタレート層にポ
リエステル樹脂層を形成し、その上に特定組成の放射線
硬化性層を形成することにより、表面硬度や耐摩耗性な
どの良好な積層体を得ることも知られている(特公平7
−80281号公報)が、特殊な硬化性層を用いるため
汎用性がなく、しかも接着性の点でも十分満足できるも
のではない。
【0010】近年、パーソナルコンピュータ(以下『パ
ソコン』と略記することがある)の急速な普及により、
長時間見続けても認視性が良く、映像の色相のコントラ
ストが高く、疲労しにくいパソコンディスプレイ用の防
眩(反射防止)透明板への希求が高まっており、上記技
術の進歩が望まれている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる従来
技術の問題点を解消し、映像の色相のコントラストが高
く、接着性に優れ、表面硬度、耐摩耗性等が良好であ
り、しかも十分な透明性、反射防止能を備えた、特にパ
ソコン用CRTディスプレイの表面層に適したポリエス
テルフィルム積層体を提供しようとするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、ポリエステルフィ
ルムのヘーズ値を低く保ちながら吸光度を増加させ、青
色光と緑色光、および緑色光と赤色光のそれぞれの中間
色の透過を抑制することにより、映像の色相のコントラ
ストが高くできることを見出し、本発明を完成するに至
った。
【0013】すなわち、本発明は、二軸配向ポリエステ
ルフィルムであって、該フィルムのヘーズ値が5%以
下、波長400〜750nmの光線の吸光度が0.15
〜0.35であることを特徴とする光学用フィルムであ
る。
【0014】また、本発明は、ヘーズ値が5%以下、波
長400〜750nmの光線の吸光度が0.15〜0.
35である二軸配向ポリエステルフィルムの少なくとも
片面にイオン性低分子化合物の含有量が1,000pp
m以下である対接着剤易接着性塗膜が形成され、該易接
着性塗膜の少なくとも1面の上にハードコート層を積層
した光学用積層体である。
【0015】更に、本発明の好ましい態様として、フィ
ルムの少なくとも片面に、イオン性低分子化合物の含有
量が1,000ppm以下である対接着剤易接着性塗膜
が形成されている光学用フィルム、易接着性塗膜面の裏
面反射率が0.1%以下である光学用フィルム、易接着
性塗膜を形成する組成物が平均粒径0.15μm以下の
粗面化物質を5〜30重量%含有する光学用フィルム、
該易接着性塗膜を形成する組成物が脂肪酸アミド及び/
又は脂肪酸ビスアミドを3〜10重量%含有する光学用
フィルム、易接着性塗膜を形成する組成物が、ガラス転
移点が40〜85℃の水性ポリエステル樹脂と脂肪酸ビ
スアミドとを主成分とする光学用フィルム、脂肪酸ビス
アミドが、下記一般式(1)で表される脂肪酸ビスアミ
ドである光学用フィルム及び光学用途が、ディスプレイ
等の表示面の認視性改良用である光学用フィルムを挙げ
ることができる。
【0016】
【化2】RCONH(CH2nNHOCR……(1) (但し、式(1)中のRCO−は脂肪酸残基を示し、n
は1又は2である。) また、本発明の好ましい態様として、ハードコート層
が、放射線硬化性樹脂を放射線照射により硬化させて得
られるハードコート層である光学用積層体、ハードコー
ト層の表層に、屈折率を異にする二層以上の薄膜からな
る多層反射防止層が設けられている光学用積層体及び光
学用途が、ディスプレイ等の表示面の認視性改良用であ
る光学用積層体を挙げることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。
【0018】[ポリエステルフィルム]本発明において
ポリエステルフィルムを構成するポリエステルとは、芳
香族二塩基酸またはそのエステル形成性誘導体とジオー
ルまたはそのエステル形成性誘導体とから合成される線
状飽和ポリエステルである。かかるポリエステルの具体
例として、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン
イソフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリ
ブチレンテレフタレート、ポリ(1,4−シクロヘキシ
レンジメチレンテレフタレート)、ポリエチレン−2,
6−ナフタレンジカルボキシレート等が例示でき、これ
らの共重合体またはこれと小割合の他樹脂とのブレンド
組成物なども含まれる。
【0019】共重合ポリエステルの場合、エチレンテレ
フタレートを主たる繰り返し単位とするポリエステル
が、加工性や透明性から好ましい。共重合成分として
は、ジカルボン酸成分でもジオール成分でもよい。この
ジカルボン酸成分としてはイソフタル酸、フタル酸、
2,6−ナフタレンジカルボン酸等の如き芳香族ジカル
ボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカ
ンジカルボン酸等の如き脂肪族ジカルボン酸、シクロヘ
キサンジカルボン酸の如き脂環族ジカルボン酸等が例示
でき、またジオール成分としては1,4−ブタンジオー
ル、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール
等の如き脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキサンジメ
タノールの如き脂環族、ジオール、ビスフェノールAの
如き芳香族ジオールが例示できる。これらは単独または
二種以上を使用することができる。これらの共重合成分
のうち、加工性、透明性等から、イソフタル酸が特に好
ましく用いられる。
【0020】共重合成分の割合は、その種類にもよる
が、結果としてポリマー融点が230〜258℃、にな
る割合であることが好ましい。融点が230℃未満では
耐熱性や機械的強度が劣ることがある。共重合成分がイ
ソフタル酸の場合は、12mol%以下であることが好
ましい。
【0021】ここで、ポリエステルの融点測定は、Du
Pont Instruments910DSCを用
い、昇温速度20℃/分で融解ピークを求める方法によ
る。なおサンプル量は20mgとする。
【0022】また、ポリエステルの固有粘度(オルトク
ロロフェノール溶液にて35℃で測定:単位dl/g)
は0.52〜1.50であることが好ましく、さらに好
ましくは0.57〜1.00、特に好ましくは0.60
〜0.80である。この固有粘度が0.52未満の場合
には製膜性が不良であることがあり好ましくない。他
方、固有粘度が1.50を超える場合には、成形加工性
が損なわれることがある上に、押出機に過負荷がかかる
ことが多く、また樹脂温度の過上昇により固有粘度が過
度に低下することがあり、好ましくない。
【0023】本発明におけるポリエステルは、その製法
によって限定されることはない。例えば、テレフタル
酸、エチレングリコール、要すれば共重合成分(例えば
イソフタル酸)をエステル化反応させ、ついで得られた
反応生成物を目的とする重合度になるまで重縮合反応さ
せてポリエステルとする方法、あるいはテレフタル酸ジ
メチルエステル、エチレングリコール、要すれば共重合
成分(例えばイソフタル酸ジメチルエステル)をエステ
ル交換反応させ、ついで得られた反応生成物を目的とす
る重合度になるまで重縮合反応させてポリエステルとす
る方法を好ましく挙げることができる。また、ポリエス
テルの酸成分には2,6−ナフタレンジカルボン酸を用
いることができ、或いはグリコール成分に1,4−シク
ロヘキサンジメタノールを用いることができる。上記の
方法(溶融重合)により得られたポリエステルは、必要
に応じて固相状態での重合方法(固相重合)により、さ
らに重合度の高いポリマーとすることができる。
【0024】ポリエステルの製造においては、吸光度を
増加させる物質の添加を必要とするがこれは後に記載す
る。
【0025】その他ポリエステルには必要に応じて、酸
化防止剤、熱安定剤、粘度調整剤、可塑剤、色相改良
剤、滑剤、核剤、紫外線吸収剤などの添加剤を加えるこ
とができる。また、ポリエステルには、必要に応じて適
当な粗面化物質(フィラー)を含有させることができ
る。このフィラーとしては、従来からポリエステルフィ
ルムの滑り性付与剤として知られているものが挙げられ
るが、その例を示すと炭酸カルシウム、酸化カルシウ
ム、酸化アルミニウム、カオリン、酸化珪素、酸化亜
鉛、カーボンブラック、炭化珪素、酸化錫、架橋アクリ
ル樹脂粒子、架橋ポリスチレン樹脂粒子、メラミン樹脂
粒子、架橋シリコーン樹脂粒子等を挙げることができ
る。これらのフィラーの中では、透明性を保持しながら
滑り性が得られる平均粒径1〜3μmの多孔質シリカが
特に好ましい。多孔質シリカの添加量は透明性を保持し
ながら滑り性が得られるためには、0.01〜0.00
5重量%であることが好ましい。
【0026】さらにポリエステル中には、着色剤、帯電
防止剤、酸化防止剤、有機滑剤、触媒等も適宜添加する
ことができる。
【0027】ポリエステルフィルムは、かかるポリエス
テルを常法により溶融押出して得られる未延伸フィルム
を、二軸延伸し、更に必要に応じて熱処理することによ
り得ることができる。
【0028】[吸光度]本発明においてポリエステルに
は、波長400〜750nmの光線での光学用フィルム
の吸光度が0.15〜0.35となるよう吸光剤を添加
することが必要である。CRTの発光色の強さと光の波
長の関係を見ると、短波長側から青、緑、赤の三つのピ
ークが存在する。問題は、青と緑および緑と赤のピーク
の裾野が重畳していることにある。このため、青だけが
発色しても、或いは緑だけが発色しても、青と緑の中間
色が何がしか発色する。また、緑だけが発色しても、赤
だけが発色しても、赤と緑の中間色すなわち黄色みがか
った色が何がしか発色する。これらの中間色が、映像の
コントラストを弱める原因となっている。これらの中間
色を除去、或いは弱めるため、本発明においてはフィル
ムを構成するポリエステルに吸光剤を添加し、全波長領
域に亘って光線透過率を適量低下させ、前記の三原色の
重畳部分を透過させないようにする。
【0029】光学用フィルムの吸光度は、波長400〜
750nmの範囲で0.15〜0.35であり、好まし
くは0.20〜0.30である。吸光度が0.15未満
ではコントラストを強める効果が発現し難い。一方、吸
光度が0.35を超えると画面全域が暗くなり、認視性
が低下する。吸光度を上げるに際しては、ヘーズ値を大
きくしないことが肝要である。
【0030】本発明の光学用フィルムのヘーズ値は5%
以下であることが必要であるが、ヘーズ値が5%より大
きいと映像の色相が白濁し、鮮映性を欠いて認視性が低
下する。従って、吸光剤は顔料系ではなく、染料系であ
ることが好ましい。また、染料が着色していると選択透
過性が発現し、発色に偏りができるので好ましくない。
従って、染料は彩度のない黒色系が好ましい。ポリエス
テルへの添加は任意の方法を選べるが、エチレングリコ
ールに可溶な染料を選定し、重合段階で添加するのが好
ましい。また、最終製品までの工程の熱履歴を考慮し、
330℃以下の温度での加熱により、変質や劣化の生じ
ない染料であることが望ましい。このような染料として
は、特定するものではないが、有機錯体塩系染料(例え
ば、日本化薬製Kayaset Black K−R)
が好ましい。
【0031】[裏面反射率]本発明の光学用フィルムに
おいて、易接着性塗膜の塗布面を裏面(両面塗布の場合
は任意の片面)とするとき、裏面からの反射率は0.1
%以下であることが好ましい。裏面反射率が0.1%を
超えると、表面反射への影響が無視できなくなることが
ある。すなわち、光学用積層体として、例えばディスプ
レイの防眩フィルムとして用いた場合、外来光の反射が
表面反射と裏面反射の干渉で虹模様となって目障りにな
り、認視性を損うので好ましくない。
【0032】[ヘーズ値]本発明の光学用フィルムのヘ
ーズ値は、5%以下であることが必要であり、好ましく
は3%以下、更に好ましくは2%以下、特に好ましくは
1%以下である。フィルムのヘーズ値が5%より大きい
と映像の色相が白濁し、鮮映性を欠いて認視性が低下
し、好ましくない。
【0033】[摩擦係数]本発明の光学用フィルムは、
易接着性塗膜面(裏面)と非易接着性塗膜面(表面)の
摩擦係数(両面に易接着性塗膜を塗布した場合は、塗膜
面同士)の摩擦係数が0.8%以下であることが好まし
く、0.6%以下であることが特に好ましい。この摩擦
係数が0.8%を超えると、巻き取り性や加工作業性が
悪く、円滑な製膜と加工ができないことがある。
【0034】[フィルムの厚み]本発明の光学用フィル
ムの厚みは50〜250μmであることが好ましい。厚
みが50μm未満であると、万一CRTが爆縮した場
合、ガラスの飛散を防止できないことがある。一方、厚
みが250μmを超えると、ヘーズ値を5%以下に保つ
ことが困難になり、フィルムの生産性が低下する。
【0035】[水性ポリエステル]本発明の光学用フィ
ルム及びそれを用いた光学用積層体においては、上記光
学用フィルムの少なくとも片面に、水性ポリエステルと
脂肪酸のアミド及び/又は脂肪酸のビスアミドを主成分
とする組成物からなる塗膜が形成されていることが好ま
しい。
【0036】この塗膜を形成する一成分である水性ポリ
エステルは、ガラス転移点(Tg)が40〜85℃、好
ましくは45〜80℃のものである。水性ポリエステル
のガラス転移点(Tg)が40℃未満の場合、得られた
フィルムは耐熱性が低くなり、また耐ブロツキング性が
劣るので不利であり、一方85℃を超えると接着性が劣
るので望ましくない。
【0037】上記水性ポリエステルは、水に可溶性又は
分散性のポリエステルである。かかる水性ポリエステル
としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、
2,6−ナフタレンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフ
タル酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、フェニル
インダンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、5−
Naスルホイソフタル酸、トリメリット酸、ジメチロー
ルプロピオン酸等のポリカルボン酸成分とエチレングリ
コール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコー
ル、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオー
ル、1,4−シクロヘキサンジメタノール、グリセリ
ン、トリメチロールプロパン、ビスフェノールAのアル
キレンオキシド付加物等のポリヒドロキシ化合物成分と
からなるポリエステルを挙げることができる。
【0038】上記水性ポリエステルは、さらに親和性を
付与することが必要な場合、ポリエステル中にSO3
a基やCOONa基を導入してもよく、またポリエーテ
ル成分を導入することもできる。
【0039】[脂肪酸のアミド、脂肪酸のビスアミド]
本発明において、易接着性塗膜の成分に用いる脂肪酸の
アミド、脂肪酸のビスアミドはそれぞれR1CONH2
1CONHR3NHOCR2で表されるものであり、R1
CO−及びR2CO−は脂肪酸残基、−NHR3NH−は
ジアミン残基である。この脂肪酸としては炭素数6〜2
2の飽和又は不飽和脂肪酸が好ましく、またこのジアミ
ンとしては炭素数1〜15のジアミン、特にアルキレン
ジアミンが好ましい。また、ビスアミドとしては、炭素
数が13〜15で分子量が200〜800のN,N’−
アルキレンビスアミドが好ましい。
【0040】更に具体的には、N,N’−メチレンビス
ステアリン酸アミド、N,N’−エチレンビスパルミチ
ン酸アミド、N,N’−メチレンビスラウリン酸アミ
ド、リノール酸アミド、カプリル酸アミド、ステアリン
酸アミド等を例示することができる。これらのうち、特
に下記式で示されるビスアミドが好ましく用いられる。
【0041】
【化3】RCONH(CH2nNHOCR (但し、RCO−は脂肪酸残基を示し、nは1又は2で
ある。)
【0042】これらの脂肪酸のアミド及び/又は脂肪酸
のビスアミドは、塗膜を形成する組成物中に、3〜10
重量%含まれていることが好ましい。脂肪酸のアミド及
び/又は脂肪酸のビスアミドの含有量が少なすぎると十
分な接着力が得られず、滑り性、耐ブロッキング性が低
下する傾向があり、逆に多すぎると、フィルムと塗膜と
の密着性が低下したり、塗膜とガラス用接着剤との接着
性が低下したり、塗膜の脆化を招いたりすると共に、へ
ーズが高くなるので好ましくない。
【0043】[易接着性塗膜]本発明において、光学用
フィルム表面に形成される易接着性塗膜を構成する組成
物は、さらに、平均粒径が0.15μm以下、特に0.
01〜0.1μmの粗面化物質を含有していることが好
ましい。
【0044】この粗面化物質の具体例としては、炭酸カ
ルシウム、炭酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜
鉛、酸化マグネシウム、酸化ケイ素、ケイ酸ソーダ、水
酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化ジルコニウム、硫酸バ
リウム、酸化チタン、酸化錫、三酸化アンチモン、カー
ボンブラック、二硫化モリブデン等の無機微粒子、アク
リル系架橋重合体、スチレン系架橋重合体、架橋シリコ
ーン樹脂、フッ素樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、フェノ
ール樹脂、ナイロン樹脂、ポリエチレンワックス等の有
機微粒子などを例示することができる。これらのうち、
水不溶性の固体物質は、水分散液中で沈降するのを避け
るため、比重が3を超えない超微粒子を選ぶことが好ま
しい。
【0045】これら粗面化物質は、易接着性塗膜表面を
粗面化すると共に、微粉末自体による塗膜の補強作用が
あり、さらには塗膜への耐ブロツキング性付与作用、光
学用フィルムヘの滑り性付与作用を奏する。
【0046】この粗面化物質は、易接着性塗膜を形成す
る組成物中に、5〜30重量%含まれていることが好ま
しい。特に、平均粒径が0.1μm以上の比較的大きな
粒子を用いるときには5〜10重量%範囲から、また平
均粒径が0.01〜0.1μmの粒子を用いるときには
8〜30重量%の範圏内から選定するのが好ましい。こ
れら粗面化物質の易接着性塗膜中の含有量が多くなり過
ぎると、得られる積層体のへーズ値が3%を超え、透明
性が悪化するので注意を要する。
【0047】この粗面化物質により、易接着性塗膜の中
心線表面粗さ(Ra)は2〜10nmであることが好ま
しい。Raが2nm未満であると、フィルム巻取り時に
滑り性不足のため巻き姿が悪く、以下の作業に支障を来
す。10nmを超えると透明性が悪化するので好ましく
ない。
【0048】本発明における上記組成物は、易接着性塗
膜を形成させるために、水溶液、水分散液或いは乳化液
の形態で使用される。塗膜を形成するために、必要に応
じて、前記水性ポリエステル以外の他の樹脂、帯電防止
剤、着色剤、界面活性剤、紫外線吸収剤などを添加する
ことができる。
【0049】塗布液のポリエステルフィルムヘの塗布
は、任意の段階で行なうことができるが、ポリエステル
フィルムの製造過程で行なうのが好ましく、さらには配
向結晶化が完了する前のポリエステルフィルムに塗布液
を塗布するのが好ましい。
【0050】ここで、結晶配向が完了する前のポリエス
テルフィルムとは、未延伸フィルム、未延伸フィルムを
縦方向または横方向の何れか一方に配向せしめた一軸配
向フィルム、さらには縦方向および横方向の二方向に低
倍率延伸配向せしめたもの(最終酌に縦方向また横方向
に再延伸せしめて配向結晶化を完了せしめる前の二軸延
伸フィルム)等を含むものである。なかでも、一方向に
配向せしめた一軸延伸フィルムに上記組成物の塗布液を
塗布し、そのまま横延伸と熱固定とを施すのが好まし
い。
【0051】塗布液をフィルムに塗布する際には、塗布
性を向上させるための予備処理としてフィルム表面にコ
ロナ表面処理、火炎処理、ブラズマ処理等の物理処理を
施すか、あるいは塗膜組成物と共にこれと化学的に不活
性な界面活性剤を併用することが好ましい。この界面活
性剤は、ポリエステルフィルムヘの水性塗液の濡れを促
進するものであり、例えば、ポリオキシエチレンアルキ
ルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン−脂肪酸エス
テル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エ
ステル、脂肪酸金属石鹸、アルキル硫酸塩、アルキルス
ルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩等のアニオン
型、ノニオン型界面活性剤を挙げることができる。
【0052】塗布液の塗布量は、易接着性塗膜の厚さが
70〜100nm、好ましくは75〜95nmの範囲と
なるような量であるのが好ましい。易接着性塗膜の厚さ
が70nm未満であると、接着力が不足し、逆に厚過ぎ
て100nmを超えると、ブロッキングを起こしたり、
へーズ値が高くなる可能性がある。
【0053】易接着性塗膜面の厚み方向の屈折率nzは
1.50〜1.60であることが好ましい。塗膜面の厚
み方向の屈折率nzがこの範囲で、かつ塗膜の厚みが上
記の範囲であると、フィルム裏面からの反射光と該塗膜
表面の反射光が干渉し、可視光領域の裏面反射が0.1
%以下となり、認視性が向上するので好ましい。nzが
上記範囲を逸脱すると、可視光領域の裏面反射が0.1
%を超えるようになり、表面反射と干渉してディスプレ
イ表面に虹模様が現れ、認視性を損うので好ましくな
い。更に、後述の反射防止層を表層に施すに際し、裏面
反射の影響が顕在化し、反射防止が困難になるという不
都合が生じる。
【0054】易接着性塗膜用塗液のフィルムへの塗布方
法としては、公知の任意の塗工法が適用できる。例えば
ロールコート法、グラビアコート法、ロールブラッシュ
法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、含浸
法、カーテンコート法などを単独又は組合せて用いるこ
とができる。なお、易接着性塗膜は、必要に応じ、フィ
ルムの片面のみに形成してもよいし、両面に形成しても
よい。
【0055】[イオン性低分子化合物]本発明において
ポリエステルフィルムの少なくとも片面に形成される易
接着性易接着性塗膜中のイオン性低分子化合物の含有量
は1,000ppm以下であることが好ましい。イオン
性低分子化合物は、塗膜成分を製造するための原料中の
不純物或いは未反応物等に由来する。このようなイオン
性低分子化合物の含有量が少ない塗膜は、例えば塗膜を
構成する成分を製造する際に、不純物の少ない原料を選
択すること、或いは成分が重合体の場合は未重合成分の
残存量を少なくする重合条件を選択すること等により得
ることができる。
【0056】本発明におけるイオン性の低分子化合物
は、下記式等で表される分子量1,000以下のイオン
性官能基を有する物質であり、イオン性の低分子化合物
が易接着性塗膜中に1,000ppmを超えて存在する
と、塗液をフィルムに塗工するに際し、塗液のフィルム
に対する濡れ性が低下し、一定した厚みの易接着性塗膜
が得られなくなる上に、接着剤に対する接着性が低下す
るので好ましくない。
【0057】
【化4】 −SO3X、 −COOX、 −PO4X、 >NO―X (式中のXはアルカリ金属、アンモニウム基を表す)
【0058】イオン性低分子化合物量の検出はフィルム
面に易接着性塗膜を形成した後、その塗膜面をXPS
(X線光電子分光)により表面分析することにより求め
ることができる。
【0059】[ハードコート層]本発明においては、上
記易接着性塗膜の少なくとも一面上にハードコート層を
積層することができ、これによって光学用フィルムの表
層の耐擦傷性を向上することができる。
【0060】このハードコート層としては、放射線硬化
系、シラン系など通常用いられるハードコート層が用い
ることができる。特に放射線硬化系のハードコート層が
好ましく、なかでもUV(紫外線)硬化系のハードコー
ト層が好ましく用いられる。
【0061】ハードコート層の形成に用いられるUV硬
化系組成物としては、ウレタン−アクリレート系、エポ
キシ−アクリレート系、ポリエステル−アクリレート系
などのUV硬化性組成物が挙げられる。
【0062】易接着性塗膜上にハードコート層を積層す
るには、塗膜上にハードコート層を構成するための組成
物を塗布し、加熱、放射線(例えば紫外線)照射等によ
りこの組成物を硬化させる。ハードコート層の厚さは、
特に限定されないが通常、1〜15μm程度が適当であ
る。
【0063】[反射防止層(アンチリフレクション(A
R)層)]このように形成したハードコート層の上に、
更に反射防止層を形成することができる。反射防止層
は、屈折率の異なる複数の層を交互に積層したもので、
その構成は一般によく知られている。例えば、低屈折率
層(SiO2、30nm)−高屈折率層(TiO2、30
nm)−低屈折率層(SiO2、30nm)−高屈折率
層(TiO2、100nm)−低屈折率層(SiO2、1
00nm)の層構成を有するもの、高屈折率層(IT
O、20nm)−低屈折率層(AlSiO、20nm)
−高屈折率層(ITO、88nm)−低屈折率層(Al
SiO、88nm)の層構成を有するもの、高屈折率導
電層(ITO、20nm)−低屈折率層(SiO2、2
0nm)−高屈折率導電層(ITO、93nm)−低屈
折率層(SiO2、93nm)の層構成を有するものな
どが知られている。
【0064】本発明においては、任意の反射防止層を適
用することができ、通常、スパッタリングによってハー
ドコート層上に積層される。この反射防止層により、デ
ィスプレイの認視性を妨げる外来光の反射を抑制するこ
とができる。
【0065】反射防止層には、上記以外にも、単層膜で
主として黄色光を中心に反射防止するものがあるが、黄
色の補色である紫色が見えるので、光学レンズの反射防
止に適しており、ディスプレイの反射防止には、多層反
射防止膜の方が適している。
【0066】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説
明する。なお、以下の実施例、比較例において、各特性
値は下記の方法により評価した。
【0067】(1)ヘーズ値 日本電色工業社製のへーズ測定器(NDH−20)を使
用してへーズ値を測定した。へーズ値は次の基準で評価
した。 ◎:へーズ値≦1.0% ……へーズ値極めて良好 ○:1.0%<へーズ値≦5.0% ……へーズ値良好 ×:5.0%<へーズ値 ……へーズ値不良
【0068】(2)吸光度 (株)島津製作所製 分光光度計MPC3100を用
い、波長400〜750nmの可視光線の透過率を測定
し、下記式より吸光度(吸収率)を算出した。
【0069】
【数1】吸光度=1−透過率−反射率 得られた結果を次の基準で評価した(◎:極めて良好、
○:良好、×:不良)。 ◎:波長400〜750nmの平均吸光度が0.2以上
0.3以下 ○:波長400〜750nmの平均吸光度が0.15以
上0.2未満または0.3超0.35以下 ×:波長400〜750nmの平均吸光度が0.15未
満または0.35を超える
【0070】(3)裏面反射率 フィルムの易接剤塗布面を裏面(両面塗布の場合は任意
の片面)とするとき、フィルム表面から45°の角度で
点光源からの光を照射し、入射光量に対する反射光量の
割合(%)を反射光率(RX)とする。また、フィルム
の裏面に黒色粘着テープを貼付し、フィルム表面から4
5°の角度で点光源からの光を照射し、入射光量に対す
る反射光量の割合(%)を裏面反射光率(RY)とす
る。このときの、反射光率(RX)と裏面反射光率(R
Y)との差(RX−RY)を裏面反射率とする。裏面反
射率の測定結果を次の基準で評価した。 ○:裏面反射率が0.1%以下 (裏面反射率良好) ×:裏面反射率が0.1%を超える(裏面反射率不良)
【0071】(4)接着力 a.対接着剤 易接着性ポリエステルフィルムの塗膜形成面に厚さ10
μmのアクリル系の粘着剤を塗設する。60℃、80%
RHの恒温恒湿槽中に24時間経時後、エポキシ樹脂系
の接着剤で貼り合せ、引き剥がし試験により、次の基準
で評価する。 ◎:基材フィルムが破断する程度に接着力が強い ○:剥離するが、実用性はある ×:たやすく剥離し、実用性無し
【0072】b.対ハードコート 易接着性ポリエステルフィルムの塗膜形成面に厚さ5μ
mのハードコート層を形成して碁盤目のクロスカツト
(1mmのマス目を100個)を施し、その上に24m
m幅のセロハンテープ(ニチバン社製)を貼り付け、1
80度の剥離角度で急激に剥がした後、剥離面を観察
し、下記の基準で評価した。 5:剥離面積が10%未満 ……接着力極めて良好 4:剥離面積が10%以上20%未満 ……接着力良好 3:剥離面積が20%以上30%未満 ……接着力やや良好 2:剥離面積が30%以上40%未満 ……接着力不良 1:剥離面積が40%を超えるもの ……接着力極めて不良
【0073】(5)イオン性低分子化合物の検出 フィルム表面に塗設された易接着性塗膜をXPS(X線
光電子分光)により表面分析する。その結果により、次
のように表示した。 ○:イオン性低分子化合物の含有量が1,000ppm
以下(良好) ×:イオン性低分子化合物の含有量が1,000ppm
を超える(不良)
【0074】(6)フィルム/フィルム摩擦係数 表面と裏面面を重ね合せた2枚のフィルムの下側に固定
したガラスを置き、重ね合せたフィルムの下側(ガラス
板と接しているフィルム)のフィルムを定速ロールにて
引取り(約10cm/分)、上側のフィルムの一端(下
側フィルムの引取り方向と逆端)に検出機を固定してフ
ィルム/フィルム間の引張力(F)を検出する。なお、
その時に用いる上側のフィルムの上に載せてあるスレッ
ドは下側面積が50cm2(80mm×62.5mm)
であり、フィルムに接する面は80°のネオプレンゴム
であり、その重さ(W)は1.2kgとする。静摩擦係
数μSは下記式で算出される。
【0075】
【数2】μS=F(g)/W(g)
【0076】(7)易接着性塗膜の厚み方向の屈折率 アッベ屈折率計を用い、ナトリウムD線を光源として測
定した。なお、マウント液にはヨウ化メチレンを用い、
測定雰囲気は25℃、65%RHとした。
【0077】(8)認視性改良フィルムとして表面反射
の評価 試験用CRTに700lxの外光を照射し、反射光1を
測定する。次に、供試フィルムをCRTに粘着剤で貼付
し、再度反射光2を測定した。(反射光2/反射光1)
×100%の値を次の区分で評価した。 ◎:(反射光2/反射光1)×100%が0.07%未
満(極めて良好) ○:(反射光2/反射光1)×100%が0.07%以
上0.1%未満(良好) △:(反射光2/反射光1)×100%が0.1%以上
0.2%未満(やや不良) ×:(反射光2/反射光1)×100%が0.2%以上
(不良)
【0078】(9)認視性改良フィルムとしての耐摩耗
性 スチールウール#0000でハードコートの表面を摩擦
し、傷がつくかどうかを調べ、傷がつかないものを耐摩
耗性良好(○)、傷がつくものを耐摩耗性不良(×)と
した。
【0079】(10)認視性改良フィルムとしての総合
評価 ○:光学用易接着フィルムとして各評価項目を満足し、
認視性改良フィルムとしての各評価項目を満足するもの ×:光学用易接着フィルムとして各評価項目のいずれか
で不合格であるか、認視性改良フィルムとしての各評価
項目のいずれかで不合格であるもの
【0080】(11)ガラス転移点(Tg) 示差熱量計(DuPont Instruments
910DSC)を用い、アルミニウム製のパンに封入し
たサンプル量20mgを室温から昇温速度20℃/分で
300℃まで昇温させ、300℃で1分間保持した後室
温以下の温度に急冷し、再度室温から昇温速度20℃/
分で昇温させて測定する。
【0081】(12)フィルムの厚み 塗膜を積層したフィルム(塗膜を積層しないサンプルの
場合はそのフィルム)の厚みをマイクロメータで10点
測定し、平均値を求めてフィルムの厚みとした。
【0082】[実施例1]黒色染料(カーボンブラッ
ク)を0.04重量%、平均粒径1.7μmの多孔質シ
リカを0.007重量%含有した溶融ポリエチレンテレ
フタレート([η]=0.65)をダイより押出し、常
法により冷却ドラムで冷却して未延伸フィルムとし、次
いで縦方向に3.5倍に延伸した後、横方向に3.8倍
延伸し、230℃で緊張熱処理して、厚み125μmの
ポリエステルフィルムを得た。このフィルムの光学特性
を評価した結果を表1に示す。
【0083】[実施例2〜5、比較例1〜4]実施例1
に準じ、表1に示すポリエステル、染料、滑剤を用い、
最適とされる条件で製膜して厚み125μmのポリエス
テルフィルムを得た。これらのフィルムの光学特性を評
価した結果を表1に示す。
【0084】
【表1】
【0085】[実施例6]黒色染料(カーボンブラッ
ク)を0.04重量%、平均粒径1.7μmの多孔質シ
リカを0.007重量%含有した溶融ポリエチレンテレ
フタレート([η]=0.65)をダイより押出し、常
法により冷却ドラムで冷却して未延伸フィルムとし、次
いで縦方向に3.5倍に延伸した後、その両面に下記塗
膜用組成物の濃度8%の水性液をロールコーターで均一
に塗布した。
【0086】[塗膜用組成物]酸成分がテレフタル酸
(90モル%)、イソフタル酸(6モル%)および5−
スルホイソフタル酸カリウム(4モル%)、グリコール
成分がエチレングリコール(95モル%)およびネオペ
ンチルグリコール(5モル%)の共重合ポリエス テル(Tg=68℃): 80重量% N,N’−エチレンビスカプリル酸アミド: 5重量% アクリル系樹脂微粒子(平均粒径0.03μm): 10重量% ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル: 5重量%
【0087】その後、引き続いて95℃で乾燥しながら
横方向に120℃で3.8倍に延伸し、230℃で熱固
定して、厚さ125μmの光学用易接着性フィルムを得
た。なお、塗膜の厚さは0.15μmであった。評価結
果を表2に示す。
【0088】[実施例7〜14、比較例5〜9]塗膜用
組成物の組成を表2に示すように変更した以外は、実施
例6と同様にして厚さ125μmの光学用易接着性フィ
ルムを得た。なお、塗膜の厚さは0.15μmであっ
た。評価結果を表2に示す。
【0089】
【表2】
【0090】[実施例15〜19、比較例10〜13]
実施例1〜5のフィルムの両面に実施例6の易接着性塗
膜を製膜時に塗設し、片面の塗膜上に、下記組成からな
るUV硬化系組成物をロールコータを用いて、硬化後の
膜厚が5μmとなるように均一に塗布した。
【0091】比較例1〜4のフィルムの両面に比較例9
の易接着性塗膜を製膜時に塗設し、片面の塗膜上に、下
記組成からなるUV硬化系組成物をロールコータを用い
て、硬化後の膜厚が5μmとなるように均一に塗布し
た。
【0092】 [UV硬化組成物] ペンタエリスリトールアクリレート 45重量% N−メチロールアクリルアミド 40重量% N−ビニルピロリドン 10重量% 1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 5重量%
【0093】その後、80W/cmの強度を有する高圧
水銀灯で30秒間紫外線を照射して硬化させ、ハードコ
ート層を形成した。
【0094】このハードコート層の上に、低屈折率層
(SiO2、30nm)、高屈折率層(TiO2、30n
m)、低屈折率層(SiO2、30nm)、高屈折率層
(TiO2、100nm)、低屈折率層(SiO2、10
0nm)を、この順にスパッタリングによって形成し
た。
【0095】得られた光学用積層体の評価結果を表3に
示す。
【0096】
【表3】
【0097】尚、表2において塗膜用組成物の記号
(P、Q、R、S、T、A、B、C、D、E、G、H、
YおよびZ)は、それぞれ下記の重合体または化合物で
あることを示す。
【0098】[水性ポリエステル] P:酸成分がテレフタル酸(90モル%)、イソフタル
酸(6モル%)および5−スルホイソフタル酸カリウム
(4モル%)、グリコール成分がエチレングリコール
(95モル%)およびネオペンチルグリコール(5モル
%)の共重合ポリエステル(Tg=68℃) Q:酸成分が2,6−ナフタレンジカルボン酸(50モ
ル%)、テレフタル酸(46モル%)および5−スルホ
イソフタル酸ナトリウム(4モル%)、グリコール成分
がエチレングリコール(70モル%)およびビスフェノ
ールAのエチレンオキシド2モル付加物(30モル%)
の共重合ポリエステル(Tg=80℃) R:酸成分がテレフタル酸(85モル%)およびイソフ
タル酸(15モル%)、グリコール成分がエチレングリ
コール(57モル%)、1,4−ブタンジオール(40
モル%)、ジエチレングリコール(2モル%)およびポ
リエチレングリコール(分子量600)(1モル%)の
共重合ポリエステル(Tg=47℃) S:酸成分がテレフタル酸(70モル%)、イソフタル
酸(28モル%)および5−スルホイソフタル酸ナトリ
ウム(2モル%)、グリコール成分がエチレングリコー
ル(70モル%)およびビスフェノールAのエチレンオ
キサイド4モル付加物(30モル%)の共重合ポリエス
テル(Tg=30℃) T:酸成分が2,6−ナフタレンジカルボン酸(81モ
ル%)、イソフタル酸(15モル%)および5−スルホ
イソフタル酸ナトリウム(4モル%)、グリコール成分
がエチレングリコール(70モル%)およびビスフェノ
ールAのエチレンオキサイド2モル付加物(30モル
%)の共重合ポリエステル(Tg=90℃)
【0099】[脂肪酸のアミド、脂肪酸のビスアミド] A:N,N’−メチレンビススアテリン酸アミド B:N,N’−エチレンビスパルミチン酸アミド C:N,N’−エチレンビスカプリル酸アミド D:カプリル酸アミド E:ステアリン酸アミド
【0100】[粗面化物質]G:アクリル系樹脂微粒子
(平均粒径0.03μm) H:シリカ(平均粒径0.12μm)
【0101】[界面活性剤] Y:ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル Z:ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン共重合
【0102】表1、2、3に示した結果から明らかなよ
うに、本発明の光学用フィルム(実施例1〜5)は透明
性、映像のコントラスト性にすぐれ、これに易接着性塗
膜を塗設したフィルム(実施例6〜14)はガラス用接
着剤およびハードコートに対して良好な接着性を有しな
がら光学特性を損わず、それらを用いた光学用積層体
(実施例15〜19)は、映像のコントラスト、耐摩耗
性、反射防止能のいずれも良好であったが、本発明の要
件のいずれかを満たしていない場合(比較例1〜13)
は、欠点のため実用に供し得ないものである。
【0103】
【発明の効果】本発明によれば、映像のコントラストが
高く、接着力に優れ、裏面反射率の小さい光学用フィル
ムを提供することができるので、表面硬度、耐摩耗性等
が良好であり、しかも十分な透明性、防眩性、防爆性を
備えた光学用フィルム積層体を堤供することができ、特
にパソコンディスプレイの表面保護板として有用であ
る。また、窓ガラス、ショーケース、眼鏡、計器類、写
真、絵画、イラスト、看板等の表面保護シートとして適
用範囲が広く、工業的価値の高いものである。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09D 167/00 C09D 167/00 4J038 G02B 1/10 G02F 1/1335 G02F 1/1335 C08L 67:02 // C08L 67:02 G02B 1/10 Z Fターム(参考) 2H091 FA37X FB02 GA16 GA17 LA03 LA16 2K009 AA07 AA08 AA15 BB24 CC03 CC21 CC33 CC34 CC42 DD02 DD04 DD05 DD09 4F006 AA35 AB35 AB65 BA01 CA05 DA04 4F071 AA44 AA46 AF30Y AH16 BA01 BB08 BC01 4F100 AA20 AA21 AA37 AK01C AK25 AK26 AK41 AK41A AL01 AR00C AR00D AR00E BA03 BA05 BA07 BA10A BA10C BA10D CC00B EH66 EJ38A JB14C JK12C JL11B JN06D JN06E JN18D JN18E YY00A YY00B 4J038 CC002 CD092 CG002 DA062 DA172 DD001 DD041 DD061 DD081 DH002 DL032 HA026 HA176 HA186 HA216 HA286 HA356 HA446 HA456 JB12 JB13 KA06 NA12 NA19 PB03 PB04 PB08 PC08

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 二軸配向ポリエステルフィルムであっ
    て、該フィルムのヘーズ値が5%以下、波長400〜7
    50nmの光線の吸光度が0.15〜0.35であるこ
    とを特徴とする光学用フィルム。
  2. 【請求項2】 フィルムの少なくとも片面に、イオン性
    低分子化合物の含有量が1,000ppm以下である対
    接着剤易接着性塗膜が形成されていることを特徴とする
    請求項1記載の光学用フィルム。
  3. 【請求項3】 易接着性塗膜面の裏面反射率が0.1%
    以下である請求項2記載の光学用フィルム。
  4. 【請求項4】 易接着性塗膜を形成する組成物が平均粒
    径0.15μm以下の粗面化物質を5〜30重量%含有
    する請求項2に記載の光学用フィルム。
  5. 【請求項5】 易接着性塗膜を形成する組成物が脂肪酸
    アミド及び/又は脂肪酸ビスアミドを3〜10重量%含
    有する請求項2に記載の光学用フィルム。
  6. 【請求項6】 易接着性塗膜を形成する組成物が、ガラ
    ス転移点が40〜85℃の水性ポリエステル樹脂と脂肪
    酸ビスアミドとを主成分とする請求項2に記載の光学用
    フィルム。
  7. 【請求項7】 脂肪酸ビスアミドが、下記一般式(1)
    で表される脂肪酸ビスアミドである請求項5に記載の光
    学用フィルム。 【化1】RCONH(CH2nNHOCR……(1) (但し、式(1)中のRCO−は脂肪酸残基を示し、n
    は1又は2である。)
  8. 【請求項8】 光学用途が、ディスプレイ等の表示面の
    認視性改良用である請求項1乃至7のいずれか1項に記
    載の光学用フィルム。
  9. 【請求項9】 ヘーズ値が5%以下、波長400〜75
    0nmの光線の吸光度が0.15〜0.35である二軸
    配向ポリエステルフィルムの少なくとも片面にイオン性
    低分子化合物の含有量が1,000ppm以下である対
    接着剤易接着性塗膜が形成され、該易接着性塗膜の少な
    くとも1面の上にハードコート層を積層した光学用積層
    体。
  10. 【請求項10】 ハードコート層が、放射線硬化性樹脂
    を放射線照射により硬化させて得られるハードコート層
    である請求項9記載の光学用積層体。
  11. 【請求項11】 ハードコート層の表層に、屈折率を異
    にする二層以上の薄膜からなる多層反射防止層が設けら
    れている請求項9に記載の光学用積層体。
  12. 【請求項12】 光学用途が、ディスプレイ等の表示面
    の認視性改良用である請求項9乃至11のいずれか1項
    に記載の光学用積層体。
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