JP2002211224A - サスペンションの制御方法 - Google Patents

サスペンションの制御方法

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JP2002211224A JP2001005661A JP2001005661A JP2002211224A JP 2002211224 A JP2002211224 A JP 2002211224A JP 2001005661 A JP2001005661 A JP 2001005661A JP 2001005661 A JP2001005661 A JP 2001005661A JP 2002211224 A JP2002211224 A JP 2002211224A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ジグザグ走行時等のローリング方向の急激な
変化に対応し、ロール角に応じたロール剛性を得ること
が可能なサスペンションの制御方法を提供する。 【解決手段】 左後輪のサスペンションにおいて、コー
ナリングにより車体Bが路面に対し、上下動してローリ
ングし、ナックル6Lに接続したロアアーム3L及びアッパ
ーアーム2Lが車体Bの基端を始点に上下動する。ロアア
ーム3Lに接続したバネ7L及びショックアブソーバが上下
動に対応して伸縮し、路面に対する車体Bの上下動が緩
衝される。アクチュエータ1Lを駆動し、駆動アーム4L
をローリングと同一方向に回転させ、駆動アーム4Lに接
続したロアアーム3Lに上下動するトルクが伝達され、バ
ネ7Lのバネレートを補完する。右後輪のサスペンション
も同様であり、ホイールWL,WRに設けたアクチュエータ1
L,1Rを相互に関連制御して、コーナリングでのバネ7L,7
Rのバネレートを補完し、車両のロール剛性の制御を行
う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車等の車両の
サスペンションに関わり、サスペンションを電子制御に
より駆動するサスペンションの制御方法に係わるもので
ある。
【0002】
【従来の技術】電子制御のサスペンションの駆動として
は、従来、ロール剛性可変システムが知られている。こ
のロール剛性可変システムは、コーナーリング等におい
て、ローリングのロールモーメントに寄与するスタビラ
イザーバーの捩れ角を、直接制御する手法が利用されて
いる。すなわち、ロール剛性可変システムは、スタビラ
イザーバーと車輪保持器とを連結するスタビライザーリ
ンクの一方、または両方に伸縮式アクチュエータを設け
て、この伸縮式アクチュエータに捻れ方向と反対の力を
発生させることにより、スタビライザーの捻れ角を調整
し、ローリングの角度を減少させる。ここで用いられる
伸縮式アクチュエータには、油圧式やリニアモータ式が
知られている。
【0003】また、他のロール剛性可変システムとして
は、左右の車輪保持器に接続されたスタビライザーバー
の中央部に、回転式アクチュエータを設けることで、逆
相動作に対して反発する力を発生させて、ローリングの
角度を減少させる構成もある。上述したように、従来の
ロール剛性可変システムは、スタビライザの反発力に、
アクチュエータの発生する力を加えることにより、スタ
ビライザーバーの剛性を補完して、スタビライザーの反
発力を大くし、ローリングが発生した場合に、見かけ
上、太いスタビライザーバーを設けたような構成として
いる。これにより、上述のロール剛性可変システムによ
れば、サスペンションがローリングに対するロール剛性
が向上することになり、乗り心地及び操縦安定性を制御
することが可能となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たロール剛性可変システムは、コーナーリング時の定常
状態のロール角を減少させる動作のみを行い、ジグザグ
走行時のような非定常状態についての制御を考慮した構
成となっていない。そのため、上述したロール剛性可変
システムは、ジグザグ走行等によるローリング方向の急
激な変化において、ロール角の調整処理が実際のロール
角の変化に対する追従が遅れてしまう。すなわち、上述
したロール可変システムには、コーナーリングの初期に
入力される横G(横方向加速度)センサの応答遅れによ
り、ローリング発生時における過渡領域での、ロール角
の調整処理が実際のロール角の変化に対する追従が遅れ
るという問題がある。
【0005】本発明はこのような背景の下になされたも
ので、ジグザグ走行時等のローリング方向の急激な変化
に対応し、ロール角に応じた適切なロール剛性を得るこ
とが可能なサスペンションの制御方法を提供する事にあ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に記載のサスペン
ションの制御方法は、車体(例えば、実施形態における
車体B)がロールするのを抑制する力を発生することが
できるアクチュエータ(例えば、実施形態におけるアク
チュエータ1L,1R)の制御方法において、左右車輪
(例えば、実施形態におけるホイールWL,WR)の上下
方向における車輪の移動量の差(例えば、実施形態にお
けるストローク差ΔLR)を検出するととに舵角速度も
検出し、車輪の移動量の差と舵角速度とに基づいてアク
チュエータを制御するため、車体が中立の場合を含め
て、ハンドルを切る速度、すなわち舵角速度に基づくト
ルクを生成し、このトルクに基づいてローリング方向と
逆方向に対してアクチュエータのトルク制御を行い、逆
相のホイールレートを高めるので、ストロークの変化量
のみに基づく制御に比較して、コーナーリングにおける
ロール剛性が補完されて初期応答性が向上し、車両のコ
ンプライアンスによる応答遅れを改善でき、かつ、コー
ナーリング開始時から車体の中心に重心を置くことがで
き、常にコーナリングにより発生する遠心力に対して車
両の安定性が得られる。
【0007】本発明に記載のサスペンションの制御方法
は、左右車輪(例えば、実施形態におけるホイールW
L,WR)を機械的に連結し、左右車輪の上下方向におけ
る車輪の車体に対する移動量の差(例えば、実施形態に
おけるストローク差ΔLR)により捩じれが生じるスタ
ビライザが設けられており、必要とされる車輪がロール
するのを抑制する力の不足分を前記アクチュエータ(例
えば、実施形態におけるアクチュエータ1L,1R)にて
補うため、直進走行時において、転舵操作を行わないこ
とで、ハンドルを回転させることにより入力される舵角
が小さいため、舵角速度が「0」として求められ、かつ
ローリングによる車輪の車体に対する移動量の差と求め
られるため、制御回路がアクチュエータを制御すること
がなく、サスペンションの剛性が補完されないことによ
り、スタビライザー及びバネ(例えば、実施形態におけ
るバネ7L,7R)の本来の基準値のバネレートによりサ
スペンションが動作するので、予め設定された本来の乗
り心地を損なうことがない。車体のロール剛性を決定す
るバネレートは、サスペンションのバネのバネレート及
びスタビライザの捻り剛性に基づくバネレートの双方で
あるが、以下、説明のために、バネのバネレートにスタ
ビライザのバネレートを含めて説明する。
【0008】本発明に記載のサスペンションの制御方法
は、車体(例えば、実施形態における車体B)がロール
するのを抑制する力を発生することができるアクチュエ
ータ(例えば、実施形態におけるアクチュエータ1L,
1R)の制御方法において、車両の横加速度を検出し、
横加速度(例えば、実施形態における横加速度値DG)
と舵角速度とに基づいてアクチュエータを制御するた
め、車体が中立の場合を含めて、ハンドルを切る速度、
すなわち舵角速度に基づくトルクを生成し、このトルク
に基づいてローリング方向と逆方向に対してアクチュエ
ータのトルク制御を行い、逆相のホイールレートを高め
るので、ストロークの変化量のみに基づく制御に比較し
て、コーナーリングにおけるロール剛性が補完されて初
期応答性が向上し、車両のコンプライアンス分による応
答遅れを改善でき、かつ、コーナーリング開始時から車
体の中心に重心を置くことができ、常にコーナリングに
より発生する遠心力に対して車両の安定性が得られる。
また、このサスペンションの制御方法は、車輪の車体に
対する移動量の差に代えて、横加速度を用いてアクチュ
エータを制御するため、ストロークセンサ使用せずに、
横加速度センサを使用することとなり、ストロークセン
サを用いた場合に比べて、駆動アームからストロークセ
ンサへのリンクやロッドを使用しないため、左右の車輪
に設けられる2つの高価なストロークセンサを削減で
き、かつ車体状態値を検出する検出機構の構造が簡易に
なることでシステムを簡素化することができ、製造コス
トを削減することが可能である。
【0009】本発明に記載のサスペンションの制御方法
は、車両(例えば、実施形態における車体B)のロール
方向と操舵速度方向(例えば、実施形態における舵角速
度方向)が一致している場合には、車輪(例えば、実施
形態におけるホイールWL,WR)の車体に対する移動量
の差(例えば、実施形態におけるストローク差ΔLR)
と舵角速度とに基づいて制御し、車両のロール方向と操
舵速度方向とが不一致の場合には、車輪の車体(例え
ば、実施形態における車体B)に対する移動量の差に基
づいて制御し、車両のロールが少ない中立状態において
は、車両のロール方向と操舵速度方向との一致及び不一
致に関わらず、車輪の車体に対する移動量の差と舵角速
度とに基づいて制御し、すなわち舵角量を微分した舵角
速度に基づいたトルクを、車輪の車体に対する移動量の
差から求めたトルクに対して強制加算することで、舵角
速度から求めたトルクにより、コーナーリングの過渡状
態における車体の制御の遅れを補完し、コーナーリング
初期の旋回時の応答速度を改善し、耐ローリング制御に
おいて、アクチュエータ等の制御系の遅れ,及び車両コ
ンプライアンス分に基づく、車体の制御の遅れを生じさ
せず、コーナーリング開始時において、ローリングに対
する反応を向上させることが可能となる。
【0010】本発明に記載のサスペンションの制御方法
は、車両のローリング方向と操舵速度方向が一致してい
る場合には、横加速度(例えば、実施形態における横加
速度値DG)と舵角速度とに基づいて制御し、車両(例
えば、実施形態における車体B)のロール方向と操舵速
度方向が不一致の場合には、横加速度に基づいて制御
し、車両のロールが少ない中立状態においては、車両の
ロール方向と操舵速度方向の一致、不一致に関わらず車
輪の車体に対する移動量の差と舵角速度とに基づいて制
御し、すなわち舵角量を微分した舵角速度に基づいたト
ルクを、横加速度から求めたトルクに対して強制加算す
ることで、舵角速度から求めたトルクにより、コーナー
リングの過渡状態における車体Bの制御の遅れを補完
し、コーナーリング初期の旋回時の応答速度を改善し、
耐ローリング制御において、アクチュエータ等の制御系
の遅れ,及び車両コンプライアンス分に基づく、車体B
の制御の遅れを生じさせず、コーナーリング開始時にお
いて、ローリングに対する反応を向上させることが可能
となる。
【0011】本発明に記載のサスペンションの制御方法
は、中立状態であることを判定するとき、ヒステリシス
を有して判定するため、しきい値が1点の場合に、車輪
の車体(例えば、実施形態における車体B)に対する移
動量の差がしきい値を挟んで変化した場合に起こる車両
状態値のハンチングを防止したため、状態値の振動によ
るアクチュエータの制御が不安定になることが回避でき
るので、アクチュエータに供給される電流値がハンチン
グを起さずに安定に供給されるため、アクチュエータの
発生するトルクを、ローリング状態への追従性を向上さ
せ、サスペンションのロール剛性の制御の応答性を良く
する効果があり、かつ、上述したストローク位置の中立
状態を挟んだ変化によるハンチングを防止出来るため、
車体の耐ローリング制御において、微妙な変化に過敏に
影響することによる車体の振動が無くなるため、車体の
挙動が安定する。
【0012】
【発明の実施の形態】本願発明は、サスペンションにお
けるバネ(例えば、コイルバネ)のバネレートを、アク
チュエータの発生するトルクにより上記バネの伸縮を制
御することで補完することにある。このとき、アクチュ
エータの発生するトルクは、コーナーリングにおけるハ
ンドル8の舵角速度と、ロール角の大きさとに基づいて
演算される。これにより、本願発明は、車両の走行状態
に対応して、実質的に車体のロール剛性を高め、ローリ
ングによる車体の傾き、すなわち、ロール角の大きさを
緩和させることにより、車両の走行の安定性を得ようと
するものである。
【0013】また、車体のロール剛性を高めようとし
て、初めからバネのバネレートを大きい値に設定する
と、直進時に路面の状態、例えば路面のでこぼこなどに
よる衝撃を、車体が直接受けることとなり、操縦性及び
乗り心地が悪化してしまう。しかしながら、本願発明に
よれば、バネのバネレートを直進時での路面の状態によ
る衝撃を押さえる値に設定しておき、コーナーリングで
必要なロール剛性を得るバネレートと、上記バネのバネ
レートとの差を、アクチュエータの発生するトルクで補
完するので、ローリング方向に対する逆相のホイールレ
ートを高め、走行の状態に応じてロール剛性を調整する
ことができるため、直進時及びコーナーリング時の各々
で、操縦性及び乗り心地を向上させることが可能であ
る。ここで、ホイールレートとは、ホイール側WL及び
ホイールWR側のサスペンションにおける各ストローク
量変化(車輪の車体に対する移動量)に応じて、各ホイ
ール端において何N(ニュートン)の力が発生している
かを示している。以下、図面を参照して本発明の実施形
態について説明する。
【0014】<第1の実施形態>図1は本発明の第1の
実施形態によるリア(後輪)側におけるサスペンション
の構成を示す車両後方からの透視図である。この図の左
後輪のサスペンションにおいて、ホイールWLを回転自
在に支持するナックル6Lは、A型のアッパーアーム2L
及びロアアーム3Lを介して上下動可能に支持されてい
る。アッパーアーム2Lは、先端に設けたジョイントを
介してナックル6Lの上部に接続され、基端に設けたジ
ョイントを介して車体Bに接続される。ロアアーム3L
は、先端に設けたジョイントを介してナックル6Lの下
部に接続され、基端に設けたジョイントを介して車体B
に接続される。ロアアーム3Lの中央部にバネ7Lの下部
が支持され、車体Bにバネ7Lの上部が支持され、ロア
アーム3Lの基端側に、リンク5L及び駆動アーム4Lを
介してアクチュエータ1Lが接続されている。また、図
示しないショックアブソーバが、車体Bとロアアーム3
Lとの間に設けられている。ここで、アクチュエータ1L
は、減速器GLとモータMLとから構成されている。さら
に、右後輪のサスペンションにおいても、上述した構成
要素の符号の添え字が「L」から「R」に変わるのみで
構成は同様である。また、ナックル6Lとナックル6Rと
の前部間は、図示しないスタビライザにより相互に接続
され、車体Bと、ナックル6L及びナックル6Rの各々の
後部とは、図示しないラテラルリンクにより接続されて
いる。
【0015】上述の構成により、左後輪のサスペンショ
ンにおいて、コーナリングにより車体Bが路面に対し
て、上下動してローリングすることにより、ナックル6
Lに接続されたロアアーム3L及びアッパーアーム2Lが
車体Bに接続された基端を始点として上下動する。これ
により、ロアアーム3Lに接続されているバネ7L及びシ
ョックアブソーバが上下動に対応して伸縮して、路面に
対する車体Bの上下動が緩衝される。このとき、アクチ
ュエータ1Lを駆動して、回転軸回りに、駆動アーム4L
をローリングと同一の方向に回転させると、駆動アーム
4Lにリンク5Lを介して接続されたロアアーム3Lに上
下動するトルク(N・m)が伝達され、バネ7Lのバネレ
ートを補完する。また、同様に、右後輪のサスペンショ
ンにおいても、上述した構成要素の符号の添え字が
「L」から「R」に変わるのみで、左後輪のサスペンシ
ョンの動作と同様な動作を行う。これにより、ホイール
WL及びホイールWRに設けたアクチュエータ1L及び1R
を相互に関連して制御することにより、コーナリングに
おけるバネ7L及び7Rのバネレートを補完することがで
き、車両のロール剛性を積極的に制御することができ
る。
【0016】すなわち、左後輪のサスペンションにおい
て、バネ7Lは、車体Bが、コーナーリングにより上下
動することで、この上下動に対応して、ロアアーム3L
に接続されているバネ7Lが上下動に対応して伸縮し、
車体Bに対してトルクを与え、車体Bの傾きを補正する
働きをする。しかしながら、上述したように、直進時の
路面の状態を緩衝させる必要があるため、バネ7Lは車
体Bを平行位置に戻すだけのトルクを与えるバネレート
を有してはいない。このため、アクチュエータ1Lは、
駆動アーム4L及びリンク5Lを介して、DCモータであ
るモータMLの回転を減速器GLがギア比で減速して得ら
れる、ローリング方向と同一方向の回転力と、駆動アー
ム4Lの長さとの乗算により得られる値のトルクをロア
アーム3Lに与える。この結果、アクチュエータ1Lは、
ロアアーム3Lにローリング方向と同一方向にトルクを
与えることで、上述したように、バネ7Lのバネレート
を補完することとなる。以下、説明上、制御装置が制御
することでアクチュエータ1L,1Rを駆動させ、この駆
動により駆動アームを回転させることでロアアーム3
L,3R各々にかける最終的な目標のトルクを、それぞれ
トルクTTL,TTRとする。
【0017】ここで、図2に示す様に、後輪のサスペン
ション各々にストロークセンサSL(左側),SR(右
側)を設け、このストロークセンサSL,SRでローリン
グによる上下動の大きさを、ストローク量として左右独
立に検出するようになっている。図2は、車体Bにおい
て、ストロークセンサSL,SR及び舵角センサSAの設
けられた位置を示す車両上方からの透視図である。ま
た、ローリングによる上下動が、コーナリングの方向に
よるため、運転者の操舵方向を検出するため、舵角セン
サSAが設けられている。舵角センサSAは、ステアリン
グホイール(ハンドル)8の操舵角及び操舵方向を検出
して、符号を付して検出した数値を出力する。例えば、
右に操舵した場合、操舵の角度に応じた正の数値を出力
し、左に操舵した場合、操舵の角度に応じた負の数値を
出力する。図2におけるストロークセンサSL及びSR
は、例えば、図3に示す上下動の距離を測るストローク
式ポテンショメータ、駆動アームの移動距離を回転角と
して測定する回転式ポテンショメータ、または図示しな
いが車両と路面との距離を測定するレーザ変位式等、す
なわち、ローリングによる車体Bのロール角に関連し
た、車体Bの路面に対する傾き量を測定できるものであ
ればいずれをも用いることができる。図3においては、
左後輪のサスペンションにストローク式ポテンションメ
ータを用いた例であり、ストロークセンサSLを車体B
に取り付け、アッパーアーム2Lにリンクにより結合し
ている。また、右後輪のサスペンションに、ストローク
センサSRとして回転式ポテンションメータを例として
用いている。さらに、上述のアクチュエータ1L,1Rの
制御及びストロークセンサSL,SRの出力の検出は、図
示しない制御回路により行われる。この制御回路は、C
PUと、メモリ等の記憶部とから構成されており、CP
Uが記憶部のプログラムに従い、各センサから得られる
ストローク量や舵角等のパラメータの数値に基づきアク
チュエータ1L,Rのトルクの方向及びトルク量の制御を
行う。
【0018】次に、図1および図4を参照し、一実施形
態の動作例を説明する。図4は運転者が操舵する方向に
応じた、アクチュエータ1L及び1Rの発生するトルク量
を演算する各パラメータの変化を示すタイミングチャー
トである。実際の動作を説明する前に、アクチュエータ
1L,1Rの制御を行うための制御回路が行う処理の流れ
をフロチャートを用いて説明する。動作の前提として、
運転者が車両に乗り込み、イグニッションスイッチをオ
ン状態にすることにより、上記制御回路は、この時点の
ストロークセンサSL,SRの出力する測定値MDL,M
DR(単位mm)を、各々基準値DL,DR(単位mm)とし
て記憶部に記憶する。これは、以降で用いるストローク
差ΔLRを、ストローク位置の基準値からの変化量(車
輪の車体に対する移動量)に基づき演算するため、車体
の重量及び荷物・乗員の重さにより変化する基準値をエ
ンジン始動時に測定することで、状況に応じてサスペン
ションにかかる重量に対応して、その時々の正確な基準
値を得るために行われる。
【0019】このため、ストローク位置の基準値には、
車両が乗車定員や荷物,ガソリン等の重量などにより、
停止時における9.8(m/s2)の重力加速度の状態で
測定した値を使用する必要があるため、イグニッション
スイッチをオンした状態で、制御回路によりストローク
センサSL,SRから読み込まれる値を用いる。そして、
制御回路は、プログラムに従い、図5,図7及び図8に
示す各々のフローチャートの処理を開始する。これらの
フローチャートの処理は、一定時間毎(例えば、10m
sec毎)に、1セットの処理として繰り返され、得られ
た結果からアクチュエータ1L,1Rに各々発生させるト
ルクTL,TRの発生の制御がこの一定時間毎に行われ
る。図4による実際の制御の流れの説明に先立ち、図
5,図7及び図8に示す各々のフローチャートの処理の
説明を行う。
【0020】図5のフローチャートにおいては、操舵の
速度を示す舵角速度(rad/sec)に基づき、アクチュエ
ータ1L,1Rに発生させるトルクYL,YRを求める演算
が行われる。この演算は、図6の舵角速度とトルクY
L,YRとの関係から、舵角速度に対応してトルクYL,
YRを求める。図6は、横軸が舵角速度であり、縦軸が
トルクYL,YRの値となっている。ここで、舵角速度
が、例えば0.5(rad/sec)以下のとき、トルクYL,
YRの値が「0」に設定されている。これは、直進走行
時にハンドル8のぶれなどにより、小さい舵角が発生す
る場合があり、このぶれに過敏に反応してサスペンショ
ンの剛性を高めてしまうことを防止している。すなわ
ち、あまり小さい舵角速度において、アクチュエータ1
L,1Rにトルクを発生させず、直進時には、基本バネレ
ートでサスペンションを動作させ、乗り心地を優先させ
る。また、トルクYL,YRの最大値は、例えば、200
(N・m)に設定されている。このトルクYL,YRの最
大値は、車両の乗り心地や操縦性を複数の人間が試乗し
て、この多数が選択した数値等に基づき決定される。
【0021】次に、各ステップの説明を行う。ステップ
S01において、制御回路は、舵角センサSAから、舵
角方向を含む舵角量を入力する。ステップS02におい
て、制御回路は、舵角センサSAから得られた舵角方向
を記憶部の舵角方向フラグにセットする。ステップS0
3において、制御回路は、上記一定時間による舵角量の
変化、すなわち操舵量の微分値としての舵角速度を求め
る演算を行う。このとき、微分値としては、例えば、前
回の測定値を記憶部に記憶しておき、順次得られる測定
値から前回の測定値を減算することで得る。ステップS
04において、制御回路は、舵角速度の方向を示す舵角
速度方向を、記憶部の舵角速度方向フラグにセットす
る。ここで、舵角方向は、一定でもハンドル8を戻すと
きなどは舵角の方向と舵角速度の方向が異なる場合があ
る。ステップS05において、制御回路は、記憶部に記
憶されている、図6に示す舵角速度と、アクチュエータ
1L及び1Rに発生させるトルクとの関係を、各々示すグ
ラフから、舵角速度に対応した各々のトルクYL,YRを
選択して演算結果として出力する。また、図6における
トルクYL,YRの最大値は、例えば、200(N・m)
に設定されている。このトルクYL,YRの最大値は、車
種毎に、車両の乗り心地や操縦性を複数の人間が試乗し
て、この多数が選択した数値等に基づき決定される。ス
テップS06において、制御回路は、一定時間毎に各ア
クチェータ1L,1Rの生成するトルクYL,YRを設定す
る。
【0022】また、図7のフローチャートにおいては、
ストローク量に基づき、アクチュエータ1L,1Rの発生
させるトルクTL,TRを求める演算が行われる。ステッ
プS11において、制御回路は、左右のサスペンション
におけるストロークセンサSL,SRから、各々測定値M
DL,MDRを読み込む。ステップS12において、制御
回路は、測定値と基準値との差、すなわちストローク量
を演算する。すなわち、制御回路は、左後輪のストロー
ク量ΔDLを「MDL−DL」の式により演算し、同様
に、右後輪のストローク量ΔDRを「MDR−DR」の式
により演算して各々求め、記憶部に記憶させる。
【0023】次に、ステップS13において、制御回路
は、ステップS12で求められた左後輪のストローク量
ΔDLと、右後輪のストローク量ΔDRとのストローク差
ΔLRを、「ΔDL−ΔDR」の式により演算する。ステ
ップS14において、制御回路は、ストローク差ΔLR
=±αのとき車体Bが路面に対して「中立」と判定し、
ストローク量ΔLR>αのとき車体Bが「右下がり」と
判定し、ストローク差ΔLR<−αのとき「左下がり」
と判定し、判定結果を車両状態値として、記憶部にスト
ローク差ΔLRと共に記憶させる。ここで、αは、たと
えば、0.3(mm)に設定され、ストローク差ΔLRを
「0」として求める範囲である。この「中立」の範囲設
定により、直進走行時において、路面の微少な歪曲に過
敏に反応して、サスペンションの剛性を高めてしまうこ
とを防止している。すなわち、あまり微少なストローク
位置の変化において、アクチュエータ1L,1Rにトルク
を発生させず、直進時には、基本バネレートのみとし
て、ロール剛性を補完せずにサスペンションを動作さ
せ、乗り心地を優先させる。
【0024】次に、ステップS15において、制御回路
は、ストローク差ΔLRに基づき、アクチュエータ1
L,1R各々の発生するトルクTL,TRを演算する。すな
わち、車種に対応して設定された目標バネレートJT
(単位N(ニュートン)/mm、図示されていないスタビ
ライザの捻り剛性に基づくバネレートをも含むこととす
る)と、実際にサスペンションに設けられているバネ7
Lの基本バネレートJS(単位N(ニュートン)/mm)
とのバネレート差ΔJにストローク差ΔLR(mm)を乗
じた値がロール剛性反力不足力FWとなる。ここで、目
標バネレートJTは、車種に応じて各々決定され、例え
ば32(N/mm)であり、トルクYL及びトルクTLの各
々の最大値を加算し、この加算結果のトルクTTLをバ
ネレートに換算した値と、基準バネレート(この値も車
種により異なるが、例えば14.6(N/mm))とを加
算した値として求められる。したがって、制御回路は、
「(JT−JS)×ΔLR」の式に基づき演算を行い、
ロール剛性反力不足力FWを求める。また、アクチュエ
ータ1L,1Rに各々発生させるトルクTL,TRは、目標
バネレートJTに対して基本バネレートJSの不足して
いるバネレート差ΔJを補完するために必要なトルクで
あり、先に求めたロール剛性反力不足力FWにレバー比
DD(実質的に駆動アーム4Lまたは4Rの長さ、単位c
m)を乗じたものである。
【0025】このため、制御回路は、「(FW×DD)
/2」の式に基づき演算を行い、トルクTL,TRを各々
求める。上記式で、「FW×DD」を「2」で除算して
いるのは、ロール剛性の補完に必要なトルク(見かけ上
のバネレートの増加分)を、相補的にアクチュエータ1
L,1Rが各々反対方向の向きのトルクを「1/2」ずつ
発生する制御を行うためである。そして、制御回路は、
車両状態値が「右下がり」及び「左下がり」のいずれか
であるかにより、ステップS15で求めた(FW×DD
/2)に極性を付して、トルクTL,TRを演算する。例
えば、制御回路は、運転者が右に操舵を行い、車体Bが
左方向にローリング、すなわち図1において、車体Bの
左側がの方向に沈み込み、の方向に浮き上がる(車
両状態値:「左下がり」)とすると、アクチュエータ1
Lがの方向に回転し、バネ6Lを伸ばすトルクTL
((+FW)×DD/2)を演算し、一方、アクチュエ
ータ1Rがの方向に回転し、バネ6Rを縮めるトルクT
R((−FW)×DD/2)を演算する。(逆に、車体B
が右方向にローリング、すなわち図1において、車体B
の左側がの方向に沈み込み、の方向に浮き上がる
と、車両状態値は「右下がり」となる。)以下、説明の
ためバネを伸ばす方向のトルクを(+)とし、バネを縮
める方向のトルクを(−)として説明する。また、スト
ローク差から求められるトルクTL,TRの最大値は、例
えば、200(N・m)に設定されている。このトルク
TL,TRの最大値は、車種毎に、車両の乗り心地や操縦
性を複数の人間が試乗して、この多数が選択した数値等
に基づき決定される。
【0026】次に、ステップS16において、制御回路
は、車両状態値が「中立」であるか否かの判定を行う。
ここで、制御回路は、車両状態値が「中立」で無い場
合、ステップ15で求めたトルクTL,TRの値を記憶部
に記憶させ、このフローチャートの処理を終了する。一
方、制御回路は、車両状態値が「中立」である場合、処
理をステップ17へ進める。そして、ステップS17に
おいて、制御回路は、ストローク差ΔLRが「中立」の
値の範囲にあり、車両状態値を「中立」と判定したた
め、ストローク差ΔLRによるトルクTL及びトルクTR
の目標値を各々「0」に設定して、記憶部に記憶し、こ
のフローチャートの処理を終了する。
【0027】次に、図8のフローチャートにおいては、
図5及び図7のフローチャートの処理により求められた
トルクTL,TR及びトルクTL,TRに基づき、実際にア
クチュエータ1L,1Rに発生させるトルクTTL,TTR
を求める。ステップS21において、制御回路は、車両
状態値が「中立」であるか否かの判定を行い、判定結果
が「中立」でなければ、処理をステップS22へ進め、
車両状態が「中立」であれば、処理をステップS25へ
進める。次に、ステップS22において、制御回路は、
車両状態値と舵角速度方向との比較、すなわち舵角速度
方向に対応したローリング方向である(車両のロール方
向と操舵速度方向とが一致している)か否か、ここでは
車両状態値が「左下がり」でかつ操舵速度方向が右であ
るか否かの判定を行う。このとき、制御回路は、車両状
態値が「左下がり」でかつ舵角速度方向が右である場
合、処理をステップS25へ進め、この組み合わせ以外
の場合、処理をステップS23へ進める。
【0028】次に、ステップS23において、制御回路
は、車両状態値と舵角速度方向との比較、すなわち舵角
速度方向に対応したローリング方向である(車両のロー
ル方向と操舵速度方向とが一致している)か否か、ここ
では車両状態値が「右下がり」でかつ操舵速度方向(舵
角速度方向)が左であるか否かの判定を行う。このと
き、制御回路は、車両状態値が「右下がり」でかつ舵角
速度方向が左である場合、処理をステップS25へ進
め、この組み合わせ以外の場合、処理をステップS24
へ進める。次に、ステップS24において、制御回路
は、ストローク差ΔLRから求めたトルクTL及びTR
を、各々トルクTTL,TTRとして記憶部へ記憶させ
る。また、ステップS25において、制御回路は、アク
チュエータ1Lに発生させるトルクTTLを「YL+TL」
の式に基づき演算し、アクチュエータ1Rに発生させる
トルクTTRを「YR+TR」の式に基づき演算し、演算
されたトルクTTL,TTRを記憶部に記憶させる。次
に、ステップS26において、制御回路は、アクチュエ
ータ1L,1RにトルクTTL,TTRを出力させるための
電流量を演算する。例えば、制御回路は、使用するモー
タML,MRがDCモータであり、このモータML,MRを
PWM(パルス幅変調)制御の場合、電流量を調整する
ため、一定周期の連続パルスにおいて「H」レベルと
「L」レベルの幅のデューティ比を演算する。
【0029】上述した車両状態値と舵角速度方向フラグ
との状態に基づく、図8のフローチャートにおける制御
回路が行う演算の組み合わせを図9に示す。ここで、車
両状態が「中立」の項における「強制加算」とは、プロ
グラムの処理上、車両状態によらない特別な加算処理と
して定義した名称である。すなわち、通常、車体Bは、
車体コンプライアンス分遅れて、遠心力により舵角と反
対方向にローリングする。このため、車体Bが車体状態
が「中立」の場合に、アクチュエータ1L,1Rを制御し
ないと、すでにハンドル8が操舵されており、次に段階
ではハンドル8の相舵角の方向と逆にローリングが開始
される。したがって、車体コンプライアンス分により、
初期コーナーリング時におけるロール剛性の制御が遅れ
てしまうため、舵角方向に応じたローリング方向と逆の
トルクを強制的にアクチュエータ1L,1Rに発生させる
ために、強制加算が行われる。
【0030】すなわち、車体状態値が「中立」のとき、
上述したように、舵角速度方向フラグと車両状態値とが
一致していない場合、制御するトルクTTL,TTRが
「0」になり、コーナーリングの初期の過渡状態(スト
ローク差ΔLRが「0」)において、制御できず、耐ロ
ーリング制御において、アクチュエータ等の制御系の遅
れ,及び車両コンプライアンス分に基づく、車体Bの制
御の遅れが生じてしまう。そのため、第1の実施形態で
は、車体状態値が「中立」の場合に、舵角量を微分した
舵角速度に基づいたトルクYL,YRを、トルクTL,TR
の各々「0」に対して強制加算して、車体Bの制御の遅
れを補完し、コーナーリング初期の旋回時の応答速度を
改善している。
【0031】また、図9から判るように、車体Bの挙動
において、舵角速度方向フラグとこの舵角速度方向に対
応したローリング方向による車両状態値とが一致したと
きに、舵角速度から求めたトルクYL,YRと、ストロー
ク差ΔLRから求めたトルクTL,TRとを各々加算し
て、最終目標のアクチュエータに出力させるトルクTT
L,TTRを生成している。さらに、制御回路は、舵角速
度方向フラグとこの舵角速度方向に基づく車両状態値と
が一致していない場合に加算するとき、ストローク差Δ
LRに基づいたトルクTL,TRのみにより、最終目標の
トルクTTL,TTRを演算結果として出力する。これ
は、舵角速度方向が逆方向と成っているため、舵角速度
から求められるトルクYL,YRのトルク方向が、ローリ
ングを抑制するのに必要なトルクの方向と逆となり、ト
ルクTTL,TTRのトルク量として、トルクTL,TRか
ら、トルクYL,YRの分が減算されて、トルクTTL,
TTRが減少するのを防止するためである。このとき、
さらに、舵角方向が逆転した場合、舵角速度方向から判
るように、現在のローリング方向を起こす方向に対し
て、すでにハンドル8が逆方向に操舵されており、車体
コンプライアンスにより初期コーナーリング時における
ロール剛性の制御が遅れてしまうため、舵角方向と逆の
トルクを強制的にアクチュエータ1L,1Rに発生させる
必要がある。
【0032】このため、舵角速度方向フラグとこの舵角
速度方向に基づく車両状態値とが一致しておらず、かつ
舵角方向が現在のローリング方向に対応していない場
合、舵角方向フラグが車両状態値の示す方向と逆となる
時点において、トルクTTL,TTRがトルクTL,TRの
符号が逆となることとなり、このトルクTTL,TTRの
方向がローリング方向と同一方向に変化する。すなわ
ち、すでにハンドル8が操舵され、舵角方向が変化して
いるため、車体コンプライアンス分により初期コーナー
リング時におけるロール剛性の制御が遅れてしまうた
め、これからローリングの起こる方向を推定して、現在
のローリング方向と同一の方向のトルクをアクチュエー
タ1L,1Rに発生させる。上述した処理により、一実施
形態は、耐ローリング制御において、例えば、車体状態
値が「右下がり」から「中立」,そして「中立」から
「左下がり」に変化していくとき、コンプライアンス分
及び制御遅れの分を考慮して、次のローリング方向を予
測しながらトルクTTL,TTRを演算して求めるため、
コーナーリング等の走行状態に対応させて、スムーズに
車体Bのロール剛性を制御することが出来る。
【0033】また、制御回路は、トルクを大きくするた
めにモータML,MRに供給する電流量を多くしたい場
合、上述したPWM制御において、「H」レベル(正論
理における「H」のパルス)の幅を広げ、「L」レベル
の幅を狭くし、トルクを小さくするために電流を少なく
したい場合、「L」レベルの幅を広げ、「H」レベルの
幅を狭くなるように、トルクTTL,TTR各々のデュー
ティ比を演算する。このとき、トルクの発生する方向
は、モータML,MRに流す電流の方向を逆にすることで
制御する。以下、説明のため、アクチュエータ1Lを
の方向(図1参照)、すなわち(+)の方向へ回転させ
て、バネを伸ばす方にトルクTLを発生させる電流方向
を(+)とし、アクチュエータ1Lをの方向、すなわ
ち(−)の方向へ回転させて、バネを縮める方にトルク
TLを発生させる電流方向を(−)と定義する。同様
に、アクチュエータ1Rをの方向、すなわち(+)の
方向へ回転させて、バネを伸ばす方にトルクTRを発生
させる電流方向を(+)とし、アクチュエータ1Rを
の方向、すなわち(−)方向へ回転させて、バネを縮め
る方にトルクTRを発生させる電流方向を(−)と定義
する。
【0034】次に、図4に戻り、実際の制御の流れを説
明する。まず、図4における各図の説明を簡単に行う。
図4(a)は、舵角の方向を示しており、基準線より上
側が右に転舵したときの右側における舵角を示し、基準
線より下側が左に転舵されたときの左側の舵角を示して
いる。また、図4(a)には、矩形上の実線が示されて
いるが、転舵している方向を意味する舵角速度の方向を
示している。例えば、舵角は右側にあっても、左に転舵
するとき、舵角速度の方向は左となり、舵角と舵角速度
との方向が一致しないこともある。図4(b)は、転舵
による車両のローリング状態である車両状態値を示して
いる。すなわち、車両状態値は、上記ストローク差ΔL
Rから求められる「中立」,「右下がり」,「左下が
り」のいずれかに分類される。
【0035】図4(c)は、舵角方向フラグの状態を示
しており、同時に、アクチュエータ1L及び1Rのトルク
の発生方向を示している。例えば、このトルク発生方向
としては、アクチュエータ1Rを(+)の方向へ回転さ
せて右側のバネを伸ばし、アクチュエータ1Lを(−)
の方向へ回転させて左側のバネを縮める場合、つまり舵
角方向フラグが「左」の場合と、アクチュエータLを
(+)の方向へ回転させて左側のバネを伸ばし、アクチ
ュエータ1Rを(−)の方向へ回転させて右側のバネを
縮める場合、つまり舵角方向フラグが「右」の場合とが
ある。すなわち、制御回路は、この舵角方向フラグに基
づき、アクチュエータ1L,1Rに与える電流の極性を制
御する。図4(d)は、舵角速度に基づいて演算された
トルクYL,YR、及びストローク差ΔLRに基づき演算
されたトルクTL,TRの絶対値を示すものである。ここ
で、トルクYLとトルクYRとは、値は同一であるが、力
の方向が互いに逆方向となっており、同様に、トルクT
LとトルクTRとは、値は同一であるが、力の方向が互い
に逆方向となっている。
【0036】図4(e)は、図4(d)のトルクYLと
トルクTLとを加算した最終目標値であるトルクTTL,
及びトルクYRとトルクTRとを加算した最終目標値であ
るトルクTTRの絶対値を示している。ここで、トルク
TTLとトルクTTRとは、値は同一であるが、力の方向
が互いに逆方向となっている。また、このトルクTT
L,TTRの最大値は、トルクYLとトルクTLとの各々の
最大値を加算してトルクTTLを求め、アクチュエータ
1LにこのトルクTTLを発生させたときに、このトルク
TTLの反対方向の向きのトルクに対して対応可能なア
クチュエータ1Lの強度で決定される。図4(d)及び
図4(e)は、絶対値で示されており、アクチュエータ
1L,1Rに発生させるトルクの方向が舵角方向フラグに
より指示される。なお、制御回路は、以下説明する各時
刻において、上述した図5,図7及び図8に示した、一
定時間毎に制御回路がセットで実行する各々のフローチ
ャートの処理に従い、必要な各パラメータを各センサに
よりサンプリングして、最終の制御目標であるトルクT
TLとトルクTTRとを求める演算を行っている。
【0037】時刻t0において、車体Bは、右方向にも
左方向にも転舵されていないため、ローリング状態にな
っていない。このため、ストローク差ΔLRが「0」で
あり、車両状態値は「中立」となっている。したがっ
て、舵角速度から求めた制御目標のトルクYL,YR、及
びストローク差ΔLRから求めた制御目標のトルクT
L,TRは、いずれも「0」であり、制御回路は、強制加
算処理において、加算結果のトルクTTL,TTRがいず
れも「0」となるため、トルクを発生させる電流値が
「0」と演算され、アクチュエータ1L,1Rに対してト
ルクを発生させる電流を流さない。
【0038】次に、時刻t1において、運転者が右方向
のコーナーリングにおいて、車両を右に転舵し始める
と、舵角は徐々に右方向へ増加していく。しかしなが
ら、この時刻t1の時点において、制御回路は、まだ、
ハンドル8が転舵されておらず、舵角速度が「0」であ
るため、舵角方向フラグ及び舵角速度方向フラグ共に、
前回の状態の「左」の状態からの変更を行わない。この
ため、制御回路は、ストローク差ΔLR及び図6に基づ
く演算結果として、トルクYL,YR,TL,TRが全て
「0」として求められるため、時刻t1におけるトルク
TTL,TTRの演算結果を、各々「0」として出力す
る。したがって、制御回路は、アクチュエータ1L,1R
各々に対してトルクを発生させる電流を供給せず、アク
チュエータ1L,1Rのトルク制御を行わない。
【0039】次に、時刻t2において、運転者がハンド
ル8を転舵していることにより、舵角は徐々に右方向へ
増加しているが、車体Bにおいて、車体コンプライアン
ス分の遅れにより、ローリングが起こっていないため、
車両状態値は、「中立」である。一方、制御回路は、転
舵しているため、右側に舵角が発生するので、一定時間
毎に舵角センサSAから得られる舵角から舵角方向フラ
グに「右」を記憶し、得られた舵角と前回の舵角とに基
づき、舵角速度の演算を行う。このとき、転舵を開始す
る時点では、舵角速度を演算するための前回の舵角は、
「0」にセットされている。そして、制御回路は、ハン
ドル8が右方向に転舵されているため、演算結果として
得られる舵角速度の方向が「右」であるため、舵角速度
方向フラグを「右」の状態へ書き換える。そして、制御
回路は、この得られた舵角速度から、目標値であるトル
クYL,YRを、図6のトルクと舵角速度との関係を示す
グラフから求める演算を行う。ここで、穏やかなコーナ
ーリングの場合、運転者の乗り心地及び操縦安定性に影
響を与えないサスペンションの剛性とするため、予め影
響を及ぼす舵角速度を車種毎に測定し、この測定結果に
基づき、図6の目標値のトルクYL,YRを発生する舵角
速度の下限、及び目標値YL,YRの最大値までの舵角速
度に対する変化の傾きが設定されている。また、制御回
路は、ストローク差ΔLRからトルクTL,TRを求める
が、車両状態値が「中立」のため、演算結果として、ト
ルクTL,TRを「0」として出力する。このとき、制御
回路は、車両状態が「中立」のため、強制加算の処理を
行い、トルクYLとトルクTLと、トルクYRとトルクTR
とを各々加算する。ここで、トルクTL,TRが「0」の
ため、演算結果のトルクTTL,TTRは、各々ストロー
ク差ΔLRから求められるトルクYL,YRのみとなる。
そして、制御回路は、「右」に設定された舵角方向フラ
グに基づき、アクチュエータ1Lのトルクの発生方向を
「左側バネ7L伸ばす」方向に、アクチュエータ1Rのト
ルクの発生方向を「右側バネ7R縮める」方向に設定す
る。
【0040】すなわち、車両状態が「中立」である時刻
t2から時刻t3まで、アクチュエータ1L,1Rに発生さ
せる最終目標のトルクTTL,TTRは、ストローク差Δ
LRに基づくトルクTL,TRが「0」であるため、舵角
速度から求められるトルクYL,YRのみで求められるこ
とになる。そして、制御装置は、「右」を示す舵角方向
フラグに基づき、トルクTTL,TTRを発生させるた
め、アクチュエータ1L,1R各々に対して対応する電流
を流す。これにより、制御回路は、アクチュエータ1L
にの(+)方向(図1参照)のトルクTTLを発生さ
せ、アクチュエータ1Rにの(−)方向のトルクTTR
を発生させる。したがって、車体Bは、ローリングによ
り、路面に対してロール角を「0」にする方向、すなわ
ち、左下がりのローリング方向に対して逆方向に制御さ
れる。
【0041】次に、時刻t3において、制御回路は、ス
トローク差ΔLRの値に基づいて、車体状態が「中立」
から「左下がり」に変化したことを検知する。したがっ
て、制御回路は、車両状態が「左下がり」で舵角速度方
向フラグが「右」である(車両のロール方向と操舵速度
方向とが一致している)場合、ストローク差ΔLRに基
づき、求められた目標値であるトルクTR,TLを「0」
でなく、制御の値としてのトルク値として求める。これ
により、制御回路は、トルクYLとトルクTLとの加算に
よりトルクTTLを演算結果として求め、同様に、トル
クYRとトルクTRとの加算によりトルクTTRを演算結
果として求める。そして、制御回路は、「右」を示す舵
角方向フラグに基づき、アクチュエータ1Lにの
(+)方向のトルクTTLを発生させ、アクチュエータ
1Rにの(−)方向のトルクTTRを発生させる。した
がって、車体Bは、ローリングにより、路面に対してロ
ール角を「0」にする方向、ストローク差ΔLWを
「0」にするローリング方向に対して逆方向に制御され
る。
【0042】次に、時刻t4において、制御回路は、舵
角速度が図6のグラフに設定された下限値を下回るた
め、トルクYL,YRを「0」として出力する。この結
果、制御回路は、演算結果として、トルクTTL,TTR
を、各々トルクTL,TRの値により、出力する。このと
き、制御回路は、時刻t3における制御と同様に、アク
チュエータ1Lにの(+)方向のトルクTTLを発生さ
せ、アクチュエータ1Rにの(−)方向のトルクTTR
を発生させ、ローリング方向に対して逆方向に、車体B
を制御する。
【0043】次に、時刻t5において、運転者は、コー
ナーを曲がりきることにより、車両の向きを直進方向に
戻しはじめる。このため、車両の舵角方向は右方向であ
るが、ハンドル8を切る舵角速度方向は左方向という状
態となる。このとき、制御回路は、舵角速度方向フラグ
に「左」を設定するが、舵角速度が図6のグラフに設定
された下限値を下回るため、トルクYL,YRを「0」と
して出力する。すなわち、制御回路は、時刻5が舵角の
変化しない一定の定常円旋回の領域であるため、時刻t
5において、ストローク差ΔLRから求められるトルク
TL,TRのみを、トルクTTL,TTRとして、舵角方向
フラグに基づいたトルク方向の設定で出力する。
【0044】次に、時刻t6において、制御回路は、舵
角速度が図6のグラフに設定された下限値を超えるた
め、このグラフから得られるトルクYL,YRを演算結果
として出力する。しかしながら、制御回路は、図8のフ
ローチャートの処理に基づき、車両状態値が「左」にセ
ットされ、舵角速度方向フラグが「左」にセットされて
いる(車両のロール方向と操舵速度方向とが一致してい
ない)場合、舵角速度に基づいて得られるトルクYL,
YRを用いずに、ストローク差ΔLRに基づき得られる
トルクTL,TRを、トルクTTL,TTRとして出力す
る。これにより、制御回路は、依然として、舵角方向フ
ラグが「右」であるため、時刻t3における制御と同様
に、アクチュエータ1Lにの(+)方向のトルクTTL
を発生させ、アクチュエータ1Rにの(−)方向のト
ルクTTRを発生させ、ローリング方向に対して逆方向
に、車体Bを制御する。
【0045】次に、時刻t7において、制御回路は、舵
角センサSAから得られる舵角により、転舵方向が左に
なったことを検出し、舵角方向フラグに「左」を設定す
る。また、制御回路は、舵角方向フラグに設定された
「左」のデータに基づいてトアクチュエータ1Lに発生
させるトルクの方向を「左側のバネ7L縮める」方向に
設定し、アクチュエータ1Rに発生させるトルクの方向
を「右側バネ7R伸ばす」方向に設定する。そして、制
御装置は、上述の様に設定された各アクチュエータに発
生させるトルクの発生方向に基づき、トルクTTL,T
TRを発生させるため、アクチュエータ1L,1R各々に
対して対応する電流を流す。これにより、制御回路は、
アクチュエータ1Lにの(−)方向のトルクTTLを発
生させ、アクチュエータ1Rにの(+)方向のトルク
TTRを発生させる。したがって、制御回路は、車体B
が車体コンプライアンス分により、ハンドル8の転舵方
向に基づいて、次に発生するローリングに対応して、路
面に対してロール角を「0」にする方向、すなわち、右
下がりのローリング方向に対して逆方向の制御を開始す
る。このとき、制御回路は、その他の制御パラメータに
関して、変更を行わない。
【0046】次に、時刻t8において、制御回路は、ス
トローク差ΔLRが「中立」の範囲内にあることを検出
し、車体状態値値に「中立」を設定する。そして、制御
回路は、この車体状態値と舵角速度方向とに基づき、強
制加算において、ストローク差ΔLRにより求めらるト
ルクTL,TRを「0」とし、転舵速度により求められる
トルクYL,YRのみを、最終目標の各々トルクTTL,
TTRとして出力する。次に、時刻t9において、制御
回路は、車体状態フラグが「右下がり」に設定され、舵
角速度方向フラグが「左」に設定されている(車両のロ
ール方向と操舵速度方向とが一致していない)場合、ス
トローク差ΔLRの値に基づいて、車体状態が「中立」
から「右下がり」に変化したことを検知する。したがっ
て、制御回路は、ストローク差ΔLRに基づき、求めら
れた目標値であるトルクTR,TLを「0」でなく、制御
の値としてのトルク値として演算により求める。これに
より、制御回路は、トルクYLとトルクTLとの加算によ
りトルクTTLを演算結果として求め、同様に、トルク
YRとトルクTRとの加算によりトルクTTRを演算結果
として求める。そして、制御回路は、「左」を示す舵角
方向フラグに基づき、アクチュエータ1Lのトルク発生
方向の「左側のバネ7L縮める」及びアクチュエータ1R
のトルク発生方向の「右側バネ7R伸ばす」の設定に基
づき、アクチュエータ1Lにの(−)方向のトルクT
TLを発生させ、アクチュエータ1Rにの(+)方向の
トルクTTRを発生させる。したがって、車体Bは、ロ
ーリングにより、路面に対してロール角を「0」にする
方向、すなわち、ストローク差ΔLWを「0」にするロ
ーリング方向に対して逆方向に制御される。
【0047】次に、時刻t10において、制御回路は、舵
角速度が図6のグラフに設定された下限値を下回るた
め、トルクYL,YRを「0」として出力する。この結
果、制御回路は、定常円旋回の状態のため、演算結果と
して、トルクTTL,TTRを、各々トルクTL,TRのみ
の値として出力する。このとき、制御回路は、以前とし
て、舵角方向フラグが「左」を示しているため、時刻t
9における制御と同様に、アクチュエータ1Lにの
(−)方向のトルクTTLを発生させ、アクチュエータ
1Rにの(+)方向のトルクTTRを発生させ、ローリ
ング方向に対して逆方向に、車体Bを制御する。
【0048】次に、時刻t11において、運転者は、コー
ナーを曲がりきることにより、車両の向きを直進方向に
戻し始める。このため、車両の舵角方向は左方向である
が、ハンドル8を切る舵角速度方向は右方向という状態
となる。このとき、制御回路は、舵角速度方向フラグに
「右」を設定するが、舵角速度が図6のグラフに設定さ
れた下限値を下回るため、トルクYL,YRを「0」とし
て出力する。
【0049】次に、時刻t12において、制御回路は、舵
角速度が図6のグラフに設定された下限値を超えるた
め、このグラフから得られるトルクYL,YRを演算結果
として出力する。しかしながら、制御回路は、図8のフ
ローチャートの処理に基づき、車両状態値が「右」にセ
ットされ、舵角速度方向フラグが「右」にセットされて
いる(車両のロール方向と操舵速度方向とが一致してい
ない)場合、舵角速度に基づいて得られるトルクYL,
YRを用いずに、ストローク差ΔLRに基づき得られる
トルクTL,TRを、トルクTTL,TTRとして出力す
る。これにより、制御回路は、依然として、舵角方向フ
ラグが「左」を示しているため、時刻t9における制御
と同様に、アクチュエータ1Lにの(−)方向のトル
クTTLを発生させ、アクチュエータ1Rにの(+)方
向のトルクTTRを発生させ、ローリング方向に対して
逆方向に、車体Bを制御する。
【0050】次に、時刻t13において、制御回路は、舵
角センサSAから得られる舵角により、転舵方向が右に
なったことを検出し、舵角方向フラグに「右」を設定す
る。また、制御回路は、舵角方向フラグに設定された
「右」のデータに基づき、アクチュエータ1Lのトルク
の発生方向を「左側のバネ7L伸ばす」方向とし、アク
チュエータ1Rのトルクの発生方向を「右側バネ7R縮め
る」に設定する。そして、制御回路は、上述の様に設定
された各アクチュエータに発生させるトルクの発生方向
に基づき、各アクチュエータトルクTTL,TTRを発生
させるため、アクチュエータ1L,1R各々に対して対応
する電流を流す。これにより、制御回路は、アクチュエ
ータ1Lにの(+)方向のトルクTTLを発生させ、ア
クチュエータ1Rにの(−)方向のトルクTTRを発生
させる。したがって、制御回路は、車体Bが車体コンプ
ライアンス分により、ハンドル8の転舵方向に基づい
て、次に発生するローリングに対応して、路面に対して
ロール角を「0」にする方向、すなわち、左下がりのロ
ーリング方向に対して逆方向の制御を開始する。このと
き、制御回路は、その他の制御パラメータに関して、変
更を行わない。ここで、時刻t14以降の処理は、時刻t
1からの繰り返しとなるため、説明を省略する。
【0051】上述したように、本願発明のサスペンショ
ンの制御方法は、舵角速度方向及びストローク差から求
められる各々のトルクを、図9のテーブルの条件毎に示
した加算処理を行うことで求め、このトルクを目標値と
して、アクチュエータ1L,1Rに、ローリング方向と逆
のトルクを発生させ、逆相のホイールレートを高めるこ
とにより、車体のロール剛性を、直進走行時とコーナー
リング時等のローリングを起こす状態との各々に対応さ
せて制御している。このため、上記サスペンションの制
御方法は、車体が中立の場合を含めて、ハンドル8を切
る速度、すなわち舵角速度に基づくトルクTL及びTRを
生成し、ローリング方向と逆方向に対してアクチュエー
タ1L,1Rのトルク制御を行い、逆相のホイールレート
を高めるので、ストロークの変化量に基づく制御に比較
して、コーナーリングにおけるロール剛性の補完の初期
応答性が向上し、車両のコンプライアンスによる応答遅
れを改善でき、かつ、コーナーリング開始時から車体の
中心に重心を置くことができ、常にコーナリングにより
発生する遠心力に対して車両の安定性が得られる。
【0052】このとき、アクチュエータ1L,IRが発生
するトルクの方向は、舵角方向フラグにより決定され
る。また、上述したアクチュエータ1L,1Rのトルク制
御において、ストローク差ΔLRによる車両状態値から
アクチュエータ1L,IRのトルクの力の方向を決める
と、「中立」の状態とならないとローリング方向に対す
るトルク制御が行えず、上述したように、車両のコンプ
ライアンス分と制御系の遅れにより、ローリング方向の
変化に対応してトルクの制御が行えない。このため、本
願発明のサスペンション制御方法は、舵角方向により次
のローリングの方向を予測し、トルク制御を行うため、
ジグザグにハンドル8を切り、舵角方向を連続的に変化
しても、ローリング方向の変化にトルク制御が反応し、
ロール剛性のローリングに応じた制御の応答性を向上さ
せることができる。
【0053】また、本願発明のサスペンションの制御方
法は、高速道路等の高速走行時において、大型車などの
走行により発生した轍などに、タイヤが落ち込んだ場合
や、横風を受けるなどしてハンドル8を取られても、こ
のとき発生する舵角速度に応じて発生されるトルクによ
り、サスペンションにおけるスタビライザーの剛性を補
完するため、見かけ上、スタビライザーの剛性が高くな
り、リア回りのふらつきを抑えることができる。さら
に、本願発明のサスペンションの制御方法は、直進走行
時において、転舵操作を行わないため、ハンドル8を回
転させることにより入力される舵角が小さいため、舵角
速度が「0」として求められ、かつローリングによるス
トローク差ΔLRも「0」と求められるため、制御回路
がアクチュエータ1L,Rを制御することがなく、サスペ
ンションの剛性が補完されないことにより、バネ7L,
7Rの本来の基準値のバネレートによりサスペンション
が動作するので、予め設定された本来の乗り心地を損な
うことがない。
【0054】<第2の実施形態>この第2の実施形態の
構成は上述した第1の実施形態と同様であり、構成の説
明は省略する。第2の実施形態が第1の実施形態と異な
っているのは、図7におけるステップS14が、図10
のステップS31〜S39のステップの流れに置き換わ
っている点である。第1の実施形態では、ストローク差
ΔLRを「0」とする範囲αを±0.3(mm)に固定し
ていた。一方、第2の実施形態では、図11に示すよう
に、ストローク差ΔLRを「0」とする範囲αを、車両
状態値が「中立」から「右下がり」または「左下がり」
へ移行するときの範囲を範囲αo(例えば、0.3(m
m))とし、車両状態値が「右下がり」または「左下が
り」から「中立」へ移行するときの範囲を範囲αi(例
えば、0.15(mm))としている。すなわち、第2の
実施形態では、車両状態値の「中立」から他の状態へ、
他の状態から「中立」への以降において、「中立」と判
定する範囲に違った値を用い、ヒステリシス幅0.15
(mm)のヒステリシスを設けている。
【0055】次に、図10のステップにおける動作を説
明する。これらのステップが、図7のステップS14と
置き換わるだけなので、図7の他のステップの動作につ
いては、説明を省力する。図7のステップS13におい
て、制御回路は、ステップS12で求められた左後輪の
ストローク量ΔDLと、右後輪のストローク量ΔDRとの
ストローク差ΔLRを、「ΔDL−ΔDR」の式により演
算したとする。図10に戻り、ステップS31におい
て、制御回路は、ストローク差ΔLRが0.3(mm)よ
り大きいか否かの判定を行う。このとき、制御回路は、
ストローク差ΔLRが0.3(mm)より大きくない場
合、処理をステップS32へ進め、一方、ストローク差
ΔLRが0.3(mm)より大きい場合、処理をステップ
S35へ進める。次に、ステップS35において、制御
回路は、車両状態が右下がりであるため、車両状態値を
「右下がり」と設定する。また、ステップS32におい
て、制御回路は、ストローク差ΔLRが0.3(mm)よ
り小さいか否かの判定を行う。このとき、制御回路は、
ストローク差ΔLRが0.3(mm)より小さくない場
合、処理をステップS33へ進め、一方、ストローク差
ΔLRが0.3(mm)より小さい場合、処理をステップ
S36へ進める。
【0056】次に、ステップS35において、制御回路
は、車両状態が左下がりであるため、車両状態値を「左
下がり」と設定する。また、ステップS33において、
制御回路は、前回設定した現在の車両状態値が「右下が
り」に設定されているか否かの判定を行う。このとき、
制御回路は、車両状態値が「右下がり」で設定されてい
る場合、処理をステップS34へ進め、一方、車両状態
値が「右下がり」で設定されていない場合、処理をステ
ップS37へ進める。次に、ステップS37において、
制御回路は、現在の車両状態値に「左下がり」が設定さ
れていることを確認したため、ストローク差ΔLRが−
0.15(mm)より大きいか否かの判定を行う。このと
き、制御回路は、ストローク差ΔLRが−0.15(m
m)より大きくない場合、現在の車両状態値の「左下が
り」を変更せずに、次のステップS15(図7)へ進
め、ストローク差ΔLRが−0.15(mm)より大きい
場合、処理をステップS38へ進める。
【0057】次に、ステップS38において、制御回路
は、ストローク差ΔLRが−0.15(mm)より大きい
ため、現在の車両状態が「中立」に遷移したことを検出
し、車両状態値を「左下がり」から「中立」へ変更す
る。また、ステップS34において、制御回路は、現在
の車両状態値に「右下がり」が設定されていることを確
認したため、ストローク差ΔLRが0.15(mm)より
小さいか否かの判定を行う。このとき、制御回路は、ス
トローク差ΔLRが0.15(mm)より小さくない場
合、現在の車両状態値の「右下がり」を変更せずに、次
のステップS15(図7)へ進め、ストローク差ΔLR
が0.15(mm)より小さい場合、処理をステップS3
9へ進める。次に、ステップS39において、制御回路
は、ストローク差ΔLRが0.15(mm)より小さいた
め、現在の車両状態が「中立」に遷移したことを検出
し、車両状態値を「右下がり」から「中立」へ変更す
る。
【0058】上述したように、本願発明は、左右のスト
ローク位置の変化量により求められるストローク差ΔL
Rに基づいて車両状態を検出するとき、車体Bが左右い
ずれかに下がっている状態から「中立」に遷移したこと
を検出するしきい値と、車体Bが「中立」からヒステリ
シス幅を左右いずれかに下がっている状態に遷移したこ
とを検出するしきい値とを異なった数値として、図11
に示すようなヒステリシス幅を設定した。このヒステリ
シス幅において、車両状態値を判定する「中立」から
「右下がり」や「左下がり」へのしきい値が、「右下が
り」や「左下がり」から「中立」へのしきい値より広い
のは、「中立」状態でのストローク差の微少な変化に対
して過敏な応答を防止し、一度、「右下がり」や「左下
がり」の状態に遷移した後、ストローク差の微少な変化
では「中立」状態へ戻らないようにしているためであ
る。このヒステリシス幅は、車体Bの制御の応答速度や
センサの応答特性等の性能により任意に調整して、設定
される。
【0059】上述した処理を含むことにより、本願発明
は、第1の実施形態における効果に加えて、「中立」状
態へのしきい値にヒステリシスを持たせたため、しきい
値が1点の場合に、ストローク差ΔLRがしきい値を挟
んで変化した場合に起こる車両状態値のハンチングを防
止したため、ステップS17(図7)において、ストロ
ーク差ΔLRから求まるトルクTL,TRの目標値が
「0」になるか、トルクTL,TRが値を有するかの間
で、最終的なトルクの目標値のトルクTTL,TTRの出
力が振動してしまう問題を回避できる。この結果、本願
発明は、制御回路がアクチュエータ1L,1Rに供給する
電流値をハンチングを起こさせずに安定させることで、
トルクTTL,TTRに対応した電流の制御の追従性を向
上させ、サスペンションのロール剛性の制御の応答性を
良くする効果がある。また、本願発明は、上述したスト
ローク位置の「中立」を挟んだ変化によるハンチングを
防止出来るため、車体Bの耐ローリング制御において、
微妙な変化に過敏に影響することによる車体Bの振動が
無くなるため、車体Bの挙動が安定する。
【0060】<第3の実施形態>この第3の実施形態の
構成は、図12に示すように、ストロークセンサSL,
SRに代え、車体Bの横方向にかかる加速度を測定する
横加速度センサSGを設けた点にある。この横加速度セ
ンサSGは、車体Bのローリングにおけるロールセンタ
の軸上の点に設けられている。図12は、加速度センサ
SGと、舵角センサSAとの車体Bにおける配置を示す上
方から見た透過図である。また、第3の実施形態の他の
構成は、前述した第1の実施形態と同様であり、構成の
説明は省略する。上述した構成の違いにより、第3の実
施形態においては、制御回路が、第1の実施形態でスト
ローク差ΔLRから求めていたトルクTL,TRを、横加
速度センサSGの出力する横加速度値DG(m/s2)に基づ
き演算して求める。第3の実施形態において、舵角速度
からトルクYL,YRを求める処理の流れが第1の実施形
態と同様のため、トルクYL,YRを求める処理の説明を
省略する。
【0061】図13のフローチャートにおいては、横加
速度値DGに基づき、からのアクチュエータ1L,1Rに
発生させるトルクYL,YRを求める演算が行われる。こ
の演算は、図14に示す横加速度値DGとトルクYL,Y
Rとの関係から、舵角速度に対応してトルクYL,YRを
求める。図14は、横軸が横加速度値DGであり、縦軸
がトルクYL,YRの値となっている。ここで、横加速度
値DGの絶対値が、例えば1.5(m/s2)以下のとき、ト
ルクYL,YRの値が「0」に設定されている。これは、
直進走行時にハンドル8のぶれなどにより、微少な横加
速度が発生する場合があり、このぶれに過敏に反応して
サスペンションの剛性を高めてしまうことを防止してい
る。すなわち、あまり小さい横加速度において、アクチ
ュエータ1L,1Rにトルクを発生させず、直進時には、
基本バネレートでサスペンションを動作させ、乗り心地
を優先させる。また、トルクYL,YRの最大値は、例え
ば、横加速度値DGが5(m/s2)から130(N・m)
に設定されている。このトルクYL,YRの最大値,及び
横加速度値DGに対するトルクYL,YRの変化の傾き
は、車両の種類毎に、車両の乗り心地や操縦性を複数の
人間が試乗して、この多数が選択した数値等に基づき決
定される。
【0062】次に、図13のフローチャートにおける処
理について説明する。このフローチャートにおいては、
横加速度値DGに基づき、アクチュエータ1L,1Rの発
生させるトルクTL,TRを求める演算が行われる。ここ
で、この横加速度センサSGは、右方向にかかる横加速
度値DGを(+)の数値として出力し、左方向にかかる
横加速度値DGを(−)の数値として出力する。ステッ
プS41において、制御回路は、横加速度センサSGか
ら、検出された横加速度値DGを読み込む。ステップS
42において、制御回路は、入力される横加速度値DG
が、予め設定された基準加速度値、例えば1.5(m/
s2)より大きいか否かの判定を行う。このとき、制御回
路は、横加速度値DGが1.5(m/s2)より大きくない場
合、処理をステップS43へ進め、横加速度値DGが1.
5(m/s2)より大きい場合、処理をステップS44へ進
める。次に、ステップS44において、制御回路は、横
加速度値DGが1.5(m/s2)より大きいため、右方向に
かかる横加速度であることを検出し、左側にコーナーリ
ングを行っていると判定し、車両状態値を「右下がり」
と設定する。
【0063】また、ステップS42において、制御回路
は、入力される横加速度値DGが、予め設定された基準
加速度値、例えば−1.5(m/s2)より小さいか否かの
判定を行う。このとき、制御回路は、横加速度値DGが
−1.5(m/s2)より小さくない場合、処理をステップ
S46へ進め、横加速度値DGが−1.5(m/s2)より小
さい場合、処理をステップS45へ進める。次に、ステ
ップS45において、制御回路は、横加速度値DGが−
1.5(m/s2)より小さいため、左方向にかかる横加速
度であることを検出し、右側にコーナーリングを行って
いると判定し、車両状態値を「左下がり」と設定する。
また、ステップS46において、制御回路は、入力され
る横加速度値DGが、−1.5(m/s2)から1.5(m/
s2)の間の数値であるため、車両状態値を「中立」と設
定する。
【0064】ここで、−1.5(m/s2)から1.5(m/
s2)の範囲は、直進走行時や緩いカーブ等において、舵
角の微少な変動に過敏に反応して、サスペンションの剛
性を高めてしまうことを防止している。すなわち、あま
り微少な横加速度値DGの変化において、アクチュエー
タ1L,1Rにトルクを発生させず、直進時には、基本バ
ネレートでサスペンションを動作させ、乗り心地を優先
させる。また、横加速度FGに基づき得られるトルクY
L,YRの最大値は、たとえば、車種毎に車両の乗り心地
や操縦性を複数の人間が試乗して、この多数が選択した
数値等に基づき決定される。次に、ステップS47にお
いて、制御回路は、横加速度値DGに基づき、アクチュ
エータ1L,1R各々の発生するトルクTL,TRを演算す
る。すなわち、制御回路は、記憶部に記憶されている、
図14に示す横加速度値DGと、アクチュエータ1L及び
1Rに発生させるトルクとの関係を、各々示すグラフか
ら、横加速度値DGに対応した各々のトルクYL,YRを
選択して演算結果として出力する。
【0065】ステップS48において、制御回路は、一
定時間毎に各アクチェータ1L,1Rの生成するトルクY
L,YRを設定する。例えば、制御回路は、運転者が右に
操舵を行い、舵角方向フラグが「右」に設定されたこと
に基づき、アクチュエータ1Lのトルク発生方向を「左
バネ6L伸ばす」方向とし、アクチュエータ1Rのトルク
の発生方向を「右バネ6R伸ばす」方向に設定し、車体
Bが左に方向にローリング、すなわち図1において、車
体Bの左側がの方向に沈み込み、の方向に浮き上が
る(車両状態値:「左下がり」)とすると、アクチュエ
ータ1Lがの方向に回転し、バネ6Lを伸ばすトルクT
Lを演算し、一方、アクチュエータ1Rがの方向に回転
し、バネ6Rを縮めるトルクTRを演算する。
【0066】次に、図15のフローチャートにおいて
は、図5及び図13のフローチャートの処理により求め
られたトルクYL,YR及びトルクTL,TRに基づき、実
際にアクチュエータ1L,1Rに発生させるトルクTT
L,TTRを求める。ステップS51において、制御回路
は、車両状態値が「中立」であるか否かの判定を行い、
判定結果が「中立」でなければ、処理をステップS52
へ進め、車両状態が「中立」であれば、処理をステップ
S55へ進める。次に、ステップS52において、制御
回路は、車両状態値と舵角速度方向との比較、すなわち
舵角速度方向に対応したローリング方向であるか否か、
ここでは車両状態値が「左下がり」でかつ操舵速度方向
が右であるか否かの判定を行う。このとき、制御回路
は、車両状態値が「左下がり」でかつ舵角速度方向が右
である場合、処理をステップS55へ進め、この組み合
わせ以外の場合、処理をステップS53へ進める。
【0067】次に、ステップS53において、制御回路
は、車両状態値と舵角速度方向との比較、すなわち舵角
速度方向に対応したローリング方向であるか否か、ここ
では車両状態値が「右下がり」でかつ操舵速度方向が左
であるか否かの判定を行う。このとき、制御回路は、車
両状態値が「右下がり」でかつ舵角速度方向が左である
場合、処理をステップS55へ進め、この組み合わせ以
外の場合、処理をステップS54へ進める。次に、ステ
ップS54において、制御回路は、横加速度値DGから
求めたトルクTL及びTRを、各々トルクTTL,TTRと
して記憶部へ記憶させる。また、ステップS55におい
て、制御回路は、アクチュエータ1Lに発生させるトル
クTTLを「YL+TL」の式に基づき演算し、アクチュ
エータ1Rに発生させるトルクTTRを「YR+TR」の式
に基づき演算し、演算されたトルクTTL,TTRを記憶
部に記憶させる。次に、ステップS56において、制御
回路は、アクチュエータ1L,1RにトルクTTL,TTR
を出力させるための電流量を演算する。例えば、制御回
路は、PWM(パルス幅変調)制御の場合、電流量を調
整するため、一定周期の連続パルスにおいて「H」レベ
ルと「L」レベルの幅のデューティ比を演算する。
【0068】上述した図15の車両状態値と舵角速度方
向フラグとの状態に基づく、上述したフローチャートに
おける制御回路が行う演算の組み合わせを図16のテー
ブルに示す。このテーブルにおいて、車両状態が「中
立」の項における「強制加算」とは、プログラムの処理
上、車両状態によらない特別な加算処理として定義した
名称である。また、図16のテーブルから判るように、
車体Bの挙動において、舵角速度方向フラグと車両状態
値とが一致したときに、舵角速度から求めたトルクY
L,YRと、横加速度値DGから求めたトルクTL,TRと
を各々加算して、最終目標のアクチュエータに出力させ
るトルクTTL,TTRを生成している。ここで、舵角速
度方向フラグと車両状態値とが一致していない場合に加
算すると、トルクYL,YRとトルクTL,TRとの極性が
逆のため、トルクTTL,TTRの値が急激に変化する。
【0069】このため、舵角速度方向フラグと車両状態
値とが一致していない場合、ローリング方向を明確に表
している、横加速度値DGから求めたトルクTL,TRの
みを、アクチュエータの制御に用いている。一方、車体
状態値が「中立」のとき、上述したように、舵角速度方
向フラグと車両状態値とが一致していない場合、制御す
るトルクTTL,TTRが「0」になり、コーナーリング
の初期の過渡状態(横加速度DGが「−1.5<DG<1.
5(m/s2)」)において、制御できず、耐ローリング制
御において、アクチュエータ等の制御系の遅れ,及び車
両コンプライアンス分に基づく、車体Bの制御の遅れが
生じてしまう。
【0070】そのため、第3の実施形態では、第1の実
施形態と同様に、車体状態値が「中立」の場合に、舵角
量を微分した舵角速度に基づいたトルクYL,YRを、ト
ルクTL,TRの各々「0」に対して強制加算して、車体
Bの制御の遅れを補完し、コーナーリング初期の旋回時
の応答速度を改善している。したがって、このため、制
御回路は、トルクを大きくするために電流を多くしたい
場合、デューティ比において、「H」レベルの幅を広
げ、「L」レベルの幅を狭くし、トルクを小さくするた
めに電流を少なくしたい場合、「L」レベルの幅を広
げ、「H」レベルの幅を狭くなるように、トルクTT
L,TTR各々のデューティ比を演算する。このとき、ト
ルクの発生する方向は、第1の実施形態にすでに記載し
たように、モータML,MRに流す電流の方向を逆にする
ことで制御する。
【0071】次に、図17に、実際の制御の流れを示す
が、各時刻に行われる処理は、第1の実施形態と同様で
あり、ストローク差ΔLRに基づくトルクTL,TRを、
横加速度値DGに基づくトルクTL,TRに、車両状態値
の検出処理を含めて置き換えるのみであるので、タイミ
ングチャートの説明を省略する。また、図17における
各図において、第1の実施形態と異なる図17(d)及
び図17(e)について説明する。図17(d)は、舵
角速度に基づいて演算されたトルクYL,YR、及び横加
速度DGに基づき演算されたトルクTL,TRの絶対値を
示すものである。ここで、トルクYLとトルクYRとは、
値は同一であるが、トルクのかかる方向が互いに逆方向
となっており、同様に、トルクTLとトルクTRとは、値
は同一であるが、トルクのかかる方向が互いに逆方向と
なっている。
【0072】図17(e)は、図17(d)のトルクY
LとトルクTLとを加算した最終目標値であるトルクTT
L,及びトルクYRとトルクTRとを加算した最終目標値
であるトルクTTRの絶対値を示している。ここで、ト
ルクTTLとトルクTTRとは、値は同一であるが、力の
方向が互いに逆方向となっている。また、このトルクT
TL,TTRの最大値は、トルクYLとトルクTLとの各々
の最大値を加算してトルクTTLを求め、アクチュエー
タ1LにこのトルクTTLを発生させたときに、このトル
クTTLの反対方向の向きのトルクに対して対応可能な
アクチュエータ1Lの強度で決定される。図17(d)
及び図17(e)は、絶対値で示されており、アクチュ
エータ1L,1Rのトルクの発生方向が舵角方向フラグに
より指示される。
【0073】そして、第3の実施形態は、第1の実施形
態における効果に加えて、ストロークセンサSL,SRの
代わりに、横加速度センサSGを使用するため、ストロ
ークセンサSL,SRを用いた場合に比べて、駆動アーム
4L,4RからストロークセンサSL,SRへのリンクやロ
ッドを使用しないため、高価なストロークセンサを2つ
削減でき、かつ車体状態値を検出する検出機構の構造が
簡易になることでシステムを簡素化することができ、製
造コストを削減出来る。また、第3の実施形態は、スト
ロークセンサを用いずに、横加速度値DGに基づきロー
リング方向及び必要なトルク値を求めて、アクチュエー
タにより車体状態を改善する制御を行うため、路面の微
少な凸凹を拾い過度に制御してしまう、ストロークセン
サを用いた場合の制御上の問題を防止することができ
る。
【0074】さらに、上述した図15のフローチャート
で用いる図14の横加速度値DGとトルクTL,TRとの
関係において、横加速度センサSGより求められる横加
速度値DGに代えて、車速と舵角とから求まる推定横加
速度値DG’を用いることもできる。これにより、第3
の実施形態は、横加速度センサSGを必要としなくなる
ため、さらに構成及びシステムの簡素化が可能となり、
製造コストを削減出来る。ここで用いられる推定横加速
度DG’は、実際の車両の大きさ等により、実際の横加
速度の変化に対して傾きが異なるが、実験において車速
が0(km/h)から60(km/h)まで直線近似が出
来ることが確認されている。このため、推定横加速度D
G’は、実車のテストデータから舵角速度と車速との関
係をグラフとして、このグラフから求めることが可能で
ある。
【0075】加えて、第3の実施形態は、第2の実施形
態と同様に、横加速度値DGの数値に基づいて車両状態
を検出するとき、車体Bが左右いずれかに下がっている
状態から「中立」に遷移したことを検出するしきい値
と、車体Bが「中立」からヒステリシス幅を左右いずれ
かに下がっている状態に遷移したことを検出するしきい
値とを異なった数値として、図11に示すようなヒステ
リシス幅を設定するようにしても良い。この結果、第3
の実施形態は、第2の実施形態の効果をも有することと
なる。第2の実施形態と同様に、上記ヒステリシス幅
は、車体Bの制御の応答速度やセンサの応答特性等の性
能により任意に調整して、設定される。
【0076】以上、本発明の一実施形態を図面を参照し
て詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限ら
れるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設
計変更等があっても本発明に含まれる。例えば、上述し
た第1の実施形態及び第2の実施形態において、アクチ
ュエータを後方のサスペンションに配置しているが、前
方のサスペンション、及び全輪のサスペンションに設け
ても良い。
【0077】
【発明の効果】本発明によれば、左右車輪の上下方向に
おける車輪の移動量の差を検出するととに舵角速度も検
出し、車輪の移動量の差と舵角速度とに基づいてアクチ
ュエータを制御するため、車体が中立の場合を含めて、
ハンドル8を切る速度、すなわち舵角速度に基づくトル
クを生成し、このトルクに基づいてローリング方向と逆
方向に対してアクチュエータのトルク制御を行い、逆相
のホイールレートを高めるので、ストロークの変化量の
みに基づく制御に比較して、コーナーリングにおけるロ
ール剛性が補完されて初期応答性が向上し、車両のコン
プライアンスによる応答遅れを改善でき、かつ、コーナ
ーリング開始時から車体の中心に重心を置くことがで
き、常にコーナリングにより発生する遠心力に対して車
両の安定性が得られる。また、本発明によれば、直進走
行時において、転舵操作を行わないことで、ハンドル8
を回転させることにより入力される舵角が小さいため、
舵角速度が「0」として求められ、かつローリングによ
る車輪の車体に対する移動量の差と求められるため、制
御回路がアクチュエータを制御することがなく、サスペ
ンションの剛性が補完されないことにより、スタビライ
ザー及びバネの本来の基準値のバネレートによりサスペ
ンションが動作するので、予め設定された本来の乗り心
地を損なうことがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の実施形態(または、第2の実施形態,
第3の実施形態)によるリア(後輪)側におけるサスペ
ンションの構成を示す車両後方からの透視図である。
【図2】 車体Bにおいて、ストロークセンサSL,SR
及び舵角センサSAの設けられた位置を示す車両上方か
らの透視図である。
【図3】 図2に示すストロークセンサの種類及び構成
を示す概念図である。
【図4】 運転者が操舵する方向に応じた、アクチュエ
ータ1L及び1Rの発生するトルク量を演算する各パラメ
ータの変化を示すタイミングチャートである。
【図5】 舵角速度(rad/sec)に基づき、アクチュエ
ータ1L,1Rに発生させるトルクYL,YRを求める演算
の流れを示すフローチャートである。
【図6】 舵角速度とトルクYL,YRとの関係を示した
図である。
【図7】 ストローク量に基づき、アクチュエータ1
L,1Rの発生させるトルクTL,TRを求める演算の流れ
を示すフローチャートである。
【図8】 図5及び図7のフローチャートの処理により
求められたトルクTL,TR及びトルクTL,TRに基づ
き、実際にアクチュエータ1L,1Rに発生させるトルク
TTL,TTRを求める演算の流れを示すフローチャート
である。
【図9】 制御回路が図8のフローチャートにおいて行
う演算の組み合わせを示すグラフである。
【図10】 車体状態値の判定で用いるしきい値にヒス
テリシスを持たせたときの、判定の処理を示すフローチ
ャートである。
【図11】 車体状態値の判定で用いるしきい値のヒス
テリシス幅を示す概念図である。
【図12】 加速度センサSGと、舵角センサSAとの車
体Bにおける配置を示す上方から見た透過図である。
【図13】 横加速度値DGに基づき、からのアクチュ
エータ1L,1Rに発生させるトルクYL,YRを求める演
算の流れを示すフローチャートである。
【図14】 横加速度値DGとトルクYL,YRとの関係
を示す図である。
【図15】 図5及び図13のフローチャートの処理に
より求められたトルクYL,YR及びトルクTL,TRに基
づき、実際にアクチュエータ1L,1Rに発生させるトル
クTTL,TTRを求める演算の流れを示すフローチャー
トである。
【図16】 制御回路が図15のフローチャートにおい
て行う演算の組み合わせを示すグラフである。
【図17】 運転者が操舵する方向に応じた、アクチュ
エータ1L及び1Rの発生するトルク量を演算する各パラ
メータの変化を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
1L,1R アクチュエータ 2L,2R アッパーアーム 3L,3R ロアアーム 4L,4R 駆動アーム 5L,5R リンク 6L,6R ナックル 7L,7R コイルバネ 8 ハンドル GL,GR 減速器 ML,MR モータ SA 舵角センサ SG 横加速度センサ SL,SR ストロークセンサ WL,WR ホイール
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 北沢 浩一 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内 (72)発明者 渡邊 和久 栃木県芳賀郡芳賀町芳賀台143番地 株式 会社ピーエスジー内 Fターム(参考) 3D001 AA03 BA03 CA01 DA17 EA01 EA08 EA22 EA36 EB00 EC03 EC05 EC07 EC08 EC09 ED02 ED09

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車体がロールするのを抑制する力を発生
    することができるアクチュエータの制御方法において、 左右車輪の上下方向における車輪の移動量の差を検出す
    るとともに舵角速度も検出し、車輪の移動量の差と舵角
    速度とに基づいてアクチュエータを制御したことを特徴
    とするサスペンションの制御方法。
  2. 【請求項2】 左右車輪を機械的に連結し、左右車輪の
    上下方向における車輪の車体に対する移動量の差により
    捩じれが生じるスタビライザが設けられており、必要と
    される車輪がロールするのを抑制する力の不足分を前記
    アクチュエータにて補うようにしたことを特徴とする請
    求項1記載に記載のサスペンションの制御方法。
  3. 【請求項3】 車体がロールするのを抑制する力を発生
    することができるアクチュエータの制御方法において、 車両の横加速度を検出し、 横加速度と舵角速度とに基づいてアクチュエータを制御
    したことを特徴とするサスペンションの制御方法。
  4. 【請求項4】 車両のロール方向と操舵速度方向が一致
    している場合には、車輪の車体に対する移動量の差と舵
    角速度とに基づいて制御し、 車両のロール方向と操舵速度方向とが不一致の場合に
    は、車輪の車体に対する移動量の差に基づいて制御し、 車両のロールが少ない中立状態においては、車両のロー
    ル方向と操舵速度方向との一致及び不一致に関わらず、
    車輪の車体に対する移動量の差と舵角速度とに基づいて
    制御することを特徴とする請求項1記載に記載のサスペ
    ンションの制御方法。
  5. 【請求項5】 車両のロール方向と操舵速度方向が一致
    している場合には、横加速度と舵角速度とに基づいて制
    御し、 車両のロール方向と操舵速度方向が不一致の場合には、
    横加速度に基づいて制御し、車両のロールが少ない中立
    状態においては、車両のロール方向と操舵方向の一致、
    不一致に関わらず車輪の車体に対する横加速度と舵角速
    度とに基づいて制御することを特徴とする請求項3記載
    に記載のサスペンションの制御方法。
  6. 【請求項6】 中立状態であることを判定するとき、ヒ
    ステリシスを有して判定するようにしたことを特徴とす
    る請求項4,5記載のサスペンションの制御方法。
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