JP2002208094A - 交通情報収集・提供システム - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 トレードオフの関係にある計測精度と情報の
鮮度とのバランスを保ちながら、交通集中を発生させる
ことなく、ＦＣＤから生成した交通情報を提示する交通
情報収集・提供システムを提供する。 【解決手段】 走行車両から受信したデータを集計処理
して交通情報16を生成し、この交通情報を走行車両に提
供する交通情報収集・提供システムにおいて、走行車両
からアップリンクされたデータの受信頻度により、提供
する交通情報の更新周期を変更している。車載機を搭載
した車両が多数走行しているリンクでは、アップリンク
データが多く集まるので交通情報が短い周期で更新さ
れ、交通集中の発生が防止できる。一方、アップリンク
データの集まりが少ないリンクの交通情報の更新周期は
長くなるが、このリンクを走行する、車載機を搭載した
車両の台数が元々少ないため、交通集中は発生しない。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、走行車両から走行
位置や時間、走行速度などの情報を収集し、統計処理を
した後、リンク旅行時間などの情報に加工して提供する
交通情報収集・提供システムに関し、特に、情報の精度
と情報の鮮度とのバランスを保ちながら、提供する情報
の更新周期を制御できるようにしたものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、道路交通情報通信システム（ＶＩ
ＣＳ）では、ＦＭ多重放送や電波ビーコン、光ビーコン
を通じて、渋滞や事故などの交通情報、あるいは、リン
ク（交差点等の間の道路）の通過に要する区間旅行時間
の情報などを走行車両に提供している。車両に搭載され
たＶＩＣＳ対応のナビゲーション機能を持つ車載機は、
この交通情報を受信し、それを活用して、より早く目的
地に到達できる経路を自動探索し、ドライバに提示する
ことができる。

【０００３】また、ＶＩＣＳシステムでは、光ビーコン
を通じて車載機から位置や通行時間、さらにそれらを加
工した走行速度の情報などを収集し、区間旅行時間の算
出などに利用している。走行車両から収集するデータは
フローティング・カーデータ（ＦＣＤ）と呼ばれてい
る。欧州では、ＦＣＤを携帯電話などを利用して収集す
るシステムも開発されている。

【０００４】ところで、交通情報の利用可能な車載機を
搭載する車両が増加すると、“交通集中（アナウンス効
果による一時的で不安定な交通集中）”と云う現象が発
生することが知られている。これは、交通情報で空いて
いる経路が案内されると、多くのドライバが、この交通
情報に従って車両の走行経路を変更するため、返ってそ
の経路が混雑してしまう現象を云う。

【０００５】この交通集中は、交通情報の更新周期を短
くすることによって防止できることが知られている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の交通情
報提供システムでは、提供する交通情報の内容があらか
じめ決められた一定の周期で更新されるが、ＦＣＤを収
集し、統計処理してリンク旅行時間などの交通情報を提
供する場合には、交通情報の更新周期を余りに短く設定
すると、その間に収集できるＦＣＤのデータ数が減少
し、精度の高い交通情報が提供できないと云う問題が発
生する。一般的には、精度を保つために、データ数とし
て最低でも５情報が必要とされている。

【０００７】一方、交通情報の更新周期を長く取ると、
その間に収集できるＦＣＤのデータ数は増加し、精度は
向上するが、前述するように交通集中の発生が懸念さ
れ、また、情報の鮮度（即時性）が低下すると云う問題
点がある。

【０００８】本発明は、こうした従来の問題点を解決す
るものであり、トレードオフの関係にある計測精度と情
報の鮮度とのバランスを保ちながら、交通集中を発生さ
せることなく、ＦＣＤから生成した交通情報を提示する
交通情報収集・提供システムを提供することを目的とし
ている。

【０００９】

【課題を解決するための手段】そこで、本発明では、走
行車両から受信したデータを集計処理して交通情報を生
成し、この交通情報を走行車両に提供する交通情報収集
・提供システムにおいて、走行車両からアップリンクさ
れたデータの受信頻度により、提供する交通情報の更新
周期を変更している。

【００１０】そのため、車載機を搭載した車両が多数走
行しているリンクでは、アップリンクデータが多く集ま
るので交通情報が短い周期で更新され、交通集中の発生
が防止できる。一方、アップリンクデータの集まりが少
ないリンクの交通情報の更新周期は長くなるが、このリ
ンクを走行する、車載機を搭載した車両の台数が元々少
ないため、交通集中は発生しない。

【００１１】

【発明の実施の形態】（第１の実施形態）本発明の第１
の実施形態の交通情報収集・提供システムは、図１に示
すように、車両からＦＣＤを収集してリンク旅行時間情
報を出力する交通情報収集装置10を備えており、この交
通情報収集装置10から出力されたリンク旅行時間情報
は、交通情報提供システムを通じて車両に提供され、あ
るいは、経路計算システムで経路情報に加工されて車両
に提供される。

【００１２】交通情報収集装置10は、車両からＦＣＤを
受信するデータ受信部11と、ＦＣＤがどのリンクのデー
タであるかを判定するリンク判定部12と、ＦＣＤの旅行
時間のデータをリンク毎に分けて蓄積する車両毎リンク
旅行時間計測情報バッファ13と、車両毎リンク旅行時間
計測情報バッファ13に蓄積されたデータを統計処理して
送信するか否かを判定する集計・情報送信サイクル判定
部14と、集計・情報送信サイクル判定部14の指示に従っ
て車両毎リンク旅行時間計測情報バッファ13に蓄積され
たデータを統計処理してリンク旅行時間を算出するリン
ク旅行時間集計処理部15と、算出されたリンク旅行時間
を格納するリンク旅行時間集計ファイル16と、集計・情
報送信サイクル判定部14の指示に従って旅行時間集計フ
ァイル16からリンク旅行時間を読み出して送信するリン
ク旅行時間情報送信部17とを備えている。

【００１３】この装置10では、それぞれのリンクに関し
て十分な数のＦＣＤ情報が収集できたとき、収集データ
に基づいて、そのリンクの旅行時間が算出され、そのリ
ンク旅行時間が送信される。従って、リンク旅行時間情
報の送信時期は、リンクごとに異なり、非定期である。

【００１４】図２のフロー図は、この装置10の動作を示
している。 ステップ１：データ受信部11は、車両からＦＣＤ情報を
受信する。ＦＣＤ情報には、時刻、位置、走行速度情
報、リンク旅行時間情報、その他の車載センサ情報が含
まれている。なお、ＦＣＤ情報にリンク旅行時間情報が
含まれていない場合には、装置10の側で走行速度情報か
ら算出する。

【００１５】ステップ２：リンク判定部12は、受信した
ＦＣＤ情報の位置情報から、このＦＣＤ情報がどのリン
クの情報であるかを識別し、 ステップ３：ＦＣＤ情報から取得した旅行時間情報（Ｆ
ＣＤ計測旅行時間）を、車両毎リンク旅行時間計測情報
バッファ13の該当するリンクの記録領域に追加記入す
る。

【００１６】ステップ４：集計・情報送信サイクル判定
部14は、そのリンクの記録領域に、十分な数（例えば、
７個）のＦＣＤ計測旅行時間情報が格納されているかど
うかを判定する。十分な数のＦＣＤ計測旅行時間情報が
格納されているときは、 ステップ５：集計・情報送信サイクル判定部14は、リン
ク旅行時間集計処理部15に、そのリンクの旅行時間の集
計を指示し、リンク旅行時間集計処理部15は、例えば、
最大と最小のＦＣＤ計測旅行時間を除き、残りのＦＣＤ
計測旅行時間を平均して当該リンクの旅行時間を算出
し、リンク旅行時間集計ファイル16に格納する。

【００１７】ステップ６：また、リンク旅行時間集計処
理部15は、車両毎リンク旅行時間計測情報バッファ13の
該当するリンクの記録領域に蓄積されているデータをク
リアする。 ステップ７：集計・情報送信サイクル判定部14は、リン
ク旅行時間情報送信部17に、そのリンク旅行時間の送信
を指示し、リンク旅行時間情報送信部17は、リンク旅行
時間集計ファイル16から、指示されたリンクの旅行時間
を読み出して送信する。

【００１８】また、ステップ４において、当該リンクの
記録領域に、十分な数のＦＣＤ計測旅行時間情報が格納
されていないときは、 ステップ８：集計・情報送信サイクル判定部14は、その
記録領域に記録されているＦＣＤ計測旅行時間の中で最
も古いデータの記録時期から、規定時間Ｔが経過してい
るかどうかを判定する。この規定時間Ｔは、情報鮮度を
保つ目的で設定した時間であり、例えば、３０分〜４０
分程度に設定する。規定時間Ｔが経過していない場合
は、ステップ１に戻って、次のＦＣＤ情報の受信を待
つ。

【００１９】また、規定時間Ｔが経過しているときは、 ステップ５：代替の交通情報（他のセンサの情報や統計
情報など）を用いて、強制的にリンク旅行時間の集計処
理を行い、次いで、ステップ６以降の手順を実行する。

【００２０】このように、この装置では、該当するリン
クのＦＣＤ情報が、予め決めた数を超えた場合に、その
タイミングで、そのリンクに依存する交通情報がリンク
単位で更新される。

【００２１】この場合、ＦＣＤ情報が多く集まるリンク
は、車載機を搭載した車両が多数走行していることにな
るが、このリンクの交通情報は短い周期で更新されるた
め、交通集中の発生が防止できる。

【００２２】一方、ＦＣＤ情報が少ししか集まらないリ
ンクの交通情報の更新周期は長くなるが、このリンクを
走行する、車載機を搭載した車両の台数が元々少ないた
め、交通集中は発生しない。また、このリンクにおいて
も、規定時間Ｔにより最低限の情報更新サイクルが保証
され、情報鮮度は保たれる。

【００２３】なお、この実施形態では、車両毎リンク旅
行時間計測情報バッファ13に所定数のＦＣＤ計測旅行時
間が溜まるまで集計処理を行わない場合を示している
が、１リンク１メモリとし、ＦＣＤの受信の都度、受信
回数とＦＣＤ計測旅行時間の加算（あるいは、平均・統
計のための処理）を行うようにしても良い。

【００２４】（第２の実施形態）第２の実施形態の交通
情報収集・提供システムでは、交通情報収集装置が、最
近収集した所定数のデータだけを格納するリングバッフ
ァを用いてＦＣＤ計測旅行時間を蓄積する。

【００２５】この装置は、図３に示すように、車両から
ＦＣＤを受信するデータ受信部21と、ＦＣＤがどのリン
クのデータであるかを判定するリンク判定部22と、各リ
ンクの最近受信した所定数のＦＣＤ計測旅行時間情報だ
けを蓄積する車両毎リンク旅行時間計測情報リングバッ
ファ23と、車両毎リンク旅行時間計測情報リングバッフ
ァ23に蓄積されたデータを統計処理してリンク旅行時間
を算出するリンク旅行時間集計処理部24と、算出された
リンク旅行時間を格納するリンク旅行時間集計ファイル
26と、旅行時間集計ファイル26からリンク旅行時間を定
期的に読み出して送信するリンク旅行時間情報送信部25
とを備えている。

【００２６】図４のフロー図は、この装置10のＦＣＤ受
信時の動作を示している。 ステップ10：データ受信部21は、車両からＦＣＤを受信
する。 ステップ11：リンク判定部22は、受信したＦＣＤに含ま
れる位置情報から、このＦＣＤ情報がどのリンクの情報
であるかを検出する。

【００２７】ステップ12：次いで、車両毎リンク旅行時
間計測情報リングバッファ23の該当するリンクのリング
バッファに未記入のエリアが存在するかどうかを識別す
る。未記入のエリアが存在するときは、 ステップ14：そこに、ＦＣＤ計測旅行時間と受信時刻と
を追加記入する。

【００２８】また、ステップ12において、未記入のエリ
アが存在しないときは、 ステップ13：車両毎リンク旅行時間計測情報リングバッ
ファ23の該当するリンクのリングバッファに記録された
最も古いＦＣＤ計測旅行時間を削除して、 ステップ14：そこに、新たに受信したＦＣＤ計測旅行時
間と受信時刻とを追加記入する。

【００２９】こうして、車両毎リンク旅行時間計測情報
リングバッファ23の各リンクのリングバッファには、最
近受信した所定数のＦＣＤ計測旅行時間情報だけが蓄積
されることになる。

【００３０】図５は、この装置10のリンク旅行時間の集
計処理手順を示している。 ステップ20：リンク旅行時間集計処理部24は、まず、リ
ンク番号Ｌ＝１を対象として、 ステップ21：車両毎リンク旅行時間計測情報リングバッ
ファ23の該当するリンクのリングバッファに蓄積されて
いるＦＣＤ計測旅行時間の受信時刻を現在時刻と比較
し、受信時刻から規定時間Ｔが経過しているＦＣＤ計測
旅行時間情報を削除する。

【００３１】ステップ22：残るＦＣＤ計測旅行時間情報
の数が規定数量Ｎ以上かどうかを判別する。Ｎは、情報
鮮度と情報精度とのトレードオフから決定した、リンク
旅行時間を求めるための受信データ数量であり、７〜１
２程度に設定する。ＦＣＤ計測旅行時間情報の数がＮ以
上であれば、 ステップ23：最近受信したＮ個のＦＣＤ計測旅行時間情
報を取得し、集計処理を行い、リンク旅行時間集計ファ
イル26に格納する。

【００３２】また、ステップ22において、ＦＣＤ計測旅
行時間情報の数がＮ以上で無いときは、 ステップ24：ＦＣＤ計測旅行時間情報の数が最低規定数
量Ｍ以上かどうかを判別する。Ｍは、平均リンク旅行時
間を求めるために最低限必要な受信データ数量であり、
５程度に設定する。ＦＣＤ計測旅行時間情報の数がＭ以
上であれば、 ステップ25：その全てのＦＣＤ計測旅行時間情報を取得
して集計処理を行い、リンク旅行時間集計ファイル26に
格納する。

【００３３】また、ステップ24において、ＦＣＤ計測旅
行時間情報の数がＭ以上で無いときは、 ステップ26：代替方式（他センサや統計情報からの推定
等）により値を決定し、リンク旅行時間集計ファイル26
に格納する。

【００３４】次いで、対象とするリンクのリンク番号を
１つ増やし（ステップ27）、ステップ21からの手順を繰
り返す。

【００３５】リンク旅行時間情報送信部25は、図６に示
すように、一定周期で、または相手側装置の要求発生時
に、リンク旅行時間集計ファイル26から、各リンクのリ
ンク旅行時間を読み出して送信する（ステップ30）。

【００３６】このように、この装置では、リングバッフ
ァに蓄積されたＦＣＤを用いてリンク旅行時間が更新さ
れる。そのため、ＦＣＤ情報が多く集まるリンクのリン
グバッファでは、ＦＣＤ計測旅行時間情報が短期間で更
新され、ＦＣＤ情報の集まりが少ないリンクのリングバ
ッファでは、ＦＣＤ計測旅行時間情報の更新が遅くな
る。従って、リンク旅行時間集計処理部24が、各リンク
のリングバッファに蓄積されたＦＣＤ計測旅行時間情報
から同一周期で各リンクのリンク旅行時間を集計処理し
た場合でも、リンク旅行時間集計ファイル26に格納され
るリンク旅行時間は、ＦＣＤ情報が多く集まるリンクで
は、短期間でデータが更新され、ＦＣＤ情報の集まりが
少ないリンクでは、データ更新が遅くなる。また、リン
ク旅行時間情報送信部25が、リンク旅行時間集計ファイ
ル26に格納された各リンクのリンク旅行時間を同一周期
で送信する場合でも、データ内容の更新に関しては同様
であり、ＦＣＤ情報が多く集まるリンクのリンク旅行時
間は、データが頻繁に更新されて送信され、ＦＣＤ情報
の集まりが少ないリンクのリンク旅行時間は、データ内
容が更新されないまま同一周期で送信される。

【００３７】そのため、第１の実施形態と同様、車載機
を搭載した車両が多数走行しているリンクの交通情報の
内容は短い周期で更新されるため、交通集中の発生が防
止できる。

【００３８】また、車載機を搭載した車両の走行台数が
少ないリンクの交通情報の更新周期は長くなるが、台数
が少ないため、交通集中は発生しない。また、このリン
クにおいても、受信時点から規定時間Ｔが経過したデー
タは削除され、また、最低規定数量Ｍ以上のデータの使
用が保証されるため、情報の精度及び情報鮮度が保たれ
る。

【００３９】

【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の交通情報収集・提供システムでは、ＦＣＤから生成す
る交通情報の計測精度と情報鮮度とを適切に自動制御す
ることが可能であり、また、交通集中を発生させること
なく、交通情報を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１の実施形態における交通情報収集
・提供システムの構成を示すブロック図、

【図２】第１の実施形態の交通情報収集・提供システム
の動作を示すフロー図、

【図３】本発明の第２の実施形態における交通情報収集
・提供システムの構成を示すブロック図、

【図４】第２の実施形態の交通情報収集・提供システム
でのＦＣＤ受信時の動作を示すフロー図、

【図５】第２の実施形態の交通情報収集・提供システム
での情報集計処理手順を示すフロー図、

【図６】第２の実施形態の交通情報収集・提供システム
での情報送信処理手順を示すフロー図である。

【符号の説明】

10、20 交通情報収集装置 11、21 データ受信部 12、22 リンク判定部 13 車両毎リンク旅行時間計測情報バッファ 14 集計・情報送信サイクル判定部 15、24 リンク旅行時間集計処理部 16、26 リンク旅行時間集計ファイル 17、25 リンク旅行時間情報送信部 23 車両毎リンク旅行時間計測情報リングバッファ

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 走行車両から受信したデータを集計処理
   して交通情報を生成し、この交通情報を走行車両に提供
   する交通情報収集・提供システムにおいて、 走行車両からアップリンクされたデータの受信頻度によ
   り、提供する前記交通情報の更新周期を変更することを
   特徴とする交通情報収集・提供システム。
2. 【請求項２】 同一のリンクを走行する車両からアップ
   リンクされたデータの受信数があらかじめ決めた数を超
   えたとき、前記データを集計処理して、当該リンクに係
   る交通情報を提供することを特徴とする請求項１に記載
   の交通情報収集・提供システム。
3. 【請求項３】 同一のリンクを走行する車両からアップ
   リンクされたデータの受信数が、あらかじめ決めた時間
   内に規定数に達しないとき、前記データを廃棄して、代
   替方式で生成した交通情報を当該リンクに係る交通情報
   として提供することを特徴とする請求項１に記載の交通
   情報収集・提供システム。
4. 【請求項４】 同一のリンクを走行する車両からアップ
   リンクされたデータを、所定数のデータを順次更新して
   記憶する記憶手段に蓄積し、前記記憶手段に蓄積された
   データを集計処理して、当該リンクに係る交通情報とし
   て提供することを特徴とする請求項１に記載の交通情報
   収集・提供システム。
5. 【請求項５】 前記記憶手段に蓄積されたデータの中
   で、受信時点からの経過時間があらかじめ決めた時間を
   超えているデータを除いて、前記集計処理を行うことを
   特徴とする請求項４に記載の交通情報収集・提供システ
   ム。