JP2002207136A - 光ファイバ、非線型性光ファイバ、それを用いた光増幅器、波長変換器、及び光ファイバの製造方法 - Google Patents
光ファイバ、非線型性光ファイバ、それを用いた光増幅器、波長変換器、及び光ファイバの製造方法Info
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Abstract
フ波長が短くなる光ファイバ、非線型性光ファイバ、そ
れを用いた光増幅器、波長変換器、及び光ファイバの製
造方法を提供する。 【解決手段】 高非線型性を有する光ファイバ(非線型
性光ファイバ)の構造として、コア領域10の外周に第
1クラッド領域20及び第2クラッド領域30を設けた
ダブルクラッド構造を用いる。ダブルクラッド構造を採
用することにより、非線型係数γを大きくするために、
コア内に添加されるGeO2の添加濃度を高くして非線
型屈折率を高くし、また、コアとクラッドとの比屈折率
差を大きくして有効断面積Aeffを小さくした場合で
も、カットオフ波長λcを充分に短くすることが可能と
なる。
Description
型性光ファイバ、それを用いた光増幅器、波長変換器、
及び光ファイバの製造方法に関するものである。
中を伝搬すると、媒質中において、誘導ラマン効果や四
光波混合などの様々な非線型光学現象が生じることが知
られている。これらの非線型光学現象は、光ファイバ中
における光伝送時にも生じるものであり、このような光
ファイバ中での非線型光学現象は、光増幅や波長変換な
どに用いることができる(例えば、国際公開WO99/
10770号参照)。
は、次式の非線型係数γ γ=(2π/λ)×(n2/Aeff) によって表される。ここで、λは光の波長、n2は光フ
ァイバ中での非線型屈折率、Aeffは光ファイバの有効
断面積である。この式より、非線型係数γを大きくする
ためには、光ファイバのコア内に添加されるGeO2の
添加濃度を高くして非線型屈折率n2を高くするととも
に、コアとクラッドとの比屈折率差を大きくして有効断
面積Aeffを小さくすれば良い。
用して非線型係数γを大きくした場合、光ファイバのカ
ットオフ波長λcが長くなってしまうという問題を生じ
る。特に、光ファイバ中で発生する四光波混合を用いて
波長変換を行おうとすると、励起光の波長を光ファイバ
の零分散波長付近とする必要がある。これに対して、上
記の構成ではカットオフ波長λcが零分散波長よりも長
くなり、シングルモードでなくなることから、波長変換
の効率が低下してしまう。
信号光の波長帯域を拡大するため、光増幅器として通常
用いられているEDFAの増幅帯域だけでなく、さらに
短波長側である波長1.45μm〜1.53μmのSバ
ンド波長帯域の利用が検討されている。このSバンド波
長帯域に対しては、増幅波長帯域から外れていてEDF
Aを用いることができないため、有効な光増幅器がな
い。また、ラマン増幅器を用いようとすると、高非線型
性の光ファイバでは、カットオフ波長λcが波長1.3
μm〜1.5μm程度の励起光波長よりも長くなり、ラ
マン増幅の効率が低下してしまう。
なされたものであり、充分な非線型性を有するととも
に、カットオフ波長が短くなる光ファイバ、非線型性光
ファイバ、それを用いた光増幅器、波長変換器、及び光
ファイバの製造方法を提供することを目的とする。
るために、本発明による光ファイバは、(1)屈折率の
最大値がn1であるコア領域と、コア領域の外周に設け
られ、屈折率の最小値がn2(ただしn2<n1)である
第1クラッド領域と、第1クラッド領域の外周に設けら
れ、屈折率の最大値がn3(ただしn2<n3<n1)であ
る第2クラッド領域とを少なくとも備えるとともに、
(2)波長1.55μmの光に対する諸特性として、1
1μm2以下の有効断面積と、2mのファイバ長におい
て0.7μm以上1.6μm以下のカットオフ波長λc
と、18/W/km以上の非線型係数と、を有すること
を特徴とする。
造ではなく、コア領域の外周に第1及び第2クラッド領
域を設けたダブルクラッド構造を用いている。これによ
り、非線型係数γを大きくするために、コア内に添加さ
れるGeO2の添加濃度を高くして非線型屈折率を高く
し、また、コアとクラッドとの比屈折率差を大きくして
有効断面積Aeffを小さくした場合でも、カットオフ波
長λcを充分に短くすることが可能となる。また、この
構成では、分散スロープを負にすることができる。
た第1クラッド領域と第2クラッド領域との中間に、所
定の屈折率及び幅を有する1層または複数層の他のクラ
ッド領域をさらに設けた構成としても良い。
光に対する諸特性として、3.0dB/km以下の伝送
損失と、−15dB以下の偏波間のクロストークと、を
さらに有することが好ましい。これにより、高非線型性
の偏波面保持ファイバが得られる。
mの光に対する諸特性として、1.0dB/km以下の
伝送損失と、0.3ps/√km以下の偏波モード分散
と、をさらに有することが好ましい。これにより、偏波
モード分散が小さいとともに、伝送損失が低い高非線型
性の光ファイバが得られる。
比屈折率差Δ+が、第2クラッド領域を基準として2.
7%以上であることを特徴とする。このように大きい比
屈折率差とした場合、シングルクラッド構造ではカット
オフ波長λcが長くなるが、ダブルクラッド構造を有す
る上記の光ファイバの構成によれば、カットオフ波長λ
cを充分に短くすることができる。
メチックコートが設けられていることを特徴とする。上
記した光ファイバでは、コアでのGeO2濃度が高いた
めに水素特性が劣化しやすいが、ハーメチックコートを
設けることによって、水素特性を良好に保持することが
できる。
基による過剰吸収損失が、0.2dB/km以下である
ことを特徴とする。このようにOH基による吸収損失を
低減することで、ラマン増幅の励起光波長での伝送損失
を低減することができ、また、Sバンド波長帯域で伝送
される光に対する伝送損失を低減することができる。
されていることを特徴とする。クラッドにフッ素を添加
することでコアとクラッドとの比屈折率差を大きくし
て、有効断面積Aeffを小さくすることができる。ま
た、フッ素の添加によってクラッドの粘性が下がるの
で、線引温度を低くすることが可能であり、ガラス欠陥
の形成が抑制される。したがって、光ファイバでの伝送
損失が低減され、また、耐水素特性も良好となる。
ッド領域、及び第2クラッド領域を含むガラス部の外径
が100μm以下であることを特徴とする。あるいは、
ガラス部の外径がさらに90μm以下であることを特徴
とする。
ことにより、ガラス部の外周に設けられる被覆部を細径
とした場合においても、充分な強度の光ファイバとする
ことができる。また、光ファイバの曲げに対する強度が
向上される。
第2クラッド領域を含むガラス部の外周に設けられた被
覆部の外径が150μm以下であることを特徴とする。
あるいは、被覆部の外径がさらに120μm以下である
ことを特徴とする。
とにより、光ファイバをコイル化し光増幅器モジュール
あるいは波長変換器モジュールなどとして用いる場合
に、モジュールを小型化することができる。また、同一
サイズのモジュールであれば、より長い光ファイバを収
容できる。
において、伝送損失が5.0dB/km以下であること
を特徴とする。あるいは、波長1.00μmの光に対す
る特性において、伝送損失がさらに3.0dB/km以
下であることを特徴とする。
することにより、ラマン増幅での励起光波長における伝
送損失が低減されるなど、良好な特性を有する光ファイ
バとして用いることができる。
した光ファイバであって、所定波長の光を入力すること
によって発現される非線型光学現象を利用することを特
徴とする。本光ファイバにおける高い非線型性を積極的
に利用することによって、様々な用途に適用することが
可能であるとともに良好な特性を有する非線型性光ファ
イバが得られる。
フ波長がλcである上記した非線型性光ファイバと、
(b)非線型性光ファイバに入力される波長λsの信号
光に対して、所定波長λp(ただしλc<λp)の励起
光を非線型性光ファイバに供給する励起光源とを備える
とともに、(c)非線型性光ファイバにおいて発現され
る非線型光学現象を利用して、信号光を光増幅すること
を特徴とする。
型性光ファイバ中で生じる誘導ラマン効果を用いたラマ
ン増幅器として利用可能である。また、上記した構成の
非線型性光ファイバによれば、カットオフ波長λcを励
起光(ポンプ光)の波長λpよりも短くすることがで
き、シングルモードで高効率に光増幅を行うことができ
る。
号光に対する分散値が+2ps/km/nm以上、また
は−2ps/km/nm以下であることを特徴とする。
このように、分散値に零でない適当な値を持たせること
で、波長多重(WDM)信号光の増幅時における四光波
混合の発生を防止することができる。
の信号光に対する分散値が−10ps/km/nm以下
であるとともに、その有効断面積が10μm2以下であ
ることを特徴とする。このような光増幅器は、分散が正
であるような伝送路の分散補償器としても用いることが
できる。
の信号光に対する分散スロープ値が0ps/km/nm
2よりも小さいことが好ましい。ダブルクラッド構造の
光ファイバでは、このように分散スロープを負とするこ
とができ、これによって、分散及び分散スロープが正で
あるような伝送路の分散と同時に分散スロープをも補償
することが可能となる。
以上1.53μm以下であることを特徴とする。このよ
うな信号光の波長範囲を増幅波長帯域とすることによっ
て、Sバンド波長帯域の信号光に対する光増幅器として
利用することができる。また、カットオフ波長λcを上
記のように短波長にできるので、シングルモードで高効
率に光増幅を行うことができる。
長λpにおける有効断面積Aeff,pと、波長λp+0.
1μmにおける有効断面積Aeff,sとが、関係式 (Aeff,s−Aeff,p)/Aeff,p×100≧10% を満たすことを特徴とする。
加えた波長λp+0.1μmは、ほぼ光増幅される信号
光の波長λsに相当する。したがって、上記した関係式
によれば、有効断面積Aeff,pを小さくすることによっ
て、励起光に対応する波長λpの光に対する非線型性を
高めて、光増幅の効率を向上することができる。また、
有効断面積Aeff,sを大きくすることによって、信号光
にほぼ対応する波長λp+0.1μmの光に対する非線
型性を低くして、信号光の伝送品質の劣化を抑制するこ
とができる。
オフ波長がλcである上記した非線型性光ファイバと、
(b)非線型性光ファイバに入力される波長λs(ただ
しλc<λs)の信号光に対して、所定波長λp(ただ
しλc<λp)の励起光を非線型性光ファイバに供給す
る励起光源とを備えるとともに、(c)非線型性光ファ
イバにおいて発現される非線型光学現象を利用して、信
号光を波長変換し、波長λs’(ただしλc<λs’)
の変換光を出力することを特徴とする。
線形性光ファイバ中で生じる四光波混合を用いた波長変
換器として利用可能である。また、上記した構成の非線
形性光ファイバによれば、信号光、変換光、及び励起光
の波長よりもカットオフ波長λcを短くすることがで
き、シングルモードで高効率に波長変換を行うことがで
きる。また、信号光も、モード分散の影響を受けずに良
好な伝送特性を保持することができる。
力される信号光の光パワーよりも大きいことを特徴とす
る。このような波長変換器は、パラメトリック増幅を用
いた光増幅器としても用いることができる。
起光に対する分散値が−0.2ps/km/nm以上+
0.2ps/km/nm以下であることを特徴とする。
このように、非線型性光ファイバの励起光波長での分散
値を零分散近傍とすることによって、信号光、励起光、
変換光の位相が整合する条件を実現して、高効率で四光
波混合を生じさせることができる。
m以上1.53μm以下であることを特徴とする。この
ような変換光の波長範囲を変換波長帯域とすることによ
って、Sバンド波長帯域の変換光が得られる波長変換器
として利用することができる。また、カットオフ波長λ
cを上記のように短波長にできるので、シングルモード
で高効率に波長変換を行うことができる。
(1)GeO2が所定量添加されたSiO2からなり、コ
ア領域となるコア用ガラスロッドを、VAD法またはO
VD法で合成するとともに所定の外径となるように延伸
して作成する第1の工程と、(2)Fが所定量添加され
たSiO2からなり、第1クラッド領域となる第1クラ
ッド用ガラスパイプを、VAD法またはOVD法で合成
するとともに所定の内径及び外径となるように延伸して
作成する第2の工程と、(3)第1クラッド用ガラスパ
イプの内面に所定のガスを流すとともに加熱して、その
内周表面を平滑にするためのエッチングを行う第3の工
程と、(4)第1クラッド用ガラスパイプ内にコア用ガ
ラスロッドを挿入し、1300℃以上の所定温度で空焼
きした後、加熱一体化して中間ガラスロッドとする第4
の工程と、(5)中間ガラスロッドにおいてコア領域及
び第1クラッド領域の外径の比を調整した後、中間ガラ
スロッドの外周上に第2クラッド領域となるガラス体を
形成して、光ファイバプリフォームを作成する第5の工
程と、(6)光ファイバプリフォームを加熱線引して、
屈折率の最大値がn1であるコア領域と、コア領域の外
周に設けられ、屈折率の最小値がn2(ただしn2<
n1)である第1クラッド領域と、第1クラッド領域の
外周に設けられ、屈折率の最大値がn3(ただしn2<n
3<n1)である第2クラッド領域とを少なくとも備える
光ファイバを作成する第6の工程と、を備え、(7)第
4の工程におけるコア用ガラスロッド及び第1クラッド
用ガラスパイプの加熱一体化を、その加熱温度を180
0℃以下とし、コア用ガラスロッドの外周表面の粗さを
5μm以下とし、第1クラッド用ガラスパイプの内周表
面の粗さを5μm以下とし、コア用ガラスロッドにおけ
る外周表面から厚さ2μm以内でのGeO2濃度の最大
値を5mol%以下とした条件で行うとともに、(8)
第6の工程において、波長1.55μmの光に対する諸
特性として、11μm 2以下の有効断面積と、2mのフ
ァイバ長において0.7μm以上1.6μm以下のカッ
トオフ波長λcと、18/W/km以上の非線型係数
と、を有する光ファイバを作成することを特徴とする。
ば、高い非線型性を有するダブルクラッド構造の光ファ
イバを、伝送損失が低減されるなどの良好な伝送特性に
よって作成することができる。
程において、波長1.55μmの光に対する諸特性とし
て、1.0dB/km以下の伝送損失と、0.3ps/
√km以下の偏波モード分散と、をさらに有する上記光
ファイバを作成することを特徴とする。これにより、偏
波モード分散が小さいとともに、伝送損失が低い高非線
型性の光ファイバが得られる。
の工程と、第6の工程との間に、第5の工程で得られた
光ファイバプリフォームを第3中間ガラス体とし、第3
中間ガラス体の第1クラッド領域または第2クラッド領
域に開孔部を形成した後、開孔部内に応力付与部となる
ガラスロッドを挿入して、光ファイバプリフォームを作
成する第7の工程をさらに備え、第6の工程において、
第7の工程で作成された光ファイバプリフォームを加熱
線引して、コア領域と、第1クラッド領域と、第2クラ
ッド領域と、コア領域に応力を付与する応力付与部とを
少なくとも備えるとともに、波長1.55μmの光に対
する諸特性として、3.0dB/km以下の伝送損失
と、−15dB以下の偏波間のクロストークと、をさら
に有する上記光ファイバを作成することを特徴とする。
これにより、高非線型性の偏波面保持ファイバが得られ
る。
光ファイバ、非線型性光ファイバ、それを用いた光増幅
器、波長変換器、及び光ファイバの製造方法の好適な実
施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明にお
いては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省
略する。また、図面の寸法比率は、説明のものと必ずし
も一致していない。
実施形態の断面構造、及びファイバ径方向(図中の線L
で示された方向)の屈折率プロファイルを模式的に示す
図である。なお、図1に示された屈折率プロファイルの
横軸は、スケールは異なるが、図中の断面構造に示され
た線Lに沿った、光ファイバの中心軸に対して垂直な断
面上の各位置に相当している。また、屈折率プロファイ
ルの縦軸について、比較のため、純SiO2での屈折率
を点線によって示している。また、屈折率プロファイル
における各領域については、光ファイバの断面構造にお
ける各領域と同一の符号を付している。
ス)を主成分とする光導波路であり、光ファイバの中心
軸を含むコア領域10と、コア領域10の外周に設けら
れた第1クラッド領域20と、第1クラッド領域20の
外周に設けられた第2クラッド領域30とを有して構成
されている。
1とするとともに、純SiO2ガラスに屈折率を上げる添
加物としてGeO2が所定量添加されて、屈折率の最大
値がn1(ただしn1>n0、n0は純SiO2の屈折率)
となるように形成されている。また、本実施形態のコア
領域10は、図1に示すように、光ファイバの中心軸近
傍でGeO2の添加量及び屈折率が最大となるグレーデ
ッド型の屈折率分布とされている。
を2r2とするとともに、純SiO2ガラスに屈折率を下
げる添加物としてFが所定量添加されて、屈折率の最小
値がn2(ただしn2<n0、n2<n1)となるように形
成されている。また、第2クラッド領域30は、その外
径を2r3とするとともに、純SiO2ガラス、または純
SiO2ガラスに屈折率を下げる添加物としてFが所定
量添加されて、屈折率の最大値がn3(ただしn3≦
n0、n2<n3<n1)となるように形成されている。
クラッド領域30での屈折率n3を基準として定義する
こととする。このとき、図1に示すように、コア領域1
0での屈折率n1に対応する比屈折率差はΔ+=(n1−
n3)/n3×100(%)、また、第1クラッド領域2
0での屈折率n2に対応する比屈折率差はΔ-=(n2−
n3)/n3×100(%)と定義される。
シングルクラッド構造ではなく、コア領域10の外周に
第1クラッド領域20及び第2クラッド領域30を設け
たダブルクラッド構造を用いている。シングルクラッド
構造を有する光ファイバでは、非線型係数γを大きくす
ると、カットオフ波長λcが長くなってしまうという問
題を生じる。
ド構造を採用することにより、非線型係数γを大きくす
るために、コア内に添加されるGeO2の添加濃度を高
くして非線型屈折率を高くし、また、コアとクラッドと
の比屈折率差を大きくして有効断面積Aeffを小さくし
た場合でも、カットオフ波長λcを充分に短くすること
が可能となる。また、この構成では、分散スロープを負
にすることができる。
た第1クラッド領域と第2クラッド領域との中間に、所
定の屈折率及び幅を有する1層または複数層の他のクラ
ッド領域をさらに設けた構成としても良い。
定の波長帯域内)の光を入力することによって発現され
る非線型光学現象を利用することによって、様々な用途
に適用することが可能であるとともに良好な特性を有す
る非線型性光ファイバとして用いることができる。特
に、非線型係数γを大きくすると同時にカットオフ波長
λcが充分に短くされるので、非線型光学現象を利用す
る高効率な光デバイスが実現可能となる。なお、光ファ
イバの具体的な諸特性については、さらに詳しく後述す
る。
線型性光ファイバ)を作成するための光ファイバの製造
方法について、その一例を説明する。本製造方法におい
ては、コア領域10及び第1クラッド領域20を、VA
D法やOVD法でのスス付けによって一括合成するので
はなく、別々にコア用ガラスロッド及び第1クラッド用
ガラスパイプを作成した後、それらを加熱一体化する方
法を用いている。
となるコア用ガラスロッドを作成する(第1の工程)。
ここでは、SiO2を主成分とし屈折率を高くする添加
物としてGeO2が所定量添加されたガラスロッドを、
VAD法またはOVD法によって合成した後、所定の外
径となるように延伸してコア用ガラスロッドとする。
となる第1クラッド用ガラスパイプを作成する(第2の
工程)。ここでは、SiO2を主成分とし屈折率を低く
する添加物としてFが所定量添加されたガラスパイプ
を、VAD法またはOVD法によって合成した後、所定
の内径及び外径となるように延伸して第1クラッド用ガ
ラスパイプとする。
プに対して、ガラスパイプの内周表面を平滑にするため
の気相エッチングを行う(第3の工程)。ここでは、S
F6などの所定のガスを第1クラッド用ガラスパイプの
内面に流す(例えば、SF6+Cl2雰囲気とする)とと
もに加熱して、パイプ内面をエッチングする。
1クラッド用ガラスパイプを加熱一体化する(第4の工
程)。第1クラッド用ガラスパイプ内にコア用ガラスロ
ッドを挿入し、後述する手順及び条件によって加熱一体
化して、中間ガラスロッドを作成する。
び第1クラッド領域の外径の比を、所定の比となるよう
に調整した後、中間ガラスロッドの外周上に第2クラッ
ド領域30となるガラス体を形成して、光ファイバプリ
フォームを作成する(第5の工程)。
比の調整については、例えば、その外周部をHF溶液等
により研削することによって行う。この研削は、加熱一
体化またはその延伸の工程において熱源として酸水素火
炎等の火炎を用い、その火炎がガラス表面に接触してい
るような場合には、ガラス表面に付着したOH基や金属
等の火炎中の不純物を除去するために必要である。
体の合成については、例えば、VAD法またはOVD法
によって合成しても良い。あるいは、ロッドインコラプ
スによって形成するか、ロッドインコラプスの後にさら
にVAD法またはOVD法での合成を行っても良い。
を加熱線引して、光ファイバを作成する(第6の工
程)。以上の工程により、図1に示したダブルクラッド
構造を有する光ファイバが得られる。
ラスパイプを加熱一体化する第4の工程について、その
手順及び条件をさらに説明する。
製造方法において、コア領域及び第1クラッド領域を一
括合成すると、コア領域のGeO2添加濃度が高い上
に、第1クラッド領域のF添加濃度も高いので、添加物
が拡散しやすいガラス微粒子体(スス体)内でそれぞれ
が相互拡散してしまう。このとき、GeF4やGeOな
どの欠陥が生じて、伝送損失が劣化することとなる。ま
た、MCVD法で高濃度のGeO2添加SiO2ガラスを
合成しようとすると、伝送損失が大きく劣化するという
問題もある。
ア領域10及び第1クラッド領域20を別々に合成(第
1、第2の工程)した後に、加熱一体化(第4の工程)
している。ただし、この場合でも、加熱一体化の際にG
eO2とFとが反応してGeO等の気体となり、コア領
域10及び第1クラッド領域20の界面に気泡として残
留することがある。このとき、残留した気泡によって光
ファイバの特性が劣化してしまう。
製造方法では、加熱一体化を行う第4の工程において、
以下の5つの条件のいずれか、またはそれらの組合せに
よって加熱一体化を行う。すなわち、(1)1800℃
以下の加熱温度で一体化を行う。(2)加熱一体化前に
Cl2雰囲気において1300℃以上の所定温度で空焼
きする。(3)第1クラッド用ガラスパイプの内周表面
の粗さを5μm以下とする。(4)コア用ガラスロッド
の外周表面の粗さを5μm以下とする。(5)コア用ガ
ラスロッドにおける外周表面から厚さ2μm以内の領域
でのGeO2濃度の最大値を5mol%以下とする。以
上の条件のいずれか、またはそれらの組合せを適用して
加熱一体化を行うことによって、気泡の発生を抑制する
ことが可能となる。
えて加熱一体化を実施することによって確認を行った。
ここでは、コア用ガラスロッドについては、コア内の屈
折率分布形状をほぼ放物線状とし、GeO2添加濃度を
最大で30mol%とした。また、加熱一体化時のコア
用ガラスロッドの外径(以下、外径及び内径はすべて直
径を示す)は6mmであった。一方、第1クラッド用ガ
ラスパイプについては、第1クラッド内の屈折率分布形
状をほぼステップ状とし、F添加濃度を最大で1.5m
ol%とした。
スパイプの外径は32mm、内径は9mmであった。得
られた第1クラッド用ガラスパイプは、SF6を300
cm3/min、Cl2を200cm3/min、加熱温
度1500℃(パイロスコープで測定したガラス表面の
最高温度)でエッチングして、表面を平滑にした。ま
た、加熱一体化時のパイプ内の雰囲気ガスは、塩素20
0cm3/min、酸素300cm3/minとし、パイ
プ内の減圧度は1kPaとした。
一体化を行う、との条件について、気泡発生の抑制効果
を確認した。ここでは、加熱一体化のための加熱温度を
1950℃〜1800℃の範囲で変化させて、コア用ガ
ラスロッド及び第1クラッド用ガラスパイプの加熱一体
化を行った。それ以外の条件については、1300℃で
空焼きを行うとともに、第1クラッド用ガラスパイプの
内周表面の粗さを5μm、コア用ガラスロッドの外周表
面の粗さを5μm、コア用ガラスロッドにおける外周表
面から厚さ2μm以内の領域でのGeO2濃度の最大値
を5mol%とした。
ラッド用ガラスパイプの界面で生じた気泡の発生個数
を、図2に示す。ここで、気泡の発生個数は、コラプス
後(ガラスロッド)の長さ10mm当たりに発生する気
泡の個数によって評価した。図2の表に示すように、気
泡の発生個数は、加熱温度を低減することによって減少
し、加熱温度1800℃で気泡がほぼ発生しなくなっ
た。これは、加熱一体化のための加熱温度を低温とする
ことによって、化学反応の進行が抑制されるためであ
る。
において1300℃以上の所定温度で空焼きする、との
条件について、気泡発生の抑制効果を確認した。ここで
は、空焼きのための空焼き温度を1000℃〜1300
℃の範囲で変化させて、加熱一体化を行った。それ以外
の条件については、加熱温度を1800℃、第1クラッ
ド用ガラスパイプの内周表面の粗さを5μm、コア用ガ
ラスロッドの外周表面の粗さを5μm、コア用ガラスロ
ッドにおける外周表面から厚さ2μm以内の領域でのG
eO2濃度の最大値を5mol%とした。
ラッド用ガラスパイプの界面で生じた気泡の発生個数
を、図3に示す。図3の表に示すように、気泡の発生個
数は、空焼き温度を上昇することによって減少し、空焼
き温度1300℃で気泡がほぼ発生しなくなった。これ
は、充分な温度で空焼きを行うことによって、表層の不
安定なGe化合物やF化合物が除去されるとともに、そ
の表面状態が滑らかになるためである。
の内周表面の粗さを5μm以下とする、との条件につい
て、気泡発生の抑制効果を確認した。ここでは、ガラス
パイプの内周表面の粗さを10μm〜5μmの範囲で変
化させて、加熱一体化を行った。それ以外の条件につい
ては、1300℃で空焼きを行うとともに、加熱温度を
1800℃、コア用ガラスロッドの外周表面の粗さを5
μm、コア用ガラスロッドにおける外周表面から厚さ2
μm以内の領域でのGeO2濃度の最大値を5mol%
とした。
ラッド用ガラスパイプの界面で生じた気泡の発生個数
を、図4に示す。図4の表に示すように、気泡の発生個
数は、第1クラッド用ガラスパイプの内周表面の粗さを
低減することによって減少し、表面粗さ5μmでほぼ気
泡が発生しなくなった。これは、表面粗さを充分に滑ら
かにすることによって、粗い表面部分が気泡発生の核と
なることが防止されるためである。
面の粗さを5μm以下とする、との条件について、気泡
発生の抑制効果を確認した。ここでは、ガラスロッドの
外周表面の粗さを10μm〜5μmの範囲で変化させ
て、加熱一体化を行った。それ以外の条件については、
1300℃で空焼きを行うとともに、加熱温度を180
0℃、第1クラッド用ガラスパイプの内周表面の粗さを
5μm、コア用ガラスロッドにおける外周表面から厚さ
2μm以内の領域でのGeO2濃度の最大値を5mol
%とした。
ラッド用ガラスパイプの界面で生じた気泡の発生個数
を、図5に示す。図5の表に示すように、気泡の発生個
数は、コア用ガラスロッドの外周表面の粗さを低減する
ことによって減少し、表面粗さ5μmでほぼ気泡が発生
しなくなった。これは、ガラスパイプの場合と同様に、
表面粗さを充分に滑らかにすることによって、粗い表面
部分が気泡発生の核となることが防止されるためであ
る。
外周表面から厚さ2μm以内の領域でのGeO2濃度の
最大値を5mol%以下とする、との条件について、気
泡発生の抑制効果を確認した。ここでは、上記領域での
GeO2濃度の最大値を10mol%〜5mol%の範
囲で変化させて、加熱一体化を行った。それ以外の条件
については、1300℃で空焼きを行うとともに、加熱
温度を1800℃、第1クラッド用ガラスパイプの内周
表面の粗さを5μm、コア用ガラスロッドの外周表面の
粗さを5μmとした。
ラッド用ガラスパイプの界面で生じた気泡の発生個数
を、図6に示す。図6の表に示すように、気泡の発生個
数は、GeO2濃度の最大値を低減することによって減
少し、GeO2濃度の最大値5mol%でほぼ気泡が発
生しなくなった。これは、表層でのGeO2濃度が低減
されて、気泡が発生しにくくなるためである。
きを行うとともに、加熱温度を1800℃、第1クラッ
ド用ガラスパイプの内周表面の粗さを5μm、コア用ガ
ラスロッドの外周表面の粗さを5μm、コア用ガラスロ
ッドにおける外周表面から厚さ2μm以内の領域でのG
eO2濃度の最大値を5mol%とする条件を適用して
加熱一体化を行い、気泡のない外径30mmの中間ガラ
スロッド(第1中間ガラスロッド)を得た。
8mmまで延伸した後、その外周部を外径5.4mmま
でHF溶液により研削して、(コア径)/(第1クラッ
ド径)=0.30に調整した。また、この第1中間ガラ
スロッドとは別に、第2クラッド領域30の内周側部分
となる第2クラッド用ガラスパイプを作成した。この第
2クラッド用ガラスパイプは、F添加濃度が0.7mo
l%で外径32mm、内径8mmのSiO2ガラスパイ
プとした。そして、第2クラッド用ガラスパイプ内に第
1中間ガラスロッドを挿入し、加熱一体化して、外径3
0mmの第2中間ガラスロッドを得た。
周上に、第2クラッド領域30の外周側部分となるガラ
ス体を、第2クラッド用ガラスパイプと同様のF添加濃
度が0.7mol%のSiO2ガラスとして、VAD法
またはOVD法によって合成して、光ファイバプリフォ
ームを作成した。ここで、(第2クラッド径)/(第1
クラッド径)=7.8とした。
成方法では、その内周側部分を、ガラスパイプの加熱一
体化によって形成している。これは、光ファイバとした
ときのOH基の混入量を低減するためである。また、V
AD法またはOVD法のスート法によって、その外周側
部分を形成している。これは、光ファイバプリフォーム
を大型化するためのものである。
法については、個々の条件に応じて様々な方法を用いて
良い。例えば、光のパワーフィールド分布がそれほど広
がらず、スート法による第2クラッド合成で混入される
OH基の影響が無視できる場合には、ガラスパイプの加
熱一体化を行わなくても良い。あるいは、スート法によ
る合成を行わずに、ガラスパイプの加熱一体化のみによ
って第2クラッドを合成しても良い。
された光ファイバプリフォームを加熱線引して、図1に
示したダブルクラッド構造の光ファイバを得た。その構
成は、コア領域10の外径2r1=4.8μm、比屈折
率差Δ+=3.3%、第1クラッド領域20の外径2r2
=16μm、比屈折率差Δ-=−0.25%、第2クラ
ッド領域30の外径2r3=125μmであった。
性は、 分散=+0.22ps/km/nm、 分散スロープ=+0.045ps/km/nm2、 有効断面積Aeff=10.4μm2、 カットオフ波長λc=1510nm、 零分散波長=1545nm、 伝送損失=0.46dB/km、 モードフィールド径=3.69μm、 非線型係数γ=20.8/W/km、 偏波モード分散PMD=0.05ps/√km で、良好な特性の光ファイバ(非線型性光ファイバ)が
得られた。
55μmの光に対する以下の特性条件 11μm2以下の有効断面積Aeff、2mのファイバ長で
0.7μm以上1.6μm以下のカットオフ波長λc、
18/W/km以上の非線型係数γ、を満たしている。
また、波長1.55μmの光に対する伝送損失は、3.
0dB/km以下、あるいはさらに1.0dB/km以
下の特性条件を満たしている。
ることにより、コアのGeO2濃度を高くするとともに
有効断面積Aeffを小さくして、非線型係数γを大きく
した場合でも、好適なカットオフ波長λcを有する高非
線型性の光ファイバを得ることができる。
30との比屈折率差Δ+については、有効断面積Aeffを
充分に小さくするため、Δ+を2.7%以上とすること
が好ましい。このように大きい比屈折率差とした場合、
シングルクラッド構造ではカットオフ波長λcが長くな
るが、ダブルクラッド構造によれば、上記のようにカッ
トオフ波長λcを充分に短くすることができる。
実施形態の断面構造、及びファイバ径方向(図中の線L
で示された方向)の屈折率プロファイルを模式的に示す
図である。
ス)を主成分とする光導波路であり、光ファイバの中心
軸を含むコア領域10と、コア領域10の外周に設けら
れた第1クラッド領域20と、第1クラッド領域20の
外周に設けられた第2クラッド領域30とを有して構成
されている。ここで、第1クラッド領域20及び第2ク
ラッド領域30の構成は、第1の実施形態と同様であ
る。
を2r1とするとともに、純SiO2ガラスに屈折率を上
げる添加物としてGeO2が所定量添加されて、屈折率
の最大値がn1(ただしn1>n0)となるように形成さ
れている。また、本実施形態のコア領域10は、図7に
示すように、光ファイバの中心軸近傍でGeO2の添加
量及び屈折率が最大となるグレーデッド型の屈折率分布
とされている。
囲には、コア領域10及び第1クラッド領域20に挟ま
れるような位置に、中間領域15が設けられている。こ
の中間領域15には、図7に示すように角(つの)状に
突出した屈折率分布(添加濃度分布)となるように、や
や高濃度でGeO2が添加されている。ここで、中間領
域15の屈折率の最大値をn5(ただしn5>n0)、そ
の比屈折率差をΔ5=(n5−n3)/n3とする。
施形態による光ファイバと同様に、シングルクラッド構
造ではなく、コア領域10の外周に第1クラッド領域2
0及び第2クラッド領域30を設けたダブルクラッド構
造を用いている。これにより、非線型係数γを大きくす
るために、コア内に添加されるGeO2の添加濃度を高
くして非線型屈折率を高くし、また、コアとクラッドと
の比屈折率差を大きくして有効断面積Aeffを小さくし
た場合でも、カットオフ波長λcを充分に短くすること
が可能となる。また、この構成では、分散スロープを負
にすることができる。なお、中間領域15の効果につい
ては、光ファイバの製造方法とともに後述する。
定の波長帯域内)の光を入力することによって発現され
る非線型光学現象を利用することによって、様々な用途
に適用することが可能であるとともに良好な特性を有す
る非線型性光ファイバとして用いることができる。
線型性光ファイバ)を作成するための光ファイバの製造
方法について、その一例を説明する。
なる領域、及び第1クラッド領域20となる前駆領域か
らなるガラス微粒子体(スス体)を合成する。ここで、
コア領域10となる領域は、GeO2が最大で30mo
l%添加されたSiO2ガラスとし、その外周部分であ
って中間領域15に相当する領域は、GeO2が上述の
ように角状に、ピーク値での添加濃度が5mol%とな
るように添加されたSiO2ガラスとした。また、第1
クラッド領域20の前駆領域は、その外周上に、純Si
O2ガラスとして合成した。
体)を焼結炉に入れ、塩素及びヘリウムの混合雰囲気中
で1300℃の加熱温度で加熱して脱水処理した後、ヘ
リウム雰囲気中で1400℃の加熱温度で加熱して、コ
ア領域10及び中間領域15となる領域を選択的に高密
度化(透明化)した。
15となる領域は、高濃度でGeO 2が添加されて高密
度化温度が低くされているため、加熱による高密度化の
効果が充分に得られる。一方、第1クラッド領域20の
前駆領域は、純SiO2ガラスであるために高密度化温
度が高く、1400℃での加熱では高密度化されずにガ
ラス微粒子体のままとなる。
リウム及びFを添加するC2F6、SiF4、CF4などの
ガスの混合雰囲気中においてガラス体を加熱し、高密度
化されていない第1クラッド領域20の前駆領域に1m
ol%の添加濃度でFを添加して、第1クラッド領域2
0を形成する。
焼結時にFを添加する場合、通常の方法では、クラッド
に添加されるFがコア領域内にも浸入してしまう。この
とき、コア領域の屈折率が低下するとともに、GeOや
Ge−F化合物などの不純物が発生して伝送損失が劣化
するという問題を生じる。これに対して、本製造方法で
は、コア領域10の外周部分に、GeO2が高濃度で添
加された中間領域15を形成しておき、やや低温での加
熱によってそれらの領域を選択的に高密度化する。その
後にFの添加を行うことによって、Fを第1クラッド領
域20の前駆領域のみに選択的に添加することができ
る。
ド領域30となるガラス体を形成し、光ファイバプリフ
ォームを作成した。ここで、第2クラッド領域30につ
いては、Fが0.3mol%の添加濃度で添加されたS
iO2ガラスとした。また、各領域の外径の比は、(コ
ア径)/(第1クラッド径)=0.40、(第2クラッ
ド径)/(第1クラッド径)=11.6とした。
された光ファイバプリフォームを加熱線引して、図7に
示したダブルクラッド構造の光ファイバを得た。その構
成は、コア領域10の外径2r1=4.3μm、比屈折
率差Δ+=3.1%、中間領域15の比屈折率差Δ5=
1.0%、第1クラッド領域20の外径2r2=10.
8μm、比屈折率差Δ-=−0.26%、第2クラッド
領域30の外径2r3=125μmであった。また、コ
ア領域10の屈折率分布(GeO2の添加濃度分布)
は、近似的にα〜3.0乗の分布であった。
性は、 分散=+0.98ps/km/nm、 分散スロープ=+0.035ps/km/nm2、 有効断面積Aeff=10.2μm2、 カットオフ波長λc=1465nm、 零分散波長=1520nm、 伝送損失=0.49dB/km、 モードフィールド径=3.64μm、 非線型係数γ=21.5/W/km、 で、良好な特性の光ファイバ(非線型性光ファイバ)が
得られた。
55μmの光に対する以下の特性条件 11μm2以下の有効断面積Aeff、2mのファイバ長で
0.7μm以上1.6μm以下のカットオフ波長λc、
18/W/km以上の非線型係数γ、を満たしている。
また、波長1.55μmの光に対する伝送損失は、3.
0dB/km以下、あるいはさらに1.0dB/km以
下の特性条件を満たしている。
ることにより、コアのGeO2濃度を高くするとともに
有効断面積Aeffを小さくして、非線型係数γを大きく
した場合でも、好適なカットオフ波長λcを有する高非
線型性の光ファイバを得ることができる。
30との比屈折率差Δ+については、有効断面積Aeffを
充分に小さくするため、Δ+を2.7%以上とすること
が好ましい。このように大きい比屈折率差とした場合、
シングルクラッド構造ではカットオフ波長λcが長くな
るが、ダブルクラッド構造によれば、上記のようにカッ
トオフ波長λcを充分に短くすることができる。
イバ)の好適な構成条件及びその諸特性について、さら
に検討する。なお、以下に示す光ファイバでの諸特性の
うち、波長に依存するものについては、特にことわらな
い限り、波長1.55μmの光に対する特性を示してい
る。
伝送損失について検討する。高い非線型性を有する光フ
ァイバでは、非線型屈折率を大きくして非線型性を高め
るため、コア中に高濃度でGeO2が添加される。この
とき、線引時の加熱によって伝送損失の劣化を生じやす
い。このような伝送損失の劣化は、線引時の加熱温度を
低温とすることによって抑制することができるが、低温
での線引では、光ファイバの線引中に過大な張力が印加
されてしまうため、光ファイバが破断してしまうという
問題がある。
ルクラッド構造の光ファイバにおいては、光ファイバの
体積の大部分を占める第2クラッド領域30にF(フッ
素)を添加することが好ましい。これによって、第2ク
ラッド領域30内の粘度を低下させることができるの
で、線引温度を低くすることが可能となり、伝送損失の
劣化が抑制される。
率プロファイルに示す構造を有する2種類の光ファイバ
A1、A2を試作した。
折率プロファイルを用い、コア領域10を放物線状の分
布形状のGeO2添加SiO2(最大添加濃度30mol
%)、第1クラッド領域20をF添加SiO2(添加濃
度1.6mol%)、第2クラッド領域30をF添加S
iO2(添加濃度0.9mol%)として作成した。
した屈折率プロファイルを用い、コア領域10を放物線
状の分布形状のGeO2添加SiO2(最大添加濃度30
mol%)、第1クラッド領域20をF添加SiO
2(添加濃度1.6mol%)、第2クラッド領域30
を純SiO2として作成した。
時の線速を300m/minとし、張力4N(400g
w)で線引した。ここで、光ファイバA1のガラス表面
での最高温度は1900℃、光ファイバA2のガラス表
面での最高温度は2000℃と、光ファイバA1の方が
低温での線引が可能であった。
図9に示す。図9の表より、第2クラッド領域30にF
を添加した光ファイバA1の方が、光ファイバA2より
も伝送損失が小さく、また、非線型係数γも大きくなっ
ていることがわかる。
λc、有効断面積Aeff、及び非線型係数γについて検
討する。高い非線型性を有する光ファイバでは、上述し
たように、コア中に高濃度でGeO2を添加して非線型
屈折率を大きくするとともに、有効断面積Aeffを小さ
くすることが好ましい。このとき、非線型係数γが大き
くなる一方で、カットオフ波長λcが長くなってしま
う。これに対して、ダブルクラッド構造の光ファイバを
用いれば、非線型係数γを大きくすると同時に、カット
オフ波長λcを充分に短くすることが可能となる。
型性光ファイバを適用する場合には、位相が整合しなく
てはならないので、波長変換の励起光の波長λpにおけ
る分散値がほぼ零である必要がある。したがって、λp
は零分散波長の近傍にあることが望ましい。波長λsの
信号光に対して、波長変換された変換光の波長λs’
は、 λs’=λp−(λs−λp) となる。例えば、波長1530nm〜1565nmのW
DM信号光を、波長1525nmの励起光によって一括
波長変換すると、変換光の波長は、波長1520nm〜
1490nmの範囲となる。カットオフ波長λcは、こ
れらの信号光、変換光、あるいは励起光、増幅光などの
波長を考慮して、好適な値とする必要がある。
eff、及び非線型係数γについて、図10の屈折率プロ
ファイルに示す構造を有する4種類の光ファイバB1、
B2、C1、C2を試作した。
(a)に示した屈折率プロファイルを用い、コア領域1
0をステップ状の分布形状のGeO2添加SiO2、第1
クラッド領域20をF添加SiO2(添加濃度2.1m
ol%)、第2クラッド領域30をF添加SiO2(添
加濃度0.9mol%)として作成した。コア領域10
でのGeO2添加濃度は、それぞれ異なる値とした。
図10(b)に示した屈折率プロファイルを用い、コア
領域10をステップ状の分布形状のGeO2添加Si
O2、第1クラッド領域20をF添加SiO2(添加濃度
2.1mol%)、第2クラッド領域30を純SiO2
として作成した。コア領域10でのGeO2添加濃度
は、それぞれ異なる値とした。
造の光ファイバD1〜D5を作成した。これらの光ファ
イバD1〜D5は、それぞれ図11に示した屈折率プロ
ファイルによって作成した。ここで、符号60はコア領
域を、また、符号70はシングルクラッド構造によるク
ラッド領域を示している。
に示した屈折率プロファイルを用い、コア領域60をス
テップ状の分布形状のGeO2添加SiO2、クラッド領
域70をF添加SiO2(添加濃度0.9mol%)と
して作成した。コア領域60でのGeO2添加濃度は、
それぞれ異なる値とした。なお、コア領域60の比屈折
率差Δ+は、クラッド領域70を基準としている。
2の比屈折率差Δ+、Δ-、及び諸特性を図12に、ま
た、比較用の光ファイバD1〜D5の比屈折率差Δ+、
及び諸特性を図13にそれぞれ示す。図13の表より、
シングルクラッド構造の光ファイバD1〜D5では、コ
ア中のGeO2添加濃度が低くΔ+が小さいときには、有
効断面積Aeffが大きく、非線型係数γの値も小さくな
っている。また、Δ+が2.7%以上となると、カット
オフ波長が波長1530nm〜1565nmのWDM信
号光の、波長1525nmの励起光による一括波長変換
での変換光の波長よりも長くなってしまっている。
ラッド構造の光ファイバB1、B2、C1、C2では、
有効断面積Aeffが小さく、また、大きい非線型係数γ
が得られている。また、例えばΔ+が4.5%でもカッ
トオフ波長が1469nmである(光ファイバC2)な
ど、有効断面積Aeffが11μm2以下で小さく、かつ、
非線型係数γの値が18/W/km以上で大きいときで
も、充分に短いカットオフ波長が実現されている。
いて検討する。コア中のGeO2が高濃度であると、そ
の耐水素特性が劣化しやすい。これに対して、光ファイ
バの最外層となる第2クラッド領域30の外周部に、ア
モルファスカーボンや、シリコンカーバイドなどの水分
子や水素分子に対する遮蔽性を有する物質を主成分とす
るハーメチックコート(図1及び図7に示すハーメチッ
クコート50を参照)を設けることが好ましい。
ッド領域内への水素の拡散を遮断することができる。ま
た、静疲労係数が100〜160となり、破断確率が極
めて小さくされる。これにより、光ファイバの長期的な
信頼性を向上することが可能となる。
ァイバ)の構成、製造方法、及び好適な製造条件に基づ
いて、本発明の光ファイバに係る光ファイバE1〜E8
の8種類の光ファイバを試作した。
域10を近似的にα〜3.0乗の屈折率分布を有するG
eO2添加SiO2、第1クラッド領域20をF添加Si
O2、第2クラッド領域30をF添加SiO2または純S
iO2として作成した。得られた光ファイバE1〜E8
の比屈折率差Δ+、Δ-、第2クラッド領域30のF添加
濃度、コア領域10及び第1クラッド領域20の外径2
r1、2r2、及びそれによる諸特性を図14の表に示
す。なお、示した特性のうち、OH吸収伝送損失は、O
H基吸収による波長1.38μmでの伝送損失の増加分
(過剰吸収損失)を示している。
諸特性は、いずれも、波長1.55μmの光に対する以
下の特性条件 11μm2以下の有効断面積Aeff、2mのファイバ長で
0.7μm以上1.6μm以下のカットオフ波長λc、
1.0dB/km以下の伝送損失、0.3ps/√km
以下の偏波モード分散PMD、18/W/km以上の非
線型係数γ、を満たしている。このように、ダブルクラ
ッド構造を採用することにより、コアのGeO2濃度を
高くするとともに有効断面積Aeffを小さくして、非線
型係数γを大きくした場合でも、好適なカットオフ波長
λcを有する高非線型性の光ファイバを得ることができ
る。また、偏波モード分散が小さく、かつ伝送損失が低
い高非線型性の光ファイバが得られる。
OH基による過剰吸収損失については、0.2dB/k
m以下であることが好ましい。図14に示した光ファイ
バE1〜E8は、いずれもこの特性条件を満たしてい
る。
けると、偏波面保持光ファイバが得られる。図15に、
そのような偏波面保持光ファイバである光ファイバの他
の実施形態の断面構造を示す。この光ファイバにおいて
は、コア領域10を挟む左右両側に、B2O3添加SiO
2からなる応力付与部40がそれぞれ形成されている。
このような構成の偏波面保持光ファイバでは、応力付与
部40が損失要因となって伝送損失が劣化する場合があ
るが、直交偏波間のランダムなカップリングを抑制する
ことができる。これにより、伝送される信号光の品質を
良好に保持することが可能となる。
方法は、図1に示した構成からなる光ファイバについて
上述した製造方法とほぼ同様であるが、第5の工程にお
いて中間ガラスロッドの外周上に第2クラッド領域30
となるガラス体を形成したものを、そのまま光ファイバ
プリフォームとせず、これを第3中間ガラス体として、
さらに加工を行う。
1クラッド領域または第2クラッド領域に開孔して、開
孔部を形成する。そして、その開孔部内に、応力付与部
40となるガラスロッドを挿入して、光ファイバプリフ
ォームを作成する。この光ファイバプリフォームを加熱
線引することによって、応力付与部40を有する構成か
らなる光ファイバが得られる。
明する。ここでは、コア用ガラスロッドについては、コ
ア内の屈折率分布形状をほぼ放物線状とし、GeO2添
加濃度を最大で30mol%とした。また、加熱一体化
時のコア用ガラスロッドの外径は8mmであった。一
方、第1クラッド用ガラスパイプについては、第1クラ
ッド内の屈折率分布形状をほぼステップ状とし、F添加
濃度を最大で1.5mol%とした。
スパイプの外径は32mm、内径は9mmであった。得
られた第1クラッド用ガラスパイプは、SF6を300
cm3/min、Cl2を200cm3/min、加熱温
度1500℃(パイロスコープで測定したガラス表面の
最高温度)でエッチングして、表面を平滑にした。
を500cm3/min、加熱温度1500℃で空焼き
を行った。加熱一体化時のパイプ内の雰囲気ガスは、塩
素200cm3/min、酸素300cm3/minと
し、パイプ内の減圧度は1kPaとした。
1700℃、第1クラッド用ガラスパイプの内周表面の
粗さを3μm以下、コア用ガラスロッドの外周表面の粗
さを2μm以下、コア用ガラスロッドにおける外周表面
から厚さ2μm以内の領域でのGeO2濃度の最大値を
3mol%とする条件を適用して加熱一体化を行い、気
泡のない外径30mmの中間ガラスロッド(第1中間ガ
ラスロッド)を得た。
9mmまで延伸した後、その外周部を外径6mmまでH
F溶液により研削して、(コア径)/(第1クラッド
径)=0.40に調整した。また、この第1中間ガラス
ロッドとは別に、第2クラッド領域30の内周側部分と
なる第2クラッド用ガラスパイプを作成した。この第2
クラッド用ガラスパイプは、ほぼ純SiO2で外径32
mm、内径9mmのSiO2ガラスパイプとした。そし
て、第2クラッド用ガラスパイプ内に第1中間ガラスロ
ッドを挿入し、加熱一体化して、外径30mmの第2中
間ガラスロッドを得た。
周上に、第2クラッド領域30の外周側部分となるガラ
ス体を、第2クラッド用ガラスパイプと同様のほぼ純S
iO 2のSiO2ガラスとして、VAD法またはOVD法
によって合成して、第3中間ガラス体を作成した。ここ
で、(第2クラッド径)/(第1クラッド径)=10.
8とした。
mmまで延伸した。このとき、延伸後の第3中間ガラス
体のコア領域10部分の外径は1.3mm、第1クラッ
ド領域20部分の外径は3.3mmであった。この第3
中間ガラス体の第2クラッド領域30部分に、図15に
示す応力付与部40となる2つの開孔部を形成した。こ
れらの開孔部は、2つの開孔部の中心同士の距離を1
5.2mm、それぞれの開孔部の外径を10mmとし
た。また、2つの開孔部それぞれの中心、コア領域10
及び第1クラッド領域20の中心は、ほぼ一直線上にな
るようにした。
m以下になるまで研摩し、研摩材や研削くず等の異物を
除去するように、水、アルコール、王水で洗浄した。そ
して、応力付与部40となるガラスロッドとして、外径
9mmのB2O3添加SiO2ガラスロッドを開孔部に挿
入し封止して、光ファイバプリフォームを作成した。
された光ファイバプリフォームを加熱線引して、図15
に示した構造の光ファイバを得た。ここで、開孔部に挿
入されたガラスロッドは、線引時の加熱によってクラッ
ド領域と一体化されて、応力付与部40となる。得られ
た光ファイバの構成は、コア領域10の外径2r1=
4.6μm、比屈折率差Δ+=3.0%、第1クラッド
領域20の外径2r2=11.6μm、比屈折率差Δ-=
−0.5%、第2クラッド領域30の外径2r3=12
5μmであった。
性は、 分散=+0.01ps/km/nm、 分散スロープ=+0.042ps/km/nm2、 有効断面積Aeff=10.6μm2、 カットオフ波長λc=1349nm、 零分散波長=1550nm、 伝送損失=1.5dB/km、 モードフィールド径=3.75μm、 非線型係数γ=20.2/W/km、 偏波間のクロストーク=−20dB(ファイバ長1k
m) で、良好な特性の光ファイバ(非線型性光ファイバ)が
得られた。
て、本発明の光ファイバに係る光ファイバF1〜F3の
3種類の光ファイバをさらに試作した。
イバE1〜E8と同様に、コア領域10を近似的にα〜
3.0乗の屈折率分布を有するGeO2添加SiO2、第
1クラッド領域20をF添加SiO2、第2クラッド領
域30をF添加SiO2または純SiO2として作成し
た。得られた光ファイバF1〜F3の比屈折率差Δ+、
Δ -、第2クラッド領域30のF添加濃度、コア領域1
0及び第1クラッド領域20の外径2r1、2r2、及び
それによる諸特性を図16の表に示す。なお、示した特
性のうち、OH吸収伝送損失は、OH基吸収による波長
1.38μmでの伝送損失の増加分(過剰吸収損失)を
示している。
諸特性は、いずれも、波長1.55μmの光に対する以
下の特性条件 11μm2以下の有効断面積Aeff、2mのファイバ長で
0.7μm以上1.6μm以下のカットオフ波長λc、
3.0dB/km以下の伝送損失、−15dB以下の偏
波間のクロストーク、18/W/km以上の非線型係数
γ、を満たしている。このように、ダブルクラッド構造
を採用することにより、コアのGeO2濃度を高くする
とともに有効断面積Aeffを小さくして、非線型係数γ
を大きくした場合でも、好適なカットオフ波長λcを有
する高非線型性の光ファイバを得ることができる。ま
た、高非線型性の偏波面保持光ファイバが得られる。
OH基による過剰吸収損失については、0.2dB/k
m以下であることが好ましい。図16に示した光ファイ
バF1〜F3は、いずれもこの特性条件を満たしてい
る。
バにおいて、所定波長の光を入力することによって発現
される非線型光学現象を利用することによって、高い非
線型性が積極的に利用されるとともに、カットオフ波長
λcなどについて良好な特性を有する非線型性光ファイ
バが得られる。このような非線型性光ファイバは、非線
型光学現象を利用する様々な光デバイスに対して適用す
ることが可能である。
型性光ファイバとして用いる光増幅器や波長変換器など
の光デバイスでは、光ファイバをコイル化して収容する
ことによって光デバイスをモジュール化した光モジュー
ル(例えば光増幅器モジュールや波長変換器モジュー
ル)の構成が用いられる場合がある。このような場合に
は、光ファイバの曲げに対する強度や曲げ損失の変化を
含む曲げ特性などの諸特性について、モジュール化に好
適なように光ファイバの特性を保持する必要がある。
は、光ファイバのガラス部の外径を100μm以下とす
ることが好ましい。あるいは、ガラス部の外径をさらに
90μm以下とすることが好ましい。このように、ガラ
ス部の外径を細径とすることにより、ガラス部の外周に
設けられる被覆部を細径とした場合においても、曲げに
対する強度も含めて、充分な強度の光ファイバとするこ
とができる。
ついて考えると、コイル化して光モジュール内に収容す
るために光ファイバを曲げた場合、光ファイバのガラス
部内の各部に曲げ応力が発生する。この曲げ応力は、光
ファイバの曲げに対する強度により、光ファイバの破断
などの原因となる。
に巻いた場合、光ファイバのガラス部の中心部位(中心
軸近傍)では、発生する曲げ応力はほぼ零である。これ
に対して、光ファイバコイルの径方向について内側とな
る部位では、中心部位に比べて曲げ直径が小さくなるた
めにガラス部内に圧縮応力が生じる。一方、光ファイバ
コイルの径方向について外側となる部位では、中心部位
に比べて曲げ直径が大きくなるためにガラス部内に引張
り応力が生じる。そして、これらの圧縮応力及び引張り
応力の大きさは、いずれもガラス部の中心部位からの距
離が大きくなるにしたがって大きくなる。
た上記構成の光ファイバによれば、コイルの径方向につ
いて最も内側または外側に位置するガラス部の部位の中
心部位からの距離が小さくなり、光ファイバのガラス部
内に発生する応力の大きさが低減される。これにより、
光ファイバの曲げに対する強度が向上されて、コイル化
したときの光ファイバの応力による破断が防止される。
クラッド構造の光ファイバでは、その有効断面積Aeff
を小さくしていることなどにより、ガラス部を伝送する
光の電磁界分布の広がりが小さい。また、このような光
ファイバでは、一般的に開口数NAが大きい。このた
め、上記した光ファイバでは、その曲げ損失は小さく、
また、ガラス部の外径を細径にすることによる伝送損失
への影響も小さい。したがって、曲げに対して充分な強
度を有するとともに、曲げ損失が低減されて、良好な曲
げ特性を有する光ファイバが得られる。
イバの外周に設けられる樹脂製の被覆部等を除いた、コ
ア領域、第1クラッド領域、及び第2クラッド領域を含
む部分をいう。例えば、図1及び図7に示した光ファイ
バでは、コア領域10、第1クラッド領域20、及び第
2クラッド領域30からなる部分がガラス部となってい
る。また、第2クラッド領域の外周にさらにガラス製の
他のクラッド領域を設けた場合には、そのクラッド領域
をも含む部分がガラス部となる。
については、被覆部の外径を150μm以下とすること
が好ましい。あるいは、被覆部の外径をさらに120μ
m以下とすることが好ましい。このように、被覆部の外
径を細径とすることにより、上述したように光ファイバ
をコイル化して光モジュール内に収容する場合に、光モ
ジュールを小型化することができる。また、同一サイズ
の光モジュールであれば、より長い光ファイバをコイル
化して光モジュール内に収容できる。
スに適用した場合の光ファイバの特性について考える
と、波長1.00μmの光に対する特性において、伝送
損失が5.0dB/km以下であることが好ましい。あ
るいは、伝送損失がさらに3.0dB/km以下である
ことが好ましい。
ることにより、ラマン増幅での励起光波長における伝送
損失が低減されるなど、非線型性光ファイバとして光デ
バイスに適用する上で良好な特性を有する光ファイバと
することができる。
加SiO2ガラスを合成して、比屈折率差Δnが大きい
光ファイバを作成しようとすると、ガラス欠陥が多いた
めに伝送損失が劣化する。このような傾向は、特に短波
長側において顕著となる。これに対して、上述した光フ
ァイバの構成及びその製造方法によれば、短波長側での
伝送損失が充分に低減された光ファイバを得ることがで
きる。また、このような光ファイバでは、レイリー散乱
係数が低くなるので、ラマン増幅の際に発生する二重レ
イリー散乱による信号のノイズを抑制することができ
る。
ルクラッド構造を有する光ファイバを作成した。その構
成は、コア領域10の外径2r1=4.6μm、比屈折
率差Δ+=3.2%、第1クラッド領域20の外径2r2
=13.1μm、比屈折率差Δ-=−0.50%、第2
クラッド領域30の外径(光ファイバのガラス部の外
径)2r3=110μmであった。ここで、第2クラッ
ド領域30へのFの添加濃度は0.6mol%であっ
た。また、光ファイバを外周から被覆する被覆部の外径
は、150μmであった。
性は、 分散=−0.64ps/km/nm、 分散スロープ=+0.042ps/km/nm2、 有効断面積Aeff=10.0μm2、 カットオフ波長λc=1396nm、 零分散波長=1565nm、 伝送損失=0.70dB/km、 非線型係数γ=22.2/W/km、 偏波モード分散PMD=0.05ps/√km で、良好な特性の光ファイバ(非線型性光ファイバ)が
得られた。
kmで、直径φ60mmのボビンに巻き付けることによ
ってコイル化し、モジュール化した。このような光ファ
イバにおける伝送損失の波長依存性を図17に示す。こ
こで、図17のグラフにおいて、横軸は光ファイバを伝
送される光の波長λ(nm)、縦軸は各波長での伝送損
失(dB/km)を示している。
ァイバを用いることにより、長波長領域でも伝送損失が
劣化しない良好な光モジュールを作成することができ
る。このような光ファイバは、例えば、波長1565n
mの励起光を供給して、波長帯域がCバンドの信号光を
Lバンドに、または、波長帯域がLバンドの信号光をC
バンドに波長変換する波長変換器モジュールにおいて用
いることができる。あるいは、信号光よりも短波長の励
起光を供給することによって信号光を光増幅するラマン
増幅器モジュールにおいて用いることができる。
述した光ファイバの製造方法に基づいて作成したもので
あるが、波長1.00μmの光に対する伝送損失が3.
4dB/kmとなっている。これは、5.0dB/km
以下の条件を満たす低い値である。このように短波長側
での伝送損失が低い光ファイバによれば、信号光よりも
短波長側にあるラマン増幅での励起光波長における伝送
損失が低減される。また、このような光ファイバでは、
レイリー散乱係数が低くなるので、2重レイリー散乱に
よって発生するノイズを抑制することができる。
たダブルクラッド構造を有する光ファイバを作成した。
その構成は、コア領域10の外径2r1=2.5μm、
比屈折率差Δ+=2.9%、第1クラッド領域20の外
径2r2=10.0μm、比屈折率差Δ-=−0.50
%、第2クラッド領域30の外径(光ファイバのガラス
部の外径)2r3=89μmであった。ここで、第2ク
ラッド領域30へのFの添加濃度は0.6mol%であ
った。また、光ファイバを外周から被覆する被覆部の外
径は、115μmであった。
性は、 分散=−110.6ps/km/nm、 分散スロープ=−0.408ps/km/nm2、 有効断面積Aeff=10.6μm2、 カットオフ波長λc=729nm、 伝送損失=0.52dB/km、 非線型係数γ=20.0/W/km、 偏波モード分散PMD=0.03ps/√km で、良好な特性の光ファイバ(非線型性光ファイバ)が
得られた。
ープを有している。これにより、本光ファイバは、1.
3μm帯に零分散波長があるシングルモード光ファイバ
の分散及び分散スロープの両者を、1.55μm帯にお
いて補償することが可能な高非線形性光ファイバとなっ
ている。
の外径が、100μm以下、あるいはさらに90μm以
下の条件を満たす細径の外径値89μmとされている。
また、被覆部の外径が、150μm以下、あるいはさら
に120μm以下の条件を満たす細径の外径値115μ
mとされている。これにより、コイル化する際の曲げ特
性が良好な光ファイバとなっている。
kmでコイル化してモジュール化した。ただし、光ファ
イバのコイル化においては、光ファイバをボビンに巻き
付けるのではなく、図18に光ファイバコイルの構成を
示すように、光ファイバFをボビンに巻き付けずにコイ
ル状にし、そのコイル状のファイバ束を被覆樹脂Rで覆
った構成を用いた。
くためのボビンがないために巻張力が発生せず、また、
ファイバ束の全体を樹脂で覆っているために光ファイバ
の自重による歪みの問題もない。したがって、マイクロ
ベンドによる伝送損失の劣化を大幅に抑制することが可
能である。
波長依存性を図19に示す。ここで、図19のグラフに
おいて、横軸は光ファイバを伝送される光の波長λ(n
m)、縦軸は各波長での伝送損失(dB/km)を示し
ている。
ァイバ及び上記した光ファイバコイルの構成を用いるこ
とにより、長波長領域でも伝送損失が劣化しない良好な
光モジュールを作成することができる。また、光ファイ
バの温度特性については、伝送特性が最も温度変動の影
響を受ける波長1620nmの光に対して、−40℃〜
+80℃の温度範囲で、伝送損失の変動が±0.01d
B/km以下となり、良好な温度特性が得られた。一
方、従来のボビンに巻き付ける形状では、ボビンの熱膨
張によって光ファイバに加わる巻張力が変化してしまう
ため、長波長側の温度特性に不良が発生しやすかった。
述した光ファイバの製造方法に基づいて作成したもので
あるが、波長1.00μmの光に対する伝送損失が2.
1dB/kmとなっている。これは、5.0dB/km
以下、あるいはさらに3.0dB/km以下の条件を満
たす低い値である。このように短波長側での伝送損失が
低い光ファイバによれば、信号光よりも短波長側にある
ラマン増幅での励起光波長における伝送損失が低減され
る。また、このような光ファイバでは、レイリー散乱係
数が低くなるので、2重レイリー散乱によって発生する
ノイズを抑制することができる。
帯に零分散波長があるファイバ長50kmのシングルモ
ード光ファイバの分散及び分散スロープを、1.55μ
m帯において補償することが可能である。
したダブルクラッド構造を有する光ファイバを作成し
た。その構成は、コア領域10の外径2r1=2.2μ
m、比屈折率差Δ+=3.2%、第1クラッド領域20
の外径2r2=8.8μm、比屈折率差Δ-=−0.60
%であった。ここで、第2クラッド領域30へのFの添
加濃度は0.6mol%であった。
性は、 分散=−205.7ps/km/nm、 分散スロープ=−1.35ps/km/nm2、 有効断面積Aeff=10.1μm2、 カットオフ波長λc=707nm、 伝送損失=0.51dB/km、 非線型係数γ=21.7/W/km、 偏波モード分散PMD=0.01ps/√km で、良好な特性の光ファイバ(非線型性光ファイバ)が
得られた。
mの光に対して、以下の諸特性 分散=−147.4ps/km/nm、 分散スロープ=−0.696ps/km/nm2、 有効断面積Aeff=8.6μm2、 伝送損失=0.58dB/km、 非線型係数γ=24.0/W/km、 偏波モード分散PMD=0.01ps/√km を有する。
ープを有している。これにより、本光ファイバは、1.
3μm帯に零分散波長があるシングルモード光ファイバ
の分散及び分散スロープの両者を、1.50μm帯にお
いて補償することが可能な高非線形性光ファイバとなっ
ている。したがって、例えば、1.40μm帯の波長の
励起光を供給して、ラマン増幅用光ファイバとして用い
ることが可能である。
ファイバを非線型性光ファイバとして適用することが可
能な光デバイス(またはそれをモジュール化した光モジ
ュール)の例として、光増幅器であるラマン増幅器、及
び波長変換器について説明する。
実施形態を示す構成図である。本ラマン増幅器100
は、入力される波長λsの信号光を光増幅するものであ
り、上述した光ファイバを非線形性光ファイバとして適
用したラマン増幅用光ファイバ110(カットオフ波長
λc)と、所定波長λpの励起光をラマン増幅用光ファ
イバ110へと供給する励起光源150とを備えて構成
されている。
バ110の下流側にある光合波部160を介して、ラマ
ン増幅器100内の光伝送路に接続されている。これに
よって、本ラマン増幅器100は、後方励起(逆方向励
起)の光増幅器として構成されている。これにより、入
力された信号光は、ラマン増幅用光ファイバ110にお
いて発現される非線型光学現象である誘導ラマン効果を
利用して光増幅され、増幅光として出力される。
の光増幅器とは異なり、増幅される波長帯域を選ばず、
SiO2系光ファイバであれば増幅波長帯域も100n
m程度と広いので、広帯域のWDM伝送での光増幅に適
している。また、励起光の波長λpとしては、信号光の
波長λsよりも短い波長が用いられる。例えば、波長
1.55μm帯の信号光を光増幅するのであれば、波長
1.45μm程度の励起光が用いられる。
用光ファイバ110では、WDM信号を一括して光増幅
する場合には、四光波混合が発生しないように、波長λ
sの信号光に対する分散値を+2ps/km/nm以
上、または−2ps/km/nm以下とすることが好ま
しい。例えば、波長1.55μm帯の信号光に対して
は、図14の光ファイバE1、E2などが好適である。
r1を大きくする必要があるため、カットオフ波長λc
がやや長くなる。これに対して、ダブルクラッド構造と
した上記の光ファイバでは、1.45μm程度の励起光
波長λpよりもカットオフ波長λcを短くする(λc<
λp)ことが可能である。このように、λc<λpとす
ることにより、シングルモードで高効率に光増幅を行う
ことができる。
イバを組み合わせれば、全体として分散が零となるよう
にラマン増幅器を構成することが可能となる。そのよう
なラマン増幅器の構成例を、図21に示す。
ラマン増幅器100と同様の構成を有するが、ラマン増
幅用光ファイバ110を分散値が負(例えば−2ps/
km/nm以下)の非線型性光ファイバとするととも
に、ラマン増幅用光ファイバ110と光合波部160と
の間に、分散値が正(例えば+2ps/km/nm以
上)のラマン増幅用光ファイバ120を直列に接続して
いる。このような構成によれば、出力される増幅光の分
散をほぼ零とすることができる。
m〜1.53μm帯の信号光は、EDFAでは光増幅す
ることができないが、励起される波長帯域を選ばないラ
マン増幅器であれば、波長λsが1.45μm以上1.
53μm以下の信号光に対しても光増幅が可能である。
また、上記したようにダブルクラッド構造では、例えば
図14の光ファイバE5のようにカットオフ波長λcを
短くすることができるので、Sバンドの信号光の光増幅
に対しても好適に適用することが可能である。光ファイ
バE5の波長1.40μmでの分散値は、−6.1ps
/km/nmと好適な範囲である。
光波長帯域内で正である場合、ラマン増幅器に用いるラ
マン増幅用光ファイバの分散値を負としておけば、光増
幅器と同時に正の分散値を有する伝送路の分散補償器と
しても用いることができる。このとき、波長λsの信号
光に対する分散値が−10ps/km/nm以下であれ
ば分散補償量も大きく、分散補償器としても特に好適に
利用できる。また、このとき、有効断面積Aeffを10
μm2以下とすることが好ましい。
型性光ファイバでは、例えば図14の光ファイバE3、
E4、及び図16の光ファイバF1のように、信号光の
波長において分散スロープを負の値(0ps/km/n
m2よりも小さい値)とすることができる。この場合、
正の分散と正の分散スロープを有する伝送路の分散と同
時に分散スロープをも補償することが可能となる。した
がって、WDM伝送において好適である。
ためには、ラマン増幅器に用いられる非線型性光ファイ
バにおいて、励起光の波長λpでの非線型性が高い方が
好ましい。また、非線型効果による伝送品質の劣化を防
止するためには、信号光の波長λsでの非線型性が低い
方が好ましい。
実現するため、光増幅器に用いられる非線型性光ファイ
バは、励起光の波長λpにおける有効断面積A
eff,pと、波長λp+0.1μmにおける有効断面積A
eff,sとが、関係式 (Aeff,s−Aeff,p)/Aeff,p×100≧10% を満たし、有効断面積Aeff,sが有効断面積Aeff,pに比
べて10%以上大きい構成となっていることが好まし
い。
長λp+0.1μmは、ラマン増幅器において光増幅さ
れる信号光の波長λsに相当する。したがって、上記し
た関係式を満たす特性条件によれば、有効断面積A
eff,pを小さくすることによって、励起光に対する波長
λpでの非線型性を高めて、光増幅の効率を向上するこ
とができる。また、有効断面積Aeff,sを大きくするこ
とによって、信号光に対する波長λp+0.1μmでの
非線型性を低くして、信号光の伝送品質の劣化を抑制す
ることができる。
は、有効断面積の逆数に比例する。したがって、信号光
の波長λs〜λp+0.1μmでの有効断面積Aeff,s
が励起光の波長λpでの有効断面積Aeff,pよりも10
%大きければ、位相シフト量は10%小さくなる。
て、図1に示したダブルクラッド構造を有する光ファイ
バを作成した。その構成は、コア領域10の外径2r1
=3.1μm、比屈折率差Δ+=3.4%、第1クラッ
ド領域20の外径2r2=8.8μm、比屈折率差Δ-=
−0.15%であった。ここで、第2クラッド領域30
へのFの添加濃度は1.1mol%であった。
性は、 分散=−49.0ps/km/nm、 分散スロープ=+0.005ps/km/nm2、 有効断面積Aeff=8.4μm2、 カットオフ波長λc=1060nm、 伝送損失=0.54dB/km、 非線型係数γ=23.4/W/km、 偏波モード分散PMD=0.02ps/√km であった。
有効断面積Aeffの波長依存性を示す。ここで、図22
のグラフにおいて、横軸は光ファイバを伝送される光の
波長λ(nm)、縦軸は各波長での有効断面積A
eff(μm2)を示している。このグラフに示されている
ように、本光ファイバでは、有効断面積Aeffが波長λ
が長くなるとともに大きくなる。
に対して、波長λp=1.40μmの励起光を用いた場
合、信号光及び励起光に対する有効断面積はそれぞれ、 信号光:Aeff,s=7.85μm2 励起光:Aeff,p=6.93μm2 となっている。このとき、波長λs及びλpでの有効断
面積の差は、 (Aeff,s−Aeff,p)/Aeff,p×100=13.3% である。
対して、波長λp=1.45μmの励起光を用いた場
合、信号光及び励起光に対する有効断面積はそれぞれ、 信号光:Aeff,s=8.37μm2 励起光:Aeff,p=7.37μm2 となっている。このとき、波長λs及びλpでの有効断
面積の差は、 (Aeff,s−Aeff,p)/Aeff,p×100=13.6% である。
対して、波長λp=1.50μmの励起光を用いた場
合、信号光及び励起光に対する有効断面積はそれぞれ、 信号光:Aeff,s=8.93μm2 励起光:Aeff,p=7.85μm2 となっている。このとき、波長λs及びλpでの有効断
面積の差は、 (Aeff,s−Aeff,p)/Aeff,p×100=13.8% である。
波長λs=1.50μm、1.55μm、及び1.60
μmの信号光のいずれに対しても、好適な特性条件 (Aeff,s−Aeff,p)/Aeff,p×100≧10% が満たされている。したがって、これらの波長を含む波
長範囲の光に対して、光増幅の効率が向上されるととも
に、信号光の伝送品質の劣化が抑制された非線形性光フ
ァイバ及びラマン増幅器が実現される。
施形態を示す構成図である。本波長変換器300は、入
力される波長λsの信号光を波長変換するものであり、
上述した光ファイバを非線型性光ファイバとして適用し
た波長変換用光ファイバ310(カットオフ波長λc)
と、所定波長λpの励起光を波長変換用光ファイバ31
0へと供給する励起光源350とを備えて構成されてい
る。
310の上流側にある光合波部360を介して、波長変
換器300内の光伝送路に接続されている。これによ
り、入力された波長λsの信号光は、波長変換用光ファ
イバ310において発現される非線型光学現象である四
光波混合を利用して波長変換され、波長選択部370を
介して波長λs’ λs’=λp−(λs−λp) の変換光として出力される(図24(a)参照)。
の伝送速度が高いWDM信号を、個別または一括して波
長変換することが可能である。また、ダブルクラッド構
造を有する非線型性光ファイバでは、例えば図14の光
ファイバE6、E8、及び図16の光ファイバF3のよ
うに、カットオフ波長λcを短くしたままで、非線型係
数γを充分に大きくして、波長変換を高効率で行うこと
が可能である。特に、信号光、変換光、及び励起光の波
長λs、λs’、λpよりもカットオフ波長λcを短く
しておけば(λc<λs、λs’、λp)、シングルモ
ードで高効率に波長変換を行うことができる。
変換光の位相が整合しているときに発生しやすいので、
波長λpの励起光における分散値が−0.2ps/km
/nm以上+0.2ps/km/nm以下の範囲である
ことが好ましく、特に、励起光波長λpが零分散波長と
略一致していることが好ましい。また、励起光のパワー
を上げれば、出力される変換光の光パワーを入力される
信号光の光パワーよりも大きくすることが可能であり、
この場合、波長変換器をパラメトリック増幅器としても
利用することができる。
では、零分散波長が1.53μm付近であるとともに、
カットオフ波長λcが変換光の波長λs’よりも短いこ
とが望ましいが、ダブルクラッド構造を有する非線型性
光ファイバでは、例えば図14の光ファイバE7のよう
に、そのような特性条件の実現が可能となる。
し、励起光の波長λpを変化させれば、任意の波長変換
が可能となる。例えば図24(b)の例では、波長λs
の信号光に対して励起光波長をλp1として、波長λs
1’ λs1’=λp1−(λs−λp1) の変換光が得られている。これに対して、図24(c)
に示すように、励起光波長をλp2に変化させれば、波
長λs1’とは異なる波長λs2’ λs2’=λp2−(λs−λp2) の変換光を得ることができる。なお、この場合にも、位
相を整合させるために、励起光波長に対する分散値が−
0.2ps/km/nm以上+0.2ps/km/nm
以下の範囲であることが好ましい。
は、励起光が波長1.45μm付近、Sバンドのラマン
増幅を行う場合には、励起光が波長1.3〜1.4μ
m、信号光が波長1.45〜1.53μmとなる。ま
た、Sバンドへの波長変換、または、SバンドからC、
Lバンドへの波長変換を行う場合には、信号光や変換光
が波長1.45〜1.53μmとなる。これらの場合、
OH基による波長1.38μmでの吸収損失の影響を受
けやすい。これに対して、図14の光ファイバE1〜E
8、及び図16の光ファイバF1〜F3は、上述したよ
うに、波長1.38μmでのOH基吸収による伝送損失
の増加分(過剰吸収損失)がすべて0.2dB/km以
下であり、このような場合にも好適に用いることができ
る。
ァイバ、それを用いた光増幅器、波長変換器、及び光フ
ァイバの製造方法は、以上詳細に説明したように、次の
ような効果を得る。すなわち、シングルクラッド構造で
はなくダブルクラッド構造を用いた、上記した構成の光
ファイバ、非線型性光ファイバによれば、非線型係数γ
を大きくするために、コア内に添加されるGeO2の添
加濃度を高くして非線型屈折率を高くし、また、コアと
クラッドとの比屈折率差を大きくして有効断面積Aeff
を小さくした場合でも、カットオフ波長λcを充分に短
くすることが可能となる。また、この構成では、分散ス
ロープを負にすることができる。さらに、高非線型性の
偏波面保持ファイバや、偏波モード分散が小さいととも
に、伝送損失が低い高非線型性の光ファイバが得られ
る。また、光ファイバのガラス部あるいは被覆部の外径
を細径とすれば、光デバイスでのモジュール化に好適な
光ファイバが得られる。
ド用ガラスパイプを所定条件の下で加熱一体化する上記
した光ファイバの製造方法によれば、高非線型性を有す
るダブルクラッド構造の光ファイバを、低伝送損失など
の良好な特性によって作成することができる。
るとともに、カットオフ波長λcなどについて好適な特
性を有する非線型性光ファイバとして、光増幅器や波長
変換器などの非線型光学現象を利用する光デバイスに適
用することが可能である。特に、カットオフ波長λcが
短波長となることによって、シングルモードで高効率に
光増幅や波長変換を行うことができる。
折率プロファイルを模式的に示す図である。
である。
表である。
の表面粗さへの依存性を示す表である。
さへの依存性を示す表である。
外周表面から厚さ2μm以内の領域でのGeO2濃度へ
の依存性を示す表である。
折率プロファイルを模式的に示す図である。
示す図である。
る。
プロファイルを示す図である。
を示す図である。
である。
である。
る。
的に示す図である。
る。
ラフである。
ある。
ラフである。
る。
ある。
グラフである。
る。
模式的に示す図である。
領域、30…第2クラッド領域、40…応力付与部、5
0…ハーメチックコート、100、200…ラマン増幅
器、110、120…ラマン増幅用光ファイバ、150
…励起光源、160…光合波部、300…波長変換器、
310…波長変換用光ファイバ、350…励起光源、3
60…光合波部、370…波長選択部。
Claims (27)
- 【請求項1】 屈折率の最大値がn1であるコア領域
と、前記コア領域の外周に設けられ、屈折率の最小値が
n2(ただしn2<n1)である第1クラッド領域と、前
記第1クラッド領域の外周に設けられ、屈折率の最大値
がn3(ただしn2<n3<n1)である第2クラッド領域
とを少なくとも備えるとともに、波長1.55μmの光
に対する諸特性として、 11μm2以下の有効断面積と、 2mのファイバ長において0.7μm以上1.6μm以
下のカットオフ波長λcと、 18/W/km以上の非線型係数と、を有することを特
徴とする光ファイバ。 - 【請求項2】 波長1.55μmの光に対する諸特性と
して、 3.0dB/km以下の伝送損失と、 −15dB以下の偏波間のクロストークと、をさらに有
することを特徴とする請求項1記載の光ファイバ。 - 【請求項3】 波長1.55μmの光に対する諸特性と
して、 1.0dB/km以下の伝送損失と、 0.3ps/√km以下の偏波モード分散と、をさらに
有することを特徴とする請求項1記載の光ファイバ。 - 【請求項4】 前記コア領域と、前記第2クラッド領域
との比屈折率差Δ+が、前記第2クラッド領域を基準と
して2.7%以上であることを特徴とする請求項1記載
の光ファイバ。 - 【請求項5】 前記第2クラッド領域の外周上に、ハー
メチックコートが設けられていることを特徴とする請求
項1記載の光ファイバ。 - 【請求項6】 波長1.38μmの光に対するOH基に
よる過剰吸収損失が、0.2dB/km以下であること
を特徴とする請求項1記載の光ファイバ。 - 【請求項7】 前記第2クラッド領域は、フッ素が添加
されていることを特徴とする請求項1記載の光ファイ
バ。 - 【請求項8】 前記コア領域、前記第1クラッド領域、
及び前記第2クラッド領域を含むガラス部の外径が10
0μm以下であることを特徴とする請求項1記載の光フ
ァイバ。 - 【請求項9】 前記ガラス部の外径がさらに90μm以
下であることを特徴とする請求項8記載の光ファイバ。 - 【請求項10】 前記コア領域、前記第1クラッド領
域、及び前記第2クラッド領域を含むガラス部の外周に
設けられた被覆部の外径が150μm以下であることを
特徴とする請求項1記載の光ファイバ。 - 【請求項11】 前記被覆部の外径がさらに120μm
以下であることを特徴とする請求項10記載の光ファイ
バ。 - 【請求項12】 波長1.00μmの光に対する特性に
おいて、伝送損失が5.0dB/km以下であることを
特徴とする請求項1記載の光ファイバ。 - 【請求項13】 波長1.00μmの光に対する特性に
おいて、前記伝送損失がさらに3.0dB/km以下で
あることを特徴とする請求項12記載の光ファイバ。 - 【請求項14】 請求項1記載の光ファイバであって、
所定波長の光を入力することによって発現される非線型
光学現象を利用することを特徴とする非線型性光ファイ
バ。 - 【請求項15】 カットオフ波長がλcである請求項1
4記載の非線型性光ファイバと、 前記非線型性光ファイバに入力される波長λsの信号光
に対して、所定波長λp(ただしλc<λp)の励起光
を前記非線型性光ファイバに供給する励起光源とを備え
るとともに、 前記非線型性光ファイバにおいて発現される非線型光学
現象を利用して、前記信号光を光増幅することを特徴と
する光増幅器。 - 【請求項16】 前記非線型性光ファイバの波長λsの
前記信号光に対する分散値が+2ps/km/nm以
上、または−2ps/km/nm以下であることを特徴
とする請求項15記載の光増幅器。 - 【請求項17】 前記非線型性光ファイバの波長λsの
前記信号光に対する分散値が−10ps/km/nm以
下であるとともに、その有効断面積が10μm2以下で
あることを特徴とする請求項15記載の光増幅器。 - 【請求項18】 前記非線型性光ファイバの前記信号光
に対する分散スロープ値が0ps/km/nm2よりも
小さいことを特徴とする請求項17記載の光増幅器。 - 【請求項19】 前記信号光の波長λsは、1.45μ
m以上1.53μm以下であることを特徴とする請求項
15記載の光増幅器。 - 【請求項20】 前記非線型性光ファイバは、前記励起
光の波長λpにおける有効断面積Aeff,pと、波長λp
+0.1μmにおける有効断面積Aeff,sとが、関係式 (Aeff,s−Aeff,p)/Aeff,p×100≧10% を満たすことを特徴とする請求項15記載の光増幅器。 - 【請求項21】 カットオフ波長がλcである請求項1
4記載の非線型性光ファイバと、 前記非線型性光ファイバに入力される波長λs(ただし
λc<λs)の信号光に対して、所定波長λp(ただし
λc<λp)の励起光を前記非線型性光ファイバに供給
する励起光源とを備えるとともに、 前記非線型性光ファイバにおいて発現される非線型光学
現象を利用して、前記信号光を波長変換し、波長λs’
(ただしλc<λs’)の変換光を出力することを特徴
とする波長変換器。 - 【請求項22】 出力される前記変換光の光パワーが、
入力される前記信号光の光パワーよりも大きいことを特
徴とする請求項21記載の波長変換器。 - 【請求項23】 前記非線型性光ファイバの波長λpの
前記励起光に対する分散値が−0.2ps/km/nm
以上+0.2ps/km/nm以下であることを特徴と
する請求項21記載の波長変換器。 - 【請求項24】 前記変換光の波長λs’は、1.45
μm以上1.53μm以下であることを特徴とする請求
項21記載の波長変換器。 - 【請求項25】 GeO2が所定量添加されたSiO2か
らなり、コア領域となるコア用ガラスロッドを、VAD
法またはOVD法で合成するとともに所定の外径となる
ように延伸して作成する第1の工程と、 Fが所定量添加されたSiO2からなり、第1クラッド
領域となる第1クラッド用ガラスパイプを、VAD法ま
たはOVD法で合成するとともに所定の内径及び外径と
なるように延伸して作成する第2の工程と、 前記第1クラッド用ガラスパイプの内面に所定のガスを
流すとともに加熱して、その内周表面を平滑にするため
のエッチングを行う第3の工程と、 前記第1クラッド用ガラスパイプ内に前記コア用ガラス
ロッドを挿入し、1300℃以上の所定温度で空焼きし
た後、加熱一体化して中間ガラスロッドとする第4の工
程と、 前記中間ガラスロッドにおいて前記コア領域及び前記第
1クラッド領域の外径の比を調整した後、前記中間ガラ
スロッドの外周上に第2クラッド領域となるガラス体を
形成して、光ファイバプリフォームを作成する第5の工
程と、 前記光ファイバプリフォームを加熱線引して、屈折率の
最大値がn1である前記コア領域と、前記コア領域の外
周に設けられ、屈折率の最小値がn2(ただしn2<
n1)である前記第1クラッド領域と、前記第1クラッ
ド領域の外周に設けられ、屈折率の最大値がn3(ただ
しn2<n3<n1)である前記第2クラッド領域とを少
なくとも備える光ファイバを作成する第6の工程と、を
備え、 前記第4の工程における前記コア用ガラスロッド及び前
記第1クラッド用ガラスパイプの加熱一体化を、その加
熱温度を1800℃以下とし、前記コア用ガラスロッド
の外周表面の粗さを5μm以下とし、前記第1クラッド
用ガラスパイプの内周表面の粗さを5μm以下とし、前
記コア用ガラスロッドにおける外周表面から厚さ2μm
以内でのGeO2濃度の最大値を5mol%以下とした
条件で行うとともに、 前記第6の工程において、波長1.55μmの光に対す
る諸特性として、 11μm2以下の有効断面積と、 2mのファイバ長において0.7μm以上1.6μm以
下のカットオフ波長λcと、 18/W/km以上の非線型係数と、を有する光ファイ
バを作成することを特徴とする光ファイバの製造方法。 - 【請求項26】 前記第6の工程において、波長1.5
5μmの光に対する諸特性として、 1.0dB/km以下の伝送損失と、 0.3ps/√km以下の偏波モード分散と、をさらに
有する前記光ファイバを作成することを特徴とする請求
項25記載の光ファイバの製造方法。 - 【請求項27】 前記第5の工程と、前記第6の工程と
の間に、前記第5の工程で得られた光ファイバプリフォ
ームを第3中間ガラス体とし、前記第3中間ガラス体の
前記第1クラッド領域または前記第2クラッド領域に開
孔部を形成した後、前記開孔部内に応力付与部となるガ
ラスロッドを挿入して、光ファイバプリフォームを作成
する第7の工程をさらに備え、 前記第6の工程において、前記第7の工程で作成された
前記光ファイバプリフォームを加熱線引して、前記コア
領域と、前記第1クラッド領域と、前記第2クラッド領
域と、前記コア領域に応力を付与する前記応力付与部と
を少なくとも備えるとともに、波長1.55μmの光に
対する諸特性として、 3.0dB/km以下の伝送損失と、 −15dB以下の偏波間のクロストークと、をさらに有
する前記光ファイバを作成することを特徴とする請求項
25記載の光ファイバの製造方法。
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