JP2002201939A - 蓄熱装置を有する内燃機関 - Google Patents

蓄熱装置を有する内燃機関

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JP2002201939A
JP2002201939A JP2000403514A JP2000403514A JP2002201939A JP 2002201939 A JP2002201939 A JP 2002201939A JP 2000403514 A JP2000403514 A JP 2000403514A JP 2000403514 A JP2000403514 A JP 2000403514A JP 2002201939 A JP2002201939 A JP 2002201939A
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heat
temperature
container
cooling water
internal combustion
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JP2000403514A
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English (en)
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Masakazu Tabata
正和 田畑
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Toyota Motor Corp
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Toyota Motor Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】保温容器の異常発生を正確に判定すること。 【解決手段】加熱冷却水を貯留し冷却水高温状態を維持
して熱を蓄え、必要時に冷却水を機関循環路の昇温箇所
に流し、その時に冷却水の搬送熱で昇温箇所を昇温する
容器3と、容器に対する機関冷却水供給管13と、機関
冷却水排出管15と、容器に対する冷却水流通制御であ
る弁体16とを備える蓄熱装置1を有する内燃機関にお
いて、容器から昇温箇所への冷却水を供給すると、機関
作動時加熱された新たな高温冷却水を容器に供給管で供
給し、供給終了とともに容器は冷却水の保温を開始し、
その一方で容器からの冷却水排出開始に併せて保温を停
止し、冷却水保温開始時点での冷却水温と保温開始時点
から一定時間経過時点での冷却水温度差および一定時間
に基づき、容器の保温性能をECUが評価する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、蓄熱装置を有する
内燃機関に関し、詳しくは、保温容器による蓄熱技術を
利用して早期暖機を図る蓄熱装置を有する内燃機関に関
する。
【従来の技術】内燃機関は、特に寒冷時において、暖機
促進を図りその始動性を高めることが望まれる。
【0002】そこで、内燃機関の運転中に加熱されて高
温になった機関冷却水(以下特に断らない限り「高温機
関冷却水」という。)を蓄熱装置の保温容器に貯留して
おく。そして、機関始動に先だってまたは始動直後に前
記保温容器に貯留しておいた高温機関冷却水を内燃機関
の冷却水循環路に戻して循環させ、当該循環路上に配置
してある機関本体内のウォータ・ジャケットや車室用ヒ
ータその他の昇温必要箇所に送ることにより、機関暖機
の効率を高めたり、車室用ヒータの効きを高めたりす
る、いわゆる早期暖機技術が周知である。なお、保温容
器や機関冷却水循環路、電動ウォータポンプ等を備えた
ものを「機関冷却水の循環系」という。
【発明が解決しようとする課題】早期暖機技術では、前
記循環系に係る、機関本体のシリンダブロック上部の温
度を検出し、その検出値を機関冷却水の温度として車室
内のパネルに設けた水温計等の冷却水温度表示手段でド
ライバに知らせる。
【0003】ところで、保温容器の高温機関冷却水とシ
リンダブロックとの温度差が大きい状態にある時に高温
機関冷却水がシリンダブロックに流入すると、シリンダ
ブロックに高温機関冷却水の熱が吸収されてしまう。こ
のため、それだけ高温機関冷却水は温度低下してしまい
前記水温計は、保温容器内に貯留されていた高温機関冷
却水の実際の温度よりも低い温度を表示する場合があり
える。
【0004】そこで、例えば特開平6−213117公
報では、冷却水温度表示手段による表示温度が極端に低
くなった時には前記保温容器の保温機能に異常が発生し
たと判定する異常判定の技術を開示する。
【0005】一方、法律上の規制により蓄熱装置の異常
をドライバに報せる必要上、保温容器の保温機能に異常
が発生したと判定する異常判定手段の精度を高めること
が望まれている。
【0006】本発明は、上記実情に鑑みてなされたもの
であって、その解決しようとする課題は、保温容器によ
る蓄熱技術を利用して早期暖機を図る蓄熱装置を有する
内燃機関において、容器の保温機能に異常が発生したこ
とを正確に判定できる蓄熱装置を有する内燃機関を提供
することにある。
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、本発明の蓄熱装置を有する内燃機関は次のようにし
た。 (1)機関運転中に加熱されて高温となった熱媒体を貯
留し前記熱媒体の高温状態を維持して熱を蓄え、必要時
に前記高温の熱媒体を内燃機関の熱媒体循環路に設けた
昇温必要箇所に流し、その時に当該熱媒体が運ぶ熱で前
記昇温必要箇所の温度を上げるための保温容器と、この
保温容器に前記熱媒体を供給する熱媒体供給路と、熱媒
体供給路によって供給された前記熱媒体を前記保温容器
から前記熱媒体循環路に排出する熱媒体排出路と、これ
ら両通路を介して前記保温容器に対して出入りする前記
熱媒体の流通制御を行う流通制御手段とを備える蓄熱装
置、を有する内燃機関において、前記保温容器から前記
熱媒体排出路を介して前記熱媒体を排出すると、前記保
温容器には前記熱媒体供給路を介して新たに熱媒体を供
給し、当該供給の終了とともに前記保温容器は前記新た
な熱媒体の保温を開始し、前記保温容器からの前記熱媒
体の排出開始に併せて保温の停止を行い、前記保温容器
に貯留されている熱媒体に係る、第1の温度とこの第1
の温度を検出した時点から一定時間が経過した後の第2
の温度との差を第1の温度を検出した時点からの経過時
間に応じて設定された判定用数値と比較することにより
前記保温容器の保温性能を評価する保温性能評価手段を
備えたことを特徴とする。
【0007】ここで、電子制御ユニットであるECUに
ついて簡単に述べるとともに、本発明の構成要素につい
て説明する。
【0008】ECUは、周知のごとくデジタルコンピュ
ータからなり、双方向性バスによって相互に接続され
た、中央処理制御装置CPU,読み出し専用メモリRO
M,ランダムアクセスメモリRAM,バックアップRA
M,入力インタフェース回路,出力インタフェース回路
等から構成される。
【0009】入力インタフェース回路は、内燃機関や車
輌に取り付けられた各種センサと電気的に接続され、こ
れら各種センサの出力信号が入力インタフェース回路か
らECU内に入るとこれらのパラメータは一時的にラン
ダムアクセスメモリRAMに記憶される。
【0010】また、読み出し専用メモリROMには各種
アプリケーションプログラムや各種マップが記憶されて
おり、内燃機関の作動状態に応じてCPUが前記アプリ
ケーションプログラムを実行すると、その時々に応じて
前記マップや各種パラメータが双方向性バスを通じて読
み出し専用メモリROMや前記ランダムアクセスメモリ
RAMから呼び出されて前記アプリケーションプログラ
ムの実行に供される。そして、その結果に基づいて、出
力インタフェース回路に電気的に接続されているインジ
ェクタや電磁弁等の各種装置が起動し、内燃機関が駆動
する。
【0011】「流通制御手段」は、例えば熱媒体供給路
または/および熱媒体排出路に設けられた弁体を挙げら
れる。
【0012】「保温性能評価手段」とは、保温容器内の
高温熱媒体が必要に応じて保温容器から昇温必要箇所へ
供給されると、その後、内燃機関の作動により加熱され
新たに高温となった熱媒体を前記保温容器に前記熱媒体
供給路を介して新規に供給し、当該供給の終了とともに
前記保温容器は前記新たに供給された高温熱媒体の保温
を開始し、その一方で前記保温容器からの前記高温熱媒
体の排出開始に併せて保温の停止を行い、前記熱媒体の
保温を開始した時点における熱媒体の温度と前記保温の
開始時点から一定時間が経過した時点における前記熱媒
体の温度との差および前記一定時間に基づいて前記保温
容器の保温性能を評価するように設定した、前記ROM
に記憶されているアプリケーションプログラムおよび当
該アプリケーションプログラムの実行に用いられかつ前
記ROMに記憶されているマップ等を例示できる。
【0013】当該マップとしては、例えば縦軸に前記保
温容器に貯留しておいた前記高温熱媒体の低下温度をと
り、横軸に保温開始後の経過時間をとってなる低下温度
−時間線図を挙げられる。そしてこのマップ内に保温容
器が正常な状態にあることを示唆する領域と、異常であ
ることを示唆する領域とを設け、前記低下温度と経過時
間との交点がそれら領域のうちのどの領域に属するかを
前記アプリケーションプログラムの実行により判定し、
もって保温容器が正常か異常かを判定する。
【0014】なお、前記アプリケーションプログラムや
マップを記憶しているROMの属性はECUにある。よ
って、ECUを保温性能評価手段といってもよい。
【0015】よって、本発明はこのような保温性能評価
手段を有するので、容器の保温機能に異常が発生したこ
とを正確に判定できる。
【0016】なお前記マップの代わりに実験等によって
求めた適宜の関数式をもちいてもよい。
【0017】本発明は、前述した必須の構成要素からな
るが、その構成要素が具体的に以下のような場合であっ
ても成立する。 (2)前記一定時間は、今回内燃機関が作動している期
間中における前記保温容器の保温開始時点から同期間中
における内燃機関の停止時点までの期間としてもよい。 (3)前記第2の温度は、内燃機関の停止時に検出され
ると好適である。
【0018】第2の温度の検出は、機関がまだ作動して
おりもって機関制御回路である例えば前記ECUの作動
中での処理であるから特段の電気装置を設けることなく
保温性の評価ができる。好適には制御回路停止用の遅延
回路を設け、その間に第2の温度の検出を行うとよい。 (4)内燃機関の停止中も作動する計時装置によって前
記第1温度の検出時点を起点とした経過時間を計るとと
もに前記第2温度を前記内燃機関の停止以降に検出する
とよい。
【0019】機関が停止している期間を跨いだ比較的長
時間が経過した場合における保温容器内機関冷却水の温
度推移を検出することができるので、判定精度を高める
ことに通じる。 (5)前記熱媒体排出路にそこを通過する前記熱媒体の
温度を検出する温度センサを備え、前記第2温度は保温
容器に貯留しておいた蓄熱温水を保温容器から前記昇温
必要箇所への供給時に検出することもできる。
【0020】保温容器の外に温度センサが設置され、保
温容器内には温度センサが設置されない形態になる。よ
って、それだけ保温容器の密閉性が高まるので保温容器
の保温性能が高まる。 (6)また、前記一定時間は、今回内燃機関が作動して
いる期間中における前記保温容器の保温開始時点から次
回内燃機関が作動している期間中における所定時点にま
で跨った期間とすることもできる。 (7)外気温を検出する外気温検出手段を備え、この外
気温検出手段により検出された外気温に基づいて前記判
定用数値を補正するようにしてもよい。
【0021】外気温に基づいて判定用数値を補正するの
で保温性能の評価精度が高まる (8)前記第1温度の検出は、機関暖機によって暖めら
れた高温な熱媒体の前記保温容器への供給終了時である
ことが望ましい。
〔第1実施形態〕
【0022】図1〜図8を参照して第1実施形態を説明
する。
【0023】図1は第1実施形態の概略全体図である。
【0024】蓄熱装置1は、熱媒体循環路である周知の
機関冷却水循環路4上に設けられている。
【0025】そして蓄熱装置1は、その構成部材の一つ
である保温容器3に内燃機関の運転中に加熱されて高温
となった熱媒体(高温熱媒体)である機関冷却水(以下
「高温機関冷却水」)を貯留して当該高温状態を維持し
て熱を蓄えておき、必要時、例えば機関始動に先立って
または機関始動直後に前記高温機関冷却水を機関冷却水
循環路4に戻してこれを循環させる装置である。
【0026】また、蓄熱装置1は、始動直前や始動直後
であっても、前記機関冷却水循環路4上に位置する機関
本体2(内燃機関)内に形成したウォータ・ジャケット
や、車輌室内に温風を送るための車室用ヒータ等の昇温
必要箇所(図示せず)の温度を前記循環時に高温機関冷
却水が運ぶ熱により上げる。
【0027】前記保温容器3はそこに貯留した機関冷却
水の温度を長時間保てるように内外二層の壁材間に空間
部を設け、この空間部を真空にして熱の伝導・対流・輻
射の程度が少なくなるようにした魔法瓶のごとき瓶体で
ある。
【0028】保温容器3内には蓄熱空間(図示せず)が
形成され当該空間に前記高温機関冷却水を貯留すること
で図示しない蓄熱室が形成されるようになっている。こ
の蓄熱室に貯留された機関冷却水の温度は、温度センサ
である水温センサ5により検出する。
【0029】保温容器3には、図示しないパイプホルダ
を気密状態で取り付けるための開口を設けてある。
【0030】当該パイプホルダには、前回機関運転をし
た時に確保した高温機関冷却水を機関冷却水循環路4か
ら保温容器3に供給する熱媒体供給路である機関冷却水
供給管13と、高温機関冷却水を保温容器3から機関冷
却水循環路4に排出する熱媒体排出路である機関冷却水
排出管15とを取り付けてある。
【0031】また、これら両管13,15の少なくとも
一方には、前記保温容器3に対して前記両管13,15
を介して出入りする前記機関冷却水の流通制御を行う流
通制御手段としての弁体16を備えている。なお、この
実施形態では、機関冷却水排出管15に弁体16を配置
したものを示す。
【0032】そして蓄熱装置1は、既述のようにウォー
タジャケット以外にも例えば車室用ヒータの温度を上げ
ることもできる装置であるが、説明を簡単にするために
本実施形態では、車室用ヒータその他の昇温必要箇所は
省略し、ウォータジャケットを有する機関本体2と蓄熱
装置1の保温容器3とを機関冷却水供給管13および機
関冷却水排出管15で連結した状態で機関冷却水循環路
4上に蓄熱装置1が設けられたものとして例示する。
【0033】また機関冷却水排出管15は、その途中で
あって弁体16よりも保温容器3寄りの箇所に電動ウォ
ータポンプ18を有する。この電動ウォータポンプ18
を作動することで、機関冷却水は、保温容器3→機関冷
却水排出管15→機関本体2のウォータジャケット(図
示せず)→機関冷却水供給管13→保温容器3の順で循
環する。
【0034】また、前記水温センサ5,弁体16,電動
ウォータポンプ18は、蓄熱装置1専用の制御を行う蓄
熱ECU19と電気的に接続されている。
【0035】なお、蓄熱ECU19の代わりに内燃機関
全体の制御を行う図示しないエンジンECUでも適用で
きる。
【0036】エンジンECUを適用した場合において、
電動ウォータポンプ18は、内燃機関が作動していなけ
れば単独で作動する。しかし、内燃機関が作動していれ
ば電動ウォータポンプ18はエンジンウォータポンプ
(図示せず)の補助ポンプとして機能する。ただし、内
燃機関の作動の有無に無関係に必要時には電動ウォータ
ポンプ18を単独で作動させるようにしてもよい。この
実施形態では電動ウォータポンプ18を単独で作動させ
る場合について例示する。
【0037】次に蓄熱ECU19について述べる。
【0038】蓄熱ECU19はデジタルコンピューター
からなり、周知の図示しない以下の構成要素からなる。
【0039】すなわち、蓄熱ECU19は、双方向性バ
スによって互いに接続したROM(読み出し専用メモ
リ),RAM(ランダムアクセスメモリ),CPU(中
央処理制御装置),入力インタフェース回路および出力
インタフェース回路を少なくとも具備する。
【0040】入力インタフェース回路は、内燃機関や車
輌に取り付けられた各種センサと電気的に接続されてい
る。そして、これら各種センサの出力信号が入力インタ
フェース回路からECU内に入ると、これらのパラメー
タはランダムアクセスメモリRAMに一時的に記憶され
る。
【0041】また、読み出し専用メモリROMには各種
アプリケーションプログラムや各種マップが記憶されて
いる。そして、内燃機関の作動状態に応じてCPUが前
記アプリケーションプログラムを実行すると、その時々
に応じて前記マップや各種パラメータが双方向性バスを
通じて読み出し専用メモリROMや前記ランダムアクセ
スメモリRAMから呼び出されて前記アプリケーション
プログラムの実行に供される。
【0042】その結果に基づいて、出力インタフェース
回路に電気的に接続されているインジェクタや電磁弁,
前記弁体16等の各種装置が起動して内燃機関を駆動す
る。
【0043】そして前記蓄熱装置1に異常がないかどう
かを有効に判断するに必要な次に述べるアプリケーショ
ンプログラムも前記ROMに含まれている。
【0044】当該アプリケーションプログラムを図2〜
図6を参照して述べる。
【0045】まず図4は蓄熱装置1の異常判定実行用の
アプリケーションプログラムを説明するためのフローチ
ャートである。
【0046】また、図2および図3は、図4のフローチ
ャートに係るアプリケーションプログラム実行の前段階
として必要な情報を得るためのアプリケーションプログ
ラム説明用のフローチャートである。
【0047】さらに、図5は図4での判定にあたって呼
び出されるマップである。
【0048】これら図2〜図4のフローチャートおよび
図5のマップは、保温容器3の保温性能を評価する保温
性能評価手段として機能する。
【0049】また、前記アプリケーションプログラムや
マップを記憶しているROMの属性は蓄熱ECU19に
ある。よって、蓄熱ECU19を保温性能評価手段とい
ってもよい。
【0050】保温性能評価手段としての蓄熱ECU19
は、次のようにして保温容器3の保温性能を評価する。
【0051】保温容器3から機関冷却水排出管15を介
して前記昇温必要箇所へ高温機関冷却水を排出すると、
やがて内燃機関の作動による暖機によって加熱されて高
温となったウォータジャケット内の高温機関冷却水が機
関冷却水供給管13を介して保温容器3へ新たに供給さ
れるようになる。
【0052】保温容器3は、前記高温機関冷却水の供給
が終了すると保温を開始するが、一方、保温容器3から
高温機関冷却水の排出が開始すると保温の停止を行う。
そして、高温機関冷却水の保温容器3による保温開始時
点における前記高温機関冷却水の温度と、前記保温開始
時点から一定時間が経過した時点における機関冷却水の
温度との差(温度差)および前記一定時間に基づいて、
保温容器3の保温性能を保温性能評価用に用意された前
記マップを用いて評価する。なお、一定時間の定義につ
いては図2のアプリケーションプログラムの説明で述べ
る。
【0053】図6は、保温容器3の状態と内燃機関の状
態とを経時的に示し、図2〜図4を理解するための参考
図である。
【0054】なお、図2および図3のフローチャート
は、本来であれば同一の紙面にまとめて示すべきもので
あるが、紙面のスペースの関係で分断してある。図2に
示す(1)の符号および図3に示す(1)の符号は、処
理の移行先を案内するための符合であり、図2での処理
を行った後の図3における移行先を示唆する。なお他の
実施形態についてもフローチャートが分断されている場
合は同様の取扱いとする。
【0055】以下図2〜図8に基づいて詳しく述べる。
【0056】図2のアプリケーションプログラムは、ス
テップ101aから始まる複数のステップから構成され
る。また、これらのステップからなるプログラムは蓄熱
ECU19のROMに記憶されており、必要に応じて呼
び出される。前記各ステップにおける処理は、すべて蓄
熱ECU19のCPUによる。なお、記号Sを用い、例
えばステップ101であればS101と省略して示す。
当該内容については、後述する他のアプリケーションプ
ログラムについても同様の扱いとする。
【0057】内燃機関の始動後、処理がこのルーチンに
移行すると、S101aでは、蓄熱装置1の保温容器3
に貯留することで蓄熱されていた高温機関冷却水(以下
「蓄熱温水」と表記する。)を保温容器3から昇温必要
箇所へ向けて排出し、当該排出によって早期暖機に寄与
する。
【0058】それゆえ弁体16を開きかつ電動ウォータ
ポンプ18を作動する。
【0059】前記高温機関冷却水の排出開始は、保温容
器3による蓄熱温水の保温停止を意味する(図6参
照)。
【0060】また、蓄熱装置1は、既述のように機関暖
機の効率を高めたり、車室用ヒータの効きを高めたりす
る早期暖機実行用装置であり、それ故、蓄熱装置1は、
蓄熱温水を機関冷却水の循環系に戻し、これを電動ウォ
ータポンプ18によって循環させてウォータ・ジャケッ
トや車室用ヒータその他の昇温必要箇所に送る。そして
保温容器3に貯留しておいた蓄熱温水を保温容器3から
排出するには、それに相当する量の機関冷却水をウォー
タジャケットから保温容器3に供給する必要がある。
【0061】なお、本実施形態では、機関冷却水排出管
15に電動ウォータポンプ18を設けてあるので、電動
ウォータポンプ18は保温容器3に対して下流側に位置
する。よって保温容器3の蓄熱温水が保温容器3から吸
い出されるようになる。
【0062】これに対して、電動ウォータ・ポンプ18
を機関本体2と保温容器3とを結ぶ機関冷却水供給管1
3に設けることもできる。その場合、電動ウォータポン
プ18は保温容器3に対して上流側に位置する。よって
この場合、保温容器3の蓄熱温水が保温容器3から押し
出されるようになる。
【0063】そして早期暖機実行時において、ウォータ
ジャケットから保温容器3に流れる機関冷却水は保温容
器3に貯留されていた蓄熱温水よりもかなり低温であ
る。よって、既述のごとく保温容器3の蓄熱温水が保温
容器3から押し出されまたは吸い出されることにより保
温容器3に貯留してあった蓄熱温水を昇温必要箇所に流
出させた後もウォータジャケットから保温容器3に向け
た低温な機関冷却水の流れを阻止しないと、当該低温の
機関冷却水が保温容器3を経由して前記昇温必要箇所に
送られてしまうようになる。すると前記低温な機関冷却
水によって昇温必要箇所の温度が下がってしまい、先に
昇温必要箇所に蓄熱温水を送った意味がなくなってしま
う。
【0064】そこでS101bでは保温容器3がその中
に入っていた蓄熱温水を十分排出するに要する時間、言
い換えると保温容器3を機関冷却水で満たすに十分な時
間、例えば30sec経過したかどうかの判定を行い、
肯定判定した場合はS101cに進み、否定判定した場
合は本ルーチンを繰り返す。なお前記例示した30se
cを前記排出開始からの第1の所定時間という(図6参
照)。なお、第1の所定時間を以降「第1所定時間」と
いう。
【0065】第1所定時間は保温容器3の容量や保温容
器3が搭載される車輌の種類、内燃機関の排気量の大き
さ、電動ウォータポンプの容量等によって最適な量に設
定される。
【0066】しかして、S101cでは、電動ウォータ
ポンプ18を停止し、かつ弁体16を閉じることにより
保温容器3からの蓄熱温水の排出を終了する(図6参
照)。蓄熱温水の排出終了により、ウォータジャケット
等の昇温必要箇所の温度が高まる。蓄熱温水を昇温必要
箇所に供給すると、その分ウォータジャケットからは保
温容器3に向けて比較的低温な機関冷却水が流れ込み、
保温容器3内に一旦貯留される。
【0067】その後、機関暖機によって機関冷却水の温
度が十分に上昇した時点で今度は高温の機関冷却水を改
めて保温容器3に供給貯留しておき、蓄熱温水を次に昇
温必要箇所に供給する必要がある時のために準備してお
く。
【0068】このためにまず行うステップがS101で
ある。本ステップではウォータジャケット内の機関冷却
水温が所定温度、例えば80°Cよりも高いかどうかを
判定する。この所定温度は、機関冷却水温が当該所定温
度よりも低い場合には、前記昇温必要箇所を昇温するに
有効な蓄熱を保温容器3でできないことを意味する。
【0069】そして内燃機関の始動時であって保温容器
3から昇温必要箇所への蓄熱温水供給後、機関冷却水温
度が暖機によって前記所定温度(80°C)になるまで
に要する時間が、図6のBである。当該時間Bの間、保
温容器3内には前記比較的低温な機関冷却水が貯留さ
る。時間Bは、保温容器3の容量や保温容器3が搭載さ
れる車輌の種類、内燃機関の排気量の大きさ等によって
異なり、時間Bが経つと保温容器3は所定量(例えば満
水)になる。
【0070】S101で肯定判定した場合は、S102
に進み、否定判定した場合は、ウォータジャケット内の
機関冷却水温が所定温度になるまでこのルーチンを繰り
返す。
【0071】またS101で肯定判定した場合は暖機が
終了したことを意味する。
【0072】S102では機関冷却水供給管13を介し
て機関本体2のウォータジャケットから保温容器3に向
けて高温機関冷却水の供給を開始する(以下「保温容器
3への温水供給開始」という。)。そのため弁体16を
開き、電動ウォータポンプ18を作動する。
【0073】なお、保温容器3に向けた高温機関冷却水
の供給開始は、それまで保温容器3に貯留されていた、
換言すれば前記時間Bの間に保温容器3に貯留された比
較的低温な機関冷却水の前記保温容器3からの排出開始
を意味する。この低温の機関冷却水は機関冷却水排出管
15を経由して昇温必要箇所にも流れるが、すでにこの
時は機関暖機が終了しているので(S101で肯定判定
した場合参照)、保温容器3に貯留しておいた低温の機
関冷却水を保温容器3から排出しても、機関冷却水の温
度、延いては昇温必要箇所の温度がそれによって極端に
低下してしまうことはない。またこれを防止すべく保温
容器3の容量やウォータジャケットの容量等は予め設定
されている。
【0074】上記の説明より、保温容器3から昇温必要
箇所へ蓄熱温水を必要に応じて供給するタイミング(S
101a参照)と、当該供給後、前記昇温必要箇所に蓄
熱温水を次回供給する時のために、暖機によって高温と
なった機関冷却水をウォータジャケットから保温容器3
に供給するタイミング(S102)とは異なることがわ
かる。
【0075】S103では保温容器3への温水供給開始
から第2の所定時間(以降「第2所定時間」とい
う。)、例えば30sec経過したかどうかの判定を行
い、肯定判定した場合はS104に進み、否定判定した
場合はS102に戻り第2所定時間が経過するまでこの
ルーチンを繰り返す(図6に示す第2所定時間参照)。
【0076】第1所定時間は、十分に暖機されていない
機関冷却水で保温容器3を満たすに十分な時間であっ
た。第2所定時間にあっても、暖機によって所定温度
(前記80°Cで例示)以上になった機関冷却水で保温
容器3を満たすに十分な時間が好ましい。これは当該所
定温度以上になった機関冷却水によってそれまで保温容
器3に入っていた前記低温な機関冷却水を保温容器3か
ら完全に流出させるためである。よって供給される機関
冷却水の方が保温容器3の容積よりも幾分多い方が好適
である。なお本明細書では第2所定時間と第1所定時間
とは説明を簡単にするために同じ時間量としてあるが必
要に応じて違えてもよいのは勿論である。また、図6に
おける保温容器の状態を示す部分において第1所定時間
および第2所定時間に相当する部分には斜線を付してあ
る。
【0077】S104では第2所定時間が経過したこと
が前提であるので保温容器3への高温機関冷却水の供給
を終了する(以下「温水供給終了」という。)。そのた
めに電動ウォータポンプ18の作動を停止し、弁体16
を閉じる。当該温水供給終了時点は保温容器3による機
関冷却水の保温開始時点に等しい。この保温開始から前
記保温停止までの期間が蓄熱装置1の保温容器3による
保温中ということになる(図6参照)。なお、保温中以
外の部分(第1所定時間,時間Bおよび第2所定時間を
合算した時間領域)は、保温容器3内に高温機関冷却水
が充填されていない状態にある期間すなわち非保温中を
意味する。
【0078】S105では保温容器3内の機関冷却水の
温度を水温センサ5で検出する。このS105で検出し
た検出値が、保温容器3による高温機関冷却水の保温開
始時点における温度である。そして当該検出値を便宜
上、第1の温度(以降特に断らない限り「第1温度」と
いう。)Taというとともに保温開始時点は第1温度T
a検出時点ということにする。
【0079】S106ではS104で始まった保温開始
時点を起点として保温容器3内の高温機関冷却水の保温
時間について蓄熱ECU19内に設けられた図示しない
時計回路によりカウントする。
【0080】この時計回路は内燃機関が作動している期
間中に作動して前記第1および第2の各所定時間や前記
後述するとした一定時間をもカウントする。
【0081】S107では内燃機関が停止したかどう
か、すなわちイグニッションスイッチを切ったかどうか
を判定し、肯定判定した場合はS108に進み、否定判
定した場合は、内燃機関が停止するまでこのルーチンを
繰り返す。
【0082】S108では内燃機関が停止した時点にお
ける保温容器3内の高温機関冷却水の温度を検出し、当
該検出値を符合Tbで示す。この検出値Tbのことを便
宜上、今回、内燃機関が作動している期間(以下「今回
内燃機関作動期間」という。)における機関停止時の機
関冷却水温度、または前記第1温度Taに対して第2の
温度(以降特に断らない限り「第2温度」という)Tb
という。さらに、この第2温度Tbを内燃機関の停止時
水温(以下「機関停止時水温」という。)といってもよ
い。
【0083】また、前回、内燃機関が作動している期間
および次回、内燃機関が作動している期間のことをそれ
ぞれ便宜上「前回内燃機関作動期間」および「次回内燃
機関作動期間」ということにする。
【0084】加えて前回内燃機関作動期間,今回内燃機
関作動期間および次回内燃機関作動期間の始めおよび終
わりの部分は、それぞれ機関始動時および機関停止時を
意味する(図6参照)。機関停止の時点は第2温度Tb
の検出時点ということもできる。そして前回,今回およ
び次回内燃機関作動期間以外の期間は内燃機関が停止し
ている期間であり、これを機関停止期間と呼称する。
【0085】さらに、例えば今回内燃機関作動期間およ
び次回内燃機関作動期間で説明すれば、今回内燃機関作
動期間の途中で保温容器3の保温が開始され、次回内燃
機関作動期間の途中で保温容器3の保温が終了する。
【0086】S109ではS106で開始したカウント
を終了する。このときのカウント値、すなわち今回内燃
機関が作動している期間中における前記保温容器の保温
開始時点から同期間中における内燃機関の停止時点まで
の期間(経過時間)を一定時間:Timeとする(図6
に示す一定時間(Time)参照)。当該一定時間(T
ime)は内燃機関の作動時間に比例して一定に決ま
る。
【0087】S110ではS107でイグニッションス
イッチが切られたので蓄熱ECU19がOFFになる。
その後、本ルーチンを終了する。
【0088】次に図4のフローチャートに係るアプリケ
ーションプログラムについて説明する。
【0089】図4のフローチャートに係るアプリケーシ
ョンプログラムは、S107で内燃機関を停止してから
後、次にイグニッションスイッチを入れただけで蓄熱装
置1に異常があるかどうかを判定するためのプログラム
であり、次に述べるS201乃至S203から構成され
ている。
【0090】S201ではS110で停止していた蓄熱
ECU19の電源がイグニッションスイッチを入れるこ
とによりONになる。換言するとイグニッションスイッ
チを入れることにより内燃機関が始動しそれに併せて蓄
熱ECU19の電源が入る。
【0091】S202では、図2および図3のアプリケ
ーションプログラムで求めたTa,Tb,Timeに基
づいて図5のマップを適用することで、保温容器3の保
温特性の異常判定を行う。
【0092】ここで図5のマップについて述べる。
【0093】当該マップは、縦軸にS105で求めたT
aとS108で求めたTbとの差(Ta−Tb)、換言
すれば保温容器3内に機関冷却水を貯留しておいた場合
に機関冷却水が低下する温度:低下温度(Ta−Tb)
をとり、横軸にS109で求めた時間Timeをとって
なる低下温度−時間線図である。
【0094】そしてこのマップ内に保温容器が正常な状
態にあることを示唆するOK領域と異常であることを示
唆するNG1,NG2領域とを実験によって求めてお
き、前記低下温度(Ta−Tb)と前記時間Timeと
の交点がそれらの領域のうちのどの領域に属するかによ
って蓄熱装置1が正常か異常かを判定する。なお、前記
交点がNG1領域にある場合は、異常の原因が保温容器
3の保温性能にあると判定し、交点がNG2領域にある
場合は、異常の原因が水温センサにあると判定する。
【0095】なお、図5の太い実線は前記各領域の境界
ラインであり、この境界ラインとの比較により前記交点
が当該境界ラインのどちら側に位置するかによって保温
容器3が正常か異常かの判定がなされる。このため、こ
の線のことを判定ラインということにする。よって判定
ライン上の数値は、第1温度Taを検出した時点からの
経過時間に応じて予め設定された判定用数値に他なら
ず、当該数値は実験や演算によって求める。
【0096】一方、機関冷却水の温度は外気温によって
多分に変化するので、これを無視して保温容器3が異常
かどうかを判定するのは得策ではない。すなわち吸気温
と機関冷却水の温度とはある程度比例した関係にあるの
で、本実施形態に係る蓄熱装置1を備えた内燃機関搭載
車輌を使用する季節や地域によって前記判定ラインの位
置を変化させることが好ましい。
【0097】例えばROMに判定ラインの異なる複数の
マップを記憶しておき、吸気の温度が異なるごとに使用
するマップを使い分ける。例えば、常温(15°C)よ
りも外気温が低くよって内燃機関の吸気温も低いことが
適宜の外気温検出手段、例えば外気温センサ6で判明し
た場合は、判定ラインを図7に示すように二点鎖線の状
態から実線の状態にまで嵩上げをしたものを用いて判定
値の補正をするとよい。よってその場合、外気温センサ
6を用いて外気温を検出し、その検出値に基づいて使用
するマップをどれにするか決めるとよい。
【0098】また、図8に示すようにNG2領域を画成
する判定ライン(2つある判定ラインのうち下側にある
ライン参照。)を経過時間に対して変化させたマップを
用いることも考えられる。
【0099】話をS202の説明に戻す。
【0100】S202で異常ありの判定をした場合はS
203に進み、異常なしの判定をした場合は異常がない
のにこのルーチンを続行する意味がないので、本プログ
ラムを終了する。
【0101】S203では、ドライバ等のユーザに蓄熱
装置1に異常があることを報せる。例えば、キャビン内
に設けられた図示しない、表示灯の点滅させたり警報装
置の発信音を鳴らしたり等、警報手段を作動させること
で蓄熱装置1に異常があることをユーザに報せる。
【0102】なお、内燃機関を少しの間だけ作動した場
合、すなわち、前記一定時間Timeが短い場合(例え
ば機関始動後あまり時間が経たないうちに機関を停止す
るような場合)は、低下温度(Ta−Tb)が少なく保
温性能の異常判定が正確にできない虞があるので、誤判
定を防止する意味で異常有無の判定は行わない。
【0103】反対に、前記一定時間Timeが数時間
(例えば12時間)以上経過して誤判定の虞がない場合
は、内燃機関がその作動を停止していなくても保温容器
3について異常有無の判定を行うのが好ましい。前記誤
判定の虞なしと判断できる時間Timeは、実験によっ
て求める。
【0104】また、マップの代わりに適宜の関数式を用
いてもよい。
【0105】本発明者の実験によれば不等号を用いた次
の関数式(1)を用いると好適であることがわかってい
る。
【0106】この場合、演算によって求められた値が判
定値よりも大きければ保温容器3に異常ありと判定す
る。ただし、判定値とは実験によって予め求めておいた
値とする。
【0107】低下温度(Ta−Tb)の(3/4)乗/
一定時間Time>判定値
【0108】・・・(1) 〔第1実施形態の作用効果〕
【0109】次にこのような蓄熱装置1を有する内燃機
関の作用効果について述べる。
【0110】蓄熱装置1を有する内燃機関では、機関始
動直後、保温容器3に貯留しておいた蓄熱温水を機関冷
却水の循環系に戻して早期暖機の実行に供する。このと
き保温容器3に貯留しておいた蓄熱温水を保温容器3か
ら排出するには、それに相当する量の機関冷却水をウォ
ータジャケットから機関冷却水供給管13を経由して保
温容器3に供給する必要がある。本実施形態では、機関
冷却水排出管15に電動ウォータポンプ18を設けてあ
るので、電動ウォータポンプ18が作動すると保温容器
3の蓄熱温水が保温容器3から吸い出されるようにな
り、その結果ウォータジャケットから保温容器3に機関
冷却水が流入するようになる。
【0111】しかして、既述のように、この時ウォータ
ジャケットから保温容器3に流れる機関冷却水は保温容
器3に貯留しておいた蓄熱温水よりもかなり低温である
からこの低温の機関冷却水までも前記昇温必要箇所に送
られてしまったのでは十分な暖機を得られなくなること
が考えられる。
【0112】そこで、蓄熱温水を保温容器3から排出す
ると、その後、機関暖機が完了して機関冷却水の温度が
十分上昇した時点で高温の機関冷却水を改めて保温容器
3に供給しなおすようにして、昇温必要箇所に次回蓄熱
温水を供給する必要がある時のために準備しておく。
【0113】また、本実施形態では、前記高温機関冷却
水の保温を開始した時点における機関冷却水の温度Ta
と前記保温の開始時点から一定時間が経過した時点にお
ける機関冷却水の温度Tbとの差(Ta−Tb)および
前記一定時間Timeに基づいて、換言すれば、前記保
温容器3に貯留されている熱媒体に係る、第1温度およ
びこの第1温度の検出時点から一定時間Timeが経過
した時点における第2温度の差(Ta−Tb)と前記一
定時間Timeとに基づいて、低下温度−時間線図であ
る前記マップを利用して、保温容器3の保温性評価、換
言すれば保温容器3に異常があるかないかの判定をす
る。
【0114】したがって、保温容器3の保温機能に異常
が発生したことを正確に判定できる。また、この判定結
果を警報手段によりドライバ等のユーザに即座に報せる
ことができる。
【0115】さらに、第2温度の検出は、機関がまだ作
動しておりもって機関制御回路である例えば前記蓄熱E
CU19の作動中での処理であるから、特段の電気装置
を設けることなく保温性の評価ができるが、好適には制
御回路停止用の遅延回路を設け、その間に第2の温度の
検出を行うとよい。 〔第2実施形態〕
【0116】次に第2実施形態に係る蓄熱装置を有する
内燃機関を図9〜図13を参照して説明する。
【0117】この第2実施形態に係る蓄熱装置を有する
内燃機関が第1実施形態に係る蓄熱装置を有する内燃機
関と異なる点は、保温性能評価手段の中身,一定時間の
長さおよびその捉え方、ならびに時計回路を蓄熱ECU
19から独立して設けたこと、よって内燃機関が作動し
ていない時でもバッテリからの電力供給を受けて当該時
計回路が作動すること、および第2温度Tbの検出時点
にある。
【0118】したがって、他の同一部分には第1実施形
態で付したと同一符合を付して説明は省略する。
【0119】図9は、第2実施形態の概略全体図であ
る。
【0120】また、図9に符合21および23で示すも
のは、それぞれ前記時計回路およびバッテリである。
【0121】次に図10〜図12を参照して、第2実施
形態に係る蓄熱装置1に異常がないかどうかを有効に判
断するに必要なアプリケーションプログラムについて説
明する。
【0122】まず図10は、第1実施形態に係る図6に
相当し、保温容器3の状態および内燃機関の状態を時間
経過とともに示す。よって、図10は、図11および図
12のフローチャートで説明するアプリケーションプロ
グラムを理解するための参考図である。
【0123】図12は蓄熱装置1の異常判定実行用のア
プリケーションプログラムを説明するためのフローチャ
ートを示し、図11は図12の前段階として必要な情報
を得るためのアプリケーションプログラムを説明するた
めのフローチャートである。また図13は図12に係る
アプリケーションプログラムの実行にあたりCPUによ
って呼び出されるマップであり、第1実施形態の図5と
実質同じである。
【0124】しかして図11および図12のアプリケー
ションプログラムおよび図13のマップは、保温容器3
の保温性能を評価する保温性能評価手段として機能す
る。なお、本実施形態に係る前記アプリケーションプロ
グラムやマップを記憶しているROMの属性は蓄熱EC
U19にある。よって、第2実施形態にあってもその蓄
熱ECU19を第1実施形態の場合と同様に保温性能評
価手段といえる。
【0125】第2実施形態に係る蓄熱ECU19は前記
各アプリケーションプログラムの各ステップを経て保温
容器3の保温性能を評価する。
【0126】図11のフローチャートで示すアプリケー
ションプログラムには、第1実施形態に係る図2および
図3と重複するステップがあるので、同一のステップに
は同一のステップ番号を付して説明は省略する。
【0127】まず、図11において内燃機関の始動後、
処理がこのルーチンに移行し、S101a〜S105の
処理が終了すると、S206では第2所定時間(S10
3参照)、例えば30secが経過した時の日時をRO
Mに記憶しておく。そして当該日時を保温開始日時(便
宜上、既述した第2所定時間の経過日時ともいうことに
する)Date1として取り扱い、その後処理を終了す
る。
【0128】その後は、イグニッションスイッチが切ら
れて機関が停止し、今回内燃機関作動期間が終了すると
ともに畜熱ECU19の電源がOFFになる。併せて保
温容器3による高温機関冷却水の保温が開始される。
【0129】次に図12のフローチャートに係るアプリ
ケーションプログラムについて説明する。
【0130】図12のフローチャートに係るアプリケー
ションプログラムは、S21〜S25のステップからな
る。
【0131】イグニッションスイッチを入れるとそれと
同時にS21で蓄熱ECU19の電源がONになる。
【0132】S22では、保温容器3から昇温必要箇所
へ向けた蓄熱温水の排出を開始する。これは同時に既述
のごとく保温容器3による高温機関冷却水の保温停止を
意味する。この時の保温容器内機関冷却水の温度を検出
しこれをTbとしてROMに記憶する。
【0133】またS23では、その時の日時を保温停止
日時(便宜上、既述した第1所定時間の開始日時ともい
うことにする)Date2としてROMに記憶してお
く。
【0134】S24では図11および図12のアプリケ
ーションプログラムで求めたTa,Tb,Date1お
よびDate2に基づいて図13のマップを用いて保温
容器3の保温特性の異常判定を行う。
【0135】ここで図13のマップについて述べる。
【0136】当該マップは、既述のごとく第1実施形態
に係る図5に相当するもので、縦軸に図11のS105
で求めたTaと図12のS22で求めたTbとの差(T
a−Tb)、換言すれば保温容器3内に機関冷却水を貯
留しておいた場合に機関冷却水が低下する温度:低下温
度(Ta−Tb)をとり、横軸に図12のS23で求め
たDate2と図11のS206で求めたDate1と
の差(Date2−Date1)、換言すれば保温容器
3への高温機関冷却水の供給終了後、次に昇温必要箇所
に保温容器3から蓄熱温水の排出を開始するまでの時間
差をとってなる低下温度−時間差線図を挙げられる。
【0137】そしてこのマップ内に保温容器が正常な状
態にあることを示唆するOK領域と異常であることを示
唆するNG1,NG2領域とを実験によって定め、前記
低下温度(Ta−Tb)と時間差(Date2−Dat
e1)との交点がそれら領域のうちのどの領域に属する
かをS24で判定し、もって蓄熱装置1が正常か異常か
を判定する。なお、交点が領域NG1にある場合は、異
常の原因が保温容器3の保温性能にあると判定し、交点
が領域NG2にある場合は、異常の原因が水温センサに
あると判定する。
【0138】なお、図13の太い実線は前記各領域の境
界ラインであり、この境界ラインのどちら側に前記交点
が位置するかによって保温容器3が正常か異常かの判定
がなされる。このため、この線のことを判定ラインとい
うことは第1実施形態で述べたと同様である。
【0139】話を図12のフローチャートに戻す。
【0140】S24で異常ありの判定をした場合はS2
5に進み、異常なしの判定をした場合はこのルーチンを
終了する。
【0141】S25では表示灯の点滅や警報音の発信等
の警報手段を作動してユーザに蓄熱装置1に異常がある
ことを報せる。
【0142】さらに、第1実施形態に係る図7および図
8に相当する低下温度−時間線図の適用も、それらの横
軸を時間差:Date2−Date1に変更することで
可能である。 〔第2実施形態の作用効果〕
【0143】この第2実施形態にあっても第1実施形態
と同様、保温容器3の保温機能に異常が発生したことを
正確に判定し、ドライバ等のユーザに即座に報せること
ができる。
【0144】加えて図10について説明すると、第2実
施形態では、第1実施形態と同様、一定時間(Date
2−Date1)が第1実施形態のそれよりも長く、当
該一定時間(Date2−Date1)は、今回内燃機
関が作動している期間中における前記保温容器3の保温
開始時点から次回内燃機関が作動している期間中におけ
る保温停止時点にまで跨った期間である。
【0145】当該一定時間(Date2−Date1)
は、経過時間を2点間の差分として計測したものであ
る。このため、経過時間を連続して測定する必要がな
い。この結果、蓄熱ECU19を機関停止中も作動させ
る必要がない。この結果、バッテリへの負担をそれだけ
軽減できる。このようにできるのは、内燃機関の停止中
も作動する計時装置である時計回路21を蓄熱ECU1
9から独立して設け、当該時計回路21には機関停止期
間中でもバッテリ23からの電力供給を受けられるよう
にしているからである。
【0146】また、内燃機関が停止している期間を跨い
だ比較的長時間が経過した場合における保温容器内機関
冷却水の温度推移がわかるので、判定精度を高めること
に通じる。 〔第3実施形態〕
【0147】次に第3実施形態に係る蓄熱装置を有する
内燃機関について図14乃至図18を参照して説明す
る。
【0148】この第3実施形態に係る蓄熱装置を有する
内燃機関が第2実施形態に係る蓄熱装置を有する内燃機
関と異なる点は、水温センサ5の取付け位置が保温容器
3ではなく機関冷却水排出管15に取付けられている
点、保温性能評価手段の中身および一定時間の長さなら
びに第2温度Tbの検出時点にある。よって、他の同一
部分については同一符合を図面に付してそれらの説明は
省略する。
【0149】図14は、第3実施形態の概略全体図であ
る。
【0150】図14では機関冷却水排出管15に水温セ
ンサ5を取付けられている。
【0151】図15は、第1実施形態の図6や第2実施
形態の図10に相当する。よって図15は、保温容器3
の状態および内燃機関の状態を時間経過とともに示した
ものである。したがって、図15も第3実施形態に係る
蓄熱装置1に異常がないかどうかを有効に判断するに必
要なアプリケーションプログラムについて説明するため
の図16および図17に示すフローチャートの参考図と
いえる。ここで、水温センサ5を機関冷却水排出管15
に設けた理由を述べる。
【0152】それは保温容器3内における機関冷却水の
温度が必ずしも一定でないからである。
【0153】すなわち、いくら保温容器3に機関冷却水
を入れたとしても時間経過とともに機関冷却水の温度は
低下して行き、また保温容器3に貯留されている高温機
関冷却水のうち上部に位置する高温機関冷却水ほど温度
は高くなり、下部に位置する高温機関冷却水ほど温度が
低くなる傾向にあるからである。
【0154】よって保温容器3の上下方向における複数
箇所に水温センサ5を設置しておき、それらの示す温度
の平均値をとるならば機関冷却水の平均水温を測定する
ことができるが、水温センサ5を保温容器3の内部に設
けると、水温センサ5の配線を伝って熱が外部へ逃げて
しまうため保温性能上好ましくない。
【0155】また、水温センサ5の数が増えればそれだ
け手間暇がかかり、コスト的にも好ましくない。
【0156】そこで、機関冷却水排出管15に水温セン
サ5を取り付ける。
【0157】そして、暖気終了後、高温機関冷却水の保
温容器3へ向けた供給開始から前記第2所定時間が経過
するまでの間において、機関冷却水排出管15に流出す
る機関冷却水が有する温度のうち最高温度を水温センサ
5で検出し、この検出値を保温容器3内の機関冷却水温
度としてROMに記憶し、これを第1実施形態で述べた
Ta扱いとするともに符号Tamaxで示す。
【0158】また、機関始動時等、早期暖機必要時に保
温容器3から昇温必要箇所へ蓄熱温水を供給する場合に
おいても同様、保温容器3から機関冷却水排出管15を
経由して前記昇温必要箇所に供給される機関冷却水の最
高温度をTbmaxとして検出し、これを第2温度Tb
扱いとする。
【0159】ただし、第2実施形態のTbは保温容器3
内の機関冷却水温度であったが、本実施形態のTbは保
温容器3から流出した機関冷却水の機関冷却水排出管1
5における機関冷却水温度である。
【0160】そしてこれらTamaxおよびTbmax
の差である低下温度(Tamax−Tbmax)を求
め、第1実施形態で述べたと同様なマップを用いて保温
容器の異常有無の判定を行う。
【0161】また、この第3実施形態では、第2実施形
態と同様、一定時間(Date2−Date1)が第1
実施形態のそれよりも長く、当該一定時間(Date2
−Date1)は、今回内燃機関が作動している期間中
における前記保温容器3の保温開始時点から次回内燃機
関が作動している期間中における所定時点にまで跨った
期間である。
【0162】次に図15〜図18を参照して第2実施形
態に係る蓄熱装置1に異常がないかどうかを有効に判断
するに必要なアプリケーションプログラムを述べる。
【0163】図18は蓄熱装置1の異常判定実行用のア
プリケーションプログラムを説明するためのフローチャ
ートを示し、図16および図17は図18の前段階とし
て必要な情報を得るためのアプリケーションプログラム
を説明するためのフローチャートである。また図19は
図18での判定にあたってCPUによって呼び出される
マップであり、第1実施形態の図5や第2実施形態の図
13に相当する。
【0164】これら図16〜図18のアプリケーション
プログラムおよび図19のマップは、保温容器3の保温
性能を評価する保温性能評価手段として機能する。な
お、本実施形態に係る前記アプリケーションプログラム
やマップを記憶しているROMの属性は蓄熱ECU19
にある。よって、第3実施形態についてもその蓄熱EC
U19を第1実施形態や第2実施形態の場合と同様に保
温性能評価手段といってもよい。
【0165】図16および図17のフローチャートで示
すアプリケーションプログラムは、第2実施形態と同
様、第1実施形態に係る図2と重複する部分があるの
で、それらと同一のステップ部分には同一のステップ番
号を付して説明は省略する。
【0166】まず、図16において内燃機関の始動後、
処理がこのルーチンに移行し、S101a〜S102の
処理が終了するとS303では保温容器3の出口、すな
わち機関冷却水排出管15に保温容器3から流れ出たば
かりの機関冷却水の温度を水温センサ5で検出する。
【0167】S303で検出した最初の検出値が、保温
容器3に貯留されていた機関冷却水の最初の温度であ
る。よって当該検出値をTaとするとともに、当該温度
が当該時点における検出値の最初の値となる。したがっ
て、当該検出値Taは当該時点における出口水温の最高
温度でもある。よってS303で求めた最初の出口水温
Ta(以降第3実施形態では特に断らない限り、S30
3で求めた最初の出口水温Taのことを「初期値Ta
1」という場合がある。)は符合Tamaxとして取り
扱う。
【0168】なお、便宜上フローチャートでは当該取扱
いを"TaをTamaxへ代入"として示す。ただし、出
口水温Taは初期値Ta1に限られることなく機関冷却
水が保温容器3から流出している間において変化する。
【0169】これは、保温容器3に貯留されている機関
冷却水の温度が既述のように一定でないからからであ
る。
【0170】しかして、時間の経過とともに今回内燃機
関作動期間中において暖機によって高温化された機関冷
却水が機関本体2のウォータジャケットから保温容器3
に流れてくるので、当該高温の機関冷却水が保温容器3
に占める割合が次第に増大して行く。したがって、それ
に連れて出口温度Taも高温となる。その結果、出口水
温Taは、初期値Ta1よりも高温のTaになりよって
温度Taの変化に応じてTamaxの値も入れ替わる。
【0171】当該処理は、保温容器3への温水供給開始
から第2所定時間、例えば30sec経過したかどうか
の判定を行う後述のステップであるS307で肯定判定
がされるまで保温容器3の出口水温の検出を繰り返す。
【0172】S304ではS303で述べたように保温
容器3の出口水温の検出を常に行い、その値が変化する
たびに当該検出値をTaとする。
【0173】S305ではS304で検出したTaがT
amaxよりも高温であるかどうかを不等号を用いた
式:Ta>Tamaxを用いて判定する。S305で肯
定判定した場合はS306に進み、否定判定した場合は
S307に進む。
【0174】S306ではTaをTamaxに代入す
る。
【0175】S307では、既述のように保温容器3へ
の温水供給開始から第2所定時間、例えば30sec経
過したかどうかの判定を行い、肯定判定した場合はS3
08に進み、否定判定した場合はS303に戻り、前記
所定時間が経過するまでこのルーチンを繰り返す。
【0176】S308では第2所定時間が経過した時の
日時をROMに記憶しておき、これをDate1として
取り扱う。
【0177】S309では、保温容器3への温水供給を
終了する。よって電動ウォータポンプ18の作動を停止
し、弁体16を閉じ、その後、機関停止その他の処理の
実行に移行する。なお、当該温水供給が終了した時点で
保温容器3による機関冷却水の保温を開始する。よって
保温容器3への温水の供給が終了する時点は保温容器3
による高温機関冷却水の保温が開始される時点(以下
「保温開始時点」という。)でもある(図15の保温容
器への高温機関冷却水供給終了(保温開始)の矢印参
照)。
【0178】次に図18のフローチャートについて説明
する。
【0179】図18のアプリケーションプログラムは、
保温容器3に貯留しておいた蓄熱温水を昇温必要箇所へ
供給する旨の命令が蓄熱ECU19から出た後に、蓄熱
装置1に異常があるかどうかを判定するためのものであ
り、次に述べるS401乃至S410から構成される。
【0180】S401では前記命令が蓄熱ECU19か
らあったかどうかの判定を行う。
【0181】S401で肯定判定した場合はS402に
進み否定判定した場合はこのプログラムを終了する。否
定判定した場合にプログラムを終了するのは、本実施形
態は蓄熱温水を昇温必要箇所に供給する旨の命令があっ
た場合において、蓄熱装置1に異常があるかどうかを判
定するためのものだからである。
【0182】S402では保温容器3から昇温必要箇所
への蓄熱温水の供給を開始する。そのため弁体16を開
き、電動ウォータポンプ18を作動する。
【0183】S403では保温容器3の出口、すなわち
機関冷却水排出管15に保温容器3から流れ出たばかり
の蓄熱温水の温度を水温センサ5で検出する。S403
で検出した最初の検出値が、S401での蓄熱温水供給
命令が出た後における最初の蓄熱温水の温度である。し
たがって、当該検出値Tbは当該時点にあっては出口水
温の最高温度である。よってS403で求めた最初の出
口水温Tb(以降第3実施形態では特に断らない限り、
S403で求めた最初の出口水温Tbのことを「初期値
Tb1」という場合がある。)を符合Tbmaxとして
取り扱う。
【0184】なお、便宜上フローチャートでは当該取扱
いを"TbをTbmaxへ代入"として示す。ただし、出
口水温Tbは初期値Tbに限らず機関冷却水が保温容器
3から流出している間において変化する。
【0185】これは、前記S401での命令が出る以前
より保温容器3内に貯留されていた機関冷却水の温度が
必ずしも一定でないからである。すなわち、いくら保温
容器3内に機関冷却水を入れておいても時間経過ととも
に温度は低下してゆき、保温容器3の上部ほど温度は高
く下部ほど低い傾向にあるからである。
【0186】S404ではS403で検出したTbがT
bmaxよりも高温であるかどうかを不等号を用いた
式:Tb>Tbmaxを用いて判定する。S404で肯
定判定した場合はS405に進み、否定判定した場合は
S406に進む。
【0187】S405ではTbをTbmaxへ代入す
る。
【0188】S406では、保温容器3から昇温必要箇
所への蓄熱温水供給開始から所定時間、例えば第1の所
定時間30secを経過したかどうかの判定を行い、肯
定判定した場合はS407に進み、否定判定した場合は
S402に戻り、前記所定時間が経過するまでこのルー
チンを繰り返す。
【0189】S407ではS406での所定時間が経過
した時の日時をROMに記憶しておきこれをDate2
として取り扱う。
【0190】S408では、昇温必要箇所への蓄熱温水
の供給を終了する。そのために電動ウォータポンプ18
の作動を停止し、弁体16を閉じる。
【0191】S409では図16,図17および図18
のアプリケーションプログラムで求めたTamax,T
bmax,Date1およびDate2に基づいて図1
9のマップを用いて保温容器3の保温特性の異常判定を
行う。
【0192】ここで図19のマップについて述べる。
【0193】当該マップは、既述のように第1実施形態
に係る図5や第2実施形態の図13に相当するもので、
縦軸に図17のS306で求めたTamaxと図18の
S405で求めたTbmaxとの差(Tamax−Tb
max)、換言すれば保温容器3内に機関冷却水を貯留
しておいた場合に機関冷却水が低下する温度:低下温度
(Tamax−Tbmax)をとり、横軸に図18のS
407で求めたDate2と図17のS308で求めた
Date1との差(Date2−Date1)を、換言
すれば保温容器3への高温機関冷却水の供給終了後、次
に昇温必要箇所に保温容器3から蓄熱温水の供給を終了
するまでの間の時間差を、とってなる低下温度−時間差
線図を挙げられる。
【0194】そしてこのマップ内に保温容器が正常な状
態にあることを示唆するOK領域と異常であることを示
唆するNG1,NG2領域とを実験によって定め、前記
低下温度(Tamax−Tbmax)と時間差(Dat
e2−Date1)との交点がそれら領域のうちのどの
領域に属するかをS409で判定し、もって蓄熱装置1
が正常か異常かを判定する。
【0195】なお、交点が領域NG1にある場合は、異
常の原因が保温容器3の保温性能にあると判定し、交点
が領域NG2にある場合は、異常の原因が水温センサに
あると判定する。
【0196】また、図19の太い実線は前記各領域の境
界ラインであり、この境界ラインのどちら側に前記交点
が位置するかによって保温容器3が正常か異常かの判定
がなされる。このため、この線のことを判定ラインとい
うことにする。
【0197】S409で異常判定した場合はS410に
進み、異常なしの判定をした場合はこのルーチンを終了
する。
【0198】S410では表示灯の点滅や警報音の発信
等の警報手段を作動してユーザに蓄熱装置1に異常があ
ることを報せる。
【0199】なお、第1実施形態に係る図7および図8
に相当するグラフ線の適用もそれらの横軸を時間差:D
ate2−Date1に変更することで可能である。 〔第3実施形態の作用効果〕
【0200】この第3実施形態にあっても第1実施形態
や第2実施形態と同様、保温容器3の保温機能に異常が
発生したことを正確に判定し、ドライバ等のユーザに即
座に報せることができる。
【0201】なお、第1実施形態との違いは、図15か
らわかるように、第2実施形態と同様、一定時間(Da
te2−Date1)が第1実施形態のそれよりも長
い。詳しくは、前記一定時間は、今回内燃機関が作動し
ている期間中における前記保温容器3の保温開始時点か
ら次回内燃機関が作動している期間中における保温停止
時点の後、30secの時点にまで跨った期間である。
【0202】当該一定時間は、日時をカウントできる時
計回路21を蓄熱ECU19から独立して設け、当該時
計回路21には機関停止期間中でもバッテリ23からの
電力供給を受けられるようになっている。
【0203】よって経過時間を時間経過における2点間
の差分として計測できるので、経過時間を連続して測定
する必要がない。この結果、蓄熱ECU19への負担を
それだけ軽減できる。
【0204】また、機関冷却水排出管15に水温センサ
5を設けて保温容器3の内部には水温センサ5を設けて
いないので、水温センサ5が蓄熱ECU19と電気的に
接続されている配線を伝って熱が保温容器3の外部に逃
げてしまうこともない。よって保温性能をそれだけ高め
ることができる。
【0205】なお、例えば機関始動時等機関冷却水の温
度が本来であれば低温(例えば50°Cよりも低い温
度)である場合であるのにも拘わらず機関冷却水の温度
が高温(例えば50°C以上の温度)の場合は、保温容
器3に供給される機関冷却水の温度測定が不安定になる
ので異常判定は行わないことが好ましい。
【発明の効果】以上説明したように本発明蓄熱装置を有
する内燃機関によれば、保温容器による蓄熱技術を利用
して早期暖機を図る蓄熱装置を有する内燃機関におい
て、容器の保温機能に異常が発生したことを正確に判定
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明蓄熱装置を有する内燃機関の第1実施形
態の概略全体図
【図2】本発明蓄熱装置を有する内燃機関の第1実施形
態に係るアプリケーションプログラムを説明するための
フローチャート
【図3】図2に連続するフローチャートの一部
【図4】図2および図3とは別のアプリケーションプロ
グラムを説明するためのフローチャート
【図5】図4のアプリケーションプログラムの実行にあ
たり使用されるマップ
【図6】本発明蓄熱装置を有する内燃機関の第1実施形
態に係る保温容器および内燃機関の状態を時間経過とと
もに示す図
【図7】図5のマップに相当する別の例示マップ
【図8】図5のマップに相当するさらに別の例示マップ
【図9】本発明蓄熱装置を有する内燃機関の第2実施形
態の概略全体図
【図10】本発明蓄熱装置を有する内燃機関の第2実施
形態に係る保温容器および内燃機関の状態を時間経過と
ともに示す図
【図11】本発明蓄熱装置を有する内燃機関の第2実施
形態に係るアプリケーションプログラムを説明するため
のフローチャート
【図12】図11とは別のアプリケーションプログラム
を説明するためのフローチャート
【図13】図12のアプリケーションプログラムの実行
にあたり使用されるマップ
【図14】本発明蓄熱装置を有する内燃機関の第3実施
形態の概略全体図
【図15】本発明蓄熱装置を有する内燃機関の第3実施
形態に係る保温容器および内燃機関の状態を時間経過と
ともに示す図
【図16】本発明蓄熱装置を有する内燃機関の第3実施
形態に係るアプリケーションプログラムを説明するため
のフローチャート
【図17】図16に連続するフローチャートの一部
【図18】図16および図17とは別のアプリケーショ
ンプログラムを説明するためのフローチャート
【図19】図16および図17のアプリケーションプロ
グラムの実行にあたり使用されるマップ
【符号の説明】
1 蓄熱装置 2 機関本体(内燃機関) 3 保温容器 3a 底板部の開口 4 機関冷却水循環路(熱媒体循環路) 5 水温センサ(温度センサ) 6 外気温センサ(外気温検出手段) 5a パイプホルダの開口 13 機関冷却水供給管(熱媒体供給路) 15 機関冷却水排出管(熱媒体排出路) 16 弁体(流通制御手段) 18 電動ウォータポンプ 19 蓄熱ECU(保温性能評価手段) 21 時計回路(計時装置) 23 バッテリ B 機関冷却水温度が暖機によって所定温
度になるまでに要する時間 NG1 保温容器が異常であることを示す領域 NG2 〃 Ta 出口水温(第1の温度) Ta1 初期値 Tamax 最高温度 Tb 出口水温(第2の温度) Tb1 初期値 Tbmax 最高温度 Time 一定時間 Date2-Date1 一定時間
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F02D 45/00 314 F02D 45/00 314Q F02N 17/06 F02N 17/06 D

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 機関運転中に加熱されて高温となった熱
    媒体を貯留し前記熱媒体の高温状態を維持して熱を蓄
    え、必要時に前記高温の熱媒体を内燃機関の熱媒体循環
    路に設けた昇温必要箇所に流し、その時に当該熱媒体が
    運ぶ熱で前記昇温必要箇所の温度を上げるための保温容
    器と、 この保温容器に前記熱媒体を供給する熱媒体供給路と、 熱媒体供給路によって供給された前記熱媒体を前記保温
    容器から前記熱媒体循環路に排出する熱媒体排出路と、 これら両通路を介して前記保温容器に対して出入りする
    前記熱媒体の流通制御を行う流通制御手段とを備える蓄
    熱装置、を有する内燃機関において、 前記保温容器から前記熱媒体排出路を介して前記熱媒体
    を排出すると、前記保温容器には前記熱媒体供給路を介
    して新たに熱媒体を供給し、 当該供給の終了とともに前記保温容器は前記新たな熱媒
    体の保温を開始し、前記保温容器からの前記熱媒体の排
    出開始に併せて保温の停止を行い、 前記保温容器に貯留されている熱媒体に係る、第1の温
    度とこの第1の温度を検出した時点から一定時間が経過
    した後の第2の温度との差を第1の温度を検出した時点
    からの経過時間に応じて設定された判定用数値と比較す
    ることにより前記保温容器の保温性能を評価する保温性
    能評価手段を備えたことを特徴とする蓄熱装置、を有す
    る内燃機関。
  2. 【請求項2】 前記一定時間は、今回内燃機関が作動し
    ている期間中における前記保温容器の保温開始時点から
    同期間中における内燃機関の停止時点までの期間である
    ことを特徴とする請求項1記載の蓄熱装置を有する内燃
    機関。
  3. 【請求項3】 前記第2の温度は、内燃機関の停止時に
    検出されることを特徴とする請求項1または2記載の蓄
    熱装置を有する内燃機関。
  4. 【請求項4】 内燃機関の停止中も作動する計時装置に
    よって前記第1の温度の検出時点を起点とした経過時間
    を計るとともに前記第2の温度を前記内燃機関の停止以
    降に検出することを特徴とする請求項1記載の蓄熱装置
    を有する内燃機関。
  5. 【請求項5】 前記熱媒体排出路にそこを通過する前記
    熱媒体の温度を検出する温度センサを備え、前記第2の
    温度は保温容器に貯留しておいた蓄熱温水を保温容器か
    ら前記昇温必要箇所への供給時に検出することを特徴と
    する請求項1記載の蓄熱装置を有する内燃機関。
  6. 【請求項6】 前記一定時間は、今回内燃機関が作動し
    ている期間中における前記保温容器の保温開始時点から
    次回内燃機関が作動している期間中における所定時点に
    まで跨った期間であることを特徴とする請求項1記載の
    蓄熱装置を有する内燃機関。
  7. 【請求項7】 外気温を検出する外気温検出手段を備
    え、この外気温検出手段により検出された外気温に基づ
    いて前記判定用数値を補正することを特徴とする請求項
    1〜6記載の蓄熱装置を有する内燃機関。
  8. 【請求項8】 前記第1の温度の検出は、機関暖機によ
    って暖められた高温な熱媒体の前記保温容器への供給終
    了時であることを特徴とする請求項1〜6記載の蓄熱装
    置を有する内燃機関。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101568091B1 (ko) 2014-08-08 2015-11-11 대성히트펌프 주식회사 축열탱크 성능시험장치
CN111412099A (zh) * 2019-01-08 2020-07-14 广州汽车集团股份有限公司 一种汽车快速暖机的方法及***

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KR101568091B1 (ko) 2014-08-08 2015-11-11 대성히트펌프 주식회사 축열탱크 성능시험장치
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