JP2002199529A - 活線作業用落下物捕捉ネット - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来より採用されているバケット車用のネッ
トは、ネット展開時を考慮して、複雑で大掛かりな構造
のものが多く、また捕捉面積を広げるためアームを鋼製
として、ネットの重量に対応していた。 【解決手段】 ネットのフレーム，アームを絶縁性の良
好なＦＲＰ製パイプにし、軽量化を図り、また、アーム
の接合部は薄肉の鋼管でソケットを作り、そこにアーム
を嵌合させて剛性を高める。また、アームを逆八状に設
けることにより、長いアームとすることができ、さらに
中央部を折り畳み構造とし、コンパクトに収納できるよ
うにした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明が属する技術分野】本願は電柱等の高所における
電気工事に使用する高所作業車のバケットに取り付け
て、工事の際の落下物を捕捉するネットに関するもので
ある。

【０００２】

【従来の技術】従来より高所作業車のバケットに取り付
けて落下物を捕捉する目的のネットは種々開示されてい
るが、バケットの全周、あるいはブーム取付け面を除く
３方にわたって大型のネットを展張する形式のものが多
く、本願で開示しようとする、簡易な取付けで活線工事
向けのものは見当たらなかった。従来のものは、ネット
を設ける最大の目的、つまり工事中の落下物を捕捉する
という点からは優れた効果を有するものであったが、捕
捉範囲をより大きくすること、ネットの展張を容易とす
ること等を考慮した結果、ネット支持用の骨組み装置が
大型、複雑化し、作業内容によっては適応しにくい面も
見られた。バケットの周囲に専用のレールを巡らし、こ
のレール上を移動する支持棒間に大型のネットを張るよ
うなものはネット展張の容易性、落下物捕捉性には優れ
ているが、それをバケットに装置するのが大変な作業で
あり、またこのように周囲に広い捕捉面積を有するネッ
トを展張したバケットを作業位置に接近させること自体
が容易でないものもあった。また、経済的な負担も大き
く、すべての高所作業車に装備するのは困難であった。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】大型のネットを展張可
能な落下物捕捉装置は、一定の作業には効果的である
が、その使用条件は限定されるものであった。バケット
周囲にネットを巡らせば、作業車のブームを回動してバ
ケットを作業位置へ移動させる際に電柱近辺の架線金物
との接触が問題となるし、ネットの幅によって定点への
接近距離が制限される。この接近距離を得るために支持
棒を移動させて所定位置のネットを排除することも可能
ではあるが、その際には作業下位置をネットがカバーす
るかどうかの注意を払わなければならない。また広い面
積のネットを風圧等に抗して支持するためには、強力な
支持棒を構成する必要があるため、高剛性の鋼材を使用
せざるを得ず、よって活線作業での使用は適当でなかっ
た。

【０００４】

【課題を解決するための手段】以上のような課題を解決
するため、本願では必要時のみバケットの所定側壁に任
意に取り付け取り外し可能で、その支持棒を中間位置で
折りたためる構成とし、なおかつ支持棒をＦＲＰで作成
して活線作業に対応するものである。本願の概略構成
は、バケットの側面に支持する固定フレームとその下端
部に橋絡した回動フレーム、及びそれに上方へ向け開放
して取り付けたネット支持フレームよりなる。固定フレ
ームの上端部にはバケットに係止する取付部材を両端部
に一対設け、下端部にはバケットの側面に当接支持する
当て部材を設ける。固定フレームの上辺とネット支持フ
レームの先端間に略台形状のネットを展張するものであ
る。このフレームにはＦＲＰのパイプを使用し、各角部
には鋼管製の継ぎ手を用いる。また、ネット支持フレー
ムのアームは中間部で折り畳めるよう構成するものであ
る。

【０００５】

【実施例】本願の実施例を詳記する。本落下物捕捉ネッ
トは、図１乃至図４に示すように、バケットＢの側面上
端に係止する取付部材11を上部に、側面下部に当接支持
する当て部材41を下端に備えたＦＲＰ製固定フレーム５
の下端にＦＲＰ製回動フレーム６を橋絡し、該回動フレ
ーム６に、中間所定位置で曲折伸張自在なＦＲＰ製アー
ム７を固定し、アーム７と固定フレーム５の上端を連結
ベルト８で連結して成るネット支持フレーム９に略台形
状のネット10を展張した構造である。

【０００６】固定フレーム５は、鋼管で製作した上部継
ぎ手１と下部継ぎ手４を水平パイプ２と垂直パイプ３で
取付け、略門型状に構成したものである。上部継ぎ手
１，１には、バケットＢとの取付部材11を設け、図面で
はバケット周縁の補強フランジに乗せ掛け、締付けノブ
12を回動してバケット面を挟持するものであるが、これ
に限定することなく継ぎ手１にＵ字環等を設けてＳ字環
により補強フランジに掛けるものでも良く、さらに軽量
化が図れるものである。下部継ぎ手４間には、上記と同
じくＦＲＰ製パイプを用い、両端部にヒンジ金具61を介
して取付け、回動自在に回動フレーム６を設けると共
に、バケットＢ壁面に当接安定させる当て部材41を設け
たものである。当て部材41は、垂直パイプ３より内側に
壁面と平行に設けたもので、図１と図４に示すように、
バケットの長辺部と短辺部に対応するようにしたもので
ある。

【０００７】アーム７は、先記した回動フレーム６の中
央部にソケット62を設け、固定フレーム５と同等のＦＲ
Ｐ製パイプを一対逆八状に配置し、さらにアーム７中央
部を蝶番部71で曲折伸張自在とし、より長いアームとす
ることができると共に、アーム７を曲折してネット等を
コンパクトに収納することができるものである。従来の
アーム長さは、バケットの高さほどのものであるが、本
願のアームは、逆八状に設けることにより、長いアーム
とすることができ、広い範囲にネットを展張することが
できるものである。図５は、アーム中間部の蝶番部を示
す斜視図であり、蝶番部71に留具72を設け、伸張時に施
錠するものである。

【０００８】図８は、連結ベルト８の正面図であり、合
成繊維製の細幅織ベルトを用い、両端部を折り返しシャ
ックル81を取付け、重合部を縫い糸で縫着したものであ
る。

【０００９】ネット10は、ナイロン繊維製で、目合は３
ｍｍ前後のものを使用し、ビス，ボルト，ナット，ペン
チ，モンキーレンチ等の部品，工具を受け止めるもので
ある。また、目合が小さいので、活線部に接触しても活
線部分が突き出したりせず防護し、安心して作業ができ
るものである。従来の落下物捕捉装置のネットは、バケ
ットの側面部からアーム先にＬ字状に展張していたが、
本願は、上面部一面だけであり、軽量化を図ることがで
きたものである。

【００１０】本願の落下物捕捉ネットの取付けは、先ず
バケット周縁の補強フランジに固定フレーム５上部の取
付部材11を乗せ掛け、締付けノブ12を回動してバケット
Ｂ壁面に挟持取付ける。次にアーム７を伸ばして留具72
で固定する。続いてアーム７の蝶番部71に設けた環部73
と上部継ぎ手１，１に設けた環部13に連結ベルト８を取
付ける。そして、アーム７先端及び上部継ぎ手１，１に
設けた環部13に略台形状のネット10を取付けて完了であ
る。以上のように、取付が簡単なので、バケットの移動
によって作業位置が変更しても取り替えは簡単にでき
る。図面では、バケットＢの中央部に設けたものである
が、バケットＢの角端に寄せて取付ても当て部材41が壁
面に当接して安定した取付が可能である。収納する場合
は、連結ベルト８を引き寄せ、アーム７中央部の蝶番部
71の留具72を開錠し、アーム７を折曲すれば、ネット10
を折り畳むことができると共に、バケットＢ壁面に沿っ
て収容することができる。

【００１１】

【発明の効果】以上のように、本願の落下物捕捉ネット
を使用することにより、ネットの展開は二本のアームの
操作だけで容易にできる。また、収納は、バケットの壁
面に沿って収めることができバケット面からの突出物が
少なくなる。また、バケットの短辺部，長辺部どちらに
でも取り付け可能である。従来はバケットの壁面下方に
張設していた為、落下物の落下距離が長くなるため衝撃
荷重が大きくなり落下物がバウンドしてネット外に飛び
出ることもあったが、本願は、バケット周縁の上方部で
受け止めるようにしたものであり、落下すればアーム先
端部が内側に撓んでバウンドせずに受け止めることがで
きる。また、落下した工具の回収も上方部なので容易に
できる。また、バケットからの突出物が少ないため、高
圧線へのアプローチも容易であり、また活線作業時に
は、ホットスティックによる作業で、従来より少し遠い
位置からの作業となるが、十分な捕捉範囲を得られると
共に、ネット，アーム部分が活線部に接触しても、絶縁
性の良好なＦＲＰパイプが防護となり、安全に作業がで
きる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本願落下物捕捉ネットを展張したところの正面
図。

【図２】本願落下物捕捉ネットを展張したところの右側
面図。

【図３】本願落下物捕捉ネットを展張したところの平面
図。

【図４】本願落下物捕捉ネットをバケット短辺部に展張
したところの正面図。

【図５】本願落下物捕捉ネットのアーム折曲部の斜視
図。

【図６】本願落下物捕捉ネットのアーム折曲状態の一部
正面図。

【図７】本願落下物捕捉ネットのアーム折曲状態の一部
欠切したところの右側面図。

【図８】本願落下物捕捉ネットの連結ベルトの正面図。

【図９】本願落下物捕捉ネットの上部継ぎ手部の斜視
図。

【図１０】本願落下物捕捉ネットの下部継ぎ手部の斜視
図。

【図１１】従来の落下物捕捉ネットの取付状態平面図。

【符号の説明】

Ｂ バケット １ 上部継ぎ手 ２ 水平パイプ ３ 垂直パイプ ４ 下部継ぎ手 ５ 固定フレーム ６ 回動フレーム ７ アーム ８ 連結ベルト ９ ネット支持フレーム 10 ネット 11 取付部材 12 締付けノブ 13 環部 41 当て部材 61 ヒンジ 62 ソケット 71 蝶番部 72 留具 73 環部

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 青木 康高 宮城県仙台市宮城野区榴岡４丁目１番１号 株式会社ユアテック内 (72)発明者 井上 均 兵庫県加東郡滝野町上滝野1573番地の２藤 井電工株式会社内

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 バケットＢの側面上端に係止する取付部
   材11を上部に、側面下部に当接支持する当て部材41を下
   端に備えたＦＲＰ製固定フレーム５の下端にＦＲＰ製回
   動フレーム６を橋絡し、該回動フレーム６に、中間所定
   位置で曲折伸張自在なＦＲＰ製アーム７を固定し、アー
   ム７と固定フレーム５の上端を連結ベルト８で連結して
   成るネット支持フレーム９にネット10を展張したことを
   特徴とする活線作業用落下物捕捉ネット。