JP2002196128A - 光学フィルターおよび画像表示装置 - Google Patents

光学フィルターおよび画像表示装置

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JP2002196128A
JP2002196128A JP2000392893A JP2000392893A JP2002196128A JP 2002196128 A JP2002196128 A JP 2002196128A JP 2000392893 A JP2000392893 A JP 2000392893A JP 2000392893 A JP2000392893 A JP 2000392893A JP 2002196128 A JP2002196128 A JP 2002196128A
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optical filter
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filter according
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Application number
JP2000392893A
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English (en)
Inventor
Tadahiko Kubota
忠彦 窪田
Katsumi Inoue
克己 井上
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】画像表示装置における外光の映りこみを防止す
るための反射防止性能に優れ、放出される赤外光強度を
低減し、色純度を改善することができる光学フィルター
および前面板ガラスを撤去しても強度が維持されて軽量
化、低コスト化が実現され、しかも上記性能に優れる画
像表示装置を提供すること。 【解決手段】透明支持体の片面に、(i)屈折率が1.
65〜2.40である高屈折率層と屈折率が1.20〜
1.55である低屈折率層とを有する反射防止膜、およ
び(ii)可視光吸収層および750〜1200nmの近
赤外線をカットする赤外線遮蔽フィルター層の少なくと
もいずれかの層を有する光学フィルター、およびこの光
学フィルターをプラズマディスプレイパネルの前面ガラ
スに直接貼りつけた画像表示装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プラズマディスプ
レイパネル(PDP)、液晶表示装置(LCD)、エレ
クトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、蛍光表
示管、電界放射型ディスプレイ等の画像表示装置に、外
光の映り込み防止のため取り付けられる光学フィルター
におよび該光学フィルターが取り付けられた画像表示装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】プラズマディスプレイパネル(PD
P)、液晶表示装置(LCD)、エレクトロルミネッセ
ンスディスプレイ(ELD)、陰極管表示装置(CR
T)、蛍光表示管、電界放射型ディスプレイ等の画像表
示装置は、もともと画面(パネル)がフラットであった
り、フラット化が進んだりしている。フラットパネル化
することにより画面端部の歪みは低減するが画面表面で
の外光の映りこみは依然として問題であり、大画面化で
さらに問題が拡大している。外光の映りこみを防止する
ための反射防止膜としては、金属酸化物などの透明薄膜
を蒸着、スパッタリング等により積層する方法が知られ
ているが、このような方法は生産性が低く大量生産に適
していない。大量生産に適する方法として、無機微粒子
を塗布することにより反射防止膜を形成する方法が特開
昭59−50401号公報、特開平11−153703
号公報などに提案されている。
【0003】一方、これら表示装置は、赤、青、緑の三
原色の光の組み合わせでカラー画像を表示する。しか
し、表示のための光を理想的な三原色にすることは、非
常に難しく、実質的に不可能である。例えば、プラズマ
ディスプレイパネル(PDP)では、三原色蛍光体から
の発光に余分な光(波長が500〜620nmの範囲の
光)が含まれていることが知られている。そこで、表示
色の色バランスを補正するため特定の波長の光を吸収す
るフィルターを用いて、色補正を行うことが提案されて
いる。フィルターによる色補正については、特開昭58
−153904号、同61−188501号、特開平3
−231988号、同5−205643号、同9−14
5918号、同9−306366号、同10−2670
4号の各公報に記載がある。また、ディスプレイから発
生する赤外線(主に、波長750〜1100nmの近赤
外線)によって遠隔操作装置(リモコン)が誤動作すると
の問題が報告されている。この問題を解決するために、
赤外線吸収フィルターが用いられている。赤外線吸収フ
ィルターに用いる染料としては、米国特許第5,945,
209号明細書に記載があるが十分なものではなかっ
た。
【0004】このように各種提案があるが、これまで上
記反射防止性、色補正、近赤外線カット等の性能を同時
に性能を満たすものはなかった。さらにPDPにおいて
は、本体の表示面のガラスが3mm程度しかなく、破損
防止のために本体とは別に前面板ガラスといわれる強化
ガラスを設置しているが(特開平8−55581号公報
参照)、全体の重量を重くすること、コストをあげてし
まうことなどの問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、画像
表示装置における外光の映りこみを防止するための反射
防止性能に優れ、放出される赤外光強度を低減し、色純
度を改善することができる光学フィルターを提供するこ
とにある。本発明の他の目的は、前面板ガラスを撤去し
ても強度が維持されて軽量化、低コスト化が実現され、
しかも上記性能に優れる画像表示装置を提供することに
ある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、下記構
成の光学フィルターおよび画像表示装置が提供されて、
本発明の上記目的が達成される。 1.透明支持体の片面に、(i)屈折率が1.65〜
2.40である高屈折率層と屈折率が1.20〜1.5
5である低屈折率層とを有する反射防止膜、および(i
i)可視光吸収層および/または750〜1200nm
の近赤外線をカットする赤外線遮蔽フィルター層の少な
くともいずれかの層を有することを特徴とする光学フィ
ルター。 2.反射防止膜の低屈折率層中に、フッ素を含有しない
2個以上の重合性基を有するモノマーの重合体が10質
量%以上含有され、かつ1〜200nmの平均粒径を有
する無機微粒子が含有されていることを特徴とする上記
1に記載の光学フィルター。 3.該低屈折率層が、単官能性フッ素含有モノマーを含
有することを特徴とする上記1または2に記載の光学フ
ィルター。 4.反射防止膜の高屈折率層中に、1〜200nmの平
均粒径を有する無機微粒子が5体積%以上およびアニオ
ン性基を有し、かつ架橋構造を形成しているポリマーが
35体積%以上含有されていることを特徴とする上記1
〜3のいずれかに記載の光学フィルター。 5.赤外線遮蔽フィルター層に、赤外線領域に吸収を有
する色素が含有されていることを特徴とする上記1〜4
のいずれかに記載の光学フィルター。 6.赤外線遮蔽フィルター層に含有されている色素が、
波長750〜850nm、851〜950nmおよび9
51〜1100nmの範囲において、それぞれ平均透過
率が25%以下であることを特徴とする上記1〜5のい
ずれかに記載の光学フィルター。 7.可視光吸収層に色素が含有されていることを特徴と
する上記1〜6のいずれかに記載の光学フィルター。 8.可視光吸収層が、560nm〜620nmの波長領
域に吸収極大を有することを特徴とする上記1〜7のい
ずれかに記載の光学フィルター。 9.可視光吸収層の560〜620nmの波長領域にお
ける吸収極大での半値幅が5〜70nmであることを特
徴とする上記1〜8のいずれかに記載の光学フィルタ
ー。 10.透明支持体が複数枚積層されていることを特徴と
する上記1〜9のいずれかに記載の光学フィルター。 11.複数枚ある透明支持体の膜厚の合計が250μm
以上であることを特徴とする上記10に記載の光学フィ
ルター。 12.表面抵抗が500Ω/□以下の導電層が設けられ
ていることを特徴とする上記1〜11のいずれかに記載
の光学フィルター。 13.上記1〜12のいずれかの光学フィルターをプラ
ズマディスプレイパネルの前面ガラスに直接貼りつけた
ことを特徴とする画像表示装置。
【0007】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を詳
細を述べるが、無論これらに限定されるものではない。
【0008】本発明の光学フィルターは、透明支持体の
片面に、(i)屈折率が1.65〜2.40である高屈
折率層と屈折率が1.20〜1.55である低屈折率層
とを有する反射防止膜、および(ii)可視光吸収層およ
び750〜1200nmの近赤外線をカットする赤外線
遮蔽フィルター層の少なくともいずれかの層を有する。
【0009】[光学フィルターを構成する層、膜]以下、
本発明の光学フィルターを構成する層、膜、支持体等に
ついて順次説明する。 <反射防止膜>本発明の反射防止膜を設けた光学フィル
ターの反射率(正反射率)は、3.0%以下であること
が好ましく、1.8%以下であることがさらに好まし
い。反射防止膜は、通常低屈折率層が設けられる。 (1) 低屈折率層 低屈折率層は、その下に設ける層(高・中屈折率層)の
屈折率よりも低い屈折率を有する。低屈折率層の屈折率
は、1.20〜1.55、好ましくは1.30〜1.5
5、より好ましくは1.30〜1.50である。低屈折
率層の厚さは、50以上400nm以下であることが好
ましく、50以上200nm以下であることがさらに好
ましい。
【0010】低屈折率層としては、屈折率の低い含フッ
素ポリマーからなる層(特開昭57−34526号、特
開平3−130103号、同6−115023号、同8
−313702号、同7−168004号の各公報記
載)、ゾルゲル法により得られる層(特開平5−208
811号、同6−299091号、同7−168003
号の各公報記載)、あるいは微粒子を含む層(特公昭6
0−59250号、特開平5−13021号、同6−5
6478号、同7−92306号、同9−288201
号の各公報に記載)等を使用することができるが、フッ
素を含有しない2個以上の重合性基を有するモノマーを
重合して得られる重合体からなる膜を使用することが好
ましい。更に好ましくはフッ素を含有しない4個以上の
重合性基を有するモノマーを用いることであり、特に好
ましくはフッ素を含有しない5個以上の重合性基を有す
るモノマーを重合して得られる重合体からなる膜を使用
することである。フッ素を含有しない2個以上の重合性
基を有するモノマーを重合して得られる重合体は、低屈
折率層中に10〜100質量%含有されることが好まし
く、更に好ましくは10〜80質量%、特に好ましくは
10〜60質量%である。
【0011】使用できるフッ素を含有しない2個以上の
重合性基を有するモノマーとしては、プロピレングリコ
ールジアクリレートなどのアルキレングリコールジアク
リレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ジ
プロピレングリコールジアクリレート、ポリエチレング
リコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジ
アクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、
ビス{4−(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル}プ
ロパン、ビス{4−(アクリロキシ・ポリプロポキシ)
フェニル}プロパン、トリメチロールプロパントリ(メ
タ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)
アクリレート、1,2,4−シクロヘキサンテトラメタ
クリレート、ペンタグリセロールトリアクリレート、ペ
ンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペン
タエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、(ジ)ペ
ンタエリスリトールトリアクリレート、(ジ)ペンタエ
リスリトールペンタアクリレート、(ジ)ペンタエリス
リトールテトラ(メタ)アクリレート、(ジ)ペンタエ
リスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタ
エリスリトールトリアクリレートおよびトリペンタエリ
スリトールヘキサトリアクリレートなどが挙げられる。
これらの多価アルコールとアクリル酸またはメタクリル
酸とのエステルは、市販品を利用することができる。
【0012】低屈折率層は重合体だけで構成されてもよ
いが、更に無機微粒子を添加することが好ましい。無機
微粒子としては、平均粒径1〜200nmの範囲である
ことが好ましく、更に好ましくは1〜100nmであ
り、特に好ましくは3〜40nmである。無機微粒子の
粒径分布は、なるべく狭いこと、即ち単分散あるいは単
分散に近いことが好ましい。また、無機微粒子は非晶質
であることが好ましい。無機微粒子は、金属の酸化物ま
たは硫化物であることが好ましい。金属原子としては、
Na、K、Mg、Ca、Ba、Al、Zn、Fe、C
u、Ti、Sn、In、W、Y、Sb、Mn、Ga、
V、Nb、Ta、Ag、Si、B、Bi、Mo、Ce、
Cd、Be、PbおよびNiが好ましく、Al、Sn、
Fe、In、Ti、Zn、ZrおよびSiがさらに好ま
しい。特に、Siが好ましい。二種類以上の金属を含む
無機化合物を用いてもよい。金属の酸化物または硫化物
としては、例えば二酸化珪素(シリカ)、酸化アルミニ
ウム(アルミナ)、酸化錫、二硫化錫、酸化亜鉛、酸化
ジルコニウム、二酸化チタン、二硫化チタン(例、ルチ
ル、ルチル/アナターゼの混晶、アナターゼ、アモルフ
ァス構造)、酸化インジウム、および酸化鉄などが挙げ
られる。無機微粒子は、これらの金属の酸化物または硫
化物を主成分とし、さらに他の元素を不純物として微量
含んでもよい。ここで、主成分とは、粒子を構成する成
分の中で最も含有量(質量%)が多い成分を意味する。
他の元素の例には、Ti、Zr、Sn、Sb、Cu、F
e、Mn、Pb、Cd、As、Cr、Hg、Zn、A
l、Mg、Si、PおよびSが含まれる。不純物は、金
属として入っていてもよいし、酸化物等として入ってい
てもよい。特に好ましい無機微粒子はシリカである。
【0013】無機微粒子は、ゾル−ゲル法(特開昭53
−112732号、特公昭57−9051号の各公報記
載)または析出法(APPLIED OPTICS、27、3356頁(198
8)記載)により、分散物として直接合成することがで
きる。また、乾燥・沈澱法で得られた粉体を、機械的に
粉砕して分散物を得ることもできる。市販の無機微粒子
(例えば、二酸化ケイ素ゾル)を用いてもよい。無機微
粒子は、低屈折率層の形成のため、適当な媒体に分散し
た状態で使用することが好ましい。分散媒としては、
水、アルコール(例、メタノール、エタノール、イソプ
ロピルアルコール、1−、又は2−ブタノール)および
ケトン(例、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケ
トン)が好ましい。
【0014】無機微粒子は、低屈折率層中に0〜90質
量%含有されていることが好ましく、更に好ましくは2
0〜90質量%であり、特に好ましくは40〜90質量
%である。微粒子を含む層では、微粒子間または微粒子
内のミクロボイドとして、低屈折率層に空隙を形成する
ことができる。
【0015】(2)高・中屈折率層 広い波長領域の反射を防止するためには、低屈折率層
に、屈折率の高い層(高屈折率層)を積層する。また、
さらに広い波長域の反射を防止するために、中屈折率層
を高屈折率層と支持体の間に設けることが好ましい。中
屈折率は、屈折率が高屈折率と低屈折率の間に設定さ
れ、層を構成する材料は高屈折率と同じである。高屈折
率層の屈折率は、1.65〜2.40であることが好ま
しく、1.70〜2.20であることがさらに好まし
い。中屈折率層の屈折率は、低屈折率層の屈折率と高屈
折率層の屈折率との中間の値となるように調整する。中
屈折率層の屈折率は、1.50〜1.90であることが
好ましい。中・高屈折率層の厚さは、各々5nm〜10
0μmであることが好ましく、10nm〜10μmであ
ることがさらに好ましく、30nm〜0.5μmである
ことが最も好ましい。中・高屈折率層のヘイズは、各々
5%以下であることが好ましく、3%以下であることが
さらに好ましく、1%以下であることが最も好ましい。
【0016】中・高屈折率層は、比較的高い屈折率を有
するポリマーを用いて形成することができる。屈折率が
高いポリマーの例には、ポリスチレン、スチレン共重合
体、ポリカーボネート、メラミン樹脂、フェノール樹
脂、エポキシ樹脂および環状(脂環式または芳香族)イ
ソシアネートとポリオールとの反応で得られるポリウレ
タンが含まれる。その他の環状(芳香族、複素環式、脂
環式)基を有するポリマーや、フッ素以外のハロゲン原
子を置換基として有するポリマーも、屈折率が高いので
使用することができる。
【0017】さらに高い屈折率を得るため、ポリマーバ
インダー中に無機微粒子を分散してもよい。無機微粒子
の屈折率は、1.80〜2.80の範囲にあることが好
ましく、更に好ましくは1.90〜2.80の範囲であ
る。高屈折率層中に用いる無機微粒子の平均粒径は1〜
200nmが好ましく、更に好ましくは5〜100nm
であり、特に好ましくは10〜80nmである。無機微
粒子は金属の酸化物または硫化物であることが好まし
い。金属の酸化物または硫化物の例には、二酸化チタン
(例、ルチル、ルチル/アナターゼの混晶、アナター
ゼ、アモルファス構造)、酸化錫、酸化インジウム、酸
化亜鉛、酸化ジルコニウムおよび硫化亜鉛が含まれる。
酸化チタン、酸化錫および酸化インジウムが特に好まし
い。無機微粒子は、これらの金属の酸化物または硫化物
を主成分とし、さらに他の元素を含むことができる。こ
こで、主成分とは、粒子を構成する成分の中で最も含有
量(質量%)が多い成分を意味する。他の元素の例に
は、Ti、Zr、Sn、Sb、Cu、Fe、Mn、P
b、Cd、As、Cr、Hg、Zn、Al、Mg、S
i、PおよびSが含まれる。
【0018】無機微粒子を表面処理してもよい。表面処
理は、無機化合物または有機化合物を用いて行なうこと
ができる。表面処理に用いる無機化合物の例には、アル
ミナ、シリカ、酸化ジルコニウムおよび酸化鉄が含まれ
る。アルミナおよびシリカが好ましい。表面処理に用い
る有機化合物の例には、ポリオール、アルカノールアミ
ン、ステアリン酸、シランカップリング剤およびチタネ
ートカップリング剤が含まれる。シランカップリング剤
が最も好ましい。二種類以上の表面処理を組み合わせて
実施してもよい。
【0019】高屈折率層に配合される無機微粒子の形状
は、米粒状、球形状、立方体状、紡錘形状あるいは不定
形状であることが好ましい。二種類以上の無機微粒子を
高屈折率層内で併用してもよい。高屈折率層中の平均粒
径が1〜200nmの無機微粒子の割合は、5〜65体
積%であることが好ましく、10〜60体積%であるこ
とがより好ましく、20〜55体積%であることがさら
に好ましい。
【0020】無機微粒子は、分散物の状態で高屈折率層
の形成に使用する。高屈折率層の無機微粒子の分散媒体
は、沸点が60〜170℃の液体を用いることが好まし
い。分散媒体の例には、水、アルコール(例、メタノー
ル、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ベン
ジルアルコール)、ケトン(例、アセトン、メチルエチ
ルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノ
ン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プ
ロピル、酢酸ブチル、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プ
ロピル、蟻酸ブチル)、脂肪族炭化水素(例、ヘキサ
ン、シクロヘキサン)、ハロゲン化炭化水素(例、メチ
レンクロライド、クロロホルム、四塩化炭素)、芳香族
炭化水素(例、ベンゼン、トルエン、キシレン)、アミ
ド(例、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミ
ド、n−メチルピロリドン)、エーテル(例、ジエチル
エーテル、ジオキサン、テトラハイドロフラン)、エー
テルアルコール(例、1−メトキシ−2−プロパノー
ル)が含まれる。トルエン、キシレン、メチルエチルケ
トン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンおよ
びブタノールが特に好ましい。無機微粒子は、分散機を
用いて媒体中に分散することができる。分散機の例に
は、サンドグラインダーミル(例、ピン付きビーズミ
ル)、高速インペラーミル、ペッブルミル、ローラーミ
ル、アトライターおよびコロイドミルが含まれる。なか
でも、サンドグラインダーミルおよび高速インペラーミ
ルが特に好ましい。また、予備分散処理を実施してもよ
い。予備分散処理に用いる分散機の例には、ボールミ
ル、三本ロールミル、ニーダーおよびエクストルーダー
が含まれる。
【0021】高屈折率層では、アニオン性基を有し、か
つ架橋構造を形成しているポリマーをバインダーとして
用いることが好ましい。アニオン性基は、無機微粒子の
分散状態を維持する機能を有する。架橋構造は、ポリマ
ーに皮膜形成能を付与して、高屈折率層を強化する機能
を有する。ポリマーの主鎖の例には、ポリオレフィン
(飽和炭化水素)、ポリエーテル、ポリウレア、ポリウ
レタン、ポリエステル、ポリアミン、ポリアミドおよび
メラミン樹脂が含まれる。ポリオレフィン主鎖、ポリエ
ーテル主鎖およびポリウレア主鎖が好ましく、ポリオレ
フィン主鎖およびポリエーテル主鎖がさらに好ましく、
ポリオレフィン主鎖が最も好ましい。ポリオレフィン主
鎖は、飽和炭化水素からなる。ポリオレフィン主鎖は、
例えば、不飽和重合性基の付加重合反応により得られ
る。ポリエーテル主鎖は、エーテル結合(−O−)によ
って繰り返し単位が結合している。ポリエーテル主鎖
は、例えば、エポキシ基の開環重合反応により得られ
る。ポリウレア主鎖は、ウレア結合(−NH−CO−N
H−)によって、繰り返し単位が結合している。ポリウ
レア主鎖は、例えば、イソシアネート基とアミノ基との
縮重合反応により得られる。ポリウレタン主鎖は、ウレ
タン結合(−NH−CO−O−)によって、繰り返し単
位が結合している。ポリウレタン主鎖は、例えば、イソ
シアネート基と、水酸基(N−メチロール基を含む)と
の縮重合反応により得られる。ポリエステル主鎖は、エ
ステル結合(−CO−O−)によって、繰り返し単位が
結合している。ポリエステル主鎖は、例えば、カルボキ
シル基(酸ハライド基を含む)と水酸基(N−メチロー
ル基を含む)との縮重合反応により得られる。ポリアミ
ン主鎖は、イミノ結合(−NH−)によって、繰り返し
単位が結合している。ポリアミン主鎖は、例えば、エチ
レンイミン基の開環重合反応により得られる。ポリアミ
ド主鎖は、アミド結合(−NH−CO−)によって、繰
り返し単位が結合している。ポリアミド主鎖は、例え
ば、イソシアネート基とカルボキシル基(酸ハライド基
を含む)との反応により得られる。メラミン樹脂主鎖
は、例えば、トリアジン基(例、メラミン)とアルデヒ
ド(例、ホルムアルデヒド)との縮重合反応により得ら
れる。なお、メラミン樹脂は、主鎖そのものが架橋構造
を有する。
【0022】アニオン性基は、ポリマーの主鎖に直接結
合していてもよいし、あるいは連結基を介して主鎖に結
合していてもよい。アニオン性基は、連結基を介して側
鎖として、主鎖に結合していることが好ましい。アニオ
ン性基の例には、カルボン酸基(カルボキシル)、スル
ホン酸基(スルホ)およびリン酸基(ホスホノ)が含ま
れる。スルホン酸基およびリン酸基が好ましい。アニオ
ン性基は、塩の状態であってもよい。アニオン性基と塩
を形成するカチオンは、アルカリ金属イオンであること
が好ましい。また、アニオン性基のプロトンは、解離し
ていてもよい。アニオン性基とポリマーの主鎖とを結合
する連結基は、−CO−、−O−、アルキレン基、アリ
ーレン基、およびこれらの組み合わせから選ばれる二価
の基であることが好ましい。架橋構造は、二個以上の主
鎖が化学的に結合(好ましくは共有結合)している構造
である。架橋構造としては、三個以上の主鎖が共有結合
しているものが好ましい。架橋構造は、−CO−、−O
−、−S−、窒素原子、リン原子、脂肪族残基、芳香族
残基およびこれらの組み合わせから選ばれる二価以上の
基を介して形成されていることが好ましい。バインダー
ポリマーは、アニオン性基を有する繰り返し単位と、架
橋構造を有する繰り返し単位とを有するコポリマーであ
ることが好ましい。コポリマー中のアニオン性基を有す
る繰り返し単位の割合は、2〜96質量%であることが
好ましく、4〜94質量%であることがさらに好まし
く、6〜92質量%であることが最も好ましい。繰り返
し単位は、二個以上のアニオン性基を有していてもよ
い。コポリマー中の架橋構造を有する繰り返し単位の割
合は、4〜98質量%であることが好ましく、6〜96
質量%であることがさらに好ましく、8〜94質量%で
あることが最も好ましい。
【0023】バインダーポリマーの繰り返し単位は、ア
ニオン性基と架橋構造の双方を有していてもよい。バイ
ンダーポリマーには、その他の繰り返し単位(アニオン
性基も架橋構造もない繰り返し単位)が含まれていても
よい。その他の繰り返し単位としては、アミノ基または
四級アンモニウム基を有する繰り返し単位およびベンゼ
ン環を有する繰り返し単位が好ましい。アミノ基または
四級アンモニウム基は、アニオン性基と同様に、無機微
粒子の分散状態を維持する機能を有する。ベンゼン環
は、高屈折率層の屈折率を高くする機能を有する。な
お、アミノ基、四級アンモニウム基およびベンゼン環
は、アニオン性基を有する繰り返し単位あるいは架橋構
造を有する繰り返し単位に含まれていても、同様の効果
が得られる。アミノ基または四級アンモニウム基を有す
る繰り返し単位では、アミノ基または四級アンモニウム
基は、ポリマーの主鎖に直接結合していてもよいし、あ
るいは連結基を介して主鎖に結合していてもよい。アミ
ノ基または四級アンモニウム基は、連結基を介して側鎖
として、主鎖に結合させることが好ましい。アミノ基ま
たは四級アンモニウム基は、二級アミノ基、三級アミノ
基または四級アンモニウム基であることが好ましく、三
級アミノ基または四級アンモニウム基であることがさら
に好ましい。二級アミノ基、三級アミノ基または四級ア
ンモニウム基の窒素原子に結合する基は、アルキル基で
あることが好ましく、炭素原子数が1〜12のアルキル
基であることが好ましく、炭素原子数が1〜6のアルキ
ル基であることがさらに好ましい。四級アンモニウム基
の対イオンは、ハライドイオンであることが好ましい。
アミノ基または四級アンモニウム基とポリマーの主鎖と
を結合する連結基は、−CO−、−NH−、−O−、ア
ルキレン基、アリーレン基、およびこれらの組み合わせ
から選ばれる二価の基であることが好ましい。ポリマー
が、アミノ基または四級アンモニウム基を有する繰り返
し単位を含む場合、その割合は、0.06〜32質量%
であることが好ましく、0.08〜30質量%であるこ
とがさらに好ましく、0.1〜28質量%であることが
最も好ましい。
【0024】ベンゼン環を有する繰り返し単位では、ベ
ンゼン環は、ポリマーの主鎖に直接結合しているか、あ
るいは連結基を介して主鎖に結合していてもよい。ベン
ゼン環は、連結基を介して側鎖として、主鎖に結合して
いることが好ましい。ベンゼン環は、置換基(例、アル
キル基、ヒドロキシ、ハロゲン原子)を有していてもよ
い。ベンゼン環とポリマーの主鎖とを結合する連結基
は、−CO−、−O−、アルキレン基、アリーレン基、
およびこれらの組み合わせから選ばれる二価の基である
ことが好ましい。ポリマーが、ベンゼン環を有する繰り
返し単位を含む場合、その割合は、2〜98質量%であ
ることが好ましく、4〜96質量%であることがさらに
好ましく、6〜94質量%であることが最も好ましい。
最も好ましいポリオレフィン主鎖を有するポリマーにつ
いて、アニオン性基を有する繰り返し単位(VI)、架橋
構造を有する繰り返し単位(VII)、アニオン性基と架橋
構造の両方を有する繰り返し単位(VIII)、アミノ基また
は四級アンモニウム基を有する繰り返し単位(IX)およ
びベンゼン環を有する繰り返し単位(X)の例を、それ
ぞれ以下の各式で示す。
【0025】
【化1】
【0026】式中、R1 は水素原子またはメチルであ
り、L1は二価の連結基であり、そして、Anはカルボ
ン酸基、スルホン酸基またはリン酸基である。式(VI)
において、L1は、−CO−、−O−、アルキレン基、
アリーレン基およびこれらの組み合わせから選ばれる二
価の連結基であることが好ましい。アルキレン基の炭素
原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜15で
あることがさらに好ましく、1〜10であることが最も
好ましい。アルキレン基は環状構造を有していてもよ
い。アリーレン基の炭素原子数は、6〜20であること
が好ましく、6〜15であることがさらに好ましく、6
〜10であることが最も好ましい。アルキレン基および
アリーレン基は、置換基(例、アルキル基、ヒドロキ
シ、ハロゲン原子)を有していてもよい。L1の例を以
下に示す。左側が主鎖に結合し、右側がAnに結合す
る。ALはアルキレン基、ARはアリーレン基を意味す
る。
【0027】L11:−CO−O−AL−(O−CO−
AL)m1− (m1は、正の整数) L12:−CO−O−(AL−O)m2−AR−AL−A
R−(O−AL)m3−(m2およびm3は、それぞれ正の
整数) L13:−CO−O−AL− L14:−CO−O−AL−O−CO− L15:−CO−O−AL−O−CO−AR− L16:−CO−O−AL−O−CO−AL−
【0028】式(VI)のAnのカルボン酸基、スルホン
酸基およびリン酸基は、既に定義した。式(VI)で表わ
される繰り返し単位は、対応するエチレン性不飽和モノ
マーの付加重合反応により得られる。対応するエチレン
性不飽和モノマーの例には、ビス(ポリオキシエチレン
多環フェニルエーテル)メタクリレート硫酸エステル
塩、2−スルホエチルメタクリレート、フタル酸モノヒ
ドロキシエチルアクリレート、アクリル酸ダイマー、2
−アクリロイルオキシエチルハイドロジェンフタレー
ト、2−アクリロイルオキシプロピルハイドロジェンフ
タレート、2−アクリロイルオキシプロピルヘキサヒド
ロハイドロジェンフタレート、2−アクリロイルオキシ
プロピルテトラヒドロハイドロジェンフタレート、β−
アクリロイルオキシエチルハイドロジェンサクシネー
ト、β−メタクリロイルオキシエチルハイドロジェンフ
アレート、β−メタクリロイルオキシエチルハイドロジ
ェンサクシネート、モノ(2−アクリロイルオキシエチ
ル)アシッドホスフェートおよびモノ(2−メタクリロ
イルオキシエチル)アシッドホスフェートが含まれる。
これらのアニオン性基を有するエチレン性不飽和モノマ
ーは、市販品を利用することもできる。
【0029】
【化2】
【0030】式中、R2は水素原子またはメチルであ
り、nは2以上の整数であり、そして、L2はn価の炭
化水素残基である。nは2〜20の整数であることが好
ましく、2〜10で整数であることがさらに好ましく、
3〜6の整数であることが最も好ましい。L2は脂肪族
残基であることが好ましく、飽和脂肪族残基であること
がさらに好ましい。但し、脂肪族残基中にエーテル結合
(−O−)が含まれていてもよい。脂肪族残基は、分岐
を有していてもよい。L2の炭素原子数は、1〜20で
あることが好ましく、2〜15であることがさらに好ま
しく、3〜10であることが最も好ましい。
【0031】式(VII)で表わされる繰り返し単位は、対
応するエチレン性不飽和モノマーの付加重合反応により
得られる。さらに、対応するエチレン性不飽和モノマー
は、L2(−OH)n に相当する多価アルコールまたは
多価フェノール、好ましくは多価アルコールとアクリル
酸またはメタクリル酸とのエステルである。対応するモ
ノマーの例には、ネオペンチルグリコールアクリレー
ト、1,6−ヘキサンジオールアクリレート、プロピレ
ングリコールジアクリレートなどのアルキレングリコー
ル、トリエチレングリコールジアクリレート、ジプロピ
レングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコー
ルジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリ
レート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ビス
{4−(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル}プロパ
ン、ビス{4−(アクリロキシ・ポリプロポキシ)フェ
ニル}プロパン、トリメチロールプロパントリ(メタ)
アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アク
リレート、1,2,4−シクロヘキサンテトラメタクリ
レート、ペンタグリセロールトリアクリレート、ペンタ
エリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエ
リスリトールトリ(メタ)アクリレート、(ジ)ペンタ
エリスリトールトリアクリレート、(ジ)ペンタエリス
リトールペンタアクリレート、(ジ)ペンタエリスリト
ールテトラ(メタ)アクリレート、(ジ)ペンタエリス
リトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリ
スリトールトリアクリレートおよびトリペンタエリスリ
トールヘキサトリアクリレートが含まれる。これらの多
価アルコールとアクリル酸またはメタクリル酸とのエス
テルも、市販品を利用することができる。
【0032】
【化3】
【0033】式中、R31、R32、R33およびR34は、そ
れぞれ、水素原子またはメチルであり、そして、L31
よびL32は、それぞれ、二価の連結基である。式(VIII
−a)および(VIII−b)において、L31およびL
32は、それぞれ、−CO−、−O−、アルキレン基、ア
リーレン基およびこれらの組み合わせから選ばれる二価
の連結基であることが好ましい。アルキレン基の炭素原
子数は、1〜20であることが好ましく、1〜15であ
ることがさらに好ましく、1〜10であることが最も好
ましい。アルキレン基は環状構造を有していてもよい。
アリーレン基の炭素原子数は、6〜20であることが好
ましく、6〜15であることがさらに好ましく、6〜1
0であることが最も好ましい。アルキレン基およびアリ
ーレン基は、置換基(例、アルキル基、ヒドロキシ、ハ
ロゲン原子)を有していてもよい。L31およびL32の例
は、前述したL1の例(L11〜L16)と同様であ
る。式(VIII-a)および(VIII-b)で表わされる繰り返
し単位も、対応するエチレン性不飽和モノマーの付加重
合反応により得られる。式(VIII-a)に対応するエチレ
ン性不飽和モノマーの例には、2−ヒドロキシエチルメ
タクリレートの6−ヘキサノリド付加物重合体と無水リ
ン酸との反応生成物、ビス(メタクリルオキシエチル)
フォスフェート、2−アクリロイルオキシエチルアシッ
ドホスフェートおよび2−メタクリロイルオキシエチル
アシッドホスフェートが含まれる。式(VIII-b)に対応
するエチレン性不飽和モノマーの例には、β−アクリロ
イルオキシエチルハイドロジェンフマレートおよびβ−
アクリロイルオキシエチルハイドロジェンマレエートが
含まれる。エチレン性不飽和モノマーも、市販品を利用
することもできる。
【0034】
【化4】
【0035】式中、R41、R42およびR43は、それぞ
れ、水素原子またはメチルであり、L4、L4aおよびL
4bは、それぞれ、二価の連結基であり、そして、Am
は、アミノ基または四級アンモニウム基である。式(IX
−a)および(IX−b)において、L4、L4aおよびL
4bは、それぞれ、−CO−、−NH−、−O−、アルキ
レン基、アリーレン基およびこれらの組み合わせから選
ばれる二価の連結基であることが好ましい。アルキレン
基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1
〜15であることがさらに好ましく、1〜10であるこ
とが最も好ましい。アルキレン基は環状構造を有してい
てもよい。アリーレン基の炭素原子数は、6〜20であ
ることが好ましく、6〜15であることがさらに好まし
く、6〜10であることが最も好ましい。アルキレン基
およびアリーレン基は、置換基(例、アルキル基、ヒド
ロキシ、ハロゲン原子)を有していてもよい。L4、L
4aおよびL4bの例を以下に示す。左側が主鎖に結合し、
右側がAmに結合する。ALはアルキレン基を意味す
る。
【0036】L41:−CO−O−AL− L42:−CO−NH−AL− L43:−AL−
【0037】式(IX−a)および(IX−b)のAmのア
ミノ基および四級アンモニウム基は、既に定義した。式
(IX−a)および(IX−b)で表わされる繰り返し単位
は、対応するエチレン性不飽和モノマーの付加重合反応
により得られる。式(IX−a)に対応するエチレン性不
飽和モノマーの例には、ジメチルアミノエチルアクリレ
ート、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、メタク
リル酸ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロ
ライド、メタクリル酸エチルトリメチルアンモニウムク
ロライド、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドお
よびメタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム
クロライドが含まれる。式(IX−b)に対応するエチレ
ン性不飽和モノマーの例には、ジアリルジメチルアンモ
ニウムクロライドが含まれる。アミノ基または四級アン
モニウム基エチレン性不飽和モノマーも、市販品を利用
することもできる。
【0038】
【化5】
【0039】式中、R51は水素原子またはメチルであ
り、R52は水素原子、カルボキシル、炭素原子数が1〜
6のアルキル基またはハロゲン原子であり、そして、L
5は単結合または二価の連結基である。式(X)のR52
がカルボキシルの場合、R52はベンゼン環のオルト位に
結合することが好ましい。式(X)において、L5は、
−CO−、−O−、アルキレン基の組み合わせから選ば
れる二価の連結基であることが好ましい。アルキレン基
の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜
15であることがさらに好ましく、1〜10であること
が最も好ましい。アルキレン基は環状構造を有していて
もよい。アルキレン基は、置換基(例、アルキル基、ヒ
ドロキシ、ハロゲン原子)を有していてもよい。L5
例を以下に示す。左側が主鎖に結合し、右側がベンゼン
環に結合する。ALはアルキレン基を意味する。
【0040】L50:単結合 L51:−CO−O−(AL−O)m4−
(m4は正の整数) L52:−CO−O−AL−
【0041】式(X)で表わされる繰り返し単位は、対
応するエチレン性不飽和モノマーの付加重合反応により
得られる。対応するエチレン性不飽和モノマーの例に
は、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシポリエ
チレングリコールアクリレート、2−ヒドロキシ−3−
フェノキシプロピルアクリレート、2−アクリロイルオ
キシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸および2−
アクリロイルオキシエチルフタル酸が含まれる。ベンゼ
ン環を有するエチレン性不飽和モノマーも、市販品を利
用することができる。エポキシ基から誘導されるポリエ
ーテル主鎖を有するポリマーの場合は、以上の各式の繰
り返し単位のエチレン基(−CH2−)の左側に酸素原
子(−O−)を結合させた構造の繰り返し単位を用いれ
ばよい。
【0042】アニオン性基を有し架橋構造を有するポリ
マーは、高屈折率層の塗布液(前述した無機微粒子の分
散液)にモノマーとして添加し、層の塗布と同時または
塗布後に、重合反応によって形成することが好ましい。
アニオン性基を有するモノマーは、塗布液中で無機微粒
子の分散剤として機能する。アニオン性基を有するモノ
マーの無機微粒子に対する使用量は、1〜50質量%の
範囲であることが好ましく、5〜40質量%の範囲であ
ることがさらに好ましく、10〜30質量%であること
が最も好ましい。また、アミノ基または四級アンモニウ
ム基を有するモノマーは、塗布液中で分散助剤として機
能する。アミノ基または四級アンモニウム基を有するモ
ノマーのアニオン性基を有するモノマーに対する使用量
は、3〜33質量%であることが好ましい。層の塗布と
同時または塗布後に、重合反応によってポリマーを形成
すれば、層の塗布前にこれらのモノマーを有効に機能さ
せることができる。
【0043】モノマーの重合反応は、光重合反応または
熱重合反応を用いることができる。光重合反応が好まし
い。重合反応のため、重合開始剤を使用することが好ま
しい。重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾ
イン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケ
タール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ
化合物、過酸化物類、2,3−ジアルキルジオン化合物
類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類お
よび芳香族スルホニウム類等が挙げられる。アセトフェ
ノン類の例には、2,2−ジエトキシアセトフェノン、
p−ジメチルアセトフェノン、1−ヒドロキシジメチル
フェニルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニ
ルケトン、2−メチル−4−メチルチオ−2−モルフォ
リノプロピオフェノンおよび2−ベンジル−2−ジメチ
ルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノ
ンが含まれる。ベンゾイン類には、ベンゾインメチルエ
ーテル、ベンゾインエチルエーテルおよびベンゾインイ
ソプロピルエーテルが含まれる。ベンゾフェノン類に
は、ベンゾフェノン、2,4−ジクロロベンゾフェノ
ン、4,4−ジクロロベンゾフェノンおよびp−クロロ
ベンゾフェノンが含まれる。ホスフィンオキシド類に
は、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォ
スフィンオキシドが含まれる。これらは、市販されてい
るものもあり、使用できる。重合開始剤に加えて、重合
促進剤を使用してもよい。重合開始剤と重合促進剤の添
加量は、モノマーの全量の0.2〜10質量%の範囲で
あることが好ましい。
【0044】光重合反応によりポリマーを形成する場
合、光源として低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高
圧水銀ランプ、ケミカルランプあるいはメタルハライド
ランプを用いることができる。照射効率が良好な高圧水
銀ランプの使用が、最も好ましい。塗布液(モノマーを
含む無機微粒子の分散液)を加熱して、モノマー(また
はオリゴマー)の重合を促進してもよい。また、塗布後
の光重合反応の後に加熱して、形成されたポリマーの熱
硬化反応を追加処理してもよい。アニオン性基を有する
ポリマーは、架橋しているため分子量の規定は困難であ
る。
【0045】高屈折率層中のアニオン性基を有しかつ架
橋構造を有するポリマーの割合は、35〜95体積%が
好ましく、40〜90体積%であることがより好まし
く、45〜80体積%であることがさらに好ましい。そ
して、前述したように、高屈折率層中の平均粒径が1〜
200nmの無機微粒子の割合は、5〜65体積%であ
ることが好ましく、10〜60体積%であることがより
好ましく、20〜55体積%であることがさらに好まし
い。
【0046】高屈折率層の塗布液には、前述した成分
(無機微粒子、モノマー、分散媒体、重合開始剤、重合
促進剤)以外に、重合禁止剤、レベリング剤、増粘剤、
着色防止剤、紫外線吸収剤、シランカップリング剤、帯
電防止剤や接着付与剤を添加してもよい。レベリング剤
の例には、フッ素化アルキルエステル(例えば、住友3
M(株)のFC−430、FC−431)およびポリシ
ロキサン(例えば、General Electric(株)のSF10
23、SF1054、SF1079、Dow Corning(株)
のDC190、DC200、DC510、DC124
8、BYK Chemie(株)のBYK300、BYK310、
BYK320、BYK322、BYK330、BYK3
70)が含まれる。
【0047】<赤外線遮蔽層>透明支持体に赤外遮蔽効
果を有する光学フィルター層(赤外線遮蔽層)を設ける
ことができる。赤外線遮蔽層は、750〜1200nm
の波長の近赤外線に対して遮蔽効果を有することが好ま
しい。赤外線遮蔽層は、樹脂混合物により形成すること
ができる。樹脂混合物中の赤外線遮蔽性成分としては、
銅(特開平6−118228号公報記載)、銅化合物ま
たはリン化合物(特開昭62−5190号公報記載)、
銅化合物またはチオ尿素化合物(特開平6−73197
号公報記載)あるいはタングステン化合物(米国特許3
647772号明細書記載)を用いることができる。赤
外線遮蔽層を設ける代わりに、樹脂混合物を透明支持体
に添加してもよい。
【0048】本発明の光学フィルターは、750〜85
0nm、851nm〜950nmおよび951〜110
0nmに、さらに好ましくは、790〜845nm、8
60〜945nmおよび960〜1050nmに、最も
好ましくは、800〜840nm、870〜940nm
および970〜1030nmにおいて、それぞれ平均透
過率が25%以下であり、より好ましくは20%以下で
あり、さらに好ましくは15%以下であり、特に好まし
くは10%以下である。中でも好ましくはそれぞれの波
長域で光吸収の極大を有していることである。本発明に
おいては、上記の吸収スペクトルを付与するために、染
料や顔料等の色素を用いて、上記赤外線遮蔽層を形成す
ることが好ましい。
【0049】上記波長が750〜1100nmの範囲に
吸収極大を示す染料の吸収スペクトルは、蛍光体の輝度
を下げることのないよう、可視域(400〜700n
m)の副吸収が少ないほうが好ましい。好ましい吸収波
形を得るために、会合状態にある染料を用いることが特
に好ましい。会合状態の染料は、いわゆるJバンドを形
成するため、シャープな吸収スペクトルピークを示す。
染料の会合とJバンドについては、文献(例えば、Phot
ographic Science and Engineering Vol 18,No 323-335
(1974))に詳細がある。J会合状態の染料の吸収極大
は、溶液状態の染料の吸収極大よりも長波側に移動す
る。従って、フィルター層に含まれる染料が会合状態で
あるか、非会合状態であるかは、吸収極大を測定するこ
とで容易に判断できる。本明細書では、溶液状態の染料
の吸収極大より30nm以上長波長側に移動している状
態を会合状態と称する。会合状態の染料では、吸収極大
の移動が30nm以上であることが好ましく、40nm
以上であることがさらに好ましく、45nm以上である
ことが最も好ましい。
【0050】染料には、水に溶解するだけで会合体が形
成する化合物もある。但し、一般には、染料の水溶液に
ゼラチンまたは塩(例、塩化バリウム、塩化カリウム、
塩化ナトリウム、塩化カルシウム)を添加して会合体を
形成する。染料の水溶液にゼラチンを添加する方法が特
に好ましい。染料の会合体は、染料の固体微粒子分散物
として形成することもできる。固体微粒子分散物にする
ためには、公知の分散機を用いることが出来る。分散機
の例には、ボールミル、振動ボールミル、遊星ボールミ
ル、サンドミル、コロイドミル、ジェットミル及びロー
ラミルが含まれる。分散機については、特開昭52ー9
2716号及び国際特許88/074794号に記載が
ある。縦型又は横型の媒体分散機が好ましい。
【0051】分散は、適当な媒体(例、水、アルコー
ル)の存在下で実施してもよい。この場合、分散用界面
活性剤を用いることが好ましい。分散用界面活性剤とし
ては、アニオン界面活性剤(上記特開昭52−9271
6号及び国際特許88/074794号に記載)が好ま
しく用いられる。必要に応じてアニオン性ポリマー、ノ
ニオン性界面活性剤あるいはカチオン性界面活性剤を用
いてもよい。染料を適当な溶媒中に溶解した後、その貧
溶媒を添加して、微粒子状の粉末を得てもよい。この場
合も、上記の分散用界面活性剤を用いてもよい。あるい
はpHを調整することによって溶解し、次にpHを変化
させて染料の微結晶を析出させてもよい。この微結晶も
染料の会合体である。会合状態の染料が微粒子(または
微結晶)である場合、平均粒径は0.01〜10μmで
あることが好ましい。会合状態で使用する染料は、メチ
ン染料(例えば、シアニン、メロシアニン、オキソノー
ル、スチリル)であることが好ましく、シアニン染料ま
たはオキソノール染料であることが最も好ましい。
【0052】シアニン染料は、下記式で定義される。 Bs=Lo−Bo 式中、Bsは、塩基性核であり、Boは、塩基性核のオ
ニウム体であり、Loは、奇数個のメチンからなるメチ
ン鎖である。さらに、下記式(1)で表されるシアニン
染料は、(特に会合状態で)好ましく用いることができ
る。 式(1)
【0053】
【化6】
【0054】式(1)において、Z1及びZ2は、それぞ
れ独立に、5員又は6員の含窒素複素環を形成する非金
属原子群である。含窒素複素環には、他の複素環、芳香
族環または脂肪族環が縮合してもよい。上記含窒素複素
環およびその縮合環の例には、オキサゾール環、イソオ
キサゾール環、ベンゾオキサゾール環、ナフトオキサゾ
ール環、オキサゾロカルバゾール環、オキサゾロジベン
ゾフラン環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、ナフ
トチアゾール環、インドレニン環、ベンゾインドレニン
環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ナフトイ
ミダゾール環、キノリン環、ピリジン環、ピロロピリジ
ン環、フロピロール環、インドリジン環、イミダゾキノ
キサリン環およびキノキサリン環等が含まれる。含窒素
複素環は、6員環より5員環の方が好ましい。5員の含
窒素複素環にベンゼン環又はナフタレン環縮合している
のがさらに好ましい。なかでも、ベンゾチアゾール環、
ナフトチアゾール環、インドレニン環およびベンゾイン
ドレニン環が特に好ましい。
【0055】含窒素複素環およびそれに縮合している環
は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロ
ゲン原子、シアノ、ニトロ、脂肪族基、芳香族基、複素
環基、−OR10、−COR11、−COOR12、−OCO
13、−NR1415、−NHCOR16、−CONR17
18、NHCONR1920、NHCOOR21、−SR22
−SO223、−SO2OR24、−NHSO225または
−SO2NR2627である。R10〜R27は、それぞれ独
立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基または複素環基で
ある。なお、−COOR12のR12が水素の場合、すなわ
ちカルボキシルの場合、および−SO2OR24のR24
水素原子の場合、すわちスルホの場合は、水素原子が解
離していても、塩の状態であってもよい。
【0056】本明細書において、肪族族基は、アルキル
基、アルケニル基、アルキニル基またはアラルキル基を
表す。これらの基は置換基を有していてもよい。アルキ
ル基は、環状であっても鎖状であってもよい。鎖状アル
キル基は、分岐を有していてもよい。アルキル基の炭素
数は1〜20が好ましく、1〜12であることがさらに
好ましく、1〜8であることが最も好ましい。アルキル
基の具体例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロ
ピル、ブチル、t−ブチル、シクロプロピル、シクロヘ
キシルおよび2−エチルヘキシルが含まれる。置換アル
キル基のアルキル部分は、上記アルキル基と同様であ
る。置換アルキル基の置換基としては、Z1およびZ2
含窒素複素環の置換基と同じである(但し、シアノ基お
よびニトロ基は除く)。置換アルキル基の例には、2−
ヒドロキシエチル、2−カルボキシエチル、2−メトキ
シエチル、2−ジエチルアミノエチル、3−スルホプロ
ピルおよび4−スルホブチルが含まれる。
【0057】アルケニル基は、環状であっても鎖状であ
ってもよい。鎖状アルケニル基は、分岐を有していても
よい。アルケニル基の炭素数は、2〜20が好ましく、
2〜12がさらに好ましく、2〜8が最も好ましい。ア
ルケニル基の例には、ビニル、アリル、1−プロペニ
ル、2ーブテニル、2−ペンテニル及び2−ヘキセニル
が含まれる。置換アルケニル基のアルケニル部分は、上
記アルケニル基と同様である。置換アルケニル基の置換
基は、アルキル基の置換基と同じである。アルキニル基
は、環状であっても鎖状であってもよい。鎖状アルキニ
ル基は、分岐を有していてもよい。アルキニル基の炭素
数は、2〜20が好ましく、2〜12がさらに好まし
く、2〜8が最も好ましい。アルキニル基の例には、エ
チニルおよび2−プロピニルが含まれる。置換アルキニ
ル基のアルキニル部分は、上記アルキニル基と同様であ
る。置換アルキニル基の置換基は、アルキル基の置換基
と同じである。アラルキル基のアルキル部分は、上記ア
ルキル基と同様である。アラルキル基のアリール部分
は、後述するアリール基と同様である。アラルキル基の
例には、ベンジルおよびフェネチルが含まれる。置換ア
ラルキル基のアラルキル部分は、上記アラルキル基と同
様である。置換アラルキル基のアリール部分は、後述す
るアリール基と同様である。
【0058】本明細書において、芳香族基はアリール基
または置換アリール基を意味する。アリール基の炭素数
は6〜25であることが好ましく、6〜15であること
がさらに好ましく、6〜10であることが最も好まし
い。アリール基の例には、フェニルおよびナフチルが含
まれる。置換アリール基の置換基の例は、Z1およびZ2
の含窒素複素環の置換基と同じである。置換アリール基
の例には、4−カルボキシフェニル、4−アセトアミド
フェニル、3−メタンスルホンアミドフェニル、4−メ
トキシフェニル、3−カルボキシフェニル、3,5−ジ
カルボキシフェニル、4−メタンスルホンアミドフェニ
ルおよび4−ブタンスルホンアミドフェニルが含まれ
る。
【0059】上記複素環基は、置換基を有していてもよ
い。複素環基の複素環は、5または6員環であることが
好ましい。複素環に、脂肪族環、芳香族環または他の複
素環が縮合していてもよい。複素環(縮合環を含む)の
例には、ピリジン環、ピペリジン環、フラン環、フルフ
ラン環、チオフェン環、ピロール環、キノリン環、モル
ホリン環、インドール環、イミダゾール環、ピラゾール
環、カルバゾール環、フェノチアジン環、フェノキサジ
ン環、インドリン環、チアゾール環、ピラジン環、チア
ジアジン環、ベンゾキノリン環およびチアジアゾール環
が含まれる。複素環の置換基は、Z1およびZ2の含窒素
複素環の置換基と同じである。
【0060】式(1)のR1およびR2で表される脂肪族
基および芳香族基は前述と同じである。L1は奇数個の
メチンからなるメチン鎖であり、5個または7個が好ま
しい。メチン基は置換基を有していてもよい。置換基を
有するメチン基は中央の(メソ位の)メチン基であるこ
とが好ましい。置換基の例としては、Z1およびZ2の含
窒素複素環の置換基と同様である。また、メチン鎖の二
つの置換基が結合して5または6員環を形成してもよ
い。
【0061】a,b及びcは、それぞれ独立に、0また
は1である。aおよびbは、0であることが好ましい。
cはシアニン染料がスルホやカルボキシルのようなアニ
オン性置換基を有して分子内塩を形成する場合は、0で
ある。X1はアニオンである。アニオンの例としては、
ハライドイオン(Cl-、Br -、I-)、p−トルエン
スルホン酸イオン、エチル硫酸イオン、PF6 -,BF4 -
またはClO4 -が含まれる。用いられるシアニン染料
は、カルボキシル基またはスルホ基を含むことが好まし
い。シアニン染料の具体例を示す。
【0062】
【化7】
【0063】
【化8】
【0064】
【化9】
【0065】
【化10】
【0066】
【化11】
【0067】オキソノール染料は、下記式で定義され
る. AK=Lo−Ae 式中、AKは、ケト型酸性核であり、Aeは、エノール
型酸性核であり、Loは、奇数個のメチンからなるメチ
ン鎖である。下記式(2)で表されるオキソノール染料
は、特に会合状態で、好ましく用いることができる。
【0068】
【化12】
【0069】上記式(2)において、Y1およびY2は、
それぞれ独立に、脂肪族環または複素環を形成する非金
属原子群である。脂肪族環より複素環のほうが好まし
い。脂肪族環の例には、インダンジオン環が含まれる。
複素環の例には、5−ピラゾロン環、イソオキサゾロン
環、バルビツール酸環、ピリドン環、ローダニン環、ピ
ラゾリジンジオン環、ピラゾロピリドン環およびメルド
ラム酸環が含まれる。脂肪族環および複素環は置換基を
有していてもよい。置換基は前述のZ1およびZ2の含窒
素複素環の置換基と同様である。5−ピラゾロン環およ
びバルビツール酸環が好ましい。L2は、奇数個のメチ
ンからなるメチン鎖である。メチンの数は3、5または
7個であることが好ましく、5個が最も好ましい。メチ
ン基は置換基を有していてもよい。置換基を有するメチ
ン基は中央の(メソ位の)メチン基であることが好まし
い。置換基の例としては、前述のアルキル基の置換基と
同様である。また、メチン鎖の二つの置換基が結合して
5または6員環を形成してもよい。X2は、水素原子ま
たはカチオンである。カチオンの例には、アルカリ金属
(例,Na,K)イオン、アンモニウムイオン、トリエ
チルアンモニウムイオン、トリブチルアンモニウムイオ
ン、ピリジニウムイオンおよびテトラブチルアンモニウ
ムイオンが含まれる。以下に、式(2)で表されるオキ
ソノール染料の例を示す。
【0070】
【化13】
【0071】
【化14】
【0072】
【化15】
【0073】
【化16】
【0074】750〜850nm用としては、式(2)
のオキソノール染料を、851〜950nmおよび95
1〜1100nm用としては、式(1)のシアニン染料
を用いることがさらに好ましい。
【0075】<可視光吸収層>本発明の光学フィルター
には、特定の波長の光を選択的に吸収する可視光吸収層
を設けてもよい。可視光吸収層は、560〜620nm
の波長領域に吸収極大(透過率の極小)を有しているこ
とが好ましい。吸収極大は、570〜600nmの波長
領域にあることがさらに好ましく、580〜600nm
の波長領域にあることが最も好ましい。吸収極大におけ
る透過率は、0.01〜90%であることが好ましく、
0.1〜70%であることがさらに好ましい。吸収極大
の波長は、光を照射することにより移動させることもで
きる。
【0076】光学フィルターは、560〜620nmの
波長領域における吸収極大に加えて、500〜550n
mの波長領域にも吸収極大を有していてもよい。500
〜550nmの波長領域の吸収極大における透過率は、
20〜85%であることが好ましい。500〜550n
mの波長領域の吸収極大は、視感度が高い緑の蛍光体の
発光強度を調整するために設定される。緑の蛍光体の発
光域は、なだらかにカットすることが好ましい。500
〜550nmの波長領域の吸収極大での半値幅(吸収極
大での吸光度の半分の吸光度を示す波長領域の幅)は、
30〜300nmであることが好ましく、40〜300
nmであることがより好ましく、50〜150nmであ
ることがさらに好ましく、60〜150nmであること
が最も好ましい。
【0077】560〜620nmの波長領域における吸
収極大は、なるべく緑の蛍光体の発光に影響を与えない
よう選択的に光をカットするため吸収スペクトルのピー
クをシャープにすることが好ましい。560〜620n
mの波長領域における吸収極大での半値幅は、5〜70
nmであることが好ましく、10〜50nmであること
がさらに好ましく、10〜30nmであることが最も好
ましい。
【0078】光吸収層に上記の吸収スペクトルを付与す
るためには、色素(染料または顔料)を用いることが好
ましい。500〜550nmの波長領域に吸収極大を持
つ色素としては、スクアリリウム染料、アゾメチン染
料、シアニン染料、オキソノール染料、アントラキノン
染料、アゾ染料、ベンジリデン染料あるいはそれらをレ
ーキ化した顔料が好ましく用いられる。500〜550
nmの波長領域に吸収極大を持つ染料の例を以下に示
す。
【0079】
【化17】
【0080】
【化18】
【0081】
【化19】
【0082】560〜620nmの波長領域に吸収極大
を持つ色素としては、シアニン染料、スクアリリウム染
料、アゾメチン染料、キサンテン染料、オキソノール染
料、アゾ染料あるいはそれらをレーキ化した顔料が好ま
しく用いられる。560〜620nmの波長領域に吸収
極大を持つ染料の例を以下に示す。
【0083】
【化20】
【0084】
【化21】
【0085】
【化22】
【0086】
【化23】
【0087】また、本発明の光学フィルターは380〜
440nmの波長領域に吸収極大(透過率の極小)を有
していることが好ましい。380〜440nmの波長範
囲に吸収を持つ染料としてはメチン系、アントラキノン
系、キノン系、ジフェニルメタン染料、トリフェニルメ
タン染料、キサンテン染料、アゾ系、アゾメチン系の化
合物が好ましい。メチン系としてはシアニン系、メロシ
アニン系、オキソノール系、アリーリデン系、スチリル
系などである。具体例を下に示す。
【0088】
【化24】
【0089】可視光吸収層には、2種類以上の色素を組
み合わせて用いることができる。可視光吸収層の厚さ
は、0.1〜5μmであることが好ましく、0.5〜1
00μmであることがさらに好ましく、1〜15μmで
あることが最も好ましい。
【0090】可視光吸収層は、色素単独でも形成可能だ
が、色素の安定性および反射率特性の制御のためポリマ
ーバインダーを含むことができる。
【0091】可視光吸収層のポリマーバインダーとして
は、ゼラチンが好ましいが、そのほかにアクリル系、ウ
レタン系、SBR系、オレフィン系、塩化ビニリデン
系、酢酸ビニル系、ポリエステル系、またはこれらの共
重合体が好ましく用いられる。ポリマーとしては直鎖の
ポリマーでも枝分かれしたポリマーでも、また架橋され
たポリマーでも良い。またポリマーとしては単一のモノ
マーが重合したいわゆるホモポリマーでも良いし、2種
以上のモノマーが重合したコポリマー でも良い。コポ
リマーの場合はランダムコポリマーでもブロックコポリ
マーでも良い。ポリマーの分子量は数平均分子量(GP
C法で測定されたポリスチレン換算値)で5,000〜
1,000,000、好ましくは10,000〜100,0
00程度が好ましい。分子量が小さすぎるものは膜強度
が不十分であり、大きすぎるものは製膜性が悪く好まし
くない。
【0092】その他、可視光吸収層のポリマーバインダ
ーとして使用できる高分子ラテックスの具体例として
は、以下のようなものがある。メチルメタクリレート/
エチルアクリレート/メタクリル酸コポリマーのラテッ
クス、メチルメタクリレート/2-エチルヘキシルアクリ
レート/スチレン/アクリル酸コポリマーのラテック
ス、スチレン/ブタジエン/アクリル酸コポリマーのラ
テックス、スチレン/ブタジエン/ジビニルベンゼン/
メタクリル酸コポリマーのラテックス、メチルメタクリ
レート/塩化ビニル/アクリル酸コポリマーのラテック
ス、塩化ビニリデン/エチルアクリレート/アクリロニ
トリル/メタクリル酸コポリマーのラテックスなど。
【0093】可視光吸収層に、褪色防止剤を添加しても
よい。染料の安定化剤として機能する褪色防止剤の例に
は、ハイドロキノン誘導体(米国特許3935016
号、同3982944号の各明細書記載)、ハイドロキ
ノンジエーテル誘導体(米国特許4254216号明細
書および特開昭55−21004号公報記載)、フェノ
ール誘導体(特開昭54−145530号公報記載)、
スピロインダンまたはメチレンジオキシベンゼンの誘導
体(英国特許公開2077455号、同2062888
号の各明細書および特開昭61−90155号公報記
載)、クロマン、スピロクロマンまたはクマランの誘導
体(米国特許3432300号、同3573050号、
同3574627号、同3764337号の各明細書お
よび特開昭52−152225号、同53−20327
号、同53−17729号、同61−90156号の各
公報記載)、ハイドロキノンモノエーテルまたはパラア
ミノフェノールの誘導体(英国特許1347556号、
同2066975号の各明細書および特公昭54−12
337号、特開昭55−6321号の各公報記載)およ
びビスフェノール誘導体(米国特許3700455号明
細書および特公昭48−31625号公報記載)が含ま
れる。
【0094】光あるいは熱に対する色素の安定性を向上
させるため、金属錯体(米国特許4245018号明細
書および特開昭60−97353号公報記載)を褪色防
止剤として用いてもよい。さらに色素の耐光性を改良す
るために、一重項酸素クエンチャーを褪色防止剤として
用いてもよい。一重項酸素クエンチャーの例には、ニト
ロソ化合物(特開平2−300288号公報記載)、ジ
インモニウム化合物(米国特許465612号明細書記
載)、ニッケル錯体(特開平4−146189号公報記
載)および酸化防止剤(欧州特許公開820057A1
号明細書記載)が含まれる。
【0095】<透明支持体>本発明で用いる透明支持体
の好ましい例としては、セルロースエステル(例、セル
ロースジアセテート、セルローストリアセテート、セル
ロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロ
ースアセテートプロピオネート、セルロースニトレー
ト)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル
(例、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフ
タレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ−1,4
−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチ
レン−1,2−ジフェノキシエタン−4,4’−ジカル
ボキシレート)、ポリスチレン(例、シンジオタクチッ
クポリスチレン)、ポリオレフィン(例、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン)、ポリ(メ
タ)アクリレート(例、ポリメチルメタクリレート)、
ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケ
トン、ポリエーテルイミドおよびポリオキシエチレンが
含まれる。好ましくはセルローストリアセテート、ポリ
カーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレ
ンテレフタレートおよびポリエチレンナフタレートであ
る。透明支持体の透過率は80%以上であることが好ま
しく、86%以上であることがさらに好ましい。ヘイズ
は、2%以下であることが好ましく、1%以下であるこ
とがさらに好ましい。屈折率は、1.45〜1.70で
あることが好ましい。
【0096】透明支持体に、赤外線吸収剤あるいは紫外
線吸収剤を添加してもよい。赤外線吸収剤の添加量は、
透明支持体の0.01〜20質量%であることが好まし
く、0.05〜10質量%であることがさらに好まし
い。さらに滑り剤として、不活性無機化合物の粒子を透
明支持体に添加してもよい。無機化合物の例には、Si
2、TiO2、BaSO4 、CaCO3、タルクおよび
カオリンが含まれる。
【0097】透明支持体には、その上に設ける層(例、
下塗り層)との接着性をより強固にするために表面処理
を施すことが好ましい。表面処理の例には、薬品処理、
機械的処理、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線照射処
理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、
レーザー処理、混酸処理およびオゾン酸化処理が含まれ
る。グロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ放電処理
および火炎処理が好ましく、コロナ放電処理がさらに好
ましい。
【0098】(下塗り層)透明支持体と隣接する層との
間に、下塗り層を設けることが好ましい。下塗り層は、
ガラス転移温度が25℃以下のポリマーを含む層、隣接
する層側の表面が粗面である層または隣接する層のポリ
マーと親和性を有するポリマーを含む層として形成す
る。なお、隣接する層が設けられていない透明支持体の
面に下塗り層を設けて、透明支持体とその上に設けられ
る層(例えば、低屈折率層、高・中屈折率層等)との接
着力を改善してもよい。また、下塗り層は、光学フィル
ターと画像形成装置とを接着するための接着剤と光学フ
ィルターとの親和性を改善するために設けてもよい。下
塗り層の厚みは、20〜1000nmが好ましく、80
〜300nmがより好ましい。
【0099】ガラス転移温度が25℃以下のポリマーを
含む下塗り層は、ポリマーの粘着性で透明支持体と隣接
する層とを接着し、好ましく用いることができる。ガラ
ス転移温度が25℃以下のポリマーは、塩化ビニル、塩
化ビニリデン、酢酸ビニル、ブタジエン、ネオプレン、
スチレン、クロロプレン、アクリル酸エステル、メタク
リル酸エステル、アクリロニトリルまたはメチルビニル
エーテルの重合または共重合により得ることができる。
ガラス転移温度は、20℃以下であることがより好まし
く、15℃以下であることがさらに好ましく、10℃以
下であることがさらに好ましく、5℃以下であることが
さらに好ましく、0℃以下であることが最も好ましい。
表面が粗面である下塗り層は、粗面の上に隣接する層を
形成することで、透明支持体と隣接する層とを接着す
る。表面が粗面である下塗り層は、高分子ラテックスの
塗布により容易に形成することができる。ラテックスの
平均粒径は、0.02〜3μmであることが好ましく、
0.05〜1μmであることがさらに好ましい。可視光
吸収層のバインダーポリマーと親和性を有するポリマー
の例には、アクリル樹脂、セルロース誘導体、ゼラチ
ン、カゼイン、でんぷん、ポリビニルアルコール、可溶
性ナイロンおよび高分子ラテックスが含まれる。二層以
上の下塗り層を設けてもよい。
【0100】下塗り層には、帯電防止剤を添加してもよ
い。この場合、下塗り層は帯電防止層を兼ねることにな
る。帯電防止剤は、上記の下塗り層に付与してもよい
し、第2の下塗り層に付与してもよい。また、支持体の
反射防止膜側の下塗り層に付与しても、反対側の下塗り
層に付与してもよい。両方の側に付与することがより好
ましい。帯電防止性を付与するためには、以下の説明す
る導電性材料をバインダーとともに分散し塗布すること
により付与することができる。
【0101】好ましく使用される帯電防止用導電性材料
は結晶性の金属酸化物粒子であり、酸素欠陥を含むもの
及び、用いられる金属酸化物に対してドナーを形成する
異種原子を少量含むもの等は一般的にいって導電性が高
いので特に好ましい。金属酸化物の例としてはZnO、
TiO2、SnO2、Al23、In23、SiO2、M
gO、BaO、MoO3、V25等、或いはこれらの複
合酸化物が好ましく、特にZnO、In23、V25
およびSnO2が好ましい。異種原子を含む例として
は、例えばZnO に対してはAl、In等の添加、S
nO2に対してはSb、Nb、P 、ハロゲン元素等の
添加、またTiO2に対してはNb、Ta等の添加が効
果的である。これらの異種原子の添加量は、0.01m
ol%〜30mol%の範囲が好ましいが、0.1〜1
0mol%であれば特に好ましい。更に、微粒子分散
性、透明性改良のために、微粒子形成時に珪素化合物を
添加してもよい。上記金属酸化物微粒子は、導電性を有
しており、その体積抵抗率は107Ω−cm以下、特に
105Ω−cm以下である。これらの酸化物については
特開昭56−143431号、同56−120519
号、同58−62647号、特開平4−79104号な
どの各公報に記載されている。
【0102】さらに、特公昭59−6235号公報に記
載のごとく、他の結晶性金属酸化物粒子あるいは繊維状
物(例えば酸化チタン)に上記の金属酸化物を付着させ
た導電性素材を使用してもよい。利用できる一次粒子サ
イズは0.0001〜1μmが好ましいが、0.001
〜0.5μmであると分散後の安定性がよく使用しやす
い。また、光散乱性をできるだけ小さくするために0.
001〜0.3μmの導電性粒子を利用すると透明材料
を形成することが可能となり大変好ましい。これらの粒
子は分散液及び塗布膜中での粒子は通常数個以上の一次
粒子が集合した二次凝集体であり、その粒径は0.3〜
0.01μmであり、好ましくは0.2〜0.03μm
である。また、導電性材料が針状あるいは繊維状の場合
はその長さは30μm以下で直径が1μm以下が好まし
く、特に好ましいのは長さが10μm以下で直径0.3
μm以下であり長さ/直径比が3以上である。
【0103】帯電防止用金属酸化物は、バインダーと共
に塗布されることが好ましい。バインダーとしては、特
に限定されないが、例えばゼラチンやデキストラン、ポ
リアクリルアミド、デンプン、ポリビニルアルコールの
ような水溶性バインダーでもよいし、ポリ(メタ)アク
リル酸エステル、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリ
塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、スチレン/ブタジエ
ン共重合体、ポリスチレン、ポリエステル、ポリエチレ
ン、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレン、ポリカ
ーボネートなどの合成重合体バインダーを有機溶媒で使
ってもよいし、更にこれらの重合体バインダーを水分散
体の形体で用いてもよい。また、これらの金属酸化物は
球形状のものと繊維状のものを混合して使用しても良
い。帯電防止用金属酸化物の含有量は、0.0005g
/m2以上であり、より好ましくは0.0009〜0.
5g/m2、特に好ましくは0.0012〜0.3g/
2である。
【0104】最終形態としての反射防止膜の表面抵抗率
は、102〜1012Ωの範囲が一般的であり、106〜1
12Ωの範囲が好ましく、さらに109〜1012Ωの範
囲がより好ましい。表面抵抗率が1012Ωをこえると、
帯電防止機能が十分でなく、ほこり等の付着を防ぐこと
ができない。また、表面抵抗率が102Ωを下回るに
は、多量の導電性金属酸化物を添加しなければならず、
そのため下塗り層の膜質が弱くなり低屈折率層の接着強
度が低下したり、反射防止膜のヘイズが大きくな過ぎ実
用的でない。また、下塗り層には、透明支持体を膨潤さ
せる溶剤、マット剤、界面活性剤、帯電防止剤、塗布助
剤や硬膜剤を添加してもよい。
【0105】<アンチグレア層>本発明の光学フィルタ
ーは、その表面にアンチグレア層を設け、凹凸を形成す
ることも好ましい。凸部の断面形状は、丸みを帯びた頂
点からなだらかな傾斜が周囲に延びていることが好まし
い。傾斜部は頂点に近い部分では上に凸、それ以外の部
分では下に凸の形態であることが好ましい。頂点は鋭角
的であっても、平坦であってもよい。 上方から観察し
た凸部の形態は、円形または楕円形であることが好まし
い。ただし、三角形、四角形、六角形あるいは複雑な形
であってもよい。凸部の形状は、凸部の周囲を囲む谷の
部分の輪郭で示される。輪郭で示される凸部の大きさ
は、円相当径で、0.5〜300μmであることが好ま
しく、1〜30μmであることがさらに好ましく、3〜
20μmであることが最も好ましい。表面の凹凸は、凹
凸を有するカレンダーロールにてカレンダープレスを行
う方法、マトリクスと粒子とを含む液を支持体上に塗
布、乾燥(必要により、硬化)させて層を形成する方
法、印刷による方法、リソグラフィーあるいはエッチン
グにより形成できる。マトリクスと粒子とを含む液を支
持体上に塗布する方法が好ましい。
【0106】上記マトリクスに用いる化合物は、飽和炭
化水素またはポリエーテルを主鎖として有するポリマー
であることが好ましく、飽和炭化水素を主鎖として有す
るポリマーであることがさらに好ましい。ポリマーは架
橋していることが好ましい。飽和炭化水素を主鎖として
有するポリマーは、エチレン性不飽和モノマーの重合反
応により得ることが好ましい。架橋しているバインダー
ポリマーを得るためには、二個以上のエチレン性不飽和
基を有するモノマーを用いることが好ましい。
【0107】二個以上のエチレン性不飽和基を有するモ
ノマーの例には、多価アルコールと(メタ)アクリル酸
とのエステル(例、エチレングリコールジ(メタ)アク
リレート、1,4−ジクロロヘキサンジアクリレート、
ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート)、
ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリ
メチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメ
チロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエ
リスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエ
リスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリ
スリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3−
シクロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポ
リアクリレート、ポリエステルポリ安息香酸−2−アク
リロイルエチルエステル、1,4−ジビニルシクロヘキ
サノン)、ビニルスルホン(例、ジビニルスルホン)、
アクリルアミド(例、メチレンビスアクリルアミド)お
よびメタクリルアミドを挙げることができる。エチレン
性不飽和基を有するモノマーは、塗布後、電離放射線ま
たは熱による重合反応により硬化させることが好まし
い。ポリエーテルを主鎖として有するポリマーは、多官
能エポキシ化合物の開環重合反応により合成することが
好ましい。
【0108】二以上のエチレン性不飽和基を有するモノ
マーを用いる代わりに、またはそれに加えて、架橋性基
を有する化合物を用いてもよい。架橋性基の反応によっ
ても、架橋構造をバインダーポリマーに導入することが
できる。架橋性基の例には、イソシアナート基、エポキ
シ基、アジリジン基、オキサゾリン基、アルデヒド基、
カルボニル基、ヒドラジン基、カルボキシル基、メチロ
ール基、および活性メチレン基を挙げることができる。
さらに、ビニルスルホン基、酸無水物、シアノアクリレ
ート誘導体、メラミン、エーテル化メチロール、エステ
ル結合およびウレタン結合が架橋性基に含まれる。テト
ラメトキシシランのような金属アルコキシドも架橋構造
を導入するためのモノマーとして利用できる。ブロック
イソシアナート基のように、分解反応の結果として架橋
性を示す官能基を用いてもよい。また、架橋基は、分解
した結果反応性を示す官能基であってもよい。架橋性を
有する化合物は塗布後、熱によって架橋させることが好
ましい。
【0109】凹凸を形成させる粒子としては、無機粒子
または有機粒子を用いる。無機粒子を形成する物質の例
には、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化マグネシウ
ム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム
および硫酸ストロンチウムが含まれる。有機粒子は、一
般にポリマーから形成する。ポリマーの例には、ポリメ
チルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリア
クリロニトリル、ポリスチレン、セルロースアセテート
およびセルロースアセテートプロピオネートが含まれ
る。無機粒子よりも有機粒子の方が好ましく、ポリメチ
ルメタクリレートもしくはポリエチレン粒子が特に好ま
しい。粒子の平均粒径は、0.5〜30μmであること
が好ましく、1〜3μmであることがさらに好ましい。
粒子を形成する物質あるいは粒径が異なる二種類以上の
粒子を組み合わせて使用してもよい。凹凸が形成された
表面を有する層の平均厚みは、粒子の平均粒径よりも小
さいことが好ましい。
【0110】本発明の光学フィルターには、ハードコー
ト層、潤滑層、防汚層、帯電防止層あるいは中間層を設
けることもできる。 <ハードコート層>ハードコート層は、所望により光学
フィルターに強度を付与するために設けられる。ハード
コート層は架橋しているポリマーを含むことが好まし
い。ハードコート層は、アクリル系、ウレタン系、エポ
キシ系、シロキサン系のポリマー、オリゴマーまたはモ
ノマー(例、紫外線硬化型樹脂)を用いて形成すること
ができる。シリカ系のフィラーをハードコート層に添加
することもできる。 <潤滑層>最表面の反射防止層(通常は低屈折率層)の
上に、潤滑層を形成してもよい。潤滑層は、反射防止層
表面に滑り性を付与し、耐傷性を改善する機能を有す
る。潤滑層は、ポリオルガノシロキサン(例、シリコン
オイル)、天然ワックス、石油ワックス、高級脂肪酸金
属塩、フッ素系潤滑剤またはその誘導体を用いて形成す
ることができる。潤滑層の厚さは、2〜20nmである
ことが好ましい。 <防汚層>最表面の反射防止層の上に防汚層を設けるこ
ともできる。防汚層は反射防止層の表面エネルギーを下
げ、親水性あるいは親油性の汚れを付きにくくするもの
である。防汚層は含フッ素ポリマーを用いて形成するこ
とができる。防汚層の厚さは2〜100nmであること
が好ましく、5〜30nmであることがさらに好まし
い。
【0111】最表面の反射防止層上に防汚層を設けた
り、または反射防止層中に防汚効果を有する化合物(防
汚剤)を添加することで反射防止層に防汚性を持たせる
こともできる。防汚層は、反射防止層の表面エネルギー
を下げ、親水性あるいは親油性の汚れを付きにくくする
ものである。防汚層は、含フッ素ポリマーを用いて形成
することができる。防汚層の厚さは2乃至100nmで
あることが好ましく、5乃至30nmであることがさら
に好ましい。防汚層や防汚剤としては、含フッ素化合物
を用いるのが好ましい。防汚剤の具体的な化合物として
は、フッ素を含有するモノマー、フッ素を含有するモノ
マーと他の親水性あるいは親油性のモノマーとのブロッ
ク共重合体、あるいはグラフト共重合体が挙げられる。
フッ素含有モノマーとしては、ヘキサフルオロイソプロ
ピルアクリレート、ヘプタデカフルオロデシルアクリレ
ート、パーフルオロアルキルスルホンアミドエチルアク
リレート、パーフルオロアルキルアミドエチルアクリレ
ート等に代表されるパーフルオロアルキル基含有(メ
タ)アクリル酸エステルが挙げられる。また、モノマー
を使用する際には重合時に飛散を防止するために炭素数
7以上のモノマーであることが好ましく、さらに好まし
くは炭素数10以上であり、特に好ましくは炭素数13
以上である。親水性あるいは親油性のモノマーとして
は、メチルアクリレート等の(メタ)アクリル酸エステ
ル、末端に水酸基含有ポリエステルと(メタ)アクリル
酸のエステル、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレー
ト、ポリエチレングリコールの(メタ)アクリル酸エス
テル等が挙げられる。市販のものとしては、パーフルオ
ロアルキル鎖のミクロドメイン構造を有するアクリル系
オリゴマーのデフェンサMCF−300,312、32
3等、パーフルオロアルキル基・親油性基含有オリゴマ
ーのメガファックF−170、F−173、F−175
等、パーフルオロアルキル基・親水性基含有オリゴマー
のメガファックF−171等(大日本インキ化学工業
(株)製)や、表面移行性に優れたセグメントと樹脂に
相溶するセグメントよりなるビニルモノマーのブロック
ポリマーであるフッ化アルキル系のモディパーF−20
0、220、600、820等が挙げられる。
【0112】<帯電防止層>光学フィルターに帯電性を
付与する目的で、帯電防止層を形成することができる。
帯電防止層は、通常透明支持体の反射防止膜層側に形成
される。帯電防止層は、以下に説明する導電性材料をバ
インダーとともに分散し塗布することにより形成するこ
とができる。好ましく使用される帯電防止用導電性材料
およびバインダーとしては、前記下塗り層に帯電防止性
能を付与し、帯電防止層を兼ねる際に用いる帯電防止用
導電性材料およびバインダーを用いることができる。
【0113】[各層の形成と光学フィルターの使用等]以
上述べた光学フィルターの種々の層は、一般的な塗布方
法により形成することができる。塗布方法の例には、デ
ィップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコー
ト法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラ
ビアコート法およびホッパーを使用するエクストルージ
ョンコート法(米国特許2681294号明細書記載)
が含まれる。ワイヤーバーコート法、グラビアコート法
およびエクストルージョンコート法が好ましい。二以上
の層を同時塗布により形成してもよい。同時塗布法につ
いては、米国特許2761791号、同2941898
号、同3508947号、同3526528号の各明細
書および原崎勇次著「コーティング工学」253頁(1
973年朝倉書店発行)に記載がある。各層の塗布液に
は、ポリマーバインダー、硬化剤、界面活性剤、pH調
整剤のような添加剤を加えることができる。塗布法以外
にも、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーテ
ィング法、プラズマCVD法あるいはPVD法により層
を形成することもできる。
【0114】なお、画像表示装置のディスプレイから発
生される電磁波を遮蔽する必要がある場合には、ディス
プレイの前面に導電性の高い膜が必要であり、本発明の
光学フィルターに導電層が設けられる。導電層の種類と
しては、銀などの金属層と金属酸化物の積層系を用いる
方法、格子状等にエッチングした金属薄膜、導電性メッ
シュを用いる方法などがあるが、モアレを起こさないと
いう点で銀などの金属層と金属酸化物の積層系を用いる
方法が好ましい。導電層の抵抗は、500Ω/□以下で
あることが好ましく、さらに好ましくは50Ω/□以下
であることが好ましく、特に好ましくは3Ω/□以下で
ある。また、実質的な下限としては、スパッタ膜で1Ω
/□、金属メッシュでは0.5Ω/□程度である。透明
導電層を設置する層としては、可視光吸収層と同一の支
持体上でもよいし、他の支持体でもよい。
【0115】上記銀などの金属層と金属酸化物の積層系
は、透明であることが好ましい。金属薄膜の金属として
は、金、銀、銅、白金、ロジウム、イリジウム、パラジ
ウム、から選ばれる1種もしくは2種以上の合金が好ま
しく、パラジウムと銀との合金が特に好ましい。この合
金中の銀の含有率は、80質量%以上であることが好ま
しい。金属酸化物薄膜の金属酸化物としては、Ti
2、SnO2 、ZnO、ITOおよびIn23を主成
分とするものであることが好ましく、Ga23などを添
加しても良い。金属層と金属酸化物層とを積層すると、
金属酸化物層により金属層を保護(酸化防止)し、可視
光の透過率を高くすることができる。積層する構成とし
ては、支持体/(金属酸化物層/金属層)n/金属酸化
物層であることが好ましい。ここでnは1以上の整数で
あり、1〜10の整数が好ましく、更に好ましくは1〜
7の整数であり、特に好ましくは1〜5の整数である。
金属層、金属酸化物層はそれぞれ、二種以上の積層であ
っても良い。また金属層上に金属層を保護するための層
を設けても良い。
【0116】また、上記層構成において、金属アルコキ
サイド化合物の薄膜も、金属層と積層することができ
る。金属酸化物または金属アルコキサイド化合物の層
は、金属層の両側に積層することができる。金属層の両
側に積層する場合、異なる種類の層を用いてもよい。金
属層の厚さは、合計5〜60nmであることが好まし
く、10〜55nmであることがさらに好ましく、15
〜50nmであることが最も好ましい。金属酸化物また
は金属アルコキサイド化合物層の厚さは、20〜300
nmであることが好ましく、40〜150nmであるこ
とがさらに好ましい。金属層は、スパッタリング法、真
空蒸着法、イオンプレーティング法、プラズマCVD
法、プラズマPVD法あるいは金属または金属酸化物の
超微粒子塗布により形成することができる。中でもスパ
ッタリング法が好ましい。また、スパッタリングする透
明支持体上には支持体からの可塑剤の揮散を防ぐために
アクリル系、ウレタン系、エポキシ系、シロキサン系の
ポリマー、オリゴマーまたはモノマー(例、紫外線硬化
型樹脂)を用いてオーバーコート層を10μm以下の厚
みで有することが好ましい。
【0117】光学フィルターは、液晶表示装置(LC
D)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレク
トロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表
示装置(CRT)のような画像表示装置に用いられる。
本発明に従う光学フィルターは、プラズマディスプレイ
パネル(PDP)または陰極管表示装置(CRT)、特
にプラズマディスプレイパネル(PDP)に用いると、
顕著な効果が得られる。
【0118】本発明の光学フィルターは、透明支持体を
前面ガラス板を撤去された画像表示装置のパネル、例え
ばプラズマディスプレイパネルに直接貼り合わせること
ができる。その際ガラス破損防止、破損時のガラスによ
る怪我を防ぐため、本発明の光学フィルターを構成する
透明支持体に1〜5枚、好ましくは1枚または2枚のの
透明支持体を積層することが望ましい。この場合、透明
支持体の膜厚の合計が250μm以上であることが好ま
しく、より好ましくは350μm以上であり、特に好ま
しくは400μm以上である。また、実質的な上限とし
ては5mmで、好ましくは4mmで、さらに好ましくは
2mmである。厚いほど強度は増すが張り合わせの手
間、視認性の劣化が起こるので、透明支持体の材質や他
の層の構成を勘案して適宜選ぶことができる。また、用
いる透明支持体の内、一枚が160μm以上であること
が好ましい。また、可視光吸収層は低反射層と同一の支
持体の低反射層の反対面側に設置されてもよいし、別の
支持体に設置されても良い。近赤外線遮蔽フィルター
層、透明導電層も同様である。
【0119】支持体同士を貼りつける際には、粘着剤を
用いることが好ましい。粘着剤は、粘着性を有し、ゴム
状の粘りを有する材料である。粘着剤として、好ましく
は天然ゴム系、SBR系、ブチルゴム系、再生ゴム系、
アクリル系、ポリイソブチレン系、シリコーンゴム系、
ポリビニルブチルエーテルなどを挙げることができ、な
かでもアクリル系が好ましい。粘着剤に関しては、高分
子学会編「高機能接着剤・粘着剤」などに記載されてい
るものを用いることができる。粘着剤層は、これらの粘
着剤を水または溶剤に、溶解あるいは分散した塗布液を
直接塗布、乾燥して得られるが、あらかじめ剥離性の良
好なPETなどの支持体上に粘着剤層を設けたものをラ
ミネートして粘着剤層を設けることもできる。
【0120】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明は実施例に限定されて解釈されることはな
い。
【0121】(支持体上への下塗り層および帯電防止層
の形成)厚さ175μmの透明支持体(2軸延伸ポリエ
チレンテレフタレートフィルム)の両面をコロナ処理し
た後、可視光吸収層、赤外線遮蔽フィルター層を設置す
る面に屈折率1.55、ガラス転移温度37℃のスチレ
ン−ブタジエンコポリマーからなるラテックス(LX4
07C5、日本ゼオン(株)製)を膜厚が300nmと
なるよう塗布し、下塗り層を形成した。反対面にも屈折
率1.55、ガラス転移温度37℃のスチレン−ブタジ
エンコポリマーからなるラテックス(LX407C5、
日本ゼオン(株)製)と酸化錫・酸化アンチモン複合酸
化物(石原産業(株)FS−10D)を質量で5:5の
割合で混合し乾燥後の膜厚が200nmとなるよう塗布
し、帯電防止層を兼ねる下塗り層を形成した。
【0122】(ハードコート層の形成)酸化ジルコニウ
ムの48質量%分散液(溶媒:メチルエチルケトン/シ
クロヘキサノン、質量比1/1)37.2g、ジペンタ
エリスリトールヘキサアクリレート(DPHA、日本化
薬(株)製)4.46g、光重合開始剤1.17g(イ
ルガキュア907、チバガイギー社製)を混合溶解し
た。上記下塗り層および帯電防止層上に上記溶液を乾燥
膜厚が6μmとなるようにワイヤーバーにて塗布、乾燥
し、紫外線を照射し硬化させた。
【0123】(反射防止層の形成) (1) 高屈折率層Hn−1などの形成 二酸化チタン微粒子(TTO-55N、シェル材料;なし、石
原産業(株)製)30.0質量部、市販のアニオン性モ
ノマー(PM−21、日本化薬(株)製)4.5質量
部、市販のカチオン性モノマー(DMAEA、(株)興
人)0.3質量部およびシクロヘキサノン65.2質量
部を、サンドグラインダーミルにより分散し、質量平均
径55nmの二酸化チタン分散液を調製した。特開平1
1−153703号公報、実施例1に記載の方法と同様
に前記二酸化チタン分散物とジペンタエリスリトールヘ
キサアクリレート(DPHA、日本化薬(株)製)、光
重合開始剤(イルガキュア907、チバガイギー社
製)、光増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬
(株)製)およびメチルエチルケトンを添加し、高屈折
率層用塗布液を調製した。添加量は、高屈折率層の屈折
率が1.75となるように調節した。具体的には、モノ
マーの合計量(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレ
ート、アニオン性モノマー(1)およびアニオン性モノ
マー(2)の合計量)と二酸化チタンとの体積比が7
9.0/21.0、光重合開始剤と光増感剤との質量比
が3/1、そして、光重合開始剤と光増感剤の合計量と
モノマーの合計量との質量比が6/100になるように
調節した。前記ハードコート層の上に、本高屈折率層用
塗布液をバーコーターで塗布し、紫外線を照射して層を
硬化させた。このようにして、厚さ(乾燥膜厚)が60
nmの高屈折率層を形成した。同様にしてHn−2とし
て屈折率が1.94、Hn−3として屈折率が1.7
3、Hn−4として屈折率が1.62となるように酸化
チタンとモノマーの比を調整し高屈折率層を形成した。
【0124】(2) 低屈折率層Ln−1などの形成 ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPH
A、日本化薬(株)製)6g、光重合開始剤(イルガキ
ュア907、チバガイギー社製)0.5g、光増感剤
(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)0.2g
およびメチルエチルケトン200gを混合、攪拌して、
低屈折率層の塗布液を調製した。塗布液を高屈折率層の
上にワイヤーバーを用いて厚さ100nmに塗布し、こ
れを乾燥後、100℃に加熱して12W/cmの高圧水
銀灯を用いて1分間紫外線照射し架橋させた。その後室
温まで放冷して低屈折率層(屈折率:1.53)を形成
した。このようにして、反射防止膜を作成した。反射防
止膜の反射率の最低値を、反射率計(V−550、AR
V−474(日本分光(株)製)で測定した。同様にし
てDPHAの替わりにトリエチレングリコールジアクリ
レートを使用した以外はLn−1と同様にして低屈折率
層Ln−2、ペンタエリスリトールテトラアクリレート
を形成した以外はLn−1と同様にして低屈折率層Ln
−3を形成した。また、DPHAに粒径が10〜20n
mのSiO2を質量比でDPHA/SiO2が60/40
となるようメチルエチルケトンと共に混合、塗布しLn
−4を形成した。Ln−4と同様にしてDPHA/Si
2が20/80としたものを用いLn−5、DPHA
/SiO2が10/90としたものを用いLn−6を形
成した。Ln−7としてはHn−4のDPHAの替わり
にトリエチレングリコールジアクリレートを使用した以
外はHn−4と同様にして得た。さらにDPHA/Si
2/化合物Aが50/40/10となるよう2−ブタ
ノールと共に混合、塗布しLn−8を形成した。同様に
DPHA/SiO2/化合物Bが50/40/10とな
るよう2−ブタノールと共に混合、塗布しLn−9を形
成した。
【0125】化合物A CF3CF2CF2CF2CH2CH2OCOCH=CH2 化合物B C817SO2N(C37)CH2CH2OCOCH=CH
2
【0126】(3)中屈折率層Mn−1の形成 中屈折率層としてHn−1と同じ塗布液を用いMn−1
を形成した。 (4)反射防止膜1〜11の形成 下記表1に示される反射防止膜を形成した。
【0127】
【表1】
【0128】実施例1〜8、比較例1、2(可視光吸収
層および赤外線遮蔽フィルター層の形成) ゼラチンの10質量%水溶液180gにpHが7になる
ように1規定の水酸化ナトリウム溶液を添加し、下記
(色素1)15mg/m2および前記染料2−7、2
4.5mg/m2および前記染料1−12、45.9m
g/m2、前記染料1−13,29.1mg/m2および
下記(色素2),120mg/m2を添加し、30℃で
24時間攪拌した。得られたフィルター層用塗布液を反
射防止膜1〜7(実施例1〜7)、反射防止膜8、9
(比較例1、2)に、低屈折率層が形成されている裏面
の300nmの下塗り層側に、乾燥膜厚が3.5μmと
なるように塗布し、120℃で10分間乾燥して光学フ
ィルターを作成した。
【0129】
【化25】
【0130】作成した光学フィルターについて、分光透
過率を調べたところ、400nm、593nm,810
nm,904nmおよび985nmに吸収極大を有して
いた。400nmの吸収極大での透過率は35%、59
3nmの吸収極大での透過率は30%、810nmの吸
収極大での透過率は5%、905nmの吸収極大での透
過率は1%、983nmの吸収極大での透過率は3%で
あった。また、593nmの半価幅は25nmであっ
た。これら光学フィルターおよびをプラズマディスプレ
イに直接貼り合わせ、色味、800〜900nmの領域
での近赤外線透過率、消しゴム擦り耐性を比較した。表
2、3に評価結果を示す。
【0131】
【表2】
【0132】
【表3】
【0133】各評価方法は以下の通りである。 ・色味の評価(目視) ×…緑色を帯びた白、橙色を帯びた赤 ○…白色光、赤色光とも改良効果あり ・赤外線カット性の評価 800から820nm、890から910nm、970
から990nmの透過率において; ○…いずれも20%以下である △…一部20%以上である ×…いずれも20%以上である ・消しゴム擦り評価 ライオン(株)製消しゴムNo.50を用いて1kgの
荷重をかけ表面を50往復し、表面の損傷を目視で評価
した。 ○…傷無し △…一部傷有り ×…膜がはがれる ・防汚性の評価 指紋付着性評価のため接触角を測定した。 ○…100°以上 △…70°以上100°未満
【0134】実施例10〜14、比較例3(画像表示装
置への適用) (導電層設置支持体の形成) (1)スパッタ膜方式 オーバーコート層としてUV硬化型多官能メタクリル酸
樹脂(JSR製Z7503)を3μm設置した厚み25
0μmの透明支持体(透明な2軸延伸ポリエチレンテレ
フタレートフィルム)上に金属酸化物層としてTiO2
を走行式スパッタリング装置でデュアルマグネトロンス
パッタ法にて製膜した。このとき酸素量はプラズマエミ
ッションモニター法にて制御した。真空度は0.34P
aであった。金属薄膜としてはAgを走行式スパッタリ
ング装置で製膜した。真空度は0.3Paであった。保
護金属層としてはTiを走行式スパッタリング装置で製
膜した。真空度は0.27Paであった。上記方法で、
支持体上にオーバーコート層/TiO2層/Ag層/T
i層/TiO2層/Ag層/Ti層/TiO2層の順にそ
れぞれ膜厚3nm/21nm/16nm/1.3nm/
44nm/16nm/1.3nm/21nmの積層膜を
形成した。本膜の表面抵抗は2.7Ω/□であり、電磁
波遮断性能としては十分な抵抗値であった。また550
nmでの透過率は70%であった。また、銀はパラジウ
ムを1mol%含有している。以下膜Aとする。
【0135】(2)エッチングメッシュ方式 特開平9−293989号公報と同様にして、厚さ17
5μmの透明な2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフ
ィルム上に無電解めっき法で膜厚5μmの銅箔膜を作製
した。本銅箔上にフォトレジストをスピンコーティング
し、フォトマスクを用いて密着露光、現像し、レジスト
に覆われていない部分の金属層を1%希硝酸によりエッ
チング除去し、線幅12μm、線間隔250μmの銅線
が格子状に配置された銅薄膜からなるメッシュを作製し
た。以下膜Bとする。
【0136】(積層膜の作製)光学フィルター(実施例
1のフィルター、以下フィルター1とする)、導電層設
置支持体膜および他の透明支持体をアクリル系粘着剤を
用いて積層膜を作製した。作製した積層膜の構成を表4
に示す。また、光学フィルターは反射防止層が視認者側
にくるように貼り合わせた。
【0137】
【表4】
【0138】比較例3として表5に示すフィルターを作
製した
【0139】
【表5】
【0140】これら積層膜およびフィルターを厚さ約3
mmのガラスに貼りつけ、ハンマーで叩き破損させた場
合のフィルターの状況を調べた。結果を表6に示した。
【0141】
【表6】
【0142】ガラス破損時の評価は、下記の通りであ
る。 〇:フィルター層に破れ無し △:フィルター層が破れガラスが飛び出す部分3箇所以
内有り ×:フィルター層が破れガラスが飛び出す部分3箇所以
上有り
【0143】これら実施例から、本発明の光学フィルタ
ーは、低反射性、消しゴム擦り耐性、色改良、赤外線遮
蔽性、防汚性、ガラス破損時の切創安全性を同時に満た
す点で優れていることが明らかである。一方、比較例1
の場合、反射防止膜の高屈折率層の屈折率が1.65未
満であり、比較例2の場合、低屈折率層の屈折率が1.
55を越えているため、いずれも低反射性、消しゴム擦
り耐性、色改良、赤外線遮蔽性、防汚性に劣る。また、
比較例3の場合、透明支持体が一層であるため、ガラス
破損時の切創安全性に欠ける。
【0144】
【発明の効果】本発明の光学フィルターは、画像表示装
置における外光の映りこみを防止するための反射防止性
能に優れ、放出される赤外光強度を低減し、色純度を改
善することができる。また、本発明の画像表示装は、前
面板ガラスを撤去しても強度が維持されて軽量化、低コ
スト化が実現され、しかも上記性能に優れる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H048 CA04 CA12 CA14 CA19 CA24 2H091 FA37X FB02 FB12 FD15 LA03 LA12 2K009 AA05 AA06 CC03 CC09 CC14 CC23 CC26 CC33 CC34 DD02 EE03 5G435 AA00 AA01 AA04 BB06 FF02 GG11 GG32 HH03 KK07

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明支持体の片面に、(i)屈折率が
    1.65〜2.40である高屈折率層と屈折率が1.2
    0〜1.55である低屈折率層とを有する反射防止膜、
    および(ii)可視光吸収層および/または750〜12
    00nmの近赤外線をカットする赤外線遮蔽フィルター
    層の少なくともいずれかの層を有することを特徴とする
    光学フィルター。
  2. 【請求項2】 反射防止膜の低屈折率層中に、フッ素を
    含有しない2個以上の重合性基を有するモノマーの重合
    体が10質量%以上含有され、かつ1〜200nmの平
    均粒径を有する無機微粒子が含有されていることを特徴
    とする請求項1に記載の光学フィルター。
  3. 【請求項3】 該低屈折率層が、単官能性フッ素含有モ
    ノマーを含有することを特徴とする請求項1または2に
    記載の光学フィルター。
  4. 【請求項4】 反射防止膜の高屈折率層中に、1〜20
    0nmの平均粒径を有する無機微粒子が5体積%以上お
    よびアニオン性基を有し、かつ架橋構造を形成している
    ポリマーが35体積%以上含有されていることを特徴と
    する請求項1〜3のいずれかに記載の光学フィルター。
  5. 【請求項5】 赤外線遮蔽フィルター層に、赤外線領域
    に吸収を有する色素が含有されていることを特徴とする
    請求項1〜4のいずれかに記載の光学フィルター。
  6. 【請求項6】 赤外線遮蔽フィルター層に含有されてい
    る色素が、波長750〜850nm、851〜950n
    mおよび951〜1100nmの範囲において、それぞ
    れ平均透過率が25%以下であることを特徴とする請求
    項1〜5のいずれかに記載の光学フィルター。
  7. 【請求項7】 可視光吸収層に色素が含有されているこ
    とを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の光学フ
    ィルター。
  8. 【請求項8】 可視光吸収層が、560nm〜620n
    mの波長領域に吸収極大を有することを特徴とする請求
    項1〜7のいずれかに記載の光学フィルター。
  9. 【請求項9】 可視光吸収層の560〜620nmの波
    長領域における吸収極大での半値幅が5〜70nmであ
    ることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の光
    学フィルター。
  10. 【請求項10】 透明支持体が複数枚積層されているこ
    とを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の光学フ
    ィルター。
  11. 【請求項11】複数枚ある透明支持体の膜厚の合計が2
    50μm以上であることを特徴とする請求項10に記載
    の光学フィルター。
  12. 【請求項12】表面抵抗が500Ω/□以下の導電層が
    設けられていることを特徴とする請求項1〜11のいず
    れかに記載の光学フィルター。
  13. 【請求項13】請求項1〜12のいずれかの光学フィル
    ターをプラズマディスプレイパネルの前面ガラスに直接
    貼りつけたことを特徴とする画像表示装置。
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