JP2002194155A - カレンダー加工用ポリプロピレン樹脂組成物とそれより得られるフィルムとその製造方法 - Google Patents
カレンダー加工用ポリプロピレン樹脂組成物とそれより得られるフィルムとその製造方法Info
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Abstract
に、厚みが均一で表面が平滑であり、弛みがないフィル
ムの製造可能なポリプロピレン樹脂組成物と、フィルム
の提供。 【解決手段】ポリプロピレン樹脂100重量部に対し
て、CaCO3、ZnCO3、Al2(OH)3、Mg
CO3及びタルクから選ばれる裁断性向上剤10〜50
重量部を含む樹脂組成物で、温度170℃及び180℃
において剪断速度を10000(1/秒)としたときの
伸長粘度が2000〜5900Pa・sの範囲にあり、
温度170℃及び180℃において剪断速度を1000
0(1/秒)としたときのダイスウェル比が1.0〜2.5
の範囲にあり、温度180℃において引取り速度を5m
/分としたときの溶融張力が1gf以上であることを特
徴とするポリプロピレン樹脂組成物及びフィルムの製造
方法。
Description
ポリプロピレン樹脂組成物とそれより得られるフィルム
とその製造方法に関する。詳しくは、本発明は、カレン
ダー加工によって容易にフィルムを与えるポリプロピレ
ン樹脂組成物、それより得られるフィルム、特に、例え
ば、ラベルやステッカー用フィルムの基材フィルムや、
マーキング用フィルムの基材フィルムのような装飾・表
示用フィルムの基材フィルム(以下、それぞれラベル、
ステッカー、マーキング用基材フィルムや、装飾・表示
用基材フィルムという。)として好適に用いることがで
きるフィルム、更には、そのようなフィルムの製造方法
に関する。
テッカー用フィルムやマーキング用フィルムを含むもの
とし、ステッカー用フィルムとは、表面に予め絵や図柄
等を印刷し、裏面に粘着剤層とセパレータ(離型紙)と
をこの順序にて積層してなる宣伝や表示を目的とする一
種の粘着フィルムである。使用に際しては、宣伝や表示
を目的として上記絵や図柄等の周囲をおおまかに切取
り、これを適宜の被着体、例えば、壁、窓等に貼り付け
る。
号等を印刷したフィルムの裏面に粘着剤層とセパレータ
をこの順序にて積層した後、セパレータ上に上記文字や
記号等を残して、他の部分を剥離除去してなる一種の粘
着フィルムである。使用に際しては、上記文字や記号等
をセパレータから剥がして、その裏面の粘着剤を利用し
て、これを適宜の被着体、例えば、壁、看板基板等に貼
り付け、かくして、被着体上に、例えば、種々の名称や
記号、番号等を表示する。
は、基本的には、予め、その表面に所要の図柄模様、文
字、記号等を印刷してなるフィルムであって、裏面の粘
着剤層によって、用途、目的に応じて、種々の基板や被
着体に貼り付けて、装飾や表示等の機能を発現させるも
のである。
ムとしては、塩化ビニル樹脂フィルムが用いられてい
る。しかし、塩化ビニル樹脂フィルムは、その使用適性
が環境温度によって影響を受けやすく、四季を通じて、
安定した使用適性を得ることが困難である。即ち、冬場
は、環境温度が低くなると、硬くなって、フィルムが裂
けやすくなり、他方、夏場には、環境温度が高くなるの
で、フィルムが柔らかくなり、被着体に貼り付けたとき
にフィルムが伸びる傾向がある。このように、塩化ビニ
ル樹脂は、環境温度の影響を受けやすいので、特に、車
両の外装や建築物、看板等に貼着して使用するには、適
しない。
を含むところから、近年においては、「脱塩素」なる環
境保護を目的として、ポリ塩化ビニル樹脂の代替品が求
められるに至っている。そこで、塩素や可塑剤を含んで
おらず、そのうえ、塩化ビニル樹脂に比べて、環境温度
の影響を受け難いのみならず、経済性や安全性の観点か
らも、既に、上記装表示用基材フィルムとしても、一部
は、ポリオレフィン樹脂への代替が進みつつある。
ルムは、従来、通常、押出やインフレーション成形によ
って製造されており、他方、カレンダー加工によるフィ
ルムの製造は、一般に、塩化ビニル系樹脂に比較して困
難であるとされており、殆ど、実用化されていない。
ムは、従来、T型ダイスから溶融した樹脂を押し出し
て、平滑なフィルムを得るTダイ法か、又はリング状の
円形ダイから溶融した樹脂をチューブ状に押出すと同時
にその中に圧搾空気を吹き込み、チューブを膨張させ
て、チューブ状のフィルムを得るインフレーション法に
よって製造されている。しかし、Tダイ法によれば、生
産性が低く、他方、インフレーション法によれば、フィ
ルムが波打っており、本来、粘着加工には適しない。
ルムに粘着剤を塗工し、所要の印刷を施して、被着体に
貼着するものであるから、基材フィルムに弛み(たる
み)がないことが要求される。基材フィルムに弛みがあ
るときは、粘着剤の塗工に際して、皺や気泡が生じた
り、また、被着体に貼着する際にも、被着体上で皺が生
じる。しかし、従来、ポリオレフィン樹脂からなるフィ
ルムは、特に、長尺に製造したとき、弛みをもつことが
多い。
いては、フィルムの厚みは、従来、ダイのリップの間隔
をダイ出口の調整ボルトを手作業で調整することによっ
て行なわれており(フレキシブルリップ方式Tダイ)、
最近では、自動制御方式(ヒートボルト方式Tダイ)も
知られているが、しかし、上記調整ボルトが間隔をおい
て設けられていることから、得られるフィルムは、幅方
向の厚みが僅かに異なることが多く、その結果として、
このようなフィルムを長尺で巻き取ると、厚みの差が積
算されて、フィルムの長尺ロールは、厚みの厚い部分が
いわば瘤を形成して、フィルムに癖がつき、弛みをもつ
こととなる。他方、インフレーション法によるフィルム
は、本来、厚み精度が低く、弛みを有している。
樹脂を回転する一対のロールの間で圧延してフィルムと
する方法であり、従来、専ら、軟質塩化ビニル樹脂フィ
ルムの製造に用いられている。このカレンダー法におい
ては、ロール間の隙間は、ロールの軸受け部を移動して
調整するので、得られるフィルムは、幅方向の厚み精度
が高く、長尺のロールに巻き取っても弛みができない。
この点からも、装飾・表示用基材フィルムとして用いる
ポリオレフィン樹脂フィルムについては、カレンダー加
工によって製造することが求められている。
を有するほか、一般に、単一のフィルムを多量に連続生
産するには適しているが、例えば、装飾・表示用基材フ
ィルムの製造におけるように、種々、色の相違するもの
の製造、即ち、多色多品種生産するには適していない。
特に、Tダイ法においては、色替え時には、先のフィル
ムの製造に用いた混練物が微量、押出機のバレル内に滞
留しており、これを除去するために、段替えに多くの時
間を要する。まして、装飾・表示用フィルムは、これを
貼り付ける場所を選ばないので、自ずから、その製造に
おいては、樹脂に顔料を多量に配合して、高い隠蔽力を
有するフィルムとして製造されることが多いが、そのよ
うに、樹脂に顔料を多量に配合すれば、Tダイ法によれ
ば、ダイス内に樹脂が滞留しやすく、次の製造のための
色替えが厄介であるほか、そのようにダイス内に滞留し
た樹脂が加工中に分解するという欠点もある。
るフィルムの製造において、カレンダー加工による場合
は、樹脂が溶融すれば、粘度が低く、べたつきが著しい
ために、カレンダーロールのほか、ロールからの引取り
ロール、ロール間の樹脂バンクの幅を制御する板部材等
の周辺の付属設備に粘着し、剥がれなくなり、(即ち、
ロールとられが起こって、)平滑な表面を有するフィル
ムを厚み精度よく製造することが困難であり、場合によ
っては、連続したフィルムを製造することさえ困難であ
る。また、樹脂を半溶融としても、平滑なフィルムを得
ることができない。
系にて加熱、溶融し、T型ダイスから押し出して、フィ
ルムとするTダイ法と相違し、カレンダー加工において
は、樹脂を開放系にて加熱、溶融し、ロール間で圧延し
て、フィルムとするので、樹脂の温度を均一に保つこと
が困難である。
は、樹脂が広い温度範囲で加工に適する粘度を保持する
ことが必要であるが、一般に、ポリオレフィン樹脂は、
加工に適する粘度を有する温度範囲が狭く、この点にお
いても、従来、カレンダー加工が困難であるとされてい
る。
ポリオレフィン樹脂を用いて、装飾・表示用基材フィル
ムを生産性よく製造することができず、他方、上述した
ように、ポリオレフィン樹脂を原料とするカレンダー法
によれば、従来、ロールとられなしに、厚みが均一で表
面が平滑であり、更に、フローマークやバンクマークや
柚子肌がなく、装飾・表示用基材フィルムを得ることが
困難である。
き伸ばしたときに、伸びが大きいので、裁断したり、切
断したりした場合に、所謂繊維状の「ひげ」が発生し、
また、マーキング用フィルムについていえば、文字や記
号に鋭角部があれば、そこで、切り残しが生じる問題も
ある。
ィン樹脂、特に、ポリプロピレン樹脂のカレンダー加工
における上述した問題を解決するためになされたもので
あって、カレンダー加工によって、ロールとられなし
に、フィルムを製造することができるカレンダー加工用
ポリプロピレン樹脂組成物用と、そのようなポリプロピ
レン樹脂組成物をカレンダー加工して得られる厚みが均
一で表面が平滑であり、弛みがなく、しかも、裁断や切
断時にひげや切り残しがなく、高隠蔽力を有するフィル
ム、従って、ラベルやステッカー用フィルムやマーキン
グ用フィルムのような装飾・表示用基材フィルムとして
好適に用いることができるフィルムと、そのようなフィ
ルムの製造方法を提供することを目的とする。
ロピレン樹脂100重量部に対して、炭酸カルシウム、
炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネ
シウム及びタルクから選ばれる少なくとも1種の裁断性
向上剤10〜50重量部を含むカレンダー加工用ポリプ
ロピレン樹脂組成物であって、ツインキャピラリーレオ
メーターにて温度170℃及び180℃において剪断速
度を10000(1/秒)としたときの伸長粘度が20
00〜5900Pa・sの範囲にあり、ツインキャピラ
リーレオメーターにて温度170℃及び180℃におい
て剪断速度を10000(1/秒)としたときのダイス
ウェル比が1.0〜2.5の範囲にあり、キャピラリー
レオメーターにて温度180℃において引取り速度を5
m/分とすることができ、且つ、そのときの溶融張力が
1gf以上であることを特徴とするポリプロピレン樹脂
組成物が提供される。
ロピレン樹脂組成物からカレンダー加工によって得られ
るフィルムが提供される。
ロピレン樹脂組成物をカレンダー加工するフィルムの製
造方法が提供される。
リプロピレン樹脂組成物は、ポリプロピレン樹脂100
重量部に対して、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、
水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム及びタルクか
ら選ばれる少なくとも1種の裁断性向上剤10〜50重
量部を含んでなるものである。
としては、流れ特性として、好ましくは、ツインキャピ
ラリーレオメーターにて温度180℃において剪断速度
を10000(1/秒)としたときの伸長粘度が200
0〜3500Pa・sの範囲にあり、ツインキャピラリ
ーレオメーターにて温度180℃において剪断速度を1
0000(1/秒)としたときのダイスウェル比が1.0
〜2.5の範囲にあり、キャピラリーレオメーターにて温
度180℃において引取り速度を5m/分とすることが
でき、且つ、そのときの溶融張力が1gf以上であるも
のが用いられる。
Pa・sを越えるか、又はダイスウェル比が2.5を越え
るときは、得られる樹脂組成物から得られるフィルムが
表面の平滑性に劣り、所謂荒れた表面を有する。他方、
上記伸長粘度が2000Pa・sよりも小さいか、又は
ダイスウェル比が1.0よりも小さいときは、カレンダー
ロールへの樹脂組成物の粘着性、所謂べたつきが高く、
糊状となって、ロールとられが起こり、かくして、カレ
ンダーロールから樹脂組成物をフィルムとして引き剥が
すことが困難である。
記条件下で1gfよりも小さいときは、得られるポリプ
ロピレン樹脂組成物のカレンダー加工において、ドロー
ダウンが生じて、フィルムをロールから引取ることがで
きないおそれがある。
上記伸長粘度、ダイスウェル比及び溶融張力が上述した
条件を満たす限りは、市販の単一のポリプロピレン樹脂
を用いてもよく、また、2種以上のポリプロピレン樹脂
のブレンドを用いてもよい。
酸カルシウムが好ましく用いられる。この炭酸カルシウ
ムは、天然石灰石を粉砕したものでもよく、化学的に合
成したものでもよいが、しかし、JIS K 5101
に従って求めたBET比表面積が2〜20m2 /gの範
囲にあることが好ましい。
るときは、炭酸カルシウムの粒径が大きすぎて、得られ
るフィルムが引裂強度において劣り、実用性に欠ける。
他方、BET表面積が大きすぎるときは、炭酸カルシウ
ムの粒径が小さすぎて、得られる樹脂組成物の粘度を過
度に高くし、かくして、樹脂組成物のカレンダー加工に
おいて、バンクが回らないので、表面が平滑なフィルム
を得ることができない。
ウムの配合割合が少なすぎるときは、得られるフィルム
に所期の裁断性を与えることができない。しかし、ポリ
プロピレン樹脂に炭酸カルシウムを過多に配合すれば、
カレンダー加工時、ロールに対する滑性が不十分となっ
て、ロールから引き剥がすことが困難となったり、ま
た、フィルムが切断しやすくなって、ロールからフィル
ムを安定して引き取ることができない。
れより得られるポリプロピレン樹脂組成物の伸長粘度と
ダイスウェル比は、好適には、ロザンド プレシジョン
社(Rosand Precision Ltd.) 製のツインキャピラリー
レオメーター(例えば、RH7−2型)を用いて測定す
ることができる。伸長粘度もダイスウェル比も、溶融し
た樹脂組成物が、例えば、フィルム成形用のダイを出た
以降の自由表面下での変形のしやすさを示す一指標であ
り、要すれば、伸長粘度は、一定の歪み速度で一定の温
度下での粘度である。一方、ダイスウェル比は、溶融し
た樹脂組成物をダイから押し出したときの押出物の径と
ノズル口径との比である。
に示すように、一対のバレル1を有し、一方のバレルに
は適当な長さのロングダイ2が取付けられており、他方
のバレルには殆ど長さのないショートダイ3が取付けら
れている。両方のバレルに測定対象の樹脂組成物を仕込
み、予め定めた温度に加熱して溶融させ、それぞれのピ
ストン4を同時に作動させて、ダイ入口に取付けた圧力
センサ5にてそれぞれのバレル中の溶融樹脂組成物のダ
イの長さの差に基づく圧力損失の差を求め、これとピス
トンの速度から得られる剪断速度とから、目的とする伸
長粘度を求めることができる。
フィス)で生じる圧力損失P0 (MPa)を次式から求
める。
損失(MPa)、PS はショートダイで測定した圧力損
失(MPa)、LL はロングダイの長さ(mm)、LS
はショートダイの長さ(mm)である。
定によって、剪断粘度
でき、これらに基づいて伸長粘度λを次式から求めるこ
とができる。
dex) であって、kを定数として、
(株)東洋精機製作所製の単一のバレルを備えたキャピ
ラリーレオメーターであるキャピログラフ(例えば、1
C型)を用いて好適に測定することができる。溶融張力
の測定装置を図2に示すように、キャピラリーレオメー
ター21から一定の速度で溶融した樹脂組成物をストラ
ンド22に押し出し、このストランドを張力検出器23
に取付けた張力検出プーリ24を経て、巻取ロール25
にて所定の速度で巻取りながら、この際にストランドに
加わる張力を張力検出器23で測定する。
レン樹脂組成物は、ツインキャピラリーレオメーターを
用いて、後述する測定条件下において、温度170℃及
び180℃において剪断速度を10000(1/秒)と
したときの伸長粘度が2000〜5900Pa・sの範
囲にあり、ツインキャピラリーレオメーターを用いて、
後述する測定条件下において、温度170℃及び180
℃において剪断速度を10000(1/秒)としたとき
のダイスウェル比が1.0〜2.5の範囲にある。
物のカレンダー加工によって表面が平滑なフィルムを得
るには、カレンダーロール間のギャップで薄く広げた樹
脂組成物がその弾性によって厚く復元しないことが必要
であることから、ダイスウェル比が1.0〜2.5の範囲に
あり、更に、高い剪断力が加わるカレンダーロール間で
溶融した樹脂組成物が流れやすいように、伸長粘度が小
さく、2000〜5900Pa・sの範囲にあることが
必要である。
か、又はダイスウェル比が2.5を越えるときは、得られ
る樹脂組成物からカレンダー加工にてフィルムを得るこ
とができても、得られるフィルムが表面の平滑性に劣
り、所謂荒れた表面を有する。他方、上記伸長粘度が2
000Pa・sよりも小さいか、又はダイスウェル比が
1.0よりも小さいときは、カレンダーロールへの樹脂組
成物の粘着性、所謂べたつきが高く、糊状となって、ロ
ールとられが起こり、かくして、カレンダーロールから
樹脂組成物をフィルムとして引き剥がすことが困難であ
る。
工において、カレンダーロールで溶融した樹脂組成物を
圧延して得られたフィルムをカレンダー装置の最終ロー
ルからテイクオフ(引取)ロールに引き取る際の延伸
(通常、幾らか延伸される。)や、又は必要な場合に
は、カレンダー装置の最終ロールから引き取ったフィル
ムをテンターに導き、延伸して、薄手フィルムとする
が、このように、フィルムをカレンダーロールから引き
取る際や、また、必要な場合にテンターによる延伸を行
なった際に、フィルムにドローダウンがあってはなら
ず、また、このテンターによる延伸に際して、延伸性の
不足から、延伸フィルムに孔が空いたり、裂けたりして
はならない。
リプロピレン樹脂組成物は、キャピラリーレオメーター
から温度180℃でストランドとして押し出し、これを
引取り速度5m/分にて巻取ロールで巻取るとき、溶融
張力が1gf以上であることが必要である。実際上は、
引取り速度を5m/分以上とすることができ、且つ、そ
のときの溶融張力が1gf以上であればよい。この溶融
張力が1gfよりも小さいときは、ドローダウンが生じ
て、フィルムをロールから引取ることができない。ま
た、引取り速度5m/分にてストランドが切断するとき
は、上記延伸工程において、フィルムが十分に延伸され
ず、破断する。
ン樹脂組成物には、従来、ポリプロピレン樹脂に用いら
れている種々の添加剤を必要に応じて配合してもよい。
そのような添加剤としては、例えば、滑剤、熱安定剤、
光安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、改質剤、
難燃剤、帯電防止剤、補強剤、粘着付与剤、充填剤、防
かび剤等を配合してもよい。
ピレン樹脂組成物に、更に、必要に応じて、上述したよ
うな添加剤を配合し、これをカレンダー加工することに
よって、ロールとられなしに、ロールからの引取り性よ
く、フィルムを容易に且つ安定して得ることができ、か
くして、得られるフィルムは、表面が平滑で、厚みが均
一であり、長尺フィルムに巻取る態様の製造において
も、フィルムに弛みが生じない。
成物は、これに顔料を多量に配合して、高い隠蔽力を有
するフィルムをカレンダー加工にて製造するのに好適で
あり、そのように高い隠蔽力を有するフィルムは、例え
ば、ステッカー用基材フィルムとして好適に用いること
ができる。
用いて、カレンダー加工によってフィルムを製造する場
合、フィルム厚みは、40〜250μm、特に、50〜
200μmの範囲にあることが好ましい。厚みが薄すぎ
るときは、加工時にフィルムに孔があき、他方、余りに
厚すぎるときは、得られるフィルムが硬く、特に、ラベ
ルやステッカー、マーキング用フィルムのような装飾・
表示用フィルムとして、被着体に貼着することが困難と
なる。また、裁断性にも劣る。
ィルムとし、これに粘着剤層を形成し、所要の印刷を施
すことによって、ラベルやステッカー、マーキング用フ
ィルムのような装飾・表示用フィルムを得ることができ
る。この場合において、必要に応じて、フィルムの粘着
性や印刷性を改善するために、フィルム表面にコロナ放
電処理、プラズマ処理、火炎処理等、従来より知られて
いる表面処理を義施してもよい。
て、従来より用いられているものであれば、特に、限定
されることなく、任意のものが用いられるが、例えば、
アクリル系、合成ゴム系又はシリコーン系の粘着剤が用
いられるが、なかでも、金属被着体との接着性にすぐれ
るアクリル系粘着剤が好ましく用いられる。また、上記
粘着剤は、溶剤型に限らず、必要に応じて、水溶液やエ
マルジョンのような水性の粘着剤も用いることができ
る。
の手段は、特に、限定されるものではないが、基材フィ
ルムに不必要な伸びを生じさせないように、例えば、剥
離紙上に粘着剤を塗工し、溶剤を乾燥させた後、これを
基材フィルムに貼り合わせて、粘着剤を剥離紙から基材
フィルムに転写する転写法によるのが好ましい。しか
し、ミクロンバーコーター等の適宜の塗工手段も好適に
用いることもできる。
に粘着剤がフィルムから外側にはみ出しがないようにし
ながら、基板との間に十分な接着力を得ることができる
ように、通常、15〜60μmの範囲であり、特に、2
0〜50μmの範囲であることが好ましい。
ロピレン樹脂組成物に、必要に応じて、前記添加剤を配
合し、得られた組成物を溶融混練し、カレンダー加工に
よってフィルムとした後、これを、必要に応じて、通
常、カレンダー装置の直後に配設されているエンボス装
置に導いて、又は一旦、フィルムを製造した後、別の工
程として、エンボス装置に導いて、フィルムにエンボシ
ングを行なうことによって得ることができる。
必要に応じて、前記添加剤を配合し、得られた組成物を
連続混練機、バンバリーミキサー、ニーダー、押出機等
によって、通常、150〜200℃の温度で加熱溶融
し、混練し、この溶融樹脂を、通常、ロール温度150
〜220℃、好ましくは、160〜190℃のカレンダ
ーロールに供給して、所要厚みのフィルムに圧延した
後、必要に応じて、これを所要の絞の型模様を付けた金
属製、通常、鋼製のエンボスロール(絞付きロール)と
これをバックアップする耐熱性半硬質ゴムロール(圧ロ
ール)との組合わせからなるエンボス装置に導き、フィ
ルムにエンボシングし、かくして、装飾・表示用基材フ
ィルムとして好適に用いることができる本発明によるフ
ィルムを得ることができる。
本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではな
い。また、以下において、カレンダー加工によるフィル
ムの製造において、用いたポリプロピレン樹脂組成物の
ダイスウェル比、伸長粘度、溶融張力(引取り速度5m
/分以上)を表1及び表2に示すと共に、用いたポリプ
ロピレン樹脂組成物のカレンダー加工性、得られたフィ
ルムの表面平滑性と貼り加工性と破断強度を調べた結果
を表1及び表2に示す。
られたポリプロピレン樹脂組成物の流れ特性と、このポ
リプロピレン樹脂組成物より得られたフィルム(基材フ
ィルム)の物性は次のようにして評価した。
のツインキャピラリーレオメーターRH7−2型(ロン
グダイ長さ10mm、ロングダイ直径1.0mm、ショー
トダイ長さ0.25mm、ショートダイ直径1.0mm、ダ
イ入口角度180°)を用いて、温度170℃及び18
0℃にて剪断速度を10000(1/秒)としたときの
それぞれの伸長粘度を求めた。但し、ポリプロピレン樹
脂の伸長粘度の測定は、温度180℃のみで行なった。
ン社製のツインキャピラリーレオメーターRH7−2型
(ロングダイ長さ10mm、ロングダイ直径1.0mm、
ショートダイ長さ0.25mm、ショートダイ直径1.0m
m、ダイ入口角度180°)を用いて、温度170℃又
は180℃にて剪断速度を10000(1/秒)とした
ときのダイスウェル比を測定した。但し、ポリプロピレ
ン樹脂のダイスウェル比の測定は、温度180℃のみで
行なった。
ャピログラフ1C型(ダイ長さ10mm、ダイ直径1.0
mm、ピストン速度30mm/分、ダイ入口角度180
°)を用いて、温度180℃で溶融樹脂をストランドに
押し出し、このストランドを張力検出器に取付けた張力
検出プーリを経て、巻取ロールにて5m/分又はそれ以
上の速度で巻取りながら、この際にストランドに加わる
張力を張力検出器で測定した。
いて、バンクがよく回り、最終ロールからフィルムを安
定して引き取ることができるときを「良い」とし、不都
合があるときを「悪い」とした。
性は、フィルムを光に透かして目視にて観察し、網目状
乃至鎬状の模様がみられないときを「良い」、上記模様
がみられるときを「悪い」とした。
付きフィルムの裁断性と破断伸びと貼り加工性は次のよ
うにして評価した。
らなり、鋭角の切り抜き部分を有し、大きさが20mm
角の文字をフィルムから刃体を備えた切り抜き装置を用
いて切り抜き、その際、その鋭角部分に切り残しがない
ときを「良い」とし、切り残しがあるときを「悪い」と
した。
34に従って、試験速度200mm/分にて測定した。
ムの被着体への装飾・表示用フィルムとしての貼り加工
性を評価するために、JIS K 6734に準拠して
10%モジュラスを測定した。測定温度は23℃を標準
とし、冬場を想定した5℃と夏場を想定した40℃にお
いても測定した。貼り加工性からみて、10%モジュラ
スは1.0〜3.0kg/cmの範囲にあることが最も好ま
しいが、0.7〜1.0kg/cm及び3.0〜7.0kg/c
mの範囲にあるときも、実用的には支障はない。しか
し、10%モジュラスが0.7kg/cm未満や7.0kg
/cmを越えるときは、装飾・表示用フィルムとしては
実用し難い。
表1から表3に示す炭酸カルシウムの所定量を加え、更
に、酸化防止剤(住友化学工業(株)製スミライザーG
A80)0.2重量部と滑剤ステアリン酸カルシウム0.2
重量部を加え、得られた混合物を150〜180℃の温
度で混練溶融して、樹脂組成物とし、この樹脂組成物を
24インチ4本逆L型カレンダー装置に供給し、ロール
温度160〜190℃で表1又は表2に示す厚みのフィ
ルム(基材フィルム)に圧延した。ここに、ロールと
は、4本逆L字ロールを形成するすべてのロールをいう
が、すべてのロールは、同じ温度である必要はなく、上
記温度範囲にあればよい。以下においても、同じであ
る。
リコーン系離型剤を塗布して調製した離型紙に、乾燥膜
厚30μmとなるように粘着剤(綜研化学(株)製アク
リル系粘着剤SKダイン1340)を塗布して粘着剤層
を形成し、乾燥させた。
コロナ放電処理を施した後、その処理面に上記粘着剤層
を貼り合わせて、粘着剤付きフィルムとし、これらの粘
着剤付きフィルムについて、裁断性と貼り加工性を調べ
た。
び炭酸カルシウムは以下のとおりである。
M620A、伸長粘度(180℃)3373Pa・s、
ダイスウェル比(180℃)2.3、溶融張力(引取り速
度5m/分以上)2.0gf) PP2:日本ポリオレフィン(株)製ジェイアロマーP
F540B、伸長粘度(180℃)2235Pa・s、
ダイスウェル比(180℃)1.1、溶融張力(引取り速
度5m/分以上)1.0gf) PP3:チッソ(株)製チッソポリプロWT2002、
伸長粘度(180℃)3393Pa・s、ダイスウェル
比(180℃)1.7、溶融張力(引取り速度5m/分以
上)2.5gf) PP4:日本ポリオレフィン(株)製ジェイアロマーP
C741R、伸長粘度(180℃)1750Pa・s、
ダイスウェル比(180℃)0.9、溶融張力(引取り速
度5m/分以上)0.8gf) PP5:チッソ(株)製チッソポリプロXK1800、
伸長粘度(180℃)6775Pa・s、ダイスウェル
比(180℃)2.6、溶融張力(引取り速度2.0m/分
以上)17gf)
BET比表面積18m2 /g 炭酸カルシウム2:白石工業(株)製Vigot15、
BET比表面積11.5m2 /g 炭酸カルシウム3:東洋ファインケミカル(株)製ホワ
イトンP−30、BET比表面積3.4m2 /g 炭酸カルシウム4:白石工業(株)製白艶華CC、BE
T比表面積26m2 /g 炭酸カルシウム5:東洋ファインケミカル(株)製ホワ
イトンP−70、BET比表面積1.0m2 /g
ウム−亜鉛系複合安定剤(共同薬品(株)製KV69L
−4/KP850A−3(重量比3.0/0.3)とハ
イドロタルサイト0.5重量部とフタル酸エステル(可
塑剤)25重量部を混合し、160〜190℃の温度で
溶融混練して、樹脂組成物とし、この樹脂組成物を24
インチ4本逆L型カレンダー装置に供給し、ロール温度
170〜200℃で表3に示す厚みのフィルム(基材フ
ィルム)に圧延した。
リコーン系離型剤を塗布して調製した離型紙に、乾燥膜
厚30μmとなるように粘着剤(綜研化学(株)製アク
リル系粘着剤SKダイン1340)を塗布して粘着剤層
を形成し、乾燥させた。
粘着剤層を貼り合わせて、粘着剤付きフィルムとし、こ
の粘着剤付きフィルムについて、裁断性と貼り加工性を
調べた。
いて、a)はドローダウンのためにフィルムを引き取る
ことができない、b)は切断又はネッキングのためにフ
ィルムを引き取ることができない、c)はバンクが回り
難い、d)は得られたフィルムが裂けやすく、また、フ
ィルムに孔があきやすい、e)は樹脂組成物の滑性が悪
く、フィルムとしてロールから引き剥がすことができな
い、f)はフィルムに孔があきやすい、を示す。
伸長粘度とダイスウェル比の下限値が本発明による規定
値を下回っており、その結果、カレンダー加工性が悪
く、フィルムを得ることができない。比較例2による樹
脂組成物は、伸長粘度、ダイスウェル比共に本発明によ
る規定値を越えているので、フィルムの引取りに際し
て、切断のためにフィルムを得ることができない。比較
例3と4による樹脂組成物は、いずれも用いた炭酸カル
シウムが本発明で規定するBET比表面積をもたないの
で、カレンダー加工性が悪い。
ウムの配合割合が本発明による規定値を下回るので、裁
断性が悪い。比較例6による樹脂組成物は、用いた炭酸
カルシウムが本発明で規定するBET比表面積を有する
ものの、配合割合が本発明による規定値を越えるため
に、カレンダー加工性に劣る。比較例7によるフィルム
は、厚みが薄すぎるために、フィルムが孔を有する。比
較例8のフィルムは、厚みが厚すぎるので、裁断性と貼
り加工性に劣る。
ニル樹脂フィルムについての結果を示しており、10%
モジュラスの環境温度依存性が高く、そのような環境に
おいては、装飾・表示用フィルムとしての使用適性に劣
る。
は、ポリプロピレン樹脂と炭酸カルシウムのような裁断
性向上剤とからなり、所定の範囲の伸長粘度、ダイスウ
ェル比及び溶融張力を有し、すぐれたカレンダー加工性
を有する。かくして、このようなポリプロピレン樹脂組
成物を用いることによって、カレンダー加工によって、
ロールとられなく、引取り性よく、厚みが均一で表面が
平滑であり、弛みがなく、また、裁断性にもすぐれるフ
ィルムを安定して与える。従って、本発明によるポリプ
ロピレン樹脂組成物は、例えば、樹脂に顔料を多量に配
合して、高い隠蔽力を有することが求められる装飾・表
示用基材フィルムの製造に好適に用いることができる。
の伸長粘度とダイスウェル比を測定するために用いるツ
インキャピラリーレオメーターの断面図である。
の装置構成図である。
…圧力センサ、21…キャピラリーレオメーター、22
…ストランド、23…張力検出器、25…巻取ロール
2。
Claims (9)
- 【請求項1】ポリプロピレン樹脂100重量部に対し
て、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミ
ニウム、水酸化マグネシウム及びタルクから選ばれる少
なくとも1種の裁断性向上剤10〜50重量部を含むカ
レンダー加工用ポリプロピレン樹脂組成物であって、ツ
インキャピラリーレオメーターにて温度170℃及び1
80℃において剪断速度を10000(1/秒)とした
ときの伸長粘度が2000〜5900Pa・sの範囲に
あり、ツインキャピラリーレオメーターにて温度170
℃及び180℃において剪断速度を10000(1/
秒)としたときのダイスウェル比が1.0〜2.5の範
囲にあり、キャピラリーレオメーターにて温度180℃
において引取り速度を5m/分とすることができ、且
つ、そのときの溶融張力が1gf以上であることを特徴
とするポリプロピレン樹脂組成物。 - 【請求項2】ポリプロピレン樹脂がツインキャピラリー
レオメーターにて温度180℃において剪断速度を10
000(1/秒)としたときの伸長粘度が2000〜3
500Pa・sの範囲にあり、ツインキャピラリーレオ
メーターにて温度180℃において剪断速度を1000
0(1/秒)としたときのダイスウェル比が1.0〜
2.5の範囲にあり、キャピラリーレオメーターにて温
度180℃において引取り速度を5m/分とすることが
でき、且つ、そのときの溶融張力が1gf以上である請
求項1に記載のポリプロピレン樹脂組成物。 - 【請求項3】裁断性向上剤がBET比表面積2〜20m
2 /gを有する炭酸カルシウムである請求項1に記載の
ポリプロピレン樹脂組成物。 - 【請求項4】請求項1から3のいずれかに記載のポリプ
ロピレン樹脂組成物からカレンダー加工によって得られ
るフィルム。 - 【請求項5】厚みが40〜250μmの範囲にある請求
項4に記載のフィルム。 - 【請求項6】請求項4又は5に記載のフィルムからなる
装飾・表示用基材フィルム。 - 【請求項7】請求項4又は5に記載のフィルムからなる
ラベル又はステッカー用基材フィルム。 - 【請求項8】請求項4又は5に記載のフィルムからなる
マーキング用基材フィルム。 - 【請求項9】請求項1から3のいずれかに記載のポリプ
ロピレン樹脂組成物をカレンダー加工するフィルムの製
造方法。
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JP2006123235A (ja) * | 2004-10-27 | 2006-05-18 | Toppan Printing Co Ltd | 非ハロゲン系化粧シート及び非ハロゲン系化粧材 |
CN115286868A (zh) * | 2022-06-28 | 2022-11-04 | 无锡宏义高分子材料科技有限公司 | 一种环保节能pp材料的制备工艺 |
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2001
- 2001-04-23 JP JP2001124174A patent/JP3782677B2/ja not_active Expired - Fee Related
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