JP2002188866A - 蓄冷材およびそれを用いた冷凍機 - Google Patents

蓄冷材およびそれを用いた冷凍機

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JP2002188866A
JP2002188866A JP2000384305A JP2000384305A JP2002188866A JP 2002188866 A JP2002188866 A JP 2002188866A JP 2000384305 A JP2000384305 A JP 2000384305A JP 2000384305 A JP2000384305 A JP 2000384305A JP 2002188866 A JP2002188866 A JP 2002188866A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高強度を有し、微粉化するおそれが少なく耐熱
衝撃性および耐久性に優れ、低温度域において顕著な冷
凍能力を発揮できる蓄冷材およびその蓄冷材を使用した
蓄冷式冷凍機等を提供する。 【解決手段】多数の磁性粒子から成る蓄冷材であり、各
磁性粒子の平面への投影像の面積をAとする一方、投影
像の周囲長をLとしたときに、4πA/Lで定義され
る円形度係数Rの平均値が0.7以上であり、その円形
度係数Rの標準偏差が0.1以下であることを特徴とす
る蓄冷材である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は蓄冷材およびその蓄
冷材を用いた冷凍機等に係り、特に微粉化するおそれが
少なく機械的強度および耐久性に優れ、低温度域におい
て顕著な冷凍能力を発揮できる蓄冷材およびその蓄冷材
を使用した冷凍機等に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、超電導技術の発展は著しく、その
応用分野が拡大するに伴って小型で高性能の冷凍機の開
発が不可欠になってきている。かかる小型冷凍機は、軽
量・小型で熱効率の高いことが要求されており、種々の
応用分野において実用化が進められている。
【0003】例えば、超電導MRI装置やクライオポン
プなどにおいては、ギフォード・マクマホン(GM)方
式やスターリング方式やパルスチューブ冷凍機などの冷
凍サイクルによる冷凍機が用いられている。また、磁気
浮上列車にも超電導磁石を用いて磁力を発生させるため
に高性能な冷凍機が必須とされている。さらに、最近で
は、超電導電力貯蔵装置(SMES)、および高品質の
シリコンウェハーなどを製造する磁場中単結晶引き上げ
装置などにおいても高性能な冷凍機が用いられている。
さらに高い信頼性が期待されているパルスチューブ冷凍
機の開発・実用化も積極的に進められている。
【0004】このような冷凍機においては、蓄冷材が充
填された蓄冷器内を、圧縮されたHeガスなどの作動媒
質が一方向に流れて、その熱エネルギーを蓄冷材に供給
し、ここで膨張した作動媒質が反対方向に流れ、蓄冷材
から熱エネルギーを受け取る。こうした過程での復熱効
果が良好になるに伴い、作動媒質サイクルでの熱効率が
向上し、より低い温度を実現することが可能となる。
【0005】上述したような冷凍機に使われる蓄冷材と
しては、従来、CuやPbなどが主に用いられてきた。
しかし、このような蓄冷材は、20K以下の極低温で比
熱が著しく小さくなるため、上述した復熱効果が十分に
機能せず、冷凍機での作動に際して極低温下で1サイク
ル毎に蓄冷材に充分な熱エネルギーを貯蔵することがで
きず、かつ作動媒質が蓄冷材から充分な熱エネルギーを
受け取ることができなくなる。その結果、前記蓄冷材を
充填した蓄冷器を組み込んだ冷凍機では極低温に到達さ
せることができない問題があった。
【0006】そこで、最近では前記蓄冷器の極低温での
復熱特性を向上し、より絶対零度に近い冷凍温度を実現
するために、特に20K以下の極低温域において体積比
熱の極大値を有し、かつその値が大きなErNi,E
rNi,HoCuなどのように希土類元素と遷移金属
元素とから成る金属間化合物を主体とした磁性蓄冷材が
使用されている。このような磁性蓄冷材をGM冷凍機に
用いることにより、4Kでの冷凍が実現されている。
【0007】上記のような冷凍機を各種冷却システムに
現実に応用することが検討されるに伴って、より大規模
な冷却対象物を安定に冷却する必要性から、冷凍機に
は、より一層の冷凍能力の向上が求められている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、スター
リング冷凍機やパルスチューブ冷凍機などのように高速
運転を行う冷凍機においては、磁性蓄冷粒子を充填した
蓄冷器での圧力損失が大きくなり、十分な冷凍能力が実
現できない問題点があった。またGM冷凍機などにおい
ては、冷凍機の運転中に作用する高圧ヘリウムガスの圧
力振動や各種応力や衝撃力によって磁性体粒子が損傷し
たり微粉化して冷媒ガスの通気抵抗を高め、熱交換効率
が急激に低下するなどの不具合が発生し易い難点があっ
た。
【0009】特に、GM冷凍機の場合には、さらにディ
スプレーサ(冷媒圧縮用ピストン)の往復運動による応
力が蓄冷材に作用し、影響が大きい。また、冷凍機の始
動時には、室温付近から4K付近の極低温温度まで短時
間に温度が降下するため、大きな熱衝撃が蓄冷材に作用
する。
【0010】ところが、一般に磁性体粒子は脆性を示
し、機械的強度が十分ではなく、また熱衝撃にも弱いた
め、冷凍機の運転中に蓄冷材が破壊したり、蓄冷材表面
の一部が剥離したりして、微粉を発生させる。この微粉
は冷凍機のシール部を損傷するため、結果として冷凍機
の能力を短時間の運転で著しく低下させる問題点があ
る。
【0011】本発明は上記問題点を解決するためになさ
れたものであり、特に高強度を有し、微粉化するおそれ
が少なく耐熱衝撃性および耐久性に優れ、低温度域にお
いて顕著な冷凍能力を長時間に亘って発揮できる蓄冷材
およびその蓄冷材を使用した蓄冷式冷凍機等を提供する
ことを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本願発明に係る蓄冷材は、多数の磁性粒子から成る
蓄冷材であり、各磁性粒子の平面への投影像の面積をA
とする一方、投影像の周囲長をLとしたときに、4πA
/Lで定義される円形度係数Rの平均値が0.7以上
であり、その円形度係数Rの標準偏差が0.1以下であ
ることを特徴とする。
【0013】また、上記蓄冷材において、前記磁性粒子
が希土類元素を含むことが好ましい。
【0014】また、本発明に係る冷凍機は、蓄冷器の上
流高温側から冷媒ガスを流して上記冷媒ガスと蓄冷器に
充填した蓄冷材との熱交換によって蓄冷器の下流側に
て、より低温度を得る冷凍機において、上記蓄冷器に充
填された蓄冷材の少なくとも一部が上記本発明の蓄冷材
であることを特徴とする。
【0015】さらに、本発明に係るMRI(Magne
tic Resonance Imaging)装置、
磁気浮上列車用超電導磁石、クライオポンプおよび磁界
印加式単結晶引上げ装置は、いずれも上記した本発明に
係る冷凍機を具備することを特徴としている。
【0016】本発明に係る蓄冷材の組成は、特に限定さ
れるものではないが、少なくとも一部の粒子状蓄冷材が
希土類元素を含有することが好ましい。具体的には、上
記粒子状蓄冷材は、 一般式RMz……(1) (但し、RはY,La,Ce,Pr,Nd,Pm,S
m,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tmおよび
Ybから選択される少なくとも1種の希土類元素であ
り、MはNi,Co,Cu,Ag,Al,Ru,In,
Ga,Ge,SiおよびRhから選択される少なくとも
1種の希土類元素であり、zは原子比で0≦z≦9.0
を満足する。)で表わされる希土類元素単体または希土
類元素を含む金属間化合物で構成することが好ましい。
上記蓄冷材のうち、HoCuが特に好ましい。
【0017】本発明に係る蓄冷材は、20K以下の極低
温領域において比熱ピークを有する酸化物を主体とする
多数の磁性粒子から構成してもよい。この磁性粒子を構
成する酸化物としては、例えば下記一般式(2),
(3),(4)で示す組成物が好適に使用できる。
【0018】 すなわち、一般式:RMO ……(2) (但し、Rは、Y,La,Ce,Pr,Nd,Pm,S
m,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tmおよび
Ybから選択される少なくとも1種の希土類元素であ
り、Mは3B族元素から選択される少なくとも1種の元
素である。)で表わされるペロブスカイト系酸化物; 一般式:AB ……(3) (但し、Aは、2B族元素から選択される少なくとも1
種の元素であり、Bは少なくともCrを含む遷移金属元
素である。)で表わされるスピネル系酸化物;および 一般式:CD ……(4) (但し、CはMnおよびNiから選択される少なくとも
1種の元素であり、DはNbおよびTaから選択される
少なくとも1種の元素である。)で表わされる酸化物な
どが好適に用いられる。
【0019】これらの希土類元素系磁性粒子から成る蓄
冷材は、20K以下に比熱の最大値を有し、かつその値
が単位体積当りの比熱(体積比熱)として十分に大きい
ため、より極低温の到達が可能となることから、本発明
に好適な蓄冷物質である。
【0020】本発明に係る蓄冷材を構成する磁性粒子の
円形度係数Rの平均値は0.7以上の範囲とされる。こ
こで上記円形度係数Rは磁性粒子の平面への投影像の面
積をAとする一方、投影像の周囲長さをLとしたとき
に、4πA/Lで与えられる値として定義される。
【0021】上記円形度係数R(=4πA/L)は磁
性粒子の丸さの度合を表わす係数であり、係数値が1に
近いほど粒子断面形状が真円に近いことになり、粒子形
状が完全に球である場合には、1となる値である。しか
しながら、ほぼ球体の磁性粒子表面に微細な突起部が形
成されている場合には、ある程度の高い円形度係数Rが
得られるものの、この突起部が冷凍機の運転中に作用す
る振動や衝撃力によって脱落して、磁性粒子の粉砕粉と
同様に作用して冷凍機のシール部分を損傷させるおそれ
が依然として高い。
【0022】上記突起部の有無は、円形度係数Rのばら
つきの大小として計測される。そこで本発明に係る蓄冷
材においては、微粉化を防止し機械的強度および耐久性
を高めるために、蓄冷材を構成する多数の磁性粒子の円
形度係数Rの平均値を所定値(0.7)以上に規定する
とともに、その円形度係数Rの標準偏差を0.1以下に
規定している。この円形度係数Rの標準偏差は、磁性粒
子の丸さの度合いのばらつきを示す値であり、この標準
偏差が小さいほど、磁性粒子群の形状が一様で揃ってい
ることを意味する。
【0023】そして各磁性粒子の平面への投影像形状が
真円に近く、かつ破壊の起点となる突起や凹陥部が少な
くて上記標準偏差が小さい磁性粒子の集合体である場合
に、蓄冷材としての構造強度が高くなり、蓄冷器に充填
した状態での磁性粒子の集合体としての耐久性も高くな
る。
【0024】上記円形度係数Rの平均値が0.7未満の
場合は、蓄冷材を構成する磁性粒子の形状が真球状態か
ら離れて不規則形状になる。そのため、磁性粒子間の接
触部位が一定せず、蓄冷器に高い充填密度で均一に充填
することが困難になり、また冷媒ガスとの接触効率にも
むらを生じるため、冷熱の交換効率が低下し、冷凍機と
しての能力が低下してしまう。したがって上記円形度係
数Rの平均値は0.7以上に規定されるが、0.8以上
がより好ましく、さらに0.9以上が望ましい。
【0025】また蓄冷材を構成する全磁性粒子に対し
て、円形度係数Rが0.7以上の磁性粒子が占める割合
は70質量%以上とすることが好ましい。さらには80
質量%以上がより好ましく、90質量%以上が望まし
い。
【0026】また蓄冷材を構成する磁性粒子の円形度係
数Rの標準偏差σが0.1を超えるように、円形度係数
Rのばらつきが大きくなる磁性粒子は、破壊の起点とな
る突起などが形成されたものである。そのような磁性粒
子を蓄冷器に充填した場合、球状の磁性粒子においてブ
リッジ(架橋構造)が形成される傾向が高くなり、その
ようなブリッジ化した磁性粒子を含む集合体においては
ブリッジ部分で破壊が生じ易くなり、蓄冷材としての信
頼性が低下してしまう。そのため、上記円形度係数Rの
標準偏差は0.1以下に規定されるが、より蓄冷材とし
ての耐久性および強度を確保するために、標準偏差は
0.06以下がより好ましく、さらには0.035以下
がさらに好ましい。
【0027】上記磁性粒子の円形度係数Rおよびその標
準偏差σは、無作為に選別した約100個の磁性粒子を
平板上に載置した状態で光学顕微鏡によって投影像を撮
影し、得られた粒子投影画像を画像処理することにより
迅速に測定することができる。上記画像処理を実施する
ための画像処理装置としては、例えばピアス社製画像処
理装置(型番:PIAS−III)が好適に使用でき
る。
【0028】また、蓄冷材を構成する磁性粒子の粒径
は、伝熱特性等に大きな影響を及ぼすものであるため、
本発明においては全粒体の70重量%以上を粒径が0.
01〜3mmの蓄冷物質粒子で構成することが好まし
い。ここで、本発明でいう粒径とは、粒子を内包するこ
とができる最小球の直径を意味する。蓄冷物質粒子の粒
径が0.01mm未満であると、充填密度が高くなりす
ぎることから圧力損失の増大等を招くおそれがあり、ま
た粒径が3.0mmを超えると、伝熱面積が小さくなる
ことから熱伝達効率の低下を招き易くなる。よって、こ
のような粒子が全粒体の30重量%を超えると、蓄冷性
能の低下を招くおそれがある。より好ましい粒径は、
0.03〜1.0mmの範囲である。さらに好ましくは
0.05〜5mmの範囲である。粒径が0.01〜3.
0mmの範囲の粒子の全粒体中における比率は、80重
量%以上とすることがより好ましく、さらに好ましくは
90重量%以上である。
【0029】また、多数の磁性粒子から成る本発明の蓄
冷材において、上記磁性粒子表面に長さ10μm以上の
亀裂が2個以上存在している磁性粒子の全磁性粒子に対
する質量割合を20%以下とすることが好ましい。
【0030】蓄冷材を構成する磁性粒子表面に複数の亀
裂が存在すると、冷凍機運転中に作用する振動や衝撃力
によって亀裂が進展し易く、粒子が破壊する可能性が高
くなる。具体的には、磁性粒子表面に長さが10μm以
上の亀裂が2個以上存在する磁性粒子の存在比率(個数
比)が20%を超えると、粒子の破壊割合が増加する。
その結果、発生した微粉が冷凍機のシール部等を損傷せ
しめ、冷凍機の性能を著しく低下させる。
【0031】したがって長さが10μm以上の亀裂が2
個以上存在する粒子の存在比率は20%以下とすること
が好ましいが、より好ましくは10%以下であり、さら
に好ましくは5%以下が望ましい。また測定対象とする
亀裂は、長さ5μm以上の亀裂とすることがより好まし
く、さらには長さ3μm以上の亀裂を測定対象とするこ
とが望ましい。
【0032】また、多数の磁性粒子から成る蓄冷材にお
いて、上記磁性粒子の表面粗さの最大高さが10μm以
上である磁性粒子の全磁性粒子に対する質量割合を30
%以下と規定することが好ましい。
【0033】磁性粒子の表面粗さが大きい場合には、突
起や段差が形成された部分で応力集中が起き易く、その
応力集中部を起点として粒子が破壊してしまう。その現
象を防止するため、表面粗さの程度を示す最大高さが1
0μm以上である磁性粒子の割合を30%以下に規定す
ることが好ましい。上記最大高さが10μm以上である
粒子割合が20%以下であることが好ましく、さらには
10%以下であることがより望ましい。また評価対象と
する表面粗さの最大高さは5μm以上とすることが好ま
しく、さらには3μm以上とすることがより望ましい。
なお上記表面粗さは、電子顕微鏡などの観察手段によっ
て表面組織を撮影し、得られた表面組織の断面曲線か
ら、日本工業規格(JIS−B0601)に準拠して測
定することができる。
【0034】本発明に係る蓄冷材の製造方法は、特に限
定されるものではなく、従来から金属粉末を調製する際
に利用される回転ディスク法,回転電極法,ガスアトマ
イズ法,水アトマイズ法,双ロール法,単ロール法等の
溶湯急冷凝固法により製造することが可能である。な
お、上記溶湯急冷凝固法によれば、比較的に円形度(球
形度)が高い磁性粒子が得られるが、製造条件によって
は、円形度係数Rのばらつき(標準偏差)が大きい磁性
粒子が形成され易い。この場合には、適宜得られた磁性
粒子に対して形状選別を実施して、所定範囲内のみの円
形度係数Rおよび標準偏差を有する粒子群を本発明に係
る蓄冷材として選定する。
【0035】また、本発明に係る蓄冷材は、以下のよう
な粉末冶金法に従って製造することも可能である。例え
ば原料粉末をボールミルなどを用いて混合して原料混合
体を調製し、得られた原料混合体を転動造粒法,攪拌造
粒法,押し出し法,噴霧法(スプレー法)またはプレス
成形法などにより球状に成形(造粒)した後に、得られ
た球状成形体を焼結することにより製造できる。
【0036】上記製造方法で使用される原料粉末は、
0.3〜30μmの粒径を有する粉末であることが望ま
しい。より好ましい粒径範囲は0.4〜10μmであ
り、さらには0.5〜8μmの粒径範囲がさらに好まし
い。
【0037】なお、前記転動造粒法,攪拌造粒法,押し
出し法,噴霧法(スプレー法)などの各種造粒法で成形
された粒子は、成形密度が低く、そのまま焼結した場合
に良好な焼結体になり難い場合がある。
【0038】そこで本願発明では次のような製造方法を
採用することも可能である。
【0039】すなわち、原料粉末を造粒して造粒粒子を
形成し、得られた造粒粒子を冷間静水圧(CIP)加圧
処理することにより、球状の緻密化粒子を調製し、得ら
れた緻密化粒子を焼結処理することにより多数の磁性粒
子から成る蓄冷材を調製するような蓄冷材の製造方法を
採用することもできる。
【0040】上記製造方法において、焼結処理として熱
間静水圧(HIP)加圧処理を実施してもよい。すなわ
ち、造粒した粒子に冷間静水圧加圧(CIP)処理また
は熱間静水圧加圧(HIP)処理を実施することによ
り、成形体の密度をさらに向上させることができる。さ
らに、この高密度成形体を焼結することにより、高密度
で割れや空隙が少ない磁性粒子が効果的に得られる。
【0041】また、上記製造方法において、酸化物粉末
に対してバインダを5〜30重量%添加して造粒するこ
とにより、成形密度をより高めることが可能である。
【0042】上記バインダーとしては、水、エチルアル
コール、カルボキシルメチルセルロース、ヒドロキシプ
ロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニル
ブチラール、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸
エステルなどが好適に使用できる。
【0043】原料粉末に対するバインダーの添加量が5
重量%未満と過少な場合には、粉末同士を高強度で結合
して密度を高める効果が不十分となる。一方、添加量が
30重量%を超えるように過量になると、成形体におけ
る蓄冷材原料粉末の比率が過度に低くなり、成形密度が
低下してしまう。そのため、バインダーの添加量は5〜
30重量%の範囲に規定される。
【0044】添加されたバインダーは、造粒後に成形体
の脱脂処理により除去され、さらに脱脂成形体を焼結す
ることにより、本願発明に係る蓄冷材が調製される。
【0045】球状の磁性粒子を調製する方法として、前
記のように原料粉末を転動造粒法などにより球状に造粒
した後に焼結する方法の他に、次のような熱プラズマを
利用して球状化する方法も採用できる。
【0046】すなわち、原料粉末を、熱プラズマ中を通
過せしめて溶融させ、溶融液の表面張力により球状化し
た状態で凝固させることにより、多数の磁性粒子から成
る蓄冷材を調製するような蓄冷材の製造方法も採用でき
る。
【0047】ここで、熱プラズマとは高温気体が放電し
た状態を意味し、数MHzから数GHzの高周波電磁波
または直流電流による気体の放電により発生させること
ができる。
【0048】図3は熱プラズマ装置の構成を示す。この
熱プラズマ装置80は、反応容器81と、高周波発信器
82と、コイル83と、プラズマ発生部外囲筒86と、
反応容器81の頂部にて発生したプラズマフレーム85
に対向して開口する粉体供給口86と、粉体供給器87
に貯留された反応容器81に搬送するキャリアガス供給
ボンベ88と、プラズマ発生用ガス源89と、生成した
粒子を分離するサイクロン90と、反応容器81を冷却
する冷却ガス源91とを備えて構成される。
【0049】上記熱プラズマ装置80において、高周波
発信器82から発信された電磁波がコイル83によって
増幅される一方、プラズマ発生用ガス源89から供給さ
れたガスの放電により、反応容器81の頂部に高温度の
プラズマフレーム85が形成される。このフレーム部8
5のガス温度は数千℃から約1万℃に達する。この高温
状態のプラズマフレーム85中に、キャリアガスと共に
粉体供給器87から供給された原料粉末を投入すると、
粒子全体または表面を含む一部が溶融する。溶融した原
料粉末はその表面張力により球状化する。そして、冷却
ガス源91から供給された冷却ガスによって急冷凝固す
る。生成した球状の磁性粒子はサイクロン90によって
分離回収される。このように少なくとも一部が溶融して
球状化した状態で急冷凝固しているため、粒子表面に亀
裂が発生せず、かつ表面が平滑で表面粗さが小さい上
に、内部に空隙がない磁性粒子が得られる。
【0050】なお、上記のような粉末冶金法や熱プラズ
マ法によって形成された磁性粒子においても、その製造
条件によっては、円形度係数Rのばらつき(標準偏差)
が大きい磁性粒子が形成される場合がある。その場合に
は得られた磁性粒子群に対して下記に示すような傾斜型
ベルトコンベアを使用した形状分別装置を使用して形状
選別を実施するとよい。
【0051】すなわち上記形状分別装置は、搬送ベルト
が斜め上方に駆動されるように傾斜させたベルトコンベ
アを必要に応じて複数段直列に配置した構成を有し、球
状物および異形物の形状に応じた転がり易さの相違に基
づいて球状物と異形物とを分別するものである。また、
被処理物である球状物および異形物に対して、その転が
る方向とは異なる方向に振動を与える加振装置が付設さ
れている。すなわち、斜め上方に駆動される搬送ベルト
上に球状物および異形物が混合した磁性粒子群を供給す
ると、より円形度係数Rが大きく転がり易い球形状の磁
性粒子は搬送ベルト面上を下方に転がる一方、円形度係
数Rが小さく転がりにくい異形状の磁性粒子は搬送ベル
トとの摩擦力によって上方に搬送される。また円形度係
数Rが大きい場合でも表面に突起等を有する磁性粒子は
突起等と搬送ベルトとの引掛りを生じて上方に搬送され
る。その結果、球状物と異形物とはコンベアの下方側と
上方側とにおいて分別される。特にベルトコンベアの傾
斜角度、配設段数、搬送ベルトの材質、搬送速度等を適
宜調整することにより、分別精度を変更することができ
る。上記形状分別装置を使用した形状選別を実施するこ
とにより、本願発明で規定する円形度係数Rおよびその
標準偏差を有する磁性粒子群を蓄冷材として選定するこ
とができる。
【0052】本発明に係る蓄冷式冷凍機は、蓄冷材の少
なくとも一部として、上記の蓄冷材を充填した蓄冷器を
使用して構成される。なお、所定の冷却段の蓄冷器とし
て、本発明に係る蓄冷材を充填した蓄冷器を装填する一
方、他の蓄冷器として、その温度分布に応じた比熱特性
を有する他の蓄冷材を充填した蓄冷器を併用して構成し
てもよい。
【0053】上記構成に係る蓄冷材によれば、磁性粒子
の円形度係数および標準偏差を所定の範囲に規定してい
るため、機械的強度や熱伝導率が高く、耐熱衝撃性が優
れており、微粉化のおそれも少ない。そのため、スター
リング冷凍機やパルスチューブ冷凍機などの高速運転を
行う冷凍機用の蓄冷材として使用した場合においても、
圧力損失が小さく、長期間に亘り安定した冷凍特性を示
す蓄冷材が得られる。そして、その蓄冷材を冷凍機の少
なくとも一部の蓄冷材として使用することにより、冷凍
能力が高く、かつ長期間に亘って安定した冷凍性能が維
持できる冷凍機を提供することができる。
【0054】そして、MRI装置、クライオポンプ、磁
気浮上列車用超電導磁石、および磁界印加式単結晶引上
げ装置は、いずれも冷凍機性能が各装置の性能を左右す
ることから、上述したような冷凍機を用いた本発明のM
RI装置、クライオポンプ、磁気浮上列車用超電導磁
石、および磁界印加式単結晶引上げ装置は、いずれも長
期間に亘って優れた性能を発揮させることができる。
【0055】
【発明の実施の形態】次に本発明の実施形態について以
下に示す実施例に基づいて具体的に説明する。
【0056】実施例1〜5 HoCuなる組成を有する原料合金を高周波溶解法に
より溶解し、得られた合金溶湯を遠心噴霧急冷法により
処理し、球状の磁性粒子を調製した。得られた磁性粒子
を篩分法により篩い分けして、表1に示すような粒径範
囲を有する磁性粒子を得た。
【0057】引き続き、前記したような傾斜型のベルト
コンベアを3台直列に配置した形状分別装置の搬送ベル
ト上に上記磁性粒子を供給した。このとき得られる磁性
粒子の円形度係数Rおよびその標準偏差を変化させるた
めに、形状分別装置のベルトコンベアの傾斜角度および
ベルト搬送速度を調節して磁性粒子の形状選別を実施す
ることにより、ほぼ球状の磁性粒子から成る実施例1〜
5に係る蓄冷材をそれぞれ製造した。
【0058】実施例6 ErNiなる組成を有する原料合金を使用した以外は
実施例1と同一条件で処理して実施例6に係る蓄冷材を
製造した。
【0059】実施例7 平均粒径1.5μmのAl粉末とGd粉末
とをエチルアルコール中でボールミルを用いて24時
間、混合粉砕して原料混合体を調製した。次に得られた
原料混合体を乾燥した後に、温度1500℃で12時間
仮焼結することにより、酸化物焼結体としてのGdAl
を合成した。
【0060】次に得られた焼結体を、さらにエチルアル
コール中でボールミルを用いて6時間粉砕した。粉砕粉
を乾燥後、転動造粒機を用いて造粒することにより、粒
径が0.1〜0.4mmの造粒粒子を調製した。さら
に、得られた造粒粒子を温度1700℃で12時間焼結
することにより、ほぼ球状の磁性粒子から成る実施例7
に係る蓄冷材を製造した。
【0061】比較例1 一方、上記形状分別処理を実施せずに遠心噴霧急冷法に
より調製した磁性粒子をそのまま採用した点を除き実施
例1と同一条件で処理することにより、比較例1に係る
磁性粒子群から蓄冷材を調製した。
【0062】比較例2 平均粒径10μmのHoCu合金粉末を転動造粒機を
用いて造粒することにより、粒径が0.1〜0.4mm
の造粒粒子を調製した。さらに、得られた造粒粒子を図
3に示す熱プラズマ装置で発生したプラズマフレーム中
に供給して溶融せしめ、さらに球状状態のまま急冷凝固
させることにより、ほぼ球状の磁性粒子から成る比較例
2に係る蓄冷材を製造した。
【0063】比較例3 平均粒径10μmのHoCu合金粉末をガスアトマイ
ズ法により処理することにより、比較例3に係る蓄冷材
を製造した。
【0064】次に上記のように調製した各実施例および
比較例に係る蓄冷材から無作為に100個の磁性粒子を
選別し、平板ガラス上に載置した状態で光学顕微鏡によ
って投影像を撮影し、得られた各投影画像について、画
像処理装置(ピアス社製、型番:PIAS−III)を
使用して画像解析を実施することにより、円形度係数
(R)およびその標準偏差(σ)を測定した。測定結果
は、表1に示す。
【0065】次に上記のように調製した蓄冷材の特性を
評価するため、図1に示すような2段膨張式GM冷凍機
を用意した。なお、図1に示す2段式のGM冷凍機10
は、本発明の冷凍機の一実施例を示すものである。図1
に示す2段式のGM冷凍機10は、大径の第1シリンダ
11と、この第1シリンダ11と同軸的に接続された小
径の第2シリンダ12とが設置された真空容器13を有
している。第1シリンダ11には第1蓄冷器14が往復
動自在に配置されており、第2シリンダ12には第2蓄
冷器15が往復動自在に配置されている。第1シリンダ
11と第1蓄冷器14との間、および第2シリンダ12
と第2蓄冷器15との間には、それぞれシールリング1
6,17が配置されている。
【0066】第1蓄冷器14には、Cuメッシュ等の第
1蓄冷材18が収容されている。第2蓄冷器15には、
本発明の蓄冷器に使用される板状の極低温用蓄冷材が第
2蓄冷材19として収容されている。第1蓄冷器14お
よび第2蓄冷器15は、第1蓄冷材18や極低温用蓄冷
材19の間隙等に設けられたHeガス等の作動媒質(冷
媒ガス)の通路をそれぞれ有している。
【0067】第1蓄冷器14と第2蓄冷器15との間に
は、第1膨張室20が設けられている。また、第2蓄冷
器15と第2シリンダ12の先端壁との間には、第2膨
張室21が設けられている。そして、第1膨張室20の
底部に第1冷却ステージ22が、また第2膨張室21の
底部に第1冷却ステージ22より低温の第2冷却ステー
ジ23が形成されている。
【0068】上述したような2段式のGM冷凍機10に
は、コンプレッサ24から高圧の作動媒質(例えばHe
ガス)が供給される。供給された作動媒質は、第1蓄冷
器14に収容された第1蓄冷材18間を通過して第1膨
張室20に到達し、さらに第2蓄冷器15に収容された
極低温用蓄冷材(第2蓄冷材)19間を通過して第2膨
張室21に到達する。この際に、作動媒質は各蓄冷材1
8,19に熱エネルギーを供給して冷却される。各蓄冷
材18,19間を通過した作動媒質は、各膨張室20,
21で膨張して寒冷を発生させ、各冷却ステージ22,
23が冷却される。膨張した作動媒質は、各蓄冷材1
8,19間を反対方向に流れる。作動媒質は各蓄冷材1
8,19から熱エネルギーを受け取った後に排出され
る。こうした過程で復熱効果が良好になるに従って、作
動媒質サイクルの熱効率が向上し、より一層低い温度が
実現されるように構成されている。
【0069】そして、前記のように調製した実施例およ
び比較例に係る各蓄冷材を、図1に示す2段膨張式GM
冷凍機10の2段目蓄冷器(内径38mm)に充填し
た。すなわち、実施例1〜5および比較例1〜3におい
ては、各HoCuから成る蓄冷材を単独で充填した。
一方、実施例6においては蓄冷器の高温側に200gの
ErNi製蓄冷材を充填する一方、低温側には、実施
例1で調製した200gのHoCu製蓄冷材を充填し
た。さらに、実施例7においては、高温側に実施例1で
調製した200gのHoCu製蓄冷材を充填する一
方、低温側にはGdAlO製蓄冷材を200g充填し
て実施例および比較例に係る冷凍機をそれぞれ組み立て
冷凍試験を実施し、4.2Kにおける冷凍能力を測定し
た。
【0070】なお本実施例における冷凍能力は、冷凍機
運転時にヒータによって第2冷却段に熱負荷を作用さ
せ、第2冷却段の温度上昇が4.2Kで停止したときの
熱負荷で定義した。なお、冷凍能力は運転開始直後にお
ける初期値と1000時間連続運転後の値との双方で測
定した。測定結果を下記表1に示す。
【0071】
【表1】
【0072】上記表1に示す結果から明らかなように、
磁性粒子の円形度係数Rおよびその標準偏差σを適正な
範囲に調製した磁性粒子群で構成した各実施例の蓄冷材
を充填した冷却機においては、4.2Kにおける冷凍能
力の初期値が高く、また、1000時間連続運転後の冷
凍能力も高く、長時間運転した後も冷凍能力の低下が少
なく、安定した冷凍性能が確認できた。さらに、運転終
了後に蓄冷器を分解して蓄冷材を取り出して外観を観察
したが、破壊された磁性粒子や微粉の発生は認められな
かった。
【0073】一方、磁性粒子の円形度係数Rおよびその
標準偏差σの少なくとも一方が、本発明で規定する範囲
外である磁性粒子群で構成した各比較例に係る蓄冷材を
充填した冷凍機においては、4.2Kにおける冷凍能力
の初期値が実施例と比較して低下した。また、1000
時間連続運転後の冷凍能力も大幅に低下しており、冷凍
性能の低下が顕著であった。さらに、運転終了後に蓄冷
器から蓄冷材を取り出して外観を観察したところ、粉々
に破壊された粒子や微粉の発生が認められた。そしてそ
の一部の冷凍機のシール部が破損していることも確認さ
れた。
【0074】以上の実施例および比較例から明らかなよ
うに、円形度係数Rの平均値およびその標準偏差を適正
に規定した各実施例に係る蓄冷材を使用した冷凍機によ
れば、運転中に蓄冷材が破損して微粉化することが少な
く、安定した冷凍能力を長期間に亘って維持できる冷凍
機が実現できる。
【0075】以上説明した各実施例では、本発明に係る
蓄冷材をGM冷凍機に適用した例を示しているが、本発
明の蓄冷材は図2に示すようなパルス管型冷凍機70に
も適用可能である。
【0076】図2に1段式パルスチューブ冷凍機の基本
構成を示す。このパルスチューブ冷凍機70の最大の構
造的特徴は、前述したGM冷凍機では必須となっている
寒冷発生用の往復動ピストンを具備しないことである。
そのため、機械的信頼性および低振動性に優れる長所を
有し、特に素子やセンサー冷却用冷凍機として期待を担
っている。
【0077】パルスチューブ冷凍機70は蓄冷式冷凍機
の一種であり、冷媒ガスとして一般にヘリウムガスが用
いられる。基本的な構成として、冷凍機は蓄冷器1の他
にヘリウムガスを圧縮する圧力振動源71、および冷媒
ガスの圧力変動と位置変動(変位)の時間差を制御する
位相調節機構72から成る。
【0078】GM冷凍機やスターリング冷凍機において
は、上記位相調節機構72は低温部に配置された往復動
ピストン機構であるのに対して、パルスチューブ冷凍機
70では、それが室温部に配置され、蓄冷器1の低温端
と室温部の位相調節機構72との間がパルス管と呼ばれ
る配管で連結され、冷媒ガスの圧力波の位相の遠隔制御
がなされる。そして圧力変動による冷媒ガスと蓄冷材と
の間のエントロピー授受が変位との適当なタイミングで
進行することにより、エントロピーが一方向へ順次汲み
上げられ、蓄冷器1の低温部において、より低温度の冷
熱が得られる。
【0079】次に、本発明に係る蓄冷式冷凍機を使用し
た超電導MRI装置、磁気浮上列車用超電導磁石、クラ
イオポンプ、および磁界印加式単結晶引上げ装置の実施
例について述べる。
【0080】図4は、本発明を適用した超電導MRI装
置の概略構成を示す断面図である。図4に示す超電導M
RI装置30は、人体に対して空間的に均一で時間的に
安定な静磁界を印加する超電導静磁界コイル31、発生
磁界の不均一性を補正する図示を省略した補正コイル、
測定領域に磁界勾配を与える傾斜磁界コイル32、およ
びラジオ波送受信用プローブ33等により構成されてい
る。そして、超電導静磁界コイル31の冷却用として、
前述したような本発明に係る蓄冷式冷凍機34が用いら
れている。なお、図中35はクライオスタット、36は
放射断熱シールドである。
【0081】本発明に係る蓄冷式冷凍機34を用いた超
電導MRI装置30においては、超電導静磁界コイル3
1の動作温度を長期間に亘って安定に保証することがで
きるため、空間的に均一で時間的に安定な静磁界を長期
間に亘って得ることができる。したがって、超電導MR
I装置30の性能を長期間に亘って安定して発揮させる
ことが可能となる。
【0082】図5は、本発明に係る蓄冷式冷凍機を使用
した磁気浮上列車用超電導磁石の要部概略構成を示す斜
視図であり、磁気浮上列車用超電導マグネット40の部
分を示している。図5に示す磁気浮上列車用超電導マグ
ネット40は、超電導コイル41、この超電導コイル4
1を冷却するための液体ヘリウムタンク42、この液体
ヘリウムタンクの揮散を防ぐ液体窒素タンク43および
本発明に係る蓄冷式冷凍機44等により構成されてい
る。なお、図中45は積層断熱材、46はパワーリー
ド、47は永久電流スイッチである。
【0083】本発明に係る蓄冷式冷凍機44を用いた磁
気浮上列車用超電導マグネット40においては、超電導
コイル41の動作温度を長期間に亘って安定に保証する
ことができるため、列車の磁気浮上および推進に必要な
磁界を長期間に亘って安定して得ることができる。特
に、磁気浮上列車用超電導マグネット40では加速度が
作用するが、本発明に係る蓄冷式冷凍機44は加速度が
作用した場合においても長期間に亘って優れた冷凍能力
を維持できることから、磁界強度等の長期安定化に大き
く貢献する。したがって、このような超電導マグネット
40を用いた磁気浮上列車は、その信頼性を長期間に亘
って発揮させることが可能となる。
【0084】図6は、本発明に係る蓄冷式冷凍機を使用
したクライオポンプの概略構成を示す断面図である。図
6に示すクライオポンプ50は、気体分子を凝縮または
吸着するクライオパネル51、このクライオパネル51
を所定の極低温に冷却する本発明に係る蓄冷式冷凍機5
2、これらの間に設けられたシールド53、吸気口に設
けられたバッフル54、およびアルゴン、窒素、水素等
の排気速度を変化させるリング55等により構成されて
いる。
【0085】本発明に係る蓄冷式冷凍機52を用いたク
ライオポンプ50においては、クライオパネル51の動
作温度を長期間に亘って安定に保証することができる。
したがって、クライオポンプ50の性能を長期間に亘っ
て安定して発揮させることが可能となる。
【0086】図7は、本発明に係る蓄冷式冷凍機を使用
した磁界印加式単結晶引上げ装置の概略構成を示す斜視
図である。図7に示す磁界印加式単結晶引上げ装置60
は、原料溶融用るつぼ、ヒータ、単結晶引上げ機構等を
有する単結晶引上げ部61、原料融液に対して静磁界を
印加する超電導コイル62、および単結晶引上げ部61
の昇降機構63等により構成されている。そして、超電
導コイル62の冷却用として、前述したような本発明に
係る蓄冷式冷凍機64が用いられている。なお、図中6
5は電流リード、66は熱シールド板、67はヘリウム
容器である。
【0087】本発明に係る蓄冷式冷凍機64を用いた磁
界印加式単結晶引上げ装置60においては、超電導コイ
ル62の動作温度を長期間に亘って安定に保証すること
ができるため、単結晶の原料融液の対流を抑える良好な
磁界を長期間に亘って得ることができる。したがって、
磁界印加式単結晶引上げ装置60の性能を長期間に亘っ
て安定して発揮させることが可能となる。
【0088】
【発明の効果】以上説明の通り、本発明に係る蓄冷材に
よれば、磁性粒子の円形度係数およびその標準偏差を所
定の範囲に規定しているため、機械的強度や熱伝導率が
高く、耐熱衝撃性が優れており、微粉化のおそれも少な
い。そのため、スターリング冷凍機やパルスチューブ冷
凍機などの高速運転を行う冷凍機用の蓄冷材として使用
した場合においても、圧力損失が小さく、長期間に亘り
安定した冷凍特性を示す蓄冷材が得られる。そして、そ
の蓄冷材を冷凍機の少なくとも一部の蓄冷材として使用
することにより、冷凍能力が高く、かつ長期間に亘って
安定した冷凍性能が維持できる冷凍機を提供することが
できる。
【0089】そして、MRI装置、クライオポンプ、磁
気浮上列車用超電導磁石、および磁界印加式単結晶引上
げ装置は、いずれも冷凍機性能が各装置の性能を左右す
ることから、上述したような冷凍機を用いた本発明のM
RI装置、クライオポンプ、磁気浮上列車用超電導磁
石、および磁界印加式単結晶引上げ装置は、いずれも長
期間に亘って優れた性能を発揮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】蓄冷式冷凍機(GM冷凍機)の要部構成を示す
断面図。
【図2】パルス管冷凍機の要素構成および温度分布を模
式的に示す図。
【図3】熱プラズマ装置の構成を示す図。
【図4】本発明の一実施例による超電導MRI装置の概
略構成を示す断面図。
【図5】本発明の一実施例による超電導磁石(磁気浮上
列車用)の要部概略構成を示す斜視図。
【図6】本発明の一実施例によるクライオポンプの概略
構成を示す断面図。
【図7】本発明の一実施例による磁界印加式単結晶引上
げ装置の要部概略構成を示す斜視図。
【符号の説明】
1 蓄冷器 10 GM冷凍機(蓄冷式冷凍機) 11 第1シリンダ 12 第2シリンダ 13 真空容器 14 第1蓄冷器 15 第2蓄冷器 16,17 シールリング 18 第1蓄熱材 19 第2蓄熱材(極低温用蓄冷材) 20 第1膨張室 21 第2膨張室 22 第1冷却ステージ 23 第2冷却ステージ 24 コンプレッサ 30 超電導MRI装置 31 超電導静磁界コイル 32 傾斜磁界コイル 33 ラジオ波送受信用プローブ 34 蓄冷式冷凍機 35 クライオスタット 36 放射断熱シールド 40 超電導磁石(マグネット) 41 超電導コイル 42 液体ヘリウムタンク 43 液体窒素タンク 44 蓄冷式冷凍機 45 積層断熱材 46 パワーリード 47 永久電流スイッチ 50 クライオポンプ 51 クライオパネル 52 蓄冷式冷凍機 53 シールド 54 バッフル 55 リング 60 磁界印加式単結晶引上げ装置 61 単結晶引上げ部 62 超電導コイル 63 昇降機構 64 蓄冷式冷凍機 65 電流リード 66 熱シールド板 67 ヘリウム容器 70 パルス管型冷凍機 71 圧力振動源 72 位相調節機構 80 熱プラズマ装置 81 反応容器 82 高周波発信器 83 コイル 84 プラズマ発生部外囲筒 85 プラズマフレーム 86 粉体供給口 87 粉体供給器 88 キャリアガス供給ボンベ 89 プラズマ発生用ガス源 90 サイクロン 91 冷却ガス源

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多数の磁性粒子から成る蓄冷材であり、
    各磁性粒子の平面への投影像の面積をAとする一方、投
    影像の周囲長をLとしたときに、4πA/L で定義さ
    れる円形度係数Rの平均値が0.7以上であり、その円
    形度係数Rの標準偏差が0.1以下であることを特徴と
    する蓄冷材。
  2. 【請求項2】 前記磁性粒子が希土類元素を含むことを
    特徴とする請求項1記載の蓄冷材。
  3. 【請求項3】 蓄冷器の上流高温側から冷媒ガスを流し
    て上記冷媒ガスと蓄冷器に充填した蓄冷材との熱交換に
    よって蓄冷器の下流側にて、より低温度を得る冷凍機に
    おいて、上記蓄冷器に充填された蓄冷材の少なくとも一
    部が請求項1または請求項2に記載の蓄冷材であること
    を特徴とする冷凍機。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の冷凍機を具備したことを
    特徴とする超電導磁石。
  5. 【請求項5】 請求項3記載の冷凍機を具備したことを
    特徴とするMRI(核磁気共鳴イメージング)装置。
  6. 【請求項6】 請求項3記載の冷凍機を具備したことを
    特徴とするクライオポンプ。
  7. 【請求項7】 請求項3記載の冷凍機を具備したことを
    特徴とする磁界印加式単結晶引上げ装置。
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