JP2002179473A - 金属−セラミック接合体 - Google Patents

金属−セラミック接合体

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JP2002179473A
JP2002179473A JP2000378392A JP2000378392A JP2002179473A JP 2002179473 A JP2002179473 A JP 2002179473A JP 2000378392 A JP2000378392 A JP 2000378392A JP 2000378392 A JP2000378392 A JP 2000378392A JP 2002179473 A JP2002179473 A JP 2002179473A
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steel
mps
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JP2000378392A
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Manabu Okinaka
学 沖中
Masahito Taniguchi
雅人 谷口
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NGK Spark Plug Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ろう材の融点と関連付けて鋼の材質や冷却条
件を選定することにより、接合部に欠陥や強度バラツキ
が生じにくい金属−セラミック接合体を提供する。 【解決手段】 ろう材層3を介して金属体2とセラミッ
ク体4とが接合された構造を有する金属−セラミック接
合体1において、金属体2としてオーステナイト状態か
ら所定の冷却速度にて冷却することにより硬化する性質
を有する鋼材を使用する。鋼材及びろう材は、ろう材層
の固相線温度をMPs、鋼材をオーステナイト状態から冷
却したときの硬化相への変態開始温度をMsとして、
0.1〜200℃/分の範囲内にて冷却速度を選択する
ことにより0.4MPs<Ts<0.75MPsとすること
ができる材質が選定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は金属−セラミック接
合体、特に内燃機関のタペット、ロッカーアーム、バル
ブブリッジ等の摺動部品に適した金属−セラミック接合
体と、それを用いて構成されたタペットに関する。
【0002】
【従来の技術】タペット等に使用される金属−セラミッ
ク接合体(以下、単に接合体ともいう)においては、従
来、金属体の材質として炭素鋼やCr−Mo鋼等の汎用
で安価な鋼が使用されることが多い。他方、接合体の製
造に際しては、セラミック体と金属体との線膨張係数差
が大きいことから、冷却過程での熱応力により接合剥が
れ等が発生しやすい問題がある。金属体とセラミック体
とでは線膨張係数は一般に前者のほうが大きく、接合後
の冷却時には金属体の方が大きく収縮して、接合界面に
剥離等の原意となる残留応力を生ずる。この場合、ろう
材層が組成変形することにより残留応力はある程度緩和
できるが、効果は必ずしも十分でないことがあった。そ
こで、特開平2−199073号公報には、ろう材が溶
融する温度にてろう付け後、オーステナイト相を例えば
マルテンサイト相などのα型固溶体相に変態させ、その
変態に伴う体積膨張に基づいて、金属体とセラミック体
との間の収縮差を減少させる方法が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記の方法において
は、ろう付け後の冷却過程、すなわちオーステナイト状
態からの冷却過程により、変態温度を含めた鋼の変態挙
動は変化を受ける。具体的には、該変態挙動は、当然に
鋼の種類やろう付け温度あるいは冷却速度により敏感に
変化する。しかしながら、従来は、この点にあまり大き
な注意が払われておらず、ろう材の融点(あるいは液相
線温度や固相線温度)に応じた鋼の材質や冷却条件の選
定がなされていなかったため、接合部に欠陥や強度バラ
ツキが生じやすかった。
【0004】本発明の課題は、ろう材の融点と関連付け
て鋼の材質や冷却条件を選定することにより、接合部に
欠陥や強度バラツキが生じにくい金属−セラミック接合
体と、それを用いたタペットとを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段及び作用・効果】上記の課
題を解決するために、本発明の金属−セラミック接合体
は、ろう材層を介して金属体とセラミック体とが接合さ
れた構造を有する金属−セラミック接合体において、金
属体としてオーステナイト状態から所定の冷却速度にて
冷却することにより硬化する性質を有する鋼材を使用す
るとともに、鋼材及びろう材は、ろう材層の固相線温度
をMPs、鋼材をオーステナイト状態から冷却したときの
硬化相への変態開始温度をTsとして、0.1〜200
℃/分の範囲内にて冷却速度を選択することにより0.
4MPs<Ts<0.75MPsとすることができる材質が
選定されたことを特徴とする。
【0006】本発明の上記金属−セラミック接合体は、
セラミック体と鋼材からなる金属体とをろう材が溶融す
る温度にてろう付け後、ろう付け温度にて少なくとも部
分的にオーステナイト化した鋼材を、冷却によりマルテ
ンサイト相などのα型固溶体相に変態させ、その変態に
伴う体積膨張に基づいて、金属体とセラミック体との間
の収縮差を減少させる形で製造できる。この場合、その
変態による体積膨張が適度に大きくなることで残留応力
緩和の効果が高められる。ここで、冷却時の鋼材の変態
挙動は冷却速度に応じて異なるものなり、例えば冷却速
度が十分大きい場合にはいわゆるマルテンサイト変態
(生成する相はα型固溶体の一つであるマルテンサイト
相である)を起こして、比較的大きな体積膨張を生ずる
ので、残留応力緩和効果も高くなる。一方、冷却速度が
十分小さい場合は、炭化物とフェライト相(α相)に分
解する変態が主体的となり、体積膨張はそれほど顕著で
なくなる。なお、両者の中間の冷却速度となった場合は
ベイナイト変態等の高温変態挙動をとり、体積膨張もそ
れらの中間的なものとなる。
【0007】他方、冷却速度は、セラミック体に過度の
熱衝撃が加わらない範囲にて所期の残留応力緩和効果が
達成できるよう、適宜調整する必要がある。そして、鋼
材の材質としては、気体冷却媒雰囲気にて適当な体積膨
張を伴う変態を起こす材質を選定することが望ましいと
いえる。本発明において、鋼材の変態点を特定するため
の冷却速度範囲として0.1〜200℃/分を指定して
いるのはこの理由による。なお、ろう付け温度において
は、鋼材組織は20%以上がオーステナイト相にて構成
されていること(本明細書においては、この状態をオー
ステナイト状態と称する)が、顕著な応力緩和効果を得
る上で有効である。なお、ろう付け温度にて組織が略完
全にオーステナイト化している場合は、変態に関与する
相の体積率が多く、過度に急激に変態が進行すると応力
分布が不均一になることもありうるので、より望ましい
冷却速度範囲として0.1〜50℃/分を採用するのが
よい。
【0008】また、本発明においては、形成されるろう
材層の固相線温度MPs(これはろう付け温度の目安とも
なる)を基準として、鋼材の材質を、0.1〜200℃
/分の範囲内にて適当な冷却速度を選択することによ
り、その変態温度Tsを、0.5MPs≦Ts≦0.75
MPsとすることができるものを選んでいる。このよう
に、使用するろう材と鋼材との材質を、前者の固相線温
度と後者の変態温度との間に上記の関係が成立するよう
に選定することで、得られる接合体のろう材内部の応力
を効果的に低減することができ、接合部の欠陥や強度バ
ラツキの少ない接合体が実現される。なお、鋼材の材質
としては、接合体製造工程にて実際に使用される冷却速
度条件(以下、実操業冷却条件という)において、0.
5MPs≦Ts≦0.75MPsとなっているものを選ぶこ
とが望ましい。
【0009】冷却速度の調整を行っても0.5MPs≦T
sとできない鋼材を選択した場合、0.1〜200℃/
分の範囲内にて実操業冷却条件が設定されれば、必ず
0.5MPs>Tsとなってしまう。この場合は、ろう材
が固化してから室温まで冷却されるための温度区間が広
くなりすぎるので、セラミック体と金属体との熱収縮差
が過度に大きくなり、板状のセラミック体を板厚方向に
接合する場合はいわゆるクラウニング量が大きくなりす
ぎたり、甚だしい場合にはセラミック体に割れ等が生じ
たりすることがある。また、セラミック外周部に大きな
引張応力が残留しやすくなり、強度等の低下も招き易く
なる。
【0010】他方、冷却速度の調整を行ってもTs≦
0.75MPsとできない鋼材を選択した場合は、上記の
実操業冷却条件では、必ずTs>0.75MPsとなる。
この場合は、ろう材層温度がかなり高い状態で先に鋼材
の変態が起こってしまうから、以降の冷却で生ずる熱収
縮差はもはや変態により相殺できなくなり、ろう材内部
に不均一で大きな残留応力が生じ、接合部の強度や耐久
性が損なわれることにつながる。
【0011】鋼材の具体的な材質としては、金属体を構
成するFe系材料としては、各種炭素鋼、合金鋼(ステ
ンレス鋼あるいは耐熱鋼を含む)、あるいは鋳鉄を使用
できる。この場合、セラミック体への熱衝撃付加を抑制
する観点から、なるべく小さな冷却速度で比較的大きな
ヒステリシスを描く材料を選択することが望ましい。具
体的には、Ni、Cr、Mo、Mn等の合金元素の配合
量が、冷却速度とヒステリシスとの関係に大きな影響を
及ぼす。例えば、接合径の相当大きな接合体の作製を行
う場合は、表層部と内部とでは冷却速度に不可避的な差
が生ずるが、こうした冷却速度分布の不均一が生じやす
い製品の製造を行う場合においては、低冷却速度で大き
なヒステリシスを描く材料の選定は特に重要であり、上
記の合金元素の配合が有効となる。
【0012】例えば、Niの添加により、鋼材のオース
テナイト変態点を下げて質量効果を小さくし、不完全な
焼入れ状態が生じても靭性低下等を生じにくくすること
ができる。該Niの含有量は、1〜5質量%とするのが
よい。また、Cr、Mo、Mnは、所期の体積膨張を伴
う変態(例えばベイナイト変態やマルテンサイト変態)
が生じうるための臨界冷却速度を小さくする働きをな
す。Crの含有量は、コストと効果との兼ね合いにより
0.5〜8質量%とするのがよい。他方、MoやMnは
少量でも著しく臨界冷却速度を低下させる効果を有す
る。Mn含有量は0.3〜1.5質量%とするのがよ
く、Mo含有量は0.3〜1.5質量%とするのがよ
い。なお、鋼材に含有されるC含有量は、ろう付け後の
硬度調整のために2質量%以下とするのがよい。また、
その他、性能の安定性を調整するためにSi、W、Vあ
るいはP等をそれぞれ1質量%以下の範囲で含有させる
こともできる。
【0013】例えばJISに規定されたものでは、次の
ような鋼材を例示できる(組成の単位は質量%)。 (1)機械構造用Ni−Cr−Mo鋼:SNCM630
(C:0.25〜0.35、Si:0.15〜0.3
5、Mn:0.35〜0.60、Ni:2.5〜3.
5、Cr:2.5〜3.5、Mo:0.5〜0.7、残
Fe)、SNCM439(C:0.36〜0.43、S
i:0.15〜0.35、Mn:0.6〜0.90、N
i:1.6〜2.0、Cr:0.6〜1.0、Mo:
0.15〜0.3、残Fe)、SNCM447(C:
0.44〜0.50、Si:0.15〜0.35、M
n:0.6〜0.90、Ni:1.6〜2.0、Cr:
0.6〜1.0、Mo:0.15〜0.3、残Fe)
等。 (2)機械構造用Cr−Mo鋼:SCM445(C:0.
43〜0.48、Si:0.15〜0.35、Mn:
0.6〜0.85、Cr:0.9〜1.2、Mo:0.
15〜0.3、残Fe)等。 (3)機械構造用Cr鋼:SCr440(C:0.43〜
0.48、Si:0.15〜0.35、Mn:0.6〜
0.85、Cr:0.9〜1.2、残Fe)、SCr4
15(C:0.13〜0.18、Mn:0.60〜0.
85、Cr:0.90〜1.20、残Fe)等。 (4)機械構造用炭素鋼:S50C(C:0.47〜0.
53、Mn:0.6〜0.9、残Fe)等
【0014】また、セラミック体は窒化珪素を主体に構
成することができる。窒化珪素は機械的強度、耐磨耗性
及び耐食性に優れ、例えばタペットなど、高温・高負荷
かつ腐食性の苛酷な環境下で使用される動弁系摺動部品
においても、十分な強度及び耐久性を確保することが可
能である。なお、窒化珪素以外では、サイアロン、炭化
珪素、窒化アルミニウム等も使用も可能である。
【0015】また、ろう材層を形成するためのろう材
は、Agを主成分とするAg系ろう材を好適に使用する
ことができる。また、Cuを主成分とするCu系ろう材
を使用すれば、ろう材層の耐熱性、ひいては接合体の高
温接合強度を著しく高めることができる。なお、本明細
書において「主成分」とは、最も含有率の高い成分のこ
とを意味する。
【0016】Cu系ろう材を使用すれば、形成されるろ
う材層はCuを主体とするものとなる。この場合、鋼材
は、0.1〜200℃/分の範囲内にて冷却速度を選択
することにより0.4MPs<Ts<0.67MPsとする
ことができる材質が選定するのがよい。Cu系ろう材は
固相線温度すなわちろう付け温度が高く、ろう材層温度
がかなり高い状態で先に鋼材の変態が起こってしまう場
合の、前述の不具合をより生じやすいともいえる。従っ
て、Tsの望ましい上限値は、ろう材層の固相線温度M
Psに対する相対的な値にてやや低めの0.67MPsに留
めている。
【0017】他方、Ag系ろう材を使用すれば、形成さ
れるろう材層はAgを主体とするものとなる。Ag系ろ
う材は、ろう付け温度が750〜900℃と低いので、
鋼材は、0.1〜200℃/分の範囲内にて前記冷却速
度を選択することにより0.5MPs≦Ts≦0.75M
Psとすることができる材質が選定するのがよい(つま
り、Tsのろう材層の固相線温度MPsに対する相対的な
値を、Cu系ろう材よりやや高くする)。固相線温度の
低いろう材を用いる場合は、特に合金鋼の場合、ろう付
け処理温度において鋼材の組織がオーステナイトとフェ
ライトとの混相組織になりやすい。そこで、上記のよう
にTsをろう材固相線温度に近づけることで、マルテン
サイト変態等に関与するオーステナイト相の体積率を増
加させることができ、ひいては応力緩和効果をより高め
ることができる。
【0018】Cu系ろう材としては、Cuを80質量%
以上含有するものを使用することで、接合部の耐熱性に
とりわけ優れた接合体を得ることができる。Cuを80
質量%以上含有するろう材は、溶融により生ずる液相の
粘性が高いため流動性に乏しい欠点がある。例えば、ろ
う材層の厚さが小さくなると、例えばろう材層の周縁部
が表面張力によって丸まって、その外側に環状の隙間が
形成されたり、あるいは金属体やセラミック体との界面
に気孔状の空隙が形成されたりし、良好な接合状態を得
られなくなることがある。この場合、ろう材層を25〜
100μmと厚く形成することで、発生する液相の量も
増えて接合界面への供給もスムーズに進み、良好な接合
状態を安定的に形成できる。
【0019】Cu系ろう材としては、具体的にはCu−
Al−Si−Ti系のろう材を使用することができる。
Cuの含有量は前述の通り80質量%以上に設定するこ
とで、ろう材層の耐熱性が特に良好となる。Alは主に
ろう材の融点を調整する働きをなし、含有量が高いほど
ろう材の融点が低下する。一方、Siはろう材が溶融し
てできる液相の流れ性を高め、空隙等の欠陥が少ない接
合構造を形成するのに寄与する。ただし、Si含有量が
0.1質量%未満になると液相の流動性改善効果が乏し
くなり、逆に8質量%を超えるとろう材層が脆弱化して
接合強度の低下につながる場合がある。
【0020】一方、Tiは活性金属成分であり、セラミ
ックスとの化学的結合層を形成することによりその接合
性を高める働きをなす。活性金属成分としては、Tiに
代えて、またはTiとともにZrやHf等も使用でき
る。活性金属成分の含有量が10質量%を超えるとセラ
ミックス被接合体との界面反応生成物の量が増大して接
合強度が低下するため、活性金属の含有量は10質量%
以下、望ましくは5質量%以下の範囲で調整するのがよ
い。なお、Alの含有量は、Si及び活性金属成分の含
有量と、ろう材の狙い融点(固相線温度)とを勘案し
て、0.1〜5質量%の範囲で適宜調整する。
【0021】なお、上記以外のCu系ろう材としては、
Cu−Pd−Si−Ti系、Cu−Si−Ti系、Cu
−Si系等を使用できる。また、Ag系ろう材を使用す
る場合は、Ag−Cu−Ti系あるいはAg−Cu−I
n−Ti系等のろう材を使用できる(この場合も、Ti
に代えて、またはTiとともにZrやHf等を活性金属
成分として配合することができる)。
【0022】また、接合部の強度を確保しつつ、応力緩
和効果を高めるために、ろう材層の厚さは20〜100
μmの範囲にて調整することが望ましい。なお、ろう材
層と金属体あるいはセラミック体との各隣接境界(ある
いは接合界面)は、成分拡散等のため一般には不明瞭と
なることが多い。具体的には、各隣接境界付近に、成分
の拡散ないし反応により拡散層あるいは反応層(以下、
両者を総称して拡散・反応層という)が形成されること
がある。本明細書においては、図3に示すように、金属
体とセラミック体との接合方向において、セラミック体
を構成する金属イオンあるいは珪素イオン等のカチオン
成分のうち、最も含有量の高いもの(以下、主カチオン
成分という)の濃度をセラミック体側からろう材層側に
向けて分析した場合に、該主カチオン成分濃度の分析値
レベルが、その平均濃度Cmの1/2となる位置を、セ
ラミック体とろう材層との境界BXとして定めるものと
する。また、同様に金属体を構成する金属成分のうち、
最も含有量の高いもの(以下、主金属成分という)の濃
度を金属体側からろう材層側に向けて分析した場合に、
該主金属成分濃度の分析値レベルが、その平均濃度Mm
の1/2となる位置を、金属体とろう材層との境界BY
として定めるものとする。そして、両境界間の距離をろ
う材層の厚さtとして定義する(ただし、ろう材層の厚
さに分布を生じている場合には、その平均値にて代表さ
せるものとする)。なお、こような分析は、電子プロー
ブ・マイクロ・アナライザ(EPMA)、EDS(エネ
ルギー分散型X線分光)及びWDS(波長分散型X線分
光)、オージェ電子分光法(AES)等の公知の方法に
より実施することができる。
【0023】接合熱処理時等における金属体とセラミッ
ク体との間の熱膨張差に起因した残留応力(あるいは熱
応力)を緩和するために、金属体とろう材層との間に中
間層(あるいは緩衝板)を介挿することもできる。この
中間層は、例えばCuやNi等の軟質金属を主体とする
もので構成でき、自身の塑性変形により上記残留応力を
緩和する効果をさらに高める働きをなす。また、W合金
やコバール等、セラミック部と金属本体部との中間の線
膨張係数を有する材質で中間層を構成してもよい。な
お、中間層は、上記材質の薄板を金属体側にろう付け等
により接合する一方、セラミック部側には上記ろう材層
を介して同様にろう付け接合することができる。この場
合、接合により一体化した金属体と中間層との全体をあ
らためて金属体とみなおせば、当該構造も本発明の請求
項に記載した接合体の構成を有していると見ることがで
きる。
【0024】上記本発明の金属−セラミック接合体は、
各種摺動部品、例えばタペット、ロッカーアーム、バル
ブブリッジ等の内燃機関用摺動部品に好ましく使用する
ことができる。例えば、タペットはカム摺動に伴い大き
な衝撃負荷が繰返し付加される厳しい使用環境下で使用
されるが、摺動面を形成するセラミック体には、例えば
高速運転時等においてその外周部分にカムからの繰り返
し応力が負荷されやすい。そのため、接合開放端を形成
する該外周部分においてろう材層に変形が集中し、接合
界面の剥離といった問題が特に生じやすい。したがっ
て、本発明の金属−セラミック接合体は、このようなタ
ペットに適用した場合にその効果が特に顕著に発揮され
る。
【0025】
【実施例】(実施例1)図1は本発明のタペットが使用
されたオーバーヘッドバルブ機構を示している。カム1
00の回転によりタペット1及びプッシュロッド103
が上下運動し、ロッカーアーム102を介してバルブ1
01を開閉させる。図2は、タペット1の拡大図であ
る。該タペット1は、本発明の接合体として構成されて
おり、ろう材層3を介してタペット金具(金属体)2と
セラミック板(セラミック体)4とが接合された構造を
有している。タペット金具2は鉄系材料(例えばSNC
M630)にて構成され、セラミック板4は窒化珪素の
焼結体として構成される。また、ろう材層3を構成する
ろう材は、Cu系もしくはAg系ろう材であり、例えば
Cu系ろう材の場合は、ろう材層厚さが例えば26〜1
00μm程度で調整される。そして、セラミック板4
の、ろう材層3と接しているのとは反対側の端面4aが
カム100との摺動面とされている。なお、この端面4
aには、仮想線で誇張して示すように、中央部が突出す
る小さな曲率(クラウニング)を施すことができる。
【0026】上記のタペット(接合体)1を評価するた
めに、以下の条件で試作品を製作し、それについて剪断
強度評価を行った。まず、鋼材としてSNCM630、
SNCM447、SNCM439、SNCM420、S
NC815、S50C、S45Cを鍛造、機械研削する
ことにより図2に示した形状のタペット金具2を作製し
た。ただし、セラミック板4の接合が予定された端面の
外径は30mmである。一方これとは別に、Si
粉末を主体にY−Al系焼結助剤と成型バ
インダーを配合し、金型プレスにて成型後、窒素ガス雰
囲気中で焼成することにより、外径30mm、厚さ2m
mの円板状のセラミック板4を作製した。得られたセラ
ミック板4の両面を研磨後、各種ろう材箔を用いて加熱
ろう付け処理することにより、セラミック板4をタペッ
ト金具2の端面にろう付けしてタペット1を作成した。
また、ろう付け後の焼入れ冷却速度は、ろう付け温度以
下にて150℃までの平均冷却速度が2〜10℃/分と
なるよう各種設定した。また、鋼材の冷却時の変態温度
Tsは、各冷却速度の条件にて別途、寸法変化率測定に
より確認している。
【0027】また、使用したろう材箔は以下の通りであ
る: Ag−Cu−Ti系ろう材(Cu:35、Ti:2.
0、残部Ag(単位:質量%、以下同じ):厚さ0.0
5mm; Cu−Al−Si−Ti系ろう材(Al:2.0、S
i:3.0、Ti:2.0、残部Cu):厚さ0.06
mm; Ag−Cu−In−Ti系ろう材(Cu:27、In:
12.5、Ti:1.5、残部Ag):厚さ0.06m
m。 なお、ろう付けは真空雰囲気にて行い、ろう付け温度と
保持時間及びろう付け後の冷却速度は表1に記載してい
る。
【0028】ろう材層の固相線温度MPsについては、各
種試験終了後のタペット試験品から、セラミック体と金
属体とに接合方向にまたがる形でろう材層を含む試験片
を切り出して昇温しながら示唆熱分析を行い、放熱ピー
クの開始温度により測定した。
【0029】タペットは各条件2個ずつ作製した。ま
た、金属体表面の硬度を、JIS:Z2244に規定さ
れた方法により、マイクロビッカース硬度計(Akas
hi社製、形式:MVK−VL(本体;VL101)を
用いて試験荷重9.8×10Nにて測定した。
【0030】一方、他方のタペットは下記のようにして
接合部の剪断強度試験に供した。すなわち、図4(a)
に示すように、中央に直径15mmの接合強度評価部を
残す形で、セラミック板4及びろう材層3の外周部をタ
ペット金具2が露出するまで研削し、試験片100とし
た。そして、その試験片100のタペット金具2を強度
試験機のチャックに保持させる一方、セラミック板4の
側面部分にのみ剪断パンチがかかる形で、該パンチによ
り、図4(b)に示すように試験片100の中心軸線O
と直交する向きに荷重を加え、セラミック板を剥離させ
たときの最大荷重を測定した。そして、剪断接合強度
は、その最大荷重を接合面積((15/2)π(mm
))で除した値として算出している。以上の結果を表
1に示す。
【0031】
【表1】
【0032】この結果から明らかなように、0.4MPs
≦Ts≦0.75MPsを満足するろう材及び鋼材の組み
合わせにより、接合強度も十分高い値に確保、また、ク
ラウニングの過大化によるセラミック体の割れ等も生じ
ていないことがわかる。
【0033】(実施例2)実施例1における試験品1、
8(以上、実施例)、10、16(以上、比較例)をカ
ムモータリング試験機に装着し、以下の条件にて耐久試
験を行った。まず、カムとタペットとの間のクリアラン
スは1.5mm(標準クリアランス(0.3〜0.4m
m程度)よりも大きく設定され、加速試験となってい
る)に設定した。そして、エンジンを1500rpm
(カムの回転数はこの2倍)にて連続運転し、セラミッ
ク板4に割れが生じるまでのカムの回転サイクル数を、
そのタペットの耐久サイクル数として評価した。以上の
結果を表2に示す。
【0034】
【表2】
【0035】この結果から明らかなように、実施例の試
験品は良好な耐久性を示していることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のタペットを含むオーバーヘッドバルブ
機構の正面図。
【図2】図1のタペットの拡大図。
【図3】ろう材層の概念を示す説明図。
【図4】実施例1で用いた剪断接合強度の試験片の説明
図。
【符号の説明】
1 タペット(金属−セラミック接合体) 2 タペット金具(金属体) 3 ろう材層 4 セラミック板(セラミック体) 20 焼入れ硬化層(焼入れ硬化部) 21 本体部分
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F01L 1/14 F01L 1/14 B // C22C 38/00 301 C22C 38/00 301B B23K 103:16 B23K 103:16 103:18 103:18 Fターム(参考) 3G016 AA05 AA19 BA18 BB06 BB08 BB09 EA02 EA14 EA24 FA16 FA17 FA33 GA02 GA10 4G026 BA17 BB24 BF16 BF17 BG02 BG25 BH01

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ろう材層を介して金属体とセラミック体
    とが接合された構造を有する金属−セラミック接合体に
    おいて、前記金属体としてオーステナイト状態から所定
    の冷却速度にて冷却することにより硬化する性質を有す
    る鋼材を使用するとともに、前記鋼材及び前記ろう材
    は、前記ろう材層の固相線温度をMPs、前記鋼材をオー
    ステナイト状態から冷却したときの硬化相への変態開始
    温度をTsとして、0.1〜200℃/分の範囲内にて
    前記冷却速度を選択することにより0.4MPs<Ts<
    0.75MPsとすることができる材質が選定されたこと
    を特徴とする金属−セラミック接合体。
  2. 【請求項2】 前記ろう材層はAgを主体とするもので
    あり、前記鋼材は、0.1〜200℃/分の範囲内にて
    前記冷却速度を選択することにより0.5MPs≦Ts≦
    0.75MPsとすることができる材質が選定されている
    請求項1記載の金属セラミッ−ク接合体。
  3. 【請求項3】 前記ろう材層はCuを主体とするもので
    あり、前記鋼材は、0.1〜200℃/分の範囲内にて
    前記冷却速度を選択することにより0.4MPs<Ts<
    0.67MPsとすることができる材質が選定されている
    請求項1記載の金属セラミック−接合体。
  4. 【請求項4】 前記ろう材層は、固相線温度MPsが90
    0℃以上であり、かつCuの含有量が80質量%以上で
    ある請求項3記載の金属セラミック−接合体。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれかに記載の金
    属−セラミック接合体として構成され、かつ前記セラミ
    ック体の前記ろう材層と接しているのとは反対側の端面
    がカム摺動面とされたことを特徴とするタペット。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004170421A (ja) * 2002-11-20 2004-06-17 General Electric Co <Ge> ジルカロイ・チップ付きecpセンサ電極
JP2007237248A (ja) * 2006-03-09 2007-09-20 Ngk Insulators Ltd 異種材料接合体の製造方法
WO2007119377A1 (ja) 2006-03-15 2007-10-25 Ngk Insulators, Ltd. 異種材料接合体の製造方法

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