JP2002178655A - 平版印刷版用原版 - Google Patents

平版印刷版用原版

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JP2002178655A
JP2002178655A JP2000378955A JP2000378955A JP2002178655A JP 2002178655 A JP2002178655 A JP 2002178655A JP 2000378955 A JP2000378955 A JP 2000378955A JP 2000378955 A JP2000378955 A JP 2000378955A JP 2002178655 A JP2002178655 A JP 2002178655A
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JP
Japan
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polymer
group
heat
hydrophilic
acid
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Withdrawn
Application number
JP2000378955A
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English (en)
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Koichi Kawamura
浩一 川村
Kazuo Maemoto
一夫 前本
Yoshinori Takahashi
美紀 高橋
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Publication date
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  • Materials For Photolithography (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 機上現像性が良好であり、感度が高く、かつ
高耐刷性を示す平版印刷版用原版を提供する。 【解決手段】 グラフトポリマーからなる親水性表面を
有する支持体上に微粒子ポリマーおよびマイクロカプセ
ルの少なくともいずれかを含有する感熱層を有し、該微
粒子ポリマーが熱可塑性微粒子ポリマーもしくは熱反応
性官能基を有する微粒子ポリマーであるかまたは該マイ
クロカプセルが熱反応性官能基を有する化合物を内包す
るマイクロカプセルであることが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はネガ型の平版印刷用
原版に関する。より詳しくは、デジタル信号に基づいた
走査露光による製版が可能であり、高感度且つ高耐刷性
で、汚れのない印刷物を与えることが可能な平版印刷版
用原版であり、現像することなしにそのまま印刷機に装
着し印刷することが可能な平版印刷版用原版に関する。
【0002】
【従来の技術】近年進展が目覚ましいコンピュータ・ツ
ウ・プレートシステム用刷版については、多数の研究が
なされている。その中で、一層の工程合理化と廃液処理
問題の解決を目指すものとして、露光後、現像処理する
ことなしに印刷機に装着して印刷できる現像不要平版印
刷版用原版が研究され、種々の方法が提案されている。
【0003】処理工程をなくす方法の一つに、露光済み
の印刷版用原版を印刷機のシリンダーに装着し、シリン
ダーを回転しながら湿し水とインキを供給することによ
って、印刷版用原版の非画像部を除去する機上現像と呼
ばれる方法がある。すなわち、印刷版用原版を露光後、
そのまま印刷機に装着し、通常の印刷過程の中で処理が
完了する方式である。このような機上現像に適した平版
印刷版用原版は、湿し水やインキ溶剤に可溶な感光層を
有し、しかも、明室に置かれた印刷機上で現像されるの
に適した明室取り扱い性を有することが必要とされる。
【0004】例えば、日本特許2938397号公報に
は、親水性バインダーポリマー中に熱可塑性疎水性重合
体の微粒子を分散させた感光層を親水性支持体上に設け
た平版印刷版用原版が開示されている。この公報には、
該平版印刷版用原版において、赤外線レーザー露光して
熱可塑性疎水性重合体の微粒子を熱により合体させて画
像形成した後、印刷機シリンダー上に版を取付け、湿し
水および/またはインキにより機上現像できることが記
載されている。しかしながら、このように単に熱による
合体で画像を作る方法では、良好な機上現像性を示すも
のの、画像強度が弱いために耐刷性が不十分となる。ま
た、アルミニウム基板上に直接感熱層を設けた場合、発
生した熱がアルミニウム基板により奪われるために基板
・感熱層界面上では熱による合体が起こらず、耐刷性が
不十分となってしまう。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
のような先行技術の欠点を克服した平版印刷版用原版を
提供することである。すなわち、機上現像性が良好であ
り、感度が高く、かつ高耐刷性を示す平版印刷版用原版
を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の課題
を解決するために種々の検討を行った末、本発明を見出
した。すなわち、感度を高くかつ耐刷を上げるには発生
した熱がアルミニウム基板により奪われるのを防ぐこと
が最も重要と考え、種々の断熱性かつ親水性の支持体を
探索した結果、グラフトポリマーからなる親水性表面を
有する支持体が親水性高く、かつ断熱効果が優れること
を見出し本発明に至ったものである。すなわち、本発明
の内容は、以下のとおりである。
【0007】(1)グラフトポリマーからなる親水性表
面を有する支持体上に微粒子ポリマーおよびマイクロカ
プセルの少なくともいずれかを含有する感熱層を有する
平版印刷版用原版。 (2)前記微粒子ポリマーが熱可塑性微粒子ポリマーも
しくは熱反応性官能基を有する微粒子ポリマーであるか
または前記マイクロカプセルが熱反応性官能基を有する
化合物を内包するマイクロカプセルであることを特徴と
する前記(1)の平版印刷版用原版。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。
【0009】グラフトポリマーからなる親水性表面とは
親水性グラフトポリマー鎖が存在する表面のことであ
り、これは親水性グラフトポリマー鎖が直接表面に結合
していても良くまた親水性グラフトポリマー鎖が幹高分
子に結合しそれが表面に結合もしくは塗布もしくは塗布
架橋されたものであっても良い。親水性グラフトポリマ
ー鎖が直接表面に化学的に結合したものか、または、親
水性グラフトポリマー鎖を有する幹高分子が化学的に結
合したものが、結合が強固であり、厳しい印刷条件にお
いても該親水性表面が剥離することがなく、汚れ性を長
期に維持することができるので好ましい。
【0010】グラフトポリマーを有する表面の作成方法 基材上にグラフトポリマーからなる表面を作成するには
既に良く知られた方法にて作成することができる。その
方法は例えば日本ゴム協会誌,第65巻,604,1992年,
杉井新治著,マクロモノマーによる表面改質と接着を参
考にすることができる。また表面グラフト重合と呼ばれ
る方法にて作成することが出来る。またその他にも架橋
親水層に親水性グラフト鎖を導入することによっても作
成することが出来る。
【0011】〔表面グラフト重合についての説明〕表面
グラフト法により作成された表面とは高分子表面上に
光、電子線、熱などの従来公知の方法にてモノマーがグ
ラフトされた表面を示す。またモノマーとはアンモニウ
ム、ホスホニウムなどの正の荷電を有するモノマーもし
くはスルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、ホスホ
ン酸基などの負の荷電を有するか負の荷電に解離しうる
酸性基を有するモノマーであってもよく、また水酸基、
アミド基、スルホンアミド基、アルコキシ基、シアノ基
などの非イオン性の基を有するモノマーであってもい。
グラフト重合とは高分子化合物鎖上に活性種を与え、こ
れによって開始する別の単量体を重合し、グラフト(接
ぎ木)重合体を合成する方法で、特に活性種を与える高
分子化合物が固体表面を形成する時には表面グラフト重
合と呼ばれる。本発明を実現するための表面グラフト重
合法としては文献記載の公知の方法をいずれも使用する
ことができる。たとえば、新高分子実験学10、高分子
学会編、1994年、共立出版(株)発行、P135に
は表面グラフト重合法として光グラフト重合法、プラズ
マ照射グラフト重合法、が記載されている。また、吸着
技術便覧、NTS(株)、竹内監修、1999.2発
行、p203,p695には、γ線、電子線などの放射
線照射グラフト重合法が記載されている。
【0012】光グラフト重合法の具体的方法としては特
開昭63−92658号公報、特開平10−29689
5号公報および特開平11−119413号公報に記載
の方法を使用することができる。表面グラフトポリマー
を有する表面を作成するための手段としてはこれらの
他、高分子化合物鎖の末端にトリアルコキシシリル基、
イソシアネート基、アミノ基、水酸基、カルボキシル基
などの反応性官能基を付与し、これと基材表面官能基と
のカップリング反応により形成することもできる。プラ
ズマ照射グラフト重合法、放射線照射グラフト重合法に
おいては上記記載の文献、およびY.Ikada et al, Macr
omolecules vol. 19, page 1804(1986)などの記載の方
法にて作成することができる。具体的にはPETなどの
高分子表面をプラズマ、もしくは電子線にて処理し、表
面にラジカルを発生させ、その後、その活性表面と親水
性官能基を有するモノマーとを反応させることによりグ
ラフトポリマー表面層を得ることができる。
【0013】光グラフト重合は上記記載の文献のほかに
特開昭53-17407(関西ペイント)、特開20000-212313
(大日本インキ)記載のように、基材表面に光重合性組
成物を塗布し、その後親水性ラジカル重合化合物とを接
触させ光を照射することで作成することができる。親水
性モノマーとはアンモニウム、ホスホニウムなどの正の
荷電を有するモノマーもしくはスルホン酸基、カルボキ
シル基、リン酸基、ホスホン酸基などの負の荷電を有す
るか負の荷電に解離しうる酸性基を有するモノマーの
他、水酸基、アミド基、スルホンアミド基、アルコキシ
基、シアノ基、などの非イオン性の基を有する親水性モ
ノマーであってもよい。本発明においてとくに有用な親
水性モノマーの具体例としては、次のモノマーを挙げる
ことが出来る。例えば、(メタ)アクリル酸もしくはそ
のアルカリ金属塩およびアミン塩、イタコン酸もしくは
そのアルカリ金属塩およびアミン酸塩、アリルアミンも
しくはそのハロゲン化水素酸塩、3−ビニルプロピオン
酸もしくはそのアルカリ金属塩およびアミン塩、ビニル
スルホン酸もしくはそのアルカリ金属塩およびアミン
塩、ビニルスチレンスルホン酸もしくはそのアルカリ金
属塩およびアミン塩、2−スルホエチレン(メタ)アク
リレート、3−スルホプロピレン(メタ)アクリレート
もしくはそのアルカリ金属塩およびアミン塩、2−アク
リルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸もしくはそ
のアルカリ金属塩およびアミン塩、アシッドホスホオキ
シポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレ
ート、アリルアミンもしくはそのハロゲン化水素酸塩等
の、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸、アミノ基
もしくはそれらの塩、2−トリメチルアミノエチル(メ
タ)アクリレートもしくはそのハロゲン化水素酸塩等
の、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸、アミノ基
もしくはそれらの塩、などを使用することができる。ま
た2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メ
タ)アクリルアミド、N−モノメチロール(メタ)アク
リルアミド、N−ジメチロール(メタ)アクリルアミ
ド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルアセトアミド、
アリルアミンもしくはそのハロゲン化水素酸塩、ポリオ
キシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートなど
も有用である。
【0014】[架橋親水層に親水性グラフト鎖を導入す
る方法]本発明の親水性グラフト鎖が導入された架橋親
水層は一般的にグラフト重合体の合成法として公知の方
法を用いてグラフトポリマーを作成し、それを架橋する
ことで作成することができる。具体的にはグラフト重合
体の合成は“グラフト重合とその応用”井手文雄著、昭
和52年発行、高分子刊行会、および“新高分子実験学
2、高分子の合成・反応”高分子学会編、共立出版
(株)1995、に記載されている。グラフト重合体の合成
は基本的に1.幹高分子から枝モノマーを重合させる、
2.幹高分子に枝高分子を結合させる、3.幹高分子に
枝高分子を共重合させる(マクロマー法)の3つの方法
に分けられる。これらの3つの方法のうち、いずれも使
用して本発明の親水層を作成することができるがとくに
製造適性、膜構造の制御という観点からは3のマクロマ
ー法が優れている。
【0015】マクロマーを使用したグラフトポリマーの
合成は前記の“新高分子実験学2、高分子の合成・反
応”高分子学会編、共立出版(株)1995に記載されてい
る。また山下雄他著“マクロモノマーの化学と工業”ア
イピーシー、1989にも詳しく記載されている。具体的に
はアクリル酸、アクリルアミド、2-アクリルアミド-2-
メチルプロパンスルホン酸、N-ビニルアセトアミドな
ど、上記の有機架橋親水層として具体的に記載した親水
性モノマー使用して文献記載の方法に従い親水性マクロ
マーを合成することができる。本発明で使用される親水
性マクロマーのうち特に有用なものは、アクリル酸、メ
タクリル酸などのカルホキシル基含有のモノマーから誘
導されるマクロマー、2-アクリルアミド-2-メチルプロ
パンスルホン酸、ビニルスチレンスルホン酸、およびそ
の塩のモノマーから誘導されるスルホン酸系マクロマ
ー、N-ビニルアセトアミド、N-ビニルホルムアミドなど
のN-ビニルカルボン酸アミドモノマーから誘導されるア
ミド系マクロマー、ヒドロキシエチルメタクリレート、
ヒドロキシエチルアクリレート、グリセロールモノメタ
クリレートなどの水酸基含有モノマーから誘導されるマ
クロマー、メトキシエチルアクリレート、メトキシポリ
エチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコ
ールアクリレートなどのアルコキシ基もしくはエチレン
オキシド基含有モノマーから誘導されるマクロマーであ
る。またポリエチレングリコール鎖もしくはポリプロピ
レングリコール鎖を有するモノマーも本発明のマクロマ
ーとして有用に使用することができる。
【0016】これらのマクロマーのうち有用な分子量は
400〜10万の範囲、好ましい範囲は1000〜5万、特に、好
ましい範囲は1500〜2万の範囲である。分子量が400以下
では効果を発揮できず、また10万以上では主鎖を形成す
る共重合モノマーとの重合性が悪くなる。これらの親水
性マクロマーを合成後、本発明の親水性グラフト鎖が導
入された架橋親水層を作成する一つの方法は、上記の親
水性マクロマーと反応性官能基を有する他のモノマーと
共重合させ、グラフト共重合ポリマーを合成しその後、
ポリマーの反応性官能基と層中に添加した架橋剤とを反
応させて架橋させる、もしくはマクロマーと共重合させ
る他のモノマーが光架橋性基を有する場合、光を使用し
て架橋させればよい。なお、上記架橋親水層を形成する
場合には、架橋させる成分組成物を後述の支持体上に塗
布後、該塗布層全面に紫外線照射等の全面露光による光
重合反応または、熱による重合反応によって架橋するこ
とができる。また該架橋親水層を熱等により表面が疎水
化してそれ自身が画像形成層として機能を持つ形態とす
る場合には、その重合エネルギーは画像形成層の親疎水
性の変化を起こさせないものとする。このためには、熱
重合反応よりも該光重合反応が好適である。
【0017】[感熱層]本発明の感熱層は、微粒子ポリ
マーおよびマイクロカプセルの少なくともいずれかを含
有するものである。詳細には、該微粒子ポリマーが熱可
塑性微粒子ポリマーもしくは熱反応性官能基を有する微
粒子ポリマーであるかまたは前記マイクロカプセルが熱
反応性官能基を有する化合物を内包するマイクロカプセ
ルであることが好ましい。即ち、熱可塑性微粒子ポリマ
ー、熱反応性官能基を有する微粒子ポリマー、熱反応性
官能基を有する化合物を内包したマイクロカプセルから
選ばれた少なくとも一つの成分を含有することができ
る。熱可塑性微粒子ポリマーとしては、1992年1月
のReseach Disclosure No.33
303、特開平9−123387号公報、同9−131
850号公報、同9−171249号公報、同9−17
1250号公報およびEP931647号公報などに記
載の熱可塑性微粒子ポリマーを好適なものとして挙げる
ことができる。具体例としては、エチレン、スチレン、
塩化ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メ
タクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、塩化ビニリデ
ン、アクリロニトリル、ビニルカルバゾールなどのモノ
マーのホモポリマーまたはコポリマーあるいはそれらの
混合物を挙げることができる。その中で、より好適なも
のとして、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチルを挙
げることができる。しかし、特に好ましいのは、熱反応
性官能基を有する微粒子ポリマーおよび熱反応性官能基
を有する化合物を内包したマイクロカプセルである。
【0018】上記の熱反応性官能基としては、重合反応
を行うエチレン性不飽和基(例えば、アクリロイル基、
メタクリロイル基、ビニル基、アリル基など)、付加反
応を行うイソシアナート基あるいはそのブロック体およ
びその反応相手である活性水素原子を有する官能基(例
えば、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基な
ど)、同じく付加反応を行うエポキシ基およびその反応
相手であるアミノ基、カルボキシル基あるいはヒドロキ
シル基、縮合反応を行うカルボキシル基とヒドロキシル
基あるいはアミノ基、開環付加反応を行う酸無水物とア
ミノ基あるいはヒドロキシル基などを挙げることができ
る。しかし、化学結合が形成されるならば、どのような
反応を行う官能基でも良い。
【0019】本発明の感熱層に用いる、熱反応性官能基
を有する微粒子ポリマーとしては、アクリロイル基、メ
タクリルロイル基、ビニル基、アリル基、エポキシ基、
アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、イソシア
ネート基、酸無水物およびそれらを保護した基を有する
ものを挙げることができる。これらの官能基のポリマー
粒子への導入は、重合時に行ってもよいし、重合後に高
分子反応を利用して行ってもよい。
【0020】重合時に導入する場合は、これらの官能基
を有するモノマーを乳化重合あるいは懸濁重合すること
が好ましい。そのような官能基を有するモノマーの具体
例として、アリルメタクリレート、アリルアクリレー
ト、ビニルメタクリレート、ビニルアクリレート、グリ
シジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、2−
イソシアネートエチルメタクリレートあるいはそのアル
コールなどによるブロックイソシアナート、2−イソシ
アネートエチルアクリレートあるいはそのアルコールな
どによるブロックイソシアナート、2−アミノエチルメ
タクリレート、2−アミノエチルアクリレート、2−ヒ
ドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチル
アクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイ
ン酸、2官能アクリレート、2官能メタクリレートなど
を挙げることができるが、これらに限定されない。これ
らのモノマーと共重合可能な、熱反応性官能基をもたな
いモノマーとしては、例えば、スチレン、アルキルアク
リレート、アルキルメタクリレート、アクリロニトリ
ル、酢酸ビニルなどを挙げることができるが、熱反応性
官能基をもたないモノマーであれば、これらに限定され
ない。熱反応性官能基の導入を重合後に行う場合に用い
る高分子反応としては、例えば、WO96−34316
号公報に記載されている高分子反応を挙げることができ
る。
【0021】上記の熱反応性官能基を有する微粒子ポリ
マーの中で、微粒子ポリマー同志が熱により合体するも
のが好ましく、その表面は親水性で、水に分散するもの
が、特に好ましい。微粒子ポリマーのみを塗布し、凝固
温度よりも低い温度で乾燥して作製した時の皮膜の接触
角(空中水滴)が、凝固温度よりも高い温度で乾燥して
作製した時の皮膜の接触角(空中水滴)よりも低くなる
ことが好ましい。このように微粒子ポリマー表面を親水
性にするには、ポリビニルアルコール、ポリエチレング
リコールなどの親水性ポリマーあるいはオリゴマー、ま
たは親水性低分子化合物を微粒子ポリマー表面に吸着さ
せてやれば良いが、その方法はこれらに限定されるもの
ではない。
【0022】これらの熱反応性官能基を有する微粒子ポ
リマーの凝固温度は、70℃以上が好ましいが、経時安
定性を考えると100℃以上がさらに好ましい。上記の
微粒子ポリマーの平均粒径は、0.01〜20μmが好
ましいが、その中でも0.05〜2.0μmがさらに好
ましく、特に0.1〜1.0μmが最適である。平均粒
径が大き過ぎると解像度が悪く、また小さ過ぎると経時
安定性が悪くなってしまう。
【0023】これらの反応性官能基を有する微粒子ポリ
マーの添加量は、感熱層固形分の50重量%以上が好ま
しく、60重量%以上がさらに好ましい。
【0024】本発明に用いられるマイクロカプセルは、
熱反応性官能基を有する化合物を内包している。この熱
反応性官能基を有する化合物としては、重合性不飽和
基、ヒドロキシル基、カルボキシル基あるいはカルボキ
シレート基あるいは酸無水物、アミノ基、エポキシ基、
および、イソシアナート基あるいはそのブロック体から
選ばれた少なくとも一個の官能基を有する化合物を挙げ
ることができる。
【0025】重合性不飽和基を有する化合物としては、
エチレン性不飽和結合、例えばアクリロイル基、メタク
リロイル基、ビニル基、アリル基などを少なくとも1
個、好ましくは2個以上有する化合物が好ましく、この
様な化合物群は当該産業分野において広く知られるもの
であり、本発明においては、これらを特に限定なく用い
ることができる。これらは、化学的形態としては、モノ
マー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体およびオ
リゴマー、またはそれらの混合物、あるいはそれらの共
重合体である。
【0026】例として、不飽和カルボン酸(例えば、ア
クリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イ
ソクロトン酸、マレイン酸など)、そのエステルおよび
アミドが挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂
肪族多価アルコールとのエステルおよび不飽和カルボン
酸と脂肪族多価アミンとのアミドが挙げられる。また、
ヒドロキシル基、アミノ基、メルカプト基等の求核性置
換基を有する不飽和カルボン酸エステルまたは不飽和カ
ルボン酸アミドと、単官能もしくは多官能イソシアネー
トまたはエポキシドとの付加反応物、および、単官能も
しくは多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適
に使用される。また、イソシアナート基やエポキシ基な
どの親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル
またはアミドと、単官能もしくは多官能のアルコール、
アミンおよびチオールとの付加反応物、さらに、ハロゲ
ン基やトシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和
カルボン酸エステルまたはアミドと、単官能もしくは多
官能アルコール、アミンおよびチオールとの置換反応物
も好適である。また、別の好適な例として、上記の不飽
和カルボン酸を、不飽和ホスホン酸あるいはクロロメチ
ルスチレンに置き換えた化合物を挙げることができる。
【0027】不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール
とのエステルである重合性化合物の具体例としては、ア
クリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリ
レート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,
3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレング
リコールジアクリレート、プロピレングリコールジアク
リレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ト
リメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロール
プロパントリアクリレート、トリメチロールプロパント
リス(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメ
チロールエタントリアクリレート、ヘキサンジオールジ
アクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアク
リレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、
ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリ
トールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ
アクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレー
ト、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペ
ンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトール
トリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、
ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサ
アクリレート、トリス(アクリロイルオキシエチル)イ
ソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー
等を挙げることができる。
【0028】メタクリル酸エステルとしては、テトラメ
チレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリ
コールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメ
タクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレ
ート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチ
レングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオ
ールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレ
ート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタ
エリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリト
ールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジ
メタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタク
リレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビト
ールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリ
ロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕
ジメチルメタン、ビス−〔p−(メタクリロイルオキシ
エトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等を挙げることが
できる。
【0029】イタコン酸エステルとしては、エチレング
リコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタ
コネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、
1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレ
ングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジ
イタコネート、ソルビトールテトライタコネート等を挙
げることができる。
【0030】クロトン酸エステルとしては、エチレング
リコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジ
クロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、
ソルビトールテトラジクロトネート等を挙げることがで
きる。イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリ
コールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイ
ソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート
等を挙げることができる。マレイン酸エステルとして
は、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリ
コールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、
ソルビトールテトラマレート等を挙げることができる。
【0031】その他のエステルの例として、例えば、特
公昭46−27926号、特公昭51−47334号、
特開昭57−196231号記載の脂肪族アルコール系
エステル類や、特開昭59−5240号、特開昭59−
5241号、特開平2−226149号記載の芳香族系
骨格を有するもの、特開平1−165613号記載のア
ミノ基を含有するもの等を挙げることができる。
【0032】また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カ
ルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチ
レンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリル
アミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミ
ド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、
ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレ
ンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミ
ド等を挙げることができる。その他の好ましいアミド系
モノマーの例としては、特公昭54−21726記載の
シクロへキシレン構造を有すものを挙げることができ
る。
【0033】また、イソシアネートと水酸基の付加反応
を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適
であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭4
8−41708号公報中に記載されている1分子に2個
以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化
合物に、下記式(I)で示される水酸基を有する不飽和
モノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性不飽
和基を含有するウレタン化合物等が挙げられる。
【0034】一般式(I) CH2=C(R1)COOCH2CH(R2)OH (ただし、R1およびR2は、HまたはCH3を示す。)
【0035】また、特開昭51−37193号、特公平
2−32293号、特公平2−16765号に記載され
ているようなウレタンアクリレートや、特公昭58−4
9860号、特公昭56−17654号、特公昭62−
39417、特公昭62−39418号記載のエチレン
オキサイド系骨格を有するウレタン化合物も好適なもの
として挙げることができる。
【0036】さらに、特開昭63−277653号、特
開昭63−260909号、特開平1−105238号
に記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を
有するラジカル重合性化合物を好適なものとして挙げる
ことができる。
【0037】その他の好適なものの例としては、特開昭
48−64183号公報、特公昭49−43191号公
報、同52−30490号公報の各公報に記載されてい
るようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と
(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート
類等の多官能のアクリレートやメタクリレートを挙げる
ことができる。また、特公昭46−43946号公報、
特公平1−40337号公報、同1−40336号公報
記載の特定の不飽和化合物や、特開平2−25493号
公報に記載のビニルホスホン酸系化合物等も好適なもの
として挙げることができる。また、ある場合には、特開
昭61−22048号公報記載のペルフルオロアルキル
基を含有する化合物も好適に使用される。さらに日本接
着協会誌、20巻7号、300〜308ページ(198
4年)に光硬化性モノマーおよびオリゴマーとして紹介
されているものも好適に使用することができる。
【0038】好適なエポキシ化合物としては、グリセリ
ンポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジ
グリシジルエーテル、ポリプロピレンジグリシジルエー
テル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテ
ル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ビスフェノ
ール類あるいはポリフェノール類もしくはそれらの水素
添加物のポリグリシジルエーテルなどが挙げられる。
【0039】好適なイソシアネート化合物としては、ト
リレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシア
ネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネー
ト、キシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシ
アネート、シクロヘキサンフェニレンジイソシアネー
ト、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイ
ソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート、ある
いは、それらをアルコールあるいはアミンでブロックし
た化合物を挙げることができる。
【0040】好適なアミン化合物としては、エチレンジ
アミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミ
ン、ヘキサメチレンジアミン、プロピレンジアミン、ポ
リエチレンイミンなどが挙げられる。
【0041】好適なヒドロキシル基を有する化合物とし
ては、末端メチロール基を有する化合物、ペンタエリス
リトールなどの多価アルコール、ビスフェノール・ポリ
フェノール類などを挙げることができる。好ましカルボ
キシル基を有する化合物としては、ピロメリット酸、ト
リメリット酸、フタル酸などの芳香族多価カルボン酸、
アジピン酸などの脂肪族多価カルボン酸などが挙げられ
る。好適な酸無水物としては、ピロメリット酸無水物、
ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物などが挙げられ
る。
【0042】エチレン状不飽和化合物の共重合体の好適
なものとして、アリルメタクリレートの共重合体を挙げ
ることができる。例えば、アリルメタクリレート/メタ
クリル酸共重合体、アリルメタクリレート/エチルメタ
クリレート共重合体、アリルメタクリレート/ブチルメ
タクリレート共重合体などを挙げることができる。
【0043】マイクロカプセル化する方法としては、公
知の方法が適用できる。例えばマイクロカプセルの製造
方法としては、米国特許2800457号、同2800
458号にみられるコアセルベーションを利用した方
法、英国特許990443号、米国特許3287154
号、特公昭38−19574号、同42−446号、同
42−711号にみられる界面重合法による方法、米国
特許3418250号、同3660304号にみられる
ポリマーの析出による方法、米国特許3796669号
に見られるイソシアネートポリオール壁材料を用いる方
法、米国特許3914511号に見られるイソシアネー
ト壁材料を用いる方法、米国特許4001140号、同
4087376号、同4089802号にみられる尿素
―ホルムアルデヒド系あるいは尿素ホルムアルデヒド−
レゾルシノール系壁形成材料を用いる方法、米国特許4
025445号にみられるメラミン−ホルムアルデヒド
樹脂、ヒドロキシセルロース等の壁材を用いる方法、特
公昭36−9163号、同51−9079号にみられる
モノマー重合によるin situ法、英国特許930
422号米国特許3111407号にみられるスプレー
ドライング法、英国特許952807号、同96707
4号にみられる電解分散冷却法などがあるが、これらに
限定されるものではない。
【0044】本発明に用いられる好ましいマイクロカプ
セル壁は、3次元架橋を有し、溶剤によって膨潤する性
質を有するものである。このような観点から、マイクロ
カプセルの壁材は、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエ
ステル、ポリカーボネート、ポリアミド、およびこれら
の混合物が好ましく、特に、ポリウレアおよびポリウレ
タンが好ましい。マイクロカプセル壁に熱反応性官能基
を有する化合物を導入しても良い。
【0045】上記のマイクロカプセルの平均粒径は、
0.01〜20μmが好ましいが、中でも0.05〜
2.0μmがさらに好ましく、0.10〜1.0μmが
特に好ましい。平均粒径が大き過ぎると解像度が悪く、
また小さ過ぎると経時安定性が悪くなってしまう。この
ようなマイクロカプセルは、カプセル同志が熱により合
体してもよいし、合体しなくとも良い。要は、マイクロ
カプセル内包物のうち、塗布時にカプセル表面あるいは
マイクロカプセル外に滲み出したもの、あるいは、マイ
クロカプセル壁に浸入したものが、熱により化学反応を
起こせば良い。添加された親水性樹脂、あるいは、添加
された低分子化合物と反応してもよい。また2種類以上
のマイクロカプセルに、それぞれ異なる官能基で互いに
熱反応するような官能基をもたせることによって、マイ
クロカプセル同士を反応させてもよい。従って、熱によ
ってマイクロカプセル同志が、熱で溶融合体することは
画像形成上好ましいことであるが、必須ではない。
【0046】マイクロカプセルの感熱層への添加量は、
固形分換算で、好ましくは50重量%以上が好ましく、
60重量%以上がさらに好ましい。この範囲内で、良好
な機上現像性と同時に、良好な感度および耐刷性が得ら
れる
【0047】マイクロカプセルを感熱層に添加する場
合、内包物が溶解し、かつ壁材が膨潤する溶剤をマイク
ロカプセル分散媒中に添加することができる。このよう
な溶剤によって、内包された熱反応性官能基を有する化
合物の、マイクロカプセル外への拡散が促進される。こ
のような溶剤としては、マイクロカプセル分散媒、マイ
クロカプセル壁の材質、壁厚および内包物に依存する
が、多くの市販されている溶剤から容易に選択すること
ができる。例えば架橋ポリウレア、ポリウレタン壁から
なる水分散性マイクロカプセルの場合、アルコール類、
エーテル類、アセタール類、エステル類、ケトン類、多
価アルコール類、アミド類、アミン類、脂肪酸類などが
好ましい。
【0048】具体的化合物としては、メタノール、エタ
ノール、第3ブタノール、n−プロパノール、テトラヒ
ドロフラン、乳酸メチル、乳酸エチル、メチルエチルケ
トン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチ
レングリコールジエチルエーテル、エチレングリコール
モノメチルエーテル、γ−ブチルラクトン、N,N−ジ
メチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドな
どがあるが、これらに限られない。またこれらの溶剤を
2種以上用いても良い。
【0049】マイクロカプセル分散液には溶解しない
が、前記溶剤を混合すれば溶解する溶剤も用いることが
できる。添加量は、素材の組み合わせにより決まるもの
であるが、適性値より少ない場合は、画像形成が不十分
となり、多い場合は分散液の安定性が劣化する。通常、
塗布液の5〜95重量%が有効であり、好ましい範囲は
10〜90重量%、より好ましい範囲は15〜85重量
%である。
【0050】本発明の感熱層には、このように熱反応性
基を有する微粒子ポリマーあるいはマイクロカプセルを
用いるので、必要に応じてこれらの反応を開始あるいは
促進する化合物を添加してもよい。反応を開始あるいは
促進する化合物としては、熱によりラジカルあるいはカ
チオンを発生するような化合物を挙げることができ、例
えば、ロフィンダイマー、トリハロメチル化合物、過酸
化物、アゾ化合物、ジアゾニウム塩あるいはジフェニル
ヨードニウム塩などを含んだオニウム塩、アシルホスフ
ィン、イミドスルホナートなどが挙げられる。これらの
化合物は、感熱層固形分の1〜20重量%の範囲で添加
することができる。好ましくは3〜10重量%の範囲で
ある。この範囲内で、機上現像性を損なわず、良好な反
応開始あるいは促進効果が得られる。
【0051】本発明の感熱層には親水性樹脂を添加して
も良い。親水性樹脂を添加することにより機上現像性が
良好となるばかりか、感熱層自体の皮膜強度も向上す
る。親水性樹脂としては、例えばヒドロキシル、カルボ
キシル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、アミ
ノ、アミノエチル、アミノプロピル、カルボキシメチル
などの親水基を有するものが好ましい。
【0052】親水性樹脂の具体的として、アラビアゴ
ム、カゼイン、ゼラチン、澱粉誘導体、カルボキシメチ
ルセルロースおよびそのナトリウム塩、セルロースアセ
テート、アルギン酸ナトリウム、酢酸ビニル−マレイン
酸コポリマー類、スチレン−マレイン酸コポリマー類、
ポリアクリル酸類およびそれらの塩、ポリメタクリル酸
類およびそれらの塩、ヒドロキシエチルメタクリレート
のホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシエチルア
クリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキ
シプロピルメタクリレートのホモポリマーおよびコポリ
マー、ヒドロキシプロピルアクリレートのホモポリマー
およびコポリマー、ヒドロキシブチルメタクリレートの
ホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシブチルアク
リレートのホモポリマーおよびコポリマー、ポリエチレ
ングリコール類、ヒドロキシプロピレンポリマー類、ポ
リビニルアルコール類、ならびに加水分解度が少なくと
も60重量%、好ましくは少なくとも80重量%の加水
分解ポリビニルアセテート、ポリビニルホルマール、ポ
リビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、アクリル
アミドのホモポリマーおよびコポリマー、メタクリルア
ミドのホモポリマーおよびポリマー、N−メチロールア
クリルアミドのホモポリマーおよびコポリマー等を挙げ
ることができる。
【0053】親水性樹脂の感熱層への添加量は、感光層
固形分の5〜40重量%が好ましく、10〜30重量%
がさらに好ましい。この範囲内で、良好な機上現像性と
皮膜強度が得られる。
【0054】本発明の感熱層中は後に詳述する光熱変換
剤を添加しても良い。光熱変換剤の感熱層への添加量
は、有機系光熱変換剤では感熱層全固形分の30重量%
まで添加することができる。好ましくは5〜25重量%
であり、特に好ましくは7〜20重量%である。金属微
粒子系光熱変換剤の場合は、感熱層全固形分の10重量
%以上であり、好ましくは20重量%以上、特に好まし
くは30重量%以上で用いられる。10重量%未満だと
感度が低くなってしまう。
【0055】本発明の感熱層には、さらに必要に応じて
上記以外に種々の化合物を添加してもよい。例えば、耐
刷力を一層向上させるために多官能モノマーを感熱層マ
トリックス中に添加することができる。この多官能モノ
マーとしては、マイクロカプセル中に入れられるモノマ
ーとして例示したものを用いることができる。特に好ま
しいモノマーとしては、トリメチロールプロパントリア
クリレートを挙げることができる。
【0056】また、本発明の感熱層には、画像形成後、
画像部と非画像部の区別をつきやすくするため、可視光
域に大きな吸収を持つ染料を画像の着色剤として使用す
ることができる。具体的には、オイルイエロー#10
1、オイルイエロー#103、オイルピンク#312、
オイルグリーンBG、オイルブルーBOS、オイルブル
ー#603、オイルブラックBY、オイルブラックB
S、オイルブラックT−505(以上オリエント化学工
業(株)製)、ビクトリアピュアブルー、クリスタルバ
イオレット(CI42555)、メチルバイオレット
(CI42535)、エチルバイオレット、ローダミン
B(CI145170B)、マラカイトグリーン(CI
42000)、メチレンブルー(CI52015)等、
および特開昭62−293247号に記載されている染
料を挙げることができる。また、フタロシアニン系顔
料、アゾ系顔料、酸化チタンなどの顔料も好適に用いる
ことができる。添加量は、感熱層塗布液全固形分に対
し、0.01〜10重量%の割合である。
【0057】また、本発明においては、感熱層塗布液の
調製中あるいは保存中においてエチレン性不飽和化合物
の不要な熱重合を阻止するために、少量の熱重合防止剤
を添加することが望ましい。適当な熱重合防止剤として
はハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−
ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカ
テコール、ベンゾキノン、4,4′−チオビス(3−メ
チル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′−メチレ
ンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N
−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンアルミニ
ウム塩等が挙げられる。熱重合防止剤の添加量は、全組
成物の重量に対して約0.01〜5重量%が好ましい。
また必要に応じて、酸素による重合阻害を防止するため
にベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸やその
誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程で感熱層の表
面に偏在させてもよい。高級脂肪酸やその誘導体の添加
量は、感熱層固形分の約0.1〜約10重量%が好まし
い。
【0058】さらに、本発明の感熱層には、必要に応
じ、塗膜の柔軟性等を付与するために可塑剤を加えるこ
とができる。例えば、ポリエチレングリコール、クエン
酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、
フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、リン酸トリ
クレジル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチル、オ
レイン酸テトラヒドロフルフリル等が用いられる。
【0059】本発明の感熱層は、必要な上記各成分を溶
剤に溶かして塗布液を調製し、親水層上に塗布される。
ここで使用する溶剤としては、エチレンジクロライド、
シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、
エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメ
チルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−
メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピ
ルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エ
チル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチ
ルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロ
リドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチ
ルラクトン、トルエン、水等を挙げることができるが、
これに限定されるものではない。これらの溶剤は、単独
または混合して使用される。塗布液の固形分濃度は、好
ましくは1〜50重量%である。
【0060】また塗布、乾燥後に得られる支持体上の感
熱層塗布量(固形分)は、用途によって異なるが、一般
的に0.5〜5.0g/m2が好ましい。この範囲より
塗布量が少なくなると、見かけの感度は大になるが、画
像記録の機能を果たす感熱層の皮膜特性は低下する。塗
布する方法としては、種々の方法を用いることができ
る。例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗
布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、
ブレード塗布、ロール塗布等を挙げられる。
【0061】本発明にかかわる感熱層塗布液には、塗布
性を良化するための界面活性剤、例えば、特開昭62−
170950号に記載されているようなフッ素系界面活
性剤を添加することができる。好ましい添加量は、感熱
層全固形分の0.01〜1重量%、さらに好ましくは
0.05〜0.5重量%である。
【0062】その他の成分 その他の構成要素 光熱変換材料 本発明の平版印刷版用原版を、レーザー光の走査露光等
により画像形成する場合には、平版印刷版用原版のグラ
フトポリマーからなる親水性表面層または感熱層に光エ
ネルギーを熱エネルギーに変換するための光熱変換剤を
含有させておくことが好ましい。本発明の平版印刷版用
原版において、含有させてもよい光熱変換剤としては、
紫外線、可視光線、赤外線、白色光線等の光を吸収して
熱に変換し得る物質ならば全て使用でき、例えば、カー
ボンブラック、カーボングラファイト、顔料、フタロシ
アニン系顔料、金属粉、金属化合物粉等が挙げられる。
特に、好ましいのは、波長760nmから1200nm
の赤外線を有効に吸収する染料、顔料、または金属粉、
金属化合物粉である。染料としては、市販の染料及び文
献(例えば、「染料便覧」有機合成化学協会編集、昭和
45年刊)に記載されている公知のものが利用できる。
具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロン
アゾ染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、
カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シ
アニン染料、金属チオレート錯体等の染料が挙げられ
る。
【0063】好ましい染料としては、例えば、特開昭5
8−125246号、特開昭59−84356号、特開
昭59−202829号、特開昭60−78787号等
に記載されているシアニン染料、特開昭58−1736
96号、特開昭58−181690号、特開昭58−1
94595号等に記載されているメチン染料、特開昭5
8−112793号、特開昭58−224793号、特
開昭59−48187号、特開昭59−73996号、
特開昭60−52940号、特開昭60−63744号
等に記載されているナフトキノン染料、特開昭58−1
12792号等に記載されているスクワリリウム色素、
英国特許434,875号記載のシアニン染料等を挙げ
ることができる。
【0064】また、米国特許第5,156,938号記
載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、また、米国特
許第3,881,924号記載の置換アリールベンゾ
(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−142645号
(米国特許第4,327,169号)記載のトリメチン
チアピリリウム塩、特開昭58−181051号、同5
8−220143号、同59−41363号、同59−
84248号、同59−84249号、同59−146
063号、同59−146061号に記載されているピ
リリウム系化合物、特開昭59−216146号記載の
シアニン色素、米国特許第4,283,475号に記載
のペンタメチンチオピリリウム塩等や特公平5−135
14号、同5−19702号公報に開示されているピリ
リウム化合物も好ましく用いられる。
【0065】また、好ましい別の染料の例として、米国
特許第4,756,993号明細書中に式(I)、(I
I)として記載されている近赤外吸収染料を挙げること
ができる。 これらの染料のうち特に好ましいものとし
ては、シアニン色素、スクワリリウム色素、ピリリウム
塩、ニッケルチオレート錯体が挙げられる。本発明にお
いて使用される顔料としては、市販の顔料及びカラーイ
ンデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本
顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技
術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技
術」CMC出版、1984年刊)に記載されている顔料
が利用できる。顔料の種類としては、黒色顔料、黄色顔
料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔料、
青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料、その他、
ポリマー結合色素が挙げられる。具体的には、不溶性ア
ゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ
顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、
ペリレン及びペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キ
ナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリ
ノン系顔料、キノフタロン系顔料、染付けレーキ顔料、
アジン顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍
光顔料、無機顔料、カーボンブラック等が使用できる。
これらの顔料のうち好ましいものはカーボンブラックで
ある。
【0066】[オーバーコート層]本発明の平版印刷版
用原版は、親油性物質による感熱層表面の汚染防止のた
め、感熱層上に、水溶性オーバーコート層を設けること
ができる。本発明に使用される水溶性オーバーコート層
は印刷時容易に除去できるものであり、水溶性の有機高
分子化合物から選ばれた樹脂を含有する。ここで用いる
水溶性の有機高分子化合物としては、塗布乾燥によって
できた被膜がフィルム形成能を有するもので、具体的に
は、ポリ酢酸ビニル(但し加水分解率65%以上のも
の)、ポリアクリル酸およびそのアルカリ金属塩あるい
はアミン塩、ポリアクリル酸共重合体およびそのアルカ
リ金属塩またはアミン塩、ポリメタクリル酸およびその
アルカリ金属塩またはアミン塩、ポリメタクリル酸共重
合体およびそのアルカリ金属塩またはアミン塩、ポリア
クリルアミドおよびその共重合体、ポリヒドロキシエチ
ルアクリレート、ポリビニルピロリドンおよびその共重
合体、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルメチルエ
ーテル/無水マレイン酸共重合体、ポリ−2−アクリル
アミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸及びその
アルカリ金属塩またはアミン塩、ポリ−2−アクリルア
ミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸共重合体お
よびそのアルカリ金属塩あるいはアミン塩、アラビアガ
ム、繊維素誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロー
ズ、カルボキシエチルセルローズ、メチルセルローズ
等)およびその変性体 、ホワイトデキストリン、プル
ラン、酵素分解エーテル化デキストリン等を挙げること
ができる。また、目的に応じて、これらの樹脂を二種以
上混合して用いることもできる。
【0067】また、オーバーコート層には、前記の水溶
性光熱変換剤を添加しても良い。さらに、オーバーコー
ト層には塗布の均一性を確保する目的で、水溶液塗布の
場合には、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテ
ル、ポリオキシエチレンドデシルエーテルなどの非イオ
ン系界面活性剤を添加することができる。オーバーコー
ト層の乾燥塗布量は、0.1〜2.0g/m2が好まし
い。この範囲内で、機上現像性を損なわず、指紋付着汚
れなどの親油性物質による感熱層表面の良好な汚染防止
ができる。支持体
【0068】本発明に使用されるグラフトポリマーから
なる親水性表面を形成するのに使用される支持体として
は、特に制限はないが、寸度的に安定な板状物であり、
例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレンテレ
フタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチ
レン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アル
ミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例え
ば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン
酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、
硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエ
チレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネ
ート、ポリビニルアセタール等)、上記のごとき金属が
ラミネート若しくは蒸着された、紙若しくはプラスチッ
クフィルム等が挙げられる。本発明の支持体としては、
ポリエステルフィルム又はアルミニウム板が好ましい。
グラフトポリマーからなる親水性表面を形成するのに使
用される支持体は支持体表面が粗面化されていることが
好ましい。本発明で用いられる支持体表面(固体表面)
の凹凸について説明する。
【0069】〔表面凹凸の規定〕2次元粗さパラメータ
の中心線平均粗さRaが0.1〜1μm、最大高さRt
が1〜10μm、十点平均粗さRzが1〜10μm、凹
凸の平均間隔Smが5〜80μm、局部山頂の平均間隔
Sが5〜80μm、最大高さRtが1〜10μm、中心
線山高さRpが1〜10μm、中心線谷深さRvが1〜1
0μmである。上記2次元粗さパラメータは以下の定義
に基づくものである。中心線平均粗さRa:粗さ曲線か
ら中心線の方向に測定長さLの部分を抜き取り、この抜
き取りの中心線と粗さ曲線との偏差の絶対値を算術平均
した値。最大高さRt:粗さ曲線からその平均線の方向
に基準長さだけ抜き取り、この抜き取り部分の山頂線と
谷底線の間隔を、粗さ曲線の縦倍率の方向に測定した
値。
【0070】十点平均粗さ:粗さ曲線からその平均値の
方向に基準長さだけ抜き取り、この抜き取り部分の平均
線から縦倍率の方向に測定した、最も高い山頂から5番
目までの山頂の標高(YP)の絶対値の平均値と、最も
低い谷底から5番目までの谷底の標高(Yv)の絶対値
の平均値との和をマイクロメートル(μm)で表した
値。凹凸の平均間隔Sm:粗さ曲線からその平均線の方
向に基準長さだけ抜き取り、この抜き取り部分において
一つの山及びそれに隣り合う一つの谷に対応する平均線
の和を求め、この多数の凹凸の間隔の算術平均値をミリ
メートル(mm)で表した値。
【0071】局部山頂の平均間隔S:粗さ曲線からその
平均線の方向に基準長さだけ抜き取り、この抜き取り部
分において隣り合う局部山頂間に対応する平均線の長さ
を求め、この多数の局部山頂の間隔の算術平均値をミリ
メートル(mm)で表した値。 最大高さRt:粗さ曲線から基準長さだけ抜き取った部
分の中心線に平行な2直線で抜き取り部分を挟んだとき
の2直線の間隔の値。 中心線高さRP:粗さ曲線からその中心線方向に測定長
さLを抜き取り、この抜き取り部分の中心線に平行で最
高の山頂を通る直線との間隔の値。 中心線谷深さRV:粗さ曲線からその中心線方向に測定
長さLの部分を抜き取り、この抜き取り部分の中心線に
平行で最深の谷底を通る直線との間隔の値。
【0072】[製版および印刷]本発明の平版印刷版用
原版は熱により画像形成される。具体的には、熱記録ヘ
ッド等による直接画像様記録、赤外線レーザによる走査
露光、キセノン放電灯などの高照度フラッシュ露光や赤
外線ランプ露光などが用いられるが、波長700〜12
00nmの赤外線を放射する半導体レーザ、YAGレー
ザ等の固体高出力赤外線レーザによる露光が好適であ
る。画像露光された本発明の平版印刷版用原版は、それ
以上の処理なしに印刷機に装着し、インキと湿し水を用
いて通常の手順で印刷することができる。また、これら
の平版印刷版用原版は、日本特許2938398号に記
載されているように、印刷機シリンダー上に取りつけた
後に、印刷機に搭載されたレーザーにより露光し、その
後に湿し水および/またはインクをつけて機上現像する
ことも可能である。また、これらの平版印刷版用原版
は、水または適当な水溶液を現像液とする現像をした
後、印刷に用いることもできる。
【0073】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳細に説明する
が、本発明はこれらに限定されるものではない。 [微粒子ポリマーの合成] (熱反応性官能基を有する微粒子ポリマー(1)の合
成)アリルメタクリレート7.5g、ブチルメタクリレ
ート7.5g、ポリオキシエチレンノニルフェノール水
溶液(濃度9.84×10-3moll-1)200mlを
加え、250rpmでかき混ぜながら、系内を窒素ガス
で置換する。この液を25℃にした後、セリウム(I
V)アンモニウム塩水溶液(濃度0.984×10-3
oll-1)10ml添加する。この際、硝酸アンモニウ
ム水溶液(濃度58.8×10-3moll-1)を加え、
pHを1.3〜1.4に調整する。その後8時間これを
攪拌した。このようにして得られた液の固形分濃度は
9.5%であり、平均粒径は0.4μmであった。
【0074】[マイクロカプセル(1)の調製]油相成
分として、キシレンジイソシアネート40g、トリメチ
ロールプロパンジアクリレート10g、アリルメタクリ
レートとブチルメタクリレートの共重合体(モル比7/
3)10g、パイオニンA41C(竹本油脂製)0.1
gを酢酸エチル60gに溶解した。水相成分として、P
VA205(クラレ製)の4%水溶液を120g作製し
た。油相成分および水相成分をホモジナイザーを用いて
10000rpmで乳化した。その後、水を40g添加し、
室温で30分、さらに40℃で3時間攪拌した。このよ
うにして得られたマイクロカプセル液の固形分濃度は2
0%であり、平均粒径は0.5μmであった。
【0075】[親水性支持体1および2の作製] 親水性グラフトポリマーからなる表面を有する基材の作
成 膜厚188μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレート
フィルム(A4100、東洋紡(株)社製)を用い、グ
ロー処理として平版マグネトロンスパッタリング装置
(芝浦エレテック製CFS−10−EP70)使用を使
用し、下記の条件で酸素グロー処理を行った。
【0076】(酸素グロー処理条件) 初期真空 :1.2×10-3Pa,酸素圧力 :0.9
Pa,RFグロー:1.5KW,処理時間 :60sec
【0077】次に、グロー処理したフィルムを窒素バブ
ルしたスチレンスルホン酸Na水溶液(10Wt%)に
70℃にて7時間浸漬した。浸浸した膜を水にて8時間
洗浄することによりスチレンスルホン酸Naが表面にグ
ラフトポリマー化された支持体(親水性支持体1)を得
た。また同様にスチレンスルホン酸Naをアクリル酸に
変えた以外は上記と同じ方法にてアクリル酸がグラフト
された表面グラフトフィルム(親水性支持体2)を得
た。上記の親水性支持体1または2の上に下記の感熱層
塗布液を塗布し、感熱層を設けた。塗布後、乾燥(オー
ブンで100℃、60sec)を行い、乾燥塗布量が0.5g/m 2
なるように行った。
【0078】 (感熱層(1)塗布液) 合成した微粒子ポリマー(1) (固形分換算で)5g ポリヒドロキシエチルアクリレート (重量平均分子量2.5万) 0.5g 下記赤外線吸収染料(IR−11) 0.3g 水 100g
【0079】 (感熱層(2)塗布液) 合成したマイクロカプセル(1) (固形分換算で)5g トリメチロールプロパントリアクリレート 3g 下記赤外線吸収染料(IR−11) 0.3g 水 60g 1−メトキシ−2−プロパノール 40g
【0080】
【化1】
【0081】〔実施例1〜3〕下記の表1に示した組み
合わせで、平版印刷版用原版を作製した。 〔比較例1〕比較例1として親水性表面を下記のアルミ
ニウム支持体を使用した以外は実施例1と同じ方法にて
印刷版用原版を作成した。 アルミニウム親水性支持体の作成 アルミニウム板(材質JISA1050、厚さ0.24
mm)を公知の方法を用いて、硝酸浴で電解砂目立て、
硫酸浴で陽極酸化した後、ケイ酸塩水溶液による処理を
行った。支持体のRa(中心線表面粗さ)は0.25μ
m、陽極酸化皮膜量は2.5g/m2、ケイ素付着量は
10mg/m2だった。
【0082】〔実施例4〕親水性支持体として下記の方
法にて作成した親水性グラフト鎖が導入された架橋親水
層を有する支持体(親水性支持体3)を使用した以外は
実施例1と同様に平版印刷版用原版を作成した。親水性
グラフト鎖が導入された架橋親水層を有する支持体(親
水性支持体3)の作成方法 (親水性マクロマーの合成、アミドマクロモノマーの合
成)アクリルアミド30g、3−メルカプトプロピオン
酸3.8gをエタノール70gに溶解後窒素雰囲気下6
0℃に昇温し、AIBN300mgを加えて6時間反応し
た。反応後白色沈殿を濾過しメタノールで十分洗浄し末
端カルボン酸プレポリマーを30.8g得た。得られた
プレポリマー20gをジメチルスルホキシド62gに溶
解し、グリシジルメタクリレート6.71g、N,N-ジメ
チルドデシルアミン(触媒)504mg、ハイドロキノ
ン(重合禁止剤)62.4mgを加え、窒素雰囲気下1
40度で7時間反応した。反応溶液をアセトンに加え、
ポリマーを沈殿させ、よく洗浄して末端メタクリレート
アクリルアミドマクロモノマーを23.4g得た(重量
平均分子量:1400)。
【0083】(親水性マクロマーを用いたグラフトポリ
マー(1)の合成)蒸留水5gの入ったフラスコに、上記
マクロモノマー4g、メタクリル酸6g、過硫酸カリウ
ム100mgを蒸留水17gに溶解した水溶液を窒素雰
囲気下65度で2時間かけて滴下した。滴下終了後引き
続き6時間加熱を続けた。反応溶液をアセトンに加えポ
リマーを沈殿させよく洗浄してメタクリル酸-グラフト-
アクリルアミドポリマー9.5gを得た。 (光架橋性基を有するグラフトポリマー(1)の合成)上
記グラフトポリマー9gをDMAC200gに溶解し、ハイド
ロキノン0.41g、2−メタクリロイルオキシエチル
イソシアネート5gとジブチルチンジラウレート0.1
5gを添加し65℃、5時間反応させた。反応終了後、
反応液を冷却し、1N水酸化ナトリウム水溶液でカルボ
キシル基を中和し、酢酸エチルに加えポリマーを沈殿さ
せ、良く洗浄してポリマーを得た(収量13g)。
【0084】架橋親水層の作成 アルミニウム基板上に下記に示す組成物を塗布重量が
1.7g/m2となるように塗布し、100℃で2分間
乾燥後、UV露光して親水性グラフト鎖が導入された架
橋親水層を有する支持体(親水性支持体3)を作製し
た。
【0085】 光架橋性基を有するグラフトポリマー(1) 1.0g (上記記載の物) 光重合開始剤A(下記構造) 0.1g 界面活性剤(ポリマーに対して1.5wt%)で 12.7g 安定化した蒸留水 アセトニトリル 6.4g
【0086】
【化2】
【0087】上記実施例1〜4及び比較例1のようにし
て得られた機上現像可能な平版印刷版用原版を、水冷式
40W赤外線半導体レーザを搭載したクレオ社製トレン
ドセッター3244VFSにて露光した後、処理するこ
となく、ハイデルベルグ社製印刷機SOR−Mのシリンダ
ーに取付け、湿し水を供給した後、インキを供給し、さ
らに紙を供給して印刷を行った。各印刷版用原版で画像
を形成するのに必要な露光量(感度)、この露光量で露
光し、印刷したときの得られた印刷物の枚数を耐刷性と
して表1に記載した。
【0088】
【表1】
【0089】以上の結果から、従来のアルミニウム親水
性支持体に比較して本発明によるグラフトポリマーから
なる親水性表面を有する支持体を使用すると高感度でか
つ耐刷性の優れた平版印刷版用原版が得られることが分
かった。
【0090】
【発明の効果】本発明によれば、露光後そのまま印刷機
に装着して印刷することができる機上現像型平版印刷用
原版において、先行技術の欠点を克服した、機上現像性
が良好であり、高感度で、かつ高耐刷性である平版印刷
版用原版が得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G03F 7/038 G03F 7/038 7/11 503 7/11 503 (72)発明者 高橋 美紀 静岡県榛原郡吉田町川尻4000番地 富士写 真フイルム株式会社内 Fターム(参考) 2H025 AA00 AA01 AA12 AB03 AC08 AD01 BC32 BC42 BC51 CB14 CB16 DA10 DA18 DA20 DA36 FA03 FA10 2H096 AA00 BA05 BA06 BA20 CA05 CA20 EA04 2H114 AA04 AA22 AA24 BA01 DA08 DA35 DA52 DA56 DA73 DA78 EA01 EA03 FA16 GA34 GA36 GA38

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 グラフトポリマーからなる親水性表面を
    有する支持体上に微粒子ポリマーおよびマイクロカプセ
    ルの少なくともいずれかを含有する感熱層を有する平版
    印刷版用原版。
  2. 【請求項2】 前記微粒子ポリマーが熱可塑性微粒子ポ
    リマーもしくは熱反応性官能基を有する微粒子ポリマー
    であるかまたは前記マイクロカプセルが熱反応性官能基
    を有する化合物を内包するマイクロカプセルであること
    を特徴とする請求項1記載の平版印刷版用原版。
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