JP2002148297A - 誘導電位測定方法と装置 - Google Patents

誘導電位測定方法と装置

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JP2002148297A
JP2002148297A JP2000341791A JP2000341791A JP2002148297A JP 2002148297 A JP2002148297 A JP 2002148297A JP 2000341791 A JP2000341791 A JP 2000341791A JP 2000341791 A JP2000341791 A JP 2000341791A JP 2002148297 A JP2002148297 A JP 2002148297A
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charge
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Tsuneo Sugiura
常夫 杉浦
Masami Honda
昌實 本田
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IMPULSE BUTSURI KENKYUSHO KK
Tokyo Electronics Trading Co Ltd
Original Assignee
IMPULSE BUTSURI KENKYUSHO KK
Tokyo Electronics Trading Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電子デバイスなどにとって障害となる静電気
帯電をより広い空間内で、しかも、空間内を運動する物
体の静電気帯電および静電気帯電した運動物体に起因す
る周辺物体の誘導帯電を測定することができる方法を実
現する。 【解決手段】 帯電体の運動および静止した帯電体の電
位変化の一方または双方により誘導される単極性の電荷
を、方形状の金属板からなる誘導受信センサ11により
検出する。同軸ケーブル12を介して出力される誘導受
信センサ11に誘起された電圧を、直流増幅器13によ
り増幅する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は誘導電位測定方法と
装置に関する。具体的には、電子デバイスなどにとって
障害となる静電気帯電をより広い空間内で、しかも、空
間内を運動する物体の静電気帯電および静電気帯電した
運動物体に起因する周辺物体の誘導帯電を測定すること
ができる誘導電位測定方法と装置を提供せんとするもの
である。
【0002】
【従来の技術】例えば、電子デバイスの製造過程や電子
機器への実装時などにおいては、静電気帯電した外部の
物体が電子デバイスに接触したり、あるいは、静電気帯
電した電子デバイスに外部の導体が接触することによっ
て静電気放電が起こり、これにより電子デバイスが劣化
しさらには破壊することがある。したがって、電子デバ
イスの特性を維持し機能を確保するうえでは、電子デバ
イスが置かれた、静電気に係る環境を常時監視すること
が、極めて重要なこととなる。
【0003】このような電子デバイスなどにとって障害
要因となる静電気の帯電量を測定する手段としては、従
来より各種の方法が用いられているが、その1つとし
て、ファラデー・ケージを用いる方法がある(従来例
1)。この測定方法を図8により説明する。
【0004】図8において、42は、上部が開口した円
筒状の金属体であり、この内部に、同じく上部が開口し
た円筒状の導体を用いたケージ41が、金属体42の底
部に配設された複数の絶縁物43a,43bに支持され
て配置されている。
【0005】帯電体の静電気帯電量を測定する場合は、
まず、帯電体110をケージ41内に置く。そこで、ケ
ージ41と金属体42との間に接続された測定用のコン
デンサCs の両端の電圧を、静電気用の電圧計45から
なるエレクトロメータ44により測定することによっ
て、帯電体110の帯電量を知ることになる。
【0006】以上説明した従来例1は、帯電体の電荷を
直接的に測定系に導いて静電気帯電量を測定する方法で
ある。これに対して、帯電体による電界(電束)を非接
触で測定する方法もある。その一例として、表面電位計
による測定方法を図9に示し説明する(従来例2)。
【0007】図9において、51は、円板状の検出電極
であり、これを囲むようにして、帯電体120との間で
平等電界を形成するための帽子状のガード電極52が配
設されている。そして、検出電極51とガード電極52
との間に、表面電位計53が接続されている。
【0008】そこで、帯電体120の静電気の帯電電位
を測定する場合は、検出電極51と帯電体120との間
の静電容量Coと 、検出電極51の表面積から帯電体1
20の表面電荷密度を知ることになる。すなわち、表面
電位計53の指示値をVとすると、静電容量Co を介し
て検出電極51に誘導される電荷量Qは、Q=CoVと
なるので、帯電体120の表面が等電位とみなして、検
出電極51への誘導電荷量Qを検出電極51の表面積で
除すれば、帯電体120の表面電荷密度を知ることがで
きる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図8に
より説明した従来例1によると、つぎのような解決すべ
き課題がある。すなわち、測定に当たっては、測定対象
をケージ41の内部に入れる必要があるが、その際、帯
電体の電荷を漏洩させない手段を講じないと、正確な測
定を期すことができない。
【0010】測定対象が半導体などの小さな物体である
場合、その帯電電荷量は一般に10nC以下であること
が多く、静電容量もpFオーダである。そのため、ピン
セット等により測定対象を挟持してケージ41内に入れ
る際の電荷漏洩が、正確な測定を実現するうえで問題と
なる。
【0011】とくに、湿度が高い環境では、測定対象の
帯電電荷は、その発生と同時に漏洩も始まっている。し
たがって、測定対象を挟持するためのピンセットなどが
測定系の中に入ってくると、測定誤差の要因となる。例
えば、測定対象の静電容量が10pFである場合、測定
系の絶縁(漏洩)抵抗は、1015Ωかそれ以上でない
と、測定誤差を生じてしまうことになる。
【0012】しかし、実際には、ピンセットの表面の湿
度(水分吸収)、測定者の手垢や汗などにより、絶縁抵
抗は3〜5桁も低下してしまう。その結果、測定対象の
ケージ41への移動中に既に電荷は漏洩してしまい、実
質的には測定はできないことになる。
【0013】さらに、測定対象の電荷は、ケージ41の
静電容量Cf と測定用のコンデンサCs に充電されると
ともに、エレクトロメータ44の電圧計45に並列に入
っているコンデンサCinにも充電される。そのため、半
導体のように帯電電荷量が小さい場合は、測定感度(電
圧V=電荷量Q/静電容量C,C=Cf+Cs+Cin)が
悪くなってしまい、半導体製造工場などにおける測定方
法としては実用的ではなかった。
【0014】そのうえ、測定対象が例えば帯電した半導
体集積回路である場合は、半導体集積回路をケージ41
内に入れてこれに接触させると、急速放電により半導体
集積回路に損傷を与えることがある。すなわち、測定対
象によっては対象物を破壊する破壊検査である点が、致
命的な欠陥としてあった。以上のような解決課題が、従
来例1にはあった。
【0015】また、図9により説明した表面電位計53
を用いる従来例2によると、帯電体120との非接触で
の測定が可能である。しかし、測定に際しては、原理
上、検出電極51と帯電体120との間の距離を一定に
維持する必要がある。それも一般に数mm〜数十mmの範囲
内で固定したうえで測定しなければならない。しかし、
測定対象の形状は様々であって部分的に凹凸があるなど
して、数mmの範囲内で測定するのは困難であるか、ある
いは不可能であった。また、遠距離(例えば数十cm以
上)にある帯電体の電位の測定なども不可能であった。
【0016】のみならず、検出電極51は、帯電体12
0の等電位面からの電気力線を捕捉するものであること
から、帯電体120の大きさは、検出電極51より充分
に大きくなければならない。しかし、測定対象は、常に
一定の大きさのものとは限らない。小さなものであれ
ば、測定が不可能ということになる。加えて、検出電極
51の寸法は、ガード電極52の影響を受け、余り大き
くすることができないため、検出範囲が限られてしま
う。
【0017】さらに、表面電位計53は、数ミリ秒で急
速に帯電する帯電発生時刻、帯電ピーク値、帯電に要す
る時間や放電などを測定することはできない。また、検
出電極51に複雑な回転セクタ構造や振動電極を用いる
場合もあり、負帰還による電位測定を原理とするもの
は、高圧電源等の信号源が必要であるとともに、帯電体
の極性を判別するための位相同期検出器、比較器、増幅
器、高圧電源の制御回路などの回路を必要とし、その構
成が複雑である。以上のような課題が従来例2にはあっ
た。
【0018】以上、各従来例1,2それぞれの解決すべ
き課題について述べたが、より本質的な課題として、帯
電体が運動している場合は、その帯電体の帯電量の測定
は原理的に不可能であることが、各従来例1,2の共通
の解決課題としてあった。
【0019】
【課題を解決するための手段】上記各課題を解決するた
めに、本発明はなされたものである。そこで、本発明の
基礎にある誘導による電荷生成についての考え方を説明
する。従来、帯電体Aを中性の導体Bに近付けると、静
電誘導により導体Bは分極帯電し、導体Bの帯電体Aに
近い部位には、帯電体Aとは異種の電荷が現われ、帯電
体Aから遠い部位には帯電体Aと同種の電荷が現われる
分極状態が生ずるものと考えられている(静電誘導:st
atic induction)。
【0020】しかし、本願発明者が行った実験によれ
ば、帯電体A・導体Bについてつぎのいずれかの条件が
ない限り、Bに電荷が誘導されないことが確認された。 AB間における相対運動(AB間の距離の変化) Aにおける電界の変化 すなわち、Bに電荷が誘導されるのは、上記の一方
または双方の場合に限られるのである。
【0021】そこで、まず、上記のAB間に相対運動
がある場合についてみると、実験によってつぎのような
結果が確認されている。 1.Bに誘導される電荷量 1)Aの電界(電束密度)と、 2)AB間の相対運動の速度に比例し、 3)AB間の距離(変位)に反比例する。 2.Bに誘導される電荷の極性 1)ABが接近するときは、Aに帯電している電荷と同じ
極性が生ずる。 2)ABが離反するときは、Aに帯電している電荷とは逆
の極性が生ずる。 3)ABが接近するときも離反するときも、誘導された電
荷は分極せず、B全体に同一の極性で電荷が分布する
(誘導される電荷は単極性)。
【0022】以上の結果は、従来より説明されている
A,Bが静止している状態における静電誘導とは本質的
に異なるものである。この動的な誘導現象を、ここでは
「static induction」(静電誘導)に対して、「Dynami
c Charge Induction」と称することにする(以下「DC
I」と略す)。
【0023】そこで、このDCIについてさらに詳しく
説明する。いま、AB間に相対運動があった場合、その
速度をv〔m/s〕、AB間の距離をX〔m〕とし、A
の電界をE〔V/m〕とすると、このときBから大地に
流れる誘導電流Io は、 Io=(∂D/∂X)v〔A/m2〕 で表される。上式において、 Dは電束密度(D=εE〔C/m2〕,εは誘電率(ε
=比誘電率εs×真空の誘電率εo〔F/m〕))を表し
ている。
【0024】実際に大地に流れる誘導電流Idは、Bが
Aに対して投影する面積S〔m2〕に依存し、 Id=S・Io〔A〕 (1) で表される。
【0025】実験によると、速度vがゼロであると、誘
導電流Id はゼロになる。AB間の距離Xが無限である
と、同様にIo はゼロになる。BがAに対して投影する
面積Sがゼロであれば、当然Io はゼロになる。
【0026】以上のDCIについて、上記(1) 式を用い
た具体的な計算例を示すと、つぎの通りである。例え
ば、−5kVに帯電した絶縁体があり、この帯電体から
10cmのところにある面積0.01m2の金属物体に対して、
帯電体が速度0.3m/s で近付く場合の誘導電流Id
大きさは、 Id=S・Io=0.01×{(εo×−5×103)/0.1}×0.3 =1.3293×10-9〔A〕 (ただし、εo=8.862×10-12〔F/m〕)であり、約1
3nAとなる。
【0027】そこで、かりに、Io が金属物体に継続し
て流れ込む時間tが 1.0秒である場合は、電荷量Q=I
ot より、 1.33×10-9×1.0=1.33〔nC〕 のマイナス電荷が、金属物体全面に蓄積されることにな
る。
【0028】したがって、この金属物体の静電容量Cが
例えば2.66pFであれば、帯電電圧V=Q/Cより、 (−1.33×10-9)/(2.66×10-12)=−500〔V〕 の誘導電圧を生ずることになる。
【0029】以上は、帯電体Aと導体Bの間に相対運動
すなわち距離的な変化がある場合である。これに対し
て、AB間に相対運動がない場合は、Bに誘導現象は惹
起されない。しかし、既述のように、Aの電界に変化が
生じた場合も、Bに電荷が生ずる。
【0030】本願発明者が行った実験によれば、AB間
に相対運動がないときは、Aの電圧Vが上昇または下降
したときにのみ、Bに電荷が誘導し、その誘起電圧は、
Aの電圧Vが変化したときの差分ΔVに比例する。この
誘導現象は、近傍に接地された金属板の存在するか否か
にかかわらず起きる。また、AやBの形状および大きさ
のいかんを問わず、Bの電荷の極性は、いずれの部位で
も同一である。すなわち、単極性の電荷がB全体に分布
し分極状態を生じない。
【0031】この誘導現象を式に表すと、つぎの通りに
なる。 ΔV=k(U1−U2)〔V〕 上式において、VはBの誘起電圧、kは誘導係数(Aの
表面積,AB間の距離,Aの大地からの距離などにより
異なる)、U1 はAの変化前の電圧、U2 はAの変化後
の電圧である。
【0032】このように、AによってBに誘起される電
圧Vは、Aの電圧変化の差分ΔV(U1− U2)に比例
する。電圧の変化率(dV/dt)に比例するものでは
ない。この帯電体Aの電圧変化による動的な誘導現象
も、従来より説明されている静電誘導とは異なるもので
あり、先に説明したAB間の相対運動による誘導現象と
併せて、DCIと称することにする。
【0033】本発明は、以上のDCIを基礎としてなさ
れたものであり、電荷を帯びた帯電体の運動および帯電
体の電位変化の一方および双方により誘導される単極性
の電荷を、導体からなる誘導受信センサにより検出し、
単極性の電荷を検出した誘導受信センサからの出力を適
当な利得で増幅するようにした。
【0034】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態における、D
CIを基礎とする誘導電位測定装置の回路構成を、図1
に示し説明する。
【0035】図1において、11は、本図では図示され
てはいない帯電体により誘導される単極性の電荷を検出
するための、方形状の金属板からなる誘導受信センサで
ある。この誘導受信センサ11は、ここでは方形板状の
ものが図示されているが、その形状はとくに限定される
ものではなく、その大きさや厚さも特定のものに限られ
ない。また、その素材も、金属に限定されるものではな
く、抵抗値が106〜1010 Ωの高抵抗体やその他の導
体でもよい。
【0036】この誘導受信センサ11には、同軸ケーブ
ル12を介して、誘導受信センサ11に誘起された電圧
を増幅するための直流増幅器13が接続されている。同
軸ケーブル12を用いているのは、外部からのノイズを
考慮したものであるが、同軸ケーブル12を用いること
は、本発明にとっては必須の構成要件ではなく、裸線を
用いるようにしてもよい。
【0037】図2および図3は、図1に示した誘導電位
測定装置を用いて行った実験の結果を示すものである。
実験の内容は、電荷を帯びた荷電板を、所定の移動速度
で誘導受信センサ11に接近せしめ、あるいは誘導受信
センサ11から離反せしめる。そして、荷電板の電圧V
cpと、誘導受信センサ11の誘起電圧の直流増幅器13
による増幅後の電圧Vamp との関係を調べるものであ
る。
【0038】荷電板は、誘導受信センサ11より900mm
離れた所から移動速度250mm/s で接近してきて、誘導
受信センサ11より600mm の所で最接近して停止する。
逆に、誘導受信センサ11からの離反は、これより600m
m 離れた所から移動速度250mm/s で離反をし、900mm
離れた所で停止する。したがって、接近および離反の変
位量は、双方とも300mm である。なお、誘導受信センサ
11は銅製の方形板で寸法が195mm×245mmであり、荷電
板は同じく銅製の方形板で寸法が180mm×200mmである。
【0039】ここで、荷電板が大地から完全に絶縁され
ている場合(1014Ω以上)は、誘導受信センサ11の誘
起電圧は数百Vから数kVになる。しかし、本実験で
は、現実にある漏洩抵抗(概ね1GΩ)を織り込んで、
誘導受信センサ11の誘起電圧を利得20倍程度の直流
増幅器13により増幅し、増幅後の電圧Vamp をオシロ
スコープによって観測した。
【0040】図2は、荷電板の電圧Vcpを、±200〜±1
000Vの範囲で200Vずつ異なるものとした場合を示して
いる(実験1−A)。水平軸の1目盛りは200Vであ
る。図中、実線は、正に帯電している荷電板が、誘導受
信センサ11に向けて接近した場合を示している。この
場合における誘導受信センサ11の誘起電圧の増幅後の
電圧Vamp の極性は正である。
【0041】これに対して、破線は、正に帯電している
荷電板が、誘導受信センサ11から離反した場合を示し
ている。この場合における誘導受信センサ11の誘起電
圧の増幅後の電圧Vamp の極性は負である。
【0042】また、1点鎖線は、負に帯電している荷電
板が、誘導受信センサ11から離反した場合を示してい
る。この場合における誘導受信センサ11の誘起電圧の
増幅後の電圧Vamp の極性は正である。
【0043】2点鎖線は、負に帯電している荷電板が、
誘導受信センサ11に向けて接近した場合を示してい
る。この場合における誘導受信センサ11の誘起電圧の
増幅後の電圧Vamp の極性は負である。
【0044】図3は、荷電板の電圧Vcpを、±2〜±14
kVの範囲で2kVずつ異なるものとした場合を示して
いる(実験1−B)。水平軸の1目盛りは2kVであ
る。正に帯電している荷電板が、誘導受信センサ11に
向けて接近した場合、逆に離反した場合、また、負に帯
電している荷電板が、誘導受信センサ11に向けて接近
した場合、あるいは離反した場合における、それぞれの
誘導受信センサ11の誘起電圧の増幅後の電圧Vamp
が、荷電板の電圧Vcpにほぼ比例していること、および
増幅後の電圧Vamp の極性いかんは、図2に示した場合
とまったく同じである。
【0045】実験1−A,1−Bについての図2および
図3から明らかなように、荷電板が移動する速度が一定
であるならば、誘導受信センサ11の誘起電圧は、荷電
板の電圧Vcpにほぼ比例している。また、誘導受信セン
サ11の誘起電圧の極性は、荷電板が接近する場合と離
反する場合とでは反転している。したがって、監視対象
である物体(例えば、人間)の極性が事前に知られてい
れば、当該物体の誘起電圧の大きさおよび極性から、誘
導受信センサ11から見て、当該物体がどの位の速度で
接近しつつあるか、または遠ざかりつつあるかを容易に
判定することが可能となる。
【0046】つぎに、図4および図5は、図1に示した
誘導電位測定装置を用いて行った他の実験の結果を示す
ものである。ここでの実験の内容は、荷電板と誘導受信
センサ11との間の距離を300mm として固定しておく。
すなわち、荷電板は移動しない。そこで、荷電板と接続
された電源の出力電圧を、0V→設定値、また設定値→
0Vまで変化せしめるとともに、その設定値を順次異な
るものとする。そして、誘導受信センサ11の誘起電圧
の、直流増幅器13による増幅後の電圧Vampを調べる
ものである。なお、誘導受信センサ11と荷電板の素材
および寸法は、図2および図3に結果を示した実験の場
合と同じである。
【0047】図4は、電源に接続された荷電板の帯電電
圧Vsetを0V〜±1kVの範囲で0V→200V,0V→
400V,0V→600V,……のように変化せしめた(設定
値が200Vずつ異なる)場合を図示している(実験2−
A)。水平軸の1目盛りは200V である。
【0048】ここにおける実線は、荷電板の帯電電圧V
set を0V→+200V,0V→+400V,……のように変
化せしめたとき、すなわち、変化前の電圧と変化後の電
圧の差分ΔVが +200V,+400V,…… である場合を
示している。これに対して、破線は、荷電板の帯電電圧
set を+200V→0V,+400V→0V,……のように
変化せしめたとき(ΔV=−200V,−400V,……)を
示している。
【0049】また、1点鎖線は、荷電板の帯電電圧V
set を−200V→0V,−400V→0V,……のように変
化せしめたとき(ΔV=+200V,+400V,……)を示
している。他方、2点鎖線は、荷電板の帯電電圧Vset
を0V→−200V,0V→−400V,…… のように変化
せしめたとき(ΔV= −200V,−400V,……)を示
している。
【0050】図5は、荷電板の電源電圧Vset を0V〜
±10kVの範囲で0V→2kV,0V→4kV,……の
ように変化せしめた(設定値が2kVずつ異なる)場合
を図示している(実験2−B)。水平軸の1目盛りは2
kVである。
【0051】実線は、荷電板の帯電電圧Vsetを0V→
+2kV,0V→+4kV, ……のように変化せしめ
たとき(ΔV=+2kV,+4kV,……)を示してい
る。破線は、荷電板の帯電電圧Vset を+2kV→0
V,+4kV→0V,……のように変化せしめたとき
(ΔV=−2kV,−4kV,……)を示している。
【0052】また、1点鎖線は、荷電板の帯電電圧V
set を−2kV→0V,−4kV→0V,……のように
変化せしめたとき(ΔV=+2kV,+4kV,……)
を示している。他方、2点鎖線は、荷電板の帯電電圧V
set を0Vから−2kV,0V→−4kV,……のよう
に変化せしめたとき(ΔV=−2kV,−4kV,…
…)を示している。
【0053】実験2−A,2−Bについての図4および
図5から理解され得るように、誘導受信センサ11の誘
起電圧は、荷電板の変化前の電圧と変化後の電圧との差
分ΔVに比例する。荷電板に接続された電源の出力電圧
を急速に変化せしめても、あるいはゆっくり変化せしめ
ても、荷電板の電圧変化により誘導受信センサ11に誘
起される電圧の値は、全く変わることがない。荷電板の
電圧の変化率(dV/dt)の項の寄与は、全く認めら
れなかった。
【0054】このことより、距離を隔てて存在する静止
した物体の電位の変化を知ることができる。電位変化の
大きさは、上述のように、電圧の変化率dV/dtでは
なく、初期電圧と最終電圧との差分ΔVに依存する。し
たがって、事前に当該物体の初期電圧が分かっていれ
ば、誘起電圧の変化から監視対象である物体の帯電の推
移を把握することができる。
【0055】図6は、図1に示した誘導電位測定装置を
用いて静電気帯電を監視する装置の一例の回路構成を示
すものである。
【0056】図6において、破線で示す監視エリア(例
えば1つの部屋あるいは1つの作業テーブル)に、正電
荷を帯びた帯電体100(例えば人間や機械)が接近し
つつあるとする。すると、監視エリア内にある被測定物
200(例えば半導体集積回路)は、帯電体100の接
近に伴い正電荷を帯びるようになる。同時に、誘導受信
センサ11も正電荷を帯びるようになる。すなわち、誘
導受信センサ11は、帯電している物体の存在を検出す
る。
【0057】そこで、誘導受信センサ11の誘起電圧を
直流増幅器13により増幅し、増幅後の電圧Vamp のピ
ーク値をピーク検出回路21により検出する。検出され
たピーク値は、A/D(アナログ・ディジタル)変換器
22によりディジタル変換され、得られたデータは、装
置全体の動作を制御する制御部23に送出される。
【0058】A/D変換器22からのデータを受けた制
御部23では、増幅後の電圧Vampのピーク値を示すデ
ータと、あらかじめ設定された閾値とを比較する。閾値
としては、被測定物200が例えば半導体集積回路であ
れば、当該半導体集積回路の静電破壊の耐量を参照して
設定する。
【0059】その結果、ピーク値が閾値を超える場合
は、制御部23は、例えば警告のブザー音を発生せしめ
るための制御信号を、電子ブザー制御回路(図示せず)
に与え、これより制御信号を受けた電子ブザー駆動回路
より電流を供給された電子ブザーが、警告音として鳴
り、静電気帯電という好ましくない事態が被測定物20
0に発生している蓋然性があることを知らせる。
【0060】以上のような静電気帯電を監視する装置を
複数用いて、例えば半導体集積回路製造の各工程をそれ
ぞれ1つの監視エリアとして各々に配置するならば、各
監視エリアでの誘導帯電の頻度の比較、あるいは、誘導
帯電の発生場所や帯電体の移動方向の特定なども可能と
なる。その結果、得られたデータを解析することによ
り、静電気帯電による障害を未然に防止するための判
定、評価、警告を行うことができることになる。
【0061】その他にも、航空機等が雷雲により帯電
される現象、すなわち、雷雲に接近または離反すること
による誘導帯電の確認、航空機どうしの接近による誘
導帯電の確認、液体流体、電荷雲、粉体等の移動に伴
う誘導帯電の確認、オイル・タンク等における誘導帯
電の確認、静電気による着火爆発の危険性のあるもの
の誘導帯電の確認なども可能である。
【0062】以上においては、誘導受信センサ11に誘
起される電圧を直流増幅器13により増幅する構成を示
した。しかし、本発明は、これに限られるものではな
く、誘導帯電された誘導受信センサ11からの電流を電
流増幅器により増幅する構成としてもよい。
【0063】さらに、図6に示した静電気帯電を監視す
る装置では、ピーク検出回路21の代わりに、サンプル
・ホールド回路を用いるようにしてもよい。すなわち、
所定の時間間隔で直流増幅器13の出力をサンプリング
し、順次得られるサンプル値を示すA/D変換器22か
らのデータと、あらかじめ設定された閾値とを、制御部
23で比較するようにしてもよい。また、サンプル・ホ
ールド回路を用いるならば、帯電量のピーク値のみなら
ず、時々刻々変化する監視エリア内の帯電状況を示す経
時的なデータを得ることができ、帯電状況のより精細な
解析が可能となる。
【0064】なお、既述したように、誘導受信センサ1
1の形状は、とくに限定されるものではないが、本願発
明者が行った実験によると、図7(a)に示すように、
直径φが100〜200mm(厚さは問わない)の円板状に形成
された金属製の誘導受信センサ11B、あるいは、この
誘導受信センサ11Bの上面に、図7(b)に示すよう
に、多数の金属針33を林立するように立設したものを
用いるのが好ましいとの結果を得ている。金属針33
は、直径が0.1〜1mmで長さが5〜30mmのものが望まし
い。これらの誘導受信センサ11Bは、図示するよう
に、例えば円板状の樹脂製の板状部材31の中央部に立
設された円柱状の絶縁物32により、水平となるように
支持されて用いられる。
【0065】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によるならば、図8および図9により説明した各従来例
1,2では不可能であった運動物体の静電気帯電および
帯電した運動物体による周辺物体への誘導帯電の連続監
視が可能となる。それも、より広い空間領域において行
うことができる。大きな利得の増幅器を用いて感度を上
げれば、監視エリアを拡大することができ、4m以上離
れた位置での帯電現象を検出することも可能である。被
測定物に接触させるか、あるいは数mm離れた位置から帯
電電圧を測定していた従来の方法とは顕著に異なるとこ
ろである。したがって、監視エリア内に、本発明による
装置を設置したままの状態で、離れた場所に発生する静
電気帯電現象を捕捉することができる。
【0066】また、従来は、直線性をもって歪みなく動
作できる範囲に限界があり、その範囲を超えると直線性
が失われていた。しかし、本発明によれば、常に直線性
をもって帯電電荷量を検出することができるので、広範
囲にわたって帯電体の位置や移動速度あるいは電圧変化
などを的確に測定することが可能である。
【0067】さらに、各従来例1,2と個々に比較すれ
ば、図8により説明した従来例1では、測定対象をケー
ジ内に入れる際の電荷漏洩による測定誤差、半導体のよ
うに帯電電荷量が小さい場合の測定感度、あるいは測定
対象の急速放電による損傷が問題となるが、本発明によ
れば、このような問題が生ずることはない。
【0068】他方、図9により説明した従来例2による
と、測定対象は検出電極よりは充分に大きくなければな
らず、また、検出電極を大きくすることはできないの
で、検出範囲が狭い。これに対して、本発明によれば、
測定対象の大きさが限られることはなく、検出範囲も全
方位の空間に及び極めて広い。
【0069】また、従来例2では、回路構成が複雑であ
る一方で、帯電発生時間、帯電ピーク値、帯電に要する
時間などの測定が不可能であり、しかも、高圧電源を必
要とする。しかし、本発明によれば、簡易な回路構成に
より、かつ、少ない消費電力によって、帯電の極性や帯
電ピーク値等を検出することができる。
【0070】したがって、DCIを基礎とする本発明に
よるならば、極めて簡易な構成により、低コストで種々
の顕著な効果を得ることができることから、もたらされ
る効果は、著しく大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す回路構成図である。
【図2】図1に示した誘導電位測定装置を用いて行った
実験1−Aの結果を示すデータ表示図である。
【図3】図1に示した誘導電位測定装置を用いて行った
実験1−Bの結果を示すデータ表示図である。
【図4】図1に示した誘導電位測定装置を用いて行った
実験2−Aの結果を示すデータ表示図である。
【図5】図1に示した誘導電位測定装置を用いて行った
実験2−Bの結果を示すデータ表示図である。
【図6】図1に示した誘導電位測定装置を用いて静電気
帯電を監視する装置の一例の回路構成図である。
【図7】図1に示した誘導受信センサの他の構成例を示
す構成図である。
【図8】従来例1を説明するための説明図である。
【図9】従来例2を説明するための説明図である。
【符号の説明】
11,11B 誘導受信センサ 12 同軸ケーブル 13 直流増幅器 21 ピーク検出回路 22 A/D変換器 23 制御部 31 板状部材 32 絶縁物 33 金属針 41 ケージ 42 金属体 43a,43b 絶縁物 44 エレクトロ・メータ 45 電圧計 51 検出電極 52 ガード電極 53 表面電位計 100,110,120 帯電体 200 被測定物

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電荷を帯びた帯電体(100)の運動お
    よび静止した前記帯電体の電位変化の一方および双方に
    より誘導される単極性の電荷を導体からなる誘導受信セ
    ンサ手段(11)により検出し、 前記単極性の電荷を検出した前記誘導受信センサ手段か
    らの出力を増幅手段(13)により増幅する誘導電位測
    定方法。
  2. 【請求項2】 電荷を帯びた帯電体(100)の運動お
    よび静止した前記帯電体の電位変化の一方および双方に
    より誘導される単極性の電荷を検出するための導体から
    なる誘導受信センサ手段(11)と、 前記誘導受信センサ手段からの出力を増幅するための増
    幅手段(13)とを具備した誘導電位測定装置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
GB2398634A (en) * 2003-02-18 2004-08-25 Rolls Royce Plc Position detector
JP2010210385A (ja) * 2009-03-10 2010-09-24 Shishido Seidenki Kk 高感度測定装置
JP2013190351A (ja) * 2012-03-14 2013-09-26 Hioki Ee Corp 帯電体検出装置および帯電体検出方法
WO2022211181A1 (ko) * 2021-03-29 2022-10-06 (주)선재하이테크 정전하 측정 센서모듈 및 이를 이용한 정전하 모니터링 시스템

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