JP2002146383A - 精製液状ラノリン及び精製硬質ラノリン並びにこれらを含有した化粧料組成物 - Google Patents

精製液状ラノリン及び精製硬質ラノリン並びにこれらを含有した化粧料組成物

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JP2002146383A
JP2002146383A JP2000339198A JP2000339198A JP2002146383A JP 2002146383 A JP2002146383 A JP 2002146383A JP 2000339198 A JP2000339198 A JP 2000339198A JP 2000339198 A JP2000339198 A JP 2000339198A JP 2002146383 A JP2002146383 A JP 2002146383A
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lanolin
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liquid
liquid lanolin
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Hiromitsu Muroki
広光 室木
Akira Ichii
章 市居
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Croda Japan KK
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Croda Japan KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 液状ラノリン及び硬質ラノリン中に含まれる
極性物質を略完全に除去することにより、優れた酸化安
定性を有するとともに、ラノリン特有の臭いが低減さ
れ、さらに、アレルギー症状等を発症する心配がなく、
高い安全性と良好な使用性を具備する精製液状ラノリン
及び精製硬質ラノリン並びにこれらを含有した化粧料組
成物を提供することにある。 【解決手段】 液状ラノリンを吸着剤が充填されたカラ
ムに通液して液状ラノリン中に含まれる極性物質を吸着
剤に吸着させた後に、非極性溶媒をカラムに通液させ
て、75%以下の回収率となるように回収された非極性
溶媒溶出画分からなることを特徴とする精製液状ラノリ
ンとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、精製液状ラノリン
及び精製硬質ラノリン並びにこれらを含有した化粧料組
成物に係り、その目的は、液状ラノリン及び硬質ラノリ
ン中に含まれる極性物質を略完全に除去することによ
り、優れた酸化安定性を有するとともに、ラノリン特有
の臭いが低減され、さらに、アレルギー症状等を発症す
る心配がなく、高い安全性と良好な使用性を具備する精
製液状ラノリン及び精製硬質ラノリン並びにこれらを含
有した化粧料組成物を提供することにある。
【0002】
【従来の技術】羊の毛に付着しているロウ状の物質(羊
毛脂)を精製して得られるラノリンは、乳化製品に配合
した場合では乳化安定性に貢献するために、また化粧料
に配合した場合では優れた柔軟湿潤効果(エモリエント
効果)を発揮するために、乳化製品の他、メークアップ
化粧品、頭髪用化粧料等に広く用いられている。このよ
うな優れた効果を発揮できる最大の要因は、その構成成
分にあると考えられている。ラノリンの主要な成分は、
ラノリン脂肪酸とラノリンアルコールとのエステルであ
り、この他、コレステリンエステル、遊離のコレステリ
ン、遊離のアルコール等が含まれている。
【0003】しかしながら、ラノリンに含まれている極
性物質、特に遊離のアルコールは皮膚に対して好ましく
ない刺激を与える場合があることが知られている。例え
ば、ラノリンに含まれる遊離のアルコールであるラノリ
ンアルコールは、アレルギー症状の原因物質、即ちアレ
ルゲンとなる可能性があり、安全性の面から問題視され
ている。また、ラノリンは羊毛という天然の原料から採
取されるために、気候、生産地などの様々な条件により
構成成分に変動が生じて、一定した品質のラノリンを得
ることは困難であった。そこで、近年では、ラノリンを
分画して得られた分画物、即ち液状ラノリンや硬質ラノ
リンを用いることで、上記の問題の解決が図られてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ラノリンの分画物であ
る液状ラノリンや硬質ラノリンは、ラノリンの優れた性
質をそのまま有するとともに、上記したラノリンの欠点
を解消したものであり、様々な種類の化粧料中に配合さ
れて利用されている。しかしながら、液状ラノリンや硬
質ラノリン等のラノリンの分画物には、以下に示すよう
な問題点が存在していた。即ち、ラノリンの分画物は、
上記のラノリンの欠点を解消したものであるが、ラノリ
ン様の特異な臭いを呈するとともに、酸化安定性が低い
ために配合量を抑制しなければならず、ラノリンの優れ
た効果が十分発揮される量を配合することができなっ
た。さらに、ラノリンの分画物には、依然としてラノリ
ンアルコール等の極性物質が含まれており、高い安全性
を確保できるものではなかった。本発明者らは上記の課
題に鑑みて鋭意研究を行ったところ、ラノリンの分画物
である液状ラノリンや硬質ラノリンを吸着剤を用いて精
製して、回収率を75%以下とすることにより、液状ラ
ノリン及び硬質ラノリン中に含まれる極性物質が略完全
に除去されて、ラノリンの優れた性質、即ち保湿性や乳
化安定性には何ら悪影響を与えることなく、ラノリンの
問題点である特異な臭いを低減できるとともに、優れた
酸化安定性を有し、しかも、アレルギー症状等を発症す
る心配が無く、高い安全性と優れた使用性を具備する精
製液状ラノリン及び精製硬質ラノリンが得られることを
見いだし本発明の完成に至った。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、
液状ラノリンをカラムクロマトグラフィーにより精製処
理して得られる精製液状ラノリンであって、該液状ラノ
リンを吸着剤が充填されたカラムに通液して液状ラノリ
ン中に含まれる極性物質を吸着剤に吸着させた後に、非
極性溶媒をカラムに通液させて、75%以下の回収率と
なるように回収された非極性溶媒溶出画分からなること
を特徴とする精製液状ラノリンに関する。請求項2に係
る発明は、硬質ラノリンをカラムクロマトグラフィーに
より精製処理して得られる精製硬質ラノリンであって、
該硬質ラノリンを吸着剤が充填されたカラムに通液して
硬質ラノリン中に含まれる極性物質を吸着剤に吸着させ
た後に、非極性溶媒をカラムに通液させて、75%以下
の回収率となるように回収された非極性溶媒溶出画分か
らなることを特徴とする精製硬質ラノリンに関する。請
求項3に係る発明は、請求項1に記載の精製液状ラノリ
ンが含有されてなることを特徴とする化粧料組成物に関
する。請求項4に係る発明は、請求項2に記載の精製硬
質ラノリンが含有されてなることを特徴とする化粧料組
成物に関する。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明に係る精製液状ラノリン又
は精製硬質ラノリンは、液状ラノリン又は硬質ラノリン
を吸着剤を用いて回収率が75%以下となるように精製
処理することにより得ることができる。
【0007】精製処理される液状ラノリンは、溶剤分別
(ウインターリング)、真空蒸留などによりラノリンの
液状部分のみを分画したものである。淡黄褐色の粘性の
ある液状の物質であり、ラノリン様の特異な臭いを呈す
る。液状ラノリンの酸価は3.0以下、ヨウ素価は20
〜40(0.8g)とされる。
【0008】また、精製処理される硬質ラノリンは、ラ
ノリンから液状ラノリンを分画したあとの残渣である。
黄褐色のロウ状の物質であり、ラノリン様の特異な臭い
を呈する。硬質ラノリンの融点は43〜55℃、酸価は
3.0以下、ヨウ素価は18〜36(0.8g)とされ
る。尚、上記の液状ラノリン及び硬質ラノリンを、以
下、単にラノリン分画物とする。
【0009】上記のラノリン分画物を精製処理して本発
明に係る精製液状ラノリン又は精製硬質ラノリンを得る
には、まず、ラノリン分画物を非極性溶媒に溶解して、
この非極性溶媒溶液を吸着剤が充填されたカラムに通液
してラノリン分画物中に含まれる極性物質を吸着剤に吸
着させる。
【0010】用いられる吸着剤としては、シリカゲル、
アルミナ、活性アルミナ、炭酸カルシウム、ショ糖、デ
ンプン、セルロース粉末、ベントナイト、酸性白土、珪
藻土、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ゼオ
ライト、活性白土、酸化マグネシウム、活性炭、炭酸マ
グネシウム等を例示することができ、特に、活性アルミ
ナ、シリカゲル、活性白土、ケイ酸マグネシウム等を使
用することが望ましい。上記の吸着剤は一種のみを単独
で用いてもよく、二種以上を混合して用いても構わな
い。また、その粒度は特に限定されず、16〜200メ
ッシュ、好ましくは30〜200メッシュとするとよ
い。
【0011】吸着剤の使用量は、精製処理されるラノリ
ン分画物1重量部に対して、2重量部以上、好ましくは
3〜7重量部となるようにするとよい。これは、吸着剤
の使用量が2重量部未満の場合、吸着剤の使用量に比べ
ラノリン分画物の使用量が多くなるために、ラノリン分
画物中の極性物質を吸着剤に十分吸着させて後述する回
収率以下とすることができないからである。
【0012】上記のラノリン分画物を溶解する際に用い
られる非極性溶媒としては、n−ヘキサン、シクロヘキ
サン、n−ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、石
油エーテル、石油ベンジン、3−メチルペンタン、1,
1,1,−トリクロロエタン、四塩化炭素、クロロホル
ム、ベンゼン、トルエン等を例示することができ、n−
ヘキサン、石油エーテルを用いることが望ましい。本発
明においては、前記の非極性溶媒の一種のみを使用して
もよく、二種以上を混合して使用しても構わない。
【0013】ラノリン分画物を溶解する際に用いられる
非極性溶媒の使用量は特に限定されず、用いられるラノ
リン分画物の全量を十分溶解することができる量であれ
ばよい。具体的には、ラノリン分画物1重量部に対し
て、非極性溶媒を1〜10重量部、好ましくは2〜4重
量部使用するとよい。
【0014】精製処理を行う際のカラム温度は特に限定
されず、10〜50℃、好ましくは20〜30℃の範囲
内において行えばよい。また、精製処理は大気圧下にお
いて行うこともできるが、0.1〜3atmに加圧した
条件下において行うことも可能である。
【0015】吸着剤が充填されたカラムにラノリン分画
物の非極性溶媒溶液を通液させてラノリン分画物中に含
まれる極性物質を吸着させた後に、上記の非極性溶媒の
うちの一種又は二種以上を流下させて非極性溶媒溶出画
分を回収する。非極性溶媒の使用量は特に限定されない
が、ラノリン分画物1重量部に対して、1〜10重量
部、好ましくは3〜8重量部となるようにするとよい。
【0016】最後に、得られた非極性溶媒溶出画分を減
圧蒸留等によって非極性溶媒を留去することにより、本
発明に係る精製液状ラノリン又は精製硬質ラノリンを得
ることができる。尚、本発明においては、精製液状ラノ
リン及び精製硬質ラノリンの回収率は75%以下、好ま
しくは70%以下、より好ましくは40〜70%とされ
る。この理由は、回収率が75%を超えると、液状ラノ
リン又は硬質ラノリン中に含まれる極性物質を略完全に
除去することができず、このために、ラノリン様の特異
な臭いを抑制することができないばかりか、酸化安定性
を向上させることができないからである。
【0017】また、極性物質を吸着した吸着剤は、極性
溶媒を用いて洗浄することにより、極性物質が回収され
るとともに、吸着剤を再生利用することが可能となる。
用いられる極性溶媒としては、メタノール、エタノー
ル、イソプロパノール、酢酸エチル、メチルエチルケト
ン等を例示することができる。
【0018】以上説明したような方法により得られる本
発明に係る精製液状ラノリンの酸価は、0.1〜0.
5、ケン化価は85〜110、ヨウ素価は20〜40、
水酸基価は、0.1〜5.0、遊離脂肪族アルコール含
有量は3%以下となる。また、本発明に係る精製硬質ラ
ノリンの酸価は、0.1〜0.5、ケン化価は85〜1
10、ヨウ素価は20〜40、水酸基価は、0.1〜
5.0、遊離脂肪族アルコール含有量は2%以下とな
る。
【0019】本発明に係る精製液状ラノリン及び精製硬
質ラノリンは、ラノリン分画物中に含まれる極性物質を
略完全に除去することにより、ラノリンの優れた性質は
そのまま保持されるとともに、ラノリン様の特異な臭い
は除去され、さらに、酸化安定性が向上されていること
から、従来のラノリン分画物のように使用量が制限され
ることなく、十分な量を配合することが可能となる。し
かも、アレルギー症状を発症することなく、安全性の高
いものである。
【0020】本発明に係る精製液状ラノリン及び精製硬
質ラノリンは、化粧品、医薬品、医薬部外品の原料とし
て好適に用いることができ、この他の成分、例えば、油
脂、ロウ類、炭化水素、高級脂肪酸、ステロール、脂肪
酸エステル、金属石鹸、保湿剤、界面活性剤、水溶性高
分子化合物、顔料、色素、香料、酸化防止剤、金属イオ
ン封鎖剤、防腐・殺菌剤、紫外線吸収剤、ホルモン類、
ビタミン類、アミノ酸、皮膚収斂剤、発毛促進剤、美白
剤、動植物抽出物、低級アルコール、精製水、噴射剤等
を適宜任意に配合して、所要の剤型に調製することがで
きる。調製される剤型としては特に限定されず、ヘアク
リーム、ヘアスプレー、ヘアフォーム等の頭髪用化粧
料、化粧水、乳液、ハンドクリーム等の皮膚用化粧料、
口紅等のメークアップ化粧料等を例示することができ
る。
【0021】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づきより詳細に説
明するが、本発明は以下の実施例により何ら限定される
ものではない。
【0022】(実施例1の試料の調製)液状ラノリン
(商品名;フルイランSP、クローダ社製)100gを
n−ヘキサン300mlに溶解した。シリカゲル(和光
純薬社製、粒度;100〜200メッシュ)300gを
充填したカラムに通液させた。更に、n−ヘキサン30
0mlを通液させた。n−ヘキサン層を減圧蒸留して精
製液状ラノリン66.2gを得た。
【0023】(実施例2の試料の調製)液状ラノリン
(商品名;フルイランSP、クローダ社製)100gを
n−ヘキサン300mlに溶解した。活性アルミナ(和
光純薬社製、平均粒度;200メッシュ)600gを充
填したカラムに通液させた。更にn−ヘキサン600m
lを通液させた。n−ヘキサン層を減圧蒸留して精製液
状ラノリン49.2gを得た。
【0024】(実施例3の試料の調製)硬質ラノリン
(商品名;コロネット、クローダ社製)100gをn−
ヘキサン300mlに溶解した。シリカゲル(和光純薬
社製、粒度;100〜200メッシュ)400gを充填
したカラムに通液させた。更にn−ヘキサン400ml
を通液させた。n−ヘキサン層を減圧蒸留して精製硬質
ラノリン65.5gを得た。
【0025】(実施例4の試料の調製)液状ラノリン
(商品名;フルイランT、クローダ社製)100gをn
−ヘキサン300mlに溶解した。活性アルミナ(和光
純薬社製、平均粒度;200メッシュ)700gを充填
したカラムに通液させた。更にn−ヘキサン700ml
を通液させた。n−ヘキサン層を減圧蒸留して精製液状
ラノリン41.3gを得た。
【0026】(比較例1の試料の調製)液状ラノリン
(商品名;フルイランSP、クローダ社製)200gを
n−ヘキサン600mlに溶解した。シリカゲル(和光
純薬社製、粒度;100〜200メッシュ)100gを
充填したカラムに通液させた。更にn−ヘキサン200
mlを通液させた。n−ヘキサン層を減圧蒸留して精製
液状ラノリン153.6gを得た。
【0027】(比較例2の試料の調製)液状ラノリン
(商品名;フルイランSP、クローダ社製)250gを
n−ヘキサン600mlに溶解した。シリカゲル(和光
純薬社製、粒度;100〜200メッシュ)100gを
充填したカラムに通液させた。更にn−ヘキサン200
mlを通液させた。n−ヘキサン層を減圧蒸留して精製
液状ラノリン194.2gを得た。
【0028】(比較例3の試料の調製)硬質ラノリン
(商品名;コロネット、クローダ社製)200gをn−
ヘキサン600mlに溶解した。シリカゲル(和光純薬
社製、粒度;100〜200メッシュ)100gを充填
したカラムに通液させた。更にn−ヘキサン200ml
を通液させた。n−ヘキサン層を減圧蒸留して精製硬質
ラノリン150.5gを得た。
【0029】(比較例4の試料の調製)硬質ラノリン
(商品名;コロネット、クローダ社製)250gをn−
ヘキサン600mlに溶解した。シリカゲル(和光純薬
社製、粒度;100〜200メッシュ)100gを充填
したカラムに通液させた。更にn−ヘキサン200ml
を通液させた。n−ヘキサン層を減圧蒸留して精製硬質
ラノリン190.6gを得た。
【0030】(試験例1;物性の測定)上記調製した実
施例1〜4及び比較例1〜4の各試料の融点、ヨウ素
価、酸価、けん化価、水酸基価を測定した。また、実施
例1〜4及び比較例1〜4の調製に使用した液状ラノリ
ン及び硬質ラノリンも同様に測定した。結果を表1及び
表2に示す。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】(試験例2;色調及び臭気の評価)上記調
製した実施例1〜4及び比較例1〜4の各試料の色調を
ガードナー法により判定した。また、臭気の有無を官能
試験により判定した。尚、各試料を調製する際に用いた
液状ラノリン及び硬質ラノリンも同様の方法により色調
及び臭気の有無を判定した。結果を表3及び表4に示
す。
【0034】
【表3】
【0035】
【表4】
【0036】表3及び表4の結果の通り、実施例1〜4
の各試料は、ラノリン様の特異臭は殆ど無く、また色調
も大幅に改善された。これに対して、比較例1〜4の各
試料は、ラノリン様の特異臭を呈し、また色調もあまり
改善されなかった。
【0037】(試験例3;遊離脂肪族アルコール含有量
の測定)上記調製した実施例1〜4及び比較例1〜4の
各試料の遊離脂肪族アルコールの含有量の測定を行っ
た。測定方法は、USP24NF19 のModified Lanolin Limit
of free lanolin alchol (p.955-956) に記載の方法に
従った。また、実施例及び比較例の試料の調製に用いた
液状ラノリン及び硬質ラノリンの遊離脂肪族アルコール
の含有量も同様の方法により測定した。結果を表5及び
表6に示す。
【0038】
【表5】
【0039】
【表6】
【0040】表5及び表6に示される結果の通り、実施
例の各試料の遊離脂肪族アルコールの含有量は比較例の
各試料に比べ、著しく低下していることが分かる。
【0041】(試験例4;頭髪に対して付与される光沢
の評価)長さ約120mmの毛束約3gを、温水洗浄し
た後に、約60℃のn−ヘキサン:IPA混合溶液を用
いて二回洗浄を行った。次に、二回温水洗浄を行った後
に、20〜23℃、湿度49〜53%の条件下で24時
間自然乾燥させた。次に、前記の処理を行った毛束を、
上記調製した実施例1〜4及び比較例1〜4の各試料の
n−ヘキサン溶液(濃度;5重量%、液温;20℃)に
30秒間浸漬させた。毛束を各試料溶液から取り出して
余分な試料溶液を取り除いた後に、20〜23℃、湿度
49〜53%の条件下で24時間自然乾燥させた。専門
パネラーの官能評価により、以下の評価基準に従って、
各試料溶液に浸した毛束と試料溶液に浸漬しなかった対
照例の毛束を比較して、毛束の光沢を評価した。結果を
表7に示す。 <評価基準> 0・・・対照例の毛束と同じ光沢である。 1・・・対照例の毛束に比べてやや良い光沢である。 2・・・対照例の毛束に比べて良い光沢である。 3・・・対照例の毛束に比べて非常に良い光沢である。
【0042】
【表7】
【0043】表7に示される結果の通り、実施例の各試
料は、比較例の各試料に比べ頭髪に対して光沢を付与す
ることができる。
【0044】(試験例5;酸化安定性の評価)上記調製
した実施例1〜4及び比較例1〜4の各試料を300m
lのガラスビーカーに30g秤量し、このガラスビーカ
ーを蓋をせずに60℃の乾燥機内に放置した。一定時間
毎に各試料の過酸化物価(POV)を測定した。尚、過
酸化物価の測定は、基準油脂分析試験法(日本油脂化学
会編)の酢酸−イソオクタン法により行った。また、対
照例として、実施例1の試料を調製する際に使用した液
状ラノリンを用いて同様の条件で過酸化物価(POV)
を測定した。結果を表8に示す。
【0045】
【表8】
【0046】表8に示される結果の通り、実施例の各試
料の過酸化物価は、比較例及び対照例の各試料と比較し
て、過酸化物価の上昇は抑制されており、酸化安定性が
高いことが分かる。
【0047】(試験例6;アレルギー試験)上記調製し
た実施例1〜4及び比較例1〜4の各試料のアレルギー
試験を行った。試験方法は、被験者であるラノリンアレ
ルギー患者10名にパッチテストを行い、陽性者が0人
のとき陰性とした。また、実施例及び比較例の試料の調
製に用いた液状ラノリン及び硬質ラノリンも同様の方法
によりアレルギー試験を行った。結果を表9及び表10
に示す。
【0048】
【表9】
【0049】
【表10】
【0050】表9及び表10に示される結果の通り、実
施例の各試料は、比較例及び液状ラノリン並びに硬質ラ
ノリンに比べ、極めてアレルギー性が低いことが分か
る。
【0051】以下、本発明に係る化粧料組成物の処方例
を示す。尚、配合量は重量%である。
【0052】
【表11】
【0053】
【表12】
【0054】
【表13】
【0055】
【表14】
【0056】
【表15】
【0057】
【発明の効果】以上詳述した如く、本発明に係る精製液
状ラノリン及び精製硬質ラノリンは、吸着剤によって回
収率75%以下となるように精製処理されてなるもので
あるから、ラノリンの優れた性質、即ちエモリエント効
果や乳化安定性には何ら影響を与えることなく、しかも
ラノリン分画物の欠点であったラノリン様の特異な臭い
を除去して、酸化安定性を高め、さらに頭髪に対して良
好な光沢を付与することができる。また、アレルギー症
状等を発症する心配がなく、高い安全性を有する。従っ
て、化粧品、医薬品、医薬部外品の原料として好適に使
用することができる。また、本発明に係る化粧料組成物
は、吸着剤によって回収率75%以下となるように精製
処理された精製液状ラノリン又は精製硬質ラノリンが配
合されているから、ラノリン様の特異な臭いを呈するこ
ともなく、しかも酸化安定性に優れるために、従来に比
べてラノリン類の配合量を増加することができ、よっ
て、ラノリンの優れた性質、即ちエモリエント効果や乳
化安定性といった優れた効果を得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4C083 AA082 AA122 AB032 AC012 AC072 AC102 AC122 AC182 AC372 AC422 AC442 AC482 AC542 AC682 AD092 AD511 AD512 AD662 CC01 CC05 CC11 CC32 DD08 DD11 DD21 DD31 DD41 EE01 EE10 EE12 EE28 FF01 4H059 AA02 AA11 BA01 BC04 CA12 CA18 CA21 CA24 DA13 DA22 EA21

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液状ラノリンをカラムクロマトグラフィ
    ーにより精製処理して得られる精製液状ラノリンであっ
    て、 該液状ラノリンを吸着剤が充填されたカラムに通液して
    液状ラノリン中に含まれる極性物質を吸着剤に吸着させ
    た後に、 非極性溶媒をカラムに通液させて、75%以下の回収率
    となるように回収された非極性溶媒溶出画分からなるこ
    とを特徴とする精製液状ラノリン。
  2. 【請求項2】 硬質ラノリンをカラムクロマトグラフィ
    ーにより精製処理して得られる精製硬質ラノリンであっ
    て、 該硬質ラノリンを吸着剤が充填されたカラムに通液して
    硬質ラノリン中に含まれる極性物質を吸着剤に吸着させ
    た後に、 非極性溶媒をカラムに通液させて、75%以下の回収率
    となるように回収された非極性溶媒溶出画分からなるこ
    とを特徴とする精製硬質ラノリン。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の精製液状ラノリンが含
    有されてなることを特徴とする化粧料組成物。
  4. 【請求項4】 請求項2に記載の精製硬質ラノリンが含
    有されてなることを特徴とする化粧料組成物。
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