JP2002136786A - ミシン部品 - Google Patents

ミシン部品

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JP2002136786A
JP2002136786A JP2000333050A JP2000333050A JP2002136786A JP 2002136786 A JP2002136786 A JP 2002136786A JP 2000333050 A JP2000333050 A JP 2000333050A JP 2000333050 A JP2000333050 A JP 2000333050A JP 2002136786 A JP2002136786 A JP 2002136786A
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Hidekazu Iijima
秀和 飯島
Seiho O
性宝 応
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    • D05SEWING; EMBROIDERING; TUFTING
    • D05BSEWING
    • D05B57/00Loop takers, e.g. loopers
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    • D05SEWING; EMBROIDERING; TUFTING
    • D05DINDEXING SCHEME ASSOCIATED WITH SUBCLASSES D05B AND D05C, RELATING TO SEWING, EMBROIDERING AND TUFTING
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ミシンにおいて他の部品と接触する接触部分
の無給油化を図ることができ、同時に、耐久性及び耐摩
耗性に優れたミシン部品を提供する。 【解決手段】 水平釜装置の中釜と衝撃を伴って接触す
る中釜案内1の先端部10の構造を、鋼材により形成さ
れる基材100と、基材100表面を被膜する硬質のコ
ーティング層102と、基材100の表層部に、前記コ
ーティング層を形成する分子と同一の分子を浸透させて
設けられた内部融合硬化層102とからなる構成とし、
内部融合硬化層102によりコーティング層103と基
材100との密着性を高め、衝撃を伴う接触に対する耐
久性を向上させた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ミシンに用いられ
るミシン部品に関し、詳細にはミシン駆動に伴い他のミ
シン部品と衝撃とともに摩擦接触するミシン部品に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来からミシンが、スライド移動や回転
移動等により互いに高速、高荷重で接触する部品を多く
持つことは周知である。そして、金属材料どうしの焼き
付きや異常摩耗(例えば、フレッチング摩耗)が発生し
ないように潤滑油を供給している場合が多い。ところで
工業用ミシンにおいて部品どうしの摩擦接触部分へ潤滑
油を供給する場合、潤滑油は摩擦接触部分での摩擦に伴
う発熱によっても劣化するので、給油手段を設けて潤滑
油を摩擦接触部分に強制的に供給する必要がある。強制
給油手段としては、例えば、摩擦接触部分へと潤滑油を
供給するための配油経路と、潤滑油を貯めておくための
オイルパンと、潤滑油を汲み上げるためのポンプなどを
備える。このような構成によれば、ポンプによりオイル
パンから潤滑油を汲み上げるとともに配油経路を経由し
て、接触部分に潤滑油を循環させて供給できる。しかし
ながら上記のように強制給油手段を用いる構成では、例
えば、潤滑油の供給量が多くなってしまった場合には、
高速で部品どうしが衝撃と共に接触する際に潤滑油が周
辺に飛び散ったりして、縫い目を形成する上糸や下糸、
縫製される布等を汚したり、また逆に、潤滑油の供給量
が少なくなってしまった場合に接触部分の異常摩耗や焼
き付きが生じたり、さらにミシンを構成する部品点数が
増加して製造負荷の増加やコストアップ等が生じること
から近年ではミシンにおいて部品の接触部分の無給油化
が要請されている。そして、上記部品の接触部分の無給
油化を図る場合、接触する部品どうしの無潤滑環境下に
おける接触部分の摩耗を防ぐため、部品の接触する部位
に、TiN膜やCrN膜などの硬質セラミック被覆膜や
NiP膜、NiB膜等といった比較的厚くできる無電解
めっき等の表面改質を施す方法が考えられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記方法の場
合、基材と膜の物性とが完全に別れた単一層であり、摺
動的な力が加わると数時間で膜剥がれが生じ摩耗する恐
れがあった。特に、これら部品どうしのうち、衝撃およ
び摩擦を伴いながら接触する部品、例えば、本縫いミシ
ン用の水平釜装置における中釜案内と中釜とでは、その
傾向が強かった。具体的には、水平釜装置は一般的に回
転自在に嵌合された外釜と中釜とを備えており、例え
ば、上糸ループをすくい取る剣先を有する外釜が回転し
て上糸ループ内に中釜をくぐらせることにより、中釜内
のボビンから導出される下糸と絡ませて縫い目を形成す
る。そして、外釜が回転するときに中釜が伴回りしない
ように、針板下面の一対の係止部材間に中釜の係合突起
を遊嵌している。通常は外釜の回転に伴う摩擦によって
中釜の係合突起は一方の係止部材に係合し続けることと
なるが、それでは釜周囲を回る上糸ループが係合突起と
係止部材との間を通過できず、上糸ループに大きな張力
が加わり、縫い目形成動作に支障をきたすことになる。
中釜案内は、その上糸ループの通過(糸抜き)を容易に
するために、中釜に接触して該中釜を外釜の回転方向と
反対の方向に強制的に移動させて、係合突起と係止部材
との間に上糸ループ通過間隙を形成するものである。こ
れにより中釜案内は中釜から離間した位置から中釜に接
触して、該中釜を円弧を描くように移動させるときに、
互いの接触部分は衝撃とともに摺動しながら接触する。
従って、摺動のみならず衝撃の加わる中釜案内と中釜
は、特に、膜剥がれが生じ易かった。
【0004】本発明は、前記事情に鑑みてなされたもの
であり、ミシンにおいて他の部品と接触する接触部分の
無給油化を図ることができ、同時に、耐久性及び耐摩耗
性に優れたミシン部品を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】以上の課題を解決すべく
請求項1記載の発明は、例えば、図2に示すように、他
のミシン部品(例えば、図1の当接部32)と接触する
ミシン部品(例えば、中釜案内1の先端部10)であっ
て、鋼材により形成される基材100と、前記基材10
0表面を被膜する硬質のコーティング層102とを備
え、前記基材の表層部には前記コーティング層を形成す
る分子と同一の分子を浸透させた内部融合硬化層102
が設けられているものである。
【0006】前記鋼材としては、例えば、炭素鋼、合金
鋼、工具鋼、ステンレス鋼(オーステナイト系、フェラ
イト系、マルティンサイト系)、超鋼などが好ましい。
前記基材の表層部は基材の表面を含む部位であり、内部
融合硬化層は前記基材の表面を含む部位を他の物性を有
する層として変化させることで形成される。この内部融
合硬化層を形成する分子としては、Crを用いることが
好ましいが、これに限らずイオン化可能な元素、例え
ば、Ti、Si、V、Zr、Al等を用いてもよい。さ
らに、前記内部融合硬化層を形成する分子は単体に限ら
ず、2つ以上の分子であってもよい。例えば、TiAl
等が挙げられる。 さらに、前記硬質のコーティング層
は、窒化物、炭化物、酸化物等の化合物で形成されても
よい。また、本発明のミシン部品を製造する方法とし
て、以下のような方法が挙げられる。例えば、Ar雰囲
気にした真空炉内にミシン部品となるべき基材を設置
し、この基材の表層部に、前記コーティング層を形成す
る分子と同一の分子をイオン化して電子銃等で打ち込み
内部融合硬化層を形成する。このとき、前記コーティン
グ層がCrを備えるものである場合、打ち込まれるイオ
ンとしてはCrイオンを用いる。また、Crイオンを打
ち込む際に、WイオンやCイオンをともに用いてCrイ
オンの基材に対する内部融合化を促進させるようにして
もよい。次いで前記工程(第1工程)の後、基材への浸
透が終わった後もCrイオンの打ち付けを継続し、基材
の表面を被覆する工程(第2工程)を行う。この第2工
程の際に、真空炉内の雰囲気を窒素イオンまたは炭素イ
オンの雰囲気とすれば、基材を被覆するコーティング層
をCrN化合物等といった硬度が高い物質で形成するこ
とができる。
【0007】請求項1記載のミシン部品にあっては、前
記基材の表層部には、前記基材の表面を被覆する前記コ
ーティング層を形成する分子と同一の分子を浸透させた
内部融合硬化層が設けられているので、この内部融合硬
化層により前記基材に対する前記コーティング層の密着
力を向上させて表層部分の硬度を高めることができる。
したがって、他の部品が表面側から接触、特に、他の
部品が表面側から摩擦接触したり、衝撃を伴っても摩耗
しにくくなり、耐摩耗性の向上を図ることができ、他の
部品の接触に対する耐久性の向上を図ることができる。
【0008】請求項2記載の発明は、請求項1記載のミ
シン部品において、例えば、図2に示すように、前記コ
ーティング層の厚さが3〜7μmで形成されているもの
である。
【0009】前記コーティング層の製造可能な厚み範囲
は0.5〜15μmであるが、3μmより薄い場合は、
コーティング層の効果が薄く、7μmより厚い場合はコ
ーティング層自体が脆くなり衝撃に耐えうることができ
なくなる。
【0010】請求項2記載のミシン部品にあっては、請
求項1記載の発明と同様の効果を得ることができるとと
もに、前記コーティング層の厚さが3〜7μmで形成さ
れているので、他のミシン部品が接触してもそれに耐え
うる硬度的に好適なコーティング層となり、硬度を向上
させることができる。
【0011】請求項3記載の発明は、請求項1または2
記載のミシン部品において、例えば、図2に示すよう
に、前記内部融合硬化層の深さが10〜20μmで形成
されているものである。
【0012】前記内部融合硬化層は、Ar雰囲気にした
真空炉内で、前記基材の表層部に前記コーティング層を
形成する分子と同一のイオン化した分子を電子銃等で打
ち込み、厚みを0.5〜80μmで形成することができ
る。また、内部融合硬化層を10μmよりも薄くした場
合、前記基材とコーティング層とを密着させる効果が薄
くなり、20μm以上の厚みとなるようにすると、分子
の浸透が遅くなり前記内部融合硬化層の形成に時間が掛
かる。
【0013】請求項3記載のミシン部品にあっては、請
求項1または2記載の発明と同様の効果を得ることがで
きるとともに、前記内部融合硬化層の深さが10〜20
μmで形成されているので構造的にも製造的にも好適な
表面構造となる。つまり、表面硬度が低いことで相手方
と接触した際に損傷することがなく、さらに、表面硬度
を必要以上に高くし過ぎることによって製造処理自体の
コストがかさむことがない。
【0014】請求項4記載の発明は、請求項1〜3のい
ずれか記載のミシン部品において、例えば、図2に示す
ように、前記内部融合硬化層の硬度はHV800以上で
あるものである。
【0015】請求項4記載のミシン部品にあっては、請
求項1〜3のいずれか記載の発明と同様の効果を得るこ
とができるとともに、前記内部融合硬化層の硬度がHV
800以上で形成されているので、前記基材に密着した
コーティング層を有するとともに前記基材の表層部分が
HV800以上の硬度を有することとなり、従来と比べ
て、他の部品による摩擦しながらの接触や衝撃を伴う接
触に対する耐摩耗性が増加し耐久性の向上を図ることが
できる。
【0016】請求項5記載の発明は、請求項1〜4のい
ずれか記載のミシン部品において、例えば、図2に示す
ように、前記コーティング層の硬度はHV1000以上
であるものである。
【0017】請求項5記載のミシン部品にあっては、請
求項1〜4のいずれか記載の発明と同様の効果を得るこ
とができるとともに、前記コーティング層の硬度がHV
1000以上であるので、他の部品が摩擦しながら接触
したり、衝撃をともないながら接触しても摩耗しにく
い。よって耐久性の向上を図ることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下に、本発明に係るミシン部品
の実施の形態例を図1及び図2に基づいて説明する。な
お、本実施の形態では本発明に係るミシン部品をミシン
の中釜案内(オープナー)に適用して説明する。この中
釜案内は、針板下面の中釜止め部に係合突起を遊嵌して
中釜を非回転に保持した本縫いミシン用の水平釜におい
て、中釜を外釜回転方向と反対方向に強制回転させるこ
とにより、中釜止め部に上糸ループ通過間隙を形成させ
るものであるが以下に詳細に説明する。
【0019】図1に示すミシンの中釜案内1は、縫い針
の昇降運動に同期して回転する釜軸2に固定される図示
しない外釜と、下糸が巻回されたボビンを収容し且つ外
釜の内側で回転可能に嵌合された中釜3とよりなる本縫
いミシン用の水平釜装置4に用いられている。中釜案内
1の先端部10がA方向へと進退して当接部2に対して
接離動作することにより、中釜案内1及び中釜3は、実
線と仮想線とに移動する。これにより、図示しない外釜
のB方向の回転とともに中釜3を伴回りさせないように
係合する中釜3の係合突起31と針板5の係止部材51
との間や、中釜案内1と当接部32との間に上糸ループ
通過用の空間を形成して適宜上糸ループを通過させるこ
とで、図示しない針の上下駆動とともに外釜が回転して
針より上糸をすくい取り中釜3の周囲を回ることで上糸
ループを中釜にくぐらせる際に、円滑に上糸ループを中
釜3から抜けさせることができ、上糸ループを中釜3内
のボビンから導出される下糸と絡ませることにより縫い
目を形成することができる。
【0020】上記のように中釜案内1は動作するため、
その先端部10は当接部32に衝撃を伴って接触して当
接部32を摺動する。この中釜案内1の先端部10構造
の一部表面断面図を図2(a)に示す。この図2では、
強制給油手段により潤滑油が供給される従来の先端部構
造の一部表面断面図を(b)で示している。図2(a)
に示すように、中釜案内1の先端部10は、基材100
と、基材100の表面を被覆する硬質コーティング層1
03とを備え、基材100は不変層101と内部融合硬
化層102とから形成されている。基材100は鋼材か
らなり、鋼材として例えば、炭素鋼、合金鋼、工具鋼、
ステンレス鋼、超鋼などが挙げられる。また基材100
は約HV700の硬度を有する。
【0021】内部融合硬化層102は、基材100の表
面を含む表層部にCrイオンを打ち込むことで浸透さ
せ、表層部の物性を変化させてなるものである。内部融
合硬化層102の深さとしては基材100の表面から1
0〜80μmの深さが好ましいが、この実施の形態の内
部融合硬化層102の深さは、さらに好ましい基材10
0の表面から10〜20μmの深さとなっている。ま
た、内部融合硬化層102の硬度は約HV850となっ
ている。なお、この内部融合硬化層102の硬度はHV
800〜1600の範囲の硬さであれば、どの値でもよ
い。
【0022】硬質コーティング層103は、表層部に内
部融合硬化層102が形成された基材100を被覆して
いるものである。また、この硬質コーティング層103
はCrN化合物を有し、HV1000〜2500の硬度
を備える。なお、この実施の形態の硬質コーティング層
103の硬度は約HV1500となっている。また、硬
質コーティング層103の厚みは、0.5〜15μmで
あり、この実施の形態ではさらに好ましい厚みである3
〜7μmとなっている。
【0023】このように構成された中釜案内1の先端部
10では鋼材からなる基材100の表面を含む表層部に
形成された内部融合硬化層102が、基材100の表面
を被覆する硬質コーティング層103の分子と同一の分
子を備えることにより、硬質コーティング層103の基
材100に対する密着性が向上され、基材100と硬質
コーティング層103とが強固に密着している。よっ
て、先端部10の強度は従来の構造のものと比べると確
実に高められている。例えば、図2(b)の硬質コーテ
ィング層や内部融合硬化層を有しない従来の基材(図で
は従来品で示す)と比べるに、本発明の先端部10は、
基材100に至るまでに中釜3の当接部32と接触する
表面から約HV1500の硬質コーティング層103、
約HV850の内部融合硬化層102とが介在するの
で、硬質コーティング層103と内部融合硬化層102
の分強度の向上が図られている。
【0024】上記中釜案内1によれば、内部融合硬化層
102により基材100に対するコーティング層103
の密着力を向上させて表層部分の硬度が高められている
ので、当接部32が表面側から摩擦接触したり、衝撃を
伴って接触したりしても、表面部分の耐摩耗性の向上を
図ることができ、表面部分に当接部32が摩擦しながら
接触したり、衝撃を伴って接触しても摩耗しにくく、接
触に対する耐久性の向上が図られている。
【0025】次に中釜案内の先端部の製造方法について
説明する。この中釜案内1の先端部10は以下に説明す
る表面処理工程より製造される。まず、中釜案内1を真
空炉に配置し、この真空炉内をArの安定した雰囲気に
する。そして、Ar雰囲気中の真空炉内で、先端部10
を構成する鋼材からなる基材100の表層部に、イオン
化したCr、W、Cの分子を電子銃により打ち込む。す
ると、CrイオンはWイオンやCイオンにより基材の表
層部に浸透する。ここで、WイオンはCrイオンと基材
100との結合さらに高める作用があり、これによりC
rイオンを基材100に確実に浸透させて結合させるこ
とができる。このように基材100に電子銃でCrイオ
ンを打ち込むことで、基材100の表層部に内部融合硬
化層102が形成される。
【0026】そして、さらに打ち込み処理を続けて、基
材に浸透しつくした余剰分のCrイオンを基材表面に積
層させてコーティング層103を形成する。このコーテ
ィング層形成工程を行う際に、Ar雰囲気中の真空炉内
にNイオンを注入して余剰分のCrイオンとNイオンと
を反応させて基材の表面に形成されるコーティング層を
CrN化合物による硬質コーティング層103とする。
この硬質コーティング層103は、厚みが0.5〜15
μm程度、硬さがHV1000〜2500(この実施の
形態では約HV1500)となる。なお、Crイオンの
みのコーティング層であればHV700〜900程度と
なり、CrN化合物により構成されるコーティング層1
03の方が硬度が増したものとなる。なお、Nイオンを
真空炉内に注入するタイミングは、打ち込まれるCrイ
オンが基材に浸透しなくなるときであり、このタイミン
グは同じ環境化で予め確認しておく。
【0027】このように製造された中釜案内1の先端部
10では、基材100の表層部の内部融合硬化層102
と硬質コーティング層103が略同一物性を有する元素
(この実施形態ではCr)で形成されており、両者の弾
性率や熱膨張係数の差が縮まることで、密着力が向上さ
れている。さらに、硬質コーティング層103が約HV
1500の高硬度で耐摩耗性、耐酸化性に優れたCrN
膜であるので、先端部10の硬度の向上が図られてい
る。また、内部融合硬化層102を形成するために基材
100にCrイオンを注入しているので、靭性や硬度が
向上し、基材自体を強固にすることで内部融合硬化層自
体もHV800〜1600程度の硬度を有する。これに
より、内部硬化層自体の耐摩耗性が向上するので、基材
表層部の膜、つまり硬質コーティング層103が摩耗し
ても内部融合硬化層102において再度、衝撃・滑り摺
動に耐えうることができる。例えば、従来の浸炭焼き入
れ焼き戻しされた鋼材からなる部品やニッケルやリンな
どによりめっき処理された部品と、本発明の中釜案内と
を所定時間内で所定量叩いて、摩耗量を調べる叩かれ回
数・摩耗試験を行った結果、従来の浸炭焼き入れ戻しや
めっき処理されたものとくらべて、10〜15倍の叩か
れ回数に耐えて耐摩耗性を有するものであった。
【0028】なお、本実施の形態では中釜案内1の先端
部10のみ上述した表面処理工程を行ったが、この先端
部10と接触する中釜3の当接部32にも同様の表面処
理構成を施し、先端部10と同様の構造を有するものと
してもよいことは勿論である。また、本実施の形態で
は、本発明のミシン部品を中釜案内に適用して説明した
がこれに限らず、ミシンを構成する部品において、ミシ
ン駆動の際に衝撃と滑り摺動を伴い他の部材が接触する
ミシン部品に適用しても良い。例えば、ミシン部品を針
とし、針の先端部分を上述した基材、内部融合硬化層及
びコーティング層の構成とすれば、針の耐摩耗性が向上
し、耐久力の向上を図ることができる。また、本発明に
係るミシン部品は上ルーパ抱き、釜において他のミシン
部品と接触する部分、押さえ棒等、他のミシン部品と接
触する部位を有するミシン部品であればどのようなもの
にでも適用できる。
【0029】なお、以上の実施の形態例においては、基
材に打ち込まれるイオンをCrイオンとしたが、本発明
はこれに限定されるものではなく、Ti,Si,V,Z
r,Al等のイオンとしても良い。また、内部融合硬化
層を形成する際に、WやCイオンを共に基材に打ち込ま
ずに、Crイオンのみを打ち込むようにしていもよい。
また、基材に、該基材の表面を被覆するコーティング層
と略同一の分子を打ち込んで内部融合硬化層を形成する
ものであれば、上記のように真空炉内で電子銃によって
打ち込む方法で形成されなくてもよく、その製造方法は
任意であり、その他、具体的な細部構造等についても適
宜に変更可能であることは勿論である。
【0030】
【発明の効果】以上のように、請求項1記載の発明に係
るミシン部品によれば、前記基材の表層部には、前記基
材の表面を被覆する前記コーティング層を形成する分子
と同一の分子を浸透させた内部融合硬化層が設けられて
いるので、この内部融合硬化層により前記基材に対する
前記コーティング層の密着力を向上させて表層部分の硬
度を高めることができる。したがって、他のミシン部品
が表面側から接触しても、特に、他のミシン部品が表面
側から摩擦接触したり、衝撃を伴って接触したりして
も、摩耗しにくい表面部分となり耐摩耗性の向上が図ら
れ、他のミシン部品の接触に対する耐久性の向上を図る
ことができる。
【0031】請求項2記載の発明に係るミシン部品によ
れば、前記コーティング層の厚さが3〜7μmで形成さ
れているので、硬度的に好適なコーティング層となり、
表面部分の硬度を向上させることができる。
【0032】請求項3記載の発明に係るミシン部品によ
れば、前記内部融合硬化層の深さが10〜20μmで形
成されているので構造的にも製造的にも好適なものとな
る。
【0033】請求項4記載の発明に係るミシン部品によ
れば、前記内部融合硬化層の硬度がHV800以上であ
るので、前記基材に密着したコーティング層を有すると
ともに前記基材の表層部分がHV800以上の硬度を有
することとなり、従来と比べて、他の部品による摩擦し
ながらの接触や衝撃を伴う接触に対する耐摩耗性が増加
し耐久性の向上を図ることができる。
【0034】請求項5記載の発明に係るミシン部品によ
れば、前記コーティング層の硬度がHV1000以上で
あるので、衝撃や摩擦を伴って他の部品が接触しても摩
耗しにくく、該他の部品の接触に十分耐えることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のミシン部品を適用した中釜案内を装備
した水平釜周辺の平面図である。
【図2】本発明のミシン部品としての中釜案内の先端部
の概略断面図と、従来構造の先端部の概略断面図を示す
図である。
【符号の説明】 1 中釜案内(ミシン部品) 10 中釜案内の先端部(ミシン部品) 32 中釜の当接部(他のミシン部品) 100 基材 102 内部融合硬化層 103 硬質コーティング層

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】他のミシン部品と接触するミシン部品であ
    って、 鋼材により形成される基材と、 前記基材表面を被膜する硬質のコーティング層とを備
    え、 前記基材表面の表層部には前記コーティング層を形成す
    る分子と同一の分子を浸透させた内部融合硬化層が設け
    られていることを特徴とするミシン部品。
  2. 【請求項2】請求項1記載のミシン部品において、 前記コーティング層の厚さが3〜7μmで形成されてい
    ることを特徴とするミシン部品。
  3. 【請求項3】請求項1または2記載のミシン部品におい
    て、 前記内部融合硬化層の深さが10〜20μmで形成され
    ていることを特徴とするミシン部品。
  4. 【請求項4】請求項1〜3のいずれか記載のミシン部品
    において、 前記内部融合硬化層の硬度はHV800以上であること
    を特徴とするミシン部品。
  5. 【請求項5】請求項1〜4のいずれか記載のミシン部品
    において、 前記コーティング層の硬度はHV1000以上であるこ
    とを特徴とするミシン部品。
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