JP2002125655A - ポリヒドロキシアルカノエートの製造装置 - Google Patents

ポリヒドロキシアルカノエートの製造装置

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JP2002125655A JP2000330722A JP2000330722A JP2002125655A JP 2002125655 A JP2002125655 A JP 2002125655A JP 2000330722 A JP2000330722 A JP 2000330722A JP 2000330722 A JP2000330722 A JP 2000330722A JP 2002125655 A JP2002125655 A JP 2002125655A
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pha
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fatty acid
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Tsutomu Honma
務 本間
Takeshi Imamura
剛士 今村
Tetsuya Yano
哲哉 矢野
Takashi Kenmoku
敬 見目
Etsuko Sugawa
悦子 須川
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Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 「unusual PHA」の製造装置において、置換
脂肪酸と比較して入手の容易な原料を用い、製造工程の
簡略化、時間、手間及び費用の低減を図り、併せて通常
の方法でのエステル化物からの加水分解反応の困難さゆ
えの置換モノマーユニットの導入の困難を解消する。 【解決手段】 化学式[1]の置換脂肪酸エステル化物を
原料として化学式[2]のモノマーユニットを含むPHAを菌
体内に蓄積する微生物を培養する手段、培養手段への原
料[1]の供給手段、培養液からの菌体の濃縮・回収手
段、濃縮または回収した菌体から[2]を含むPHAを分離精
製する手段よりなる。(R及びR'は任意の置換基、xは0
〜8の整数。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリヒドロキシア
ルカノエート(以下、PHAと略す)を微生物によって効
率的に製造するための装置に関する。より具体的には、
置換脂肪酸エステル化物を原料として、当該原料に由来
する置換基を側鎖に有するPHAを菌体内に蓄積する能
力を有する微生物を用いて、所望の化学構造を呈するP
HAを効率的に製造するための装置に関する。
【0002】
【従来の技術】これまで、多くの微生物がポリ-3-ヒド
ロキシ酪酸(以下、PHBと略す)あるいはその他のPH
Aを生産し、菌体内に蓄積することが報告されてきた
(「生分解性プラスチックハンドブック」,生分解性プラ
スチック研究会編,(株)エヌ・ティー・エス,P178-19
7)。これらのポリマーは従来のプラスチックと同様に、
溶融加工等により各種製品の生産に利用することができ
る。さらに、生分解性であるがゆえに、自然界で微生物
により完全分解されるという利点を有している。従っ
て、従来用いられている多くの合成高分子化合物のよう
に自然環境に残留して汚染を引き起こすことがなく、ま
た、焼却処分を行う必要もないため、大気汚染や地球温
暖化の防止の観点からも有用な材料となり得る。また、
生体適合性にも優れており、医療用軟質部材等としての
応用も期待されている。
【0003】微生物産生PHAは、その生産に用いる微
生物の種類や培地組成、培養条件等により、様々な組成
や構造のものとなり得ることが知られており、これまで
主に、PHAの物性の改良という観点から、このような
組成や構造の制御に関する研究がなされてきた。
【0004】例えば、アルカリゲネス・ユウトロファス
H16株(Alcaligenes eutropusH16、ATCC N
o.17699)並びにその変異株は、培養時の炭素源を変化さ
せることによって、3-ヒドロキシ酪酸(以下、3HBと
略す)と3-ヒドロキシ吉草酸(以下、3HVと略す)との
共重合体を様々な組成比で生産することが報告されてい
る(特表平6-15604号公報、特表平7-14352
号公報、特表平8-19227号公報 等)。
【0005】また、特開平9-191893号公報で
は、コマモナス・アシドボランス・IFO 13852株(Co
mamonas acidovorans IFO 13852)が、炭素源として
グルコン酸及び1,4-ブタンジオールを用いた培養によ
り、3HBと4-ヒドロキシ酪酸とをモノマーユニット
に持つポリエステルを生産することが開示されている。
【0006】なお、これらの文献に記載されたPHAは
メチレン側鎖、エチレン側鎖以外の側鎖を有しないもの
で、ここでは「usual PHA」とする。
【0007】一方、特許公報第2642937号では、
シュードモナス・オレオボランス・ATCC 29347株(P
seudomonas oleovorans ATCC 29347)に、炭素源と
して非環状脂肪族炭化水素を与えることにより、炭素数
が6から12までの3-ヒドロキシアルカノエート(以
下、3HAと略す)をモノマーユニットとするPHAを
生産することが開示されている。
【0008】特開平5-74492号公報では、メチロ
バクテリウム属(Methylobacteriumsp.)、パラコッカ
ス属(Paracoccus sp.)、アルカリゲネス属(Alcaligene
s sp.)、シュードモナス属(Pseudomonas sp.)の微生物
を、炭素数3〜7の第一級アルコールに接触させること
により、3HBと3HVとの共重合体を生産させる方法
が開示されている。
【0009】特開平5-93049号公報、及び、特開
平7-265065号公報では、アエロモナス・キャビ
エ(Aeromonas caviae)を、オレイン酸やオリーブ油を
炭素源として培養することにより、3HBと3-ヒドロ
キシヘキサン酸(以下、3HHxと略す)の2成分共重合
体を生産することが開示されている。
【0010】さらに、ある種の微生物では、様々な置換
基、例えば、不飽和炭化水素、エステル基、アリル基、
シアノ基、ハロゲン化炭化水素、エポキシド等が導入さ
れたPHAを生産することが報告されており、このよう
な手法によって微生物産生PHAの物性改良を目指す試
みもなされ始めている。
【0011】例えば、Makromol.Chem.,191, 195
7-1965,(1990)、Macromolecules,24, 5256-5260,(1
991)、 Chirality,3, 492-494,(1991)等では、シュー
ドモナス・オレオボランスが3-ヒドロキシ-5-フェニ
ル吉草酸(以下、3HPVと略す)をモノマーユニットと
して含むPHAを生産することが報告されており、3H
PVが含まれることに起因すると思われる、ポリマー物
性の変化が認められている。
【0012】なお、これらの文献に記載されたような、
側鎖を有するPHAを、ここでは「unusual PHA」と
する。
【0013】従来、微生物産生PHAにおいては、その
生産に用いる微生物の種類や培地組成、培養条件等を変
えることにより、何通りかの組成・構造のものが得られ
ているが、それらの試みの目的は、専らPHAに含まれ
る複数の3HAの比率を変え、プラスチックとしての物
性の改良を図ることであった。
【0014】一方、前記のような置換基を側鎖に導入し
た「unusual PHA」は、導入した置換基の特性等に起
因する、極めて有用な機能・特性を具備した「機能性ポ
リマー」としての展開も期待できる。生分解性に加え
て、そのような機能性をも兼ね備えた新たなポリマー
と、そのようなポリマーを生産し菌体内に蓄積し得る微
生物、そのような微生物を用いた当該ポリマーの効率的
製造方法、並びに、そのようなポリマーを生産するため
の製造装置の開発は、極めて有用かつ重要であると考え
られる。
【0015】ところで、様々な置換基を側鎖に導入した
「unusual PHA」、即ち、下記化学式[2]で表される
モノマーユニットを含むPHAを微生物により生産する
方法としては、先に挙げたシュードモナス・オレオボラ
ンスの報告例等に示される通り、導入しようとする置換
基を有した下記化学式[3]で表される置換脂肪酸を化学
合成したのち、これを微生物に与えて培養し、生産され
たPHAを抽出する方法が一般的である。
【0016】
【化3】
【0017】
【化4】
【0018】例えば、Polymer Prepr.,35, 627-62
8,(1994)や、Can.J.Microbiol.,41, 32-43,(1995)
では、下記化学式[4]で表される方法でPHAを生産し
たと報告されている。
【0019】
【化5】
【0020】即ち、まず4-シアノフェノールと6-ブロ
モヘキサン酸エチルエステルとのWilliamson反応によ
り、6-(4-シアノフェノキシ)ヘキサン酸エチルエステ
ルを合成する。続いて、この6-(4-シアノフェノキシ)
ヘキサン酸エチルエステルをアルカリ条件下で加水分解
して、6-(4-シアノフェノキシ)ヘキサン酸を合成す
る。最後に、得られた6-(4-シアノフェノキシ)ヘキサ
ン酸を、PHA生産菌の一つであるシュードモナス・オ
レオボランスに与えて培養し、PHAを抽出することに
より、3-ヒドロキシ-6-(4-シアノフェノキシ)ヘキサ
ン酸をモノマーユニットとして含むPHAを合成するこ
とができると報告されている。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記の
ような、置換脂肪酸を化学合成して微生物に与えること
からなる「unusual PHA」の一般的な製造方法におい
ては、原料である置換脂肪酸の化学合成工程が数段階に
も渡る化学反応を要するため、「unusual PHA」を製
造するための工程が極めて煩雑となる上、その製造に多
くの時間、手間及び費用が費やされることが多かった。
さらに、導入しようとする置換基の種類や数、位置等に
よっては、原料である置換脂肪酸の合成工程における、
エステル化物からの加水分解反応が容易に進行しないな
どの障害がある可能性があり、これらが、工業レベルで
の「unusual PHA」の製造やそのための装置開発の上
での課題となっていた。
【0022】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者らは、置
換脂肪酸と比較して合成や入手の容易な原料を用いて、
「unusual PHA」を微生物生産させることからなるP
HA製造方法ならびに製造装置を開発すべく、鋭意研究
を重ねてきた。その結果、従来の原料である置換脂肪酸
の化学合成工程における中間体であり、また、置換脂肪
酸と比較して化学合成が容易でかつその自由度も高い、
下記化学式[1]で表される置換脂肪酸エステル化物を原
料として用いることによって、所望の「unusual PH
A」を効率的に取得できることを見出し、この製造方法
を工業レベルで実施する最適の手段として本発明の製造
装置を発明するに至った。
【化6】
【0023】即ち、本発明が提供するPHAの製造装置
は、上記化学式[1]で表される置換脂肪酸エステル化物
を原料として上記化学式[2]で表されるモノマーユニッ
トを含むPHAを菌体内に蓄積する微生物を培養するた
めの培養手段、培養手段に上記化学式[1]で表される置
換脂肪酸エステル化物を供給するための原料供給手段、
培養液から菌体を濃縮または回収するための濃縮・回収
手段、濃縮または回収した菌体から上記化学式[2]で表
されるモノマーユニットを含むPHAを分離精製するた
めの分離精製手段よりなることを特徴とする、PHAの
製造装置である。
【0024】
【発明の実施の形態】本発明の製造装置は、化学式[1]
で表される置換脂肪酸エステル化物を原料として化学式
[2]で表されるモノマーユニットを含むPHAを菌体内
に蓄積する微生物を培養するための培養手段、培養手段
に化学式[1]で表される置換脂肪酸エステル化物を供給
するための原料供給手段、培養液から菌体を濃縮または
回収するための濃縮・回収手段、濃縮または回収した菌
体から化学式[2]で表されるモノマーユニットを含むP
HAを分離精製するための分離精製手段よりなる。
【0025】本発明の製造装置における培養手段は、微
生物を培養し「unusual PHA」を菌体内に蓄積させる
効果を有するものであり、例えば、培養槽、攪拌装置、
温度調節装置、ガス供給装置等を備えた通気攪拌培養装
置が適している。このとき、攪拌装置は培養槽中の培養
液を攪拌する機能を有したものであれば何れのものでも
良く、例えば、攪拌羽の付いた回転軸を電動モーターに
よって回転させる回転式攪拌装置等を用いることができ
る。温度調節装置は、培養槽中の培養液の温度を、「un
usual PHA」の生産に適した条件に制御する機能を有
したものが好ましく、電熱式ヒーターや、冷温水循環装
置、蒸気供給装置等が例示できる。ガス供給装置は、培
養槽中の培養液に空気等の必要なガスを供給する機能を
有しており、必要に応じて、除菌機構を組み込んだもの
を用いることが好ましい。
【0026】本発明の製造装置における培養手段におい
て、後述する2段階培養法を実施する場合は、必要に応
じて、通気攪拌培養装置2基を直列的に配置し、その間
に、菌体を濃縮または回収するための濃縮・回収装置を
設置した培養手段を用いることができる。
【0027】また、本発明の製造装置における培養手段
には、必要に応じてシード培養のための手段を組み込む
ことができる。シード培養のための手段は、「unusual
PHA」の生産のための微生物の培養に必要な種菌を製
造するものであり、微生物を速やかに増殖させる機能を
有することが好ましい。シード培養のための手段として
は、微生物の特性や種菌の投入量等に応じて適宜選択す
るものであるが、例えば、種菌の投入量が多量の場合は
大型の醗酵タンク等を、また、投入量が少量の場合は小
型のジャーファーメンターやフラスコ培養装置等を用い
ることができる。
【0028】原料供給手段は、化学式[1]で表される置
換脂肪酸エステル化物を、任意の時期に培地に所定量投
入する機能を有するものであれば、特に制限なく用いる
ことができる。例えば、化学式[1]で表される置換脂肪
酸エステル化物を水または培地に溶解または懸濁させた
状態で供給しようとする場合は、密閉可能なガラス製耐
圧容器の上部に圧縮空気送入口を配しかつ下部に送液用
の配管を施した容器付き送液装置を用いることができ
る。
【0029】また、簡易には、化学式[1]で表される置
換脂肪酸エステル化物を貯留する容器と、培養槽に接続
された原料投入口とが、何等かの輸送手段で媒介された
形態からなる手段を用いることもできる。
【0030】前記の原料供給手段を設置することによ
り、「unusual PHA」の生産技術における重要な課題
の一つである、原料供給の量およびタイミングの最適化
を果たすことが可能となる。即ち、例えば、原料として
用いようとした置換脂肪酸エステル化物が、微生物の生
育阻害作用を有した場合、その供給量および供給時期を
最適化することにより、生育阻害作用の影響を最小限と
し、十分な量・質の「unusual PHA」を取得すること
が可能となる。
【0031】本発明の装置における濃縮・回収手段とし
ては、遠心分離、濾過、真空濃縮等、培養液の濃縮・回
収を達成可能な各種の機能を含む装置等を用いることが
できる。
【0032】本発明の装置における分離精製手段は、微
生物の菌体からPHAを分離・精製する機能を有するも
のであればいかなるものでもよい。例えば、通常行われ
ているクロロホルムなどの有機溶媒による抽出が最も簡
便ではあるが、有機溶媒が使用しにくい環境中において
は、SDS等の界面活性剤による処理、リゾチーム等の
酵素による処理、EDTA、次亜塩素酸ナトリウム、ア
ンモニア等の薬剤による処理によって菌体成分を除去し
て、PHAを分離・精製することもできる。
【0033】本発明の装置による PHAの生産に用い
る原料である、化学式[1]で表される置換脂肪酸エステ
ル化物としては、微生物による「unusual PHA」生産
の原料として用いられ得るものであれば特に限定されな
いが、例えば、フェニル基、フェノキシ基、ベンゾイル
基、シクロヘキシル基、チエニル基等の官能基や、これ
ら官能基の任意の部位が各種の化学修飾を受けたものを
含む脂肪酸を用いることができる。さらに具体的には、
例えば、5-フェニル吉草酸メチルエステル、5-(4-フ
ルオロフェニル)吉草酸メチルエステル、6-フェニルヘ
キサン酸メチルエステル、4-フェノキシ-n-酪酸メチル
エステル、4-(3-フルオロフェノキシ)-n-酪酸メチル
エステル、4-(4-フルオロフェノキシ)-n-酪酸メチル
エステル、4-(4-シアノフェノキシ)-n-酪酸メチルエ
ステル、4-(4-ニトロフェノキシ)-n-酪酸メチルエス
テル、5-フェノキシ吉草酸メチルエステル、5-(4-フ
ルオロフェノキシ)吉草酸メチルエステル、5-ベンゾイ
ル吉草酸メチルエステル、4-シクロヘキシル酪酸メチ
ルエステル、5-(2-チエニル)吉草酸メチルエステル、
5-フェニル吉草酸エチルエステル、5-(4-フルオロフ
ェニル)吉草酸エチルエステル、6-フェニルヘキサン酸
エチルエステル、4-フェノキシ-n-酪酸エチルエステ
ル、4-(3-フルオロフェノキシ)-n-酪酸エチルエステ
ル、4-(4-フルオロフェノキシ)-n-酪酸エチルエステ
ル、4-(4-シアノフェノキシ)-n-酪酸エチルエステ
ル、4-(4-ニトロフェノキシ)-n-酪酸エチルエステ
ル、5-フェノキシ吉草酸エチルエステル、5-(4-フル
オロフェノキシ)吉草酸エチルエステル、5-ベンゾイル
吉草酸エチルエステル、4-シクロヘキシル酪酸エチル
エステル、5-(2-チエニル)吉草酸エチルエステル等の
置換脂肪酸エステル化物を用いることができる。
【0034】以下に、本発明において利用される微生
物、培養工程等について説明する。
【0035】(微生物)本発明の装置によるPHAの生産
に用いる微生物としては、化学式[1]で表される置換脂
肪酸エステル化物を原料(基質)にして、化学式[2]で表
されるモノマーユニットを含むPHAを生産する能力を
有する微生物を用いることができるが、例えば、前述の
シュードモナス・オレオボランスや、特願平11-37
1863号記載のPHA生産微生物である、シュードモ
ナス・チコリアイ・YN2株(Pseudomonas cichorii
YN2)、シュードモナス・チコリアイ・H45株(Pseud
omonas cichorii H45)、シュードモナス・ジェッセニ
イ・P161株(Pseudomonas jessenii P161)を用いる
ことができる。なお、YN2株は寄託番号「FERM
P-17411」として、H45株は寄託番号「FERM P-17
410」として、P161株は寄託番号「FERM P-1744
5」として、通商産業省 工業技術院 生命工学工業技術
研究所(特許微生物寄託センター)にそれぞれ寄託されて
いる。
【0036】前記のH45株、YN2株およびP161株の菌
学的性質を列挙すれば以下の通りである。
【0037】<H45株の菌学的性質> (1)形態学的性質 細胞の形と大きさ :桿菌、0.8μm×1.0〜1.2μm 細胞の多形性 :なし 運動性 :あり 胞子形成 :なし グラム染色性 :陰性 コロニー形状 :円形、全縁なめらか、低凸状、表
層なめらか、光沢、クリーム色 (2)生理学的性質 カタラーゼ :陽性 オキシダーゼ :陽性 O/F試験 :酸化型 硝酸塩の還元 :陰性 インドールの生成 :陰性 ブドウ糖酸性化 :陰性 アルギニンジヒドロラーゼ :陰性 ウレアーゼ :陰性 エスクリン加水分解 :陰性 ゼラチン加水分解 :陰性 β-ガラクトシダーゼ :陰性 King'sB寒天での蛍光色素産生:陽性 4%NaClでの生育 :陰性 ポリ-β-ヒドロキシ酪酸の蓄積 :陰性 (3)基質資化能 ブドウ糖 :陽性 L-アラビノース :陰性 D-マンノース :陽性 D-マンニトール :陽性 N-アセチル-D-グルコサミン :陽性 マルトース :陰性 グルコン酸カリウム :陽性 n-カプリン酸 :陽性 アジピン酸 :陰性 dl-リンゴ酸 :陽性 クエン酸ナトリウム :陽性 酢酸フェニル :陽性 <YN2株の菌学的性質> (1)形態学的性質 細胞の形と大きさ :桿菌、0.8μm×1.5〜2.0μm 細胞の多形性 :なし 運動性 :あり 胞子形成 :なし グラム染色性 :陰性 コロニー形状 :円形、全縁なめらか、低凸状、表
層なめらか、光沢、半透明 (2)生理学的性質 カタラーゼ :陽性 オキシダーゼ :陽性 O/F試験 :酸化型 硝酸塩の還元 :陰性 インドールの生成 :陽性 ブドウ糖酸性化 :陰性 アルギニンジヒドロラーゼ :陰性 ウレアーゼ :陰性 エスクリン加水分解 :陰性 ゼラチン加水分解 :陰性 β-ガラクトシダーゼ :陰性 King'sB寒天での蛍光色素産生:陽性 4%NaClでの生育 :陽性(弱い生育) ポリ-β-ヒドロキシ酪酸の蓄積 :陰性 Tween80の加水分解 :陽性 (3)基質資化能 ブドウ糖 :陽性 L-アラビノース :陽性 D-マンノース :陰性 D-マンニトール :陰性 N-アセチル-D-グルコサミン :陰性 マルトース :陰性 グルコン酸カリウム :陽性 n-カプリン酸 :陽性 アジピン酸 :陰性 dl-リンゴ酸 :陽性 クエン酸ナトリウム :陽性 酢酸フェニル :陽性 <P161株の菌学的性質> (1)形態学的性質 細胞の形と大きさ :球状、φ0.6μm 桿状、0.6μm×1.5〜2.0μm 細胞の多形性 :あり(伸長型) 運動性 :あり 胞子形成 :なし グラム染色性 :陰性 コロニー形状 :円形、全縁なめらか、低凸状、表
層なめらか、淡黄色 (2)生理学的性質 カタラーゼ :陽性 オキシダーゼ :陽性 O/F試験 :酸化型 硝酸塩の還元 :陽性 インドールの生成 :陰性 ブドウ糖酸性化 :陰性 アルギニンジヒドロラーゼ :陽性 ウレアーゼ :陰性 エスクリン加水分解 :陰性 ゼラチン加水分解 :陰性 β-ガラクトシダーゼ :陰性 King'sB寒天での蛍光色素産生:陽性 (3)基質資化能 ブドウ糖 :陽性 L-アラビノース :陽性 D-マンノース :陽性 D-マンニトール :陽性 N-アセチル-D-グルコサミン :陽性 マルトース :陰性 グルコン酸カリウム :陽性 n-カプリン酸 :陽性 アジピン酸 :陰性 dl-リンゴ酸 :陽性 クエン酸ナトリウム :陽性 酢酸フェニル :陽性 また、シュードモナス属に属する微生物に加えて、アエ
ロモナス属(Aeromonas sp.)、コマモナス属(Comam
onas sp.)、バークホルデリア属(Burkholderia sp.)な
どに属し、化学式[1]で表される置換脂肪酸エステル化
物を原料(基質)として用いて、化学式[2]で表されるモ
ノマーユニットを含むPHAを生産する微生物を用いる
ことも可能である。
【0038】本発明にかかるPHAの製造方法に用いる
微生物の通常の培養、例えば、保存菌株の作成、PHA
の生産に必要とされる菌数や活性状態を確保するための
増殖などには、用いる微生物の増殖に必要な成分を含有
する培地を適宜選択して用いる。例えば、微生物を通常
増殖させる場合、または、本発明の装置によるPHAの
生産においてシード培養を行う場合は、微生物の生育や
生存に悪影響を及ぼすものでない限り、一般的な天然培
地(肉汁培地、L-培地 など)や、栄養源を添加した合成
培地など、いかなる種類の培地をも用いることができ
る。温度、通気、攪拌などの培養条件は、用いる微生物
に応じて適宜選択する。
【0039】本発明の装置によるPHAの生産におい
て、化学式[2]で表されるモノマーユニットを含むPH
Aを生産・蓄積させる場合は、化学式[1]で表される置
換脂肪酸エステル化物と、グルコース、フルクトース、
マンノース、ポリペプトン、酵母エキス等の微生物の増
殖基質とを含んだ無機培地等で対数増殖後期から定常期
の時点まで培養し、菌体を遠心分離等で回収したのち、
化学式[1]で表される置換脂肪酸エステル化物と前記増
殖基質とを含んだ、無機窒素源を制限した無機培地で更
に培養する2段階培養法を用いることができる。また、
化学式[1]で表される置換脂肪酸エステル化物と上記増
殖基質とを含んだ無機培地等で対数増殖後期から定常期
の時点まで培養する1段階培養法を用いることもでき
る。
【0040】前記の培養方法に用いる無機培地として
は、リン源(例えば、リン酸塩など)、無機窒素源(例え
ば、アンモニウム塩、硝酸塩など)など、当該微生物が
増殖し得る成分を含んでいるものであればいかなるもの
でも良く、例えば、MSB培地、M9培地などを挙げる
ことができる。なお、本発明における実施例で用いるM
9培地の組成は以下の通りである。 Na2HPO4 :6.2 g KH2PO4 :3.0 g NaCl :0.5 g NH4Cl :1.0 g (培地1リットル中、pH7.0)また、培地に添加する原
料の置換脂肪酸エステル化物の濃度は、微生物の属種、
菌体密度、あるいは培養方法に応じて適宜選択するもの
であるが、通常、培地中の含有率を 0.01%から 0.5%
程度に選択して添加するとよい。ただし、前記の2段階
培養法においては、1段階目の培養時に置換脂肪酸エス
テル化物を添加せずに培養することも可能である。
【0041】置換脂肪酸エステル化物の添加は、通常、
培地殺菌前に行うものであるが、本発明の装置において
は、必要に応じて、培地殺菌後や培養中の任意の時期に
添加することも可能である。また、置換脂肪酸エステル
化物を数回に分けて添加することも可能である。これに
より、「unusual PHA」の生産条件を最適化すること
が可能となる。
【0042】加えて、グルコース、フルクトース、マン
ノース、ポリペプトン、酵母エキス等の微生物の増殖基
質を添加する際は、その濃度は、微生物の属種、菌体密
度、あるいは培養方法に応じて適宜選択するものである
が、通常、培地中の含有率を0.1%から1.0%程度に
選択して添加するとよい。ただし、前記の2段階培養法
においては、2段階目の培養時に増殖基質を添加せずに
培養することも可能である。
【0043】本発明の装置によるPHAの生産における
微生物の培養温度は、微生物の属種、菌体密度、あるい
は培養方法に応じて適宜選択するものではあるが、通
常、使用する微生物が生育・増殖可能な範囲、例えば1
4〜40℃、好ましくは20〜35℃程度に維持するこ
とが好ましい。
【0044】なお、本発明の装置による「unusual PH
A」の生産における微生物の培養、「unusual PHA」
の菌体内への蓄積、並びに、菌体からの「unusual PH
A」の分離・精製は、上に例示した具体的な方法に限定
されるものではない。
【0045】
【実施例】以下に具体例を示し、本発明の装置をより詳
しく説明する。これらの具体例は、本発明における最良
の態様の一例ではあるが、本発明は以下の具体例によっ
て何ら限定されるものではない。
【0046】まず、添付の図面を用いて本発明の装置を
説明する。添付の図面中、図1は、1基の培養槽を備え
た本発明の第1の態様の具体例であり、前記の1段階培
養法により「unusual PHA」を製造する方法に適した
装置である。
【0047】図1に示した具体例の装置は、培養手段が
培地・種菌投入管1およびその弁2と、回転式攪拌装置
3と、温度調節装置4と、エアーコンプレッサー5より
空気を供給するガス供給口6と、培養液輸送管7および
その弁8とを備えた培養槽9からなり、原料供給手段が
エアーコンプレッサー5より圧縮空気を導入可能な置換
脂肪酸エステル化物タンク10と培養槽9へつながる置
換脂肪酸エステル化物輸送管11からなり、濃縮・回収
手段が連続式遠心分離装置12、真空乾燥装置13、菌
体輸送手段14からなり、分離精製手段が攪拌装置15
と、薬剤タンク16とを備えた抽出槽17、抽出液輸送
管18およびその弁19、濾過装置20、真空乾燥装置
21からなるPHAの製造装置である。
【0048】この装置を用いて置換基を側鎖に有するP
HAを製造するには、微生物の種菌を培地・種菌投入管
1を経て培養槽9中の培地に接種し、置換脂肪酸エステ
ル化物タンク10より置換脂肪酸エステル化物輸送管1
1を経て、原料である置換脂肪酸エステル化物を適宜供
給して培養したのち、連続式遠心分離装置12で菌体を
回収し、必要に応じて真空乾燥装置13で菌体を乾燥し
て、これを抽出槽17に投入して、薬剤タンク16より
投入した抽出媒体と混合することにより、菌体内に蓄積
された所望のPHAを抽出する。抽出液は抽出液輸送管
18を経て濾過装置20に供給し、抽出残渣を除去した
後、真空乾燥装置21を用いて乾燥および洗浄を行っ
て、所望の「unusual PHA」を得る。
【0049】一方、添付の図面中、図2は、2基の培養
槽を備えた本発明の第2の態様の具体例であり、前記の
2段階培養法により「unusual PHA」を製造する方法
に適した装置である。
【0050】図2に示した具体例の装置は、培養手段が
培地・種菌投入管22およびその弁23と、回転式攪拌
装置24と、温度調節装置25と、エアーコンプレッサ
ー26より空気を供給するガス供給口27と、培養液輸
送管28およびその弁29とを備えた1次培養槽30、
連続遠心分離装置31、菌体輸送管32およびその弁3
3、培地投入管34およびその弁35と、回転式攪拌装
置36と、温度調節装置37と、エアーコンプレッサー
26より空気を供給するガス供給口38と、培養液輸送
管39およびその弁40とを備えた2次培養槽41から
なり、原料供給手段がエアーコンプレッサー26より圧
縮空気を導入可能な置換脂肪酸エステル化物タンク42
と、1次培養槽30へつながる置換脂肪酸エステル化物
輸送管43と、置換脂肪酸エステル化物タンク44と、
2次培養槽41へつながる置換脂肪酸エステル化物輸送
管45からなり、濃縮・回収手段が連続式遠心分離装置
46、真空乾燥装置47、菌体輸送手段48からなり、
分離精製手段が攪拌装置49と、薬剤タンク50とを備
えた抽出槽51、抽出液輸送管52およびその弁53、
濾過装置54、真空乾燥装置55からなるPHAの製造
装置である。
【0051】この装置を用いて置換基を側鎖に有するP
HAを製造するには、微生物の種菌を培地・種菌投入管
22を経て1次培養槽30中の培地に接種し、置換脂肪
酸エステル化物タンク42より置換脂肪酸エステル化物
輸送管43を経て、原料である置換脂肪酸エステル化物
を適宜供給して培養したのち、連続式遠心分離装置31
で菌体を回収し、回収菌体を菌体輸送管32を経て2次
培養槽41中の培地に移植しさらに培養する。この培養
液から連続式遠心分離装置46で菌体を回収し、必要に
応じて真空乾燥装置47で菌体を乾燥して、これを抽出
槽51に投入して、薬剤タンク50より投入した抽出媒
体と混合することにより、菌体内に蓄積された所望のP
HAを抽出する。抽出液は抽出液輸送管52を経て濾過
装置54に供給し、抽出残渣を除去した後、真空乾燥装
置55を用いて乾燥および洗浄を行って、所望の「unus
ual PHA」を得る。
【0052】なお、本発明の製造装置の態様および本発
明の装置を用いた「unusual PHA」の製造方法は、上
に例示した具体例に限定されるものではない。
【0053】本発明の製造装置を用いた、置換基を側鎖
に有する「unusual PHA」の製造の具体的な実施例を
以下に挙げる。
【0054】[実施例1]容量 50Lのジャーファーメンタ
ーを培養槽として配置した図1のごとき装置を作製し
た。培養槽中にD-グルコース 0.5%を含むM9培地 25
Lを調製し、120℃で10分間滅菌した。ここに、滅菌し
た5-フェニル吉草酸メチルエステルの 10%懸濁液 250
mLを投入し、予めフラスコ培養したシュードモナス・
チコリアイ・YN2株を種菌として 250mL植菌したの
ち、70rpmの攪拌下、温度30℃、通気量 10L/分の
条件で通気攪拌培養した。44時間後、培養液を連続遠
心分離装置に輸送し、遠心分離により培養液を 2Lに濃
縮したのち、抽出槽に移送し、12%次亜塩素酸ナトリウ
ム溶液1Lを投入して 2.5時間攪拌することにより抽出
処理した。抽出液は連続遠心分離装置に輸送し、遠心分
離して上清を除去してPHAを回収した。これを真空乾
燥装置に移送し、乾燥して所望のPHAを得た。
【0055】得られたPHAの一部を、常法に従ってメ
タノリシスしたのち、ガスクロマトグラフィー-質量分
析装置(GC-MS,島津QP-5050、EI法)で分析し、P
HAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行
った。その結果、表1に示す通り、3-ヒドロキシ-5-
フェニル吉草酸をモノマーユニットとして含むPHAの
生産が確認された。
【0056】
【表1】
【0057】[実施例2]容量 10Lのジャーファーメンタ
ー2基を培養槽として配置した図2のごとき装置を作製
した。1次培養槽中にD-グルコース 0.5%を含むM9
培地5Lを、また、2次培養槽にD-グルコース 0.5%を
含む、無機窒素源(NH4Cl)を含まないM9培地5Lを
調製し、それぞれ 120℃で10分間滅菌した。1次培養
槽に、滅菌した5-フェニル吉草酸メチルエステルの1
%懸濁液 50mLを投入し、予めフラスコ培養したシュー
ドモナス・チコリアイ・YN2株を種菌として 50mL植
菌したのち、100rpmの攪拌下、温度30℃、通気量5L
/分の条件で通気攪拌培養した。48時間後、1次培養
液を連続遠心分離装置に輸送し、遠心分離により培養液
を 50mLに濃縮したのち、2次培養槽に投入し、さらに
滅菌した5-フェニル吉草酸メチルエステルの 10%懸濁
液 50mLを投入し、100rpmの攪拌下、温度30℃、通
気量5L/分の条件で通気攪拌培養した。48時間後、2
次培養液を連続遠心分離装置に輸送し、遠心分離により
培養液を 50mLに濃縮したのち、抽出槽に移送し、12%
次亜塩素酸ナトリウム溶液 25mLを投入して 2.5時間攪
拌することにより抽出処理した。抽出液は連続遠心分離
装置に輸送し、遠心分離して上清を除去してPHAを回
収した。これを真空乾燥装置に移送し、乾燥して所望の
PHAを得た。
【0058】得られたPHAの一部を、常法に従ってメ
タノリシスしたのち、ガスクロマトグラフィー-質量分
析装置(GC-MS,島津QP-5050、EI法)で分析し、P
HAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行
った。その結果、表1に示す通り、3-ヒドロキシ-5-
フェニル吉草酸をモノマーユニットとして含むPHAの
生産が確認された。
【0059】
【表2】
【0060】[実施例3]容量 10Lのジャーファーメンタ
ー2基を培養槽として配置した図2のごとき装置を作製
した。1次培養槽中にD-グルコース 0.5%を含むM9
培地5Lを、また、2次培養槽にD-グルコース 0.5%を
含む、無機窒素源(NH4Cl)を含まないM9培地5Lを
調製し、それぞれ 120℃で10分間滅菌した。1次培養
槽に、滅菌した4-フェノキシ酪酸エチルエステルの1
%懸濁液 50mLを投入し、予めフラスコ培養したシュー
ドモナス・チコリアイ・YN2株を種菌として 50mL植
菌したのち、100rpmの攪拌下、温度30℃、通気量5L
/分の条件で通気攪拌培養した。48時間後、1次培養
液を連続遠心分離装置に輸送し、遠心分離により培養液
を 50mLに濃縮したのち、2次培養槽に投入し、さらに
滅菌した4-フェノキシ酪酸エチルエステルの 10%懸濁
液 50mLを投入し、100rpmの攪拌下、温度30℃、通
気量5L/分の条件で通気攪拌培養した。48時間後、2
次培養液を連続遠心分離装置に輸送し、遠心分離により
培養液を 50mLに濃縮したのち、抽出槽に移送し、12%
次亜塩素酸ナトリウム溶液 25mLを投入して 2.5時間攪
拌することにより抽出処理した。抽出液は連続遠心分離
装置に輸送し、遠心分離して上清を除去してPHAを回
収した。これを真空乾燥装置に移送し、乾燥して所望の
PHAを得た。
【0061】得られたPHAの一部を、常法に従ってメ
タノリシスしたのち、ガスクロマトグラフィー-質量分
析装置(GC-MS,島津QP-5050、EI法)で分析し、P
HAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行
った。その結果、表1に示す通り、3-ヒドロキシ-4-
フェノキシ酪酸をモノマーユニットとして含むPHAの
生産が確認された。
【0062】
【表3】
【0063】
【発明の効果】本発明により、微生物産生ポリヒドロキ
シアルカノエートの効率的な生産装置が提供される。こ
れにより、機能性ポリマーとしても有用な、各種官能基
を導入したポリヒドロキシアルカノエートが極めて効率
的に生産でき、デバイス材料や医用材料等の各分野への
応用が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の装置の一例を示す図面。
【図2】本発明の装置の一例を示す図面。
【符号の説明】
1: 培地・種菌投入管 2: 弁(培地・種菌投入管用) 3: 回転式攪拌装置 4: 温度調節装置 5: エアーコンプレッサー 6: ガス供給口 7: 培養液輸送管 8: 弁(培養液輸送管用) 9: 培養槽 10: 置換脂肪酸エステル化物タンク 11: 置換脂肪酸エステル化物輸送管 12: 連続式遠心分離装置 13: 真空乾燥装置 14: 菌体輸送手段 15: 攪拌装置 16: 薬剤タンク 17: 抽出槽 18: 抽出液輸送管 19: 弁(抽出液輸送管用) 20: 濾過装置 21: 真空乾燥装置 22: 培地・種菌投入管 23: 弁(培地・種菌投入管用) 24: 回転式攪拌装置 25: 温度調節装置 26: エアーコンプレッサー 27: ガス供給口 28: 培養液輸送管 29: 弁(培養液輸送管) 30: 1次培養槽 31: 連続式遠心分離装置 32: 培養液輸送管 33: 弁(培養液輸送管) 34: 培地投入管 35: 弁(培地投入管) 36: 回転式攪拌装置 37: 温度調節装置 38: ガス供給口 39: 培養液輸送管 40: 弁(培養液輸送管) 41: 2次培養槽 42: 置換脂肪酸エステル化物タンク 43: 置換脂肪酸エステル化物輸送管 44: 置換脂肪酸エステル化物タンク 45: 置換脂肪酸エステル化物輸送管 46: 連続式遠心分離装置 47: 真空乾燥装置 48: 菌体輸送手段 49: 攪拌装置 50: 薬剤タンク 51: 抽出槽 52: 抽出液輸送管 53: 弁(抽出液輸送管用) 54: 濾過装置 55: 真空乾燥装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 矢野 哲哉 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 見目 敬 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 須川 悦子 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 4B029 AA02 BB02 CC01 DA10 DB01 DB11 DF01 DF04 DF05 DF06 DF08 DG06 DG08 4B064 AD83 CA02 CB03 CC01 CD07 CD09 CE08 CE16 DA01 DA16 4B065 AA41X AC12 AC14 AC16 BB01 BB09 BB15 BC03 BC05 BC09 BC11 BC20 BD14 BD16 CA12 CA44 CA55

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記化学式[1]で表される置換脂肪酸エ
    ステル化物を原料として下記化学式[2]で表されるモノ
    マーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを菌
    体内に蓄積する微生物を培養するための培養手段、培養
    手段に下記化学式[1]で表される置換脂肪酸エステル化
    物を供給するための原料供給手段、培養液から菌体を濃
    縮または回収するための濃縮・回収手段、濃縮または回
    収した菌体から下記化学式[2]で表されるモノマーユニ
    ットを含むポリヒドロキシアルカノエートを分離精製す
    るための分離精製手段よりなることを特徴とする、ポリ
    ヒドロキシアルカノエートの製造装置。 【化1】 【化2】
  2. 【請求項2】 培養手段が、1基の通気攪拌培養装置か
    らなる構成単位を含む請求項1に記載のポリヒドロキシ
    アルカノエートの製造装置。
  3. 【請求項3】 培養手段が、直列的に配置された2基の
    通気攪拌培養装置と、その間に配置された菌体濃縮・回
    収装置とからなる構成単位を含む請求項1に記載のポリ
    ヒドロキシアルカノエートの製造装置。
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