JP2002119519A - 改良した焼灼電極を有するカテーテル - Google Patents

改良した焼灼電極を有するカテーテル

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 改善された焼灼電極を有するカテーテルを提
供する。 【解決手段】 本発明の焼灼カテーテルは基端部および
先端部およびこれらを貫通する少なくとも１個の内孔部
を有する細長くて柔軟なカテーテル本体部分を備える。
少なくとも約３ｍｍの長さを有する先端電極がカテーテ
ル本体部分の先端部に取り付けられている。この先端電
極は外表面部を有する基材と、当該基材の外表面部の少
なくとも一部分の上に備えられた多孔質層とを有してお
り、この多孔質層は金属窒化物、金属酸化物、金属炭化
物、金属浸炭窒化物、炭素、カルボキシ窒化物、または
これらの混合物を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は改良した焼灼用の先
端電極を有するカテーテルに関する。
【０００２】
【従来の技術】電極カテーテルは多年にわたり医療の実
施において一般に使用されてきた。これらは心臓内の電
気的活性の刺激およびマッピング、および異常な電気的
活性部位の焼灼のために使用されている。
【０００３】使用時において、電極カテーテルは、例え
ば、大腿動脈等の主要な静脈または動脈の中に挿入され
た後に、関与の心臓の室内に案内される。心臓の中にお
いては、カテーテル先端部の正確な位置および配向を制
御する能力が重要であり、そのカテーテルの有用性の如
何を決める主要素である。
【０００４】典型的な焼灼処理は先端部において先端電
極を有するカテーテルを心臓の室内に挿入する処理を含
む。一般に、基準電極が患者の皮膚にテープ留めされて
備えられる。さらに、ＲＦ（高周波）電流が先端電極に
供給されて、この電流が先端電極の周囲の媒体、すなわ
ち、血液および組織の中を基準電極に向かって流れる。
この電流の分布は組織よりも高い導電性を有する血液に
比べた場合の組織に接触している電極表面の量により決
まる。その後、組織の電気的な抵抗により組織の発熱が
生じる。さらに、組織が十分に加熱されるとその心臓組
織における細胞の構造破壊が生じて、電気的に非伝導性
の心臓組織内の外傷部分が形成される。この処理中に、
電極の発熱が加熱された組織から電極自体への熱伝導に
より生じる。電極温度が、例えば６０℃以上に十分に高
くなると、脱水した血液蛋白の薄い透明な被膜が電極の
表面上に形成するようになる。さらに温度が上昇し続け
ると、この脱水した層の厚さの増加が進行して電極表面
上に血液が凝固する。脱水した生物物質は心臓内組織よ
りも高い電気的抵抗を有しているので、この組織内への
電気的エネルギーの流れに対するインピーダンスも高ま
る。さらに、このインピーダンスが十分に増加すると、
インピーダンスの上昇が生じるので、カテーテルを患者
の身体から除去して先端電極を洗浄しなければならな
い。
【０００５】臨床処置の実施において、上記のようなイ
ンピーダンスの上昇を減少または消去することが望まし
く、特定の心臓不整脈の場合において、比較的大きな、
および／または、比較的深い外傷部分を形成することが
望ましい。このことを達成するための方法の一例は焼灼
電極の温度をモニターしてこの温度に基づいて焼灼電極
に供給するＲＦ電流を調整することである。すなわち、
この温度上昇が所定の値を超えると、温度降下がこの値
よりも低くなるまで電流が減少される。この方法は心臓
の焼灼処理中におけるインピーダンス上昇の数値を減少
するが、外傷部分の大きさを著しく上昇することはなか
った。さらに、この方法が心臓内の位置および心臓内の
表面に対するカテーテルの配向により決まる血液の冷却
作用に依然として依存しているために、これらの結果は
それ以前の方法に比して有意差を示していない。
【０００６】別の方法は血液の比較的受動的な生理作用
による冷却に依存する代わりに、例えば、室温における
生理塩水により焼灼電極を灌注する方法である。この方
法によれば、境界領域部分の温度によりＲＦ電流の強度
が制限されなくなるので、電流を増加することができ
る。この結果、外傷部分がさらに大きくまたは球形に近
く形成できるようになり、その寸法は通常において約１
０ｍｍ乃至１２ｍｍにすることができる。しかしなが
ら、流体供給ポンプを必要とする灌注式の電極は標準的
な焼灼電極に比して一般に高価である。さらに、この灌
注式電極において使用される生理塩水またはその他の流
体が患者の体内に蓄積しやすい。
【０００７】
【発明が解決しようとする課題】従って、従来に比して
深い焼灼による外傷部分を形成するための改善された手
法が要望されている。
【０００８】
【課題を解決するための手段】本発明は従来に比して深
い焼灼による外傷部分を形成することが可能な改良され
た先端電極を有するカテーテルに関する。実施形態の一
例において、本発明は基端部および先端部およびこれら
を貫通する少なくとも１個の内孔部を有する細長くて柔
軟なカテーテル本体部分を備える焼灼カテーテルに関す
る。少なくとも約３ｍｍの長さを有する先端電極がカテ
ーテル本体部分の先端部に取り付けられている。この先
端電極は外表面部を有する基材および当該基材の外表面
部の少なくとも一部分の上に備えられた多孔質層を有し
ており、この多孔質層は金属窒化物、金属酸化物、金属
炭化物、金属浸炭窒化物（metal carbonitride）、炭
素、カルボキシ窒化物、またはこれらの組合せを有す
る。好ましくは、温度センサーが上記の先端電極に取り
付けられている。
【０００９】また、別の実施形態において、本発明はカ
テーテルおよび高周波エネルギーの供給源により構成さ
れている焼灼システムに関する。このカテーテルは基端
部および先端部およびこれらを貫通する少なくとも１個
の内孔部を有する細長くて柔軟なカテーテル本体部分を
備える。さらに、先端電極がカテーテル本体部分の先端
部に取り付けられている。この先端電極は外表面部を有
する基材および当該基材の外表面部の少なくとも一部分
の上に備えられた多孔質層を有しており、この多孔質層
は金属窒化物、金属酸化物、金属炭化物、金属浸炭窒化
物、炭素、カルボキシ窒化物、またはこれらの組合せを
有する。さらに、高周波エネルギーの供給源が先端電極
に電気的に接続されている。
【００１０】さらに、別の実施形態において、本発明は
患者を焼灼処理するための方法に関する。この方法は上
記のカテーテルを供給する工程を備える。すなわち、こ
の方法において、焼灼カテーテルはその先端電極を焼灼
する組織に接触させるように患者の体内に導入される。
その後、エネルギーが先端電極に供給されて、組織の中
に焼灼による外傷部分が形成される。
【００１１】本発明の上記およびその他の特徴および利
点は以下の図面に基づく詳細な説明を参考にすることに
よりさらに明らかになる。
【００１２】
【発明の実施の形態】本発明の特に好ましい実施形態に
おいて、コーティングした先端電極を有するカテーテル
が提供される。図１乃至図３に示すように、このカテー
テルは基端部および先端部を有する細長いカテーテル本
体部分１２、当該カテーテル本体部分１２の先端部にお
けるカテーテル先端部分１４、およびカテーテル本体部
分１２の基端部における制御ハンドル１６により構成さ
れている。
【００１３】図２において、カテーテル本体部分１２は
単一の軸方向または中央の内孔部１８を有する細長い構
造を有している。このカテーテル本体部分１２は屈曲可
能であるが、その長さ方向に沿って実質的に圧縮不可能
である。また、カテーテル本体部分１２は任意の適当な
構造を有することができ、任意の適当な材料により作成
できる。現在において好ましいと考えられる構造はポリ
ウレタンまたはＰＥＢＡＸ（商標）により作成された外
壁部２０を有している。この外壁部２０は高力スチー
ル、ステンレス・スチール等の埋込式編組メッシュによ
り構成されていて、制御ハンドル１６の回転時に、カテ
ーテル１０の先端部分がこれに追随して回転するように
カテーテル本体部分１２の剛性が賦与できるようになっ
ている。カテーテル本体部分１２の外径は特に定めない
が、約８フレンチ（２．６４ｍｍ）以下であるのが好ま
しく、約７フレンチ（２．３１ｍｍ）以下であるのがさ
らに好ましく、約６フレンチ（２．００ｍｍ）以下であ
るのがさらに好ましい。同様に、外壁部２０の外径も特
に定めないが、中央内孔部１８が引張ワイヤ、リード
線、およびその他の任意のワイヤ、ケーブルまたはチュ
ーブに適応できる程度に十分に薄いことが好ましい。必
要であれば、外壁部２０の内表面部に開示の全体が本明
細書に参考文献として含まれる米国特許第５，８９７，
５２９号に記載されるような剛性賦与チューブ（図示せ
ず）を内張りすることができる。
【００１４】図２および図３に示すように、カテーテル
先端部分１４は２個の内孔部２４および２６を有するチ
ューブ２２の短い部分を含むが、必要に応じてさらに付
加的な内孔部を備えることが可能である。このチューブ
２２はカテーテル本体部分１２よりもさらに柔軟である
ことが好ましい適当な無毒性の材料により作成されてい
る。このチューブ２２のための現在において好ましいと
考えられる材料は編組ポリウレタン、すなわち、編組高
力スチールまたはステンレス・スチール等の埋込メッシ
ュを有するポリウレタンである。カテーテル先端部分１
４の外径は、カテーテル本体部分１２の外径と同様に、
約８フレンチ（２．６４ｍｍ）以下であるのが好まし
く、約７フレンチ（２．３１ｍｍ）以下であるのがさら
に好ましく、約６フレンチ（２．００ｍｍ）以下である
のがさらに好ましい。また、内孔部の数および寸法は特
に定める必要がなく、カテーテルを使用する特定用途に
応じて変更できる。
【００１５】カテーテルの有用な長さ、すなわち、患者
の体内に挿入できる部分の長さは必要に応じて変更でき
る。好ましくは、この有用な長さは少なくとも約１００
ｃｍであり、さらに好ましくは約１１０ｃｍ乃至約１２
０ｃｍの範囲内である。また、カテーテル先端部分１４
の長さは上記の有用な長さの比較的短い部分であり、好
ましくは約３．５ｃｍ乃至約１０ｃｍの範囲内であり、
さらに好ましくは約５ｃｍ乃至約６．５ｃｍの範囲内で
ある。
【００１６】カテーテル本体部分１２をカテーテル先端
部分１４に取り付けるための好ましい手段を図２に示
す。カテーテル先端部分１４の基端部はカテーテル本体
部分１２の外壁部２０の内表面部を受容する外周ノッチ
部２８を有している。これらのカテーテル先端部分１４
およびカテーテル本体部分１２は接着剤（例えば、ポリ
ウレタン接着剤）等により取り付けられている。
【００１７】カテーテル先端部分１４の先端部に先端電
極３０が備えられている。この先端電極３０はポリウレ
タン接着剤等、または当業界において知られる任意の適
当な別の方法によりカテーテル先端部分１４に取り付け
られている。好ましくは、この先端電極３０はチューブ
２２の外径（例えば、８フレンチ以下（２．６４ｍ
ｍ）、好ましくは約７フレンチ（２．３１ｍｍ）以下）
とほぼ同一の直径を有している。先端電極３０は心臓組
織における患部を焼灼するのに十分な長さ、好ましくは
少なくとも約３ｍｍ、さらに好ましくは約３ｍｍ乃至約
６ｍｍ、さらに好ましくは約３．８ｍｍ乃至約４．５ｍ
ｍの長さを有している。
【００１８】先端電極３０は外表面部を有していて、プ
ラチナ、金、イリジウム、チタン、タンタル、ステンレ
ス・スチールおよびこれらの合金のような任意の適当な
導電性材料により構成されている基材により形成されて
いる。特に好ましい実施形態において、この電極３０は
プラチナ−イリジウム合金（９０重量％のプラチナおよ
び１０重量％のイリジウムを含有している）により構成
されている。あるいは、この基材はセラミックまたは導
電性プラスチックのような非金属であるが導電性の材料
により構成できる。なお、当該技術分野における熟練者
により認識できるように、この他の導電性材料もこの先
端電極３０に対して使用可能である。
【００１９】さらに、先端電極３０は上記基材の外表面
部の少なくとも一部分、好ましくはその全体の上に良好
な導電性を有する多孔質層を備えている。先端電極３０
の一部分のみが多孔質層により被覆されている場合は、
当該先端電極３０および先端部分１４のチューブ２２の
接合部分において凝固を生じる可能性のあるエッジ効果
を回避するために電極３０の基端部に多孔質層が備えら
れることが好ましい。
【００２０】上記の多孔質層は金属窒化物、金属酸化
物、金属炭化物、金属浸炭窒化物、炭素、カルボキシ窒
化物、またはこれらの組合せにより作成されている。さ
らに、この多孔質層は、好ましくはプラチナの熱伝導性
と同等またはこれよりも優れた、良好な熱伝導性を有し
ていることが必要である。上記の金属はチタン、イリジ
ウム、プラチナ、バナジウム、ジルコニウム、ニオビウ
ム、ルテニウム、モリブデン、ハフニウム、タンタル、
セリウム、クロム、イットリウム、アルミニウム、ニッ
ケル、およびタングステンから選択されるのが好まし
い。上記の多孔質層に適する特に好ましい材料は窒化チ
タン、酸化イリジウム、および炭素を含む。好ましく
は、この多孔質層は約０．１ミクロン乃至約１００ミク
ロン、さらに好ましくは約１ミクロン乃至約５０ミクロ
ン、さらに好ましくは約５ミクロン乃至約３０ミクロン
の範囲の厚さを有している。
【００２１】この多孔質層はスパッタリング、イオン注
入、イオンめっき、真空コーティング、および化学蒸着
を含むがこれらに限らない任意の適当な技法により備え
ることができる。例えば、窒化チタンの多孔質層は先端
電極の基材をスパッタリング・チャンバーの中に入れる
反応性スパッタリング技法により備えることができる。
この場合に、窒素ガスの存在下に（アルゴンのようなガ
スの）イオンをチタン・ターゲットに向けて加速する。
このイオンのチタン・ターゲットに対する高速度の衝撃
により、原子がチタン・ターゲットの表面から移動し、
さらに窒素ガスと反応することにより窒化チタンが形成
される。このコーティング処理中において、多孔質構造
を形成するために窒素ガスの圧力が減少される。
【００２２】この多孔質層は先端電極３０の表面積を少
なくとも５０倍だけ増加する。好ましくは、先端電極３
０の表面積は５０倍乃至５０００倍、さらに好ましくは
少なくとも５００倍増加する。図４は本発明による多孔
質層の拡大図を示す写真であり、結果として得られる増
大した表面積を示している。図４の多孔質層は上記のよ
うな反応性スパッタリング技法により備えられた窒化チ
タンにより構成されている。
【００２３】このように増大した先端電極３０の表面積
により、焼灼処理中の熱を消散するこの電極３０の能力
が高まる。この結果、電極上における著しい凝固を回避
しながら、多孔質層を備えていない同等の先端電極に供
給できる場合よりもさらに長い時間にわたって先端電極
３０に任意量の電力（例えば、ＲＦエネルギー）が供給
できるようになる。実際に、多孔質層および約４ｍｍの
長さを有する先端電極の冷却能力は多孔質層を備えてい
ない８ｍｍの長さの先端電極の冷却能力に相当する。大
抵の焼灼処理の場合において、冷却能力が等価であると
すれば、４ｍｍの電極の方が８ｍｍの電極よりも好まし
い。この理由は、８ｍｍの先端電極の温度を正確に測定
するためには多数個の熱電対を必要とするが、４ｍｍの
先端電極の温度を正確に測定するためには１個の熱電対
で十分であるからである。
【００２４】さらに具体的に言えば、標準的な焼灼処理
において、約６０℃乃至約６５℃の温度が所望の焼灼に
よる外傷部分を形成するために十分である。さらに、こ
の温度は凝固を回避するために１００℃以下に十分に維
持する必要がある。焼灼処理のための一般的な電力であ
る５０ワットの電力において、多孔質層を備えていない
先端電極の温度は約３０秒以内で極めて迅速に８０℃に
到達する。この時間の間において、焼灼による外傷部分
は約６ｍｍ乃至７ｍｍの深さに形成されるだけである。
これに対して、多孔質層を備えている先端電極３０は５
０ワットにおいて８０℃に到達するためにはるかに長い
時間、すなわち、１分を超える時間を必要とする。この
結果、それだけ長い時間にわたって焼灼することが可能
になり、これにより、例えば、８ｍｍ乃至１０ｍｍの深
さまたはそれ以上の深さまで焼灼による外傷部分を形成
することができる。また、別の好ましい用途において、
温度を８０℃よりも高く上昇させることなく組織に対し
て比較的高い電力を供給することが可能になるので、そ
れだけ深い領域の外傷部分を形成することができる。
【００２５】図示の実施形態において、カテーテル先端
部分１４は先端電極３０よりも基端側においてチューブ
２２に取り付けられたリング状電極３２を備えている。
なお、このリング状電極３２の存在および数は必要に応
じて変更できる。このリング状電極３２はチューブ２２
の上を摺動し、接着剤等により一定の場所に固定されて
いる。さらに、このリング状電極３２は任意の適当な材
料により作成でき、プラチナ−イリジウム棒材（９０％
プラチナ／１０％イリジウム）により機械加工されてい
るのが好ましい。必要であれば、このリング状電極３２
も上記のような多孔質層により部分的または全体的に被
覆できる。
【００２６】先端電極３０およびリング状電極３２はそ
れぞれ別のリード線３４に接続している。各リード線３
４はカテーテル先端部分１４の第１の内孔部２４の中か
ら、カテーテル本体部分１２の中央内孔部１８および制
御ハンドル１６の中に延在していて、それぞれの基端部
において、ＲＦエネルギーの供給源に接続して必要に応
じて適当なモニター（図示せず）に差し込まれる入力ジ
ャック（図示せず）の中に到達している。カテーテル本
体部分１２の中央内孔部１８、制御ハンドル１６および
カテーテル先端部分１４の基端部の中に延在している各
リード線３４の部分を任意の適当な材料、好ましくはポ
リイミドにより作成可能な保護シース３６の中に封入で
きる。好ましくは、この保護シース３６はその先端部を
ポリウレタン接着剤等により第１の内孔部２４の中に接
着することによりその先端部においてカテーテル先端部
分１４の基端部に係留されている。
【００２７】各リード線３４は任意の従来技法により先
端電極３０およびリング状電極３２に取り付けられてい
る。リード線３４の先端電極３０に対する接続は、例え
ば、当該リード線３４を先端電極３０の中の第１のめく
ら穴３８の中にはんだ付けすることにより達成できる。
【００２８】リード線３４のリング状電極３２に対する
接続は最初にチューブ２２を貫通する小さい穴を先ず形
成することにより行なわれるのが好ましい。このような
穴は、例えば、チューブ２２を貫通させて針を挿入し、
この針を十分に加熱して永久穴を形成することにより形
成できる。その後、リード線３４をマイクロフック等に
よりこの穴の中に引き込む。さらに、このリード線３４
の両端部のコーティングを剥ぎ取って、リング状電極３
２の下面にはんだ付けまたは溶接した後に、このリング
状電極３２を穴の上方の位置に摺動してポリウレタン接
着剤等により固定する。
【００２９】好ましくは、１個以上の温度感知手段（図
示せず）が先端電極３０および、必要であれば、リング
状電極３２に備えられている。特に好ましい実施形態に
おいて、単一の温度感知手段が先端電極３０の中に備え
られている。例えば、熱電対またはサーミスタ等の任意
の慣用的な温度感知手段が使用できる。先端電極３０の
ための好ましい温度感知手段はワイヤ対により形成され
ている熱電対により構成されている。このワイヤ対の一
方のワイヤは、例えば、４０番銅線等の銅線である。ま
た、このワイヤ対の他方のワイヤは当該ワイヤ対を支持
して強度を賦与するコンスタンタン・ワイヤである。こ
れらのワイヤ対における各ワイヤは、それぞれが接触し
て捩り合わされていて、例えば、ポリイミド等のプラス
チック・チューブの短片部分により被覆され、さらに、
エポキシにより被覆されている各先端部分を除いて、互
いに電気的に分離されている。さらに、このプラスチッ
ク・チューブはリード線３４と共に先端電極３０の第１
のめくら穴３８の中にポリウレタン接着剤等により取り
付けられる。これらのワイヤはカテーテル先端部分１４
の中の第１の内孔部２４の中に延在している。カテーテ
ル本体部分１２の中においては、各ワイヤは各リード線
３４と共に保護シース３６の中に延在することができ
る。さらに、各ワイヤは制御ハンドル１６から延出して
温度モニター（図示せず）に接続可能なコネクタ（図示
せず）に接続している。
【００３０】あるいは、上記の温度感知手段はサーミス
タとすることができる。本発明における使用に適するサ
ーミスタはThermometrics社（ニュージャージー州）に
より販売されているモデル番号AB6N2-GC14KA143E/37Cで
ある。
【００３１】さらに、カテーテル先端部分１４を偏向す
るための機構が備えられている。この機構はカテーテル
本体部分１２の中に延在する引張ワイヤ５０により構成
されている。この引張ワイヤ５０はその基端部において
制御ハンドル１６に係留されており、その先端部におい
てカテーテル先端部分１４に係留されている。また、こ
の引張ワイヤ５０はステンレス・スチールまたはニチノ
ール（Nitinol）のような任意の適当な金属により作成
でき、テフロン（登録商標）（Teflon）等によりコーテ
ィングされているのが好ましい。なお、このコーティン
グは引張ワイヤ５０に対して潤滑性を賦与する。好まし
くは、引張ワイヤ５０は約０．００６インチ乃至約０．
０１０インチ（約０．０１５ｃｍ乃至約０．０２５ｃ
ｍ）の範囲の直径を有している。
【００３２】さらに、圧縮コイル５２が引張ワイヤ５０
を囲むようにカテーテル本体部分１２の中に配置されて
いる。この圧縮コイル５２はカテーテル本体部分１２の
基端部からカテーテル先端部分１４の基端部まで延在し
ている。また、この圧縮コイル５２は任意の適当な金
属、好ましくはステンレス・スチールにより作成されて
いる。さらに、この圧縮コイル５２はそれ自体で強固に
巻かれていて柔軟性すなわち屈曲性を示すが、圧縮に対
して抵抗する。圧縮コイル５２の内径は引張ワイヤ５０
の直径よりも僅かに大きいのが好ましい。この場合に、
引張ワイヤ５０のテフロン（登録商標）（Teflon）コー
ティングは圧縮コイル５２内における自由な摺動を可能
にする。必要であれば、特に、各リード線３４が保護シ
ース３６の中に封入されていない場合に、圧縮コイル５
２の外表面部を、例えば、ポリイミド・チューブ等によ
り作成した柔軟で非導電性のシースにより被覆して圧縮
コイル５２とその他のカテーテル本体部分１２の中の全
てのワイヤとの間の接触を防止できる。
【００３３】圧縮コイル５２はその基端部において基端
側接着剤ジョイント５１によりカテーテル本体部分１２
の基端部に係留されており、その先端部において先端側
接着剤ジョイント５３によりカテーテル先端部分１４に
係留されている。両方の接着剤ジョイント５１および５
３はポリウレタン接着剤等により構成されているのが好
ましい。この接着剤はカテーテル本体部分１２の外表面
部と中央内孔部１８との間に形成した穴を通して注射器
等の手段により供給できる。このような穴は、例えば、
永久穴を形成するように十分に加熱されていて、カテー
テル本体部分１２の外壁部２０を穴あけする針等により
形成できる。その後、接着剤がこの穴を通して圧縮コイ
ル５２の外表面部に導入され、その外周部分に供給され
て、圧縮コイル５２の外周全体にわたって接着剤ジョイ
ントを形成する。
【００３４】引張ワイヤ５０はカテーテル先端部分１４
の第２の内孔部２６の中に延在している。この引張ワイ
ヤ５０はその先端部において先端電極３０の中の第２の
めくら穴４０の中に係留されている。先端電極３０の中
に引張ワイヤ５０を係留するための好ましい方法は金属
チューブ５４を引張ワイヤ５０の先端部にけん縮して、
この金属チューブ５４を第２のめくら穴４０の内側には
んだ付けすることにより行なわれる。このように引張ワ
イヤ５０を先端電極３０の中に係留することにより、柔
軟性プラスチック・チューブ２２上の先端電極３０に対
する付加的な支持が行なえるようになり、先端電極３０
がチューブ２２から分離する可能性が減少できる。ある
いは、引張ワイヤ５０はカテーテル先端部分１４の側面
に取り付けることができる。このような構成は米国特許
出願第０８／９２４，６１１号（１９９７年９月５日出
願）に記載されており、その開示は本明細書に参考文献
として含まれる。カテーテル先端部分１４の第２の内孔
部２６の中において、引張ワイヤ５０はプラスチック、
好ましくはテフロン（登録商標）（Teflon）のシース５
６の中に延在しており、このシース５６はカテーテル先
端部分１４の偏向時にチューブ２２の壁部に引張ワイヤ
５０が食い込むのを防ぐ。
【００３５】カテーテル先端部分１４を偏向させるため
に引張ワイヤ５０をカテーテル本体部分１２に対して長
手方向に移動させる操作は制御ハンドル１６の適当な操
縦により行なうことができる。本発明と共に使用するの
に適している制御ハンドルの構成が本明細書に参考文献
として含まれる１９９７年１２月１日に出願された米国
特許出願第０８／９８２，１１３号に記載されている。
【００３６】必要であれば、カテーテルを多方向性にす
ること、すなわち、２方向以上にカテーテル先端部分を
操縦する能力、または、２個以上の異なる曲線形状に操
縦する能力を高めるための２本以上の引張ワイヤを備え
ることが可能である。このような構成についての記載が
米国特許出願第０８／９２４，６１１号（１９９７年９
月５日出願）、同第０９／１３０，３５９号（１９９８
年８月７日出願）、同第０９／１４３，４２６号（１９
９８年８月２８日出願）、同第０９／２０５，６３１号
（１９９８年１２月３日出願）、および同第０９／２７
４，０５０号（１９９９年３月２２日出願）に開示され
ており、これらの開示は本明細書に参考文献として含ま
れる。
【００３７】さらに、必要であれば、先端電極３０上の
多孔質層の上にヒドロゲル層を備えることができる。こ
のヒドロゲル層はポリマー材料または蛋白質により作成
できる。好ましいポリマー材料はポリグリコール酸、ポ
リ（乳酸）、乳酸／グリコール酸のコポリマー、ポリエ
ステル、ポリオルトエステル、ポリ（酸無水物）、およ
びポリアミノ酸を含む。特に好ましいポリマー材料はポ
リビニルピロリドンおよびSLIP-COAT(登録商標）（ニュ
ーヨーク州、ヘンリエッタのSTS Biopolymers社から市
販されている有機溶媒の溶液で配合されているポリビニ
ルピロリドンおよびセルロース・エステルを基材とする
ハイブリッド・ポリマー系の材料）を含む。このポリマ
ー材料は浸漬処理またはスプレー処理のような任意の適
当な技法により先端電極に供給された後に４０℃乃至１
００℃で乾燥されることによりヒドロゲル層を形成する
ことができる。好ましい蛋白質はアルブミン、コラーゲ
ンおよびゼラチンを含む。
【００３８】図５は本発明による多孔質層の上に供給さ
れたヒドロゲル層の拡大図を示す写真である。この多孔
質層は既に説明したような反応性スパッタリング技法に
より供給された窒化チタンにより構成されている。ま
た、ヒドロゲル層は電極上にディップ・コーティングさ
れてＵＶ硬化処理されたポリビニルピロリドンにより構
成されている。
【００３９】このヒドロゲル層は先端電極上にさらに潤
滑性の高い表面を形成して、患者の苦痛感を減少しなが
ら、電極を目的位置に対して容易且つ安全に操縦可能に
する。さらに、このヒドロゲル層は凝固物が付着しない
表面を先端電極上に形成し、このことは焼灼処理の場合
に特に有利である。
【００４０】加えて、上記のヒドロゲル層は薬物または
その他の治療剤と組み合わされて協同的な拡散、溶解お
よび／または吸収によりこれらの薬物または薬剤の供給
を可能にする。このようなヒドロゲル層内への含浸に適
する薬剤は、例えば、抗炎症剤、抗トロンボゲン剤、抗
生物質、および抗菌剤を含む。このような薬物を含有す
る適当なコーティング材料の例は(STS Biopolymers社か
ら市販されているイソプロパノール中のヘパリン−ベン
ズアルコニウム・クロライドおよびその他の溶媒中のヘ
パリン−トリドデシルメチルアンモニウム・クロライド
のような）商品名STS HEPARIN で販売されている材料で
ある。
【００４１】上記の説明は本発明の現在において好まし
いと考えられる実施形態について行なった。しかしなが
ら、本発明が関係する技術および技法における熟練者で
あれば、上記の構成または構造における変形および変更
が本発明の原理、趣旨および範囲に逸脱することなく行
なえることが容易に理解できる。
【００４２】従って、上記の説明は図面に開示した正確
な構成または構造のみに関するものであって、むしろ、
本明細書に記載する特許請求の範囲およびその実施態様
に一致してこれらを支持するべきものであり、本発明の
完全且つ公正な範囲は当該特許請求の範囲およびその実
施態様によってのみ定められるものと理解するべきであ
る。
【００４３】本発明の実施態様は以下の通りである。 （１）前記先端電極が約３ｍｍ乃至約６ｍｍの範囲内の
長さを有している請求項１に記載のカテーテル。 （２）前記先端電極が約３．８ｍｍ乃至約４．５ｍｍの
範囲内の長さを有している請求項１に記載のカテーテ
ル。 （３）前記多孔質層が金属窒化物、金属酸化物、金属炭
化物または金属浸炭窒化物を有しており、当該金属がチ
タン、イリジウム、プラチナ、バナジウム、ジルコニウ
ム、ニオブ、ルテニウム、モリブデン、ハフニウム、タ
ンタル、セリウム、クロム、イットリウム、アルミニウ
ム、ニッケル、およびタングステンから成る群から選択
される請求項１に記載のカテーテル。 （４）前記多孔質層が窒化チタンまたは酸化イリジウム
を有する請求項１に記載のカテーテル。 （５）前記多孔質層が前記基材の外表面部の全体を被覆
している請求項１に記載のカテーテル。
【００４４】（６）前記多孔質層が約１ミクロン乃至約
５０ミクロンの範囲内の厚さを有している請求項１に記
載のカテーテル。 （７）さらに、前記先端電極の中に取り付けられた温度
センサーを備える請求項１に記載のカテーテル。 （８）少なくとも約１００ｃｍの有用な長さを有する請
求項１に記載のカテーテル。 （９）前記先端電極が少なくとも約３ｍｍの長さを有し
ている請求項２に記載のシステム。 （１０）前記先端電極が約３ｍｍ乃至約６ｍｍの範囲内
の長さを有している請求項２に記載のシステム。
【００４５】（１１）前記先端電極が約３．８ｍｍ乃至
約４．５ｍｍの範囲内の長さを有している請求項２に記
載のシステム。 （１２）前記多孔質層が金属窒化物、金属酸化物、金属
炭化物または金属浸炭窒化物を有しており、当該金属が
チタン、イリジウム、プラチナ、バナジウム、ジルコニ
ウム、ニオブ、ルテニウム、モリブデン、ハフニウム、
タンタル、セリウム、クロム、イットリウム、アルミニ
ウム、ニッケル、およびタングステンから成る群から選
択される請求項２に記載のシステム。 （１３）前記多孔質層が窒化チタンまたは酸化イリジウ
ムを有する請求項２に記載のシステム。 （１４）前記カテーテルがさらに前記先端電極の中に取
り付けられた温度センサーを備える請求項２に記載のシ
ステム。 （１５）前記カテーテルが少なくとも約１００ｃｍの有
用な長さを有している請求項２に記載のシステム。
【００４６】（１６）患者の体内組織を焼灼するための
方法において、基端部および先端部およびこれらを貫通
する少なくとも１個の内孔部を有する細長くて柔軟なカ
テーテル本体部分、および、前記カテーテル本体部分の
先端部に取り付けられた先端電極を備えており、当該先
端電極が外表面部を有する基材および当該基材の外表面
部の少なくとも一部分の上に備えられた多孔質層を有し
ており、当該多孔質層が金属窒化物、金属酸化物、金属
炭化物、金属浸炭窒化物、炭素、カルボキシ窒化物、ま
たはこれらの混合物を有するカテーテルを供給する工程
と、前記カテーテルの先端部を患者の体内に導入して、
前記先端電極を焼灼する組織に接触させる工程と、前記
先端電極にエネルギーを供給して前記組織内に焼灼によ
る外傷部分を形成する工程とを備える方法。 （１７）前記先端電極が少なくとも約３ｍｍの長さを有
している実施態様（１６）に記載の方法。 （１８）前記先端電極が約３ｍｍ乃至約６ｍｍの範囲内
の長さを有している実施態様（１６）に記載の方法。 （１９）前記先端電極が約３．８ｍｍ乃至約４．５ｍｍ
の範囲内の長さを有している実施態様（１６）に記載の
方法。 （２０）前記多孔質層が金属窒化物、金属酸化物、金属
炭化物または金属浸炭窒化物を有しており、当該金属が
チタン、イリジウム、プラチナ、バナジウム、ジルコニ
ウム、ニオブ、ルテニウム、モリブデン、ハフニウム、
タンタル、セリウム、クロム、イットリウム、アルミニ
ウム、ニッケル、およびタングステンから成る群から選
択される実施態様（１６）に記載の方法。
【００４７】（２１）前記多孔質層が窒化チタンまたは
酸化イリジウムを有する実施態様（１６）に記載の方
法。 （２２）前記カテーテルがさらに前記先端電極の中に取
り付けられた温度センサーを備える実施態様（１６）に
記載の方法。 （２３）前記カテーテルが少なくとも約１００ｃｍの有
用な長さを有している実施態様（１６）に記載の方法。
【００４８】
【発明の効果】従って、本発明によれば、従来に比して
焼灼規模の大きな望ましい外傷部分を形成するための改
善された焼灼電極部分を有するカテーテルが提供でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明のカテーテルの一実施形態の側面図であ
る。
【図２】カテーテル本体部分と先端部分との間の接合部
分を含む本発明によるカテーテル本体部分の側断面図で
ある。
【図３】本発明によるカテーテル先端部分の側断面図で
ある。
【図４】先端電極上の多孔質層を示す写真である。
【図５】電極の多孔質層上に供給されたヒドロゲル層を
示す写真である。
【符号の説明】
１０ カテーテル １２ カテーテル本体部分 １４ カテーテル先端部分 １６ 制御ハンドル ３０ 先端電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (71)出願人 500520846 3333 Ｄｉａｍｏｎｄ Ｃａｎｙｏｎ Ｒ ｏａｄ， Ｄｉａｍｏｎｄ Ｂａｒ， Ｃ ａｌｉｆｏｒｎｉａ 91765， Ｕ．Ｓ. Ａ. (72)発明者 シャーラム・モデブ アメリカ合衆国、91303 カリフォルニア 州、ウッドランド・ヒルズ、ナンバー・ 144、ビクトリー・ブールバード 22301 Ｆターム(参考） 4C060 KK10 KK12 KK13 KK47

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 焼灼カテーテルにおいて、 基端部および先端部およびこれらを貫通する少なくとも
    １個の内孔部を有する細長くて柔軟なカテーテル本体部
    分と、 前記カテーテル本体部分の先端部に取り付けられた少な
    くとも約３ｍｍの長さを有する先端電極とを備え、当該
    先端電極が外表面部を有する基材および当該基材の外表
    面部の少なくとも一部分の上に備えられた多孔質層を有
    しており、当該多孔質層が金属窒化物、金属酸化物、金
    属炭化物、金属浸炭窒化物、炭素、カルボキシ窒化物、
    またはこれらの混合物を有するカテーテル。
  2. 【請求項２】 焼灼システムにおいて、 基端部および先端部およびこれらを貫通する少なくとも
    １個の内孔部を有する細長くて柔軟なカテーテル本体部
    分、および、 前記カテーテル本体部分の先端部に取り付けられた先端
    電極を備え、当該先端電極が外表面部を有する基材およ
    び当該基材の外表面部の少なくとも一部分の上に備えら
    れた多孔質層を有しており、当該多孔質層が金属窒化
    物、金属酸化物、金属炭化物、金属浸炭窒化物、炭素、
    カルボキシ窒化物、またはこれらの混合物を有するカテ
    ーテルと、 前記先端電極に電気的に接続している高周波エネルギー
    の供給源とから成るシステム。
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