JP2002117832A - リチウム二次電池 - Google Patents
リチウム二次電池Info
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Abstract
成することにより、エネルギー密度の高い、特に、体積
エネルギー密度の高いリチウム二次電池を提供する。 【解決手段】 リチウム二次電池を、粉末状のリチウム
遷移金属複合酸化物からなる正極活物質と、該正極活物
質を結着するための結着剤とからなる正極合材を有する
正極を含んで構成する。導電材を使用していないことか
ら、その分だけ正極合材は軽量化し、また、正極合材の
密度は高くなる。その結果、その正極合材により形成さ
れた正極を有するリチウム二次電池はエネルギー密度の
高い、特に、体積エネルギー密度の高いリチウム二次電
池となる。
Description
脱離現象を利用したリチウム二次電池に関し、特に、エ
ネルギー体積密度の高いリチウム二次電池に関する。
小型化に伴い、情報関連機器、通信機器の分野では、こ
れらの機器に用いる電源として、高エネルギー密度であ
るという理由から、リチウム二次電池が実用化され広く
普及するに至っている。また一方で、自動車の分野にお
いても、環境問題、資源問題から電気自動車の開発が急
がれており、この電気自動車用の電源としても、リチウ
ム二次電池が検討されている。
oO2等の粉末状のリチウム遷移金属複合酸化物を活物
質とするものが一般的である。このリチウム遷移金属複
合酸化物は電気伝導性に乏しいことから、現状、正極
は、例えばカーボンブラックのような炭素物質粉末を導
電材(導電助材)として混合し、さらにこれらの混合物
を結着するためのポリフッ化ビニリデン等の結着剤を混
合して正極合材を調製し、この正極合材を用いて形成さ
れている。
物質は、正極合材中に5wt%〜30wt%程度混合さ
れており、この炭素物質は活物質と比較して密度が低く
嵩高いものであることから、正極自体の体積が大きくな
ってしまうという問題を抱えている。正極の体積が増大
すれば、電池の単位体積当たりの容量が小さくなり、つ
まり、体積エネルギー密度が低くなり、高エネルギー密
度であるというリチウム二次電池の特質が損なわれる結
果ともなっている。
中に導電材を含まない正極とすることで、エネルギー密
度の高いリチウム二次電池を構成できることに着目し
た。本発明は、この着想から生まれたものであり、導電
材を含まない正極合材を用いて正極を構成することによ
り、エネルギー密度の高い、特に、体積エネルギー密度
の高いリチウム二次電池を提供することを課題としてい
る。
池は、粉末状のリチウム遷移金属複合酸化物からなる正
極活物質と、該正極活物質を結着するための結着剤とか
らなる正極合材を有する正極を含んで構成されることを
特徴とする。つまり、活物質および結着剤のみからなる
正極合材を調製し、この正極合材により正極を形成する
ものである。
を使用していないことから、その分だけ正極合材は軽量
化し、また、正極合材の密度は高くなる。その結果、そ
の正極合材により形成された正極を有するリチウム二次
電池はエネルギー密度の高い、特に、体積エネルギー密
度の高いリチウム二次電池となる。
電気伝導性が低いことにある。したがって、リチウム電
池の内部抵抗が大きくなり、大電流での充放電では、充
分な容量が確保できないことになる。しかし、低電流の
充放電では充分に機能し、エネルギー密度の高さを充分
に活かすことができる。また、内部抵抗の増加について
は、実施の形態の項目において後述する手段を併用する
ことによって充分に抑制することができ、その点を加味
すれば、導電材を含まない正極合材を用いた正極によっ
て構成される本発明のリチウム二次電池は、実用的なリ
チウム二次電池となり得る。
池の実施形態について、正極の構成、リチウム二次電池
の構成の項目に分けて詳しく説明する。
の正極は、粉末状のリチウム遷移金属複合酸化物からな
る正極活物質と、該正極活物質を結着するための結着剤
とからなる正極合材を有する。
化物は、その種類を限定するものではない。例えば、L
iCoO2、LiNiO2、LiMnO2、LiMn
2O4、Li4Ti5O12、LiFePO4等、種々の組成
で表されるものを用いることができる。なお、これら
は、単独で用いることも、2種以上のものを混合して活
物質とするものであってもよい。
ができるという点を考慮すれば、基本組成をLiCoO
2とする規則配列層状岩塩構造リチウムコバルト複合酸
化物、基本組成をLiNiO2とする規則配列層状岩塩
構造リチウムニッケル複合酸化物、基本組成をLiMn
O2とする層状岩塩構造リチウムマンガン複合酸化物、
基本組成をLiMn2O4とするスピネル構造リチウムマ
ンガン複合酸化物を用いることが望ましい。なお、「基
本組成」としたことは、上記それぞれの組成のものの
他、結晶構造におけるそれぞれの遷移金属サイトの一部
を基本となる遷移金属以外の遷移金属元素、Al、Li
等から選ばれる1種以上の元素の原子で置換したもの、
リチウムサイトの一部をK、Na、Mg等のLi以外の
アルカリ金属元素、アルカリ土類元素等から選ばれる1
種以上の元素の原子で置換したもの、遷移金属サイトお
よびリチウムサイトの両サイトを置換したもの、化学量
論組成から若干外れる組成のもの等も、本リチウム遷移
金属複合酸化物に含むことを意味するものである。
合酸化物の中にあっては、大容量であり、比較的安価で
あり、結晶構造が比較的安定しており、バランスのとれ
たリチウム二次電池を構成することが可能であるという
点から、基本組成をLiNiO2とする規則配列層状岩
塩構造リチウムニッケル複合酸化物を選択することが望
ましい。
の結着剤を用いることができ、その種類を特に限定する
ものではない。例えば、ポリテトラフルオロエチレン、
ポリフッ化ビニリデン、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、
ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂等を用
いることができる。
を混合して行う。混合の方法についても特に限定するも
のではなく、通常の正極合材の混合方法に従えばよい。
例えば、攪拌機、混練機、ボールミル等の装置を用いて
均一になるように行えばよい。
集電体に塗工されて形成される。この塗工の際の作業性
の確保等を目的として、あるいは、結着剤中の活物質の
均一な分散を目的として、正極合材の調製の際、結着剤
が溶解する溶剤を添加するものであってもよい。この場
合の溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン等の有
機溶剤を用いることができる。ちなみに、この溶剤は、
正極合材塗布後の乾燥工程において正極より蒸散する。
の配合比は、両者の合計を100wt%とした場合に、
結着剤が2wt%〜10wt%となるようにすることが
望ましい。結着剤の割合が多すぎる場合は、正極合材中
の活物質密度が小さくなり、リチウム二次電池のエネル
ギー密度が減少しすぎることになり、また、結着剤の割
合が小さすぎる場合は、良好な正極の作製が困難とな
る。
応じて行えばよい。一般的には、シート状の正極が用い
られる。シート状の正極を形成する場合、薄い集電体の
表面に、正極合材を層状に形成して行われる。この場
合、集電体としては、正極が晒される反応電位において
電気化学的に安定であることが要求され、例えば、アル
ミニウム等の箔を用いることができる。
剤を添加したペースト状の上記正極合材を調製し、その
正極合材を塗工機(コータ)等により集電体表面に塗布
し、乾燥させて行えばよい。また、乾燥後、正極合材層
を緊密化する、正極合材密度を高める等の目的で、形成
された正極合材層をプレス等により圧縮することが望ま
しい。シート状の正極は、電池の仕様に応じた適切な大
きさに裁断等して、電池の組付けに供すればよい。
なる正極の場合、その正極合材層の層厚は、リチウム遷
移金属複合酸化物の粉末を構成する粒子の平均粒子直径
の2倍以下とすることが望ましい。つまり、リチウム遷
移金属複合酸化物の粉末を構成する粒子の平均粒子直径
をrとし、正極合材の層厚をdとした場合において、2
r≧dという関係が成り立つことが望ましい。
中に導電材を含んでないことから、正極の電気伝導性は
低い。したがって、正極合材層の層厚が大きい場合は、
正極の内部抵抗が大きくなりすぎ、その内部抵抗により
充放電容量が低下してしまう。この減少は、充放電電流
が大きいほど顕著である。したがって、実用的な電池と
するためには、正極の内部抵抗をできるだけ小さなもの
とすることが望ましい。
合材層の厚さが活物質粒子の平均粒子直径の2倍以下と
なる上記態様の正極の場合、正極内の電気伝導性は比較
的良好に保たれ、導電材を含む正極と大差はない。した
がって、本態様のリチウム二次電池は、導電材を含む従
来のリチウム二次電池と比較しても、通常の電流値の充
放電における容量低下は少なく、また、重量パワー密度
(単位重量あたりのパワー密度)において遜色がない。
さらに、体積パワー密度(単位体積あたりのパワー密
度)に至っては、導電材を含まない分だけ正極合材層の
密度が高いことから、従来のリチウム二次電池よりも高
いものとなる。
電気伝導は、活物質粒子間に存在する導電材粒子によっ
て担保される。したがって、導電材を含まないものの場
合、活物質粒子どうしが接触する点が少ないほうが電気
伝導が良好となる。このことからすれば、同じ重量の正
極活物質を用いる場合、本発明のリチウム二次電池にお
いて、活物質粒子つまりリチウム遷移金属複合酸化物の
粉末粒子は大きいほうが好ましい。また、集電体表面に
正極合材が層状に形成されてなる上記態様の正極の場
合、あまり粒子径が小さいと正極合材層の層厚を薄くし
なければならなくなり、集電体等の蓄電に寄与しない部
分の体積を考慮すれば、却って体積エネルギー密度を減
少させてしまうことにもなり兼ねない。そこで、実用的
な範囲として、リチウム遷移金属複合酸化物の粉末を構
成する粒子の平均粒子直径は、5μm以上20μm以下
であることが望ましい。さらに、リチウム遷移金属複合
酸化物の製造コストを考慮すれば、15μm以下である
ことがより望ましく。また、よりパワー特性に優れたリ
チウム二次電池とするには、8μm以上であることがよ
り望ましい。
ウム二次電池は、上記正極を用いて構成される。その構
成は、一般のリチウム二次電池と異なるものではなく、
既に公知のリチウム二次電池の構成に従えばよい。例え
ば、上記正極とリチウムを吸蔵・脱離可能な負極と、非
水電解液と、その正極と負極とを離隔し非水電解液を保
持可能なセパレータとを備えて電池系を構成することが
できる。
用いることができる。また、デンドライトの析出の危険
性を回避すべく、正極同様、リチウムイオンを吸蔵・離
脱できる負極活物質に結着剤を混合し、適当な溶剤を加
えてペースト状にした負極合材を、銅等の金属箔製の集
電体の表面に塗布乾燥することで負極合材層を形成させ
て作製することが望ましい。この場合、正極同様、必要
に応じて合材密度を高めるべくその負極合材層を圧縮し
てもよい。
黒鉛、人造黒鉛、フェノール樹脂等の有機化合物焼成
体、コークス等の炭素物質の粉状体を用いることができ
る。負極結着剤としては、正極同様、ポリフッ化ビニリ
デン等の含フッ素樹脂等を、これら活物質および結着剤
を分散させる溶剤としてはN−メチル−2−ピロリドン
等の有機溶剤を用いることができる。
させるが、正極と負極との間には、正極と負極とを分離
し電解液を保持する機能を果たすセパレータを挟装す
る。セパレータには、ポリエチレン、ポリプロピレン等
の薄い微多孔膜を用いることができる。
チウム塩を溶解させたもので、有機溶媒としては、非プ
ロトン性有機溶媒、例えばエチレンカーボネート、プロ
ピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチル
カーボネート、エチルメチルカーボネート、γ−ブチロ
ラクトン、アセトニトリル、1,2−ジメトキシエタ
ン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、塩化メチレン
等の1種またはこれらの2種以上の混合溶媒を用いるこ
とができる。また、溶解させる電解質としては、Li
I、LiClO4、LiAsF6、LiBF4、LiP
F6、LiN(CF3SO2)2等のリチウム塩を用いるこ
とができる。
いう構成に代えて、ポリエチレンオキシド等の高分子量
ポリマーとLiClO4やLiN(CF3SO2)2等のリ
チウム塩を使用した高分子固体電解質を用いることもで
き、また、上記非水電解液をポリアクリロニトリル等の
固体高分子マトリクスにトラップさせたゲル電解質を用
いることもできる。
る本発明のリチウム二次電池であるが、その形状は円筒
型、積層型、コイン型等、種々のものとすることができ
る。いずれの形状を採る場合であっても、上記構成要素
を電池ケースに収納し、正極集電体および負極集電体か
ら外部に通ずる正極端子および負極端子までの間を集電
用リード等を用いて接続し、電池ケースを密閉して電池
系を外部と離隔し、リチウム二次電池が完成される。
記本発明のリチウム二次電池の実施形態について説明し
たが、上述した実施形態は一実施形態にすぎず、本発明
のリチウム二次電池は、上記実施形態を始めとして、当
業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の
形態で実施することができる。
極を用いた本発明のリチウム二次電池を作製し、導電材
を含む正極を用いた従来のリチウム二次電池との間で、
エネルギー密度、パワー密度を比較した。また、正極合
材の層厚の異なる種々の正極を用いたリチウム二次電池
をも作製し、正極合材層の層厚と放電容量との関係をも
調査した。以下に、これらについて記載する。
電池の実施例として、以下の構成のリチウム二次電池を
作製した。正極活物質には、組成式LiNi0.8Co
0.15Al0.05O2で表される規則配列層状岩塩構造リチ
ウムニッケル複合酸化物を用いた。ちなみに、このリチ
ウムニッケル複合酸化物は、その粒子の平均粒子直径が
10μmのものとした。結着剤には、ポリフッ化ビニリ
デン(PVdF)を用いた。さらに、これらを分散、溶
解する溶剤としてN−メチル−2−ピロリドン(NM
P)を用いた。
97重量部に対して、PVdFを3重量部混合し、さら
に適量のNMPを添加し、これを充分に混練して、ペー
スト状の正極合材を調製した。この正極合材ペースト
を、塗工機を用いて、厚さ20μmのアルミニウム箔集
電体の両面に塗布し、乾燥させて、シート状の正極を得
た。さらにこの正極を、ロールプレスにて圧縮し、シー
ト状の正極を完成させた。この完成した正極は、正極合
材層の片面あたり厚さを20μm(活物質粒子の平均粒
子直径の2倍)とするものであり、その大きさを54m
m×450mmとするものである。
鉛である黒鉛化メソフェーズ小球体(MCMB)を用い
た。まず、このMCMBの90重量部に対して、PVd
Fを10重量部混合し、さらに適量のNMPを添加し、
これを充分に混練して、ペースト状の負極合材を調製し
た。この負極合材ペーストを、塗工機を用いて、厚さ1
0μmの銅箔集電体の両面に塗布し、乾燥させて、シー
ト状の負極を得た。さらに、この負極を、ロールプレス
にて圧縮し、シート状の負極を完成させた。この完成し
た負極は、負極合材層の片面あたり厚さを50μmとす
るものであり、その大きさを56mm×500mmとす
るものである。
μm、幅58mmのポリエチレンセパレータを挟装し、
外径3.5mmφの捲回芯を中心に捲回してロール状の
電極体を形成し、次いで、この電極体を、非水電解液と
ともに18650型電池ケースに挿設し、リチウム二次
電池を完成させるものとした。用いた非水電解液は、エ
チレンカーボネートとジエチルカーボネートとを体積比
1:1で混合した混合溶媒に、LiPF6を1Mの濃度
で溶解させたものを使用した。ちなみに、電極体の体積
は、5.15cm3であった。
例1のリチウム二次電池と正極の異なるリチウム二次電
池を作製した。正極活物質には、実施例1のリチウム二
次電池と同じ組成式LiNi0.8Co0 .15Al0.05O2で
表される規則配列層状岩塩構造リチウムニッケル複合酸
化物を用いた。同様に、結着剤には、ポリフッ化ビニリ
デン(PVdF)を用いた。さらに、これらを分散、溶
解する溶剤としてN−メチル−2−ピロリドン(NM
P)を用いた。さらに、本リチウム二次電池の正極で
は、導電材として、カーボンブラックを用いた。
85重量部に対して、カーボンブラックを10重量部、
PVdFを5重量部混合し、さらに適量のNMPを添加
し、これを充分に混練して、ペースト状の正極合材を調
製した。この正極合材ペーストを、塗工機を用いて、厚
さ20μmのアルミニウム箔集電体の両面に塗布し、乾
燥させて、シート状の正極を得た。さらにこの正極を、
ロールプレスにて圧縮し、シート状の正極を完成させ
た。正極1つあたりに使用される正極活物質の量は、実
施例1のリチウム二次電池の場合と同じ量とし、正極の
大きさも、実施例1のリチウム二次電池の場合と同じ5
4mm×450mmとした。その結果、この完成した正
極は、正極合材層の片面あたり厚さを35μmとするも
のとなっている。
と、他の構成を同じくし、同様のプロセスでリチウム二
次電池を完成させた。正極の厚さが厚くなっている分だ
け、電極体の捲回径が大きくなったため、このリチウム
二次電池の電極体の体積は、実施例1のリチウム二次電
池と比較して大きく、7.08cm3となった。
よび比較例1のリチウム二次電池の放電容量の測定を行
い、両者のエネルギー密度を比較した。
度下、充電終止電圧4.1Vまで電流密度0.2mA/
cm2の定電流で充電した後、放電終止電圧3.0Vま
で電流密度0.2mA/cm2の定電流で放電させ、こ
のときの放電容量を測定するものとした。そして、それ
ぞれの放電容量をそれぞれの電極体の体積で除して、そ
れぞれの体積エネルギー密度を求めた。この結果とし
て、それぞれのリチウム二次電池の放電容量、電極体体
積、体積エネルギー密度を、下記表1に示す。
リチウム二次電池は、比較例1のリチウム二次電池に比
べ、体積エネルギー密度が約20%も大きくなっている
ことが判る。この結果から、導電材を含まない正極を用
いた本発明のリチウム二次電池は、エネルギー密度、特
に体積エネルギー密度の高いリチウム二次電池であるこ
とが確認できる。
比較例1のリチウム二次電池に対して、パワー密度の測
定を行った。測定の要領は、20℃の環境温度下、それ
ぞれのリチウム二次電池を、SOC20%、50%、8
0%の3つの充電状態において、0.2〜10mA/c
m2の異なる電流密度の種々の定電流で10秒間充電お
よび放電させ、それらの場合の電池電圧の変化を測定す
るものである。異なる電流における電池電圧の変化値を
外挿し、充電であれば10秒間で充電終止電圧4.1V
に達すると仮定した場合の最大電流値を求め、また、放
電であれば10秒間で放電終止電圧3.0Vに達すると
仮定した場合の最大電流値を求め、それぞれの最大電流
値に充電終止電圧または放電終止電圧を乗じた値をその
リチウム二次電池のその充電状態または放電状態におけ
るパワーとした。
のリチウム二次電池の電極体の体積で除し、体積パワー
密度を求めた。充電時における体積パワー密度を充電体
積パワー密度、放電時における体積パワー密度を放電体
積パワー密度と称することとした。この結果として、図
1に、実施例1および比較例1のリチウム二次電池の充
電体積パワー密度および放電体積パワー密度を示す。
ウム二次電池と比べて、充電体積パワー密度および放電
体積パワー密度とも、実施例1のリチウム二次電池が優
っている。この結果から、導電材を含まない正極を用い
た本発明のリチウム二次電池は、パワー密度、特に体積
パワー密度の高いリチウム二次電池であることが確認で
きる。
係 〈実施例2のリチウム二次電池〉導電材を含まない正極
を用いた本発明の実施例となるリチウム二次電池であっ
て、正極合材層の層厚の種々異なるリチウム二次電池を
作製した。正極合材層の層厚を除き、他の構成は、上記
実施例1のリチウム二次電池と同様である。正極合材層
の層厚がそれぞれ10μm、15μm、20μm、25
μm、30μmとなる5種のものを作製した。正極活物
質となるリチウムニッケル複合酸化物粒子の平均粒子直
径が10μmであることから、正極合材層の層厚(d)
のリチウムニッケル複合酸化物粒子の平均粒子直径
(r)に対する比(d/r:「正極合材層厚比」と呼
ぶ)は、それぞれ1、1.5、2、2.5、3となる。
ちなみに、正極合材層厚比が2のものは、上記実施例1
と同じ構成となる。
含む正極を用いたリチウム二次電池であって、正極合材
層の層厚の種々異なるリチウム二次電池を作製した。正
極合材層の層厚を除き、他の構成は、上記比較例1のリ
チウム二次電池と同様である。上記実施例2のリチウム
二次電池の場合と同様、正極合材層の層厚がそれぞれ1
0μm、15μm、20μm、25μm、30μmとな
る5種のものを作製した。それぞれの正極合材層厚比に
ついても、上記実施例2のリチウム二次電池の場合と同
様となる。
較例2のそれぞれのリチウム二次電池の放電容量の測定
を行った。放電容量の測定の条件は、20℃の環境温度
下、充電終止電圧4.1Vまで電流密度0.2mA/c
m2の定電流で充電した後、放電終止電圧3.0Vまで
電流密度0.2mA/cm2の定電流で放電させ、この
ときの放電容量を測定するものとした。そして、それぞ
れの放電容量をそれぞれのリチウム二次電池おいて使用
されている正極活物質の重量で除して、それぞれの正極
活物質単位重量あたりの放電容量(以下、「活物質放電
容量」と略す)を求めた。この結果として、実施例2お
よび比較例2のそれぞれのリチウム二次電池における正
極合材層の層厚と活物質放電容量との関係を図2に示
す。
極を用いた比較例2のリチウム二次電池では、正極合材
層の層厚が厚くなっても、殆ど活物質放電容量が減少し
ていない。これは、導電材が正極合材層の良好な電気伝
導性を担保していることを表している。これに対し、導
電材を含まない正極を用いた実施例2のリチウム二次電
池では、正極合材層の層厚が厚くなるにつれて、活物質
放電容量が減少していることがわかる。導電材を含まな
いことで、正極合材中の電気伝導が減少し、電池の内部
抵抗が上昇することが伺える。
合においては、比較例2のリチウム二次電池の90%以
上の活物質放電容量が確保されており、実用的には問題
のない放電容量の減少に留まっている。したがって、正
極合材層の層厚を正極活物質の粒子の平均粒子直径の2
倍以下とすることにより、放電容量の減少を少なくで
き、かつ、上述した、エネルギー密度およびパワー密度
の高さを享受できることで、本発明のリチウム二次電池
は、実用的なリチウム二次電池となることが確認でき
る。
来用いられてきた導電材を排除し、活物質とそれを結着
する結着剤のみで正極合材を構成し、その正極合材によ
って形成されるされる正極を含むようにリチウム二次電
池を構成するものである。このような構成とすること
で、本発明のリチウム二次電池は、エネルギー密度、特
に体積エネルギー密度の高いリチウム二次電池となる。
び導電材を含む正極を用いた比較例1のそれぞれのリチ
ウム二次電池の充電体積パワー密度および放電体積パワ
ー密度を示す。
び導電材を含む正極を用いた比較例2のそれぞれのリチ
ウム二次電池における正極合材層の層厚と活物質放電容
量との関係を示す。
Claims (4)
- 【請求項1】 粉末状のリチウム遷移金属複合酸化物か
らなる正極活物質と、 該正極活物質を結着するための結着剤と、 からなる正極合材を有する正極を含んで構成されるリチ
ウム二次電池。 - 【請求項2】 前記正極は、集電体表面に前記正極合材
が層状に形成されてなり、 前記リチウム遷移金属複合酸化物の粉末を構成する粒子
の平均粒子直径をrと、前記正極合材の層厚をdとした
場合において、次式が成立する請求項1に記載のリチウ
ム二次電池。 2r≧d - 【請求項3】 前記リチウム遷移金属複合酸化物の粉末
を構成する粒子の平均粒子直径は、5μm以上20μm
以下である請求項1または請求項2に記載のリチウム二
次電池。 - 【請求項4】 前記リチウム遷移金属複合酸化物は、基
本組成をLiNiO2とする規則配列層状岩塩構造リチ
ウムニッケル複合酸化物である請求項1ないし請求項3
のいずれかに記載のリチウム二次電池。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000307708A JP4780361B2 (ja) | 2000-10-06 | 2000-10-06 | リチウム二次電池 |
Applications Claiming Priority (1)
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