JP2002116085A - 偏光計測装置 - Google Patents

偏光計測装置

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JP2002116085A
JP2002116085A JP2000305680A JP2000305680A JP2002116085A JP 2002116085 A JP2002116085 A JP 2002116085A JP 2000305680 A JP2000305680 A JP 2000305680A JP 2000305680 A JP2000305680 A JP 2000305680A JP 2002116085 A JP2002116085 A JP 2002116085A
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light
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polarization
measuring device
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JP2000305680A
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English (en)
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Tetsuya Hamamoto
哲也 浜本
Hisao Kikuta
久雄 菊田
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Japan Science and Technology Agency
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Japan Science and Technology Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 作製が容易な偏光計測装置を提供する。 【解決手段】 偏光計測装置1は、集光光学系と、4つ
の位相板61(61a〜61d)と、1つの偏光板7
と、4つの受光素子81(81a〜81d)と、演算処
理部とを備えている。4つの位相板61の各進相軸は、
偏光板7の偏光方向AR1に対して異なる4つの角度α
0,α1,α2,α3を有している。各位相板61は、
集光光学系からの光Lの位相状態を変化させ、偏光板7
は、4つの位相板61のそれぞれを通過した光を所定の
偏光方向に偏光する。また、4つの受光素子81は、偏
光板7を通過した4つの位相板61からの光をそれぞれ
受光し、演算処理部は、4つの受光素子81のそれぞれ
において受光された光の強度に基づいて、入射光Lのス
トークスパラメータを算出する。偏光板7は、全ての位
相板61に対して同一の偏光方向AR1を有しており、
位相板61と偏光板7との位置合わせが容易である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、対象物の偏光特性
を計測する偏光計測装置に関する。
【0002】
【従来の技術】光の偏光特性を計測する偏光計測装置と
しては、計測対象となる観測光の偏光特性を記述するス
トークスパラメータS0,S1,S2,S3を計測する
ストークスメータが存在する。
【0003】このようなストークスメータとしては、偏
光子と位相板とを用いて偏光子(又は)位相板を一定の
角度で刻みながら一回転させ、各角度での検出光からフ
ーリエ級数展開法を用いてストークスパラメータを決定
するものが存在する。
【0004】しかしながら、このような回転を伴う計測
においては、位相板(又は検光子)を回転させる駆動機
構が必要になるため構造が複雑になってしまい、また、
回転中に光軸がずれることにより計測精度の悪化を招く
ことになるという問題を有している。さらには、計測対
象の偏光状態が経時変化を伴う場合には、精密な測定は
不可能になるという問題を有している。
【0005】このような問題を解決する技術として、回
転偏光子(又は回転検光子)を用いない偏光計測を行う
ものが存在する。このような技術のうち、ストークスパ
ラメータS0,S1,S2,S3の全てを決定すること
ができるものに、次のような従来技術が存在する。これ
は、Max,Born著、"The principle of Optics",Nordinet
al,.J.Opt.Soc.Am.A16 p1168-1174(1999)に記載される
技術である。
【0006】図16は、この従来技術の概略を示す図で
ある。図16に示すように、この従来技術に係る偏光計
測装置100は、計測対象となる光Lの入射側から順
に、波長板アレイ110と偏光子アレイ120と受光素
子アレイ130とを備えている。また、偏光子アレイ1
20はマトリックス状に配置された複数の偏光子121
を有しており、受光素子アレイ130はマトリックス状
に配置された複数の受光素子131を有している。ま
た、波長板アレイ110も複数の波長板111を有して
いるが、波長板111は4つの偏光子121に1つの割
合で配置されており、波長板111の配置数は偏光子1
21の配置数の1/4である。また、波長板111は、
λ/4波長板であり、90度だけ位相差を生じさせる位
相板として機能する。
【0007】この装置100においては、偏光子アレイ
120に含まれる4つの偏光子121と、それぞれに対
応する4つの受光素子131と、4つの偏光子121の
うちの1つに対応する位置に設けられる波長板111と
を、1つのユニットとして、計測対象の光Lの偏光状態
を計測する。
【0008】図17は、この1つのユニットを取り出し
て示す図である。4つの偏光子121a〜121dの各
偏光方向(図中で矢印で示す)は、それぞれ、互いに4
5度(deg)ずつ角度がずれている。また、上述したよ
うに、波長板111は、これらの4つのうちの1つの偏
光子121dの入射側にのみ設けられており、他の3つ
の偏光子121a,121b,121cの入射側には設
けられていない。波長板アレイ110において、波長板
111が設けられていない部分、すなわち、3つの偏光
子121a,121b,121cの入射側の部分には、
入射光の偏光状態を変化させることなく単に光を透過さ
せる透光部材112が設けられている。そして、受光素
子131a,131b,131cにおいては、それぞ
れ、偏光子121a,121b,121cを透過した光
が観測され、また、受光素子131dにおいては、(λ
/4)波長板111および偏光子121dを透過した光
が観測される。そして、このような4つの受光素子13
1a〜131dにおいて観測される光の観測強度に基づ
く演算処理を行うことにより、ストークスパラメータS
3を含む上記の4つのストークスパラメータS0,S
1,S2,S3の全てを求めることが可能になる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記の従来
技術(図16,図17)においては、波長板111を4
つのうちの1つの偏光子121に対して精密に位置合わ
せ(アライメント)を行った上で、波長板アレイ110
と偏光子アレイ120とを貼り付ける必要がある。この
位置合わせが十分になされていない場合には、光量損失
などによる計測エラーが発生することになるからであ
る。
【0010】しかしながら、この微細な位置調整作業
は、このような非常に高度な位置精度が要求されるた
め、その作製が非常に困難であるという問題がある。
【0011】そこで、本発明は前記問題点に鑑み、作製
が容易な偏光計測装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1に記載の偏光計測装置は、光の偏光特性を
計測する偏光計測装置であって、対象物からの光を集光
する集光光学系と、前記集光光学系からの光の位相状態
を変化させる位相板であって、その進相軸の角度が互い
に異なる4つの位相板と、前記4つの位相板のそれぞれ
を通過した光を所定の偏光方向に偏光する偏光子と、前
記偏光子を通過した前記4つの位相板のそれぞれからの
光を受光する複数の受光素子と、前記複数の受光素子の
それぞれにおいて受光された光の強度に基づいて、前記
対象物からの光に関するストークスパラメータを算出す
る演算処理手段と、を備えることを特徴とする。
【0013】請求項2に記載の偏光計測装置は、請求項
1に記載の偏光計測装置において、前記4つの位相板と
前記4つの位相板のそれぞれに対応する複数の受光素子
とを1つのまとまりとするユニットを、複数備えている
ことを特徴とする。
【0014】請求項3に記載の偏光計測装置は、請求項
2に記載の偏光計測装置において、前記4つの位相板
は、2次元的に繰り返し配列されており、前記4つの位
相板のそれぞれに対応する複数の受光素子も、2次元的
に繰り返し配列されていることを特徴とする。
【0015】請求項4に記載の偏光計測装置は、請求項
1ないし請求項3のいずれかに記載の偏光計測装置にお
いて、前記4つの位相板の各進相軸と前記偏光子におけ
る前記偏光方向とは、それぞれ、4つの異なる角度α
0,α1,α2,α3を構成し、当該4つの異なる角度
α0,α1,α2,α3は、(−57.6度≦α0≦−
45.2度、かつ、−21.0度≦α1≦−8.6度、
かつ、+8.6度≦α2≦+21.0度、かつ、+4
5.2度≦α3≦+57.6度)、または、(−81.
4度≦α0≦−69.0度、かつ、−44.8度≦α1
≦−32.4度、かつ、+32.4度≦α2≦+44.
8度、かつ、+69.0度≦α3≦+81.4度)であ
ることを特徴とする。
【0016】請求項5に記載の偏光計測装置は、請求項
1ないし請求項3のいずれかに記載の偏光計測装置にお
いて、前記4つの位相板の各進相軸と前記偏光子におけ
る前記偏光方向とは、それぞれ、4つの異なる角度α
0,α1,α2,α3を構成し、当該4つの異なる角度
α0,α1,α2,α3は、それぞれ、−51.7度、
−15.1度、+15.1度、+51.7度の4つの異
なる角度、または、−74.9度、−38.3度、+3
8.3度、+74.9度の4つの異なる角度、であるこ
とを特徴とする。
【0017】請求項6に記載の偏光計測装置は、請求項
1ないし請求項5のいずれかに記載の偏光計測装置にお
いて、前記位相板におけるリターデーションδは、9
8.6度以上156.4度以下であることを特徴とす
る。
【0018】請求項7に記載の偏光計測装置は、請求項
1ないし請求項5のいずれかに記載の偏光計測装置にお
いて、前記位相板におけるリターデーションδは、13
1.8度であることを特徴とする。
【0019】請求項8に記載の偏光計測装置は、請求項
1ないし請求項7のいずれかに記載の偏光計測装置にお
いて、前記位相板は、光の波長よりも小さな周期的配列
を有する構造性複屈折パターンを用いて構造性複屈折現
象を生じさせることにより位相状態を変化させる位相板
であることを特徴とする。
【0020】請求項9に記載の偏光計測装置は、請求項
8に記載の偏光計測装置において、前記構造性複屈折パ
ターンにおける凸状部分は、2.0以上の屈折率を有す
る高屈折率材料を用いて形成されることを特徴とする。
【0021】
【発明の実施の形態】<A.実施形態> <A1.構成概要> 図1は、本発明の実施形態に係る偏光計測装置1を示す
概略構成図である。この偏光計測装置1は、光の偏光特
性を計測する装置であり、より詳細には、計測対象とな
る観測光の偏光特性を記述するストークスパラメータS
0,S1,S2,S3を計測するストークスメータであ
る。
【0022】この偏光計測装置1は、光源2とレンズ3
とを有する照明光学系4を備えており、照明光学系4は
対象物Bの表面を照明する。
【0023】また、偏光計測装置1は、対象物Bからの
光(ここでは反射光)を受光素子アレイ8に向けて集光
する集光光学系5と、集光光学系5からの光の位相状態
を変化させる複数の位相板が配列された位相板アレイ6
と、位相板アレイ6を通過した光を所定の偏光方向AR
1(図2)に偏光する偏光子としての偏光板7と、偏光
板7を通過した光を受光する複数の受光素子が配列され
た受光素子アレイ8と、複数の受光素子のそれぞれにお
いて受光された光の強度に基づいて対象物Bからの光に
関するストークスパラメータを算出する演算処理部9と
をさらに備えている。
【0024】図2は、位相板アレイ6、偏光板7、受光
素子アレイ8付近の概略構成を説明する拡大図である。
【0025】図2に示すように、位相板アレイ6は、縦
横方向に2次元的に配置された(言い換えればマトリッ
クス状に配置された)複数の位相板61を有している。
これらの複数の位相板61のうち縦横に2つずつ配列さ
れた合計4つの位相板(たとえば61a〜61d)が一
つのまとまり(すなわち構成単位)U6を形成してい
る。位相板アレイ6は、このような構成単位U6がさら
に縦横方向に2次元的に繰り返し配列されているもので
あるとも表現することができる。
【0026】また、偏光板7は、入射光を所定の偏光方
向AR1に偏光する偏光子として機能する。この偏光板
7は、位相板アレイ6全体に対して十分な大きさを有す
る単一の偏光板7として設けられており、さらに、この
偏光板7と位相板アレイ6とは互いに貼り付けられて一
体として作製されている。
【0027】ここにおいて、偏光板7における偏光方向
はいずれの位相板61に対しても同一の方向を有するよ
うにすればよいので、異なる偏光方向を有する偏光板を
各位相板61に応じて別個に設ける必要はなく、たとえ
ば位相板アレイ6全体に対して十分な大きさを有する単
一の偏光板7を設ければ十分である。また、仮に複数の
偏光板を各位相板61に応じて別個に設ける場合であっ
ても、それらの複数の偏光板の偏光方向は同一であるの
で、各位相板61と各偏光板との位置を精密に位置合わ
せする必要がない。このように、この実施形態の偏光計
測装置1によれば、個々の位相板61と偏光板7との位
置を精密に位置合わせ(アライメント)する必要がない
ので、作製が容易である。
【0028】さらに、受光素子アレイ8は、縦横方向に
2次元的に配置された(言い換えればマトリックス状に
配置された)複数の受光素子81を有している。これら
の複数の受光素子81のうち縦横に2つずつ配列された
合計4つの受光素子81(たとえば81a〜81d)が
一つのまとまり(すなわち構成単位)U8を形成してい
る。受光素子アレイ8は、このような構成単位U8がさ
らに縦横方向に2次元的に繰り返し配列されているもの
であるとも表現することができる。なお、この受光素子
81としては、CCD(Charge Coupled Device)ある
いはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconduc
tor)などを用いることができる。また、両者の撮像間
隔(フレームレート)は、たとえば、CCDが30ms
(ミリ秒)程度でありCMOSが1ms(ミリ秒)程度
であるので、高速測定を求められる場合には、より高い
応答性を有するCMOSなどを用いることが好ましい。
【0029】ここで各構成単位U8に含まれる4つの受
光素子81a〜81dは、それぞれ、対応する構成単位
U6に含まれる4つの位相板61a〜61dを通過した
光をそれぞれ受光する。具体的には、集光光学系5から
の光は、各位相板61a〜61dを通過し、さらに偏光
板7を通過した後、各受光素子81a〜81dにおいて
受光される。より詳細には、位相板61aからの光は受
光素子81aにおいて受光され、位相板61bからの光
は受光素子81bにおいて受光され、位相板61cから
の光は受光素子81cにおいて受光され、位相板61d
からの光は受光素子81dにおいて受光される。
【0030】このように、この偏光計測装置1において
は、4つの位相板61a〜61dと4つの位相板のそれ
ぞれに対応する複数の受光素子とを1つのまとまりとす
るユニットが構成されており、偏光計測装置1は、この
ようなユニットを複数個備えている。
【0031】<A2.位相板>次の図3に示すように、
各構成単位U6を形成する4つの位相板61は、その進
相軸の角度αが互いに異なっている。より具体的には、
この4つの位相板61の各進相軸は、偏光板7における
偏光方向AR1に対して、それぞれ、4つの異なる角度
α1,α2,α3,α4を有している。
【0032】図3は、4つの位相板61の進相軸の方向
を示す図であり、図3(a)は、各位相板61a〜61
dの進相軸が偏光板7の偏光方向AR1に対してなす角
度α1,α2,α3,α4が、それぞれ、−51.7
度、−15.1度、+15.1度、+51.7度である
場合を示しており、図3(b)は、これらの各角度α
1,α2,α3,α4が、それぞれ、−74.9度、−
38.3度、+38.3度、+74.9度である場合を
示している。なお、図3においては4つの位相板61a
〜61dの各進相軸の方向が矢印で示されており、その
各進相軸は偏光方向AR1(図3中において破線で示
す)に対して反時計回りを正とする角度を有するものと
して表現されている。
【0033】図4(a)は、1つの位相板61の平面図
であり、図4(b)は、その一部拡大図である。また、
図5はその位相板61の断面図である。
【0034】図5に示すように、位相板61は、二酸化
ケイ素(Si2)などの透明材料で作製された基板63
の上に、二酸化チタン(Ti2)などの透明材料で作製
された誘電体層64が積層された構造を有している。す
なわち、誘電体層64は、基板63の上に形成される凸
状部分であるとも表現できる。また、誘電体層64は、
透明な誘電体材料を用いて形成されており、図4(b)
に示すように、微細な幅Wを有する複数の線(ライン)
が、互いに微細な間隔(スペース)Dを空けて周期的に
配列されている。このように、誘電体層64は、所定の
形状を有する線が周期的に繰り返して配置されるパター
ンPTとして形成されている。言い換えれば、この構造
性複屈折パターンPTは、「ライン・アンド・スペー
ス」の周期的配列として形成されているのである。この
ような構造性複屈折パターンPTは、基板63上に誘電
体層64を真空蒸着等により積層し、電子線描画装置等
でパターンを露光、現像した後、プラズマエッチングを
行うことにより作製される。
【0035】ここで、幅Wおよび間隔Dは、いずれも、
光源2から出射される光の波長λよりも小さな値を有し
ている。すなわち、このパターンPTにおいては、光の
波長λよりも小さな幅Wの複数の線が、光の波長よりも
小さな間隔Wで周期的に配置されている。そして、光の
波長よりも微細なこのようなパターンPTに対して光が
入射する場合には、構造性複屈折現象が生じ、その光の
2つの固有偏光成分の振動方向に応じて屈折率が異なる
ことになる。すなわち、この構造性複屈折パターンPT
は、2つの直線偏光成分のそれぞれに対して互いに異な
る屈折率を有しており、その2つの屈折率差Δnに起因
して生じた光路差によって2つの成分間に位相差(リタ
ーデーション)δを生じさせる「位相板」としての機能
を発揮する。
【0036】なお、ここでは、「ライン・アンド・スペ
ース」の周期的配列を有する構成を構造性複屈折パター
ンPTとして例示しているが、これに限定されない。構
造性複屈折パターンPTは、光の波長よりも小さな周期
的配列を有することにより構造性複屈折現象を生じさせ
る構成であればよく、ライン状だけでなく菱形形状など
の所定の形状を有する単位形状が周期的に配列されたパ
ターンなどであってもよい。
【0037】また、この構造性複屈折現象におけるリタ
ーデーションδは、次の数1によって表される。
【0038】
【数1】
【0039】ただし、λは光の波長であり、hは光路長
であり、Δnは、構造性複屈折パターンPTのラインの
接線方向における屈折率Neとその法線方向における屈
折率Nmとの差である。また、この場合、光路長hは誘
電体層64の溝の深さ(積層高さ)d(図5参照)と等
しくなる。
【0040】ここにおいて、構造性複屈折パターンPT
の両方向における屈折率Ne,Nmは、それぞれ、対応
する方向における誘電率εe,εmとの間に次の数2の
関係を有しており、さらにこれらの誘電率εe,εm
は、ラインを構成する誘電体層64の材料の誘電率ε1
とスペースを構成する媒質の誘電率ε2(通常はほぼ
1.0)との間に数3の関係を有している。
【0041】
【数2】
【0042】
【数3】
【0043】したがって、これらの両式(数2,数3)
より次の数4の関係式が導かれる。ここで、N1は、ラ
インを構成する誘電体層64の材料の屈折率であり、N
2は、スペースを構成する媒質の屈折率(通常はほぼ
1.0)である。
【0044】
【数4】
【0045】この数4に示されるように、屈折率N2が
所定の値を有する場合には、屈折率N1が大きくなるに
つれて、数4の左辺の値が大きくなり、これに伴って上
記のΔnも大きくなる。このように、大きな屈折率N1
の材料を用いる場合には、Δnが大きくなるので、上述
の数1を参照すると判るように、同じリターデーション
δを実現するために必要な誘電体層(凸状部分)64の
積層高さdを低減することができる。また、誘電体層6
4は、上述したようにエッチング等により形成される
が、その積層高さdが小さい方が誘電体層64の作製が
容易である。
【0046】したがって、構造性複屈折パターンPTの
誘電体層64を形成する材料は、高い屈折率を有する高
屈折率材料であることが好ましい。具体的には、屈折率
が2.0以上の材料であることがより好ましい。このよ
うな高屈折率材料としては、たとえば、上記のように二
酸化チタン(Ti2)を用いることができる。これによ
れば、必要な積層高さdを低減することができるので、
構造性複屈折パターンPT(すなわち位相板61)の作
製を容易にすることが可能である。
【0047】なお、この実施形態においては、位相板6
1は、構造性複屈折パターンPTを用いて構造性複屈折
現象を生じさせることにより位相状態を変化させる位相
板として作製されているが、これに限定されず、結晶性
の複屈折材料を用いて作製してもよい。この場合であっ
ても、その複屈折材料の積層高さdを調整することによ
り、所望のリターデーションδを実現することが可能で
ある。ただし、その場合には、位相板61の進相軸の角
度αを後述のような角度に設定するための位置(角度)
調整が必要になるため、その作製が比較的困難になる。
【0048】一方、この実施形態のように、位相板61
が構造性複屈折パターンPTを用いて作製される場合に
は、各角度αは、構造性複屈折パターンPTにおけるラ
イン等の角度によって決定されるため、比較的精度よく
作製することが可能である。すなわち、この実施形態の
偏光計測装置によれば、結晶性材料を用いて位相板を作
製する場合に比べて、正確な進相軸の角度αを有する位
相板を容易に作製することが可能である。
【0049】<A3.計測原理等>つぎに、この偏光計
測装置1における処理について、計測原理を踏まえなが
ら説明する。
【0050】図6は、位相板アレイ6(図2)内の1つ
の位相板61と、偏光板7と、受光素子アレイ8内の1
つの受光素子81とを示す概念図である。
【0051】ここにおいて、図6に示すように、偏光特
性としてストークスパラメータS0,S1,S2,S3
を有する光Lが、位相板61と偏光板7とを通過して受
光素子81において受光されるとき、その受光された光
の強度Iは、次の数5によって表される。
【0052】
【数5】
【0053】ただし、αは、位相板61の進相軸AXが
偏光板7の偏光方向AR1に対してなす角度であり、δ
は、位相板61のリターデーションである。
【0054】また、同様の関係が4つの位相板61a〜
61dのそれぞれを通過した光について成立する。図7
は、4つの位相板61a〜61dについて、図6と同様
の状態を示した図である。図7に示すように、各受光素
子81a〜81dにおいて受光された光の強度は、それ
ぞれ、I0,I1,I2,I3となる。このとき、数5
の関係は、各角度α=α1,α2,α3,α4のそれぞ
れについて成立し、これらを行列形式でまとめて表示す
ると、次の数6のように表せる。
【0055】
【数6】
【0056】なお、ベクトルSは、ストークスパラメー
タS0,S1,S2,S3を要素とするベクトルであ
り、ベクトルIは、各受光素子81で受光された光の強
度(以下、「観測強度」とも称する)I0,I1,I
2,I3を要素とするベクトルである。また、行列A
は、各角度α1,α2,α3,α4とリターデーション
δとをパラメータとする係数行列である。
【0057】ここで、行列Aの逆行列が存在する場合に
は、次の数7に示すように、ストークスパラメータに関
するベクトルSは、観測強度に関するベクトルIを用い
て表現される。なお、行列Aの逆行列を行列Gとする
と、この行列Gの各要素は、数8のように表せる。
【0058】
【数7】
【0059】
【数8】
【0060】したがって、この数7を用いることによ
り、受光素子81a〜81dにおける観測強度I0,I
1,I2,I3に基づいて、ストークスパラメータS
0,S1,S2,S3を求めることが可能である。これ
により、4つの位相板61に入射した光の偏光特性を計
測することができる。
【0061】実際の計測においては、位相板アレイおよ
び偏光板の製作誤差や各受光素子の特性等を考慮するの
が好ましいが、以下においては、そのような考慮が不要
である理想的な条件下を前提として説明する。
【0062】図8ないし図11は、直線偏光した光のス
トークスパラメータS0,S1,S2,S3の計測処理
について説明する図である。図8は、図7に示す位相板
61、偏光板7、受光素子81に対して、偏光板7の偏
光方向AR1に対して所定の角度γを有する直線偏光状
態の光が入射した場合を示す図である。また、図9は、
このような各角度γを有する直線偏光の光とストークス
パラメータS0,S1,S2,S3との関係を表すグラ
フである。さらに、図10および図11は、各角度γを
有する直線偏光の光と各受光素子81において受光され
た際の観測強度I0,I1,I2,I3との関係を表す
グラフであり、図10はリターデーションδ=131.
8度の場合、図11はリターデーションδ=60.0度
の場合を表している。
【0063】図8に示すように、偏光板7の偏光方向A
R1に対して所定の角度γの方向に偏光した直線偏光
は、この直線偏光状態に対応するストークスパラメータ
S0,S1,S2,S3を有している。図9のグラフよ
り、たとえば、γ=0(度)のときには、(S0,S
1,S2,S3)=(1,1,0,0)であり、また、
γ=90(度)のときには、(S0,S1,S2,S
3)=(1,−1,0,0)であることが判る。
【0064】また、図10のグラフより、この角度γの
方向に偏光した直線偏光が、4つの位相板61a〜61
dのそれぞれにおいて観測される際における観測強度I
0,I1,I2,I3の理論値を得ることができる。た
とえば、γ=0(度)の直線偏光の光は、4つの位相板
61a〜61dのそれぞれにおいて、各観測強度(I
0,I1,I2,I3)=(0.8,0.8,0.2,
0.2)の光として観測される。このように、所定の角
度γを有する直線偏光は、対応するストークスパラメー
タS0,S1,S2,S3を有しており、かつ、各位相
板61a〜61dにおいてそれぞれ観測強度I0,I
1,I2,I3の光として受光される。この両者の関係
(ストークスパラメータと観測強度との関係)は、数6
に示す関係式により表される。
【0065】したがって、逆に、数6の逆変換式である
数7を用いることにより、実測値である観測強度I0,
I1,I2,I3に基づいて、観測光のストークスパラ
メータS0,S1,S2,S3を求めることが可能であ
る。このような演算処理は、上述の演算処理部9におい
て行われる。
【0066】なお、ここでは、直線偏光の光について説
明したが、楕円偏光の光についても同様の関係を得るこ
とができる。
【0067】このように、4つの位相板61a〜61d
とそれに対応する4つの受光素子81a〜81dとを1
つのまとまりとするユニットを用いることにより、対象
物Bの微小領域からの光の偏光特性を表すストークスパ
ラメータを求めることができる。すなわち、4つの受光
素子81を構成単位とする部分における光の観測強度を
用いて、対象物Bにおける1つの微小領域についての偏
光特性を計測することができる。
【0068】ところで、上述したようにこの偏光計測装
置1は、このような微小領域からの光についての偏光特
性に関する計測処理を行うユニット(4つの位相板61
a〜61dとそれぞれに対応する4つの受光素子81a
〜81dとを1つのまとまりとするもの)を、複数個備
えているので、同様の計測を複数の微小領域からの光に
ついて行うことが可能である。より具体的には、位相板
アレイ6は、4つの位相板61を1つのまとまりとする
構成単位U6を複数有しており、受光素子アレイ8は4
つの受光素子81を1つのまとまりとする構成単位U8
を複数を有している。また、各受光素子81は、それぞ
れに対応する位相板61からの光を偏光板7を介して受
光する。
【0069】したがって、受光素子アレイ8内の4つの
受光素子81を1つのまとまりとする複数の構成単位U
8のそれぞれにおいて観測される光の観測強度を用いる
ことにより、対象物Bにおける各微小領域についての偏
光特性を同時に計測することができる。すなわち、複数
のユニットを用いることにより、複数の微小領域からの
光の偏光特性を同時に計測することができる。これによ
り、対象物Bの表面内の二次元位置に依存してその反射
光の偏光特性が変化する場合などにおいても、対象物B
の各位置からの光についての偏光特性を同時に計測する
ことが可能になる。
【0070】特に、この偏光計測装置1においては、4
つの位相板61a〜61dとそれに対応する4つの受光
素子81a〜81dとは、いずれも、2次元的に繰り返
し配列されている。したがって、対象物Bにおいて二次
元的な広がりを有する面内からの光を、受光素子アレイ
8において二次元的な広がりを有する画像として得るこ
とができるので、その画像を用いることにより、対象物
Bの二次元的な広がりを有する面からの光について、そ
の偏光特性の面内分布を得ることができる。さらに、対
象物Bの偏光特性がその表面において連続的に変化する
場合においても、対象物Bの載置位置等を移動させるこ
となく連続的な変化を計測することができるので、その
偏光特性の面内分布を短時間にかつ正確に求めることが
できる。このように、この偏光計測装置1によれば、偏
光特性に関する面内分布を容易に計測することが可能に
なる。
【0071】<A4.測定精度について>次に、測定精
度について考察する。上述した数7を考慮すると、スト
ークスパラメータ測定時の誤差変数ベクトルΔSは、観
測強度の誤差に関する誤差変数ベクトルΔIを用いて次
の数9のように表現できる。
【0072】
【数9】
【0073】ここで、ベクトルIの強度のばらつきが同
程度であり、ベクトルΔIの各要素ΔI0,ΔI1,Δ
I2,ΔI3についての標準偏差σが等しいものと仮定
すると、この誤差変数が最小になるための条件は、次の
数10で定義される評価値ρが最小になることとして表
現される。
【0074】
【数10】
【0075】すなわち、偏光計測装置1における計測誤
差の問題は上記の評価値ρの最適化問題に帰着される。
【0076】ここにおいて、Ai,Bi,Ci,Di
(i=1,2,3,4)は、数8に示される行列G(行
列Aの逆行列)の各要素を表す値であり、各値Ai,B
i,Ci,Diは、α0,α1,α2,α3,δをパラ
メータとする値である。したがって、評価値ρを決定す
る各値Ai,Bi,Ci,Diの組合せは、各値α0,
α1,α2,α3,δの組合せとして表現される。すな
わち、より好ましい各値の組合せ(α0,α1,α2,
α3,δ)を求めることにより、計測誤差をより小さい
値にすることが可能になる。
【0077】そして、この評価値ρに関する最適解問題
を数値計算等を用いて解くことにより、上記の数10に
おける評価値ρを最小とするような各値に関する2つの
組合せ(α0,α1,α2,α3,δ)=(−51.
7,−15.1,+15.1,+51.7,+131.
8)、および(α0,α1,α2,α3,δ)=(−7
4.9,−38.3,+38.3,+74.9,+13
1.8)(単位は、「度(Degree)」)が得られる。た
だし、角度α(α0,α1,α2,α3)については、
−90度≦α≦90度、リターデーションδについて
は、0度≦δ≦180度の範囲で求めている。すなわ
ち、これらの2つの組合せが上記最適化問題の最適解で
ある。なお、これらの2つの各組合せの角度αは、図3
(a)および図3(b)のそれぞれに示した角度であ
る。
【0078】また、図12は、図3(a)の組合せを有
する場合における、リターデーションδと評価値ρとの
関係を表すグラフである。このグラフの横軸はリターデ
ーションδを表し、縦軸は評価値ρを表している。な
お、図3(b)の組合せを有する場合においても同一の
グラフとなる。
【0079】この図12に示されるように、リターデー
ションδが131.8度のときに、評価値ρが最小値と
なる。したがって、4つの位相板61a〜61dの各進
相軸が偏光板7の偏光方向に対して図3(a)に示すよ
うな角度を有し、かつ、リターデーションδが131.
8度を有するときに、評価値ρが最小化され、ストーク
スパラメータの計測誤差を最小化することが可能であ
る。
【0080】ところで、前述の図10は、リターデーシ
ョンδ=131.8度の場合における、直線偏光の偏光
角度γと各観測強度I0,I1,I2,I3との関係を
表し、前述の図11は、リターデーションδ=60.0
度の場合における、直線偏光の偏光角度γと各観測強度
I0,I1,I2,I3との関係を表している。
【0081】リターデーションδ=60.0度の場合
(図11)には、いずれの偏光角度γを有する光につい
ても、4つの位相板61a〜61dにおける各観測強度
I0,I1,I2,I3の相互間の差は比較的小さい。
言い換えれば、どの位相板61a〜61dを通過した光
の観測強度も近い値を有している。したがって、このよ
うな観測強度を用いた場合には、その測定誤差が大きく
なってしまう。
【0082】一方、リターデーションδ=131.8度
の場合(図11)には、いずれの偏光角度γを有する光
についても、4つの位相板61a〜61dにおける各観
測強度I0,I1,I2,I3の相互間の差は比較的大
きい。したがって、このような観測強度を用いた場合に
は、その計測誤差を小さくすることができる。
【0083】このように、リターデーションδ=13
1.8度の場合(図10)の方が、リターデーションδ
=60.0度の場合(図11)に比べて、各観測強度I
0,I1,I2,I3の相互間における相違度合いが比
較的大きくなっているので、計測誤差を小さくすること
が可能である。
【0084】このような関係は、図12にも表れてお
り、リターデーションδ=60.0度のときに評価値ρ
=9.3であるのに対して、リターデーションδ=13
1.8度のときに評価値ρ=3.16(最小値)を有し
ている。
【0085】また、図18は、図17に示す従来技術に
ついて同様の評価値ρを求めたグラフである。図17に
おいては、波長板(位相板)111としてλ/4波長板
が設けられており、この(λ/4)波長板111のリタ
ーデーションδは、90度である。仮にこの波長板11
1のリターデーションδを変化させていくと、図18に
示すように、90度のときに評価値ρが最小となり、リ
ターデーションδに関しては最適化されていることが判
る。ただし、この場合における評価値ρの最小値は4.
0である。
【0086】これに対して、上記実施形態に係る偏光計
測装置1においては、図12に示すように、評価値ρの
最小値は3.16となる。したがって、この実施形態に
おける評価値ρ(=3.16)は上記の従来技術の場合
における評価値ρ(=4.00)に比べて約80%の値
となり、約20%程度、誤差が減少することになる。こ
れは、従来技術の場合には、4つの偏光子の相互間の傾
きが45度ずつ相違した状態で構成されているのに対し
て、上記実施形態の場合には、4つの角度αおよびリタ
ーデーションδを含むパラメータが最適化された構成に
よって達成されるものであることに起因するものであ
る。言い換えれば、上記実施形態においては、角度αお
よびリターデーションδを最適化することにより、最大
約20%の計測誤差の減少を図っているのである。
【0087】さらに、図12に示されるように、リター
デーションδは131.8度以外の値を有する場合にお
いても、上記の従来技術よりも誤差が少ない計測結果を
得ることが可能である。具体的には、リターデーション
δについて、98.6度≦δ≦156.4度であって
も、評価値ρは4.0より小さくなる。すなわち、上記
実施形態におけるリターデーションδを、好ましくは9
8.6度以上156.4度以下の所定の値に設定するこ
とにより、従来技術よりも誤差が少ない計測処理を行う
ことが可能である。
【0088】また、角度αについて、上記の角度以外の
角度αを用いることによっても、上記の従来技術よりも
誤差が少ない計測処理を行うことが可能である。具体的
には、図13および数11に示すように、角度αとして
−51.7度、−15.1度、+15.1度、+51.
7度の4つの異なる角度に対して、5.9度または6.
5度を増減させた範囲内の所定の角度を有する場合であ
っても、評価値ρは4.0より小さくなり、上記従来技
術よりも誤差が少ない計測処理を行うことが可能であ
る。
【0089】
【数11】
【0090】なお、数11を計算すると、次の数12の
関係が導かれる。
【0091】
【数12】
【0092】また、同様にして、図14および数13に
示すように、角度αとして−74.9度、−38.3
度、+38.3度、+74.9度の4つの異なる角度に
対して、5.9度または6.5度を増減させた範囲内の
所定の角度を有する場合であっても上記従来技術よりも
誤差が少ない計測処理を行うことが可能である。
【0093】
【数13】
【0094】なお、数13を計算すると、次の数14の
関係が導かれる。
【0095】
【数14】
【0096】また、角度αの変動により、リターデーシ
ョンδの最適値も多少変動するが、角度αが上記の数1
1ないし数14で示される範囲内にあるときは、13
1.8度≦δ≦138.2度を満たす所定の値がリター
デーションδの最適値となる。
【0097】<A5.キャリブレーション>また、位相
板61は、構造性複屈折パターンPTを用いて作製され
る場合には、各角度αは、構造性複屈折パターンPTに
おけるライン等の角度によって決定されるため、比較的
精度よく作製することが可能であるが、リターデーショ
ンδは、構造性複屈折パターンPTとして積層される二
酸化チタンなどの誘電体層64の積層高さd(図5)の
相違により大きく影響を受ける(数1参照)ため、製作
誤差が生じやすい。そのような場合には、キャリブレー
ションにより、実際に製作された位相板61におけるリ
ターデーションδの値を補正することが可能である。
【0098】具体的には、図15のように、上述の計測
処理には用いない回転偏光子11を、キャリブレーショ
ン時においてのみ光路上に設け、位相板アレイ6に入射
する光を所定の角度γに直線偏光させる。そして、位相
板アレイ6および偏光板7を通過したこの直線偏光の受
光素子アレイ8における観測強度I0,I1,I2,I
3の組合せを複数の角度γについて求める。そして、各
リターデーションδごとに予め求めておいた、角度γと
I0,I1,I2,I3との関係に最も近いリターデー
ションδを複数のリターデーションδの中から選択すれ
ばよい。これにより、製作された位相板61におけるリ
ターデーションδを同定することができ、その同定値を
用いて補正を行うことができる。具体的には、この同定
結果の値を正しいリターデーションδの値として行列A
(ないし行列G)を求めた上で、数7を適用すればよ
い。
【0099】<B.変形例>上記実施形態においては、
1つの位相板61からの光を1つの受光素子81におい
て受光していたが、これに限定されず、複数の受光素子
81において受光してもよい。たとえば、1つの位相板
61からの光を4個の受光素子で受光しその平均値を取
ることにより、位相板61からの光の強度を得るように
してもよい。
【0100】また、上記実施形態においては、対象物B
からの反射光を計測する場合について説明したが、これ
に限定されない。たとえば、対象物自体が発光する場合
において、その光の偏光特性を計測する場合にも本発明
を適用することが可能であり、具体的には、面発光デバ
イスの偏光計測にも適用することができる。
【0101】
【発明の効果】以上のように、請求項1に記載の発明に
よれば、集光光学系からの光の位相状態を変化させる位
相板であってその進相軸の角度が互いに異なる4つの位
相板と、4つの位相板のそれぞれを通過した光を所定の
偏光方向に偏光する偏光子と、偏光子を通過した4つの
位相板のそれぞれからの光を受光する複数の受光素子
と、複数の受光素子のそれぞれにおいて受光された光の
強度に基づいて、対象物からの光に関するストークスパ
ラメータを算出する演算処理手段とを備える。したがっ
て、4つの位相板と偏光子とを高精度に位置合わせする
ことが不要になるので、その作製が容易である。
【0102】また、請求項2に記載の発明によれば、4
つの位相板と4つの位相板のそれぞれに対応する複数の
受光素子とを1つのまとまりとするユニットを複数備え
ているので、対象物における複数の微小領域からの光に
ついての各偏光状態を同時に計測することが可能にな
る。
【0103】さらに、請求項3に記載の発明によれば、
4つの位相板と複数の受光素子とは、いずれも、2次元
的に繰り返し配列されているので、対象物表面の面内分
布を同時に計測することが可能になる。
【0104】また、請求項4に記載の発明によれば、各
角度α0,α1,α2,α3が、このような値を有する
ので、従来技術よりも計測誤差を少なくすることが可能
になる。
【0105】さらに、請求項5に記載の発明によれば、
各角度α0,α1,α2,α3が、このような値を有す
るので、さらに計測誤差を少なくすることが可能にな
る。
【0106】また、請求項6に記載の発明によれば、リ
ターデーションδが、このような値を有するので、従来
技術よりも計測誤差を少なくすることが可能になる。
【0107】さらに、請求項7に記載の発明によれば、
リターデーションδが、このような値を有するので、さ
らに計測誤差を少なくすることが可能になる。
【0108】また、請求項8に記載の発明によれば、位
相板は、構造性複屈折パターンを用いて構造性複屈折現
象を生じさせることにより位相状態を変化させる位相板
であるので、結晶性材料を用いて位相板を作製する場合
に比べて、正確な進相軸の角度αを有する位相板を容易
に作製することが可能である。
【0109】さらに、請求項9に記載の発明によれば、
構造性複屈折パターンにおける凸状部分は、2.0以上
の屈折率を有する高屈折率材料を用いて形成される。し
たがって、当該凸状部分の必要高さが低減されるので、
その作製を容易にすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る偏光計測装置1を示す
概略構成図である。
【図2】位相板アレイ6、偏光板7、受光素子アレイ8
付近の概略構成を説明する拡大図である。
【図3】4つの位相板61の進相軸の方向を示す図であ
る。
【図4】1つの位相板61の平面図である。
【図5】位相板61の断面図である。
【図6】位相板61と偏光板7と受光素子81とを示す
概念図である。
【図7】4つの位相板61a〜61dについて、偏光板
7および受光素子81a〜81dとの関係を示した図で
ある。
【図8】角度γを有する直線偏光状態の光が入射した状
態を示す図である。
【図9】各角度γを有する直線偏光の光とストークスパ
ラメータS0,S1,S2,S3との関係を表すグラフ
である。
【図10】各角度γを有する直線偏光の光と各受光素子
81における観測強度I0,I1,I2,I3との関係
(δ=131.8度の場合)を表すグラフである。
【図11】各角度γを有する直線偏光の光と各受光素子
81における観測強度I0,I1,I2,I3との関係
(δ=60.0度の場合)を表すグラフである。
【図12】リターデーションδと評価値ρとの関係を表
すグラフである。
【図13】角度α0,α1,α2,α3の組合せを示す
図である。
【図14】角度α0,α1,α2,α3の組合せを示す
図である。
【図15】キャリブレーション時における偏光計測装置
1の構成を示す図である。
【図16】従来技術の概略を示す図である。
【図17】従来技術を示す図である。
【図18】従来技術について評価値ρを求めたグラフで
ある。
【符号の説明】
1,100 偏光計測装置 4 照明光学系 5 集光光学系 6 位相板アレイ 7 偏光板 8 受光素子アレイ 11 回転偏光子 61,61a〜61d 位相板 63 基板 64 誘電体層 81,81a〜81d 受光素子 AR1 偏光方向 I,I0〜I3 観測強度 L 入射光 PT 構造性複屈折パターン S0〜S3 ストークスパラメータ α,α0〜α3 位相板の進相軸と偏光板の偏光方向と
がなす角度 δ (位相板の)リターデーション
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 菊田 久雄 大阪府堺市学園町1−1 大阪府立大学工 学部 機械システム工学科 高機能機械シ ステム講座 計測工学研究室内 Fターム(参考) 2G059 AA02 BB08 EE02 EE05 JJ11 JJ19 JJ20 KK04 MM01 MM09 MM12 2H049 BA02 BA06 BA45 BB02 BB03 BB05 BC23

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光の偏光特性を計測する偏光計測装置で
    あって、 対象物からの光を集光する集光光学系と、 前記集光光学系からの光の位相状態を変化させる位相板
    であって、その進相軸の角度が互いに異なる4つの位相
    板と、 前記4つの位相板のそれぞれを通過した光を所定の偏光
    方向に偏光する偏光子と、 前記偏光子を通過した前記4つの位相板のそれぞれから
    の光を受光する複数の受光素子と、 前記複数の受光素子のそれぞれにおいて受光された光の
    強度に基づいて、前記対象物からの光に関するストーク
    スパラメータを算出する演算処理手段と、を備えること
    を特徴とする偏光計測装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の偏光計測装置におい
    て、 前記4つの位相板と前記4つの位相板のそれぞれに対応
    する複数の受光素子とを1つのまとまりとするユニット
    を、複数備えていることを特徴とする偏光計測装置。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の偏光計測装置におい
    て、 前記4つの位相板は、2次元的に繰り返し配列されてお
    り、 前記4つの位相板のそれぞれに対応する複数の受光素子
    も、2次元的に繰り返し配列されていることを特徴とす
    る偏光計測装置。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし請求項3のいずれかに記
    載の偏光計測装置において、 前記4つの位相板の各進相軸と前記偏光子における前記
    偏光方向とは、それぞれ、4つの異なる角度α0,α
    1,α2,α3を構成し、 当該4つの異なる角度α0,α1,α2,α3は、 −57.6度≦α0≦−45.2度、かつ、 −21.0度≦α1≦ −8.6度、かつ、 +8.6度≦α2≦+21.0度、かつ、 +45.2度≦α3≦+57.6度、 または、 −81.4度≦α0≦−69.0度、かつ、 −44.8度≦α1≦−32.4度、かつ、 +32.4度≦α2≦+44.8度、かつ、 +69.0度≦α3≦+81.4度 であることを特徴とする偏光計測装置。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし請求項3のいずれかに記
    載の偏光計測装置において、 前記4つの位相板の各進相軸と前記偏光子における前記
    偏光方向とは、それぞれ、4つの異なる角度α0,α
    1,α2,α3を構成し、 当該4つの異なる角度α0,α1,α2,α3は、それ
    ぞれ、 −51.7度、−15.1度、+15.1度、+51.
    7度の4つの異なる角度、または、 −74.9度、−38.3度、+38.3度、+74.
    9度の4つの異なる角度、であることを特徴とする偏光
    計測装置。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし請求項5のいずれかに記
    載の偏光計測装置において、 前記位相板におけるリターデーションδは、98.6度
    以上156.4度以下であることを特徴とする偏光計測
    装置。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし請求項5のいずれかに記
    載の偏光計測装置において、 前記位相板におけるリターデーションδは、131.8
    度であることを特徴とする偏光計測装置。
  8. 【請求項8】 請求項1ないし請求項7のいずれかに記
    載の偏光計測装置において、 前記位相板は、光の波長よりも小さな周期的配列を有す
    る構造性複屈折パターンを用いて構造性複屈折現象を生
    じさせることにより位相状態を変化させる位相板である
    ことを特徴とする偏光計測装置。
  9. 【請求項9】 請求項8に記載の偏光計測装置におい
    て、 前記構造性複屈折パターンにおける凸状部分は、2.0
    以上の屈折率を有する高屈折率材料を用いて形成される
    ことを特徴とする偏光計測装置。
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