JP2002110089A - 電極とそれを用いた放電ランプおよび光学装置 - Google Patents

電極とそれを用いた放電ランプおよび光学装置

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JP2002110089A
JP2002110089A JP2000296002A JP2000296002A JP2002110089A JP 2002110089 A JP2002110089 A JP 2002110089A JP 2000296002 A JP2000296002 A JP 2000296002A JP 2000296002 A JP2000296002 A JP 2000296002A JP 2002110089 A JP2002110089 A JP 2002110089A
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discharge lamp
tungsten
oxide
rare earth
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Kiyoko Kawashima
淨子 川島
Tetsuya Takahashi
哲也 高橋
Yasuhiro Iwato
泰博 岩藤
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Toshiba Lighting and Technology Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高圧放電ランプなどの電極において、電極材
料自体の機械的強度や電極温度の上昇などに基づく変形
や消耗を抑えると共に、電子放射性物質などの急速な飛
散を抑制する。そのような電極を用いることによって、
放電ランプの光束維持率およびランプ寿命を高める。 【解決手段】 希土類酸化物および希土類元素を含む複
合酸化物から選ばれる少なくとも1種の酸化物を含有す
るタングステン材などからなり、かつ所望の電極形状を
有する電極であって、電極形状を有するタングステン材
などは放電プラズマ焼結体からなる。このような電極を
例えば陰極4として用いることによって、高圧放電ラン
プ11が構成される。タングステン材などからなる電極
は陽極5に適用することもできる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、タングステン材な
どの高融点金属材を用いた電極と、それを用いた放電ラ
ンプおよび光学装置に関する。
【0002】
【従来の技術】映画館投射装置、半導体露光装置、レー
ザー装置、液晶プロジェクタなどの光学装置の光源に
は、メタルハライドランプ、キセノンランプ、高圧水銀
ランプなどの高圧放電ランプが幅広く使用されている。
このような高圧放電ランプの電極には、一般的にタング
ステン(W)が用いられている。具体的には、陰極には
酸化トリウムのような電子放射性物質を添加したタング
ステン合金が使用されており、また陽極には高温での耐
変形能に優れるドープドタングステン(K、Si、Al
などをドープしたタングステン)が使用されている。
【0003】ところで、従来のタングステン電極は、通
常の粉末冶金法に基づく焼結法と伸線加工を含む圧延加
工などとを組合せることにより作製されている。すなわ
ち、所望組成のドープドタングステン粉末やタングステ
ン合金粉末などを原料粉末として用いて、通常の焼結法
によりタングステン素材を作製する。このようなタング
ステン素材に対して鍛造、圧延などの加工を施した後、
伸線加工を施すことによって、所望の電極形状を有する
タングステン電極を得ている(特開2000-106131号公報
など参照)。
【0004】上述したような従来のタングステン電極の
製造方法では、タングステン素材の高密度化が難しいこ
とに加えて、伸線加工によりタングステン結晶粒が細長
い形状となって、機械的な強度が低下しやすいことか
ら、ランプ点灯中に高温となる電極に変形や消耗などが
生じやすいという問題がある。
【0005】また、従来のタングステン電極において
は、点灯熱による再結晶粒の異常成長が進みやすく、こ
の再結晶粒の異常成長に基づいて大きくなった粒界を経
由して、酸化トリウムなどの電子放射性ドープ材が電極
表面に急速に析出し、この析出物が周囲に飛散すること
で電極温度の上昇、それに伴う電極の消耗や変形が起こ
りやすいという問題がある。酸化トリウムなどの急速な
飛散は、高圧放電ランプの光束維持率の低下やランプの
黒化などの原因にもなっている。
【0006】近年の放電ランプの小型化や高負荷化など
に伴って、上記したような電極の変形や消耗、また光束
維持率の低下やランプの黒化などがより一層生じやすい
状況になっている。さらに、放電ランプの密閉化により
電極温度が上昇しやすくなっており、これも電極の変形
や消耗などの一因になっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、従来
の高圧放電ランプにおいては、通常の焼結法と伸線加工
などとを組合せて作製した電極材に起因して、電極の変
形や消耗などが生じやすいという問題がある。さらに、
このような電極の変形や消耗、またドープ材の急速な析
出や飛散などに起因して、光束維持率の低下やランプの
黒化などが生じやすいことが問題となっている。
【0008】一方、電極材料(特に陰極用電極材料)に
関しては、近年の環境問題により放射性物質であるトリ
ウムやその化合物の使用を禁止する方向に進んでいる。
そこで、陰極用の電極材料としては、酸化トリウムに代
えて酸化イットリウム、酸化ランタン、酸化セリウムな
どの希土類酸化物を電子放射性物質として用いたタング
ステン合金が有力視されている。
【0009】しかし、希土類酸化物などを含有するタン
グステン合金からなる電極においても、従来の焼結法と
伸線加工などとを組合せた製法を適用して作製した場合
には同様な問題が生じることが懸念される。そこで、希
土類酸化物などを含有するタングステン合金からなる電
極の変形や消耗、またこれらに起因する光束維持率の低
下やランプの黒化などを抑制し得る技術が求められてい
る。
【0010】本発明はこのような課題に対処するために
なされたもので、放電ランプの電極などとして用いた場
合に、電極材料自体の機械的強度や電極温度の上昇など
に基づく変形や消耗、また電子放射性物質の急速な飛散
などを抑制することを可能にした電極を提供することを
目的としており、またそのような電極を用いることによ
って、光束維持率の向上を図ると共に、黒化によるラン
プ寿命の低下などを抑制した放電ランプ、およびそのよ
うな放電ランプを用いた光学装置を提供することを目的
としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の電極は、請求項
1に記載したように、希土類酸化物および希土類元素を
含む複合酸化物から選ばれる少なくとも1種の酸化物を
含有する高融点金属材からなり、かつ所望の電極形状を
有する電極であって、前記電極形状を有する高融点金属
材は放電プラズマ焼結法によって形成されたことを特徴
としている。
【0012】放電プラズマ焼結法によれば、電極の最終
形状に近い電極素材を比較的低温でかつ高密度に作製す
ることができる。従って、電極素材に伸線加工などを施
すことなく、所望の電極形状を有するタングステン材の
ような高融点金属材、すなわち希土類酸化物や希土類元
素を含む複合酸化物を含有する高融点金属材からなる電
極を得ることができる。このようにして得られる電極
は、高密度であることに加えて、粒状でかつ微細な結晶
粒を有することから、電極自体の機械的強度を高めるこ
とができる。従って、本発明の電極を例えば放電ランプ
用電極などとして用いた場合に、その変形や消耗などを
抑制することが可能となる。
【0013】また、電極の結晶粒の粒状化や微細化など
に基づいて、例えば点灯熱による結晶粒の粗大化が抑え
られることから、ドープ材としての希土類酸化物や希土
類元素を含む複合酸化物の急速な析出や飛散を抑制する
ことが可能となる。これは例えば放電ランプの光束維持
率の向上や黒化の抑制などに寄与すると共に、電極の温
度上昇の低減に対しても有効に働くため、電極温度の上
昇に起因する変形や消耗なども抑制することができる。
【0014】本発明の電極は、特に放電ランプ用電極と
して好適である。また、例えば請求項2に記載したよう
に、高融点金属材はタングステン材からなり、かつタン
グステン材はY23、La23、CeO2、HfO2、お
よびAxyz(ただし、AはHfおよびSrから選ば
れる少なくとも1種の元素を、BはY、LaおよびCe
から選ばれる少なくとも1種の元素を、x、yおよびz
は任意の整数を示す)から選ばれる少なくとも1種の酸
化物を含有することが好ましい。さらに、請求項3に記
載したように、タングステン材は上記したような酸化物
を1〜4質量%の範囲で含有することが好ましい。
【0015】本発明の放電ランプは、請求項6に記載し
たように、ガラスバルブと、前記ガラスバルブ内に対向
配置された一対の電極とを具備する放電ランプにおい
て、前記一対の電極の少なくとも一方は、上記した本発
明の電極からなることを特徴としている。本発明の他の
放電ランプは、請求項7に記載したように、ガラスバル
ブと、前記ガラスバルブ内に対向配置された陰極および
陽極とを具備する放電ランプにおいて、前記陰極は前記
酸化物を電子放射性物質として含有する本発明の電極か
らなることを特徴としている。
【0016】このような本発明の放電ランプによれば、
上述した電極の特性に基づいて、光束維持率の向上を図
ることができると共に、黒化によるランプ寿命の低下な
どを抑制することが可能となる。本発明の放電ランプ
は、請求項8に記載したように、例えばメタルハライド
ランプ、キセノンランプ、高圧水銀ランプなどの高圧放
電ランプに対して特に有効である。ただし、通常の照明
用放電ランプなどに対しても適用可能である。
【0017】本発明の光学装置は、請求項9に記載した
ように、光源と、前記光源から放射された光を被処理物
に照射する光学系とを具備する光学装置において、前記
光源は上記した本発明の放電ランプを適用した高圧放電
ランプを有することを特徴とするものである。本発明の
光学装置の具体例としては、映画館投射装置、半導体露
光装置、レーザー装置、液晶プロジェクタなどが挙げら
れる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施するための形
態について説明する。
【0019】本発明の電極は、希土類酸化物および希土
類元素を含む複合酸化物から選ばれる少なくとも1種の
酸化物を含有する高融点金属材からなるものである。高
融点金属材としては、特にタングステン材を用いること
が好ましいが、必ずしもそれに限定されるものではな
く、電極の用途によってはモリブデン材などが用いられ
る。以下では高融点金属材の代表例としてタングステン
材を用いた場合について主として説明する。
【0020】また、高融点金属材中の希土類酸化物や希
土類元素を含む複合酸化物は、特に限定されるものでは
なく、電極の用途に応じて種々の希土類元素の酸化物、
あるいは種々の希土類元素と遷移金属元素との複合酸化
物を使用することができ、これら以外の電子放射特性を
有する金属酸化物を適用することも可能である。
【0021】本発明の電極を放電ランプの陰極として用
いる際には、例えばタングステン材中に含有させた希土
類酸化物や希土類元素を含む複合酸化物は、電子放射性
物質として機能するものである。このような場合、希土
類酸化物としては仕事関数の小さいY23(2.0eV)、
La23(2.8eV)、およびCeO2(3.21eV)から選ば
れる少なくとも1種が好ましく用いられる。
【0022】希土類元素を含む複合酸化物についても同
様であり、仕事関数の小さいHfO 2(2.81eV)やSr
O(1.27〜1.4eV)と上記した希土類酸化物との複合酸
化物、例えばHfLa25などを使用することが好まし
い。すなわち、希土類元素を含む複合酸化物としては、
xyz(ただし、AはHfおよびSrから選ばれる
少なくとも1種の元素を、BはY、LaおよびCeから
選ばれる少なくとも1種の元素を、x、yおよびzは任
意の整数を示す)を用いることが好ましい。また、これ
らに代えてHfO2を使用してもよい。
【0023】本発明の電極を放電ランプの陽極として用
いる場合には、例えばタングステン材中に含有させた希
土類酸化物や希土類元素を含む複合酸化物は、陽極の損
傷防止材として機能するものである。希土類酸化物や希
土類元素を含む複合酸化物を含有するタングステン材に
よれば、従来のドープドタングステンなどに比べて、ラ
ンプの長時間点灯による陽極先端部の損傷を小さく抑え
ることができる。
【0024】本発明の電極を陽極に適用する際の希土類
酸化物や希土類元素を含む複合酸化物としては、種々の
希土類元素の酸化物、あるいは種々の希土類元素と遷移
金属元素との複合酸化物を使用することができるが、特
に陽極の損傷防止作用に優れるY23を用いることが好
ましい。
【0025】タングステン材などに含有させる希土類酸
化物や希土類元素を含む複合酸化物の量は、電極の使用
用途に応じて適宜に設定されるものであるが、上記した
ような酸化物を1〜4質量%の範囲で含有することが好ま
しい。希土類酸化物や複合酸化物の含有量が1質量%未
満であると、その添加効果を十分に得ることができない
おそれがある。特に、本発明の電極を陰極として用いる
場合に、希土類酸化物や複合酸化物の含有量が1質量%
未満であると、放電ランプの陰極に求められる電子放出
特性を十分に満足させることができないおそれが大き
い。
【0026】一方、希土類酸化物や複合酸化物の含有量
が4質量%を超えると、それらの分布が不均一になるこ
とによって、例えば陰極に用いた場合には電子放射性物
質が電極表面に急速に析出し、この析出物が周囲に飛散
することで電極温度の上昇、それに伴う電極の消耗や変
形を招くおそれがある。これらは放電ランプの光束維持
率の低下やランプ黒化などの原因になる。
【0027】本発明の電極は、上述したような希土類酸
化物や希土類元素を含む複合酸化物を含有するタングス
テン粉末などを、放電プラズマ焼結法(SPS法:Spar
k Plasma Sintering)によって、おおよその電極形状に
仕上げたものである。すなわち、本発明の電極は放電プ
ラズマ焼結体からなるタングステン材のような高融点金
属材を有するものである。
【0028】放電プラズマ焼結法は、圧粉体(成形体)
の粒子間隙に直接パルス状の電気エネルギーを投入し、
火花放電現象により発生する放電プラズマ(高温プラズ
マ)の高温エネルギーを熱拡散や電界拡散などに効果的
に利用することによって、圧粉体(成形体)を高密度に
焼結する方法である。放電プラズマ焼結法によれば、常
圧焼結法、ホットプレス法、熱間等方圧焼結法(HIP
法)などの通常の焼結法に比べて、200〜500℃程度低い
温度域で、しかも比較的短時間で高密度の焼結体を得る
ことができる。さらに、その焼結原理から電極の最終形
状に近い電極素材を作製することができる。
【0029】具体的には、まず上述した希土類酸化物や
希土類元素を含む複合酸化物を所定の組成比で含むタン
グステン粉末(混合粉末)などを、例えばカーボン製の
ダイと上下一対のパンチとからなる成形型内に充填し、
装置内を真空雰囲気した後、上下のパンチに圧力を印加
しつつ電源を接続して通電する。成形型内に充填された
タングステン粉末(成形体)は、通電により生じる放電
プラズマによって、所定の焼結温度まで昇温される。圧
力の印加状態を維持した状態で、焼結温度で一定時間保
持することによって、例えば相対密度が94%以上の高密
度焼結体(電極素材)を得ることができる。
【0030】焼結原料となる混合粉末は、タングステン
粉末と希土類酸化物や複合酸化物などの粉末とを所定の
組成比で混合したもの、あるいは希土類酸化物や複合酸
化物をドープ法(例えば各酸化物の硝酸溶液として添加
する溶液ドープ法)で添加したタングステン粉末などを
使用することができる。この際、希土類酸化物や複合酸
化物は平均粒径が2μm以下となるように添加することが
好ましい。また、焼結温度は1550〜1900℃の範囲とする
ことが好ましい。焼結時間は0.2〜1時間程度とすること
が好ましい。
【0031】上述したような放電プラズマ焼結法によれ
ば、電極の最終形状に近い電極素材を高密度焼結体とし
て得ることができるため、電極素材に伸線加工などを施
すことなく、最終的な切削加工などを施すだけで、所望
の電極形状を有する高密度のタングステン焼結体、すな
わち放電ランプ用などとして好適な電極を作製すること
が可能となる。
【0032】放電プラズマ焼結法により得られる電極
(高密度のタングステン焼結体など)は、従来の電極の
ように伸線加工などを施すことなく、所望の密度や形状
を得ることができる。このため、焼結体の微細組織は図
1に示すように、粒状のW結晶粒Aの集合体となり、さ
らにW結晶粒Aの結晶粒径自体も微細な状態を維持しつ
つ高密度化が可能である。一方、伸線加工を施した従来
の電極は、図2に示すように、W結晶粒Bが軸方向に伸
びた細長い形状(針状結晶粒)を有している。
【0033】このような電極(タングステンの放電プラ
ズマ焼結体など)の高密度化(例えば相対密度が94%以
上)に加えて、粒状でかつ微細なW結晶粒Aを有するこ
となどに基づいて、電極自体の機械的強度を高めること
ができるため、放電ランプ用の電極の変形や消耗などを
抑制することが可能となる。また、W結晶粒Aの粒状化
や微細化などに基づいて、点灯熱によるW結晶粒Aの粗
大化が抑えられることから、希土類酸化物や複合酸化物
の急速な析出や飛散を抑制することが可能となる。これ
は放電ランプの光束維持率の向上や黒化の抑制などに寄
与すると共に、電極の温度上昇の低減に対しても有効に
働くため、電極温度の上昇に起因する変形や消耗の抑制
に対しても大きく寄与する。
【0034】上述したように、希土類酸化物や複合酸化
物を含有するタングステン材などの放電プラズマ焼結体
からなる電極は、焼結条件、W結晶粒の形状や粒径、加
工工程などに基づいて、例えば点灯熱などによる変形や
消耗を大幅に抑制することができる。また、タングステ
ン材などに含有させた希土類酸化物や複合酸化物の急速
な飛散を抑制することができる。これらによって、例え
ば放電ランプの光束維持率を向上させることが可能であ
ると共に、放電ランプの黒化による寿命の低下などを抑
制することができる。
【0035】なお、これまでは本発明の電極を放電ラン
プの陰極に用いる場合について主として説明したが、本
発明の電極を陽極に用いる場合においても、その機械的
強度や耐損傷性、さらには電極温度の上昇抑制機能など
に基づいて、例えばランプの長時間点灯による陽極先端
部の損傷を小さく抑えることができる。これによって
も、放電ランプの長寿命化を達成することが可能とな
る。
【0036】本発明の電極は、メタルハライドランプ、
キセノンランプ、高圧水銀ランプなどの高圧放電ランプ
の電極、特に陰極に好適であるが、陽極に対しても適用
可能であることは上述した通りである。また、高圧放電
ランプのような直流タイプの放電ランプの電極に限ら
ず、通常の照明用放電ランプのような交流タイプの放電
ランプの電極に対しても、本発明の電極は適用可能であ
る。
【0037】次に、本発明の放電ランプの実施形態につ
いて説明する。
【0038】図3は、本発明の放電ランプをメタルハラ
イドランプ、キセノンランプ、超高圧水銀ランプなどの
高圧放電ランプに適用する場合の一実施形態の概略構造
を示す図である。同図において、1は石英ガラスなどか
らなるバルブであり、このバルブ1は球状ないしは楕円
球状の放電空間部1aとそれに連通した一対の枝管1
b、1bとを有している。枝管1b、1bには、それぞ
れ第1および第2の電極軸2、3が収納されている。
【0039】第1の電極軸2はタングステン棒からな
り、その先端は円錐形状に整形されて陰極4を形成して
いる。このような陰極4は本発明の電極からなるもので
ある。すなわち、電子放射性物質として希土類酸化物や
希土類元素を含む複合酸化物などを含有するタングステ
ン材の放電プラズマ焼結体からなる電極によって、陰極
4が構成されている。
【0040】第2の電極軸3はタングステン棒などから
なり、その先端には陽極5が装着されている。陽極5は
バルブ1の放電空間部1aにおいて陰極4と対向配置さ
れており、陰極4と共に一対の電極を構成している。陽
極5は本発明の電極で構成してもよいし、あるいは従来
のドープドタングステン、例えばK、SiおよびAlか
ら選ばれる少なくとも1種を0.001〜0.01質量%の範囲で
含有するドープドタングステンで構成することも可能で
ある。このドープドタングステンからなる電極について
も、放電プラズマ焼結により作製した高密度焼結体を適
用することが好ましい。
【0041】上記した第1および第2の電極軸2、3
は、それらの基端部がバルブ1の枝管1b内に石英ガラ
ス円筒部材6を介して封止、固定されている。第1およ
び第2の電極軸2、3には金属箔、例えばモリブデン箔
7が電気的に接続されており、これらにはさらに外部リ
ード棒8がそれぞれ電気的に接続されている。
【0042】バルブ1の枝管1bには、それぞれ陰極タ
ーミナル9と陽極ターミナル10が装着されている。そ
して、封止されたバルブ1の放電空間部1a内には、水
銀およびアルゴン、キセノンなどの希ガスからなる放電
媒体が封入されており、これらによって高圧放電ランプ
11が構成されている。
【0043】上述したように、本発明の電極を陰極4に
用いた高圧放電ランプ11によれば、電極の変形や消
耗、さらには電子放射性物質の急速な飛散などを抑制す
ることができることから、光束維持率の向上ならびに長
寿命化を実現することができる。このような本発明の放
電ランプは、メタルハライドランプ、キセノンランプ、
超高圧水銀ランプなどの高圧放電ランプに好適である
が、一般照明用の放電ランプ(蛍光ランプ)に対しても
適用可能である。また、特にショートアークタイプの高
圧放電ランプに有効である。
【0044】次に、本発明の光学装置の実施形態につい
て説明する。本発明の光学装置は、光源として本発明を
適用した高圧放電ランプと、この光源から放射された光
を被処理物に照射する光学系とを具備するものであり、
その具体例としては映画館投射装置、半導体露光装置、
レーザー装置、液晶プロジェクタなどが挙げられる。光
源として用いる高圧放電ランプは、光学装置の種類や用
途に応じて適宜選択されるものである。
【0045】図4は本発明の光学装置の一実施形態とし
ての半導体露光装置である。同図において、21は上述
したような本発明を適用した高圧放電ランプであり、こ
の高圧放電ランプ21から放射された紫外線(例えばg
線)は、楕円ミラー22および正反射ミラー23で反射
された後、非球面レンズ24および集光レンズ25で集
光される。集光された紫外線は、正反射ミラー26およ
びコンデンサレンズ27を経てフォトマスク28を通過
し、さらに縮小投影レンズ29を通過した後に半導体ウ
エハ30に照射される。これによって、半導体ウエハ3
0を所定のパターンで露光するものである。
【0046】
【実施例】次に、本発明の具体的な実施例について説明
する。
【0047】実施例1、比較例1 まず、平均粒子径が1μmと2μmのタングステン粉末をそ
れぞれ用意し、これらにLa23を溶液ドープ法(硝酸
溶液使用)を適用して2質量%添加した。これらのLa2
3を含むタングステン粉末を放電プラズマ焼結装置に
セットし、表1に示す焼結条件でそれぞれ放電プラズマ
焼結して、所望の電極形状に近い形状を有する電極素材
をそれぞれ作製した。放電プラズマ焼結は1Paオーダー
の真空雰囲気中で実施した。
【0048】これら各電極素材を最終形状に切削加工す
ることによって、それぞれ高圧放電ランプ用陰極を得
た。このようにして得た各タングステン電極の相対密度
と結晶粒の形状を表1に示す。さらに、これら各陰極を
用いて、250Wの超高圧水銀ランプをそれぞれ組立て、20
00時間のランプ点灯後の電極(陰極)の変形度合いと光
束維持率を測定、評価した。その結果を併せて表1に示
す。なお、ランプ光束維持率は2000時間の点灯後のi線
照度の維持率である。
【0049】なお、表中の比較例1は本発明との比較の
ために掲げたものであり、従来の常圧焼結法(3000℃×
1時間)と伸線加工を含む圧延加工とを組合せた製造方
法に基づいて作製したものである。これら各電極(陰
極)についても、電極の相対密度と結晶粒の形状を測定
した。さらに、これら各陰極を用いて、250Wの超高圧水
銀ランプをそれぞれ組立て、2000時間のランプ点灯後の
電極(陰極)の変形度合いと光束維持率を測定、評価し
た。
【0050】
【表1】 表1から明らかなように、実施例1の各タングステン電
極を用いた超高圧水銀ランプは、比較例1のタングステ
ン電極を用いたものに比べて、電極(陰極)の変形度合
いが少ないと共に、光束維持率に優れることが分かる。
これは高圧放電ランプの長寿命化に大きく寄与するもの
である。
【0051】実施例2 上記した実施例1において、電子放射性物質としてのL
23に代えて、Y23、CeO2、HfO2、HfLa
25を用いる以外は、実施例1と同様にして、それぞれ
高圧放電ランプ用陰極を作製した。これら各電極につい
ても、実施例1と同様にして特性の測定、評価を行った
ところ、実施例1と同様に良好な結果を示すことが確認
された。
【0052】実施例3 実施例2のY23を含有するタングステン電極を、陽極
形状に合せて作製する以外は、実施例2と同様にして高
圧放電ランプ用陽極を作製した。このタングステン陽極
を用いて、超高圧水銀ランプを作製したところ、長寿命
化が達成できることが確認された。
【0053】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の電極によ
れば、例えば高圧放電ランプの電極として用いた場合に
おいても、変形や消耗を抑えることができると共に、電
子放射性物質の急速な飛散などを抑制することが可能で
ある。従って、このような電極を用いた本発明の放電ラ
ンプによれば、光束維持率の向上を図ると共に、黒化に
よるランプ寿命の低下などを抑制することができる。す
なわち、放電ランプの長寿命化を実現することが可能と
なる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の電極を構成する結晶粒の形状の一例
を模式的に示す図である。
【図2】 従来の放電ランプ用電極を構成する結晶粒の
形状の一例を模式的に示す図である。
【図3】 本発明の放電ランプを適用した高圧放電ラン
プの一実施形態の概略構造を示す断面図である。
【図4】 本発明の光学装置の一実施形態としての半導
体露光装置の一構成例を示す図である。
【符号の説明】 1……バルブ 2、3……電極軸 4……陰極 5……陽極 11、21……高圧放電ランプ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岩藤 泰博 東京都品川区東品川四丁目3番1号 東芝 ライテック株式会社内 Fターム(参考) 5C015 JJ05 JJ06 KK02

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 希土類酸化物および希土類元素を含む複
    合酸化物から選ばれる少なくとも1種の酸化物を含有す
    る高融点金属材からなり、かつ所望の電極形状を有する
    電極であって、 前記電極形状を有する高融点金属材は、放電プラズマ焼
    結法によって形成されたことを特徴とする電極。
  2. 【請求項2】 前記高融点金属材はタングステン材から
    なり、かつ前記タングステン材はY23、La23、C
    eO2、HfO2、およびAxyz(ただし、AはHf
    およびSrから選ばれる少なくとも1種の元素を、Bは
    Y、LaおよびCeから選ばれる少なくとも1種の元素
    を、x、yおよびzは任意の整数を示す)から選ばれる
    少なくとも1種の酸化物を含有することを特徴とする請
    求項1記載の電極。
  3. 【請求項3】 前記タングステン材は、前記酸化物を1
    〜4質量%の範囲で含有することを特徴とする請求項1
    または請求項2記載の電極。
  4. 【請求項4】 前記タングステン材は、粒状の結晶粒を
    有することを特徴とする請求項1ないし3いずれか一項
    記載の電極。
  5. 【請求項5】 前記タングステン材は、94%以上の相対
    密度を有することを特徴とする請求項1ないし4いずれ
    か一項記載の電極。
  6. 【請求項6】 ガラスバルブと、前記ガラスバルブ内に
    対向配置された一対の電極とを具備する放電ランプにお
    いて、 前記一対の電極の少なくとも一方は、請求項1ないし5
    いずれか一項記載の電極からなることを特徴とする放電
    ランプ。
  7. 【請求項7】 ガラスバルブと、前記ガラスバルブ内に
    対向配置された陰極および陽極とを具備する放電ランプ
    において、 前記陰極は、前記酸化物を電子放射性物質として含有す
    る請求項1ないし5いずれか一項記載の電極からなるこ
    とを特徴とする放電ランプ。
  8. 【請求項8】 前記放電ランプは高圧放電ランプである
    ことを特徴とする請求項6または請求項7記載の放電ラ
    ンプ。
  9. 【請求項9】 光源と、前記光源から放射された光を被
    処理物に照射する光学系とを具備する光学装置におい
    て、 前記光源は請求項8記載の高圧放電ランプを有すること
    を特徴とする光学装置。
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