JP2002110081A - 質量分析方法および装置 - Google Patents
質量分析方法および装置Info
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Abstract
的に同時に生成されることが確認された娘イオンを照合
することにより親イオンを同定する方法が開示されてい
る。イオン源1から放出されたイオンは、イオンが実質
的にフラグメント化され娘イオンを生成する第1のモー
ドとイオンが実質的にフラグメント化しない第2のモー
ドとの間を交互に繰り返し切り換わる衝突セル3に入射
する。両方のモードで質量スペクトルが取得され、試行
の最後に、2つの異なるモードで得られた質量スペクト
ルを比較することにより、親イオンと娘イオンが認識さ
れる。溶離時間の適合度により、娘イオンが特定の親イ
オンに適合され、それによって、親イオンの同定が可能
になる。
Description
び装置に関する。
質量分析方法の名称であり、その方法においては、サン
プルから生成された親イオンが、第1の質量フィルタ/
分析器によって選抜された後に衝突セルに通され、中性
ガス分子との衝突によってフラグメント化され、娘(す
なわち「生成」)イオンを生じる。次に娘イオンは、第
2の質量フィルタ/分析器によって質量分析され、娘イ
オンスペクトルの結果は、構造決定つまり親(すなわち
「前駆」)イオンの同定に用いることができる。質量ス
ペクトル分析の前に化学的洗浄の必要がないため、タン
デム質量分析は特に、生体分子のような複雑な混合物の
分析に有用である。
ン走査法と呼ばれる方法が知られており、その方法の第
1の工程では、第2の質量フィルタ/分析器が質量フィ
ルタとして働くように配置され、特定の質量/電荷比を
持つ娘イオンのみを通過させ、検出するようになってい
る。その質量/電荷比は、特定の親イオンもしくは特定
の種類の親イオンのフラグメント化から生成する固有の
生成物であることが知られている娘イオンの質量/電荷
比と一致するように決定される。次に、衝突セルの上流
にある第1の質量フィルタ/分析器が走査され、第2の
質量フィルタ/分析器はその特定の質量/電荷比を持つ
娘イオンの存在を続けてモニタリングする。そして、固
有の娘イオンを生じる親イオンの質量/電荷比を決定す
ることができる。次に、第2の工程として、特定の質量
/電荷比を選択するように第1のフィルタ/分析器を動
作させ、完全な娘イオンスペクトルを記録するために第
2の質量フィルタ/分析器を走査することにより、固有
の娘イオンを生成する親イオンの質量/電荷比それぞれ
に対する完全な娘イオンスペクトルを得ることができ
る。この工程は、目的とするその他の親イオンに対して
繰り返すことができる。例えば生体分子のエレクトロス
プレイ質量スペクトル内で高頻度に遭遇する化学的なノ
イズのために直接の質量スペクトル内で親イオンを確認
できない場合には、親イオン走査法が有用である。
突ガスが導入される四重衝突セルと、第2の四重極質量
フィルタ/分析器とを備える三連四重極質量分析計がよ
く知られている。他の型の質量分析計としてはハイブリ
ッド四重極飛行時間型質量分析計が知られているが、こ
れは、直交型の飛行時間型分析器が第2の四重極質量フ
ィルタ/分析器に置き換わったものである。
候補親イオンの娘イオンスペクトルを取得する従来の方
法を実行する際には、両方の型の質量分析計は、デュー
ティサイクル(利用率)が低いため、オンラインクロマ
トグラフィのように高いデューティサイクルを必要とす
る用途には適さないという欠点がある。
場合には、約100%のデューティサイクルを持つが、
例えばピークのベースが1質量単位幅である500の質
量単位の質量範囲を質量分析するために走査モードで質
量分析器として用いられる場合には、デューティサイク
ルが約0.1%に減少する。
イクルは通例、1〜20%の範囲であり、スペクトル内
の異なるイオンの相対質量/電荷(「m/z」)値に依
存する。しかしながら、デューティサイクルは同様に、
飛行時間型分析器が、特定の質量/電荷比を持つイオン
を通過させるための質量フィルタとして用いられている
か、完全な質量スペクトルを記録するために用いられて
いるかということには依存しない。これは、飛行時間型
分析器の動作の特性による。娘イオンのスペクトルを取
得し記録する際には、飛行時間型分析器のデューティサ
イクルは約5%が通例である。
用いて候補親イオンを発見するために探索する際の一般
的なデューティサイクルは、約0.1%である(第1の
四重極質量フィルタ/分析器は0.1%のデューティサ
イクルで走査され、第2の四重極質量フィルタ/分析器
は100%のデューティサイクルで質量フィルタとして
働く)。特定の候補親イオンに対して娘イオンのスペク
トルを取得する際のデューティサイクルも、約0.1%
である(第1の四重極質量フィルタ/分析器は100%
のデューティサイクルで質量フィルタとして働き、第2
の四重極質量フィルタ/分析器は約0.1%のデューテ
ィサイクルで走査される)。その結果、多数の候補親イ
オンを発見し、候補親イオンの一つの娘イオンスペクト
ルを生成する際のデューティサイクルは、0.1%/2
(各段階のデューティサイクルが0.1%である二段階
工程であるため)、すなわち0.05%となる。
時間型質量分析器のデューティサイクルは、約0.00
5%である(四重極は約0.1%のデューティサイクル
で走査され、飛行時間型分析器は約5%のデューティサ
イクルで質量フィルタとして働く。候補親イオンが発見
されると、候補親イオンの娘イオンスペクトルを5%の
デューティサイクルで取得することができる(四重極は
約100%のデューティサイクルで質量フィルタとして
働き、飛行時間型分析器は5%のデューティサイクルで
走査される)。その結果、多数の候補親イオンを発見
し、候補親イオンの一つの娘イオンスペクトルを生成す
るデューティサイクルは、0.005%となる(何故な
ら0.005%<<5%)。
クルは、親イオン走査の従来の方法を行い発見された候
補親イオンの確証的な娘イオンスペクトルを取得するた
めの四重極飛行時間型質量分析計よりも約1桁大きい。
しかしながら、そのデューティサイクルの大きさは、イ
オン源がクロマトグラフィ装置からの溶離物である場合
に必要な実時間データの分析に実践的かつ有効に用いる
には十分でない。
非常に大きな分子量を持つ分子イオンの生成を可能にし
たのだが、飛行時間型質量分析器は、完全な質量スペク
トルを高い効率で記録できるため、そのような質量の大
きい生体分子の分析に有利である。また、分解能と質量
精度も高い。
質量分析器は、飛行時間型分析器と同様に連続的な出力
を提供することができないなど、いくつかの点で飛行時
間型分析器と同様であり、従来の親イオン走査法の重要
な側面である連続的にイオンを通過させる質量フィルタ
として用いる場合には効率が低い。飛行時間型質量分析
器と四重極イオントラップは、「不連続出力の質量分析
器」と呼ぶことができる。
置の提供が望まれている。特に、クロマトグラフィでの
親イオンの同定が望まれている。
記載の質量分析方法が提供される。
ンまたは固有の「ニュートラルロス」によって認識可能
な親イオンは、伝統的に「親イオン」走査法または「連
続ニュートラルロス」走査法によって発見される。「親
イオン」走査または「連続ニュートラルロス」走査のた
めの従来の方法は、三連四重極質量分析計の1つもしく
は両方の四重極を走査する方法、タンデム四重極直交型
TOF質量分析計の四重極を走査する方法、もしくは、
他の型のタンデム質量分析計の少なくとも1つの構成要
素を走査する方法である。結果として、これらの方法
は、装置の走査に関してのデューティサイクルが低いと
いう欠点を持つ。更に、質量分析計が「親イオン」走査
または「連続ニュートラルロス」走査の記録に従事して
いる際には、情報が破棄され失われることもある。更
に、これらの方法は、ガスもしくは液体クロマトグラフ
ィ装置から直接溶離した物質を、質量分析計が分析する
必要がある用途には適していない。
極直交型TOF質量分析計は、連続的な高および低衝突
エネルギ質量スペクトルが記録される方法を用いて候補
親イオンが発見されるように用いられる。この切り換え
は中断されることはない。中断されずに、完全なデータ
セットが取得され、後に処理される。フラグメントイオ
ンは、それぞれの溶離時間の適合度によって親イオンと
関連付けられる。このように、データ取得を中断せずに
候補親イオンの確認他を行うことができ、情報が失われ
ることはない。
ト化質量スペクトルが後処理される。実質的に同じ時間
に取得された高フラグメント化質量スペクトルと低フラ
グメント化質量スペクトルを比較し、高フラグメント化
質量スペクトルよりも低フラグメント化質量スペクトル
での強度が高いイオンを記録することにより、親イオン
が認識される。同様に、低フラグメント化質量スペクト
ルよりも高フラグメント化質量スペクトルでの強度が高
いイオンを記録することにより、娘イオンを認識でき
る。
ある候補親イオンのサブグループをすべての親イオンか
ら選択することができる。
イオンは、所定の娘イオンとの関係に基づいて選択する
ことができる。所定の娘イオンは、例えば以下から選択
されたイオンを含んでもよい:(i)ペプチド由来のイ
ンモニウムイオン、(ii)リン酸化ペプチド由来のリ
ン酸基PO3 -イオンを含む官能基、(iii)特定の分
子もしくは特定の種類の分子から生成し、続いて確認さ
れることによりその分子もしくはその種類の分子の存在
を示す質量タグ。高フラグメント化質量スペクトルを用
いて所定の娘イオンの質量クロマトグラムを生成するこ
とにより、可能性のある候補親イオンとして親イオンを
最終候補リストに載せることができる。次に、対応する
所定の娘イオンの溶離時間と共に、質量クロマトグラム
の各ピークの中心が決定される。次に、所定娘イオンの
質量スペクトル内の各ピークについて、所定娘イオンの
溶離時間の直前に取得された低フラグメント化質量スペ
クトルと所定娘イオンの溶離時間の直後に取得された低
フラグメント化質量スペクトルの両方で、先に認識され
た親イオンの存在を調べる。次に、先に確認された親イ
オンのうち、所定娘イオンの溶離時間の直前に取得され
た低フラグメント化質量スペクトルと所定娘イオンの溶
離時間の直後に取得された低フラグメント化質量スペク
トルの両方に存在することがわかったものすべての質量
クロマトグラムが生成され、対応する可能な候補親イオ
ンの溶離時間と共に、各質量クロマトグラムの各ピーク
の中心が決定される。次に、所定の娘イオンの溶離時間
との適合度にしたがって、可能性のある候補親イオンを
順位付けし、可能性のある候補親イオンの溶離時間と所
定の娘イオンの溶離時間との差が所定の値を上回った際
にそれらの候補親イオンを排除することにより、最終候
補親イオンのリストを作成することができる。
生じることに基づいて、可能性のある候補親イオンとし
て親イオンを最終候補リストに載せることができる。各
低フラグメント化質量スペクトルについて、低フラグメ
ント化質量スペクトルに存在する先に認識された親イオ
ン各々から所定のイオンもしくは中性粒子が消失するこ
とにより生じる目標娘イオンの質量/電荷比リストが作
成される。次に、低フラグメント化質量スペクトルの直
前に取得された高フラグメント化質量スペクトルと低フ
ラグメント化質量スペクトルの直後に取得された高フラ
グメント化質量スペクトルの両方で、目標娘イオンの質
量/電荷比に一致する質量/電荷比を持つ娘イオンの存
在を調べる。次に、目標娘イオンの質量/電荷比に一致
する質量/電荷比を持つ娘イオンが、低フラグメント化
質量スペクトルの直前に取得された高フラグメント化質
量スペクトルと低フラグメント化質量スペクトルの直後
に取得された高フラグメント化質量スペクトルの両方で
存在することがわかった場合に、親イオンをリストに含
めることにより、可能性のある候補親イオンのリスト
(随意、対応する娘イオンを含む)が作成される。次
に、可能性のある候補親イオンとそれらに対応する娘イ
オンに基づいて、質量消失のクロマトグラムを作成する
ことができる。対応する質量消失の溶離時間と共に、質
量消失のクロマトグラムの各ピークの中心が決定され
る。次に、可能性のある候補親イオン各々について、低
フラグメント化質量スペクトルを用いて、質量クロマト
グラムが生成される。また、対応する娘イオンについ
て、対応する娘イオンの質量クロマトグラムが生成され
る。次に、対応する可能な候補親イオンの溶離時間と対
応する娘イオンの溶離時間と共に、可能性のある候補親
イオンの質量クロマトグラムと対応する娘イオンの質量
クロマトグラムの、各ピークの中心が決定される。次
に、可能性のある候補親イオンの溶離時間とそれに対応
する娘イオンの溶離時間との差が所定の値を上回った際
にそれらの候補親イオンを排除することにより、最終候
補親イオンのリストを作成することができる。
れた親イオンの一部と、可能性のある候補親イオンのみ
を含むことが好ましい)が作成されたら、次に、各最終
候補親イオンを同定することができる。
イオンの同定を行うことができる。正確に決定された親
イオンの質量をこの情報に含めてもよい。また、フラグ
メントイオンの質量を含めてもよい。正確に決定された
娘イオンの質量を含めることが好ましい場合もある。酵
素によって消化されたタンパク質から生成するペプチド
の質量、好ましくは正確な質量、からタンパク質を同定
できることが知られている。既知のタンパク質のライブ
ラリから推定される質量とその質量を比較することがで
きる。この比較の結果により複数のタンパク質の候補が
挙がった場合には、1つもしくは複数のペプチドのフラ
グメント分析により確定できることも知られている。好
ましい実施形態によると、酵素消化されたタンパク質の
混合物を1回の分析で同定することができる。ペプチド
とそれらに関連するフラグメントイオンの質量すなわち
正確な質量を、既知のタンパク質のライブラリに照らし
合わせることができる。あるいは、ペプチドの質量すな
わち正確な質量を既知のタンパク質のライブラリに照ら
し合わせ、複数のタンパク質が候補に挙がった場合に
は、各候補タンパク質由来の関連ペプチドから生成する
と推定されるものに適合するフラグメントイオンを探す
ことにより、正しいタンパク質を確認することができ
る。
を含むことが好ましい:最終候補親イオンの溶離時間を
呼び出す工程、最終候補親イオン溶離時間の直前に取得
された低フラグメント化質量スペクトルと最終候補親イ
オン溶離時間の直後に取得された低フラグメント化質量
スペクトルの両方に存在する、先に認識された娘イオン
を含む可能な候補娘イオンのリストを生成する工程、可
能性のある候補娘イオン各々の質量クロマトグラムを生
成する工程、可能性のある候補娘イオンの質量クロマト
グラムの各ピークの中心を決定する工程、対応する可能
な候補娘イオンの溶離時間を決定する工程。次に、最終
候補親イオンとの溶離時間の適合度により、可能性のあ
る候補娘イオンを順位付けすることができる。次に、可
能性のある候補娘イオンの溶離時間と最終候補親イオン
の溶離時間との差が所定の値を上回った際にそれらの候
補娘イオンを排除することにより、最終候補娘イオンの
リストを作成することができる。
間に取得された低フラグメント化質量スペクトルに存在
する隣接親イオンのリストを生成することにより、最終
候補娘イオンのリストを精選すなわち削減することがで
きる。次に、リストに含まれる親イオン各々の質量クロ
マトグラムが生成され、対応する隣接親イオンの溶離時
間と共に、各質量クロマトグラムの中心が決定される。
次に、最終候補親イオンの溶離時間よりも隣接親イオン
の溶離時間に近い溶離時間を持つ最終候補娘イオンすべ
てが、最終候補娘イオンのリストから削除される。
オンを最終候補親イオンに割り当て、最終候補親イオン
と関係付けられた最終候補娘イオンすべてをリストにす
ることができる。
的に簡単な他の実施形態についても考慮されている。親
イオンと娘イオンが同定されれば、認識された親イオン
各々の親イオン質量クロマトグラムが生成される。次
に、親イオン質量クロマトグラムの各ピークの中心とそ
れに対応する親イオン溶離時間が決定される。同様に、
認識された娘イオン各々の娘イオン質量スペクトルが生
成され、娘イオン質量クロマトグラムの各ピークの中心
とそれに対応する娘イオン溶離時間が決定される。次
に、認識された親イオンの一部分のみを同定するのでは
なく、認識された親イオンのすべて(もしくはほとんど
すべて)が同定される。次に、それぞれの溶離時間の適
合度に従って、娘イオンを親イオンに割り当て、親イオ
ンと関係付けられた娘イオンすべてをリストにすること
ができる。
手段に通す前に、質量フィルタ、好ましくは四重極質量
フィルタに、イオン源から生成されたイオンを通しても
よい。これにより、娘イオン認識の代替もしくは付加的
な方法が提供される。フラグメント化手段によって通過
しない質量/電荷比を持つ高フラグメント化質量スペク
トル内でイオンを認識することにより、娘イオンを認識
することができる。すなわち、娘イオンは、質量フィル
タの通過窓の外側にある質量/電荷比を持つことにより
認識される。イオンが質量フィルタによって通過しなけ
れば、それらのイオンはフラグメント化手段内で生成さ
れたものに違いない。
記載の質量分析方法が提供される。
記載の質量分析計が提供される。
源、大気圧化学イオン化によるイオン源、マトリクス支
援レーザ脱離(「MALDI」)イオン源のいずれかで
よい。そのようなイオン源には、液体クロマトグラフィ
またはキャピラリ電気泳動法によって混合物から分離さ
れた溶離物を、ある時間に渡って供給することができ
る。
学イオン化によるイオン源、フィールドイオン化による
イオン源でもよい。そのようなイオン源には、ガスクロ
マトグラフィによって混合物から分離された溶離物を、
ある時間に渡って供給することができる。
ルタ、を衝突セルの上流に設けてもよい。しかしなが
ら、質量フィルタは本発明に不可欠なものではない。質
量フィルタが、ハイパスフィルタの特性を持ち、例え
ば、以下のグループから選択された質量/電荷比を持つ
イオンが通過するように構成されていてもよい:(i)
100以上、(ii)150以上、(iii)200以
上、(iv)250以上、(v)300以上、(vi)
350以上、(vii)400以上、(viii)45
0以上、(ix)500以上。あるいは、質量フィルタ
は、ローパスフィルタまたはバンドパスフィルタの特性
を持っていてもよい。
の上流に設けてもよい。イオンガイドは、六重極、四重
極、八重極のいずれかでよい。
の内径(「イオントンネル」)を有する複数のリング電
極、もしくは、実質的に先細りになっている内径(「イ
オン漏斗」)を有する複数のリング電極を備えていても
よい。
時間型質量分析器(直交加速型飛行時間分析器が好まし
い)、イオントラップ、磁場型質量分析器、フーリエ変
換イオンサイクロトロン共鳴(「FTICR」)質量分
析器のいずれかが好ましい。
じDC電圧で保たれ、RF電源がロッドに印加される四
重極ロッドセット、六重極ロッドセット、八重極ロッド
セットが好ましい。衝突セルは、イオンの入口と出口か
ら離して、十分な気密性の囲壁を形成することが好まし
い。ヘリウム、アルゴン、窒素、空気もしくはメタンな
どの衝突ガスが、衝突セルに導入されることが好まし
い。
ト化モード)では、以下から選択した電圧を衝突セルに
印加することが好ましい:(i)15V以上、(ii)
20V以上、(iii)25V以上、(iv)30V以
上、(v)50V以上、(vi)100V以上、(vi
i)150V以上、(viii)200V以上。第2の
動作モード(すなわち低フラグメント化モード)では、
以下から選択した電圧を衝突セルに印加することが好ま
しい:(i)5V以下、(ii)4.5V以下、(ii
i)4V以下、(iv)3.5V以下、(v)3V以
下、(vi)2.5V以下、(vii)2V以下、(v
iii)1.5V以下、(ix)1V以下、(x)0.
5V以下、(xi)実質的に0V。しかしながら、好ま
しさの低い実施形態によると、第1のモードで15Vよ
り低い電圧が供給され、および/または、第2のモード
で5Vより高い電圧が供給されてもよい。例えば、第1
と第2のモードのいずれかで約10Vの電圧が供給され
る。2つのモード間の電圧差は、少なくとも5V、10
V、15V、20V、25V、30V、35V、40
V、50V、もしくは、50Vより高い電圧が好まし
い。
記載の装置が提供される。
記載の質量分析計が提供される。本発明の第6の態様に
よると、請求項52記載の質量分析計が提供される。
実施形態を説明する。質量分析計6は、イオン源1(エ
レクトロスプレイイオン源が好ましい)と、イオンガイ
ド2と、四重極質量フィルタ3と、衝突セル4と、リフ
レクトロンを組み込んだ直交加速型飛行時間分析器5と
を備えている。イオンガイド2と質量フィルタ3は、省
く必要があれば省いてもよい。質量分析計6は、液体ク
ロマトグラフ(示されていない)などのクロマトグラフ
に接続されていることが好ましい。そうすれば、イオン
源1に入れるサンプルを液体クロマトグラフの溶離物か
ら得ることができる。
比較的低圧力に維持されたチャンバ内に、四重極質量フ
ィルタ3が配置されている。質量フィルタ3を含むロッ
ド電極は、質量フィルタ3によって通過する質量/電荷
比の範囲を決定するRFおよびDC電圧両方を発生させ
る電源に接続されている。
トのいずれかを備えてもよく、ロッドセットは気密性の
十分なケーシング(小さなイオン入口および出口を除
く)で囲み、ケーシング内にヘリウム、アルゴン、窒
素、空気、メタンなどの衝突ガスを、10-4から10-1
mbar、更に好ましくは10-3から10-2mbarで
導入することができる。衝突セル4を含む電極に適当な
高周波電圧は、電源(図示せず)によって供給される。
イオンガイド2を通過し、チャンバ間の開口部7と真空
チャンバ8を通り抜ける。イオンガイド2は、イオン源
と真空チャンバ8の中間の圧力に保たれる。示されてい
る実施形態では、衝突セル4に入る前に質量フィルタ3
によってイオンが質量フィルタリングされる。しかしな
がら、質量フィルタリングは本発明に不可欠なものでは
ない。衝突セル4から出たイオンは、飛行時間型質量分
析器5に進入する。装置の様々な部品や段階の間のイオ
ン通過率を最大化するために、更なるイオンガイドおよ
び/または静電レンズなどの他のイオン光学構成要素
(図に示されておらず、説明も省略)を備えてもよい。
様々な真空ポンプ(図示せず)が、装置内の光学的な真
空状態を保つために設けられていてもよい。リフレクト
ロンを組み込んだ飛行時間型質量分析器5は、イオンの
質量/電荷比を決定できるように、イオンのパケット内
に含まれるイオンの通過時間計測による既知の方法で動
作する。
源1、イオンガイド2、四重極質量フィルタ3、衝突セ
ル4、飛行時間型質量分析器5に必要な動作電圧を供給
する様々な電源(図示せず)に対して制御信号を発信す
る。これらの制御信号は、例えば質量フィルタ3を通過
する質量/電荷比や分析器5の動作など、装置の動作パ
ラメータを決定する。通例、制御手段は、取得される質
量スペクトルデータの処理にも用いられるコンピュータ
(図示せず)からの信号によって制御される。また、コ
ンピュータは、分析器5から生成される質量スペクトル
を表示、記憶し、オペレータからの命令を受信、処理で
きる。制御手段は、オペレータの介在なく自動的に様々
な方法を実行し、様々な決定をすることが可能であり、
また、様々な段階で任意にオペレータの入力を要求する
ことが可能である。
衝突セル4を切り換えるよう、制御手段が構成されてい
る。1つのモードでは、例えば15V以上の比較的高い
電圧が衝突セルに印加される。衝突セルは、衝突セル4
の上流の様々な他のイオン光学機器の効果と組み合わせ
て、衝突セルを通り抜けるイオンに適正な規模のフラグ
メント化を引き起こすのに十分な構成となっている。第
2のモードでは、例えば5V以下の比較的低い電圧が印
加され、それによって、(フラグメント化したとして
も)比較的小規模のフラグメント化が、衝突セルを通り
抜けるイオンに引き起こされる。
よそ2秒ごとにモードの切り換えを行う。質量分析計
が、イオン源に結合され、液体もしくはガスクロマトグ
ラフィによって混合物から分離された溶離物が供給され
る場合には、数百の高フラグメント化質量スペクトルと
数百の低フラグメント化質量スペクトルを取得できるま
での数十分間、質量分析計6を動作させてもよい。
れ、衝突セル4が第1のモードの際に得られた質量スペ
クトルのピークと、約1秒後に衝突セル4が第2のモー
ドである際に得られた質量スペクトルの同一ピークの強
度と、の相対強度に基づいて、親イオンと娘イオンが認
識される。
の質量クロマトグラムが生成され、相対的な溶離時間に
基づいて娘イオンが親イオンに割り当てられる。
され処理されるため、イオンそれぞれの溶離時間の適合
度によってフラグメントイオンすべてを親イオンに関連
付けられることである。これにより、固有の娘イオンも
しくは固有の「ニュートラルロス」の存在によって親イ
オンが発見されたか否かによらず、フラグメントイオン
から親イオンを同定することが可能になる。
数を減らす試みがなされている。例えばペプチドからの
インモニウムなど目的となる所定の娘イオンを生じた可
能性のある親イオンを探すことにより、可能性のある
(すなわちまだ確定していない)候補親イオンのリスト
が作成される。あるいは、親イオンが、所定のイオンも
しくは中性粒子を含む第1の要素と娘イオンを含む第2
の要素とにフラグメント化した可能性のある親イオン
と、娘イオンとを探してもよい。次に、可能性のある候
補親イオンのリストを更に削減、精選し、親イオンと娘
イオンの溶離時間を比較することにより同定される多数
の最終候補親イオンを残すための様々な工程が実行され
る。2つのイオンは、同等の質量/電荷比を持っていて
も化学構造が異なる可能性があるため、異なる程度でフ
ラグメント化する可能性が高く、娘イオンに基づいて親
イオンが同定されることが可能になる。
は、マイクロマス社のモジュラであるCapLCシステ
ムにより質量分析計に導入された。サンプルは、C18
カートリッジ(0.3mm x 5mm)に載せられ、
0.1%のHCOOHを用いて1分あたり30μLの流
量で2分間脱塩された(図2参照)。次いで、ペプチド
が分離用の分析カラムに溶離するように、10個のポー
トバルブが切り換えられた(図2挿入図参照)。ポンプ
AおよびBからの流れは、カラム内の流量を約200n
L/minにするために分流された。
メトリC18(www.waters.com)を入れ
たPicoFrit(商標)(www.newobje
ctive.com)カラムである。これは、質量分析
計に直接噴霧するように設定された。エレクトロスプレ
イ電圧(約3kV)が、死空間の少ないステンレス鋼ユ
ニオンを経由して液体に印加された。少量(約5ps
i)の噴霧ガスが、エレクトロスプレイ処理を促進する
ためにノズルチップ周辺に導入された。
クトロスプレイイオン源を備えたQ−TOF2四重極直
交加速型飛行時間ハイブリッド質量分析計(www.m
icromass.co.uk)を用いて取得された。
質量分析計は、イオン源温度80゜C、コーンガス流量
40L/hrの正イオンモードで運転された。
ペプチドbの衝突誘導解離(CID)から生じ、選択さ
れたフラグメントイオンを用いて多点キャリブレーショ
ンでキャリブレートされた。すべてのデータは、マスリ
ンクス社のソフトウェアを用いて処理された。
ルデヒドロゲナーゼとして知られるADHのトリプシン
消化物の娘イオンおよび親イオンスペクトルを示してい
る。図3aに示されている娘イオンのスペクトルは、衝
突セルの電圧が高い際に得られたものである。例えば、
その電圧は30Vであり、その結果、衝突セルを通るイ
オンに十分なフラグメント化が起こる。図3bに示され
ている親イオンのスペクトルは、例えば5V以下の低い
衝突エネルギで得られたものである。図3bに示された
データは、350より大きい質量/電荷比を持つイオン
が通過するように設定された質量フィルタ3を用いて得
られたものである。この例の質量スペクトルは、液体ク
ロマトグラフから溶離したサンプルから得られたもので
あり、十分迅速に得られ、液体クロマトグラフから溶離
した同一な要素に本質的に対応するものは互いに近かっ
た。
418.7724や568.7813のピークのよう
に、いくつか強度の高いピークがあるのだが、それらの
ピークは対応する娘イオンのスペクトルでは実質的に強
度が低い。それ故、これらのピークは親イオンとして認
識される。同様に、親イオンスペクトルよりも娘イオン
スペクトルで強度の高い(もしくは、衝突セルの上流の
質量フィルタの動作によって、親イオンスペクトルには
全く存在しない)イオンは、娘イオンとして認識するこ
とができる。それ故、図3aの350未満の質量/電荷
比を持つイオンはすべて、350未満の質量/電荷比を
持つことに基づき、更に好ましくは対応する親イオンス
ペクトルに関する相対強度に基づき、容易に娘イオンと
して認識することができる。
2つの娘イオンの質量クロマトグラム(すなわち、検出
されたイオン強度対取得時間のプロット)を示す。親イ
オンは、406.2(ピーク「MC1」)、418.7
(ピーク「MC2」)、568.8(ピーク「MC
3」)の質量/電荷比を持つと決定され、2つの娘イオ
ンは、136.1(ピーク「MC4」および「MC
5」)、120.1(ピーク「MC6」)を持つと決定
された。
クMC5によい相関を示す、すなわち、m/z=40
6.2の親イオンがフラグメント化し、m/z=13
6.1の娘イオンを生成したと思われることを理解する
ことができる。同様に、親イオンのピークMC2および
MC3は、娘イオンのピークMC4およびMC6によい
相関を示すが、どちらの親イオンがどちらの娘イオンに
関連するのかを決定するのは困難である。
て(異なるスケールで)示したのものである。MC2、
MC3、MC4、MC6のピークを念入りに比較するこ
とにより、実際に、親イオンMC2と娘イオンMC4と
がよく相関し、親イオンMC3と娘イオンMC6とがよ
く相関することがわかる。このことは、m/z=41
8.7の親イオンがフラグメント化してm/z=13
6.1の娘イオンを生成し、m/z=568.8の親イ
オンがフラグメント化してm/z=120.1の娘イオ
ンを生成したことを示唆する。
ペレータもしくは、好ましくは適切なコンピュータ上で
動作する適切なピーク比較ソフトウェアプログラムのよ
うな自動ピーク比較手段によって実行することができ
る。
プチドの自動発見:図6は、マイクロマス社のQ−TO
F質量分析計を用いて得られたHPLC分離と質量分析
から抽出されたm/z値87.04の質量クロマトグラ
ムを示している。アミノ酸であるアスパラギンに対する
インモニウムイオンは、87.04のm/z値を持って
いる。このクロマトグラムは、Q−TOFに記録された
すべての高エネルギスペクトルから抽出されたものであ
る。
質量スペクトルを示している。これは、Q−TOFで記
録された低エネルギ質量スペクトルであり、m/z値8
7.04の質量スペクトル内で最大のピークに関連する
走査605の高エネルギスペクトルに次ぐ低エネルギス
ペクトルである。これは、m/z値が87.04のアス
パラギンインモニウムイオンの親イオンが1012.5
4の質量を持つことを示している。何故なら、m/z値
が1013.54の1価のイオン(M+H)+とm/z
値が507.27の2価のイオン(M+2H)++を示し
ているからである。
ク質のリン酸化の自動発見:図8は、タンパク質βカゼ
インのトリプシン消化物のQ−TOF質量分析計で記録
された低エネルギスペクトルからの質量スペクトルを示
している。そのタンパク質の消化生成物は、HPLCで
分離され、質量分析された。その質量スペクトルは、M
Sモードで動作し、連続的なスペクトルに対してガス衝
突セル内の高低の衝突エネルギ間を交互に入れ替わるQ
−TOFで記録された。
間に記録された高エネルギスペクトルからの質量スペク
トルを示している。
拡大図を示している。このスペクトルに対しては、ピー
クを確認し、ピーク領域に比例する高さを持つ線として
表示するように連続データが処理され、重心質量に対応
する質量が付記されている。m/z値が1031.43
95のピークはペプチドの2価イオン(M+2H)++で
あり、m/z値が982.4515のピークは2価のフ
ラグメントイオンである。それは、低エネルギスペクト
ル内に存在しないので、フラグメントイオンに違いな
い。これらのイオン間の質量差は、48.9880であ
る。H3PO4の理論的な質量は97.9769であ
る。2価イオンH3PO4++のm/z値は48.988
4であり、観察値とわずか8ppm差である。
り換える装置の概略図であり、差し込み図は、分析カラ
ムからのサンプルの脱離を示す。
つイオンの通過を許容する場合の対応する親イオンの質
量スペクトルを示す図。
質量クロマトグラムを示す図。
グラムを示す図。
ン)の質量クロマトグラムを示す図。
2.59からのフラグメントT5を示す図。
ペクトルに対する質量スペクトルを示す図。
ペクトルに対する質量スペクトルを示す図。
析器 6 質量分析計 7 開口部 8 真空チャンバ
Claims (60)
- 【請求項1】 質量分析方法であって、 (a)イオンを生成するためのイオン源を提供する工程
と、 (b)前記イオンをフラグメント化手段に送る工程と、 (c)前記フラグメント化手段を、前記イオンの少なく
とも一部分がフラグメント化されて娘イオンを生じる第
1のモードで動作させる工程と、 (d)前記第1のモードで動作する前記フラグメント化
手段から放出されるイオンの質量スペクトルを、高フラ
グメント化質量スペクトルとして記録する工程と、 (e)前記フラグメント化手段を、フラグメント化され
るイオンが実質的に少ない第2のモードで動作するよう
切り換える工程と、 (f)前記第2のモードで動作する前記フラグメント化
手段から放出されるイオンの質量スペクトルを、低フラ
グメント化質量スペクトルとして記録する工程と、 (g)工程(c)〜(f)を複数回繰り返す工程と、を
含む、方法。 - 【請求項2】 請求項1記載の質量分析方法であって、
更に、 親イオンを認識する工程を備える、方法。 - 【請求項3】 請求項2記載の質量分析方法であって、
更に、 実質的に同じ時間に取得された高フラグメント化質量ス
ペクトルと低フラグメント化質量スペクトルを比較する
工程と、 前記高フラグメント化質量スペクトルよりも前記低フラ
グメント化質量スペクトルでの強度が高いイオンを、親
イオンとして認識する工程と、を含む、方法。 - 【請求項4】 請求項1、2、または3記載の質量分析
方法であって、更に、 娘イオンを認識する工程を含む、方法。 - 【請求項5】 請求項4記載の質量分析方法であって、
更に、 実質的に同じ時間に取得された高フラグメント化質量ス
ペクトルと低フラグメント化質量スペクトルを比較する
工程と、 前記低フラグメント化質量スペクトルよりも前記高フラ
グメント化質量スペクトルでの強度が高いイオンを、娘
イオンとして認識する工程と、を含む、方法。 - 【請求項6】 請求項3に従属する請求項5に記載の質
量分析方法であって、更に、 すべての親イオンの中から、可能性のある候補親イオン
のサブグループを選択する工程を含む、方法。 - 【請求項7】 請求項6記載の質量分析方法であって、 可能性のある候補親イオンは、所定の娘イオンとの関係
に基づいて選択される、方法。 - 【請求項8】 請求項7記載の質量分析方法であって、
更に、 高フラグメント化質量スペクトルを用いて、前記所定の
娘イオンに対して所定娘イオンの質量クロマトグラムを
生成する工程と、 前記所定娘イオンの質量クロマトグラムの各ピークの中
心を決定する工程と、 対応する所定の娘イオンの溶離時間を決定する工程と、
を含む、方法。 - 【請求項9】 請求項8記載の質量分析方法であって、
更に、前記所定娘イオンの質量クロマトグラムの各ピー
クに対して、 前記所定娘イオンの溶離時間の直前に取得された低フラ
グメント化質量スペクトルと、前記所定娘イオンの溶離
時間の直後に取得された低フラグメント化質量スペクト
ルの両方で、先に認識された親イオンの存在を調べる工
程と、 所定娘イオンの溶離時間の直前に取得された低フラグメ
ント化質量スペクトルと、前記所定娘イオンの溶離時間
の直前に取得された低フラグメント化質量スペクトルの
直後に取得された低フラグメント化質量スペクトルとの
両方に存在することがわかった任意の先に認識された親
イオンについて、可能性のある候補親イオンの質量クロ
マトグラムを生成する工程と、 前記可能性のある候補親イオンの質量クロマトグラムの
各ピークの中心を決定する工程と、 それに対応する、可能性のある候補親イオンの溶離時間
を決定する工程と、を含む、方法。 - 【請求項10】 請求項9記載の質量分析方法であっ
て、更に、 前記所定娘イオンとの溶離時間の適合度により、可能性
のある候補親イオンを順位付けする工程を含む、方法。 - 【請求項11】 請求項10記載の質量分析方法であっ
て、更に、 可能性のある候補親イオンの溶離時間とそれに対応する
前記所定娘イオンの溶離時間との差が所定の値を上回っ
た際に、それらの候補親イオンを排除することにより、
最終候補親イオンのリストを作成する工程を含む、方
法。 - 【請求項12】 請求項6記載の質量分析方法であっ
て、 可能性のある候補親イオンは、所定の質量消失を生じる
ことに基づいて選択される、方法。 - 【請求項13】 請求項12記載の質量分析方法であっ
て、更に、各低フラグメント化質量スペクトルに対し
て、 前記低フラグメント化質量スペクトルに存在する先に認
識された親イオン各々から所定のイオンもしくは中性粒
子が消失することにより生じる目標娘イオンの質量/電
荷比リストを作成する工程と、 前記低フラグメント化質量スペクトルの直前に取得され
た高フラグメント化質量スペクトルと前記低フラグメン
ト化質量スペクトルの直後に取得された高フラグメント
化質量スペクトルの両方で、前記目標娘イオンの質量/
電荷比に一致する質量/電荷比を持つ娘イオンの存在を
調べる工程と、 前記目標娘イオンの質量/電荷比に一致する質量/電荷
比を持つ娘イオンが、前記低フラグメント化質量スペク
トルの直前に取得された高フラグメント化質量スペクト
ルと前記低フラグメント化質量スペクトルの直後に取得
された高フラグメント化質量スペクトルの両方で存在す
ることがわかった場合に、親イオンをリストに含めるこ
とにより、対応する娘イオンを随意で含む、可能性のあ
る候補親イオンのリストを作成する工程と、 を含む、方法。 - 【請求項14】 請求項13記載の質量分析方法であっ
て、更に、 可能性のある候補親イオンとそれらに対応する娘イオン
とに基づいて、質量消失のクロマトグラムを作成する工
程と、 前記質量消失のクロマトグラムの各ピークの中心を決定
する工程と、 対応する質量消失の溶離時間を決定する工程と、を含
む、方法。 - 【請求項15】 請求項13または14記載の質量分析
方法であって、更に、可能性のある候補親イオン各々に
対して、 低フラグメント化の質量スペクトルを用いて、前記可能
性のある候補親イオンの質量クロマトグラムを生成する
工程と、 対応する娘イオンの質量クロマトグラムを生成する工程
と、 前記可能性のある候補親イオンの質量クロマトグラムと
前記対応する娘イオンの質量クロマトグラムの各ピーク
の中心を決定する工程と、 前記対応する可能性のある候補親イオンの溶離時間と対
応する娘イオンの溶離時間を決定する工程と、を含む、
方法。 - 【請求項16】 請求項15記載の質量分析方法であっ
て、更に、 可能性のある候補親イオンの溶離時間とそれに対応する
娘イオンの溶離時間との差が所定の値を上回った際に、
それらの候補親イオンを排除することにより、最終候補
親イオンのリストを作成する工程を含む、方法。 - 【請求項17】 請求項11または16記載の方法であ
って、更に、 各最終候補親イオンを同定する工程を含む、方法。 - 【請求項18】 請求項17記載の方法であって、更
に、各最終候補親イオンに対して、 前記最終候補親イオンの溶離時間を呼び出す工程と、 前記最終候補親イオン溶離時間の直前に取得された低フ
ラグメント化質量スペクトルと前記最終候補親イオン溶
離時間の直後に取得された低フラグメント化質量スペク
トルとの両方に存在する先に認識された娘イオンを含
む、可能性のある候補娘イオンのリストを生成する工程
と、 可能性のある候補娘イオン各々の質量クロマトグラムを
生成する工程と、 前記可能性のある候補娘イオンの質量クロマトグラムの
各ピークの中心を決定する工程と、 対応する可能性のある候補娘イオンの溶離時間を決定す
る工程と、を含む、方法。 - 【請求項19】 請求項18記載の質量分析方法であっ
て、更に、 前記最終候補親イオンとの溶離時間の適合度により、可
能性のある候補娘イオンを順位付けする工程を含む、方
法。 - 【請求項20】 請求項18または19記載の質量分析
方法であって、更に、 前記可能性のある候補娘イオンの溶離時間と前記最終親
イオンの溶離時間との差が所定の値を上回った際に、そ
れらの可能性のある候補娘イオンを排除することによ
り、最終候補娘イオンのリストを生成する工程を含む、
方法。 - 【請求項21】 請求項20記載の質量分析方法であっ
て、更に、 前記最終候補親イオンの溶離時間に最も近い時間に取得
された低フラグメント化質量スペクトルに存在する隣接
親イオンのリストを生成する工程と、 前記リストに含まれる親イオン各々について、隣接親イ
オンの質量クロマトグラムを生成する工程と、 隣接親イオン質量クロマトグラム各々の中心を決定する
工程と、 対応する隣接親イオンの溶離時間を決定する工程と、を
含む、方法。 - 【請求項22】 請求項21記載の方法であって、更
に、 前記最終候補親イオンの溶離時間よりも隣接親イオンの
溶離時間に近い溶離時間を持つ最終候補娘イオンすべて
を、前記最終候補娘イオンのリストから削除する工程を
含む、方法。 - 【請求項23】 請求項20、21、または22記載の
方法であって、更に、 それぞれの溶離時間の適合度に従って、最終候補娘イオ
ンを前記最終候補親イオンに割り当てる工程を含む、方
法。 - 【請求項24】 請求項23記載の方法であって、更
に、 前記最終候補親イオンと関係付けられた最終候補娘イオ
ンすべてをリストにする工程を含む、方法。 - 【請求項25】 請求項3に従属する請求項5に記載の
方法であって、更に、 認識された親イオン各々の親イオン質量クロマトグラム
を生成する工程と、 前記親イオン質量クロマトグラムの各ピークの中心を決
定する工程と、 対応する隣接親イオンの溶離時間を決定する工程と、 認識された娘イオン各々について娘イオン質量クロマト
グラムを生成する工程と、 前記娘イオン質量クロマトグラムの各ピークの中心を決
定する工程と、 対応する娘イオンの溶離時間を決定する工程と、を含
む、方法。 - 【請求項26】 請求項25記載の方法であって、更
に、 それぞれの溶離時間の適合度に従って、娘イオンを親イ
オンに割り当てる工程を含む、方法。 - 【請求項27】 請求項26記載の方法であって、更
に、 各親イオンと関係付けられた娘イオンすべてをリストに
する工程を含む、方法。 - 【請求項28】 請求項1ないし27のいずれかに記載
の方法であって、 前記イオン源によって生成されたイオンは、前記フラグ
メント化手段に送られる前に、好ましくは四重極質量フ
ィルタである質量フィルタを通され、前記質量フィルタ
は、一定範囲内の質量/電荷比を持つイオンを実質的に
通過させ、前記範囲外の質量/電荷比を持つイオンの通
過を実質的に減らす、方法。 - 【請求項29】 請求項4に従属する請求項28に記載
の方法であって、 イオンが高フラグメント化質量スペクトルに存在して前
記範囲外の質量/電荷比を有する場合に、娘イオンとし
て認識される、方法。 - 【請求項30】 質量分析方法であって、 (a)イオンを生成するためのイオン源を提供する工程
と、 (b)前記イオンを衝突セルに送る工程と、 (c)前記衝突セルを、前記イオンの少なくとも一部分
がフラグメント化されて娘イオンを生じる第1のモード
で動作させる工程と、 (d)前記第1のモードで動作する前記衝突セルから放
出されるイオンの質量スペクトルを、高フラグメント化
質量スペクトルとして記録する工程と、 (e)前記衝突セルを、フラグメント化されるイオンが
実質的に少ない第2のモードで動作するように切り換え
る工程と、 (f)前記第2のモードで動作する前記衝突セルから放
出されるイオンの質量スペクトルを、低フラグメント化
質量スペクトルとして記録する工程と、 (g)工程(c)〜(f)を複数回繰り返す工程と、 (h)前記高フラグメント化質量スペクトルと低フラグ
メント化質量スペクトルから親イオンと娘イオンを認識
する工程と、を含む、方法。 - 【請求項31】 請求項30記載の質量分析方法であっ
て、更に、 (i)各親イオンについて親イオン質量クロマトグラム
を生成する工程と、 (j)前記親イオン質量クロマトグラムの各ピークの中
心を決定する工程と、 (k)対応する親イオンの溶離時間を決定する工程と、 (l)各娘イオンについて娘イオン質量クロマトグラム
を生成する工程と、 (m)前記娘イオン質量クロマトグラムの各ピークの中
心を決定する工程と、 (n)対応する娘イオンの溶離時間を決定する工程と、
を含む、方法。 - 【請求項32】 請求項31記載の方法であって、更
に、 それぞれの溶離時間の適合度に従って、娘イオンを親イ
オンに割り当てる工程を含む、方法。 - 【請求項33】 請求項30、31、または32記載の
方法であって、更に、 質量/電荷比通過窓を持つ質量フィルタを前記衝突セル
の上流に提供する工程を含む、方法。 - 【請求項34】 請求項33記載の方法であって、 娘イオンは、前記質量フィルタの通過窓の外側にある質
量/電荷比を持ち高フラグメント化スペクトル内に存在
するイオンを認識することによって認識される、方法。 - 【請求項35】 質量分析計であって、 イオン源と、 前記イオンの少なくとも一部分をフラグメント化して娘
イオンを生成する第1のモードおよびフラグメント化さ
れるイオンが実質的に少ない第2のモードで動作可能な
衝突セルと、 質量分析器と、を備え、 前記質量分析計は、更に、 使用中に前記衝突セルを前記第1および前記第2のモー
ド間で繰り返し切り換える制御システムを備えることを
特徴とする、質量分析計。 - 【請求項36】 請求項35記載の質量分析計であっ
て、 前記イオン源は、(i)エレクトロスプレイイオン源、
(ii)大気圧化学イオン化によるイオン源、および
(iii)マトリクス支援レーザ脱離イオン源、のグル
ープから選択される、質量分析計。 - 【請求項37】 請求項36記載の質量分析計であっ
て、 前記イオン源に対して、液体クロマトグラフィまたはキ
ャピラリ電気泳動法により混合物から分離された溶離物
が、ある時間に渡って供給される、質量分析計。 - 【請求項38】 請求項35記載の質量分析計であっ
て、 前記イオン源は、(i)電気衝撃イオン源、(ii)化
学イオン化によるイオン源、および(iii)フィール
ドイオン化によるイオン源、のグループから選択され
る、質量分析計。 - 【請求項39】 請求項38記載の質量分析計であっ
て、 前記イオン源に対して、ガスクロマトグラフィにより混
合物から分離された溶離物が、ある時間に渡って供給さ
れる、質量分析計。 - 【請求項40】 請求項35ないし39のいずれかに記
載の質量分析計であって、更に、 好ましくは四重極質量フィルタである質量フィルタを、
前記衝突セルの上流に備える、質量分析計。 - 【請求項41】 請求項40記載の質量分析計であっ
て、 前記質量フィルタはハイパスフィルタの特性を持つ、質
量分析計。 - 【請求項42】 請求項41記載の質量分析計であっ
て、 前記フィルタは、(i)100以上、(ii)150以
上、(iii)200以上、(iv)250以上、
(v)300以上、(vi)350以上、(vii)4
00以上、(viii)450以上、(ix)500以
上、のグループから選択される質量/電荷比を持つイオ
ンが通過するよう構成されている、質量分析計。 - 【請求項43】 請求項40記載の質量分析計であっ
て、 前記質量フィルタはローパスフィルタまたはバンドバス
フィルタの特性を持つ、質量分析計。 - 【請求項44】 請求項35ないし43のいずれかに記
載の質量分析計であって、 更に、(i)六重極、(ii)四重極、(iii)八重
極、(iv)実質的に均一の内径を有する複数のリング
電極、および(v)実質的に先細りになっている内径を
有する複数のリング電極、のグループから選択されるイ
オンガイドを、前記衝突セルの上流に備える、質量分析
計。 - 【請求項45】 請求項35ないし44のいずれかに記
載の質量分析計であって、 前記質量分析器は、(i)四重極質量フィルタ、(i
i)飛行時間型質量分析器、(iii)イオントラッ
プ、(iv)磁場型質量分析器、(v)フーリエ変換イ
オンサイクロトロン共鳴(「FTICR」)質量分析
器、のグループから選択される、質量分析計。 - 【請求項46】 請求項35ないし45のいずれかに記
載の質量分析計であって、 前記衝突セルは、(i)四重極ロッドセット、(ii)
六重極ロッドセット、(iii)八重極ロッドセット、
のグループから選択される、質量分析計。 - 【請求項47】 請求項46記載の質量分析計であっ
て、 前記衝突セルは十分に気密性の囲壁を形成する、質量分
析計。 - 【請求項48】 請求項35ないし47のいずれかに記
載の質量分析計であって、 前記制御システムは、前記第1のモードにおいて、
(i)15V以上、(ii)20V以上、(iii)2
5V以上、(iv)30V以上、(v)50V以上、
(vi)100V以上、(vii)150V以上、(v
iii)200V以上、のグループから選択される電圧
を前記衝突セルに供給するよう構成されている、質量分
析計。 - 【請求項49】 請求項35ないし48のいずれかに記
載の質量分析計であって、 前記制御システムは、前記第2のモードにおいて、
(i)5V以下、(ii)4.5V以下、(iii)4
V以下、(iv)3.5V以下、(v)3V以下、(v
i)2.5V以下、(vii)2V以下、(viii)
1.5V以下、(ix)1V以下、(x)0.5V以
下、(xi)実質的に0V、のグループから選択される
電圧を前記衝突セルに供給するよう構成されている、質
量分析計。 - 【請求項50】 請求項1ないし34のいずれかに記載
の方法を実行するように構成および適合された、装置。 - 【請求項51】 質量分析計であって、 イオン源と、 前記イオンの少なくとも一部分がフラグメント化され娘
イオンを生成する第1のモードおよびフラグメント化さ
れるイオンが実質的に少ない第2のモードで動作可能な
衝突セルと、 質量分析器と、を備え、 前記質量分析計は、更に、 使用中に、15V以上の電圧が前記衝突セルに印加され
る前記第1のモードと、5V以下の電圧が前記衝突セル
に印加される前記第2のモードとの間で、前記衝突セル
を繰り返し切り換える制御システムを備えることを特徴
とする、質量分析計。 - 【請求項52】 質量分析計であって、 ガスまたは液体クロマトグラフィによって混合物から分
離された溶離物を、ある時間に渡って供給されるよう構
成された大気圧イオン源と、 導入されるイオンを異なる程度にフラグメント化させる
少なくとも2つのモード間で切り換え可能な衝突セル
と、 好ましくは飛行時間型質量分析器である質量分析器と、 前記衝突セルを、少なくとも0.1秒、0.2秒、0.
3秒、0.4秒、0.5秒、0.6秒、0.7秒、0.
8秒、0.9秒、1秒、2秒、3秒、4秒、5秒、6
秒、7秒、8秒、9秒、または、10秒ごとに、前記少
なくとも2つのモード間で自動的に切り換えるための制
御システムと、を備える、質量分析計。 - 【請求項53】 請求項1ないし34のいずれかに記載
の方法であって、更に、 親イオンの質量/電荷比に基づいてその親イオンを同定
する工程を含む、方法。 - 【請求項54】 請求項1ないし34、53のいずれか
に記載の方法であって、更に、 1つまたはそれ以上の娘イオンの質量/電荷比に基づい
て親イオンを同定する工程を備える、方法。 - 【請求項55】 請求項1ないし34、53、54のい
ずれかに記載の方法であって、更に、 好ましくはタンパク質のペプチドのフラグメントである
1つまたはそれ以上の親イオンの質量/電荷比を決定す
ることにより、前記タンパク質を同定する工程を含む、
方法。 - 【請求項56】 請求項1ないし34、53、54、5
5のいずれかに記載の方法であって、更に、 好ましくはタンパク質のペプチドのフラグメントである
1つまたはそれ以上の娘イオンの質量/電荷比を決定す
ることにより、前記タンパク質を同定する工程を含む、
方法。 - 【請求項57】 請求項55または56記載の方法であ
って、 前記1つまたはそれ以上の親イオン、および/または、
前記1つまたはそれ以上の娘イオンの質量/電荷比は、
既知のタンパク質を含むことが好ましいデータベースと
照合される、方法。 - 【請求項58】 請求項55記載の方法であって、 前記1つまたはそれ以上の親イオンの質量/電荷比は、
既知のタンパク質を含むことが好ましいデータベースと
照合される、方法。 - 【請求項59】 請求項58記載の方法であって、更
に、 親イオンのフラグメント化から生成すると考えられる娘
イオンを、高フラグメント化質量スペクトルで探す工程
を含む、方法。 - 【請求項60】 請求項11、16、または20に記載
の方法であって、 前記所定の値は、(i)0.25秒、(ii)0.5
秒、(iii)0.75秒、(iv)1秒、(v)2.
5秒、(vi)5秒、(vii)10秒、および(vi
ii)クロマトグラフィのピークの1/2の高さで測ら
れたピーク幅の5%に対応する時間、のグループから選
択される、方法。
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