JP2002103829A - 熱転写フィルム - Google Patents

熱転写フィルム

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JP2002103829A
JP2002103829A JP2000299296A JP2000299296A JP2002103829A JP 2002103829 A JP2002103829 A JP 2002103829A JP 2000299296 A JP2000299296 A JP 2000299296A JP 2000299296 A JP2000299296 A JP 2000299296A JP 2002103829 A JP2002103829 A JP 2002103829A
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Japan
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heat
thermal transfer
peak temperature
transfer film
intermediate layer
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JP2000299296A
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English (en)
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Mitsuru Maeda
充 前田
Shigeki Nakajo
茂樹 中條
Kenichi Asao
健一 浅生
Masanori Torii
政典 鳥井
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Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
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    • Y02E60/50Fuel cells

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 表面平滑性の低い被転写体に対して冷時剥離
プロセスにより印字物に白抜けの発生がなく鮮明な印字
ができる熱転写フィルムを提供する。 【解決手段】 熱転写フィルムを、基材フィルム上に熱
転写しない中間層を介して熱溶融性着色層を設けたもの
とし、中間層と熱溶融性着色層との180°冷時剥離力
F1が1.5〜20.0g/50mmの範囲内であり、
中間層と熱溶融性着色層との180°熱時剥離力F2が
0〜5.0g/50mmの範囲内であり、かつ、180
°冷時剥離力F1と180°熱時剥離力F2との関係が
0.1g/50mm≦(F1−F2)≦20.0g/5
0mmであるものとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基材フィルム上に
中間層を介して熱溶融性着色層を設けた熱転写フィルム
に関し、さらに詳しくは、冷時剥離プロセスにより印字
物に白抜けの発生がない鮮明な印字ができる1タイム用
(多数回印字を想定しない)熱転写フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、熱転写プリンター、ファクシミリ
等に用いられる熱転写記録媒体として、基材フィルムの
一方の面に熱溶融性インキからなる熱溶融性着色層を設
けた熱転写フィルムが使用されている。
【0003】従来の熱転写フィルムは、基材フィルムと
して厚さ10〜20μm程度のコンデンサ紙やパラフィ
ン紙のような紙、あるいは厚さ3〜20μm程度のポリ
エステルやセロファンのようなプラスチックフィルムを
用い、この基材フィルム上にバインダーに顔料や染料等
の着色剤を混合し、さらに必要に応じて、低融点剤およ
び可塑剤等の添加剤を加えた熱溶融性のインキを塗布し
て熱溶融性着色層を設けたものである。また、基材フィ
ルムと熱溶融性着色層との間に、印画の為のエネルギー
によって溶融するように調整された中間層を備えた熱転
写フィルムもある。
【0004】そして、基材フィルムの裏側からサーマル
ヘッドにより所定箇所を加熱・加圧し、熱溶融性着色層
のうち、印字部に相当する箇所の熱溶融性着色層を溶融
させ、被転写体に転写して印字を行うものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、基材フ
ィルム上に中間層と熱溶融性の着色層を設けた従来の熱
転写フィルムを用いて、べック平滑度が50秒以下であ
る表面平滑性の低い被転写体、いわゆるラフ紙に印字を
行なった場合、熱溶融性のインキが良好に被転写体に転
写せず、白抜けの発生による文字や細線の欠損が生じ、
印字物がかすれた外観になってしまうという問題があっ
た。
【0006】このような問題を解消するために、熱溶融
性着色層を厚くした熱転写フィルムを使用する方法がと
られている。しかし、熱溶融性着色層の厚みが大きくな
ると、熱溶融性着色層の凝集力が低下して、インキのぼ
ろ落ちやブロッキングが発生し易くなる。
【0007】また、各種樹脂を含有した熱溶融性インキ
を用いて膜厚の薄い熱溶融性着色層を形成し、インキの
ぼろ落ちを防止することも行なわれている。しかし、こ
の場合、印字に要するエネルギーが増大したり、熱時剥
離プロセス(熱転写フィルムの中間層が溶融した流動性
の高い液体状態にあるときに、被転写体と熱転写フィル
ムとを剥離する)等の特殊な印字方法が必要になる。
【0008】ところで、融点よりも凝固点が10℃以上
低くなるという、いわゆる過冷却性を有する物質が種々
の文献により公知となっている。この過冷却性を有する
種々の物質を用いた中間層を介して基材フィルム上に熱
溶融性着色層を設けた熱転写フィルムに関する技術が公
知となっている。例えば、特開昭61−235189、
特開昭61−286195、特開昭62−9991、特
開昭62−82084、特開昭63−302090、特
開平3−246094等が挙げられる。一方、ポリカプ
ロラクトン系樹脂が過冷却性を有することが種々の文献
により公知となっている。このポリカプロラクトン系樹
脂を配合した熱溶融性着色層を基材フィルム上に設けた
熱転写フィルムに関する技術が公知となっている。例え
ば、特開昭59−230795、特開昭60−1221
94、特開昭60−122195、特開昭61−185
492、特開昭62−59089、特開平5−3207
3等が挙げられる。
【0009】また、このポリカプロラクトン系樹脂を用
いた中間層を介して基材フィルム上に熱溶融性着色層を
設けた熱転写フィルムに関する技術が公知となってい
る。例えば、特開昭60−165291には、多数回印
字の目的に、中間層にポリカプロラクトン系樹脂を用い
ることが、また、特開平7−232483には、高速印
字および高温雰囲中で円滑な印字を可能とする目的で、
プライマー層に分子量10000以下のポリカプロラク
トンを用いることが開示されている。
【0010】しかし、これらの技術による中間層を用い
た熱転写フィルムでは、表面平滑性の低い被転写体に印
字を行なった場合、やはり白抜けの発生による文字や細
線の欠損が生じ、印字物がかすれた外観になってしまう
という問題点が解消される事は無かった。また、冷時剥
離プロセスによる良好な印字、画像形成は困難であると
いう問題があった。
【0011】本発明は、上記の欠点、問題を改善、解決
し、表面平滑性の低い被転写体に対して冷時剥離プロセ
スにより印字物に白抜けの発生がなく鮮明な印字ができ
る熱転写フィルムを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るために、本発明者は、印字加熱後の熱転写フィルムの
中間層と熱溶融性着色層との剥離力に着目して種々検討
を重ねた結果、熱転写フィルムに関する本発明に至っ
た。
【0013】すなわち、本発明の熱転写フィルムは、熱
転写しない中間層を介して基材フィルム上に熱溶融性着
色層を設けた熱転写フィルムにおいて、前記中間層と前
記熱溶融性着色層との180°冷時剥離力F1が1.5
〜20.0g/50mmの範囲内であり、前記中間層と
前記熱溶融性着色層との180°熱時剥離力F2が0〜
5.0g/50mmの範囲内であり、かつ、前記180
°冷時剥離力F1と前記180°熱時剥離力F2との間
に0.1g/50mm≦(F1−F2)≦20.0g/
50mmの関係が成立するような構成とした。
【0014】また、本発明の熱転写フィルムの好ましい
態様は、前記180°冷時剥離力F1と前記180°熱
時剥離力F2との間に0.5g/50mm≦(F1−F
2)≦5.0g/50mmの関係が成立するような構成
とした。
【0015】また、本発明の熱転写フィルムの好ましい
態様は、該中間層が少なくとも熱溶融性物質とバインダ
ー樹脂を含有し、該熱溶融性物質の融解ピーク温度(J
ISK7121−1987に定める融解ピーク温度)よ
りも15〜25℃高い温度領域における該熱溶融性物質
の溶融粘度{JIS Z8803−1991に定める円
錐−平板形回転粘度計(円錐低速方式)による粘度}が
100〜1000mPa・sの範囲内にあり、前記熱溶
融性物質の融解ピーク温度(JIS K7121−19
87に定める融解ピーク温度)が50〜110℃の範囲
内にあり、前記熱溶融性物質の結晶化ピーク温度(JI
S K7121−1987に定める結晶化ピーク温度)
が0〜100℃の範囲内にあり、かつ、前記結晶化ピー
ク温度が前記融解ピーク温度よりも10℃以上低く、さ
らに、前記バインダー樹脂の軟化温度(JIS K22
07−1980に定める環球法で測定される軟化温度)
が130〜400℃の範囲内であるような構成とした。
【0016】また、本発明の熱転写フィルムの好ましい
態様は、前記熱溶融性着色層の100℃における溶融粘
度{JIS Z8803−1991に定める円錐−平板
形回転粘度計(円錐低速方式)による粘度}が100〜
300mPa・sの範囲内にあるような構成とした。
【0017】さらに、本発明の熱転写フィルムの好まし
い態様は、前記熱溶融性着色層の融解ピーク温度(JI
S K7121−1987に定める融解ピーク温度)
と、前記中間層に含有される熱溶融性物質の融解ピーク
温度(JIS K7121−1987に定める融解ピー
ク温度)との差が10℃以下であるような構成とした。
【0018】上記のような本発明では、印字から剥離ま
での間に室温程度まで冷却されても、印字エネルギーが
印加された部位における中間層と熱溶融性着色層との剥
離力が所定の範囲内に設定されているので、印字エネル
ギーが印加された部位の熱溶融性着色層が抜けを生じる
ことなく被転写体に転写される。
【0019】
【発明の実施の形態】次に、発明の実施の形態について
詳述する。図1は、本発明の熱転写フィルムの一実施形
態を示す概略断面図である。図1において、熱転写フィ
ルム1は、基材フィルム2上に熱転写しない中間層3を
介して熱溶融性着色層4を設けたものである。そして、
中間層3と熱溶融性着色層4との180°冷時剥離力F
1が1.5〜20.0g/50mm、好ましくは2.5
〜12.0g/50mmの範囲内であり、中間層3と熱
溶融性着色層4との180°熱時剥離力F2が0〜5.
0g/50mm、好ましくは0〜2.5g/50mmの
範囲内である。さらに、180°冷時剥離力F1と18
0°熱時剥離力F2との間に0.1g/50mm≦(F
1−F2)≦20.0g/50mm、好ましくは0.5
g/50mm≦(F1−F2)≦5.0g/50mmの
関係が成立するものである。
【0020】中間層3と熱溶融性着色層4との180°
冷時剥離力F1が1.5g/50mm未満であると、印
字を行っていない部位にまで過剰に熱融着性着色層が転
写する、いわゆる印字絡みが発生し、鮮明な画像を得る
ことができない。一方、180°冷時剥離力F1が2
0.0g/50mmを超えるような構成とすると、熱溶
融性着色層4を形成するための塗工液が、樹脂成分の多
い溶融粘度の高いものとなり、熱溶融性着色層4をホッ
トメルトコーティング法で塗布形成する際のコーティン
グ適性が低下して良好な表面状態での塗工が困難にな
る。
【0021】また、中間層3と熱溶融性着色層4との1
80°熱時剥離力F2が5.0g/50mmを超える
と、白抜けが発生し、鮮明な画像を得ることができな
い。この180°熱時剥離力F2は、その値が小さいほ
ど好ましく、0g/50mmが最も好ましいものとな
る。
【0022】また、(F1−F2)が0g/50mm未
満の場合、印字絡みの発生または白抜けの発生があり、
鮮明な画像を得ることができない。一方、(F1−F
2)が20.0g/50mmを超えるような構成とする
と、熱溶融性着色層4を形成するための塗工液が、樹脂
成分の多い溶融粘度の高いものとなり、熱溶融性着色層
4をホットメルトコーティング法で塗布形成する際のコ
ーティング適性が低下して良好な表面状態での塗工が困
難になる。
【0023】尚、本発明における「熱転写しない中間
層」とは、サーマルヘッドにより熱転写フィルムが加熱
された場合に、中間層が実質的に基材フィルムから転写
しないことを意味する。具体的には、以下のとに示
す手順で求められるA、Bの値が、B/A>0.85の
関係を満足するものを「熱転写しない」と定義するもの
とする。 :熱転写フィルムの熱溶融性転写層上に、熱転写用紙
(シャープ(株)製ファクシミリ用普通紙UX−P10
A4)を重ね合わせ、印字評価機(シャープ(株)製U
X−F1CL)を用いて、コピーモード(解像度 Fi
ne)にてベタ画像を形成する。熱転写用紙は、熱溶融
性転写層の除去を完全なものとするために、表面平滑性
の高い上記の熱転写用紙を使用するが、特に限定される
ものではない。この使用済みの熱転写フィルム上の露出
された中間層部分の塗工量[g/m 2]を計測してAと
する。 :上記ので使用済みとなった熱転写フィルムの露出
された中間層部分において、再度の手順で中間層部分
の転写を行う。このように合計2回加熱された熱転写フ
ィルム上の部位において、露出された中間層部分の塗工
量[g/m2]を計測してBとする。
【0024】ここで、本発明における中間層と熱溶融性
着色層との180°冷時剥離力F1、および、180°
熱時剥離力F2の測定方法について説明する。まず、図
2に示されるように、熱転写フィルム1の熱溶融性転写
層4上に、ベック表面平滑度が140〜200秒である
被転写体11(シャープ(株)製UX−P10A4)を
重ね合わせ、印字評価機(シャープ(株)製UX−F1
CL)を用いて、サーマルヘッド加熱によりベタ画像を
形成し、熱転写フィルム1と被転写体11とを貼り合わ
せた状態のままで30℃の環境下で1日間放置する。次
に、熱転写フィルム1と被転写体11との貼り合わせ体
のベタ画像形成領域内から、幅50mm、長さ100〜
200cmの大きさの試験片21を作製する。
【0025】次に、上記の試験片21を、図3に示され
る測定装置31(新東科学(株)製表面性測定機トライ
ボギア TYPE14DR)に固着する。測定装置31
は、クリップ33が装着された荷重変換機32と、スラ
イドホルダー34とを備えている。クリップ33には、
60mm×120mm、厚さ100μmのポリエチレン
テレフタレート(PET)フィルム37(東レ(株)製
ルミラーT−60)の一端が固着されている。試験片2
1は、その長手方向がスライドホルダーのスライド方向
(図3の矢印A方向)と平行となるように、被転写体1
1側をスライドホルダー34に両面テープで固着され
る。そして、図示のように、試験片21の一端から熱転
写フィルム1を剥離し(実際は、熱溶融性着色層4が被
転写体11に転写されているので、基材フィルム2と中
間層3が剥離する)、剥離された熱転写フィルム1の端
部を、上記のPETフィルム37の自由端部に両面テー
プを用いて固着する。中間層と熱溶融性着色層との18
0°冷時剥離力F1、および、180°熱時剥離力F2
の測定は、サンプル間での測定誤差を極力少なくするた
めに、1つの試験片21の中で両方の値を測定する。
【0026】180°冷時剥離力F1の測定方法 次に、約45℃に加熱したリボンヒーターを厚さ100
μmのPETフィルム37を介して試験片21上に載置
し、試験片21を40℃まで加熱し、その後、試験片2
1の温度が35℃となったときに、下記の測定条件で1
80°剥離力を測定する。測定距離は約20mmとし、
スライドホルダー34を図3の矢印A方向に約40mm
動かして停止させる。測定では、得られた波形から剥離
力の平均値を算出(記録装置(新東科学(株)製アナラ
イジングレコーダTYPE AR1100)の機能を利
用)し、その値から剥離されたフィルムのみの引っ張り
抵抗力を引いた値を、5回繰り返し測定する。その最大
値と最小値を除いた3点の平均を180°冷時剥離力F
1とする。尚、試験片21の温度はK熱電対(理化工業
(株)製携帯用温度センサーST−50−500)にて
測定する。
【0027】(測定条件) ・測定環境温度:20〜25℃ ・荷重変換機:100gf(980mN) ・フィルター:PASS ・レンジ:10%FS、25%FS ・引っ張りスピード(スライドホルダー34の速度):
750mm/分 ・移動モード:シングルモード ・記録装置のレンジ:DC 6V 1.5Hz ・記録装置のトリガー:4% ・記録装置のトリガーバッファーメモリー:8000 ・記録装置のチャートスピード:1.0ms
【0028】180°熱時剥離力F2の測定方法 また、180°冷時剥離力F1を測定した試験片21を
使って、上記測定で剥離されていない部位に、約130
℃に加熱したリボンヒーターを厚さ100μmのPET
フィルム37を介して載置し、試験片21を80℃まで
加熱した後、試験片21の温度が35℃となったとき
に、上記と同様の測定条件にて、スライドホルダー34
を180°冷時剥離力F1測定時に停止させた位置から
更に40mm動かして180°剥離力を測定し、上記と
同様の方法にて得られた値を180°熱時剥離力F2と
する。尚、剥離されたフィルムのみの引っ張り抵抗力
は、上記の180°冷時剥離力F1の測定で用いた値と
同じ値を用いることとする。
【0029】本発明では、印字エネルギーが印加された
部位における中間層と熱溶融性着色層との剥離力が、上
述のように180°冷時剥離力F1と180°熱時剥離
力F2として所定の範囲内に設定されているので、印字
から剥離までの間に室温程度まで冷却されても、印字エ
ネルギーが印加された部位の熱溶融性着色層が抜けを生
じることなく被転写体に転写される。
【0030】次に、本発明の熱転写フィルムの構成部材
について説明する。 (基材フィルム)本発明の熱転写フィルムで用いられる
基材フィルムとしては、従来の熱転写フィルムに使用さ
れているものと同じ基材フィルムをそのまま用いること
が出来ると共に、その他のものも使用することが出来、
特に制限されない。
【0031】好ましい基材フィルムの具体例としては、
例えば、ポリエステル、ポリプロピレン、セロハン、ポ
リカーボネイト、酢酸セルロース、ポリエチレン、ポリ
塩化ビニル、ポリスチレン、ナイロン、ポリイミド、ポ
リ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、フッ素樹
脂、塩化ゴム、アイオノマー等のプラスチック、コンデ
ンサー紙、パラフィン紙等の紙類、不織布等があり、
又、これらを複合した基材フィルムであってもよい。
【0032】この基材フィルムの厚さは、その強度およ
び熱伝導性が適切になるように材料に応じて適宜変更す
ることが出来るが、その厚さは、好ましくは、例えば、
2.5〜10μmである。
【0033】(中間層)本発明の熱転写フィルムを構成
する中間層は、少なくとも熱溶融性物質とバインダー樹
脂を含有するものである。
【0034】中間層に含有される熱溶融性物質は、その
融解ピーク温度(JIS K7121−1987に定め
る融解ピーク温度)よりも15〜25℃高い温度領域に
おける熱溶融性物質の溶融粘度{JIS Z8803−
1991に定める円錐−平板形回転粘度計(円錐低速方
式)による粘度}が100〜1000mPa・s、好ま
しくは100〜500mPa・sの範囲内にあり、熱溶
融性物質の融解ピーク温度(JIS K7121−19
87に定める融解ピーク温度)が50〜110℃、好ま
しくは60〜90℃の範囲内にあり、熱溶融性物質の結
晶化ピーク温度(JIS K7121−1987に定め
る結晶化ピーク温度)が0〜100℃、好ましくは20
〜60℃の範囲内にあり、かつ、この結晶化ピーク温度
が上記の融解ピーク温度よりも10℃以上低い、好まし
くは30℃以上低い物質(過冷却性をもつ物質)を使用
することができる。
【0035】尚、JIS K7121−1987に従っ
て測定した融解ピーク温度が複数観測される場合、最も
高温側のピークを本発明における融解ピーク温度とす
る。また、同様に、結晶化ピーク温度が複数観測される
場合、最も低温側のピークを本発明における結晶化ピー
ク温度とする。
【0036】融解ピーク温度よりも15〜25℃高い温
度領域における熱溶融性物質の溶融粘度が100mPa
・s未満であると、中間層が設けられた基材フィルムに
ホットメルトコーティング法にて熱溶融性着色層を形成
する際に、熱溶融性着色層を良好な面質で安定して重ね
塗りすることが困難になる。また、1000mPa・s
を超えると、印字によるエネルギーが印加されることで
溶融状態となった熱溶融性物質の液体としての流動性
が、被転写体と熱転写フィルムを剥離する時点で不充分
であり、180°熱時剥離力F2の増大を引き起こし、
結果として、熱溶融性着色層を被転写体に抜けを生じる
ことなく転写させることが困難となり好ましくない。
【0037】また、熱溶融性物質の融解ピーク温度が5
0℃未満であると、サーマルヘッドの予熱によって『絡
み現象』が発生しやすくなるという不具合を生じるので
好ましくなく、110℃を超えると、感度が不足して好
ましくない。さらに、熱溶融性物質の結晶化ピーク温度
が0℃未満であると、中間層を設けるための塗工液を基
材フィルムに塗布する際に、中間層を加熱乾燥させた後
も、その熱によって熱溶融性物質が溶融したままである
状態が過剰に続くため、塗布後に巻き取られた熱転写フ
ィルムの基材フィルム面(中間層形成面側と反対側)と
中間層が接着したり、熱溶融性着色層をホットメルトコ
ーティング法にて塗布した後にも、熱溶融性物質が溶融
したままである状態が過剰に続くため、巻き取られた熱
転写フィルムがブロッキングを起すという不具合があ
る。一方、熱溶融性物質の結晶化ピーク温度が100℃
を超えると、印字後に剥離をする際に、通常の印字環境
下では印字加熱後に溶融した低粘度の中間層の熱溶融性
物質が結晶化し、凝固してしまうため、180°熱時剥
離力F2の増大を引き起こし、結果として印字物に白抜
けが発生し、鮮明な印字が形成できなくなり好ましくな
い。また、結晶化ピーク温度が上記の融解ピーク温度よ
りも低い温度差が10℃未満であると、熱溶融性物質の
過冷却性が弱まり、印字加熱後に溶融した低粘度の熱溶
融性物質が結晶化し、固化してしまう。あるいは、印字
加熱後に溶融した低粘度の熱溶融性物質が温度低下に伴
って粘度上昇を生じ、180°熱時剥離力F2の増大を
引き起こし、結果として印字物に白抜けが発生し、鮮明
な印字が形成できなくなり好ましくない。
【0038】上記のような過冷却性をもつ熱溶融性物質
としては、ポリエステル樹脂が挙げられ、例えば、ポリ
カプロラクトンのようなラクトン系樹脂、あるいは、酸
成分がコハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン
酸、ドデカン二酸、ダイマー酸等の脂肪族二塩基酸やテ
レフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ナフタレ
ンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等
の芳香族二塩基酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサ
ヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸等の脂
肪族二塩基酸であり、グリコール成分がエチレングリコ
ール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタジオー
ル、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオ
ール、1,9−ノナンジオール、1,10−オクタンジ
オール、プロピレングリコール、ネオペンチルクリコー
ル、シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジ
メタノール、ビスフェノールAのエチレンオキシドおよ
び/またはプロピレンオキシド付加物、ポリエチレング
リコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリプロピ
レングリコール−3,3−ジメチロールヘプタン等であ
るポリエステル樹脂が挙げられ、複数の熱溶融性物質を
組み合わせて使用することもできる。
【0039】また、中間層に含有されるバインダー樹脂
は、軟化温度(JIS K2207−1980に定める
環球法で測定される軟化温度)が130〜400℃、好
ましくは130〜250℃の範囲内であるものを使用す
ることができる。このようなバインダー樹脂としては、
例えば、ポリエステル樹脂、SBR樹脂やABS樹脂や
SBS樹脂等のポリブタジエン系樹脂、スチレン−無水
マレイン酸共重合体等のマレイン酸系樹脂、オレフィン
系樹脂、オレフィン系共重合体、アイオノマー樹脂、ス
チレン系樹脂等が挙げられる。
【0040】使用するバインダー樹脂の軟化温度が13
0℃未満であると、中間層を設けるための塗工液を基材
フィルム上に塗布後乾燥させる過程で、バインダー樹脂
と熱溶融性物質を適度に分離させることが困難となり、
熱溶融性物質が過冷却状態であることにより発現する効
果が実質的に得られなくなるため、180°熱時剥離力
F2の増大を引き起こし、結果として熱溶融性着色層を
被転写体に抜けを生じることなく転写させることが困難
となる。また、軟化温度が400℃を超えるバインダー
樹脂は、高価な材料である場合が殆どであるため、熱転
写フィルムの製造コストが過大になるという不具合を生
じる。
【0041】本発明の熱転写フィルムは、中間層にカー
ボンブラックを配合してもよい。これにより、印字後の
熱転写フィルムから印字した内容を読み取ること(転写
された後の熱転写フィルムの熱溶融性着色層の抜け殻を
複写機等により複写した複写物から、転写フィルムで印
字した内容を読み取ること)が困難となり、機密漏洩防
止機能を併せもたせることが可能となる。また、カーボ
ンブラックが熱転写フィルムの帯電を防止するので、熱
転写フィルムの交換時の作業性が向上し、印字時に空気
中のごみを吸い寄せて印字物にごみによる抜けを生じる
ことが防止され、良好な印字物を得ることができる。
【0042】中間層を形成するには、上記のような材料
と、高級脂肪族アルコール、リン酸エステルおよびその
金属塩、有機カルボン酸およびその誘導体や低融点ワッ
クス、各種界面活性剤等の分散剤を必要に応じて添加
し、メチルエチルケトン、トルエン、アルコール類、水
等の適当な溶媒中に溶解または分散させて、塗工液を調
製し、グラビアコーター、ロールコーター、ワイヤーバ
ー等の慣用の塗工手段により、塗工し、乾燥すればよ
い。
【0043】中間層の塗工量は、乾燥固形分で、0.1
〜1.0g/m2 程度が好ましい。塗工量が0.1g/
2 を下回ると、白抜けの発生のない、鮮明な印字物が
得られにくく、また一方、塗工量が1.0g/m2 を超
えると、中間層が厚すぎて、転写時の印字感度が低下す
るので好ましくない。
【0044】(熱溶融性着色層)熱溶融性着色層は、1
00℃における溶融粘度{JIS Z8803−199
1に定める円錐−平板形回転粘度計(円錐低速方式)に
よる粘度}が100〜300mPa・s、好ましくは1
20〜250mPa・sの範囲内にあることが望まし
い。熱溶融性着色層の100℃における溶融粘度が10
0mPa・s未満である場合、ラフ紙に対する抜け防止
の更なる効果が得られず、溶融粘度が300mPa・s
を超えると、熱溶融性着色層をホットメルトコーティン
グ法で塗布形成する際のコーティング適性が低下して良
好な表面状態での塗工が困難になることがある。
【0045】本発明では、熱溶融性着色層の100℃に
おける溶融粘度は以下のように測定することができる。
すなわち、シャープ(株)製ファクシミリ(UX−F1
CL)を使用し、75μmの厚さのポリエチレンテレフ
タレート(PET)フィルムに、被測定体である熱転写
フィルムを用いて、コピーモード(原稿種別:文字、印
字濃度:普通)黒の色画用紙を原稿として印字を行う。
尚、サーマルヘッドの印字エネルギーを任意の値に変更
可能とするために、ファクシミリに搭載されたサーマル
ヘッドのコモン電極とグランド電極間に外部から任意の
電圧を印加可能とする。上記のようにして得られた熱溶
融性着色層が転写したPETフィルムを、120℃に加
熱したホットプレート上に載置して熱溶融性着色層を溶
融させ、ヘラ等で熱溶融性着色層をかき集めた後、冷却
して測定用のサンプルとする。このサンプルを用い、J
IS Z8803−1991に定める円錐−平板形回転
粘度計(円錐低速方式)による粘度の測定法に基づいて
100℃における溶融粘度を測定する。
【0046】また、熱溶融性着色層の融解ピーク温度
(JIS K7121−1987に定める融解ピーク温
度)と、中間層に含有される上述の熱溶融性物質の融解
ピーク温度(JIS K7121−1987に定める融
解ピーク温度)との差が10℃以下となるように設定す
ることにより、ラフ紙に対して更に抜けの少ない印字物
を得ること、および、熱溶融性着色層が被転写体表面に
融着することなく薄膜状に付着してしまう現象(絡み現
象)を低減することができる。例えば、中間層の融解ピ
ーク温度が60℃の場合、熱溶融性着色層の融解ピーク
温度を50℃以上70℃以下とすることで、上記の効果
を得ることができる。このような温度差は10℃以内で
小さいほど効果は顕著であり、温度差が0℃の場合が最
も好ましい印字結果をもたらす。一方、温度差が10℃
を超えると、絡み現象防止の効果が十分に得られなくな
る。
【0047】本発明では、熱溶融性着色層の融解ピーク
温度は以下のように測定することができる。すなわち、
シャープ(株)製ファクシミリ(UX−F1CL)を使
用し、75μmの厚さのPETフィルムに、被測定体で
ある熱転写フィルムを用いて、コピーモード(原稿種
別:文字、印字濃度:普通)黒の色画用紙を原稿として
印字を行う。尚、サーマルヘッドの印字エネルギーを任
意の値に変更可能とするために、ファクシミリに搭載さ
れたサーマルヘッドのコモン電極とグランド電極間に外
部から任意の電圧を印加可能とする。上記のようにして
得られた熱溶融性着色層が転写したPETフィルムを、
120℃に加熱したホットプレート上に載置して熱溶融
性着色層を溶融させ、ヘラ等で熱溶融性着色層をかき集
めた後、冷却して測定用のサンプルとする。このサンプ
ルを用い、JIS K7121−1987に定める融解
ピーク温度(融解ピークが複数存在する時は一番高いピ
ーク温度)を測定する。
【0048】このような熱溶融性着色層は、従来公知の
着色剤とバインダーよりなり、必要に応じて、鉱物油、
植物油、ステアリン酸等の高級脂肪酸、可塑剤、酸化防
止剤、充填剤等の種々の添加剤を加えたもので形成する
ことができる。
【0049】バインダーとして用いられるワックス成分
としては、例えば、マイクロクリスタリンワックス、カ
ルナバワックス、パラフィンワックス等がある。更に、
フィッシャートロプシュワックス、各種低分子量ポリエ
チレン、木ロウ、ミツロウ、鯨ロウ、イボタロウ、羊毛
ロウ、セラックワックス、キャンデリラワックス、ペト
ロラクタム、ポリエステルワックス、一部変性ワック
ス、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド等、種々のワックス
が用いられる。このなかで、特に融点が50〜85℃で
あるものが好ましい。50℃未満であると、保存性に問
題が生じ、又85℃を超えると感度不足になる。
【0050】バインダーとして用いられる樹脂成分とし
ては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレ
ン−アクリル酸エステル共重合体、ポリエチレン、ポリ
スチレン、ポリプロピレン、ポリブデン、石油樹脂、塩
化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ
ビニルアルコール、塩化ビニリデン樹脂、メタクリル樹
脂、ポリアミド、ポリカーボネート、フッ素樹脂、ポリ
ビニルフォルマール、ポリビニルブチラール、アセチル
セルロース、ニトロセルロース、ポリ酢酸ビニル、ポリ
イソブチレン、エチルセルロース又はポリアセタール等
が挙げられるが、特に従来より感熱接着剤として使用さ
れている比較的低軟化点、例えば、50〜80℃の軟化
点を有するものが好ましい。
【0051】着色剤としては、公知の有機または無機の
顔料、あるいは染料の中から適宜選択することができ、
例えば、十分な着色濃度を有し、光、熱等により変色、
退色しないものが好ましい。また、加熱により発色する
物質や、被転写体の表面に塗布されている成分と接触す
ることにより発色するような物質であってもよい。さら
に、着色剤の色としては、シアン、マゼンタ、イエロ
ー、ブラックに限定されるものではなく、種々の色の着
色剤を使用することができる。
【0052】さらに、熱溶融性着色層に良好な熱伝導性
および熱溶融転写性を与えるために、バインダーの充填
剤として熱伝導性物質を配合してもよい。このような充
填剤としては、例えばカーボンブラック等の炭素質物
質、アルミニウム、銅、酸化錫、二硫化モリブデン等の
金属および金属化合物等がある。
【0053】熱溶融性着色層の形成は、上記のような着
色剤成分とバインダー成分と、さらに、これに必要に応
じて、鉱物油、植物油、ステアリン酸等の高級脂肪酸、
可塑剤、酸化防止剤、充填剤等の種々の添加剤を加え、
水、有機溶剤等の溶媒成分を配合して調製した着色層形
成用塗工液を、従来公知のホットメルトコート、ホット
ラッカーコート、グラビアコート、グラビアリバースコ
ート、ロールコート等の方法で行う。また、水系又は非
水系のエマルジョン塗液を用いて形成する方法もある。
【0054】熱溶融性着色層の厚みは、必要な印字濃度
と熱感度との調和がとれるように決定すべきであって、
好ましくは0.5〜6.5g/m2 の範囲であり、2.
5〜5.5g/m2 の範囲が特に好ましい。
【0055】(表面層)また、本発明においては、上記
の熱溶融性着色層の上に、さらに表面層を形成すること
ができる。この表面層は熱溶融性着色層の一部をなし、
被転写体に接する側の表面を形成して転写時に被転写体
の印字部を目止めし、また、熱転写フィルムの保存性向
上、地汚れ防止をするとともに、熱溶融性着色層の被転
写体に対する接着性を向上させる作用を有する。
【0056】このような表面層の形成には、上述の熱溶
融性着色層で用いられるワックスと同様の物質を1種、
あるいは、複数の組み合わせで主成分として使用するこ
とができる。上記ワックスを主成分とする表面層は、ワ
ックス融解液の塗布および乾燥、さらには上記ワックス
の粒子を含む水性分散液の塗布および乾燥等によって形
成され、従来公知のコーティング方法を用いることがで
きる。
【0057】表面層の厚みは、必要な熱感度と目止め効
果の調和がとれるように設定すべきであり、好ましくは
0.1〜1.0g/m3の範囲であり、0.2〜0.4
g/m3の範囲が特に好ましい。
【0058】(耐熱滑性層)また、基材フィルムの他方
の面に、サーマルヘッドの粘着を防止し、且つ、滑り性
を良くするために、耐熱滑性層を設けることも可能であ
る。この耐熱滑性層は、バインダー樹脂に滑り剤、界面
活性剤、無機粒子、有機粒子、顔料等を添加したもの
を、好適に使用し、形成される。
【0059】耐熱滑性層に使用されるバインダー樹脂
は、例えば、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセル
ロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロ
ース、酢酸セルロース、酢酪酸セルロース、硝化綿等の
セルロース系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビ
ニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、
ポリビニルピロリドン、アクリル樹脂、ポリアクリルア
ミド、アクリロニトリル−スチレン共重合体等のビニル
系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコ
ーン変性またはフッ素変性ウレタン樹脂等が、挙げられ
る。これらのなかで、数個の反応性基、例えば、水酸基
を有しているものを使用し、架橋剤として、ポリイソシ
アネート等を併用して、架橋樹脂を使用することが好ま
しい。
【0060】耐熱滑性層を形成する手段は、上記のごと
きバインダー樹脂に滑り剤、界面活性剤、無機粒子、有
機粒子、顔料等を添加した材料を、適当な溶剤中に溶解
または分散させて、塗工液を調製し、この塗工液をグラ
ビアコーター、ロールコーター、ワイヤーバー等の慣用
の塗工手段により、塗工し、乾燥するものである。
【0061】尚、本発明の熱転写フィルムは、上記の発
明の実施の形態に限定されるものではない。また、本発
明の熱転写フィルムは、カラー印字に適応できることは
言うまでもなく、多色の熱転写フィルムも本発明の範囲
に含まれる。また、本発明の熱転写フィルムと組み合わ
せて用いられる被転写体は、従来公知のいずれの被転写
体でも使用することができる。
【0062】
【実施例】次に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に
説明する。尚、文中、部又は%とあるのは、特に断りの
ない限り重量基準である。
【0063】試料1〜9の作製 基材フィルムとして、厚さ4.5μmのポリエチレンテ
レフタレートフィルム(東レ株式会社製)を用いて、そ
の基材フィルム上に、下記表1に示す組成の中間層塗工
液をグラビアコート法により塗工(塗布量0.5g/m
2)し、100℃の熱風で溶剤を乾燥させた後に巻き取
った。尚、溶剤はトルエンを使用した。
【0064】
【表1】 中間層に使用した熱溶融性物質、バインダー樹脂、カー
ボンブラックの種類は以下の通りである。 (1)プラクセル220(ダイセル化学工業(株)製) (2)熱溶融性物質A (3)熱溶融性物質B (4)熱溶融性物質C (5)プラクセル230(ダイセル化学工業(株)製) (6)プラクセル240(ダイセル化学工業(株)製) (7)バイロン200(東洋紡績(株)製) (8)バイロン600(東洋紡績(株)製) カーボンブラック:平均粒径40nm(三菱化学(株)
製)
【0065】次に、各中間層の上に、下記組成の熱溶融
性着色層塗工液を100℃に加温し、ロールコートによ
るホットメルトコーティング法で、乾燥時4.0μmの
厚さとなるように塗布して熱溶融性着色層を形成し、熱
転写フィルム(試料1〜9)を作製した。但し、基材フ
ィルムの他方の面には、下記組成の耐熱滑性層塗工液を
ロールコーターにより、塗布、乾燥し、乾燥時0.1μ
mの厚みの耐熱滑性層を予め設けてある。
【0066】 (熱溶融性着色層塗工液) ・カーボンブラック(平均粒径40nm、三菱化学(株)製) 15部 ・エチレン−酢酸ビニル共重合体 9部 (スミテートHC10、住友化学(株)製) ・カルナバワックス(加藤洋行(株)製) 38部 ・パラフィンワックス(日本精蝋(株)製 SP-0145) 38部
【0067】 (耐熱滑性層塗工液) ・ポリビニルブチラール樹脂 20部 (積水化学(株)製エスレックBX−1) ・タルク(日本アルク(株)製ミクロエースL−1) 30部 ・メラミン樹脂微粒子 30部 (日本触媒化学工業(株)製エポスターS) ・ポリイソシアネート 40部 (武田薬品工業(株)製タケネートA−3) ・トルエン/メチルエチルケトン(重量比1/1) 900部
【0068】比較試料1〜3の作製 中間層塗工液を上記表1に示す組成に変えた以外は、上
記の試料1〜9と同様にして熱転写フィルム(比較試料
1〜3)を作製した。上記のようにして得られた熱転写
フィルム(試料1〜9、比較試料1〜3)について、上
述の測定方法にしたがって中間層と熱溶融性着色層との
180°冷時剥離力F1、180°熱時剥離力F2、お
よび、F1とF2との差を測定した。また、熱転写フィ
ルム(試料1〜9、比較試料1〜3)について、下記の
評価方法にて、印字品質の評価(白抜けの発生、印字絡
みの発生)を行った。
【0069】〈印字品質〉富士ゼロックス(株)製ファ
クシミリ(Telecopier7033)を用い、ゼ
ロックス(株)製プリンター用紙(#4024、ベック
平滑度32秒)に、上記の各熱転写フィルムを用いて、
コピーモード(原稿種別:文字、印字濃度:普通)で印
字を行なった。印字後、熱転写フィルムとプリンター用
紙との剥離は、熱転写フィルムの温度が室温まで冷却さ
れた後に行う冷時剥離プロセスとした。
【0070】尚、サーマルヘッドの印字エネルギーを任
意の値に変更できるようにするため、ファクシミリに搭
載されたサーマルヘッドのコモン電極とグランド電極間
に外部から任意の電圧を印加可能とした。また、コピー
を行うための原稿には、沖電気(株)製プリンター(M
ICROLINE 900 PSII LT)で富士ゼ
ロックス(株)製コピー用紙(WR−100)に印刷し
た8ポイントサイズの大文字アルファベット(書体はC
ourier)印字物を使用した。
【0071】(白抜けの発生の評価)印字に際しては、
各熱転写フィルム(試料1〜9、比較試料1〜3)で上
記の原稿をコピーした際、大文字のEとBの区別が目視
にて可能な最低限の印加電圧で印字を行うこととした。
そして、得られた印字物を目視により観察し、白抜けの
発生による文字や細線の欠損について、以下の基準に従
って評価を行なった。 ◎:白抜けの発生による文字や細線の欠損はほとんど観
察されず、極めて良好な印字物が得られた。 ○:白抜けの発生による文字や細線の欠損が若干観察さ
れたが、良好な印字物が得られた。 ×:白抜けの発生による文字や細線の欠損が著しく観察
され、文字や細線が著しくかすれた外観である印字物が
得られた。
【0072】(印字絡みの発生の評価)上記白抜けの発
生評価時の電圧よりも1.5V高い印加電圧での印字を
行った後、大文字アルファベットの印字結果を目視によ
り観察し、以下の基準に従って評価を行った。 ◎:絡みの発生による文字の潰れはほとんど観察され
ず、極めて良好な印字物が得られた。 ○:絡みの発生による文字の潰れが若干観察されたが、
良好な印字物が得られた。 ×:絡みの発生による文字の潰れが著しく観察され、文
字や細線が著しく潰れた外観である印字物が得られた。
【0073】(結果)測定結果および評価結果を下記表
2に示す。
【0074】
【表2】
【0075】表2に示されるように、本発明の熱転写フ
ィルム(試料1〜9)は、冷時剥離プロセスにおいて印
字品質が実用レベルにあることが確認された。これに対
して、比較の熱転写フィルム(比較試料1〜3)は、白
抜けの発生、印字絡みの発生のいずれかが観察され、実
用に供し得ないものであった。
【0076】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
印字エネルギーが印加された部位における中間層と熱溶
融性着色層との剥離力が、印字から剥離までの間に室温
程度まで冷却されても、所定の範囲内に設定されている
ので、印字エネルギーが印加された部位の熱溶融性着色
層が抜けを生じることなく被転写体に転写されることに
なり、冷時剥離プロセスにおいても白抜けの発生が少な
い良好な印字が可能な熱転写フィルムを得ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱転写フィルムの一実施形態を示す概
略断面図である。
【図2】中間層と熱溶融性着色層との180°冷時剥離
力F1と180°熱時剥離力F2の測定に用いる試験片
を説明するための斜視図である。
【図3】中間層と熱溶融性着色層との180°冷時剥離
力F1と180°熱時剥離力F2の測定に用いる測定装
置を説明するための概略斜視図である。
【符号の説明】
1…熱転写フィルム 2…基材フィルム 3…中間層 4…熱溶融性着色層 31…180°剥離力の測定装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 浅生 健一 東京都新宿区市谷加賀町一丁目1番1号 大日本印刷株式会社内 (72)発明者 鳥井 政典 東京都新宿区市谷加賀町一丁目1番1号 大日本印刷株式会社内 Fターム(参考) 2H111 AA14 BA03 BA04 BA07 BA12 BA53 BA63 BA70 BA71

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱転写しない中間層を介して基材フィル
    ム上に熱溶融性着色層を設けた熱転写フィルムにおい
    て、前記中間層と前記熱溶融性着色層との180°冷時
    剥離力F1が1.5〜20.0g/50mmの範囲内で
    あり、前記中間層と前記熱溶融性着色層との180°熱
    時剥離力F2が0〜5.0g/50mmの範囲内であ
    り、かつ、前記180°冷時剥離力F1と前記180°
    熱時剥離力F2との間に0.1g/50mm≦(F1−
    F2)≦20.0g/50mmの関係が成立することを
    特徴とする熱転写フィルム。
  2. 【請求項2】 前記180°冷時剥離力F1と前記18
    0°熱時剥離力F2との間に0.5g/50mm≦(F
    1−F2)≦5.0g/50mmの関係が成立すること
    を特徴とする請求項1に記載の熱転写フィルム。
  3. 【請求項3】 該中間層は少なくとも熱溶融性物質とバ
    インダー樹脂を含有し、該熱溶融性物質の融解ピーク温
    度(JIS K7121−1987に定める融解ピーク
    温度)よりも15〜25℃高い温度領域における該熱溶
    融性物質の溶融粘度{JIS Z8803−1991に
    定める円錐−平板形回転粘度計(円錐低速方式)による
    粘度}が100〜1000mPa・sの範囲内にあり、
    前記熱溶融性物質の融解ピーク温度(JIS K712
    1−1987に定める融解ピーク温度)が50〜110
    ℃の範囲内にあり、前記熱溶融性物質の結晶化ピーク温
    度(JIS K7121−1987に定める結晶化ピー
    ク温度)が0〜100℃の範囲内にあり、かつ、前記結
    晶化ピーク温度が前記融解ピーク温度よりも10℃以上
    低く、さらに、前記バインダー樹脂の軟化温度(JIS
    K2207−1980に定める環球法で測定される軟
    化温度)が130〜400℃の範囲内であることを特徴
    とする請求項1または請求項2に記載の熱転写フィル
    ム。
  4. 【請求項4】 前記熱溶融性着色層は100℃における
    溶融粘度{JISZ8803−1991に定める円錐−
    平板形回転粘度計(円錐低速方式)による粘度}が10
    0〜300mPa・sの範囲内にあることを特徴とする
    請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の熱転写フィル
    ム。
  5. 【請求項5】 前記熱溶融性着色層の融解ピーク温度
    (JIS K7121−1987に定める融解ピーク温
    度)と、前記中間層に含有される熱溶融性物質の融解ピ
    ーク温度(JIS K7121−1987に定める融解
    ピーク温度)との差が10℃以下であることを特徴とす
    る請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の熱転写フィ
    ルム。
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