JP2002100351A - アルカリ蓄電池の製造方法 - Google Patents

アルカリ蓄電池の製造方法

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JP2002100351A
JP2002100351A JP2000288555A JP2000288555A JP2002100351A JP 2002100351 A JP2002100351 A JP 2002100351A JP 2000288555 A JP2000288555 A JP 2000288555A JP 2000288555 A JP2000288555 A JP 2000288555A JP 2002100351 A JP2002100351 A JP 2002100351A
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slurry
filling
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Mikiaki Tadokoro
幹朗 田所
Yoshitaka Baba
良貴 馬場
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Sanyo Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 活物質スラリーの水分量とpHの変化を抑制
して、活物質スラリーをニッケル金属多孔体に容易に充
填できて充填量のバラツキが少ないニッケル電極を製造
できるようにし、容量のバラツキが少ない電池を生産で
きるようにする。 【解決手段】 本発明のアルカリ蓄電池の製造方法は、
ニッケル金属多孔体にアルカリ水溶液を含有させるアル
カリ含有工程と、アルカリ水溶液が含有されたニッケル
金属多孔体に水酸化ニッケルを主体とする活物質スラリ
ーを充填する活物質充填工程とを備えるようにしてい
る。ニッケル金属多孔体に予めアルカリ水溶液が含有さ
れていると、この多孔体の骨格の中空部に活物質スラリ
ーに含有されている水分が吸い取られるという現象が抑
制されるようになる。このため、スラリー充填槽内に収
容された活物質スラリー中の水分量が一定に維持され、
スラリーの粘度も一定になって、活物質の充填性が向上
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はニッケル−水素蓄電
池、ニッケル−カドミウム蓄電池などのアルカリ蓄電池
の製造方法に係り、特に、ニッケル金属多孔体に水酸化
ニッケルを主体とする活物質を充填した正極と、負極と
を備えたアルカリ蓄電池の製造方法の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ニッケル−水素蓄電池、ニッケル
−カドミウム蓄電池などのアルカリ蓄電池に使用される
ニッケル電極は、パンチングメタル等の導電性芯体にニ
ッケル粉末を焼結して形成した焼結基板にニッケル塩等
の溶液を含浸し、アルカリ処理により活物質化するいわ
ゆる焼結式電極が知られている。この焼結式電極は、焼
結基板を高多孔度とした場合には機械的強度が弱くなる
ため、実用的には80%程度の多孔度とするのが限界で
あるとともに、パンチングメタル等の導電性芯体を必要
とすることから、活物質の充填量が低く、高エネルギー
密度の電極を実現する上で問題があった。また、活物質
の充填工程を何度も繰り返す必要がある溶液含浸法や電
着含浸法に限定されるため、活物質の充填工程が煩雑で
あるとともに製造コストも高くなるという問題があっ
た。
【0003】一方、これらの欠点を改良するために、ニ
ッケル繊維マットや発泡ニッケル(ニッケルスポンジ)
などの三次元網目状構造をもった金属多孔体(以下では
ニッケル金属多孔体という)に活物質スラリーを直接充
填した、いわゆる非焼結式電極が主流となってきた。こ
の非焼結式電極に用いられるニッケル金属多孔体は、そ
の多孔度が約95%と高多孔度であって、活物質を高密
度に充填できるため、高容量の電池が得られるようにな
る。また、この種の非焼結式電極は活物質をそのままニ
ッケル金属多孔体に充填するので、面倒な活物質化の処
理が必要でなくなり、製造が容易になるとともに、長尺
の帯状ニッケル金属多孔体を用いれば、連続的に活物質
を充填できるという利点がある。
【0004】ところで、ニッケル金属多孔体は、例え
ば、発泡樹脂あるいは樹脂製不織布にニッケルメッキを
施して樹脂部分を燃焼させた後、還元雰囲気中で熱処理
を行うことにより製造されるため、樹脂の表面に被覆さ
れたメッキ成分のニッケル金属のみが残存してニッケル
骨格が形成されるが、このニッケル骨格の内部は樹脂部
分が燃焼して中空になっている。このようにニッケル骨
格が中空になっていると、活物質をニッケル金属多孔体
に充填する際に、スラリー状の活物質に含有されている
水分がニッケル骨格に形成された微少な孔を通して中空
部内に吸い取られるという現象が生じる。
【0005】このため、長尺の帯状ニッケル金属多孔体
を用い、活物質スラリーが収容されたスラリー充填槽内
に長尺の帯状ニッケル金属多孔体を挿入して、ローラな
どにより活物質スラリーを連続的に帯状ニッケル金属多
孔体に充填する場合にあっては、充填時間の経過ととも
にスラリー槽内に収容された活物質スラリー中の水分量
が減少するようになる。活物質スラリー中の水分量が減
少すると、活物質スラリー密度が増大し、充填量が増大
する。さらには、活物質スラリーの粘度が増大して活物
質スラリーのニッケル金属多孔体への充填性が低下する
ため、ニッケル金属多孔体表面にスラリー塊が付着する
ような現象が生じ、その結果、活物質スラリーの充填量
のバラツキが生じるようになる。
【0006】そこで、ニッケル金属多孔体のニッケル骨
格の中空部に予め水分を含有させておき、その後に活物
質スラリーを充填する方法が特開昭58−161252
号公報にて提案されるようになった。この特開昭58−
161252号公報にて提案された方法にあっては、ニ
ッケル骨格の中空部に予め水分が含有されているので、
活物質スラリーをニッケル金属多孔体に充填する際に、
活物質スラリーに含有されている水分がニッケル骨格の
中空部内に吸い取られるという現象が抑制されるように
なる。このため、スラリー充填槽内に収容された活物質
スラリー中の水分の減少が抑制されて、活物質スラリー
の密度、粘度も一定に維持されるようになる。このた
め、ニッケル金属多孔体への活物質の充填性が低下する
ことなく、活物質スラリーを安定してニッケル金属多孔
体へ充填できるようになる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、活物質スラ
リーの主成分となる水酸化ニッケルは、硫酸ニッケルや
硝酸ニッケルなどのニッケル塩を水酸化ナトリウなどの
アルカリ水溶液で中和して製造される。ところが、水酸
化ニッケル粉末は細孔を有しているため、この細孔内に
水酸化ナトリウムなどのアルカリが残存することとな
る。これにより、活物質スラリーを製造するために水酸
化ニッケルを水に分散させると、活物質スラリーはpH
10程度の弱アルカリを示すようになる。
【0008】このため、特開昭58−161252号公
報にて提案されるように、ニッケル金属多孔体のニッケ
ル骨格の中空部内に予め水分を含有させておくと、ニッ
ケル骨格の中空部内に含有された水分と活物質スラリー
中のアルカリ水溶液との間で濃度差が生じるため、ニッ
ケル骨格の中空部の外部からニッケル骨格の中空部内へ
活物質スラリー中のアルカリカチオンが移動するという
問題を生じた。
【0009】そして、上述のように活物質スラリーをニ
ッケル金属多孔体に充填する際に、ニッケル骨格の中空
部の外部からニッケル骨格の中空部内へアルカリカチオ
ンが移動すると、活物質スラリー中のアルカリカチオン
が減少するため、活物質スラリーのpHが小さくなるこ
ととなる。一般に、スラリーのpHが小さくなるとスラ
リーの粘度が上昇するため、活物質スラリーのpHが小
さくなるに伴って活物質スラリーの粘度が増大するよう
になる。
【0010】このため、スラリー充填槽内に収容された
活物質スラリーの粘度は、充填の初期においては低粘度
であるが、充填量が増大するに伴って粘度が上昇し、充
填の後期においては高粘度になる。この結果、活物質ス
ラリーの粘度上昇に起因してニッケル金属多孔体への充
填性が低下するとともに、活物質スラリーの充填量にも
バラツキが生じて、充填量が不均一になるという不具合
を生じた。特に、長尺の帯状ニッケル金属多孔体を用い
て連続的に活物質スラリーを充填する場合にあっては、
充填初期と充填後期における活物質スラリーの粘度変化
が大きくなるため、充填量の不均一性がさらに増大する
という問題を生じた。
【0011】そこで、本発明は上記問題点を解消するた
めになされたものであって、活物質スラリーをニッケル
金属多孔体に充填する際の活物質スラリーの水分量とp
Hの変化を抑制して、安定して活物質スラリーをニッケ
ル金属多孔体に充填できるとともに充填量のバラツキが
少ないニッケル電極を容易に製造でき、電池容量のバラ
ツキが少ない電池を大量に生産できるようにすることを
目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明はニッケル金属多孔体に水酸化ニッケルを主
体とする活物質を充填した正極と、負極とを備えたアル
カリ蓄電池の製造方法であって、ニッケル金属多孔体に
アルカリ水溶液を含有させるアルカリ含有工程と、アル
カリ水溶液が含有されたニッケル金属多孔体に水酸化ニ
ッケルを主体とする活物質スラリーを充填する活物質充
填工程とを備えるようにしている。
【0013】このように、予めニッケル金属多孔体にア
ルカリ水溶液を含有させると、ニッケル金属多孔体のニ
ッケル骨格の中空部に活物質スラリーに含有されている
水分が吸い取られるという現象が抑制されるようにな
る。このため、スラリー充填槽内に収容された活物質ス
ラリー中の水分量の減少も抑制されて、活物質スラリー
の粘度も一定に維持されるようになり、ニッケル金属多
孔体への活物質の充填性が向上して、活物質スラリーの
充填量を均一化することが可能となる。
【0014】また、ニッケル金属多孔体のニッケル骨格
の中空部に既にアルカリが存在しているため、ニッケル
骨格の中空部の外部からニッケル骨格の中空部内へアル
カリカチオンが移動することも抑制することが可能とな
る。このため、活物質スラリー中のアルカリカチオンが
減少することなく一定に維持できるようになるため、活
物質スラリーのpHを一定に維持することが可能とな
り、活物質スラリーの粘度は一定に保持されるようにな
る。これにより、活物質スラリーのニッケル金属多孔体
への充填性が向上するとともに、活物質スラリーを均一
に充填することが可能となる。特に、長尺の帯状ニッケ
ル金属多孔体を用いて連続的に活物質スラリーを充填す
る場合であっても、水分量やpHが変化しないため、充
填量が均一なニッケル電極を大量に製造することが可能
となる。
【0015】この場合、ニッケル金属多孔体のニッケル
骨格の外部からニッケル骨格の中空部内へアルカリカチ
オンの移動を防止して、ニッケル骨格の中空部内とニッ
ケル骨格の外部との間で濃度差を生じさせないために
は、予めニッケル金属多孔体の中空部に存在させるアル
カリ水溶液としては活物質スラリーに含有されるアルカ
リ濃度と同濃度であることが好適である。また、水酸化
リチウムや水酸化ナトリウムは水和力が大きいため、電
解液中の水分子や水酸化物イオンの移動度が小さくな
る。そのため、正極の自己放電反応が抑制されて、電池
の保存特性が向上する。このため、このようなアルカリ
水溶液としては、水酸化リチウムあるいは水酸化ナトリ
ウムの少なくとも1種以上を含有させるのが好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を説
明する。 1.活物質スラリーの作製 共沈成分として亜鉛2.5質量%とコバルト1質量%を
含有する水酸化ニッケル粉末を硫酸コバルト水溶液中に
投入し、これを撹拌しながら1モルの水酸化ナトリウム
水溶液を徐々に滴下し、反応中のpHを11に保持する
ことにより、水酸化ニッケルを核として、この表面に水
酸化コバルトの被覆層が5質量%形成された粒状物を作
製した。このようにして作製された粒状物を撹拌しなが
ら、これに25質量%の水酸化ナトリウム水溶液を質量
比で10倍量加えて含浸させ、8時間撹拌しながら、8
5℃で加熱処理することによるアルカリ熱処理を施し
た。
【0017】これを分取し、水洗および脱水した後、6
5℃で乾燥することにより、水酸化コバルト被覆層中に
1質量%のナトリウムを含有する複合体粒子を作製し
た。このようなアルカリ熱処理により、水酸化コバルト
の一部が高次化されるとともにナトリウムが含有され
る。ついで、得られた複合体粒子95質量%と水酸化コ
バルト2質量%と酸化亜鉛3質量%との混合粉末(水酸
化ニッケルを主体とする活物質粉末)に、ヒドロキシプ
ロピルセルロースの0.2%水溶液を混合粉末質量に対
して30質量%を添加混合して活物質スラリーを作製
し、スラリー槽内に収容した。
【0018】2.ニッケル正極の作製 (1)実施例1 まず、帯状の連続発泡基体(ニッケル金属多孔体:面密
度(目付)約600g/m2で、多孔度が95%で、厚
みが約2mmで、幅が450mmのもの)を用意し、こ
れを厚みが1.5mmになるまで予備圧延した後、この
連続発泡基体を水酸化リチウム水溶液(濃度は1モル/
リットル:1N)に含浸させた後、これに圧縮空気を吹
き付けて過剰な水分を除去した。この後、この連続発泡
基体を活物質スラリーが収納されたスラリー槽内を3.
0m/分の速度で通過させて、ローラ等により連続発泡
基体に活物質スラリーを連続的に充填した。ついで、活
物質スラリーが充填された連続発泡基体を乾燥させた
後、厚みが0.8mmになるように圧延し、所定寸法に
切断して、実施例1のニッケル正極aとした。
【0019】(2)実施例2 同様に、帯状の連続発泡基体(ニッケル金属多孔体:面
密度(目付)約600g/m2で、多孔度が95%で、
厚みが約2mmで、幅が450mmのもの)を用意し、
これを厚みが1.5mmになるまで予備圧延した後、こ
の連続発泡基体を水酸化ナトリウム水溶液(濃度は1モ
ル/リットル:1N)に含浸させた後、これに圧縮空気
を吹き付けて過剰な水分を除去した。この後、この連続
発泡基体を活物質スラリーが収納されたスラリー槽内を
3.0m/分の速度で通過させて、ローラ等により連続
発泡基体に活物質スラリーを連続的に充填した。つい
で、活物質スラリーが充填された連続発泡基体を乾燥さ
せた後、厚みが0.8mmになるように圧延し、所定寸
法に切断して、実施例2のニッケル正極bとした。
【0020】(3)比較例1 同様に、帯状の連続発泡基体(ニッケル金属多孔体:面
密度(目付)約600g/m2で、多孔度が95%で、
厚みが約2mmで、幅が450mmのもの)を用意し、
これを厚みが1.5mmになるまで予備圧延した後、こ
の連続発泡基体を活物質スラリーが収納されたスラリー
槽内を3.0m/分の速度で通過させて、ローラ等によ
り連続発泡基体に活物質スラリーを連続的に充填した。
ついで、活物質スラリーが充填された連続発泡基体を乾
燥させた後、厚みが0.8mmになるように圧延し、所
定寸法に切断して、比較例1のニッケル正極xとした。
【0021】(4)比較例2 同様に、帯状の連続発泡基体(ニッケル金属多孔体:面
密度(目付)約600g/m2で、多孔度が95%で、
厚みが約2mmで、幅が450mmのもの)を用意し、
これを厚みが1.5mmになるまで予備圧延した後、こ
の連続発泡基体を純水に含浸させた後、これに圧縮空気
を吹き付けて過剰な水分を除去した。この後、この連続
発泡基体を活物質スラリーが収納されたスラリー槽内を
3.0m/分の速度で通過させて、ローラ等により連続
発泡基体に活物質スラリーを連続的に充填した。つい
で、活物質スラリーが充填された連続発泡基体を乾燥さ
せた後、厚みが0.8mmになるように圧延し、所定寸
法に切断して、比較例2のニッケル正極yとした。
【0022】3.活物質スラリーの粘度変化の測定 上述のように連続発泡基体に活物質スラリーを連続的に
充填して各ニッケル正極a,b,x,yを作製する際
に、スラリー槽内に収納された活物質スラリーの粘度変
化が充填開始時からの時間の経過に伴って、どのように
変化するかを測定した結果、図1に示すような結果とな
った。なお、図1においては、充填開始時の粘度を10
0とし、時間経過時の粘度をこれに対する指数として表
している。
【0023】図1の結果から明らかなように、比較例1
のニッケル正極xを作製する際の活物質スラリーの粘度
変化が大きいことが分かる。これは、ニッケル正極xは
連続発泡基体に予め何も含有されていないため、活物質
スラリーの充填時にスラリー中の水分が連続発泡基体の
ニッケル骨格の中空部に吸い取られて、スラリー充填槽
内に収容された活物質スラリー中の水分量が時間の経過
とともに減少して、スラリーの粘度が増大したと考えら
れる。
【0024】また、比較例2のニッケル正極yを作製す
る際の活物質スラリーの粘度変化も大きいことが分か
る。これは、ニッケル正極yは連続発泡基体に水分が含
有されてニッケル骨格の中空部に水分が存在することと
なるが、ニッケル骨格の中空部に予め含有された水分と
活物質スラリー中のアルカリ水溶液との間で濃度差が生
じて、ニッケル骨格の外部からニッケル骨格の中空部内
へアルカリカチオンの移動が生じ、活物質スラリー中の
アルカリカチオンが減少するため、活物質スラリーのp
Hが小さくなって活物質スラリーの粘度が増大したと考
えられる。
【0025】一方、実施例1のニッケル正極aおよび実
施例2のニッケル正極bを作製する際の活物質スラリー
の粘度変化が小さいことが分かる。これは、ニッケル正
極aおよびニッケル正極bのように、連続発泡基体に水
酸化リチウムあるいは水酸化ナトリウムを含有させる
と、ニッケル骨格の中空部にアルカリが存在することと
なるため、ニッケル骨格の中空部に予め含有されたアル
カリと活物質スラリー中のアルカリ水溶液との間で濃度
差が生じなくなる。このため、ニッケル骨格の外部から
ニッケル骨格の中空部内へのアルカリカチオンの移動が
抑制されるため、活物質スラリーのpHの変化もなく、
活物質スラリーの粘度変化が小さくなったと考えられ
る。
【0026】4.活物質充填量の測定 ついで、上述のように連続発泡基体に活物質スラリーを
連続的に充填して各ニッケル正極a,b,x,yを作製
する際に、各連続発泡基体に充填された活物質の長さ方
向(充填方向)の単位面積当たりの活物質量が、充填開
始時の位置からの移動距離に伴ってどのように変化する
かを測定した結果、図2に示すような結果となった。な
お、図2においては、充填開始時の活物質の充填量を1
00とし、移動距離に伴う充填量をこれに対する指数と
して表している。
【0027】図2の結果から明らかなように、比較例1
のニッケル正極xおよび比較例2のニッケル正極yを作
製する際の活物質の充填量の変化が大きいことが分か
る。これは、ニッケル正極xは連続発泡基体に水分が含
有されておらず、ニッケル正極xは連続発泡基体に水分
が含有されているため、上述のようにスラリー充填槽内
に収容された活物質スラリーの粘度が時間とともに増大
するとともに、活物質スラリーの密度も増大するため、
活物質の充填量が増大したと考えられる。また、ニッケ
ル正極yは連続発泡基体に水分が含有されてニッケル骨
格の中空部に水分が存在することとなるが、予め含有さ
れた水分と活物質スラリー中のアルカリ水溶液との間で
濃度差が生じて、上述のようにスラリー充填槽内に収容
された活物質スラリーの粘度が時間とともに増大し、活
物質の充填量が増大したと考えられる。
【0028】一方、実施例1のニッケル正極aおよび実
施例2のニッケル正極bを作製する際の活物質の充填量
の変化が小さいことが分かる。これは、ニッケル正極a
およびニッケル正極bのように、連続発泡基体に水酸化
リチウムあるいは水酸化ナトリウムを含有させると、上
述のように活物質スラリーの粘度変化が小さくほぼ一定
となるため、活物質の充填量も変化しなかったと考えら
れる。
【0029】5.負極の作製 市販のミッシュメタル(Mm:希土類元素の混合物)、
ニッケル、コバルト、アルミニウム、およびマンガンを
1:3.4:0.8:0.2:0.6の比率で混合し、
この混合物をアルゴンガス雰囲気の高周波誘導炉で誘導
加熱して合金溶湯とした。この合金溶湯を公知の方法で
鋳型に流し込み、冷却して、組成式MmNi3.4Co0.8
Al0.3Mn0.6で表される水素吸蔵合金のインゴットを
作製した。
【0030】この水素吸蔵合金インゴットを機械的に粗
粉砕した後、不活性ガス雰囲気中で平均粒子径が約50
μmになるまで機械的に粉砕した。このようにして作製
した水素吸蔵合金粉末99質量%にポリエチレンオキサ
イド1質量%と、適量の水を加えて混合して水素吸蔵合
金スラリーを作製した。このスラリーをパンチングメタ
ルからなる芯材の両面に、圧延後の活物質密度が所定量
(例えば、5g/cc)になるように塗着した後、乾
燥、圧延を行った後、所定寸法に切断して水素吸蔵合金
負極を作製した。
【0031】6.ニッケル−水素電池の作製 上述のように作製した各ニッケル正極a,b,x,yと
水素吸蔵合金負極とをそれぞれポリプロピレン製不織布
からなるセパレータ(厚みが約0.2mmのもの)を介
して渦巻状に巻回して渦巻状電極群をそれぞれ作製し
た。この後、これらの各渦巻状電極群の負極の端部と負
極集電板とを溶接するとともに、ニッケル正極の端部と
正極集電板とを溶接した。この後、負極集電板と金属外
装缶の底部をスポット溶接するとともに、正極集電板の
導出部を封口体の底部に溶接した。この後、金属製外装
缶内に電解液(例えば、水酸化リチウム(1モル/リッ
トル:1N)と水酸化ナトリウム(1モル/リットル:
1N)を含有した水酸化カリウム(8モル/リットル:
8N)水溶液)を注入した。
【0032】ついで、封口体を封口ガスケットを介して
外装缶の開口部に載置するとともに、この開口部を封口
体側にかしめて封口して、公称容量1300mAhの実
施例1,2および比較例1,2の各ニッケル−水素蓄電
池を作製した。なお、実施例1のニッケル正極aを用い
たニッケル−水素蓄電池を電池Aとし、実施例2のニッ
ケル正極bを用いたニッケル−水素蓄電池を電池Bと
し、比較例1のニッケル正極xを用いたニッケル−水素
蓄電池を電池Xとし、比較例2のニッケル正極yを用い
たニッケル−水素蓄電池を電池Yとした。
【0033】7.保存特性試験 ついで、これらの各電池A,B,X,Yを用いて、周囲
温度が25℃(室温)の雰囲気で、130mA(0.1
It:It(A)は定格容量(Ah)/1h(時間)で
表される数値)の充電電流で16時間充電した後、1時
間休止させた。ついで、260mA(0.2It)の放
電電流で終止電圧が1.0Vに達するまで放電させると
いうサイクルを5サイクル繰り返して、これらの各電池
A,B,X,Yを活性化させた。ついで、活性化後の各
電池A,B,X,Yを用いて、周囲温度が25℃(室
温)の雰囲気で、130mA(0.1It)の充電電流
で16時間充電した後、1時間休止させ、130mA
(0.1It)の放電電流で終止電圧が1.0Vに達す
るまで放電させたときの放電時間から、放電容量を求め
て初期放電容量とした。
【0034】ついで、これらの各電池A,B,X,Yを
用いて、周囲温度が25℃(室温)の雰囲気で、130
mA(0.1It)の充電電流で16時間充電した後、
周囲温度が40℃の雰囲気中に2週間放置した。この
後、1300mA(1.0It)の放電電流で終止電圧
が1.0Vに達するまで放電させたときの放電時間か
ら、放電容量を求めて保存後放電容量とした。ついで、
このとき求めた保存後放電容量の先に求めた初期放電容
量に対する割合((保存後放電容量/初期放電容量)×
100%)を保存特性として求めると下記の表1に示す
ような結果となった。
【0035】
【表1】
【0036】上記表1の結果から明らかなように、比較
例1の電池Xおよび比較例2の電池Yにおいては保存特
性が悪いが、実施例1の電池Aおよび実施例2の電池B
においては保存特性が向上していることが分かる。これ
は、ニッケル金属多孔体のニッケル骨格の中空部に水酸
化リチウムや水酸化ナトリウムを予め含有させておく
と、水酸化リチウムや水酸化ナトリウムは水和力が大き
いため、電解液中の水分子を引きつけて水分子が正極活
物質の方へ移動するのを阻止するように作用する。この
ため、電解液中の水分子を正極活物質に供給することが
できなくなって、自己放電が抑制されて保存特性が向上
したと考えられる。
【0037】即ち、ニッケル電極の自己放電反応は、下
記の(1)式の反応式に示すように、オキシ水酸化ニッ
ケルが水酸化ニッケルに変化することにより起こる。 NiOOH+H2O+e-→Ni(OH)2+OH-・・・(1) 上記(1)式より明らかなように、オキシ水酸化ニッケ
ル(NiOOH)が水酸化ニッケル(Ni(OH)2
に変化するためには、水分子(H2O)を常に供給する
とともに、水酸化物イオン(OH-)を常に外部に移動
させることが必要である。
【0038】しかしながら、水酸化リチウムや水酸化ナ
トリウムは水和力が大きいため、これらの水酸化リチウ
ムや水酸化ナトリウムが予めニッケル金属多孔体のニッ
ケル骨格の中空部に含有されていると、水酸化リチウム
や水酸化ナトリウムが電解液中の水分子を引きつけて、
電解液中の水分子を正極外へ移動するのを阻止する。こ
のため、(1)式の反応が進行せず、自己放電が抑制さ
れると考えられる。
【0039】上述したように、本発明においては、予め
ニッケル金属多孔体にアルカリ水溶液を含有させている
ので、ニッケル金属多孔体の中空部内に活物質スラリー
に含有されている水分が吸い取られるという現象が抑制
されるようになる。このため、スラリー充填槽内に収容
された活物質スラリー中の水分量が減少するということ
がなくなり、スラリーの粘度、密度が常に一定に維持さ
れるため、ニッケル金属多孔体への充填性が低下するこ
となく、活物質スラリーの充填量が常に均一なニッケル
電極を製造できるようになる。
【0040】また、ニッケル金属多孔体の中空部に既に
アルカリが存在しているため、ニッケル骨格の外部から
ニッケル骨格の中空部内へのアルカリカチオンの移動が
抑制されるので、活物質スラリー中のアルカリカチオン
の減少も防止できるようになる。このため、活物質スラ
リーのpHを常に一定に維持することができるようにな
って、活物質スラリーの粘度は一定に保持されるように
なる。このため、活物質スラリーのニッケル金属多孔体
への充填性が向上するとともに、活物質スラリーを均一
に充填することが可能となる。
【0041】さらに、ニッケル金属多孔体のニッケル骨
格の中空部に水酸化リチウムや水酸化ナトリウムが予め
含有されていると、水酸化リチウムや水酸化ナトリウム
は水和力が大きいため、電解液中の水分子を引きつけ
て、電解液中の水分子を正極外へ移動するのを阻止する
ように作用する。このため、(1)式の反応が進行せ
ず、自己放電が抑制されて保存特性が向上した電池を提
供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 活物質スラリーの粘度変化を示す図である。
【図2】 活物質スラリーの充填量の変化を示す図であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5H028 AA01 BB03 EE05 FF05 5H050 AA09 BA11 BA13 BA14 CA03 CB14 CB17 DA02 DA06 DA09 EA12 EA23 FA13 GA10 GA14 GA23

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ニッケル金属多孔体に水酸化ニッケルを
    主体とする活物質を充填した正極と、負極とを備えたア
    ルカリ蓄電池の製造方法であって、 前記ニッケル金属多孔体にアルカリ水溶液を含有させる
    アルカリ含有工程と、 前記アルカリ水溶液が含有されたニッケル金属多孔体に
    水酸化ニッケルを主体とする活物質スラリーを充填する
    活物質充填工程とを備えたことを特徴とするアルカリ蓄
    電池の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記アルカリ水溶液は前記活物質スラリ
    ーに含有されるアルカリ濃度と同濃度であることを特徴
    とする請求項1に記載のアルカリ蓄電池の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記アルカリ水溶液は水酸化リチウムあ
    るいは水酸化ナトリウムから選ばれる少なくとも1種を
    含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記
    載のアルカリ蓄電池の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007149646A (ja) * 2005-10-28 2007-06-14 Sanyo Electric Co Ltd ニッケル水素蓄電池

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