JP2002097238A - ブロック型高分子量体とその製造方法 - Google Patents
ブロック型高分子量体とその製造方法Info
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Abstract
造を設計して、フィルム成形材料や塗料などに最適な物
性を示す高分子量体を製造する。 【解決手段】 ガラス転移温度が300K未満の重合体
を付与するモノマーと、ガラス転移温度が300K以上
の重合体を付与するモノマーとを、遷移金属とその配位
子の存在下、重合開始剤を用いてリビングラジカル重合
することにより、ガラス転移温度が300K未満の重合
体ブロックAと、ガラス転移温度が300K以上で数平
均分子量が1万以上の重合体ブロックBとからなる、室
温で粘着性がなく、引張り試験での引張り弾性率が1Kg
/mm2 以上のフィルム物性を有するブロック型高分子量
体を製造する。
Description
や塗料などに利用できるブロック型高分子量体とその製
造方法に関するものである。
性や耐熱性にすぐれているため、各種の分野で広く利用
されている。この(メタ)アクリレート系重合体の製造
には、重合可能なモノマーの種類が多い、水分などの管
理が不要で操作上の制限が少ないという理由で、ラジカ
ル重合法が工業的に多く使用されている。
マーと軟質モノマーの共重合比率を変化させ、ガラス転
移温度を室温付近に設定して、弾性率などを調整するこ
とがよく行われている。また、ガラス転移温度の異なる
重合体をグラフトしたり、エマルジョンなどの粒子構造
中でコアとシェル部分のガラス転移温度を変えた構造の
重合体を生成し、耐衝撃性や強度などを調整する試みも
なされている。
の物性の調整に限界があり、これをフィルム成形材料や
塗料などに利用したとき、必ずしも十分に満足できる性
能が得られにくく、とくに透明性、応力緩和性、感温性
などにすぐれるフィルムや塗膜を形成しにくく、その改
良が望まれていた。
ビングラジカル重合法という技術が開発されている。こ
のリビングラジカル重合法は、特表平10−50947
5号公報に開示のように、重合性モノマーを、遷移金属
とその配位子の存在下、重合開始剤を用いて、重合させ
る方法であり、重合体の分子量や分子量分布を通常のラ
ジカル重合よりも正確に制御できたり、ブロックポリマ
ーなどのポリマー構造を制御できるなどの利点が得られ
ることが知られている。
い、たとえば、特開平11−236428号公報では、
感圧性接着剤の主剤成分となる感圧接着性ポリマーを生
成し、その組成や分子量を変化させて、接着力、タッ
ク、保持力のバランスをコントロールするといつた提案
がなされている。
なリビングラジカル重合法に着目し、この方法によつて
(メタ)アクリレート系重合体などの物性の調整をはか
り、フィルム成形材料や塗料などに最適な高分子量体を
得ることを目的としている。
的を達成するため、鋭意検討した結果、前記したリビン
グラジカル重合法を用いて、特定のブロック構造を設計
したときに、透明性、応力緩和性、感温性などにすぐれ
た、フィルム成形材料や塗料などに最適なブロック型高
分子量体が得られることを知り、本発明を完成するに至
った。
00K未満の重合体ブロックAと、ガラス転移温度が3
00K以上で数平均分子量が1万以上の重合体ブロック
Bとからなる、室温で粘着性がなく、引張り試験での引
張り弾性率が1Kg/mm2 以上のフィルム物性を有するこ
とを特徴とするブロック型高分子量体、とくに、数平均
分子量が3.5万〜30万である上記構成のブロック型
高分子量体、また重合体ブロックAまたは重合体ブロッ
クBの少なくとも一方が(メタ)アクリレート系重合体
からなる、A−B型、A−B−A型またはB−A−B型
の(メタ)アクリレート系ブロック共重合体である上記
構成のブロック型高分子量体、さらに引張り試験により
10%伸張させたときの1分後の応力残存率が50%以
下のフィルム物性を有する上記構成のブロック型高分子
量体に係るものである。
分子量体を主材成分としたことを特徴とするフィルム成
形材料と、さらに上記構成のブロック型高分子量体を主
剤成分としたことを特徴とする塗料とに係るものであ
る。
0K未満の重合体を付与するモノマーと、ガラス転移温
度が300K以上の重合体を付与するモノマーとを、遷
移金属とその配位子の存在下、重合開始剤を用いてリビ
ングラジカル重合して、ガラス転移温度が300K未満
の重合体ブロックAと、ガラス転移温度が300K以上
で数平均分子量が1万以上の重合体ブロックBとからな
る、室温で粘着性がなく、引張り試験での引張り弾性率
が1Kg/mm2 以上のフィルム物性を有するブロック型高
分子量体を得ることを特徴とするブロック型高分子量体
の製造方法に係るものであり、とくに、遷移金属と配位
子の組み合わせがCu+1−ビピリジン錯体である上記構
成のブロック型高分子量体の製造方法に係るものであ
る。
量体は、ガラス転移温度が300K未満の重合体ブロッ
クAと、ガラス転移温度が300K以上で数平均分子量
が1万以上の重合体ブロックBとからなる、室温で粘着
性がない(指圧程度ではほとんど粘着性を示さない微粘
着状態を含む)ブロック共重合体である。この中でも、
全体の数平均分子量が3.5万〜30万、とくに5万〜
20万であるものが好ましい。さらに、重合体ブロック
Aまたは重合体ブロックBの少なくとも一方が(メタ)
アクリレート系重合体からなる、A−B型、A−B−A
型またはB−A−B型の(メタ)アクリレート系ブロッ
ク共重合体であるのが好ましい。
のブロック構造を有して、硬質部分を構成する重合体ブ
ロックBが上記特定の数平均分子量を有していることよ
り、そのフィルム化物などは、重合体ブロックBが連続
相を構成して室温での機械的物性が重合体ブロックBに
近いものとなり、引張り試験での引張り弾性率が1Kg/
mm2 以上、通常2〜300Kg/mm2 のフィルム物性を示
すようになり、しかも重合体ブロックBのガラス転移温
度付近までは上記弾性率の低下が少なく、また引張り試
験での破断強さが通常0.5〜60Kg/mm2 で、10%
伸張させたときの1分後の応力残存率が50%以下、通
常45〜5%となる。
体は、これをフィルム成形材料の主材成分とし、また塗
料の主剤成分として、フィルム化ないし塗膜化したとき
に、適度な弾性率と強度を示すとともに、透明性が良好
で、また感温性および応力緩和性にすぐれたフィルムな
いし塗膜を付与する。さらに、たとえば重合体ブロック
Aを構成するモノマーのひとつに透湿性の良好なモノマ
ーを用いると、フィルムや塗膜の透湿性が良好になり、
医療用ドレッシングのような皮膚に接するフィルムなど
として好適に使用でき、これに透湿性の良好な粘着剤を
設けることで、汗などでかぶれにくい医療用の粘着製品
などを得ることができる。
合体ブロックBが連続相を構成して弾性率の温度変化が
ガラス転移温度まで少ないため、成形フィルムにエンボ
ス加工を施した場合、そのエンボス効果の耐熱性を向上
させることができる。また、表面に非常に細かな凹凸を
施した場合に、その凹凸加工の精密性を確保できるとと
もに、凹凸が変形しにくいという特徴も得られ、光を散
乱してギラツキをなくすようなフィルムや塗膜として活
用できる。たとえば、通常のアクリルフィルムの用途で
ある紫外線カットフィルムに、上記機能を加えることも
可能であり、さらに別の機能として透明性を付与するこ
ともできる。
ブロック型高分子量体は、重合性モノマーとして、ガラ
ス転移温度が300K未満の重合体を付与するモノマー
と、ガラス転移温度が300K以上の重合体を付与する
モノマーとを使用し、この両モノマーを、遷移金属とそ
の配位子の存在下、重合開始剤を用いて、適宜の順にリ
ビングラジカル重合させることにより、得ることができ
る。
h、V、Ni の金属種、これらの金属塩や金属錯体が用
いられる。また、配位子としては、とくに限定されるも
のではないが、たとえば、ビピリジル誘導体、メルカプ
タン誘導体、トリフルオレート誘導体などが好ましく用
いられる。これらの中でも、Cu+1−ビピリジン錯体
が、重合の安定性や重合速度の面で、とくに好ましい。
有するエステル系やスチレン系の誘導体、とくに2−ブ
ロモ(またはクロロ)プロピオン酸誘導体、塩化(また
は臭化)1−フエニル誘導体が好ましい。具体的には、
2−ブロモ(またはクロロ)プロピオン酸エチル、2−
ブロモ(またはクロロ)−2−メチルプロピオン酸メチ
ル、2−ブロモ(またはクロロ)−2−メチルプロピオ
ン酸エチル、塩化(または臭化)1−フエニルエチルな
どのハロゲン系化合物が挙げられる。
度が300K未満、好ましくは200〜280Kの重合
体を付与するモノマーであり、たとえば、アクリル酸メ
チル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリ
ル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシルなどが挙げ
られる。これらのモノマーは、その1種を単独で使用し
てもよいし、2種以上を併用してもよい。また、これら
のモノマーとともに、そのホモポリマーのガラス転移温
度が300K以上となるモノマーを併用することもでき
る。ただし、この場合、コポリマーのガラス転移温度が
300K未満となるように、各モノマーの使用量が決め
られる。なお、透湿性の良好なモノマーとして、たとえ
ばアクリル酸メトキシエチルなどを併用すると、既述し
たとおり、フィルムや塗膜に透湿性を付与することがで
きる。
移温度が300K以上、好ましくは330〜460Kの
重合体を付与するモノマーであり、たとえば、メタクリ
ル酸メチル(378K)、メタクリル酸フェニル(37
8K)、アクリル酸イソボルニル(367K)、メタク
リル酸イソプロピル(354K)、2 −メチルスチレン
(366K)、スチレン(370K)、メタクリル酸イ
ソボルニル(453K)などが挙げられる。これらのモ
ノマーは、その1種を単独で使用してもよいし、2種以
上を併用してもよい。また、これらのモノマーととも
に、そのホモポリマーのガラス転移温度が300K未満
となるモノマーを併用することもできる。この場合、コ
ポリマーのガラス転移温度が300K以上となるよう
に、各モノマーの使用量が決められる。
とえば、重合開始剤として1官能型のものを使用して、
ガラス転移温度が300K未満の重合体を付与するモノ
マーを最初に重合させ、つぎに、ガラス転移温度が30
0K以上の重合体を付与するモノマーを加えてこのモノ
マーの重合を続けると、A−B型のブロック共重合体を
生成できる。また、上記の重合後、さらにガラス転移温
度が300K未満の重合体を付与するモノマーを加えて
このモノマーの重合を続けると、A−B−A型のブロッ
ク共重合体を生成できる。さらに、これらの重合順序を
逆にすることにより、B−A−B型のブロック共重合体
を生成できる。このような逐次的な重合を行うにあた
り、後のモノマーを加えるときは、前のモノマーの重合
転化率が少なくとも50重量%以上となつた時点、通常
は60重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好
ましくは80重量%以上、最も好ましくは90重量%以
上となつた時点で、加えるようにするのが望ましい。
に、2種の重合性モノマーの少なくとも一方に前記した
ような(メタ)アクリレート系モノマーを使用すること
で、重合体ブロックAまたは重合体ブロックBの少なく
とも一方が(メタ)アクリレート系重合体からなる、A
−B型、A−B−A型またはB−A−B型の(メタ)ア
クリレート系ブロック共重合体を生成することができ
る。さらに、上記のような逐次的な重合により、A−B
−A−B型、A−B−A−B−A型、B−A−B−A−
B型などの任意のブロック共重合体を生成できる。ま
た、ガラス転移温度が300K未満の重合体を付与する
モノマーのひとつに、前記した透湿性の良好なモノマー
を使用する場合、このモノマーをアクリル酸ブチルなど
の他のモノマーと一緒にランダム共重合させずに、両者
を逐次的に共重合させることにより、A1−A2−B型
などのブロック共重合体を生成することもできる。
合開始剤は、重合性モノマー全体に対し、通常0.01
〜10モル%、好ましくは0.1〜5モル%の割合で用
いられる。また、遷移金属は、ハロゲン化物などの形態
として、上記の重合開始剤1モルに対し、通常0.01
〜3モル、好ましくは0.1〜1モルの割合で用いられ
る。さらに、その配位子は、上記の遷移金属(ハロゲン
化物などの形態)1モルに対し、通常1〜5モル、好ま
しくは2〜3モルの割合で用いられる。重合開始剤およ
び活性化剤としての遷移金属とその配位子の使用量を、
上記の各割合にすると、重合反応性やポリマーの分子量
などに好結果が得られる。
たは酢酸ブチル、トルエン、キシレンなどの溶剤の存在
下で進行できる。溶剤を用いる場合、重合速度の低下を
防ぐため、溶剤量が50重量%以下となる少量の使用量
とする。無溶剤または少量の溶剤量でも、重合熱の制御
などの安全性の問題はとくになく、溶剤削減で経済性や
環境対策などの面で好結果が得られる。重合条件として
は、重合速度や触媒の失活温度の点から、70〜130
℃の重合温度で、最終的な分子量や重合温度にも依存す
るが、約1〜100時間の重合時間とすればよい。
B−A型またはB−A−B型などのブロック共重合体か
らなるブロック型高分子量体は、ガラス転移温度が30
0K以上の重合体ブロックBの数平均分子量が1万以
上、好適には2万以上(通常、10万以下)であり、ま
たこれとガラス転移温度が300K未満の重合体ブロッ
クAとからなる共重合体全体の数平均分子量が3.5万
〜30万、とくに5万〜20万となるように、さらには
共重合体全体として室温で粘着性を示さないように、2
種の重合性モノマーの使用量や使用割合が決められる。
(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法による
ポリスチレン換算にて求められる値である。これらの数
平均分子量が上記範囲を逸脱すると、このブロック型高
分子量体をフィルム化ないし塗膜化したとき、前記した
特性が得られにくくなる。また、共重合体全体の数平均
分子量があまりに高くなりすぎると、粘度が増大して、
フィルム化や塗膜化などする際の作業性に問題を生じや
すくなるため、好ましくない。
〔Mn〕は、重合開始剤と重合性モノマーのモル比か
ら、Mn(計算値)=〔(モノマーの分子量)×(モノ
マーのモル比)〕/(重合開始剤のモル比)にて、与え
られることが知られている。このため、まず、ガラス転
移温度が300K以上の重合体ブロックBの数平均分子
量が前記範囲となるように、この重合体ブロックBを構
成させるモノマーのモル比と重合開始剤のモル比を決定
し、これにもとづき、共重合体全体の数平均分子量を勘
案し、重合体ブロックBを構成させるモノマーのモル比
を決定することにより、ブロック共重合体の分子量を容
易に前記範囲に設定できる。
ロック型高分子量体は、各種分野のポリマー材料として
用いられる。その代表的なひとつは、上記ブロック型高
分子量体を主材成分としたことを特徴とするフィルム成
形材料であり、他のひとつは、上記ブロック型高分子量
体を主剤成分としたことを特徴とする塗料である。これ
らのフィルム成形材料や塗料には、使用目的に応じて、
充填剤、顔料、老化防止剤、紫外線吸収剤などの各種の
添加剤を配合することができる。
材料や塗料は、有機溶剤溶液タイプでは、離型処理した
フィルムや支持体の上に塗布し、乾燥することにより、
また無溶剤タイプでは、適宜の押出機などを用いて押出
成形したり、離型処理したフィルムや支持体の上に溶融
塗工することにより、フィルム化や塗膜化することがで
きる。このようにフィルム化や塗膜化したのちは、これ
をそのまま、つまり未架橋のまま使用してもよいし、フ
ィルムや塗膜の強度をより上げたり、耐熱性や耐溶剤性
を向上させるため、架橋処理して使用してもよい。
を利用した化学的架橋を行う方法がある。これは、前記
のブロック型高分子量体の分子内にあらかじめ官能基、
とくに水酸基などを含ませておき、これに上記の官能基
と反応する多官能性化合物を架橋剤として加えて、化学
的架橋を行わせるものである。
量体は、前記したリビングラジカル重合法において、重
合開始剤として分子内に水酸基を有するものを使用した
り、重合性モノマーの1種として分子内に水酸基を有す
る単量体を使用したり、またこれらを組み合わせること
で、上記の各水酸基をブロック型高分子量体の分子内に
導入することにより、容易に生成することができる。
すると、ポリマー鎖の開始末端に上記水酸基を導入でき
る。このような重合開始剤としては、α−位にハロゲン
を含有するエステル系またはスチレン系誘導体として、
2−ブロモ(またはクロロ)プロピオン酸2−ヒドロキ
シエチル、2−ブロモ(またはクロロ)プロピオン酸4
−ヒドロキシブチル、2−ブロモ(またはクロロ)−2
−メチルプロピオン酸2−ヒドロキシエチル、2−ブロ
モ(またはクロロ)−2−メチルプロピオン酸4−ヒド
ロキシブチルなどのハロゲン系化合物が挙げられる。
と、この単量体の添加時点に応じてポリマー鎖の任意位
置に水酸基を導入できる。このような単量体には、式
(1):CH2 =CR1 COOR2 (式中、R1 は水素
原子またはメチル基、R2 は水酸基を少なくとも1個有
する炭素数2〜6のアルキル基である)で表されるヒド
ロキシアルキル(メタ)アクリレートが用いられる。具
体的には、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレー
ト、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4
−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロ
キシヘキシル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
これらの分子内に水酸基を有する単量体は、本発明の目
的とする良好な物性を維持させるため、重合性モノマー
全体の10重量%以下、好ましくは5重量%以下の使用
量とするのがよい。
と、分子内に水酸基を有する単量体とを併用すると、架
橋反応後の諸物性により好ましい結果が得られる。とく
に、上記単量体を重合後期に添加する、たとえばA−B
型では2段目の重合性モノマーの重合率が80重量%以
上に達した時点で添加すると、ポリマー鎖の停止末端ま
たはその近傍に上記単量体の水酸基を導入させることが
でき、これとポリマー鎖の開始末端に導入される重合開
始剤に由来する水酸基とにより、2個以上の水酸基がブ
ロック型高分子量体にテレケリック的に導入される。こ
のように導入すると、架橋反応により、ポリマーが直線
状に延長されることになり、架橋間距離のばらつきが小
さく、均一な架橋物を得ることができ、そのためにより
良好な物性を発現するフィルムや塗膜を形成することが
できる。
反応させる架橋剤である多官能性化合物としては、上記
高分子量体の官能基である水酸基と容易に反応するポリ
イソシアネート化合物が好ましく用いられる。このポリ
イソシアネート化合物には、加熱や紫外線の照射で活性
化するポリイソシアネートのブロック体も含まれる。こ
れらのポリイソシアネート化合物以外の架橋剤として、
たとえば、ピロメリット酸無水物などの多官能酸無水物
を使用することもできる。
か、エポキシ化合物を配合し酸触媒によるカチオン架橋
を行うこともできる。具体的には、紫外線の照射で酸触
媒を発生するオニウム塩系光酸発生剤とエポキシ化合物
を配合し、フィルム化や塗膜化後に紫外線を照射して架
橋反応を行わせることができる。また、電子線やガンマ
ー線などの放射線を照射してラジカルを発生させて架橋
処理する方法、ラジカル発生剤(ラジカルを発生する光
開始剤や熱開始剤)を用いて架橋する方法などを採用し
てもよい。とくにトリクロロメチル基含有トリアジン誘
導体を配合し、紫外線を照射して架橋反応する方法が、
好ましく用いられる。
施すことで、ブロック型高分子量体の主鎖延長と網状化
を同時に行い、分子鎖長の長い架橋ポリマーを生成させ
ることができ、これによりフィルムや塗膜の物性がより
向上し、とくにその強度が大きくなつたり、耐熱性や耐
溶剤性などが向上する。その結果、フィルム成形材料や
塗料などとしての性能をより一段と高めることができ
る。
体的に説明する。なお、以下において、部とあるのは重
量部を意味する。また、ブロック型高分子量体のフィル
ム物性は、下記の方法により引張り試験を行つて、引張
り弾性率を測定し、また、下記の方法により1分後の応
力残存率を測定した。
になるようにサンプリングし、引張り試験機としてオー
トグラフAGS−50D型(島津製作所製)を用い、試
験サンプルの長さを10mm、300mm/分の引張り速度
で引張り試験を行い、そのときの応力−歪み曲線の最初
の直線部分から、下記の式にしたがい、引張り弾性率を
計算した。 F:引張り応力 A:断面積 ΔL:歪み(伸び)の変化量 Lo:サンプルの初期長さ
ンプルで、かつ同じ引張り試験機を用いて、300mm/
分の引張り速度で引張り、10%伸張時点で引張り試験
を止め、その後の応力の変化を読み取り、下記の式に示
すように、10%伸張時点の応力に対して、1分後の応
力を、応力残存率とした。
セプタムを備えた4つ口フラスコに、アクリル酸ブチル
100gを入れ、2,2′−ビピリジン2gを加えて、
窒素置換した。これに窒素気流下、臭化銅0.6gを加
え、100℃に加熱し、重合開始剤として2−ブロモ−
2−メチルプロピオン酸2−ヒドロキシエチル0.8g
を加えて重合を開始し、溶剤を加えずに窒素気流下、1
00℃で12時間重合した。重合率(加熱し揮発成分を
除去したポリマー重量を揮発成分を除去する前の重合溶
液そのままのポリマー重量で割った値で定義される割
合;以下同じ)が80重量%以上であることを確認した
のち、メタクリル酸メチル100gをラバーセプタムか
ら加え、さらに8時間加熱して重合した。つぎに、再
び、重合率が80重量%以上であることを確認してか
ら、6−ヒドロキシヘキシルアクリレ―ト1gを加え
て、16時間加熱して重合を続けた。
Kのアクリル酸ブチル重合体ブロックAと、ガラス転移
温度が378Kで数平均分子量が2.4万のメタクリル
酸メチル重合体ブロックBとからなる、分子両末端に水
酸基を有する数平均分子量が4.8万のA−B型のジブ
ロック共重合体であるブロック型高分子量体を生成し
た。その後、重合物から臭化鋼とビピリジンを除去した
のち、押出成形により、厚さが50μmのフィルムを作
製した。このフィルムは、引張り弾性率が35Kg/mm2
で、10%伸張させたときの1分後の応力残存率が33
%であり、透明で粘着性のない丈夫なフィルムであっ
た。
130℃の金属メッシュロールに押し付けることによ
り、フィルム表面に高さが4μmの凹凸を形成した。こ
の凹凸の耐熱性について、評価したところ、90℃の保
存では上記高さの変化が全くみられず、耐熱性に非常に
すぐれるものであることがわかった。
酢酸エチル溶液(固形分25重量%)を調製し、これ
に、上記高分子量体100部に対し、架橋剤としてトリ
メチロールプロパンのトリレンジイソシアネート付加物
5部を配合した。この溶液を、剥離処理したフィルム上
に乾燥後の塗布厚さが50μmになるように塗布し、1
20℃で3分乾燥したのち、50℃で1時間エージング
することにより、架橋処理されたフィルムを作製した。
このフィルムは、引張り弾性率が54Kg/mm2 で、10
%伸張させたときの1分後の応力残存率が45%であ
り、透明で粘着性のない丈夫なフィルムであった。
セプタムを備えた4つ口フラスコに、アクリル酸メトキ
シエチル50gを入れ、2,2′−ビピリジン1gを加
え、窒素置換した。これに窒素気流下、臭化鋼0.3g
を加え、100℃に加熱し、重合開始剤として2−ブロ
モ−2−メチルプロピオン酸2−ヒドロキシエチル0.
4gを加えて重合を開始し、溶剤を加えずに窒素気流
下、100℃で12時間重合した。重合率が80重量%
以上であることを確認したのち、アクリル酸ブチル50
gを加えて、さらに8時間加熱して重合した。再び、重
合率が80重量%以上であることを確認してから、メタ
クリル酸メチル100gをラバーセプタムから加えて、
さらに15時間加熱して重合を続けた。
Kのアクリル酸メトキシエチル重合体ブロックA1と、
ガラス転移温度が224Kのアクリル酸ブチル重合体ブ
ロックA2と、ガラス転移温度が378Kで数平均分子
量が5.2万のメタクリル酸メチル重合体ブロックBと
からなる、数平均分子量が10.5万のA1−A2−B
型のトリブロック共重合体であるブロック型高分子量体
を生成した。その後、重合物から臭化鋼とビピリジンを
除去したのち、押出成形により、厚さが50μmのフィ
ルムを作製した。このフィルムは、引張り弾性率が40
Kg/mm2 で、10%伸張させたときの1分後の応力残存
率が42%であり、透明で粘着性のない丈夫なフィルム
であった。
化カルシウムを入れたアルミカップの表面に貼り付け、
40℃,90%RHの恒温恒湿下で保存し、重量の増加
からフィルムの透湿性を評価した。その結果、この透湿
性は、1,700g/m2 ・24時間であり、すぐれた
透湿性を発現することがわかった。
タムを備えた4つ口フラスコに、アクリル酸エチル50
gとアクリル酸ブチル50gを入れ、2,2′−ビピリ
ジン2gを加えて、窒素置換した。これに窒素気流下、
臭化銅0.6gを加え、100℃に加熱し、重合開始剤
として2−ブロモ−2−メチルプロピオン酸2−ヒドロ
キシエチル0.8gを加えて重合を開始し、溶剤を加え
ずに窒素気流下で、100℃で12時間重合した。重合
率が80重量%以上であることを確認したのち、メタク
リル酸メチル200gをラバーセプタムから加え、さら
に15時間加熱して重合した。
Kのアクリル酸ブチル−アクリル酸エチル重合体ブロッ
クAと、ガラス転移温度が378Kで数平均分子量が
5.2万のメタクリル酸メチル重合体ブロックBとから
なる、数平均分子量が7.8万のA−B型のジブロック
共重合体であるブロック型高分子量体を生成した。その
後、重合物から臭化鋼とビピリジンを除去したのち、押
出成形により、厚さが50μmのフィルムを作製した。
このフィルムは、引張り弾性率が47Kg/mm2 で、10
%伸張させたときの1分後の応力残存率が38%であ
り、透明で粘着性のない丈夫なフィルムであった。
ングラジカル重合法を使用して、特定のブロック構造を
設計するようにしたことにより、従来の高分子材料に比
べて、透明性、応力緩和性、感温性などにすぐれた、フ
ィルム成形材料や塗料などに最適な物性を有するブロッ
ク型高分子量体を提供することができる。
Claims (8)
- 【請求項1】 ガラス転移温度が300K未満の重合体
ブロックAと、ガラス転移温度が300K以上で数平均
分子量が1万以上の重合体ブロックBとからなる、室温
で粘着性がなく、引張り試験での引張り弾性率が1Kg/
mm2 以上のフィルム物性を有することを特徴とするブロ
ック型高分子量体。 - 【請求項2】 数平均分子量が3.5万〜30万である
請求項1に記載のブロック型高分子量体。 - 【請求項3】 重合体ブロックAまたは重合体ブロック
Bの少なくとも一方が(メタ)アクリレート系重合体か
らなる、A−B型、A−B−A型またはB−A−B型の
(メタ)アクリレート系ブロック共重合体である請求項
1または2に記載のブロック型高分子量体。 - 【請求項4】 引張り試験により10%伸張させたとき
の1分後の応力残存率が50%以下のフィルム物性を有
する請求項1〜3のいずれかに記載のブロック型高分子
量体。 - 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載のブロッ
ク型高分子量体を、主材成分としたことを特徴とするフ
ィルム成形材料。 - 【請求項6】 請求項1〜4のいずれかに記載のブロッ
ク型高分子量体を、主剤成分としたことを特徴とする塗
料。 - 【請求項7】 ガラス転移温度が300K未満の重合体
を付与するモノマーと、ガラス転移温度が300K以上
の重合体を付与するモノマーとを、遷移金属とその配位
子の存在下、重合開始剤を用いてリビングラジカル重合
して、ガラス転移温度が300K未満の重合体ブロック
Aと、ガラス転移温度が300K以上で数平均分子量が
1万以上の重合体ブロックBとからなる、室温で粘着性
がなく、引張り試験での引張り弾性率が1Kg/mm2 以上
のフィルム物性を有するブロック型高分子量体を得るこ
とを特徴とするブロック型高分子量体の製造方法。 - 【請求項8】 遷移金属と配位子の組み合わせは、Cu
+1−ビピリジン錯体である請求項7に記載のブロック型
高分子量体の製造方法。
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