JP2002096991A - 荷役用昇降装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 保管・搬送，及び仮設作業性の優れた荷役用
昇降装置の提供。 【解決手段】 建屋の構造材９１を利用して高所に簡便
に、かつ安全に軽量な懸垂部材１１を仮設し、電動モー
タ５０等を有する装置本体３０を床面上に位置して、そ
の装置本体３０から導かれた巻掛け体２２の先端を懸垂
部材１１に係止し、電動モータ５０を駆動して吊り荷９
０と共に装置本体３０を昇降させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、例えば機器の据付
・分解・組立や荷物の積み下ろしを行う作業現場におい
て活用される手軽な荷役吊り上げ用の装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】機器の据付・分解・組立や荷物の積み下
ろしを行う場合には、あらかじめ所要の場所に所要の機
能を備えたクレーン設備が併設、或いは仮設され、更に
は事前に車載クレーンが準備されるなど、荷役装置の配
備が行われることが多い。しかし、作業の態様は一般に
様々で、あらかじめ準備されたものだけでは予想以上に
待ち時間が生じたり、事前に配備されたクレーン設備の
可動範囲を越えた区域で荷役装置の必要性が生ずる場合
が少なくない。また、吊り荷が重量物の場合には人力作
業での昇降は困難といった場合もしばしば発生する。こ
のような場合には、チェーンブロックを仮設して目的を
達することになる。

【０００３】しかし、チェーンブロックは、動力を要し
ない簡便さがある一方で、昇降速度が甚だ遅く、作業に
時間を要する欠点がある。のみならず、チェーンブロッ
ク本体を、あらかじめ所要の高所に引き上げて仮設する
必要もある。然るに、チェーンブロックは本体だけでも
それなりの重量を有し、人手のみで、長尺のチェーンを
含めて高所に仮設置するには、それ自体の作業が甚だ難
航する悩みがある。そこで、従来から現場の作業性を改
善するために、適宜、簡便かつ安全に仮設することがで
き、能率的な昇降速度を有する荷役用昇降装置が求めら
れていた。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の事情に
鑑みてなされたもので、梁など、建屋上方の構造材を利
用して適宜、容易、かつ安全に仮設が可能で、かつ動力
により昇降速度も適度に得られる荷役用の昇降装置を提
供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】すなわち、請求項１に記
載の発明は、吊り荷９０を吊り下げて昇降させるもので
あって、建屋の構造材９１に取り付けられる軽量の懸垂
部材１１と、その懸垂部材１１に着脱自在に係止される
係合部２１を上端に有するワイヤやベルト、ロープ等の
巻掛け体２２と、その巻掛け体２２を巻回するドラム４
０を有し、減速機構６０を介してそのドラム４０を回転
駆動する電動モータ５０が設けられた装置本体３０と、
その装置本体３０の外面に突出され、吊り荷９０を懸垂
する吊り荷フック８０と、を具備し、吊り荷９０と共に
装置本体３０が昇降することを特徴とする荷役用昇降装
置である。

【０００６】上記装置において、懸垂部材１１を、建屋
の構造材９１に巻回された玉掛けワイヤ１２とすること
ができる。また、上記玉掛けワイヤ１２を建屋の構造材
９１に、緩衝材１３を介して巻回することが好ましい。
さらに上記装置において、装置本体３０に吊り荷９０の
降下を防ぐブレーキ機構７０を備えることが好ましい。
さらには、上記装置において、装置本体３０に設けたガ
イドローラ２３に案内して、巻掛け体２２をドラム４０
に巻回することができる。

【０００７】

【発明の実施の形態】次に、本発明による荷役用昇降装
置の実施の形態を図面により説明する。図１は本発明の
荷役用昇降装置についての説明的略図であり、図２はそ
の装置本体３０の内部構造を示す略図である。図１にお
いて建屋の構造材９１である梁に本装置付属の玉掛けワ
イヤ１２よりなる懸垂部材１１が緩衝材１３を介して巻
回され、その玉掛けワイヤ１２の先端部には係止環が形
成されている。

【０００８】そして上端に係止フックからなる係合部２
１を有する巻掛け体２２が装置本体３０から導かれ、そ
の係合部２１が懸垂部材１１の係止環に係脱自在に係止
される。その巻掛け体２２はワイヤやベルト、ロープ、
チエーン等からなり、装置本体３０に内装されたドラム
４０に巻回されている。即ち、図２に示す如く、その一
端がワイヤ止め２５に係止されて、ドラム４０に巻回さ
れ、それが一対のガイドローラ２３を介して上方に導か
れる。装置本体３０には、電動モータ５０とその駆動軸
に連結されたギヤボックス等よりなる減速機構６０を有
し、それらがドラム４０に連結されている。装置本体３
０の下端には吊り荷フック８０が突設されている。その
吊り荷フック８０に吊り荷９０がワイヤ１を介して係止
される。また、装置本体３０には図示しない電源ケーブ
ルを有すると共に、制御ケーブルを介してコントロール
ボックスが設けられている。

【０００９】

【使用方法】図１のように、建屋の構造材９１である梁
に玉掛けワイヤ１２よりなる懸垂部材１１を緩衝材１３
を介して巻回する。これら懸垂部材１１は極めて軽量で
あり高所へ帯同するに極めて容易である。次いで、巻掛
け体２２の先端の係合部２１を懸垂部材１１に係止す
る。このとき、装置本体３０は床面上に位置され、巻掛
け体２２が充分に引き延ばされている。次いで、装置本
体３０の電動モータ５０を駆動して、ドラム４０に巻掛
け体２２を所定長さ巻取り、電動モータ５０を停止す
る。このとき、装置本体３０は図１のごとく床面より離
れている。そこで、吊り荷９０を、装置本体３０の下端
の吊り荷フック８０に係止し、電動モータ５０を駆動す
ることにより、装置本体３０と共に、吊り荷９０を上昇
することができる。また、駆動モータ５０を逆転するこ
とにより、吊り荷９０を装置本体３０と共に下降するこ
とができる。

【００１０】次に、図３は本発明の荷役用昇降装置の他
の実施の形態を示す。同図において、吊り荷（図示が省
略されている）とともに昇降する装置本体３０は、下端
に装着された吊り荷フック８０と、ドラム４０に回転動
力を供給する電動モータ５０と、電動モータ５０の回転
速度を減速してドラム４０に伝える減速機構６０と、更
にこれらを装着・保持する本体枠３１とを有する。

【００１１】この電動モータ５０は、接続フランジ５２
ａ、５２ｂを介して減速機構６０のウォーム６１に接続
されている。そのウォーム６１は両端を推力荷重に耐え
る軸受７７、及び７８に軸支されホィール６２に歯合し
て減速機構６０を構成している。更にホィール６２と共
に駆動軸６４に軸支された駆動歯車６５がドラム軸４１
に軸支された従動歯車６６と歯合して、電動モータ５０
の回転動力をドラム４０に伝達するように構成されてい
る。図３に示した装置によれば、滑車２３の装着位置に
よって装置本体３０の懸垂位置が決まる。懸垂位置は、
吊り荷９０の姿勢の安定上、吊り荷フック８０の装着位
置と共に装置本体３０の重心を通る鉛直線上に設けるの
が好ましい。その装置本体３０は、電動モータ５０の回
転軸の軸線廻りに対称に構成されている。重心はその軸
線上にある。そのため吊り荷の姿勢が安定な荷役用昇降
装置を提供できる。

【００１２】同図において、電動モータ５０がウォーム
６１を、その右ネジが進む向きに回転したとする。この
ときウォーム６１は、ホィール６２を時計回転方向に駆
動し、順次、駆動歯車６５、従動歯車６６を介してドラ
ム４０を反・時計回転方向に駆動する。すなわち、吊り
荷９０は装置本体３０と共に降下する。電動モータ５０
を逆転すれば、吊り荷９０を上昇させることが出来る。
装置本体３０が懸垂されているときは、電動モータ５０
の回転方向に関わらず、装置本体３０に働く重力がワイ
ヤ２２に張力を及ぼし、ドラム４０を反・時計回転の向
きに、ホイール６２を時計回転の向きに、それぞれ回転
させようとする。

【００１３】このときホィール６２は、歯合するウォー
ム６１に下向きの力を及ぼしつつ回転を阻止されてい
る。ウォーム６１が受けた軸荷重は、軸受７７によって
支持されて、ウォーム６１は下方に移動することができ
ない。すなわち、軸受７７がドラム４０の回転を阻止
し、装置本体３０の降下を防止している。またウォーム
６１は、常に軸受７７に支持されながら電動モータ５０
に駆動され、吊り荷９０の昇降を可能にしている。

【００１４】しかしウォーム６１には、電動モータ５０
に駆動されなくても、上記ホィール６２との歯合による
軸荷重に起因して回転力が働く。このため、電動モータ
５０の電源がＯＦＦのとき、ホィール６２がウォーム６
１を回転させ、吊り荷９０が降下する可能性がある。降
下するか否かは、ウォーム・ホィール機構に働く摩擦力
のほか、ウォーム６１のピッチ円の大きさやネジピッチ
の大きさが関係する。図３の実施例は、積極的に摩擦抵
抗を与えなくても降下しない場合の実施例である。本構
成により、軽量で単純構成の荷役用昇降装置を提供でき
る。

【００１５】図４は本発明の荷役用昇降装置の更に別の
１例を示す説明的略図である。装置本体３０から導かれ
るワイヤ２２は、その一端がワイヤ止め２５に固定さ
れ、他端がドラム４０に巻回され、中間部で、係止フッ
ク２１を有する滑車２４に係回されている。図３の場合
と同様に、その係止フック２１が懸垂部材１１に係止さ
れ、ドラム４０が回転駆動されて装置本体３０が昇降す
るように構成されている。図４に示す例によれば、２条
のワイヤ２２によって吊り荷容量の大きな昇降装置を提
供できる。なお、昇降装置の敷設にあたり、滑車２４を
高所に係止する必要がある。

【００１６】図５は本発明の荷役用昇降装置の更に別の
実施の形態を示す説明的略図である。この例では、電動
モータ５０の回転部およびドラム４０の軸線が水平に配
置されている。また、ドラム４０の回転軸に固定された
回転板７０ａを制動するブレーキ機構７０が設けられて
いる。このブレーキ機構７０は各種公知のものを利用で
き、吊り荷９０を一定高さに懸垂・保持する機能を高め
るもので、電動モータ５０の電源がＯＦＦのときも、吊
り荷９０の降下を確実に防ぐことができる。

【００１７】横軸構成の装置本体３０は、一般に当該横
軸方向の重心位置を算定するのに設計上の手間を要す
る。算定を誤れば、吊り荷９０を懸垂したとき装置本体
３０の姿勢が傾くことが避けられない。これらは直ちに
危険に直結するものではないが、望ましくはない。しか
し、その一方で装置本体３０の高さを低くでき、吊り荷
９０の昇降高さを高くとれる実利がある。

【００１８】なお、専用の玉掛けワイヤ１２、緩衝材１
３、係止フック２１、ワイヤ２２、滑車２３或いは電源
ケーブル、操作ケーブル、更に吊り荷フック８０など、
荷役用昇降装置としての使用時に本体枠３１の外部に位
置するものを、保管、搬送時には適宜、本体枠３１に収
納可能に構成することができる。また、本体枠３１が、
これらを適宜収納する機能を備えることにより、保管・
搬送のために固有のスペースや無用の管理を必要とせ
ず、また取扱を容易にできる。さらに装置本体３０の下
端に車輪を設け、搬送の便に供することもできる。

【００１９】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の荷役用昇
降装置においては、軽量な玉掛けワイヤ等の懸垂部材１
１を高所に係止するのみで、装置の仮設を完了すること
ができる。即ち、ドラム４０や、電動モータ５０や、減
速機構６０などを有する装置本体３０を、床面に位置し
た状態で牽引作業を行なえる。そして建屋の構造材９１
を利用して所要の場所に自在に、かつ簡便に荷役用昇降
装置を敷設できる。

【００２０】また、ドラム４０の駆動機構にブレーキ機
構７０を備えたものでは、ブレーキ機能の乏しい減速機
構６０の場合にも、吊り荷９０の保持など、電動モータ
５０の停止時に生ずる可能性のある降下現象を確実に防
止することができる荷役用昇降装置を提供できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の荷役用昇降装置の１例についての説明
的略図。

【図２】本発明の荷役用昇降装置の内部機構の略図。

【図３】本発明の荷役用昇降装置の別の１例を示す説明
図。

【図４】本発明の荷役用昇降装置の更に別の１例を示す
説明的略図。

【図５】本発明の回転機構が横軸に構成された荷役用昇
降装置の作用を説明する説明図。

【符号の説明】

１ ワイヤ １１ 懸垂部材 １２ 玉掛けワイヤ １３ 緩衝材 ２１ 係合部（係止フック） ２２ 巻掛け体（ワイヤ） ２３ ガイドローラ（滑車） ２４ 滑車 ２５ ワイヤ止め ３０ 装置本体 ３１ 本体枠 ４０ ドラム ４１ ドラム軸 ５０ 電動モータ ５２ａ 接続フランジ ５２ｂ 接続フランジ ６０ 減速機構 ６１ ウォーム ６２ ホィール ６４ 駆動軸 ６５ 駆動歯車 ６６ 従動歯車 ６７ａ 減速歯車 ６７ｂ 減速歯車 ６７ｃ 減速歯車 ６７ｄ 減速歯車 ７０ ブレーキ機構 ７０ａ 回転板 ７７ 軸受 ７８ 軸受 ８０ 吊り荷フック ９０ 吊り荷 ９１ 構造材

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 吊り荷９０を吊り下げて昇降させるもの
   であって、 建屋の構造材９１に取り付けられる軽量の懸垂部材１１
   と、 その懸垂部材１１に着脱自在に係止される係合部２１を
   上端に有するワイヤやベルト、ロープ等の巻掛け体２２
   と、 その巻掛け体２２を巻回するドラム４０を有し、減速機
   構６０を介してそのドラム４０を回転駆動する電動モー
   タ５０が設けられた装置本体３０と、 その装置本体３０の外面に突出され、吊り荷９０を懸垂
   する吊り荷フック８０と、 を具備し、 吊り荷９０と共に装置本体３０が昇降することを特徴と
   する荷役用昇降装置。
2. 【請求項２】 請求項１において、 懸垂部材１１が、建屋の構造材９１に巻回された玉掛け
   ワイヤ１２である荷役用昇降装置。
3. 【請求項３】 請求項２において、 玉掛けワイヤ１２が建屋の構造材９１に緩衝材１３を介
   して巻回される荷役用昇降装置。
4. 【請求項４】 請求項１において装置本体３０に吊り荷
   ９０の降下を防ぐブレーキ機構７０を備えた荷役用昇降
   装置。
5. 【請求項５】 請求項１において装置本体３０に設けた
   ガイドローラ２３に案内されて巻掛け体２２が、ドラム
   ４０に巻回される荷役用昇降装置。