JP2002088595A - 紡機用リングおよびその製造方法 - Google Patents

紡機用リングおよびその製造方法

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JP2002088595A
JP2002088595A JP2001067704A JP2001067704A JP2002088595A JP 2002088595 A JP2002088595 A JP 2002088595A JP 2001067704 A JP2001067704 A JP 2001067704A JP 2001067704 A JP2001067704 A JP 2001067704A JP 2002088595 A JP2002088595 A JP 2002088595A
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ring
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fitting
traveler
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Ryohei Kusakari
良平 草刈
Masamichi Hamaguchi
雅道 浜口
Tadashi Kobayashi
直史 小林
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 リングフランジ部の精度および耐摩耗性を向
上させることができ、リングフランジ部に微振動が生じ
てトラベラおよびリングフランジ部が異常摩耗して寿命
が短縮したり、糸切れが多発して生産性が低下するとい
う問題を生ずることがなく、衝撃によりリングフランジ
部が外れることがない紡機用リングおよびその製造方法
を提供する。 【解決手段】 トラベラを滑走させるための軌道となる
リングフランジ部101を内側フランジ103と外側フ
ランジ106とに分割し、内側フランジ101を鋼板か
らプレス加工により連続的に形成し、外側フランジ10
6をリングネック部109および取り付け部102と共
に切削加工により一体に形成し、内側フランジ103と
外側フランジ106とを焼き嵌め、接着等の固着手段に
より一体的に嵌合・固着することにより、上部にリング
フランジ部101を有する紡機用リング100を形成す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、精紡機あるいは撚
糸機等の紡機に使用される紡機用リングおよびその製造
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、精紡機に使用される紡機用リング
としては、円筒状のブランク材から切削加工によってリ
ングフランジ部および取り付け部を一体形成したものが
あり、他に、例えば特公昭40−16208号公報に記
載されているように、製造工程の自動化、精度向上、コ
スト低減、軽量化等を目的として全体を鋼板から形成す
るものや、例えば特公平6−47768号公報に記載さ
れているように、耐摩耗性を向上させるためにトラベラ
と摺接するリングフランジ部をセラミックにより形成
し、リング本体のネック部と嵌合固定して形成したもの
が知られている。
【0003】図12は上記特公昭40−16208号公
報に記載された紡機用リング600を示している。この
例は、帯状鋼板から打抜き圧型装置を用いて円板を打ち
抜き、その円板をプレス機および回転スピンドルを用い
て押圧し、リングフランジ部601と取り付け部602
とからなる一体構造の紡機用リング600を形成したも
のである。この紡機用リング600は、リングホルダー
に嵌合して紡機に取り付けられる。
【0004】また、図13は上記特公平6−47768
号公報に記載された紡機用リング700を示している。
この例は、トラベラと摺接するリングフランジ部701
をセラミックにより形成し、フランジ部下面に凹部又は
段付き部を設け、炭素鋼、軽合金またはプラスチック等
から形成されたリング本体702のリングネック部70
3と嵌合し、接着剤により接合固定したものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】円筒状のブランク材か
ら切削加工によって形成する上記従来の一体形成の紡機
用リングは、トラベラと摺接するリングフランジ部の精
度を出すことが容易でなく、また、材料コストを抑えつ
つリングフランジ部の耐摩耗性を向上させることが容易
でない。それに対し、上記特公昭40−16208号公
報に記載のように紡機用リングを鋼板から形成したり、
上記特公平6−47768号公報に記載されているよう
に別材料で形成したリングフランジ部をリング本体に固
着する場合は、リングフランジ部の精度を出すことが比
較的容易となり、また、リングフランジ部の耐摩耗性を
向上させることも比較的容易となる。
【0006】しかしながら、上記特公昭40−1620
8号公報に記載のように鋼板から一体形成する紡機用リ
ングの場合は、自動化のための製造工程自体が複雑で、
製造コストが高くなるばかりでなく、鋼板を折り曲げる
ことによって形成されたもので、トラベラと係合するリ
ングフランジ部の下面端部が自由端となっているため、
トラベラがリングフランジ部に摺接して走行したとき、
リングフランジ部が微振動を起こして、トラベラおよび
リングフランジ部の双方が異常摩耗を起こし、寿命が短
縮したり、糸切れが多発して生産性が低下するという問
題点がある。
【0007】また、上記特公平6−47768号公報に
記載されているようにトラベラと摺接するリングフラン
ジ部の全体を別材料で形成し、リング本体側のネック部
に嵌合固定する紡機用リングの場合は、フランジ部とネ
ック部が嵌合する嵌合部の接触面積が小さいため、トラ
ベラを着脱する時にかかる負荷や衝撃により、また、ト
ラベラの走行時の振動や衝撃によりリングフランジ部と
ネック部との接合が外れて、リングフランジ部がネック
部上をトラベラの走行に伴って回ったり、リングフラン
ジ部がネック部から離脱して、紡出ができない状態にな
りやすいという問題点がある。
【0008】本発明は上記問題点を解消するためになさ
れたものであり、リングフランジ部の精度および耐摩耗
性を向上させることができ、しかも、トラベラの走行時
にリングフランジ部に微振動が生じてトラベラおよびリ
ングフランジ部が異常摩耗して寿命が短縮したり、糸切
れが多発して生産性が低下するという問題を生ずること
がなく、また、トラベラの着脱時にかかる負荷や衝撃に
よりリングフランジ部が外れてリングフランジ部がトラ
ベラの走行に伴い回ってしまったり、リングフランジ部
が離脱して紡出ができなくなることがない紡機用リング
およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、トラベラを摺
接状態にて走行させるための軌道となるリングフランジ
部と、リングレール又はリングホルダーに取り付けられ
る取り付け部とを備えた紡機用リングにおいて、リング
フランジ部の精度および耐摩耗性を向上させるために
は、紡機用リングを複数部材の嵌合・固着によって形成
するのが有利であること、また、紡機用リングを複数部
材の嵌合・固着によって形成するについては、リングフ
ランジ部においても特に寸法精度および形状精度が要求
されるのは、内周側のトラベラ走行面であるから、その
内周側のトラベラ走行面を形成する部分だけを別部材と
してもよいばかりか、リングフランジ部全体を別部材で
構成するよりも、内周側のトラベラ走行面を形成する部
分だけを別部材とし、外周側のトラベラ走行面を構成す
る部分は取り付け部側と一体の部材で形成する方が、嵌
合・固着の強度を確保しやすいことを見いだしたもので
あり、そうした知見に基づき、紡機用リングをリングフ
ランジ部の部分で内側と外側の二つに分割し、リングフ
ランジ部が内側フランジと外側フランジとで構成され、
内側フランジが外側フランジの内周側に嵌合・固着され
て一体化される紡機用リングおよびその製造方法を提供
するものである。
【0010】すなわち、本発明の紡機用リングは、トラ
ベラを摺接状態にて走行させるリングフランジ部を備え
た紡機用リングであって、上記リングフランジ部が、内
側フランジと外側フランジとで構成され、上記内側フラ
ンジは、ドーナツ状板ブランクの内周部が外周側に折り
返されて、その折り返された状態の内周側にトラベラの
脚部と摺接するトラベラ走行面が形成されるとともに、
外周側に上記外側フランジと嵌まり合う嵌合部が形成さ
れた構成を有し、上記外側フランジは、ネック部を介し
てリングレール又はリングホルダーに取り付けられる取
り付け部と一体に形成されて、内周側に上記内側フラン
ジと嵌まり合う嵌合部を備えるとともに、外周側にトラ
ベラの脚部と係合する係合部を備え、上記内側フランジ
と上記外側フランジとが、それぞれの嵌合部において嵌
まり合い、固着手段により一体化されたことを特徴とす
る。
【0011】上記内側フランジを形成するドーナツ状板
ブランクは、好ましくは、鋼板、合金鋼板等の帯状又は
コイル状の薄板材を打ち抜いて形成したものであり、上
記外側フランジは、好ましくは、炭素鋼、合金鋼等の鉄
材料又はアルミニウム、アルミニウム合金等の非鉄金属
材料の円筒状素材から切削又は転造により成形加工した
ものである。
【0012】上記固着手段は、圧入、焼き嵌め、溶接、
接着等である。接着剤としては、例えばエポキシ樹脂、
フェノール樹脂、シアノアクリレート等の重・縮合型接
着剤が適している。
【0013】上記紡機用リングは、ドーナツ状板ブラン
クの内周部が外周側に折り返されてトラベラ走行面が形
成された内側フランジと、取り付け部と一体に形成され
た外側フランジとでリングフランジ部が構成されるもの
であり、特に寸法精度および形状精度が要求される内周
側のトラベラ走行面を形成する部分を、取り付け部を含
むリング本体とは別に内側フランジとして鋼板等の薄板
材からプレス成形等で形成できるため、寸法および形状
の精度を出すのが容易で、精度の高いトラベラ走行面を
形成することができ、また、内側フランジのみ別材料で
構成して耐摩耗性を向上させることができる。
【0014】したがって、リングフランジ部の精度およ
び耐摩耗性を向上させることができ、しかも、トラベラ
の走行時にリングフランジ部に微振動が生じてトラベラ
およびリングフランジ部が異常摩耗して寿命が短縮した
り、糸切れが多発して生産性が低下するという問題を生
ずることがなく、また、トラベラの着脱時にかかる負荷
や衝撃によりリングフランジ部が外れてリングフランジ
部がトラベラの走行に伴い回ってしまったり、リングフ
ランジ部が離脱して紡出ができなくなることがない紡機
用リングを提供するという所期の目的を達成することが
できる。また、内側フランジと外側フランジとの嵌合構
造に自由度があって、強固に嵌合・固着し一体化した紡
機用リングとすることができる。また、この場合、リン
グフランジ部の上面にできる断面が例えば逆円錐台形状
の凹溝には、熱硬化性樹脂接着剤であるエポキシ樹脂等
の合成樹脂を充填するのがよく、そうすることにより、
上記凹溝に異物がたまるのを防止するとともに、内側フ
ランジと外側フランジとの固着を一層強固とすることが
できる。
【0015】また、上記紡機用リングは、内側フランジ
が、ドーナツ状板ブランクの内周部が外周側に折り返さ
れ、その折り返された状態のブランクの内周部分が上方
へ折り曲げられて、その折り曲げられた状態の内周側に
トラベラ走行面となる所定形状の曲面が形成されている
ものとすることができ、そうした場合、内側のトラベラ
走行面を任意の曲面とすることができ、その寸法および
形状の精度が一層向上する。
【0016】ドーナツ状板ブランクを折り返した状態で
その内周面をトラベラ走行面とするよりも、折り返した
状態の内周部分をさらに上方へ折り曲げた状態での内周
面をトラベラ走行面とする場合の方が、トラベラ走行面
として精度の高い寸法・形状の曲面を形成することがで
きるのである。
【0017】また、この場合、リングフランジ部の上面
は、接合部の上方に断面が例えば逆円錐台形状の凹溝が
できるため、この凹溝に異物がたまるのを防止するとと
もに、内側フランジと外側フランジとの固着を一層強固
とするために、熱硬化性樹脂接着剤であるエポキシ樹脂
等の合成樹脂を充填するのがよい。
【0018】上記紡機用リングにおいて、内側フランジ
と外側フランジとの嵌合・固着の接合面を確保して一体
化を強固なものとするための構成は、例えば、内側フラ
ンジが、折り返された状態のブランクの重なり合う上下
二つの部分のうちの上側部分が下側部分よりも大径で、
外周部が段付き形状とされて、その段付き形状の外周部
が外側フランジと嵌まり合う嵌合部を構成し、外側フラ
ンジは、上面内周側の一部が全周にわたって切り欠か
れ、上部内周面が段付き形状とされて、その段付き形状
の上部内周面が内側フランジと嵌まり合う嵌合部を構成
し、これら内側フランジの段付き形状の外周部により構
成される嵌合部と、外側フランジの段付き形状の上部内
周面により構成される嵌合部とが互いに嵌まり合うよう
にされたものであるのがよい。
【0019】この場合、内側フランジの段付き形状の嵌
合部と、外側フランジの段付き形状の嵌合部とが互いに
嵌まり合うことにより、内側フランジと外側フランジと
の嵌合・固着による一体化が強固なものとなる。
【0020】また、内側フランジと外側フランジとの嵌
合・固着の接合面を確保して一体化を強固なものとする
ための構成として、他に、内側フランジが、折り返され
た状態のブランクの重なり合う上側部分と下側部分とが
外周部において弾性変形可能な間隙を持つ構成とされ
て、その弾性を持つ外周部が外側フランジと嵌まり合う
嵌合部とされ、外側フランジは、上面内周側の一部が全
周にわたって切り欠かれ、上部内周面が段付き形状とさ
れるとともに、その上部内周面の切り欠かれた部分の下
部に全周にわたって凹溝が設けられて、その凹溝が設け
られた部分が内側フランジと嵌まり合う嵌合部を構成
し、これら内側フランジの弾性を持つ外周部により構成
される嵌合部と、外側フランジの上部内周面の切り欠か
れた部分の下部の凹溝により構成される嵌合部とが互い
に嵌まり合うようにしてもよい。
【0021】この場合、内側フランジの嵌合部である弾
性を持つ外周部が外側フランジの嵌合部である凹溝に圧
入または焼き嵌めにより嵌まり込み、弾性力により強固
に固定される。
【0022】また、内側フランジが外側フランジから外
れないようにする構成としては、例えば、内側フランジ
は、折り返された状態のブランクの重なり合う上側部分
と下側部分からなる外周部が外側フランジと嵌まり合う
嵌合部を構成し、外側フランジは、上面内周側の一部が
全周にわたって切り欠かれ、上部内周面が段付き形状と
されて、その段付き形状の上部内周面が内側フランジと
嵌まり合う嵌合部を構成し、上記内側フランジの嵌合部
における上側部分の外周面と、該外周面と対向する上記
外側フランジの切り欠き部分の内周面は、それぞれ傾斜
角が3°〜12°となるように内側上方に向け傾斜する
よう形成され、これら内側フランジの外周部により構成
される嵌合部と、外側フランジの段付き形状の上部内周
面により構成される嵌合部とが互いに嵌まり合うように
するのがよい。
【0023】このように内側フランジの嵌合部における
上側部分の外周面と、外側フランジの切り欠き部分の内
周面をそれぞれ傾斜角3°〜12°で内側上方に向け傾
斜させることにより、焼き嵌め等の固着手段による固着
が緩んでも、嵌合部同士の係合が確保され、外れないよ
うにできる。この場合、傾斜角が3゜未満では係合が不
十分であり、12゜を越えると嵌め合わせが困難とな
る。
【0024】また、内側フランジと外側フランジとの嵌
合・固着の接合面を確保し、接着により一体化させるた
めの構成としては、例えば、内側フランジは、折り返さ
れた状態のブランクの重なり合う上側部分と下側部分か
らなる外周部が外側フランジと嵌まり合う嵌合部を構成
し、外側フランジは、上面内周側の一部が全周にわたっ
て切り欠かれ、上部内周面が段付き形状とされて、その
段付き形状の上部内周面が内側フランジと嵌まり合う嵌
合部を構成し、上記内側フランジの嵌合部における上側
部分の外周面と、該外周面と対向する上記外側フランジ
の切り欠き部分の内周面は、それぞれ傾斜角が10°〜
15°となるように内側上方に向け傾斜するよう形成さ
れるととともに、上記上側部分の最大外径Eと上記切り
欠き部分の最小内径Cとが、E≦Cの関係を有し、嵌合
部間に空間が形成される設定とされ、これら内側フラン
ジの外周部により構成される嵌合部と、外側フランジの
段付き形状の上部内周面により構成される嵌合部とが互
いに嵌まり合い、上記嵌合部間の空間に接着剤が充填さ
れて固化されることにより一体化されるようにするのが
よい。接着剤としては、例えばエポキシ樹脂、フェノー
ル樹脂、シアノアクリレート等の重・縮合型接着剤が適
している。
【0025】この場合、内側フランジと外側フランジと
は段付き形状の嵌合部同士が嵌まり合う、それら嵌合部
間の空間に充填された接着剤の固化により一体的に固着
され、固化した接着剤樹脂の楔作用によって、内側フラ
ンジの外れが防止される。
【0026】本発明の紡機用リングの製造方法は、ドー
ナツ状板ブランクの内周部が外周側に折り返された状態
の内周側にトラベラの脚部が摺接するトラベラ走行面が
形成される内側フランジを有する紡機用リングを製造す
る場合に、内側フランジは、薄板材を打ち抜いて円形板
ブランクを形成する打ち抜き工程と、上記円形板ブラン
クの中央部を円形状に打ち抜いてドーナツ状板ブランク
を形成するバーリング下穴あけ工程と、上記ドーナツ状
板ブランクの内周部をフランジ状に折り立てるバーリン
グ加工工程と、上記ドーナツ状板ブランクの折り立てら
れた内周部を外周側に折り返し、上下に重ね合わせて、
その折り返した状態の内周側にトラベラ走行面を形成す
る折り返し工程と、該折り返し工程を経てトラベラ走行
面が形成されたドーナツ状板ブランクを所定の外径寸法
に打ち抜くトリミング工程とを順次経て所定の形状に成
形加工し、上記取り付け部と一体の外側フランジは、円
筒状素材から切削または転造により一体に成形加工し、
上記成形加工した内側フランジを上記外側フランジの内
周側に形成された嵌合部に、圧入、焼き嵌め、溶接また
は接着により一体的に固着するものである。
【0027】また、本発明の紡機用リングの製造方法
は、ドーナツ状板ブランクの内周部が外周側に折り返さ
れ、その折り返された状態のブランクの内周部分が上方
へ折り曲げられて、その折り曲げられた状態の内周側に
トラベラ走行面が形成される内側ブランクを有する紡機
用リングを製造する場合に、内側フランジは、薄板材を
打ち抜いて円形板ブランクを形成する打ち抜き工程と、
上記円形板ブランクの中央部を円形状に打ち抜いてドー
ナツ状板ブランクを形成するバーリング下穴あけ工程
と、上記ドーナツ状板ブランクの内周部をフランジ状に
折り立てるバーリング加工工程と、上記ドーナツ状板ブ
ランクの折り立てられた内周部を外周側に折り返し、上
下に重ね合わせる折り返し工程と、その折り返した状態
のブランクの内周部分を上方へ折り曲げて、その折り曲
げた状態の内周側にトラベラ走行面となる所定形状の曲
面を形成する折り曲げ工程と、該折り曲げ工程を経てト
ラベラ走行面が形成されたドーナツ状板ブランクを所定
の外径寸法に打ち抜くトリミング工程とを順次経て所定
の形状に成形加工し、上記取り付け部と一体の外側フラ
ンジは、円筒状素材から切削または転造により一体に成
形加工し、上記成形加工した内側フランジを上記外側フ
ランジの内周側に形成された嵌合部に、圧入、焼き嵌
め、溶接または接着により一体的に嵌合固着するもので
ある。この場合、リングフランジ部の上面にできる断面
が例えば逆円錐台形状の凹溝には、熱硬化性樹脂接着剤
であるエポキシ樹脂等の合成樹脂を充填するのがよく、
そうすることにより、上記凹溝に異物がたまるのを防止
するとともに、内側フランジと外側フランジとの固着を
一層強固とすることができる。
【0028】これら紡機用リングの製造方法において、
内側フランジ用のドーナツ状板ブランクを形成する薄板
材は、好ましくは、鋼板、合金鋼板等の帯状又はコイル
状の薄板材とし、外側フランジ用の円筒状素材は、好ま
しくは、炭素鋼、合金鋼等の鉄材料又はアルミニウム、
アルミニウム合金等の非鉄金属材料によって形成する。
また、接着により固着する場合の接着剤としては、例え
ばエポキシ樹脂、フェノール樹脂、シアノアクリレート
等の重・縮合型接着剤が適している。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。
【0030】(第1の実施の形態)図1〜5は本発明の
第1の実施の形態に係り、図1は紡機用リングの一部分
を示す断面図、図2は内側フランジの一部分を示す断面
図、図3は外側フランジの一部分を示す断面図、図4は
内側フランジの製造におけるブランク形成過程の帯状鋼
板の一部分の平面図、図5は内側フランジの製造におけ
る各工程の帯状鋼板の一部分の断面図(a)〜(g)で
ある。図5の(a)は図4のA−A断面図に相当し、
(b)は同じくB−B断面図に相当し、(c)は同じく
C−C断面図に相当する。
【0031】図1に示すように、この実施の形態の紡機
用リング100は、トラベラを摺接状態にて走行させ
る、すなわち滑走させるための軌道となるリングフラン
ジ部101と、リングレールに取り付けられる取り付け
部102を備えている。
【0032】リングフランジ部101は、その上面の内
周側から外周側へ全体の約2/3寄った位置において、
トラベラの内側脚部が摺動するトラベラ走行面103を
有する内側フランジ104と、トラベラの外側脚部が係
合する係合部105を有する外側フランジ106の二つ
の部分に分割された構成である。
【0033】内側フランジ104は、図2に拡大して示
すとおりの断面を有する円環状の構成で、コイル状に巻
かれた厚さ0.3mm〜1.0mm(一例として0.8
mm)の薄板状の炭素鋼材、例えば冷間圧延鋼板(SP
CC)を素材として、プレス成形により成形加工される
ものであり、鋼板を打ち抜いて円形板ブランクを形成
し、さらにその円形板ブランクを打ち抜いてドーナツ状
板ブランクを形成し、その内周部を外側に折り返し、そ
の折り返した状態の内周側に、トラベラの脚部を摺動さ
せるトラベラ走行面103を単一又は複数の円弧面によ
り形成し、そのトラベラ走行面103を有するドーナツ
状板ブランクをトリミングして、折り返された状態のブ
ランクの重なり合う上下二つの部分のうちの上側部分の
110が下側部分111よりも大径で、外周部が段付き
形状となり、その段付き形状の外周部が外側フランジと
嵌まり合う嵌合部107となるよう構成したものであ
る。
【0034】内側フランジ104を形成するドーナツ状
板ブランクは、炭素鋼板の他、合金鋼板等の帯状又はコ
イル状の薄板材を打ち抜いて形成したものであってよ
い。
【0035】また、外側フランジ106は、図3に拡大
して示すとおりの断面を示す円環状の構成で、円筒状の
炭素鋼材、例えば機械構造用炭素鋼鋼材(S45C)を
素材として、切削加工により成形加工され、あるいは転
造等の他の成形手段により成形加工されるものであり、
上面内周側の一部が全周にわたって切り欠かれ、上部内
周面が段付き形状とされて、その段付き形状の上部内周
面が内側フランジ104と嵌まり合う嵌合部108を構
成し、外周部にトラベラの外側脚部と係合する単一又は
複数の円弧面により形成された係合部105を有し、さ
らに、内側下部に設けられたリングネック部109を挟
んで、外周面に鍔部112と嵌り込み部113を有する
取り付け部102が連続して設けられた構造で、それら
外側フランジ106とリングネック部109と取り付け
部102とが一体に形成されている。
【0036】外側フランジ106に形成された切り欠き
状の嵌合部108は、高さHが内側フランジ104の上
面の板厚Tと略同じで、内周面の内径Aが内側フランジ
104の上面の外径Dに対し4/100〜6/100m
mだけ小さくなるように構成されている。
【0037】外側フランジ106は、炭素鋼の他、合金
鋼他の鉄材料又はアルミニウム、アルミニウム合金等の
非鉄金属材料の円筒状素材から成形加工したものであっ
てよく、その加工手段は切削の他に転造であってもよ
い。
【0038】つぎに、内側フランジ104の製造工程を
説明する。
【0039】内側フランジ104は、プレス機械を用い
て帯状鋼板121からプレス加工するものであり、パイ
ロット穴あけ工程において、図4および図5の(a)に
示すように鋼板121に予めパイロット穴122をあ
け、そのパイロット穴122により位置決めしながら鋼
板121を間欠的に長手方向に移動させる。
【0040】その後、打ち抜き工程において、アワー・
グラス抜きによって、図4および図5の(b)に示すよ
うに抜き穴123を形成し、帯状鋼板121にブリッジ
124を残して所要の直径を有する円形板ブランク12
5を形成する。
【0041】そして、バーリング下穴明け工程におい
て、図4および図5の(c)に示すように、円形板ブラ
ンク125の中央部に円形状の抜き穴126を形成する
下穴抜きを行って、所要の幅寸法を有するドーナツ状板
ブランク127を形成する。
【0042】そして、バーリング工程において、図5の
(d)に示すように、バーリング加工によりドーナツ状
板ブランク127の内周部128を90度下方へ折り曲
げ、折り立てた形にする。
【0043】そして、第一次曲げ工程において、図5の
(e)に示すように、曲げ加工により上記折り立てたド
ーナツ状板ブランク127の内周部128をさらに45
度折り曲げる。
【0044】そして、第二次曲げ工程において、図5の
(f)に示すように、さらに曲げ加工を行い上記ドーナ
ツ状板ブランク127の内周部128をさらに折り曲げ
て、ドーナツ状板ブランク127の外周側へ折り返した
形で外側部分と上下に重ね合わせ、好ましくは密着させ
て、その折り返した状態の内周側に所要の円弧面からな
るトラベラ走行面103が形成されるようにする。
【0045】そして、最後に、トリミング工程におい
て、図5の(g)に示すように、所要の外形寸法に打ち
抜き、内側フランジ104を形成する。
【0046】こうして形成した内側フランジ104は、
適宜、クロムメッキ、ニッケル・リンメッキ等のメッキ
処理、浸炭焼き入れ、浸炭窒化、金属炭化物の拡散浸
透、PVD、CVD等の表面硬化処理等の表面処理を行
う。
【0047】また、外側フランジ106は、上述のよう
に円筒状の炭素鋼を素材として切削加工により、リング
ネック部109および取り付け部102と一体に形成さ
れる。
【0048】そして、外側フランジ106を例えば高周
波加熱装置により加熱することにより嵌合部108を拡
径させ、その拡径した嵌合部108に内側フランジ10
4の嵌合部107を嵌め合わせた後、冷却することによ
り、内側フランジ104の上側部分110を外側フラン
ジ106の上部内周面114に焼き嵌めし、一体的に固
着させる。
【0049】この場合、内側フランジ104の段付き形
状の嵌合部107と、外側フランジ106の段付き形状
の嵌合部108とが互いに嵌まり合うことにより、内側
フランジ104と外側フランジ106との嵌合・固着に
よる一体化が強固なものとなる。
【0050】内側フランジ104の嵌合部107と外側
フランジ106の嵌合部108とを嵌合した状態で固着
する手段は、焼き嵌めの他、圧入、溶接、接着等であっ
てもよい。接着の場合、接着剤としては、例えばエポキ
シ樹脂、フェノール樹脂、シアノアクリレート等の重・
縮合型接着剤が適している。
【0051】また、図1に示す例は、紡機用リング10
0の取り付け部102がリングレールに直接取り付ける
タイプのものであるが、リングホルダーに取り付けるタ
イプの紡機用リングとすることもできる。
【0052】こうして形成される紡機用リング100
は、特に寸法および形状の精度が要求される内周側のト
ラベラ走行面103を形成する部分を、内側フランジ1
04として単体で鋼板から成形加工するため、寸法およ
び形状の精度を出すのが容易で、精度の高いトラベラ走
行面103を形成でき、また、内側フランジ104を上
述のように炭素鋼材等を素材する板ブランクから形成
し、適宜、表面硬化処理を行うことによって、トラベラ
走行面103等の耐摩耗性を向上させることができる。
【0053】そして、内側フランジ104と外側フラン
ジ106が内側フランジ104の上側部分110の周面
と外側フランジ106の上部内周面114との間で例え
ば焼き嵌めにより強固に固着されるため、内側フランジ
104が衝撃によって外れることがなく、したがって、
内側フランジ104がトラベラの回転に伴って外側フラ
ンジ106上を回ったり、外側フランジ106から離脱
して、紡出が出来なくなるということがない。また、内
側フランジ104と外側フランジ106とが嵌合部10
7、108において一体的に固着されるため、トラベラ
がトラベラ走行面103を滑走しても、リングフランジ
部101に微振動が発生せず、トラベラはスムースに滑
走する。このため、トラベラ或いはリングが異常摩耗し
て寿命を短縮したり、トラベラの異常滑走による糸切れ
が多発して生産性を低下するという問題点がなくなる。
【0054】次に、上記第1の実施の形態の変形例を説
明する。
【0055】図6は上記第1の実施の形態の変形例に係
る紡機用リングのリングフランジ部の端面図である。
【0056】上記図1に示す紡機用リング100の場合
は、内側フランジ104の上側部分110の外周面とそ
れに対向する外側フランジ106の嵌合部108の上部
内周面114とがそれぞれ略垂直に形成されているのに
対し、図6に示す例では、内側フランジ204の嵌合部
における上側部分210の外周面と、それに対向する外
側フランジ206の嵌合部上部の切り欠き部分の内周面
214が、垂直に対し内側上方に向け傾斜角αをもって
傾斜する構成としている。
【0057】上記傾斜角αは、3°〜12°が好適であ
る。その他の構成は図1に示される紡機用リング100
と同様であり、製造方法等も同様である。
【0058】このように内側フランジ204の嵌合部に
おける上側部分210の外周面と、外側フランジ206
の嵌合部上部の切り欠き部分の内周面214をそれぞれ
傾斜角3°〜12°で内側上方に向け傾斜させることに
より、焼き嵌め等の固着手段による固着が緩んでも嵌合
部同士の係合が確保され、外れないようにできる。傾斜
角αが3゜未満では係合が不十分であり、12゜を越え
ると嵌め合わせが困難となる。
【0059】また、図7は、上記第1の実施の形態の他
の変形例に係る紡機用リングのリングフランジ部の端面
図である。
【0060】上記図1に示す紡機用リング100の場
合、内側フランジ104の嵌合部107と外側フランジ
106の嵌合部108とを嵌合した状態で固着する手段
は、焼き嵌め、圧入、溶接、接着等であり、接着の場合
も、内側フランジ104の上側部分110の外周面とそ
れに対向する外側フランジ106の嵌合部108の上部
内周面114とが略密着状態で接合するものであり、ま
た、上記図6に示す変形例の場合も、接合面が傾斜して
いる以外は図1のものと同様であるのに対し、図7に示
す紡機用リングは、内側フランジ304の嵌合部におけ
る上側部分310の外周面が垂直に対し内側上方に向け
傾斜角βをもって傾斜するとともに、それに対向する外
側フランジ306の嵌合部上部の切り欠き部分の内周面
314が、垂直に対し内側上方に向け傾斜角θをもって
傾斜し、さらに、内側フランジ304の上側部分310
の最大外径Eと外側フランジ306の切り欠き部分の内
周面314の最小内径Cとが、E≦Cの関係にあって、
内側フランジ304を外側フランジ306に嵌合したと
きに、内側フランジ304の上側部分310の外周面と
外側フランジ306の切り欠き部分の内周面314との
間に空間Pが形成されるよう構成される。
【0061】そして、上記空間Pに、例えばエポキシ系
の熱硬化性樹脂接着剤が充填されて、固化され、それに
より内側フランジ304と外側フランジ306とが一体
的に固着される。接着剤としては、エポキシ樹脂を含
め、フェノール樹脂、シアノアクリレート等の重・縮合
型接着剤が適している。
【0062】上記傾斜角βおよびθはそれぞれ10°〜
15°が好適である。その他の構成は図1に示される紡
機用リング100と同様である。
【0063】この場合、内側フランジ304と外側フラ
ンジ306との間の傾斜した空間Pに充填され固化され
た樹脂の楔作用により、内側フランジ304の外れを防
止することができる。
【0064】傾斜角βおよびθは、それぞれ10°〜1
5°としているが、傾斜角β≧傾斜角θとするのが好ま
しく、そうすることで樹脂の充填作業が容易になる。ま
た、傾斜角βおよびθが10°未満では、内側フランジ
304と外側フランジ306との樹脂の楔作用による係
合が不十分となり、15°を超えると内側フランジ30
4と外側フランジ306との間に形成される空間Pが必
要以上に大きくなり、空間Pに充填する樹脂の使用量が
多くなってコスト高になるばかりでなく、外側フランジ
306の内周面314の加工が困難となる。
【0065】(第2の実施の形態)図8は本発明の第2
の実施の形態に係る紡機用リングのリングフランジ部の
端面図、図9はその内側フランジの製造における各工程
の帯状鋼板の一部分の断面図(a)〜(h)である。
【0066】この第2の実施の形態は、内側フランジ4
04が、図8に示すように、ドーナツ状板ブランクの内
周部が外周側に折り返され、その折り返された状態のブ
ランクの内周部分が上方へ折り曲げられて、その折り曲
げられた状態の内周側に所定曲面からなるトラベラ走行
面403が形成されたものである。
【0067】この場合も、上記第1の実施の形態と同様
に、リングフランジ部401は内側フランジ404と外
側フランジ406とに分割され、外側フランジ406
は、リングネック部409を介して取り付け部(図示せ
ず)と一体に形成されている。
【0068】内側フランジ404は、厚さが例えば0.
4mmの鋼板(材質は第1の実施の形態と同じ)を素材
として、プレス加工により成形加工されるものであり、
鋼板を打ち抜いて円形板ブランクを形成し、さらにその
円形板ブランクを打ち抜いてドーナツ状板ブランクを形
成し、その内周部を外側に折り返し、その折り返した状
態のブランクの内周部分を上方へ折り曲げることによ
り、その折り曲げた状態の内周側にトラベラの脚部を摺
動させるトラベラ走行面403を単一又は複数の円弧面
により形成し、こうしてトラベラ走行面403を形成し
たドーナツ状板ブランクをトリミングして、折り返され
た状態のブランクの重なり合う上下二つの部分のうちの
上側部分410が下側部分411よりも大径で、外周部
が段付き形状となり、その段付き形状の外周部が外側フ
ランジ406と嵌まり合う嵌合部となるよう構成したも
のである。内側フランジ404の嵌合部の下側部分41
1は、外側フランジ406の嵌合部の下部内周面との間
に隙間が形成される。
【0069】また、外側フランジ406は、図8に示す
ように、嵌合部の切り欠きの内周面414の高さHが、
内側フランジ404の嵌合部の上側部分410の下面か
らトラベラ走行面403の最頂部までの高さBと略同じ
で、かつ、上記内周面414の内径Aが内側フランジ4
04の外径Dと略同じか、好ましくは4/100〜6/
100mmだけ小さくなるように構成されている。
【0070】外側フランジ406は、第1の実施の形態
と同様に、炭素鋼、合金鋼等の鉄材料又はアルミニウ
ム、アルミニウム合金等の非鉄金属材料の円筒状素材か
ら、切削、転造等で成形加工するものである。
【0071】この第2の実施の形態における上記内側フ
ランジ404の製造工程をつぎに説明する。
【0072】内側フランジ404は、プレス機械を用い
て帯状鋼板421からプレス加工するものであり、パイ
ロット穴あけ工程において、図9の(a)に示すように
鋼板421に予めパイロット穴422をあけ、そのパイ
ロット穴422により位置決めしながら鋼板421を間
欠的に長手方向に移動させる。
【0073】その後、打ち抜き工程において、アワー・
グラス抜きによって、図9の(b)に示すように抜き穴
423を形成し、帯状鋼板421にブリッジを残して所
要の直径を有する円形板ブランクを形成する。
【0074】そして、バーリング下穴明け工程におい
て、図9の(c)に示すように、円形板ブランクの中央
部に円形状の抜き穴426を形成する下穴抜きを行っ
て、所要の幅寸法を有するドーナツ状板ブランク427
を形成する。
【0075】そして、バーリング工程において、図9の
(d)に示すように、バーリング加工によりドーナツ状
板ブランク427の内周部428を90度下方へ折り曲
げ、折り立てた形にする。
【0076】そして、第一次曲げ工程において、図9の
(e)に示すように、曲げ加工により上記折り立てたド
ーナツ状板ブランク427の内周部428をさらに45
度折り曲げる。
【0077】そして、第二次曲げ工程において、図9の
(f)に示すように、さらに曲げ加工を行い上記ドーナ
ツ状板ブランク427の内周部428をさらに折り曲げ
て、ドーナツ状板ブランク427の外周側へ折り返した
形で外側部分と上下に重ね合わせ、好ましくは密着させ
る。
【0078】そして、折り曲げ工程において、図9の
(g)に示すように、上記折り返した状態の内周部分を
さらに上方に折り曲げて、その折り曲げた状態の内周側
に所要の円弧面からなるトラベラ走行面403を形成す
る。
【0079】そして、最後に、トリミング工程におい
て、図9の(h)に示すように、所要の外形寸法に打ち
抜き、内側フランジ404を形成する。
【0080】こうして形成した内側フランジ404は、
適宜、クロムメッキ、ニッケル・リンメッキ等のメッキ
処理、浸炭焼き入れ、浸炭窒化、金属炭化物の拡散浸
透、PVD、CVD等の表面硬化処理等の表面処理を行
う。
【0081】また、この第2の実施の形態の場合も、紡
機用リングの取り付け部はリングレールに直接取り付け
るタイプ、あるいはリングホルダーに取り付けるタイプ
のいずれであってもよい。
【0082】そして、外側フランジ406を、上述のよ
うに円筒状の炭素鋼を素材として切削加工により、リン
グネック部409および取り付け部と一体に形成し、そ
の外側フランジ406を例えば高周波加熱装置により加
熱することにより嵌合部の切り欠きの内周面414を拡
径させ、その拡径した内周面414に内側フランジ40
4の嵌合部の上側部分410を嵌め合わせた後、冷却す
ることにより、内側フランジ404の上側部分410を
外側フランジ406上部の内周面414に焼き嵌めし、
一体的に固着させる。
【0083】この場合、内側フランジ404の嵌合部の
上側部分410と、外側フランジ406の段付き形状の
嵌合部の切り欠きの内周面414とが互いに嵌まり合う
ことにより、内側フランジ404と外側フランジ406
との嵌合・固着による一体化が強固なものとなる。
【0084】内側フランジ404の嵌合部の上側部分4
10と外側フランジ406の嵌合部の切り欠きの内周面
414とを嵌合した状態で固着する手段は、焼き嵌めの
他、圧入、溶接、接着等であってもよい。接着の場合、
接着剤としては、例えばエポキシ樹脂、フェノール樹
脂、シアノアクリレート等の重・縮合型接着剤が適して
いる。
【0085】この第2の実施の形態の紡機用リングは、
上記第1の実施の形態と同様、特に寸法および形状の精
度が要求される内周側のトラベラ走行面403を形成す
る部分を、内側フランジ404として単体で鋼板から成
形加工するため、寸法および形状の精度を出すのが容易
であり、特に、内側フランジ404が、ドーナツ状板ブ
ランク427の内周部が外周側に折り返され、その折り
返された状態のブランクの内周部分が上方へ折り曲げら
れて、その折り曲げられた状態の内周側にトラベラ走行
面403となる曲面が形成されるものであって、折り曲
げる際に曲面の精度を出しやすく、トラベラ走行面40
3の寸法および形状の精度が向上する。また、それに加
えて、内側フランジ404の板厚を、図1に示す第1の
実施の形態の場合の約半分の、例えば0.4mmと薄く
できるため、リングの軽量化が図れるとともに成形加工
も一層容易となり、トラベラ走行面403として要求さ
れる曲面を容易に形成できる。
【0086】また、内側フランジ404を上述のように
炭素鋼板等を素材する板ブランクから形成することによ
り、また、適宜、表面硬化処理を行うことによって、ト
ラベラ走行面403等の耐摩耗性を向上させることがで
きる。
【0087】図8に示す例では、上述のように内側フラ
ンジ404の嵌合部の下側部分411と外側フランジ4
06の嵌合部の下部内周面との間に隙間が形成されてい
るが、この部分に隙間のない構成とすることも可能であ
る。
【0088】また、内側フランジ404を上述のように
炭素鋼板等を素材する板ブランクから形成し、適宜、表
面硬化処理を行うことによって、トラベラ走行面403
等の耐摩耗性を向上させることができる。
【0089】そして、内側フランジ404と外側フラン
ジ406が内側フランジ404の上側部分410の周面
と外側フランジ406上部の内周面414との間で例え
ば焼き嵌めにより強固に固着されるため、内側フランジ
404が衝撃によって外れることがなく、したがって、
内側フランジ404がトラベラの回転に伴って外側フラ
ンジ406上を回ったり、外側フランジ406から離脱
して、紡出が出来なくなるということがない。また、内
側フランジ404と外側フランジ406とが内側フラン
ジ404の上側部分410の周面と外側フランジ406
上部の内周面414との間で一体的に固着されるため、
トラベラがトラベラ走行面403を滑走しても、リング
フランジ部401に微振動が発生せず、トラベラはスム
ースに滑走する。このため、トラベラ或いはリングが異
常摩耗して寿命を短縮したり、トラベラの異常滑走によ
る糸切れが多発して生産性を低下するという問題点がな
くなる。
【0090】図10は上記第2の実施の形態の変形例に
係る紡機用リングのリングフランジ部の端面図である。
【0091】上記第2の実施の形態の場合は、図8に示
すようにリングフランジ部401の上面は平面状になら
ない。そこで、図10に示す紡機用リングは、内側フラ
ンジ404と外側フランジ406とが嵌合し固着される
接合部の上方にできる断面が逆円錐台形状の凹溝418
に、熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂、フェノール樹脂
等の合成樹脂接着剤419を充填し、固化させて、リン
グフランジ部401の上面を平面状にしている。そうす
ることで、上記凹溝418に異物がたまるのを防止する
ことができ、また、内側フランジ404と外側フランジ
406との固着が強固となる。
【0092】また、上記第2の実施の形態の他の変形例
として、上記図6に示す第1の実施の形態の変形例と同
様の構成、すなわち、内側フランジ404の嵌合部にお
ける上側部分410の外周面と、それに対向する外側フ
ランジ406の嵌合部上部の切り欠き部分の内周面41
4が、垂直に対し内側上方に向け例えば3°〜12°の
傾斜角をもって傾斜する構成とすることができる。
【0093】また、上記図7の示す第1の実施の形態の
変形例と同様の構成、すなわち、内側フランジ404の
嵌合部における上側部分410の外周面が垂直に対し、
また、外側フランジ406の嵌合部上部の切り欠き部分
の内周面414が垂直に対し、それぞれ内側上方に向け
例えば10°〜15°の傾斜角をもって傾斜し、内側フ
ランジ404の上側部分410の最大外径が、外側フラ
ンジ406の切り欠き部分の内周面414の最小内径以
下で、内側フランジ404を外側フランジ406に嵌合
したときに、内側フランジ404の上側部分410の外
周面と外側フランジ406の切り欠き部分の内周面41
4との間に空間が形成され、その空間に、例えばエポキ
シ系の熱硬化性樹脂接着剤が充填されて、固化され、そ
れにより内側フランジ404と外側フランジ406とが
一体的に固着される構成とすることができる。その場
合、内側フランジ404の嵌合部の下側部分411と外
側フランジ406の嵌合部の下部内周面を密着させた方
が、内側フランジ404と外側フランジ406とを位置
決めする上で効果的である。
【0094】また、上記第2の実施の形態の紡機用リン
グでは、内側フランジ404の嵌合部を段付きに形成し
ているが、上記内側フランジ404の嵌合部は、上側部
分410と下側部分411の外径が同一で、共に外側フ
ランジ406の嵌合部の切り欠き部分の内周面414に
嵌合するよう構成することもできる。
【0095】(第3の実施の形態)図11は本発明の第
3の実施の形態に係る紡機用リングの一部分を示す断面
図である。
【0096】この第3の実施の形態は、内側フランジ5
04が、図11に示すように、ドーナツ状板ブランクの
内周部が外周側に折り返され、その折り返された状態の
ブランクの内周部分が上方へ折り曲げられて、その折り
曲げられた状態の内周側に所定曲面からなるトラベラ走
行面503が形成されるとともに、折り曲げられた状態
のブランクの重なり合う上側部分510と下側部分51
1とが外周部において弾性変形可能な間隙を持つ構成と
されて、その弾性を持つ外周部が外側フランジ406と
嵌まり合う嵌合部とされ、外側フランジ506は、上面
内周側の一部が全周にわたって切り欠かれ、上部内周面
が段付き形状とされるとともに、その上部内周面の切り
欠かれた部分514の下部に全周にわたって凹溝520
が設けられて、その凹溝520が設けられた部分が内側
フランジと嵌まり合う嵌合部を構成し、これら内側フラ
ンジ504の上側部分510と下側部分511の外周部
により構成される弾性を持つ嵌合部と、外側フランジ5
06の上部内周面の切り欠かれた部分514の下部の上
記凹溝520により構成される嵌合部とが互いに嵌まり
合うようにしたものである。
【0097】この場合も、上記第1の実施の形態および
第2の実施の形態と同様に、リングフランジ部501は
内側フランジ504と外側フランジ506とに分割さ
れ、外側フランジ506は、リングネック部509を介
して、リングレール又はリングホルダーに取り付けられ
る取り付け部502と一体に形成されている。
【0098】内側フランジ504は、上記第2の実施の
形態と同様に、厚さが例えば0.4mmの鋼板(材質は
第1の実施の形態と同じ)を素材として、プレス加工に
より成形加工されるものであり、鋼板を打ち抜いて円形
板ブランクを形成し、さらにその円形板ブランクを打ち
抜いてドーナツ状板ブランクを形成し、その内周部を外
側に折り返し、その折り返した状態のブランクの内周部
分を上方へ折り曲げることにより、その折り曲げた状態
の内周側にトラベラの脚部を摺動させるトラベラ走行面
503を単一又は複数の円弧面により形成するととも
に、折り曲げた状態のブランクの重なり合う上側部分5
10と下側部分511とが外周側で弾性変形可能な間隙
を持つ構成とし、こうしてトラベラ走行面503を形成
したドーナツ状板ブランクをトリミングして、折り曲げ
られた状態のブランクの重なり合う上下二つの部分のう
ちの上側部分510が下側部分511よりも大径で、そ
れら上側部分510と下側部分511とが外周部におい
て弾性変形可能な間隙を持つ段付き形状となり、その弾
性を持つ段付き形状の外周部が外側フランジ506と嵌
まり合う嵌合部となるよう構成したものである。
【0099】また、外側フランジ506は、第1の実施
の形態と同様に、炭素鋼、合金鋼等の鉄材料又はアルミ
ニウム、アルミニウム合金等の非鉄金属材料の円筒状素
材から、切削、転造等で成形加工するものである。
【0100】この第3の実施の形態における上記内側フ
ランジ504は、上記第2の実施の形態における内側フ
ランジ404の場合と同様に、プレス機械を用いて帯状
鋼板421からプレス加工するものであり、パイロット
穴あけ工程、打ち抜き工程、バーリング下穴あけ工程、
バーリング工程、第一次曲げ工程、第二次曲げ工程、折
り曲げ工程およびトリミング工程を順次経て所要の形状
および寸法に成形される。
【0101】こうして成形した内側フランジ504は、
適宜、クロムメッキ、ニッケル・リンメッキ等のメッキ
処理、浸炭焼き入れ、浸炭窒化、金属炭化物の拡散浸
透、PVD、CVD等の表面硬化処理等の表面処理を行
う。
【0102】そして、外側フランジ506を、例えば円
筒状の炭素鋼を素材として切削加工により、リング本体
としてリングネック部509および取り付け部502と
一体に形成する。そして、このリング本体の少なくとも
外側フランジ506の部分は必要に応じて適宜同様の表
面処理を行う。
【0103】そして、内側フランジ504の上側部分5
10と下側部分511とからなる弾性を持った嵌合部を
外側フランジ506の内周面514の凹溝520に圧入
し、嵌め込んで弾性的に一体的に固定させる。
【0104】この場合、内側フランジ504の上側部分
510の外周側上端が凹溝520の上部傾斜面と接し、
下側部分511の外周側下端が凹溝520の下面と接す
ることにより、これら上側部分510と下側部分511
とからなる内側フランジ504の嵌合部がその弾性力に
より凹溝520内に確実に固定される。
【0105】内側フランジ504の嵌合部を外側フラン
ジ506の嵌合部の切り欠きの内周面514の凹溝52
0に嵌め込む手段は、圧入の他、焼き嵌めであってもよ
い。また、図11に示す例は、紡機用リング500の、
外周部に鍔512と嵌り込み部513を有する取り付け
部502を、リングレールに直接取り付けるタイプのも
のであるが、リングホルダーに取り付けるタイプの紡機
用リングとすることもできる。
【0106】この第3の実施の形態の紡機用リングは、
やはり上記第1の実施の形態と同様、特に寸法および形
状の精度が要求される内周側のトラベラ走行面503を
形成する部分を、内側フランジ504として単体で成形
加工するため、寸法および形状の精度を出すのが容易で
あり、特に、内側フランジ504が、ドーナツ状板ブラ
ンクの内周部が外周側に折り返され、その折り返された
状態のブランクの内周部分が上方へ折り曲げられて、そ
の折り曲げられた状態の内周側にトラベラ走行面503
となる曲面が形成されるものであって、折り曲げる際に
曲面の精度を出しやすく、トラベラ走行面503の寸法
および形状の精度が向上する。また、それに加えて、内
側フランジ504の板厚を、図1に示す第1の実施の形
態の場合の約半分の、例えば0.4mmと薄くできるた
め、リングの軽量化が図れるとともに成形加工も一層容
易となり、トラベラ走行面503として要求される曲面
を容易に形成できる。
【0107】また、内側フランジ504を上述のように
炭素鋼材等を素材する板ブランクから形成することによ
り、また、適宜、表面硬化処理を行うことによって、ト
ラベラ走行面503等の耐摩耗性を向上させることがで
きる。
【0108】そして、内側フランジ504と外側フラン
ジ506が、内側フランジ504の上側部分510と下
側部分511とからなる嵌合部が弾性力により外側フラ
ンジ506の凹溝520内に確実に固定されるため、内
側フランジ504が衝撃によって外れることがなくて、
内側フランジ504がトラベラの回転に伴って外側フラ
ンジ506上を回ったり、外側フランジ506から離脱
して、紡出が出来なくなるということがなく、また、ト
ラベラがトラベラ走行面503を滑走しても、リングフ
ランジ部501に微振動が発生せず、トラベラはスムー
ズに滑走する。このため、トラベラ或いはリングが異常
摩耗して寿命を短縮したり、トラベラの異常滑走による
糸切れが多発して生産性を低下するという問題点がなく
なる。
【0109】上記第3の実施の形態の他の変形例とし
て、上記図10に示す第2の実施の形態の変形例と同様
の構成、すなわち、内側フランジ504と外側フランジ
506とが嵌合し固定される接合部の上方にできる断面
が逆円錐台形状の凹溝に、熱硬化性樹脂であるエポキシ
樹脂、フェノール樹脂等の合成樹脂接着剤を充填し、固
化させて、リングフランジ部501の上面を平面状にす
ることもでき、そうすることで、上記凹溝に異物がたま
るのを防止することができ、また、内側フランジ504
と外側フランジ506との固着をより強固なものとする
ことができる。
【0110】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の紡機用リングおよびその製造方法によれば、リングフ
ランジ部の精度および耐摩耗性を向上させることがで
き、しかも、トラベラの走行時にリングフランジ部に微
振動が生じてトラベラおよびリングフランジ部が異常摩
耗して寿命が短縮したり、糸切れが多発して生産性が低
下するという問題を生ずることがなく、また、トラベラ
の着脱時にかかる負荷や衝撃によりリングフランジ部が
外れてリングフランジ部がトラベラの走行に伴い回って
しまったり、リングフランジ部が離脱して紡出ができな
くなるのを防止できる。
【0111】すなわち、本発明の紡機用リングは、特に
寸法精度および形状精度が要求される内周側のトラベラ
走行面を形成する部分を、リング本体とは別に内側フラ
ンジとして鋼板等の薄板材からプレス成形等によって形
成できるため、寸法および形状の精度を出すのが容易
で、精度の高いトラベラ走行面を形成することができ、
また、内側フランジのみ別材料で構成して耐摩耗性を向
上させることができ、また、内側フランジと外側フラン
ジとの嵌合構造に自由度があって、強固に嵌合・固着し
一体化した紡機用リングとすることができ、したがっ
て、リングフランジ部の精度および耐摩耗性を向上させ
ることができるとともに、トラベラの走行時にリングフ
ランジ部に微振動が生じてトラベラおよびリングフラン
ジ部が異常摩耗して寿命が短縮したり、糸切れが多発し
て生産性が低下するという問題を生ずることがなく、ま
た、トラベラの着脱時にかかる負荷や衝撃によりリング
フランジ部が外れてリングフランジ部がトラベラの走行
に伴い回ってしまったり、リングフランジ部が離脱して
紡出ができなくなることがないようにできる。
【0112】また、紡機用リングの内側フランジを、ド
ーナツ状板ブランクの内周部が外周側に折り返され、そ
の折り返された状態のブランクの内周部分が上方へ折り
曲げられて、その折り曲げられた状態の内周側にトラベ
ラ走行面となる所定形状の曲面が形成されるものとする
ことにより、トラベラ走行面の寸法および形状の精度を
一層向上させることができ、また、この場合に、リング
フランジ部の上面にできる凹溝に熱硬化性樹脂接着剤で
あるエポキシ樹脂等の合成樹脂を充填することにより、
この凹溝に異物がたまるのを防止するとともに、内側フ
ランジと外側フランジとの固着を一層強固とすることが
できる。
【0113】そして、内側フランジと外側フランジとの
嵌合構造は、内側フランジの外周部の嵌合部を段付き形
状とし、外側フランジの嵌合部を段付き形状の上部内周
面で構成し、それら嵌合部が互いに嵌まり合って、強固
に嵌合・固着するようにできる。
【0114】また、内側フランジを、折り返された状態
のブランクの重なり合う上側部分と下側部分とが外周部
において弾性変形可能な間隙を持つ構成で、その弾性を
持つ外周部が外側フランジと嵌まり合う嵌合部となるよ
う構成し、外側フランジを、上面内周側の一部が全周に
わたって切り欠かれ、上部内周面が段付き形状とされる
とともに、その上部内周面の切り欠かれた部分の下部に
全周にわたって凹溝が設けられて、その凹溝が設けられ
た部分が内側フランジと嵌まり合う嵌合部を構成するも
のとし、これら内側フランジの弾性を持つ外周部により
構成される嵌合部と、外側フランジの上部内周面の切り
欠かれた部分の下部の凹溝により構成される嵌合部とが
互いに嵌まり合うよう紡機用リングを構成することによ
り、内側フランジの嵌合部である弾性を持つ外周部が外
側フランジの嵌合部である凹溝に嵌まり込み、弾性力に
よって強固に固定されるようにできる。
【0115】また、内側フランジの嵌合部における上側
部分の外周面と、外側フランジの切り欠き部分の内周面
をそれぞれ傾斜角3°〜12°で内側上方に向け傾斜さ
せることにより、焼き嵌め等の固着手段による固着が緩
んでも嵌合部同士の係合が確保され、外れないようにで
きる。
【0116】また、内側フランジの嵌合部における上側
部分の外周面と、対向する外側フランジの切り欠き部分
の内周面を、それぞれ傾斜角が10°〜15°となるよ
うに内側上方に向け傾斜させるととともに、嵌合部間に
空間が形成されるようして、その嵌合部間の空間に接着
剤を充填し固化することによって内側フランジと外側フ
ランジとを固着するよう構成することにより、固化した
接着剤樹脂の楔作用によって、内側フランジの外れを防
止し、一体化が強固なものとすることができる。
【0117】また、本発明の紡機用リングは、リングフ
ランジ部が内側フランジと外側フランジとで構成され、
内側フランジは鋼板から連続加工で形成できるため、製
造工程が簡単で、製造コストも廉価になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る紡機用リング
の一部分を示す断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る紡機用リング
の内側フランジの一部分を示す断面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る紡機用リング
の外側フランジの一部分を示す断面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る紡機用リング
の内側フランジの製造におけるブランク形成過程の帯状
鋼板の一部分の平面図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る紡機用リング
の内側フランジの製造における各工程の帯状鋼板の一部
分の断面図(a)〜(g)である。
【図6】本発明の第1の実施の形態の変形例に係る紡機
用リングのリングフランジ部の端面図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態の他の変形例に係る
紡機用リングのリングフランジ部の端面図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係る紡機用リング
のリングフランジ部の端面図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係る紡機用リング
の内側フランジの製造における各工程の帯状鋼板の一部
分の断面図(a)〜(h)である。
【図10】本発明の第2の実施の形態の変形例に係る紡
機用リングのリングフランジ部の端面図である。
【図11】本発明の第3の実施の形態に係る紡機用リン
グの一部分を示す断面図である。
【図12】従来の紡機用リングの一部分を示す断面図で
ある。
【図13】従来の他の紡機用リングの一部分を示す断面
図である。
【符号の説明】
100、500 紡機用リング 101、401、501 リングフランジ部 102、502 取り付け部 103、403、503 トラベラ走行面 104、204、304、404、504 内側フラン
ジ 105 係合部 106、206、306、406、506 外側フラン
ジ 107 嵌合部 108 嵌合部 109、409、509 リングネック部 110、210、310、410、510 上側部分 111、411、511 下側部分 121、421 鋼板 125 円形板ブランク 127、427 ドーナツ状板ブランク 128、428 内周部 414、514 内周面 418 凹溝 419 合成樹脂接着剤 520 凹溝 P 空間

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 トラベラを摺接状態にて走行させるリン
    グフランジ部を備えた紡機用リングであって、 上記リングフランジ部が、内側フランジと外側フランジ
    とで構成され、 上記内側フランジは、ドーナツ状板ブランクの内周部が
    外周側に折り返されて、その折り返された状態の内周側
    にトラベラの脚部と摺接するトラベラ走行面が形成され
    るとともに、外周側に上記外側フランジと嵌まり合う嵌
    合部が形成された構成を有し、 上記外側フランジは、ネック部を介してリングレール又
    はリングホルダーに取り付けられる取り付け部と一体に
    形成されて、内周側に上記内側フランジと嵌まり合う嵌
    合部を備えるとともに、外周側にトラベラの脚部と係合
    する係合部を備え、 上記内側フランジと上記外側フランジとが、それぞれの
    嵌合部において嵌まり合い、固着手段により一体化され
    たことを特徴とする紡機用リング。
  2. 【請求項2】 トラベラを摺接状態にて走行させるリン
    グフランジ部を備えた紡機用リングであって、 上記リングフランジ部が、内側フランジと外側フランジ
    とで構成され、 上記内側フランジは、ドーナツ状板ブランクの内周部が
    外周側に折り返され、その折り返された状態のブランク
    の内周部分が上方へ折り曲げられて、その折り曲げられ
    た状態の内周側にトラベラ走行面となる所定形状の曲面
    が形成されるとともに、外周側に上記外側フランジと嵌
    まり合う嵌合部が形成された構成を有し、 上記外側フランジは、ネック部を介してリングレール又
    はリングホルダーに取り付けられる取り付け部と一体に
    形成されて、内周側に上記内側フランジと嵌まり合う嵌
    合部を備えるとともに、外周側にトラベラの脚部と係合
    する係合部を備え、 上記内側フランジと上記外側フランジとが、それぞれの
    嵌合部において嵌まり合い、固着手段により一体化され
    たことを特徴とする紡機用リング。
  3. 【請求項3】 内側フランジと外側フランジとが嵌合す
    ることによりリングフランジ部の上面に形成された凹溝
    に、合成樹脂接着剤が充填されたことを特徴とする請求
    項2記載の紡機用リング。
  4. 【請求項4】 内側フランジは、折り返された状態のブ
    ランクの重なり合う上下二つの部分のうちの上側部分が
    下側部分よりも大径で、外周部が段付き形状とされて、
    その段付き形状の外周部が外側フランジと嵌まり合う嵌
    合部を構成し、 外側フランジは、上面内周側の一部が全周にわたって切
    り欠かれ、上部内周面が段付き形状とされて、その段付
    き形状の上部内周面が内側フランジと嵌まり合う嵌合部
    を構成し、 これら内側フランジの段付き形状の外周部により構成さ
    れる嵌合部と、外側フランジの段付き形状の上部内周面
    により構成される嵌合部とが互いに嵌まり合うことを特
    徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の紡機用リ
    ング。
  5. 【請求項5】 内側フランジは、折り返された状態のブ
    ランクの重なり合う上側部分と下側部分とが外周部にお
    いて弾性変形可能な間隙を持つ構成とされて、その弾性
    を持つ外周部が外側フランジと嵌まり合う嵌合部とさ
    れ、 外側フランジは、上面内周側の一部が全周にわたって切
    り欠かれ、上部内周面が段付き形状とされるとともに、
    その上部内周面の切り欠かれた部分の下部に全周にわた
    って凹溝が設けられて、その凹溝が設けられた部分が内
    側フランジと嵌まり合う嵌合部を構成し、 これら内側フランジの弾性を持つ外周部により構成され
    る嵌合部と、外側フランジの上部内周面の切り欠かれた
    部分の下部の凹溝により構成される嵌合部とが互いに嵌
    まり合うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項
    に記載の紡機用リング。
  6. 【請求項6】 内側フランジは、折り返された状態のブ
    ランクの重なり合う上側部分と下側部分からなる外周部
    が外側フランジと嵌まり合う嵌合部を構成し、 外側フランジは、上面内周側の一部が全周にわたって切
    り欠かれ、上部内周面が段付き形状とされて、その段付
    き形状の上部内周面が内側フランジと嵌まり合う嵌合部
    を構成し、 上記内側フランジの嵌合部における上側部分の外周面
    と、該外周面と対向する上記外側フランジの切り欠き部
    分の内周面は、それぞれ傾斜角が3°〜12°となるよ
    うに内側上方に向け傾斜するよう形成され、 これら内側フランジの外周部により構成される嵌合部
    と、外側フランジの段付き形状の上部内周面により構成
    される嵌合部とが互いに嵌まり合うことを特徴とする請
    求項1〜3のいずれか1項に記載の紡機用リング。
  7. 【請求項7】 固着手段が、圧入、焼き嵌め、溶接また
    は接着であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか
    1項に記載の紡機用リング。
  8. 【請求項8】 内側フランジは、折り返された状態のブ
    ランクの重なり合う上側部分と下側部分からなる外周部
    が外側フランジと嵌まり合う嵌合部を構成し、 外側フランジは、上面内周側の一部が全周にわたって切
    り欠かれ、上部内周面が段付き形状とされて、その段付
    き形状の上部内周面が内側フランジと嵌まり合う嵌合部
    を構成し、 上記内側フランジの嵌合部における上側部分の外周面
    と、該外周面と対向する上記外側フランジの切り欠き部
    分の内周面は、それぞれ傾斜角が10°〜15°となる
    ように内側上方に向け傾斜するよう形成されるとととも
    に、上記上側部分の最大外径Eと上記切り欠き部分の最
    小内径Cとが、E≦Cの関係を有し、嵌合部間に空間が
    形成される設定とされ、 これら内側フランジの外周部により構成される嵌合部
    と、外側フランジの段付き形状の上部内周面により構成
    される嵌合部とが互いに嵌まり合い、上記嵌合部間の空
    間に接着剤が充填されて固化されることにより一体化さ
    れたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記
    載の紡機用リング。
  9. 【請求項9】 接着剤がエポキシ樹脂、フェノール樹
    脂、シアノアクリレート等の重・縮合型接着剤であるこ
    とを特徴とする請求項8記載の紡機用リング。
  10. 【請求項10】 トラベラを摺接状態にて走行させるリ
    ングフランジ部を備え、該リングフランジ部が、薄板材
    からプレス成形によって成形加工される内側フランジ
    と、リングレール又はリングホルダーに取り付けられる
    取り付け部と一体の外側フランジとで構成される紡機用
    リングの製造方法であって、 上記内側フランジは、薄板材を打ち抜いて円形板ブラン
    クを形成する打ち抜き工程と、上記円形板ブランクの中
    央部を円形状に打ち抜いてドーナツ状板ブランクを形成
    するバーリング下穴あけ工程と、上記ドーナツ状板ブラ
    ンクの内周部をフランジ状に折り立てるバーリング加工
    工程と、上記ドーナツ状板ブランクの折り立てられた内
    周部を外周側に折り返し、上下に重ね合わせて、その折
    り返した状態の内周側にトラベラ走行面を形成する折り
    返し工程と、該折り返し工程を経てトラベラ走行面が形
    成されたドーナツ状板ブランクを所定の外径寸法に打ち
    抜くトリミング工程とを順次経て所定の形状に成形加工
    し、 上記取り付け部と一体の外側フランジは、円筒状素材か
    ら切削または転造により一体に成形加工し、 上記成形加工した内側フランジを上記外側フランジの内
    周側に形成された嵌合部に、圧入、焼き嵌め、溶接また
    は接着により一体的に固着することを特徴とする紡機用
    リングの製造方法。
  11. 【請求項11】 トラベラを摺接状態にて走行させるリ
    ングフランジ部を備え、該リングフランジ部が、薄板材
    からプレス成形によって成形加工される内側フランジ
    と、リングレール又はリングホルダーに取り付けられる
    取り付け部と一体の外側フランジとで構成される紡機用
    リングの製造方法であって、 上記内側フランジは、薄板材を打ち抜いて円形板ブラン
    クを形成する打ち抜き工程と、上記円形板ブランクの中
    央部を円形状に打ち抜いてドーナツ状板ブランクを形成
    するバーリング下穴あけ工程と、上記ドーナツ状板ブラ
    ンクの内周部をフランジ状に折り立てるバーリング加工
    工程と、上記ドーナツ状板ブランクの折り立てられた内
    周部を外周側に折り返し、上下に重ね合わせる折り返し
    工程と、その折り返した状態のブランクの内周部分を上
    方へ折り曲げて、その折り曲げた状態の内周側にトラベ
    ラ走行面となる所定形状の曲面を形成する折り曲げ工程
    と、該折り曲げ工程を経てトラベラ走行面が形成された
    ドーナツ状板ブランクを所定の外径寸法に打ち抜くトリ
    ミング工程とを順次経て所定の形状に成形加工し、 上記取り付け部と一体の外側フランジは、円筒状素材か
    ら切削または転造により一体に成形加工し、 上記成形加工した内側フランジを上記外側フランジの内
    周側に形成された嵌合部に、圧入、焼き嵌め、溶接また
    は接着により一体的に嵌合固着することを特徴とする紡
    機用リングの製造方法。
  12. 【請求項12】 内側フランジを外側フランジに嵌合す
    ることによりリングフランジ部の上面に形成される凹溝
    に合成樹脂接着剤を充填することを特徴とする請求項1
    1記載の紡機用リングの製造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007500782A (ja) * 2003-07-22 2007-01-18 ダイムラークライスラー・アクチェンゲゼルシャフト プレス焼入れ部品及びその製造方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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