JP2002087917A - 歯科用接着性組成物 - Google Patents

歯科用接着性組成物

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JP2002087917A
JP2002087917A JP2000272009A JP2000272009A JP2002087917A JP 2002087917 A JP2002087917 A JP 2002087917A JP 2000272009 A JP2000272009 A JP 2000272009A JP 2000272009 A JP2000272009 A JP 2000272009A JP 2002087917 A JP2002087917 A JP 2002087917A
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Shinichi Kato
伸一 加藤
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GC Dental Industiral Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 歯質と歯科用コンポジットレジンとを、より
簡便な操作で強固に且つ安定して接着させ、更に二次齲
蝕の予防効果のある歯科用接着性組成物を提供する。 【解決手段】 歯科用接着性組成物を、混合して使用さ
れるA成分とB成分とから成り、A成分が、酸性基を有
せず水酸基を有する少なくとも一つの不飽和二重結合を
持つメタクリレート又はアクリレートと、酸性基及び水
酸基を有せず少なくとも一つの不飽和二重結合を持つメ
タクリレート又はアクリレートと、フルオロアルミノシ
リケートガラス粉末と、α−β不飽和カルボン酸重合体
と反応しない充填材とから成り、B成分が、酸性基を有
し少なくとも一つの不飽和二重結合を持つメタクリレー
ト又はアクリレートと、重量平均分子量が5,000〜40,00
0であるα−β不飽和カルボン酸重合体と、蒸留水とか
ら成り、前記A成分、B成分の少なくとも一方に重合触
媒が含まれている組成とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特に歯科用コンポ
ジットレジンによる歯牙の修復の際に使用する歯科用接
着性組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】歯科用コンポジットレジンは、審美性に
優れていることや機械的性質,操作性が優れていること
等の理由から現在、歯科用修復材として広く用いられて
いる。しかし、歯科用コンポジットレジン自体には歯質
との接着性がないため、歯質と接着させるためには専用
の歯科用接着性組成物が必要とされている。
【0003】従来使用されていた歯科用接着性組成物
は、主に不飽和有機化合物とこれを重合硬化させるため
の重合触媒とから成っている。歯科用接着性組成物は歯
科用コンポジットレジンを填入する際に窩洞に塗布して
使用されるものであるが、単に歯科用接着性組成物のみ
を使用しても充分な接着強さが得られないため、予め窩
洞を歯面処理やプライマー処理を行うことが必要となっ
ている。
【0004】歯面処理は、リン酸水溶液やクエン酸水溶
液等のコンディショナーと呼ばれる酸溶液で歯質の切削
時や窩洞形成時に生じる挫滅層(通称「スメアー層」)
を除去する目的で行われ、プライマー処理は、象牙質に
対する浸透性の高い親水性モノマーを象牙質に浸透させ
歯科用コンポジットレジンと歯牙との馴染みを良くする
目的で行われ、これらの処理を行うことで接着強さの向
上が図られている。
【0005】このため、歯科用コンポジットレジンによ
る歯牙の修復は、窩洞形成後の歯質に対して、(1)水洗
→(2)乾燥→(3)歯面処理剤塗布→(4)水洗→(5)乾燥→
(6)プライマー塗布→(7)乾燥→(8)歯科用接着剤組成物
塗布→(9)歯科用コンポジットレジン填入・形態修正→
(10)歯科用コンポジットレジン重合・研磨、のような操
作ステップで行われている。
【0006】このように従来の歯科用コンポジットレジ
ンによる歯牙の修復方法は、多くの操作ステップを必要
とするので操作が面倒であり、最終的に歯科用コンポジ
ットレジンを填入し硬化させて仕上げるまでには多くの
時間がかかっている。また各ステップの操作も難しく、
特にプライマーや歯科用接着性組成物の塗布及び乾燥の
操作には微妙なテクニックが必要となっているため、操
作ミスによる失敗も起き易く、また全ての術者が同じよ
うに良好な結果を得ることは難しい。このような原因に
より歯科用コンポジットレジンと歯質との接着が不充分
な箇所が生じると、そこから細菌等が浸入して辺縁漏洩
を起こしたり、歯髄刺激や二次齲蝕の原因となったり、
場合によっては辺縁破折等を起こすこともあり、問題点
として指摘されていた。
【0007】
【本発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来
技術の問題点を解消し、歯科用コンポジットレジンと歯
質との接着に関して、より簡便な操作で強固に且つ安定
して歯科用コンポジットレジンと歯質とを接着させ、更
に二次齲蝕の予防効果のある歯科用接着性組成物を提供
することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は前記課題を解
消すべく鋭意検討を重ねた結果、従来歯面処理に用いら
れていたリン酸水溶液やクエン酸水溶液等の酸溶液と同
様に窩洞形成時に生じた挫滅層を溶解する性能を持ち、
且つ重合可能な不飽和有機化合物であって歯科用接着性
組成物に配合した場合には接着性を向上させることが可
能な成分として酸性基を有し少なくとも一つの不飽和二
重結合を持つメタクリレート又はアクリレートを見い出
し、一方、酸性基を有せず水酸基を有する少なくとも一
つの不飽和二重結合を持つメタクリレート又はアクリレ
ートは、予め歯科用接着性組成物中に配合しても歯質に
対する浸透性が低下することなく、歯質への接着性が向
上することを確認し、これらの成分を予め歯科用接着性
組成物に配合しておくことによって歯面処理やプライマ
ー処理を行うことなく簡便な操作で強固に歯質と歯科用
コンポジットレジンを接着できることを究明した。更
に、フッ素放出性による齲蝕予防効果を持つ歯科用合着
・接着材である歯科用グラスアイオノマーセメントの技
術を応用することにより、二次齲蝕予防効果を付加でき
ることも究明して本発明に係る歯科用接着性組成物を完
成した。
【0009】
【発明実施の形態】即ち、本発明に係る歯科用接着性組
成物は、混合して使用されるA成分とB成分とから成
り、A成分が、a)酸性基を有せず水酸基を有する少な
くとも一つの不飽和二重結合を持つメタクリレート又は
アクリレートと、b)酸性基及び水酸基を有せず少なく
とも一つの不飽和二重結合を持つメタクリレート又はア
クリレートと、c)フルオロアルミノシリケートガラス
粉末と、d)α−β不飽和カルボン酸重合体と反応しな
い充填材とから成り、B成分が、e)酸性基を有し少な
くとも一つの不飽和二重結合を持つメタクリレート又は
アクリレートと、f)重量平均分子量が5,000〜4
0,000であるα−β不飽和カルボン酸重合体と、
g)蒸留水とから成り、前記A成分、B成分の少なくと
も一方に、h)重合触媒が含まれていることを特徴とす
るものである。
【0010】更にB成分に、A成分の一構成成分である
a)酸性基を有せず水酸基を有する少なくとも一つの不
飽和二重結合を持つメタクリレート又はアクリレートを
1〜60重量%含有させたり、A成分の一構成成分であ
るd)α−β不飽和カルボン酸重合体と反応しない充填
材又は増粘材を1〜60重量%含有させたり、B成分の
一構成成分であるf)重量平均分子量が5,000〜4
0,000であるα−β不飽和カルボン酸重合体が、ア
クリル酸、メタアクリル酸、2−クロロアクリル酸、3
−クロロアクリル酸、アコニット酸、メサコン酸、マレ
イン酸、イタコン酸、フマール酸、グルタゴン酸、シト
ラコン酸の中から選ばれた1種以上の共重合体又は単独
重合体であって重合可能なエチレン性不飽和二重結合を
含まない重合体であったり、c)フルオロアルミノシリ
ケートガラス粉末が100重量部に対して0.01〜2
0重量部の重合可能なエチレン性不飽和二重結合を含む
有機化合物によって表面を被覆されていたりすると、よ
り効果が高い歯科用接着性組成物が得られることも究明
したのである。
【0011】A成分に含まれるa)酸性基を有せず水酸
基を有する少なくとも一つの不飽和二重結合を持つメタ
クリレート又はアクリレートは、歯科用接着性組成物を
歯面に馴染ませる働きがあり、具体的には2−ヒドロキ
シエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタ
クリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジメタクリロキ
シプロパン、2−ヒドロキシ−1,3−ジメタクリロキ
シプロパン、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシ−3
−メタクリロキシプロポキシ)フェニル]プロパン、及
びこれらのアクリレートが例示される。なお、これらの
メタクリレート及びアクリレートは、2種類以上を組み
合わせて使用しても良いことは勿論である。
【0012】これらa)酸性基を有せず水酸基を有する
少なくとも一つの不飽和二重結合を持つメタクリレート
又はアクリレートは、A成分に5〜80重量%配合さ
れ、5重量%未満であると歯科用接着性組成物の歯面へ
の馴染みが不足する。80重量%を超えると歯科用接着
性組成物の接着性が低下する。中でも20〜40重量%
であることが好ましい。
【0013】A成分に含まれるb)酸性基及び水酸基を
有せず少なくとも一つの不飽和二重結合を持つメタクリ
レート又はアクリレートは、歯科用接着性組成物の硬化
後の強度を得るために配合され、具体的には、メチルメ
タクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメ
タクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチル
メタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレー
ト、グリシジルメタクリレート、2−メトキシエチルメ
タクリレート、2−エチルへキシルメタクリレート、ベ
ンジルメタクリレート、2,2−ビス(メタクリロキシ
フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロキ
シジエトキシフェニル)プロパン、エチレングリコール
ジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレ
ート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ブチ
レングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコ
ールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタ
クリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレー
ト、1,6−へキサンジオールジメタクリレート、トリ
メチロールエタントリメタクリレート、ペンタエリスリ
トールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテト
ラメタクリレート及びこれらのアクリレートが例示で
き、また分子中にウレタン結合を有するメタクリレート
又はアクリレート等を挙げることができる。この分子中
にウレタン結合を有するメタクリレート又はアクリレー
トとしては、ジ−2−メタクリロキシエチル−2,2,
4−トリメチルヘキサメチレンジカルバメート、及びこ
れのアクリレートが例示できる。これらのメタクリレー
ト又はアクリレートは2種類以上組み合わせて使用して
も勿論構わない。
【0014】これらb)酸性基及び水酸基を有せず少な
くとも一つの不飽和二重結合を持つメタクリレート又は
アクリレートは、A成分中に10〜70重量%含まれ、
10重量%未満であると硬化した際の歯科用接着性組成
物の強度が低下してしまい、また混合時の操作性が悪化
する。一方、70重量%を超えると歯質への接着性が低
下してしまう。好ましくは5〜20重量%が適当であ
る。
【0015】A成分に含まれるc)フルオロアルミノシ
リケートガラス粉末は、主要成分としてAl3 +,S
4 +,F-,O2 -を含み、更にSr2 +及び/又はCa2 +
を含むフルオロアルミノシリケートガラス粉末であっ
て、平均粒径が0.02〜8μm、比重が2.4〜4.
0であることが好適である。このフルオロアルミノシリ
ケートガラス粉末は、A成分中に10〜80重量%の範
囲で配合され、10重量%未満であると硬化物の強度が
弱く、また歯質接着性も低すぎる。80重量%を超える
と混合及び塗布時の操作性が低下する。好ましくは27
〜55重量%である。
【0016】このc)フルオロアルミノシリケートガラ
ス粉末は、歯科用接着性組成物の機械的強度を高める目
的で、ガラス粉末100重量部に対して0.01〜20
重量部の重合可能なエチレン性不飽和二重結合を含む有
機化合物で被覆して用いても良い。重合可能なエチレン
性不飽和二重結合を含む有機化合物としては、3−メタ
クリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリ
ロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシ
プロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロ
ピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロ
ピルメチルジエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラ
ン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2メト
キシエトキシ)シラン、3−メルカプトプロピルトリエ
トキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジ
メトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェ
ニルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、イ
ソプロピルトリ(2−アミノベンゾイル)チタネート等
が例示できる。
【0017】A成分に含まれるd)α−β不飽和カルボ
ン酸重合体と反応しない充填材の具体的な例としては、
珪砂、石英、コロイダルシリカ、長石、アルミナ、スト
ロンチウムガラス、バリウムガラス、微粉末シリカ、ホ
ウケイ酸ガラス、カオリン、タルク、炭酸カルシウム、
リン酸カルシウム、チタニア、酸化バリウム、硫酸バリ
ウム等の無機質充填材や、ポリアクリル酸メチル、ポリ
メタクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリメタ
クリル酸エチル等の有機質充填材等が挙げられる。その
他、無機質充填材を含んだポリマーを粉砕した複合フィ
ラー等も使用することができる。これらα−β不飽和カ
ルボン酸重合体と反応しない充填材を2種類以上組み合
わせて使用することも勿論差し支えない。中でも微粉末
シリカが各成分の安定性の向上には最も適している。
【0018】本発明に於いて、d)α−β不飽和カルボ
ン酸重合体と反応しない充填材の平均粒径は0.02〜
8μmであることが好ましく、またA成分中に1〜60
重量%の範囲で配合される。平均粒径が8μmを超える
場合は沈降し易く安定性に問題があり、平均粒径0.0
2μm未満の微粉末を用いた場合は絶対量としての粉末
が入り難く、物性,接着性が低下する恐れがある。ま
た、1重量%未満では接着性向上等の効果が得られ難
く、60重量%を超えると粘度が高くなりすぎ、混合不
良,接着性の低下の原因になる。
【0019】B成分に含まれるe)酸性基を有し少なく
とも一つの不飽和二重結合を持つメタクリレート又はア
クリレートは、スメアー層溶解,歯質脱灰等の歯質接着
性向上により歯質の接着性を高めるために配合され、リ
ン酸基、カルボキシル基、スルホン酸基等の酸性基を有
するメタクリレート又はアクリレートのモノマーであ
る。
【0020】リン酸基を有するメタクリレート又はアク
リレートのモノマーとしては、2−(メタ)アクリロイ
ルオキシエチルジハイドロジェンホスフェート、ビス
[2−(メタ)アクリロイルオキシエチル]ハイドロジ
ェンホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシブ
チルアシドホスフェート、6−(メタ)アクリロイルオ
キシブチルアシドホスフェート、2−(メタ)アクリロ
イルオキシエチルフェニルアシドホスフェート、8−
(メタ)アクリロイルオキシデシルアシドホスフェー
ト、10−(メタ)アクリロイルオキシデシルジハイド
ロジェンホスフェート等を挙げることができる。
【0021】カルボキシル基を有するメタクリレート又
はアクリレートのモノマーとしては、(メタ)アクリル
酸、4−(メタ)アクリロキシエチルトリメリット酸及
びその酸無水物、6−(メタ)アクリロイルオキシエチ
ルナフタレン−1,2,6−トリカルボン酸及びその酸
無水物、1,4−ジ(メタ)アクリロイルオキシエチル
ピロメリット酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチ
ルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルマ
レイン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシオキシエチ
ルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘ
キサヒドロフタル酸、11−(メタ)アクリロイルオキ
シ−1,1−ウンデカンジカルボン酸、N−(メタ)ア
クリロイル−p−アミノ安息香酸、N−(メタ)アクリ
ロイル−O−アミノ安息香酸、N−(メタ)アクリロイ
ル−5−アミノサリチル酸等を挙げることができる。
【0022】スルホン酸基を有するメタクリレート又は
アクリレートのモノマーとしては、2−スルホキシエチ
ル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリルアミド
−2−メチルプロパンスルホン酸等を挙げることができ
る。これらのリン酸基,カルボキシル基,スルホン酸基
等の酸性基を有するメタクリレート又はアクリレートの
モノマーは、2種類以上使用しても勿論差し支えない。
【0023】これらの中でもビス[2−(メタ)アクリ
ロイルオキシエチル]ハイドロジェンホスフェート、2
−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルアシドホ
スフェート、4−(メタ)アクリロキシエチルトリメリ
ット酸及びその酸無水物、6−(メタ)アクリロイルオ
キシエチルナフタレン−1,2,6−トリカルボン酸及
びその酸無水物、1,4−ジ(メタ)アクリロイルオキ
シエチルピロメリット酸が特に好ましい。
【0024】このようなe)酸性基を有し少なくとも一
つの不飽和二重結合を持つメタクリレート又はアクリレ
ートは、B成分中に1〜50重量%含まれる。1重量%
未満であるとこのモノマーの効果であるスメアー層溶解
や、歯質脱灰等の歯質接着性向上に寄与する効果が出に
くくなり、50重量%を超えると硬化性や硬化後の歯科
用接着性組成物の強度が低下する。好ましくは5〜20
重量%である。
【0025】B成分に配合されるf)重量平均分子量が
5,000〜40,000であるα−β不飽和カルボン
酸重合体は、α−β不飽和モノカルボン酸あるいはα−
β不飽和ジカルボン酸の重合体を示し、α−β不飽和カ
ルボン酸重合体が、アクリル酸、メタアクリル酸、2−
クロロアクリル酸、3−クロロアクリル酸、アコニット
酸、メサコン酸、マレイン酸、イタコン酸、フマール
酸、グルタコン酸、シトラコン酸の中から選ばれた1種
以上の共重合体又は単独重合体であることが好ましい。
これらのα−β不飽和カルボン酸重合体に於いて、5,
000未満の重量平均分子量を有する重合体を使用した
場合は、歯質への接着力も低下し、40,000を超え
る重量平均分子量を有する重合体を使用した場合は、フ
ルオロアルミノシリケートガラス粉末との反応が遅くな
り、フッ素の放出量が低下する。
【0026】このようなf)重量平均分子量が5,00
0〜40,000であるα−β不飽和カルボン酸重合体
は、B成分中に5〜80重量%含まれる。5重量%未満
であると歯質接着性が低下し、80重量%を超えると歯
科用接着性組成物の機械的強度が低下する。好ましくは
20〜50重量%である。
【0027】B成分中に配合されるg)蒸留水は本発明
に於いて必要不可欠な成分である。フルオロアルミノシ
リケートガラス粉末とα−β不飽和カルボン酸の重合体
との中和反応は水の存在下で反応が進行するため、本発
明に係る歯科用接着性組成物では水が常に存在してお
り、B成分中に5〜80重量%の範囲で用いられる。5
重量%未満であると歯質接着性が不充分であり、80重
量%を超えると硬化した歯科用接着性組成物が脆くな
る。好ましくは30〜60重量%である。
【0028】本発明に於いては、h)重合触媒をA成
分、B成分の少なくとも一方に0.1〜10重量%含
み、光重合及び/又は化学重合によって歯科用接着性組
成物のA成分のa)酸性基を有せず水酸基を有する少な
くとも一つの不飽和二重結合を持つメタクリレート又は
アクリレートと、b)酸性基及び水酸基を有せず少なく
とも一つの不飽和二重結合を持つメタクリレート又はア
クリレートと、B成分のe)酸性基を有し少なくとも一
つの不飽和二重結合を持つメタクリレート又はアクリレ
ートとを重合させるために配合される。
【0029】光重合性の重合触媒としては、増感剤と還
元剤との組み合わせが用いられる。増感剤には、カンフ
ァーキノン、ベンジル、ジアセチル、ベンジルジメチル
ケタール、ベンジルジエチルケタール、ベンジルジ(2
−メトキシエチル)ケタール、4,4´−ジメチルベン
ジル−ジメチルケタール、アントラキノン、1−クロロ
アントラキノン、2−クロロアントラキノン、1,2−
ベンズアントラキノン、1−ヒドロキシアントラキノ
ン、1−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキ
ノン、1−ブロモアントラキノン、チオキサントン、2
−イソプロピルチオキサントン、2−ニトロチオキサン
トン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチ
オキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,
4−ジイソプロピルチオキサントン、2−クロロ−7−
トリフルオロメチルチオキサントン、チオキサントン−
10,10−ジオキシド、チオキサントン−10−オキ
サイド、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチル
エーテル、イソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチ
ルエーテル、ベンゾフェノン、ビス(4−ジメチルアミ
ノフェニル)ケトン、4,4'−ビスジエチルアミノベ
ンゾフェノン、(2,4,6−トリメチルベンゾイル)
ジフェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフ
ィンオキサイド、アジド基を含む化合物等があり、これ
らの増感剤は単独又は2種類以上混合して用いても良
い。
【0030】還元剤としては、3級アミンを始めとする
各種の還元剤が使用可能である。3級アミンとしては、
N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジメチル
アミノエチルメタクリレート、トリエタノールアミン、
4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミ
ノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソア
ミルが好ましい。また他の還元剤としては、ベンゾイル
パーオキサイド、スルフィン酸ソーダ誘導体、有機金属
化合物等がある。これら還元剤は2種類以上を組み合わ
せて使用しても勿論構わない。
【0031】なお、光重合性の重合触媒が配合された歯
科用接着性組成物の場合には、紫外線又は可視光線等の
活性光線を照射することにより重合反応が達せられる。
この時の光源としては、超高圧,高圧,中圧及び低圧の
各種水銀灯、ケミカルランプ、カーボンアーク灯、メタ
ルハライドランプ、蛍光ランプ、タングステンランプ、
キセノンランプ、アルゴンイオンレーザー等が使用され
る。
【0032】化学重合性の重合触媒としては、ベンゾイ
ルパーオキサイドと3級アミン、ベンゾイルパーオキサ
イドとN−フェニルグリシン、ベンゾイルパーオキサイ
ドとp−トルエンスルフィン酸ソーダ、ベンゾイルパー
オキサイドとベンゼンスルフィン酸ソーダ、ベンゾイル
パーオキサイドとp−トルエンスルフィン酸ソーダ若し
くはベンゼンスルフィン酸ソーダと芳香族3級アミン、
過硫酸カリと芳香族3級アミン、過硫酸ソーダと芳香族
3級アミン等の組合せが利用できる。これら化学重合性
の重合触媒の組合わせは、A成分とB成分とにそれぞれ
分けて配合される。これらの重合触媒は、光重合と化学
重合とを併用しても構わない。
【0033】重合触媒は、A成分、B成分の少なくとも
一方に、0.1〜10重量%配合される。0.1重量%
未満では重合触媒による効果が得られず、10重量%を
超えて配合しても特に効果は向上しない。
【0034】本発明に係る歯科用接着性組成物に於いて
は、接着性,物性等を向上させる目的で、B成分に更
に、A成分の一構成成分であるa)酸性基を有せず水酸
基を有する少なくとも一つの不飽和二重結合を持つメタ
クリレート又はアクリレートを配合しても良い。この場
合は、B成分中に1〜60重量%の範囲にあることが好
ましい。
【0035】本発明に係る歯科用接着性組成物に於いて
は、その安定性・機械的強度を上げるためB成分に、更
にA成分の一構成成分であるd)α−β不飽和カルボン
酸重合体と反応しない充填材又は増粘材を加えても良
い。充填材を具体的に示すと、珪砂、石英、コロイダル
シリカ、長石、アルミナ、ストロンチウムガラス、バリ
ウムガラス、微粉末シリカ、ホウケイ酸ガラス、カオリ
ン、タルク、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、チタ
ニア、硫酸バリウム等の無機充填材や、ポリアクリル酸
メチル、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチ
ル、ポリメタクリル酸エチル等の有機質充填材等が挙げ
られる。その他、無機質充填材を含んだポリマーを粉砕
した複合フィラー等も使用することができる。これら充
填材を2種類以上組み合わせて使用することも勿論差し
支えない。中でも微粉末シリカが各成分の安定性の向上
には最も適している。
【0036】増粘材としては、例えばカルボキシメチル
セルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナ
トリウム、デンプン、デンプングリコール酸ナトリウ
ム、デンプンリン酸エステルナトリウム、メチルセルロ
ース、ポリアクリル酸ナトリウム、アルギン酸、アルギ
ン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエス
テル、カゼイン、カゼインナトリウム、ポリエチレング
リコール、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロ
ース、アラビアゴム、グルテン、ローストビーンガム、
ゼラチン等が挙げることができる。これらの増粘材は、
2種以上を組み合わせても良い。配合する場合にはB成
分中に1〜60重量%の範囲が好ましい。1重量%未満
であると効果が得られず、60重量%を超えると歯科接
着性組成物の歯質への浸透性が悪くなり歯質接着性が低
下し易い。なお、本発明に係る歯科用接着性組成物に於
いては、更に必要に応じて通常用いられる重合禁止剤、
紫外線吸収剤、着色剤などを適宜配合しても良い。
【0037】本発明に係る歯科用接着性組成物は、実際
の使用に当たってA成分とB成分とを重量比で4:1〜
1:4の割合で混合して使用することが硬化機構の観点
から好ましい。また、A成分とB成分とを混合して使用
する際の混合方法としては、混和皿の上で筆等により混
和する方法、また練和紙,ガラス練板等の上でスパチュ
ラ等を用いて練和する方法等が考えられるが、どのよう
な方法で混合しても良い。なお、本発明に係る歯科用接
着性組成物の実際の使用方法については、コンポジット
レジンを用いた歯科治療に於いて、窩洞形成後の歯質
を、(1)水洗→(2)乾燥→(3)歯科用接着性組成物塗布→
(4)歯科用コンポジットレジン填入・形態修正→(5)歯科
用コンポジットレジン重合・研磨、の簡単な操作ステッ
プで行うことができ、従来の歯科用コンポジットレジン
修復操作において必須とされていた、歯面処理及びプラ
イマー処理が必要なくなり、簡便な操作で術者による影
響が少なく、安定した接着性を得ることが可能となる。
【0038】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれに限定されるものではない。 <フルオロアルミノシリケートガラス粉末の作製>各実
施例、比較例に於いて使用したフルオロアルミノシリケ
ートガラス粉末は以下のようにして作製した。
【0039】◎フルオロアルミノシリケートガラス粉末
I 酸化アルミニウム23g、無水硅酸30g、フッ化スト
ロンチウム30g、リン酸アルミニウム5g、及びフッ
化アルミニウム12gを充分混合し、1300℃の高温
電気炉中で5時間保持しガラスを熔融させた。熔融後冷
却し、ボールミルを用い10時間粉砕し、200メッシ
ュ(ASTM)ふるいを通過させた粉をフルオロアルミ
ノシリケートガラス粉末とし、このガラス粉末100重
量部に対して、3−メタクリルオキシプロピルトリメト
キシシランを15%含むエタノール溶液30重量部を加
え乳鉢中で充分混合した後、蒸気乾燥機を用いて120
℃で2時間乾燥しシラン処理を行った。得られたガラス
粉末は、比重3.0,平均粒径2.2μmであった。
【0040】◎フルオロアルミノシリケートガラス粉末
II 酸化アルミニウム23g、無水硅酸41g、フッ化カル
シウム10g、リン酸カルシウム13g、及びリン酸ア
ルミニウム13gを充分混合し、1100℃の高温電気
炉中で5時間保持しガラスを熔融させた。熔融後冷却
し、ボールミルを用い10時間粉砕し、200メッシュ
(ASTM)ふるいを通過させた粉をガラス粉末とし、
このガラス粉末100重量部に対してビニルトリエトキ
シシランを10重量%含むエチルアルコール溶液30重
量部を加え乳鉢中で充分混合した後、蒸気乾燥器を用い
110℃で2時間乾燥しシラン処理を行った。得られた
ガラス粉末は、比重3.3,平均粒径2.3μmであっ
た。
【0041】 実施例1 〔A成分〕 2−ヒドロキシエチルメタクリレート: 40重量% 2−ヒドロキシ−1,3−ジメタクリロキシプロパン: 8重量% ジ−2−メタクリロキシエチル2,2,4トリメチレンジカルバメート: 7重量% フルオロアルミノシリケートガラス粉末I: 40重量% 微粉末シリカ: 3重量% カンファーキノン: 1重量% 4−ジメチルアミノ安息香酸メチル: 1重量% を混合してA成分を作製した。 〔B成分〕 2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルアシドホスフェート 11重量% 重量平均分子量18,000のポリアクリル酸: 38重量% 蒸留水: 51重量% を混合してB成分を作製した。
【0042】 実施例2 〔A成分〕 2−ヒドロキシエチルメタクリレート: 30重量% ジ−2−メタクリロキシエチル2,2,4トリメチレンジカルバメート: 6重量% トリエチレングリコールジメタクリレート: 6重量% フルオロアルミノシリケートガラス粉末II: 51重量% 微粉末シリカ: 5重量% カンファーキノン: 1重量% 4−ジメチルアミノ安息香酸メチル: 1重量% を混合してA成分を作製した。 〔B成分〕 1,4−ジ(メタ)アクリロイルオキシエチルピロメリット酸: 12重量% 重量平均分子量18,000のポリアクリル酸: 38重量% 蒸留水: 43重量% 2−ヒドロキシエチルメタクリレート: 7重量% を混合してB成分を作製した。
【0043】このようにして調製した歯科用接着性組成
物のA成分とB成分を混和皿上に採取し、筆を用いて混
和後歯科用コンポジットレジンと歯質との接着強さ,適
合状態,歯科用接着性組成物からのフッ素イオン放出率
を以下に示す方法によって評価した。なお、実施例、比
較例に於いてA成分とB成分混和比は重量比で2:1と
し、配合組成,配合量及び結果は表1〜3に纏めて示し
た。
【0044】〈接着強さ試験測定法〉 牛の新鮮な前歯表面を#600の耐水研磨紙によっ
て象牙質及びエナメル質を6個ずつ露出、研磨した。 研磨した象牙質又はエナメル質面に直径3mmの穴の
開いたフッ素樹脂テープを貼って被着面積を規定した。 この規定した被着面を水洗し、エアーによる乾燥を
行った。 試料の被着面に混和した歯科用接着性組成物を筆を
用いて薄く塗布した。 可視光線照射器(製品名:ジーシーニューライトV
L−II,ジーシー社製)にて20秒間光照射した。な
お、光重合触媒を含まない配合の実施例では歯科用接着
性組成物に対する光照射を行う必要はない。 内径5.0mm,高さ2.0mmのシリコーンゴム型にて接着
面に光重合型歯科用コンポジットレジン(製品名:ユニ
フィルS,ジーシー社製)を填入し、前記可視光線照射
器により40秒間光照射し歯科用コンポジットレジンを
重合させた。 試験体を37℃,相対湿度100%の恒温漕に24
時間置いた後、試験体上部に引張り用アクリルロッドを
装着し、万能試験機(製品名:オートグラフ,島津社
製)にて、クロスヘッドスピード1mm/min.の速度で引
張り接着強さを求めた。
【0045】〈適合試験観察法〉 人抜去大臼歯の歯軸面にsaucer Type窩洞を形成し
た。 前述の接着強さ測定法に準じて、各種調整した歯科
用接着性組成物を歯質接着面に塗布し、光重合型歯科用
コンポジットレジンを窩洞内に填入し重合した。 重合後、試料を37℃の水中に24時間保管した
後、窩洞中央部を歯軸に対して垂直に水平断し、断面を
注水下で耐水研磨紙#1000で平滑に仕上げた。 断面をリン酸溶液にて軽く酸触させた後、同面の精
密レプリカを作製し、そのレプリカ面をSEM観察して
歯科用コンポジットレジンと象牙質面との接合状態を観
察した。 適合状態の判定は、歯科用コンポジットレジンと象
牙質面との間の隙間を判定する笹崎の方法(日本歯科保
存学会誌28号、452-478頁,1985)によった。判定は窩
洞の底部付近を同法のa〜eの5段階(a:優れた適合
性で隙間無し、b:極僅かな隙間あり、c:5μm未満
の隙間あり、d:5μm〜10μmの隙間あり、e:10μ
mを超える隙間あり)のスコアー評価により行った。
【0046】<歯科用接着性組成物からのフッ素イオン
放出率の測定>硬化前の混合した歯科用接着性組成物を
深さ1mm、直径6mmの円筒状の穴を2個開けたアクリル
型に填入しガラス練板で圧接し20秒間の光照射で硬化
させた後、ガラス練板を取り外した。得られた硬化体を
アクリル型から取り外さずに37℃湿度100%に保っ
た恒温槽中に1時間静置した。次いで得られた硬化体を
アクリル型から取り外さずに8mlの蒸留水中に浸漬し3
7℃の恒温槽にて保持し、7日間経過後に取り出して2
mlの蒸留水で洗浄し、その洗浄水と合わせて10mlの水
中に溶出したフッ素イオン総量をフッ素電極を装備した
イオンメーターにて測定し、その測定フッ素イオン総量
を露出している硬化体の表面積で除してフッ素イオン放
出率とした。
【0047】〈実施例3〜9〉実施例1,2と同様にし
て表1〜2に示す組成及び配合量で歯科用接着性組成物
のA成分とB成分とを調整し各試験を行った。尚、表中
にA,B成分を構成する構成成分記号を括弧内に記載し
た。
【0048】〈比較例1〜3〉比較例として本発明の必
要構成成分をそれぞれ含まない配合を表3に示す組成及
び配合量で歯科用接着性組成物のA成分とB成分とを調
整し、前記方法と同様の試験を行った。
【0049】〈比較例4〉従来の歯科用接着剤組成物と
同様の組成ついて、前記と同様の比較試験を実施した。
なお、比較例4では窩洞の水洗,乾燥の後、歯科用接着
剤組成物の塗布までの間に、以下のような歯面処理及び
プライマー処理を行った。 歯面処理:3%塩化第2鉄含有15%クエン酸水溶液を
塗布して約20秒間放置後、水洗,乾燥。 プライマー処理:20%2−ヒドロキシエチルメタクリ
レート水溶液を塗布して約10秒間放置後、乾燥。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
【表3】
【0053】表1〜3から明らかなように実施例1〜9
の歯科用接着性組成物は、比較例1〜3と比較して歯面
処理及びプライマー処理を必要としない簡単な接着操作
でありながら、歯質と歯科用コンポジットレジンとを安
定した高い接着強さで接着することができた。更に、従
来の歯科用接着剤組成物と同等な比較例4では、プライ
マー処理が必要なため接着操作が面倒であるばかりでな
く、歯面処理のでき具合による影響が大きく、接着強さ
の標準偏差が大きくなっていた。また、実施例1〜9は
比較例1〜3と比較して、歯質と歯科用コンポジットレ
ジン間の適合に優れた修復が可能であることが確認でき
た。
【0054】
【発明の効果】以上に詳述した如く本発明に係る歯科用
接着性組成物は、歯科用コンポジットレジンを用いた歯
科治療に於いて窩洞形成後の歯質を、(1)水洗→(2)乾燥
→(3)歯科用接着性組成物塗布→(4)歯科用コンポジット
レジン填入・形態修正→(5)歯科用コンポジットレジン
重合・研磨、の簡単な操作ステップで行うことができ、
従来の歯科用コンポジットレジン修復操作において必須
とされていた、歯面処理及びプライマー処理が必要なく
なり、簡便な操作で術者による影響が少なく、歯質と歯
科用コンポジットレジンとの安定した接着性を得ること
が可能とするものである。
【0055】更に、本発明に係る歯科用接着性組成物
は、A成分中の構成成分であるフルオロアルミノシリケ
ートガラス粉末中に含まれるフッ素が放出されることに
よって、歯質強化による二次う蝕等の予防効果も期待で
きるのである。
【0056】このように、簡単な操作ステップで術者に
よる影響が少なく、歯質と歯科用コンポジットレジンと
の安定した接着性を得ることが可能で、且つフッ素の放
出による歯質強化も期待できる本発明に係る歯科用接着
性組成物の歯科医療に貢献する価値は非常に大きなもの
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4C089 AA10 BA01 BA04 BA08 BA13 BA14 BA16 BA18 BC02 BC06 BC07 BC08 BC10 BC11 BD01 BE02 BE03 4J040 BA082 BA112 BA122 BA142 BA152 BA162 BA192 DF011 DF012 DF042 DF052 DG001 DG002 EE022 FA101 FA102 FA141 FA142 FA161 FA162 FA171 FA172 FA211 FA212 GA05 GA07 GA25 GA27 HA136 HA196 HA256 HA286 HA306 HA316 HA346 HA356 HB13 HB19 HB21 HB41 HC01 HC25 HD11 HD19 HD27 HD41 JA13 JB08 KA03 KA07 KA14 KA15 KA21 KA25 KA42 LA01 LA06 MA10 MA15 NA03

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 混合して使用されるA成分とB成分とか
    ら成り、 A成分が、a)酸性基を有せず水酸基を有する少なくと
    も一つの不飽和二重結合を持つメタクリレート又はアク
    リレートと、b)酸性基及び水酸基を有せず少なくとも
    一つの不飽和二重結合を持つメタクリレート又はアクリ
    レートと、c)フルオロアルミノシリケートガラス粉末
    と、d)α−β不飽和カルボン酸重合体と反応しない充
    填材とから成り、 B成分が、e)酸性基を有し少なくとも一つの不飽和二
    重結合を持つメタクリレート又はアクリレートと、f)
    重量平均分子量が5,000〜40,000であるα−
    β不飽和カルボン酸重合体と、g)蒸留水とから成り、 前記A成分、B成分の少なくとも一方に、h)重合触媒
    が含まれていることを特徴とする歯科用接着性組成物。
  2. 【請求項2】 混合して使用されるA成分とB成分とか
    ら成り、 A成分が、 a)酸性基を有せず水酸基を有する少なくとも一つの不飽和二重結合を持つメタ クリレート又はアクリレート 5〜80重量% b)酸性基及び水酸基を有せず少なくとも一つの不飽和二重結合を持つメタクリ レート又はアクリレート 1〜70重量% c)フルオロアルミノシリケートガラス粉末 10〜80重量% d)α−β不飽和カルボン酸重合体と反応しない充填材 1〜60重量% とから成り、 B成分が、 e)酸性基を有し少なくとも一つの不飽和二重結合を持つメタクリレート又はア クリレート 1〜50重量% f)重量平均分子量が5,000〜40,000であるα−β不飽和カルボン酸 重合体 5〜80重量% g)蒸留水 5〜80重量% から成り、 前記A成分、B成分の少なくとも一方に、 h)重合触媒 0.1〜10重量% が含まれていることを特徴とする請求項1に記載の歯科
    用接着性組成物。
  3. 【請求項3】 B成分に、更にa)酸性基を有せず水酸
    基を有する少なくとも一つの不飽和二重結合を持つメタ
    クリレート又はアクリレートを1〜60重量%含む請求
    項1又は2に記載の歯科用接着性組成物。
  4. 【請求項4】 B成分に、更にd)α−β不飽和カルボ
    ン酸重合体と反応しない充填材又は増粘材が1〜60重
    量%含まれている請求項1ないし3のいずれか1項に記
    載の歯科用接着性組成物。
  5. 【請求項5】 f)重量平均分子量が5,000〜4
    0,000であるα−β不飽和カルボン酸重合体が、ア
    クリル酸、メタアクリル酸、2−クロロアクリル酸、3
    −クロロアクリル酸、アコニット酸、メサコン酸、マレ
    イン酸、イタコン酸、フマール酸、グルタゴン酸、シト
    ラコン酸の中から選ばれた1種以上の共重合体又は単独
    重合体であって重合可能なエチレン性不飽和二重結合を
    含まない重合体である請求項1ないし4のいずれか1項
    に記載の歯科用接着性組成物。
  6. 【請求項6】 c)フルオロアルミノシリケートガラス
    粉末が100重量部に対して0.01〜20重量部の重
    合可能なエチレン性不飽和二重結合を含む有機化合物に
    よって表面を被覆されている請求項1ないし5のいずれ
    か1項に記載の歯科用接着性組成物。
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