JP2002081549A - シール構造 - Google Patents

シール構造

Info

Publication number
JP2002081549A
JP2002081549A JP2000270749A JP2000270749A JP2002081549A JP 2002081549 A JP2002081549 A JP 2002081549A JP 2000270749 A JP2000270749 A JP 2000270749A JP 2000270749 A JP2000270749 A JP 2000270749A JP 2002081549 A JP2002081549 A JP 2002081549A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
seal ring
mounting space
insertion hole
axial direction
peripheral wall
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2000270749A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4471476B2 (ja
Inventor
Toru Tanaka
亨 田中
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Honda Motor Co Ltd
Original Assignee
Honda Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Honda Motor Co Ltd filed Critical Honda Motor Co Ltd
Priority to JP2000270749A priority Critical patent/JP4471476B2/ja
Publication of JP2002081549A publication Critical patent/JP2002081549A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4471476B2 publication Critical patent/JP4471476B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Gasket Seals (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 シール面積を大きくすることでシール性を向
上させ、しかも挿入孔に挿入された部材を径方向に保持
することができるシール構造を提供する。 【解決手段】 燃料噴射弁1と、燃料噴射弁1が挿入さ
れた挿入孔20を有するシリンダヘッド2との間の密封
は、段部10c,20c間に形成された円筒状の装着空間Sに
装着された弾性材からなる円筒状のシールリング30によ
りなされる。装着空間Sへの装着前のシールリング30の
断面形状は、装着空間Sの断面形状である軸方向に長い
長方形よりも軸方向の長さが長い長方形であり、挿入孔
20への燃料噴射弁1の挿入完了状態では、両段部10c,2
0cの段差壁面13,23により軸方向に圧縮されたシールリ
ング30は、その軸方向の両端面31,32が、両段差壁面1
3,23の全面に対してそれぞれ面圧を作用させ、その内
周面33の全面が、外周壁面12に対して面圧を作用させ、
その外周面34の全面が、挿入孔20の周壁面21に対して面
圧を作用させた状態で、燃料噴射弁1を保持する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、第1部材と、該第
1部材が挿入された挿入孔を有する第2部材との間を、
弾性材からなるシールリングにより密封するシール構造
に関し、例えばシリンダヘッドに取り付けられた燃料噴
射弁を有する内燃機関において、燃料噴射弁と該燃料噴
射弁が挿入されたシリンダヘッドとの間に適用されるシ
ール構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、希薄燃焼による排気エミッション
の改善および燃費の改善に効果的な火花点火式の内燃機
関として、シリンダヘッドに設けられた燃料噴射弁から
燃焼室内に燃料を直接噴射する筒内噴射式内燃機関が知
られている。この内燃機関では、シリンダヘッドに設け
られた挿入孔に燃料噴射弁が挿入され、燃料噴射弁の先
端10dが燃焼室に臨んでいる。そのため、燃料噴射弁と
挿入孔との間から燃焼室内の高圧の燃焼ガスが漏れない
ようにする必要があり、そのための種々なシール構造が
提案されている。
【0003】例えば特開平10−318093号公報に
開示されたものは、筒内噴射式内燃機関において、燃料
噴射弁のハウジングの外周に設けられたネジと、シリン
ダヘッドの取付穴の内径に設けられた雌ネジとを螺合さ
せ、その螺合の締め付けトルクにより、燃料噴射弁と取
付穴の底面との間に設けられた金属またはグラファイト
からなるシール部材に加える荷重を調整するようになっ
ている。そして、ネジと雌ネジとの螺合の締め付けトル
クを調整することで、シール部材に対して、燃焼ガスを
シールするのに最適な軸方向の荷重を設定でき、燃料噴
射弁の取付と共に確実なシール性が得られる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前記従来技
術では、環状のシール部材は、その軸方向の長さが径方
向の幅よりも小さい板材であるか、もしくはCリングま
たはOリングであることから、シール面は燃料噴射弁と
取付穴の底面との間の互いに軸方向に対向する面のみで
ある。そのため、シール面積は比較的小さく、確実なシ
ール性を確保するには、面圧を大きくする必要があり、
その高い面圧に起因してシール部材の寿命が短くなる難
点があった。また、このシール部材は、燃料噴射弁を径
方向に保持することができないため、そのための保持部
材または保持部分を別途設ける必要があって、取付穴の
軸方向長さが長くなり、シリンダヘッドの軸方向の寸法
が大きくなっていた。
【0005】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たものであって、請求項1ないし請求項5記載の発明
は、シール面積を大きくすることでシール性を向上さ
せ、しかも挿入孔に挿入された部材を径方向に保持する
ことができるシール構造を提供することを共通の目的と
し、請求項5記載の発明は、さらに、挿入荷重の低減に
より、挿入孔へ挿入される部材の組付け性を向上させる
ことを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段および発明の効果】本願の
請求項1記載の発明は、回転面からなる外周壁面を有す
る段付きの第1部材と、該第1部材が挿入された円孔か
らなる段付きの挿入孔を有する第2部材との間の密封
が、前記第1部材の段部と前記挿入孔の段部との間に形
成された円筒状の装着空間に装着された弾性材からなる
円筒状のシールリングによりなされるシール構造におい
て、前記装着空間への装着前の前記シールリングの軸方
向長さは、前記装着空間の軸方向長さよりも長く、前記
挿入孔への前記第1部材の挿入完了状態で、前記両段部
の段差壁面により軸方向に圧縮された前記シールリング
は、その軸方向の両端面が、前記両段差壁面の全面に対
してそれぞれ面圧を作用させ、その内周面の全面が、前
記外周壁面に対して面圧を作用させ、その外周面の全面
が、前記周壁面に対して面圧を作用させた状態で、前記
第1部材を保持するシール構造である。
【0007】この請求項1記載の発明によれば、シール
リングは、装着前の軸方向長さが装着空間の軸方向長さ
よりも長い分を潰し代として、挿入完了状態で軸方向に
圧縮されているため、軸方向の面圧を両段差壁面の全面
に対して作用させる一方、該圧縮に基づいて生じるシー
ルリングの径方向の伸長が、第1部材の外周壁面および
挿入孔の周壁面により押さえられるため、径方向につい
ても圧縮された状態にあり、それによって生じたシール
リングの径方向の面圧が、シールリングの内周面全面お
よび外周面全面で、外周壁面および周壁面に対してそれ
ぞれ作用している。そのため、シールリングは、実質的
にその全表面で、第1部材の外周壁面および段差壁面
と、挿入孔の周壁面および段差壁面とに対して面圧を作
用させる。また、第1部材が、外周壁面および周壁面で
押さえられた状態にあるシールリングの内周面全面で押
圧されるので、大きな力で径方向に保持される。
【0008】その結果、第1部材と第2部材との間が、
シールリングの軸方向および周方向において、シールリ
ングの実質的に全表面で密封されるので、シール面積が
大きくなり、シール性が向上する。また、第1部材が径
方向に大きな力で保持されるので、第2部材に設けられ
る、第1部材の径方向での保持部材または保持部分を、
軸方向に小さくすることまたは省くことが可能となっ
て、第2部材の軸方向の寸法を小さくすることが可能で
あるため、第2部材のコンパクト化ができ、また軸方向
の長さが短い挿入孔であっても第1部材を径方向に確実
に保持することが可能となって、第1部材または挿入孔
の配置の自由度が増加する。
【0009】請求項2記載の発明は、請求項1記載のシ
ール構造において、前記装着空間の断面形状は、軸方向
に長い第1長方形であり、前記装着空間への装着前の前
記シールリングの断面形状は、前記第1長方形よりも軸
方向に長い第2長方形であるものである。
【0010】この請求項2記載の発明によれば、装着空
間およびシールリングの断面形状が共に長方形であるの
で、シールリングは、両段差壁面、外周壁面および周壁
面に対して、該各壁面の接触面全面において略均等な面
圧を作用させることができて、全体のシール性が、部分
的なシール性の低下の影響を受けにくくなる。さらに、
それら長方形が軸方向に長いため、シールリングの内周
面全面で押圧される軸方向の範囲が増加し、軸方向での
シール性が向上すると共に、第1部材が軸方向の広い範
囲に渡って径方向に保持される。
【0011】その結果、請求項1記載の発明の効果に加
えて、シールリングが面圧を作用させている各壁面の接
触面全面で略均等な面圧が作用するため、全体のシール
性が、部分的なシール性の低下の影響を受けにくく、安
定して高いシール性を確保できる。さらに、装着空間お
よびシールリングの断面形状が軸方向に長い長方形なの
で、軸方向でのシール性が向上すると共に、第1部材
は、シールリングの内周面全面からの略均等な面圧でか
つ軸方向で一層広い範囲で押圧されるので、第1部材の
径方向保持が一層確実になされ、第2部材のコンパクト
化を一層進めることが可能となり、また第1部材または
挿入孔の配置の自由度が一層増加する。
【0012】請求項3記載の発明は、請求項1記載のシ
ール構造において、前記装着空間の断面形状は、軸方向
に長い第1平行四辺形であり、前記装着空間への装着前
の前記シールリングの断面形状は、前記第1平行四辺形
よりも軸方向に長い第2平行四辺形であり、該第2平行
四辺形の前記内周面側でかつ前記挿入孔の前記段差壁面
寄りの前記端面側の第2内角は、前記第1平行四辺形の
前記外周壁面側でかつ前記挿入孔の前記段差壁面側の第
1内角よりも小さく、該第1内角は鋭角または直角であ
るものである。
【0013】この請求項3記載の発明によれば、第2平
行四辺形の内周面側でかつ挿入孔の段差壁面寄りの端面
側の第1内角およびその対角は、第1平行四辺形の外周
壁面側でかつ挿入孔の段差壁面側の第1内角およびその
対角よりも小さく、しかも第1内角は鋭角または直角で
あるため、シールリングの、これら内角およびその対角
の形成部分は、シールリングの軸方向の端面と段差壁面
とが全面で接触するまで、段差壁面との接触面積が小さ
くなり、挿入孔への第1部材の挿入過程で、シールリン
グを軸方向に圧縮するときの挿入荷重は小さくなる。し
かも、シールリングの、外周壁面と周壁面との間の流体
が侵入する部分および外部と連通する部分にそれぞれ隣
接する部分である前記形成部分が、他の部分に比べて大
きい圧縮量で圧縮されるので、これら部分に軸方向の大
きい面圧が発生し、シール性が高くなる。また、装着空
間およびシールリングの断面形状である平行四辺形が軸
方向に長いため、軸方向でのシール性が向上すると共
に、第1部材が軸方向の広い範囲に渡って径方向に保持
される。
【0014】その結果、請求項1記載の発明の効果に加
えて、シールリングを圧縮する際の挿入荷重を低減する
ことができるので、第2部材への第1部材の組付け性を
向上させることができ、しかもシールリングにおいて、
外周壁面と周壁面との間の流体が侵入する部分に隣接す
る部分および外部に連通する部分に隣接する部分で大き
な面圧を作用させることができるので、高いシール性を
維持できる。さらに、装着空間およびシールリングの断
面形状が軸方向に平行四辺形なので、軸方向でのシール
性が向上すると共に、第1部材は、シールリングの内周
面全面からの面圧でかつ軸方向で一層広い範囲で押圧さ
れるので、第1部材の径方向保持が一層確実になされ、
第2部材のコンパクト化を一層進めることが可能とな
り、また第1部材または挿入孔の配置の自由度が一層増
加する。
【0015】請求項4記載の発明は、請求項1記載のシ
ール構造において、前記外周壁面は、前記装着空間を形
成すると共に前記第1部材の挿入方向に先細の円錐面か
らなるテーパ部を有し、前記装着空間の断面形状は、軸
方向に長い第1台形であり、前記装着空間への装着前の
前記シールリングの断面形状は、前記第1台形よりも軸
方向に長い第2台形であり、前記第1台形の前記テーパ
部側でかつ前記挿入孔の前記段差壁面側の内角および前
記第2台形の前記内周面側でかつ前記挿入孔の前記段差
壁面寄りの前記端面側の内角は略等しい角度であって共
に鋭角であり、前記第1台形の前記周壁面側でかつ前記
挿入孔の前記段差壁面側の内角および第2台形の前記外
周面側でかつ前記挿入孔の前記段差壁面寄りの前記端面
側の内角は略等しい角度であって共に略直角であり、前
記第1台形および前記第2台形の平行な対辺の短辺の長
さが略等しいものである。
【0016】この請求項4記載の発明によれば、第1台
形のテーパ部側でかつ挿入孔の段差壁面側の内角および
第2台形の内周面側でかつ挿入孔の段差壁面寄りの端面
側の内角は略等しい角度であって共に鋭角であるので、
シールリングの、外周壁面と周壁面との間の流体が侵入
する部分が、シールリングの径方向の幅が大きい部分に
相当するため、シールリングが圧縮された際、この部分
が他の部分に比べて大きく径方向に押さえられることに
なって、径方向に大きい面圧が発生し、この部分でのシ
ール性が高くなる。また、装着空間およびシールリング
の断面形状である台形が軸方向に長いため、軸方向での
シール性が向上すると共に、第1部材が軸方向の広い範
囲に渡って径方向に保持される。
【0017】その結果、請求項1記載の発明の効果に加
えて、外周壁面と周壁面との間の流体が侵入する部分で
大きな径方向の面圧を作用させることができるので、高
いシール性を維持できる。さらに、装着空間およびシー
ルリングの断面形状が軸方向に長い台形なので、前述の
流体が侵入する部分を含めて軸方向でのシール性が向上
すると共に、第1部材は、シールリングの内周面全面か
らの面圧でかつ軸方向で一層広い範囲で押圧されるの
で、第1部材の径方向保持が一層確実になされ、第2部
材のコンパクト化を一層進めることが可能となり、また
第1部材または挿入孔の配置の自由度が一層増加する。
【0018】請求項5記載の発明は、請求項1ないし請
求項4のいずれか1項記載のシール構造において、前記
装着空間への装着前の前記シールリングの内径および外
径は、前記装着空間の軸方向長さの略全長に渡る範囲
で、該装着空間の内径および外径にそれぞれ略等しいも
のである。
【0019】この請求項5記載の発明によれば、装着前
のシールリングの内径および外径は、装着空間の軸方向
長さの略全長に渡る範囲で、装着空間の内径および外径
にそれぞれ略等しいので、第1部材が挿入孔に挿入され
る際、シールリングが圧縮されるまでの挿入過程では、
シールリングが径方向に圧縮されることがないか、また
は僅かに圧縮されるだけであり、その間の挿入荷重は極
めて小さく、また、シールリングが軸方向に圧縮された
とき、シールリングの径方向の変形が直ちに外周壁面お
よび周壁面により押さえられ、径方向の高い面圧を容易
に発生させることができ、さらに、第1部材に嵌合され
たシールリングが、挿入孔への第1部材の挿入時に外れ
にくくなる。
【0020】その結果、引用された請求項記載の発明の
効果に加えて、シールリングが圧縮されるまでの、挿入
孔への第1部材の挿入過程での挿入荷重は極めて小さい
ので、第2部材への第1部材の組付け性が向上し、しか
も両段差壁面へシールリングが当接した時点では、シー
ルリングの圧縮変形度合いは小さく、圧縮変形余裕が大
きいため、その後の挿入荷重の増大により、シールリン
グを軸方向に比較的大きく圧縮変形できるので、前記潰
し代を大きくすることができて、面圧を大きくすること
ができる。しかも、シールリングが軸方向に圧縮された
とき、少ない圧縮量でも、径方向の高い面圧を容易に発
生させることができる。さらに、第1部材に嵌合された
シールリングが、挿入孔への第1部材の挿入時に外れに
くいので、この点でも第2部材への第1部材の組付け性
が向上する。したがって、良好な組付け性を確保した上
で、シール性を向上させることができる。
【0021】なお、この明細書において、特に断らない
限り、「断面」という用語は、第1部材または燃料噴射
弁、挿入孔またはシールリングの中心軸線を含む任意の
平面での断面を意味するものとする。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を図1〜図
3を参照して説明する。図1は、本発明のシール構造
が、火花点火式の筒内噴射式内燃機関において、燃料噴
射弁と、該燃料噴射弁が取り付けられるシリンダヘッド
との間に適用された第1実施例を示すものである。燃料
噴射弁1は、シリンダのシリンダ孔内に摺動自在に嵌合
されて往復動するピストンとの間に燃焼室3を形成する
シリンダヘッド2に取り付けられる。先端10dから燃料
を燃焼室3に噴射する燃料噴射弁1の、シリンダヘッド
2に設けられた挿入孔20に挿入される挿入部10は、大径
部10aと、該大径部10aよりも先端10d寄りに位置する小
径部10bと、大径部10aと小径部10bとにより形成される
段部10cとを有する段付きのものである。大径部10aの回
転面である円柱面からなる外周壁面11と小径部10bの回
転面である円柱面からなる外周壁面12とは、段部10c
の、挿入部10の中心軸線Lと直交する平面からなる段差
壁面13を介して接続される。
【0023】一方、燃焼室3に開口する円孔から形成さ
れる挿入孔20は、挿入部10が挿入孔20に挿入されて、燃
料噴射弁1がシリンダヘッド2において所定位置を占め
て、図示されないステー等の固定手段によりシリンダヘ
ッド2に固定された挿入完了状態において、挿入部10の
大径部10aと径方向の微小な第1間隙4を介して対向す
る大径部20aと、小径部10bと径方向の微小な第2間隙5
を介して対向する小径部20bと、大径部20aと小径部20b
とにより形成される段部20cとを有する段付きのもので
ある。大径部20aの周壁面21と小径部20bの周壁面22と
は、段部20cの、挿入孔20の中心軸線Lと直交する平面
からなる段差壁面23を介して接続される。なお、第1,
第2間隙4,5は、挿入部10の挿入孔20への挿入を許容
する範囲で、極力小さい値に設定される。
【0024】そして、前記挿入完了状態において、段差
壁面13と、中心軸線L方向である軸方向に所定間隔をお
いて先端10d寄りに位置すると共に該段差壁面13と対向
する段差壁面23と、外周壁面12と、周壁面21と、第1,
第2間隙4,5において両段差壁面13,23を含む平面に
囲まれて、後述するシールリング30が装着される円筒状
の装着空間Sが形成される。この装着空間Sの断面形状
は、軸方向に長い長方形(「第1長方形」という)であ
る。
【0025】一方、装着空間Sに装着される円筒状のシ
ールリング30は、PTFE等のフッ素樹脂に代表される
合成樹脂、またはフッ素ゴム、シリコンゴム等の合成ゴ
ム、またはフッ素樹脂のコーティングを施した合成ゴム
からなる弾性材により形成される。このシールリング30
の断面形状は、中心軸線L方向である軸方向に長い長方
形(「第2長方形」という)である。そして、シールリ
ング30の、装着空間Sに装着される前の自然な状態での
軸方向長さは、前記所定間隔に相当する装着空間Sの軸
方向長さよりも所定値だけ長くされ、また、その内径お
よび外径は、装着空間Sの軸方向長さの略全長に渡る範
囲で、小径部10bの外周壁面12により規定される装着空
間Sの内径および大径部20aの周壁面21により規定され
る装着空間Sの外径に、それぞれ略等しくされる。
【0026】それゆえ、燃料噴射弁1の挿入部10が挿入
孔20に挿入されるときは、先ず、小径部10bにシールリ
ング30が嵌合され、段差壁面13寄りの軸方向の端面31が
段差壁面13に当接させられ、その状態で挿入孔20に先端
10dから、図中矢印Aで示される挿入方向に挿入され
る。その際、シールリング30の外径は、装着空間Sの外
径に略等しいので、図1の左半部に図示されるように、
シールリング30の、段差壁面23寄りの軸方向の端面32が
段差壁面23に当接し始めた状態になるまでは、挿入荷重
はきわめて小さい。その後、図1の左半部に図示される
位置から、両端面31,32が両段差壁面13,23にそれぞれ
当接しているシールリング30を圧縮しつつ、シールリン
グ30の弾性力に抗して、そして該圧縮によるシールリン
グ30の径方向の伸長を押さえる外周壁面12および周壁面
21からの抗力により生じる摩擦力に抗して、燃料噴射弁
1を前記所定値、すなわち潰し代P1だけ押し込んで、燃
料噴射弁1がシリンダヘッド2で前記所定位置を占めた
とき、挿入を停止し前記固定手段により、燃料噴射弁1
はシリンダヘッド2に固定され、図1の右半部に図示さ
れる挿入完了状態になる。
【0027】このとき、シールリング30は、潰し代P1で
軸方向に圧縮されているため、軸方向の面圧を両段差壁
面13,23の全面に対して作用させると同時に、該圧縮に
よる径方向の伸長が外周壁面12および周壁面21によって
押さえられるため、径方向についても圧縮された状態に
あって、外周壁面12および周壁面21に対して、シールリ
ング30の内周面33の全面および外周面34の全面で、それ
ぞれ、径方向の面圧を作用させている。換言すれば、シ
ールリング30は、第1,第2間隙4,5に臨んでいる部
分を除いて、実質的に、シールリング30の全表面で挿入
部10の外周壁面12および段差壁面13と、挿入孔20の周壁
面21および段差壁面23とに対して面圧を作用させてい
る。しかも、装着空間Sおよびシールリング30の断面形
状が共に長方形であることから、シールリング30は、両
段差壁面13,23、外周壁面12および周壁面21に対して、
各壁面12,13,21,23の接触面全面において略均等な面
圧を作用させている。
【0028】次に、前述のように構成された第1実施例
の作用および効果について説明する。燃料噴射弁1の前
記挿入完了状態で、シールリング30は、装着前の軸方向
長さが装着空間Sの軸方向長さよりも所定値だけ長い分
を潰し代P1として、軸方向に圧縮されているため、軸方
向の面圧を両段差壁面13,23の全面に対して作用させる
一方、該圧縮に基づいて生じるシールリング30の径方向
の伸長が、挿入部10の外周壁面12および挿入孔20の周壁
面21により押さえられるため、径方向についても圧縮さ
れた状態にあり、それによって生じたシールリング30の
径方向の面圧が、シールリング30の内周面33全面および
外周面34全面で、外周壁面12および周壁面21に対してそ
れぞれ作用している。そのため、シールリング30は、実
質的に、前記挿入完了状態でのシールリング30の全表面
で、挿入部10の外周壁面12および段差壁面13と、挿入孔
20の周壁面21および段差壁面23とに対して面圧を作用さ
せている。したがって、第2間隙5から侵入する高温高
圧の燃焼ガスは、シールリング30により効果的に密封さ
れる。また、挿入部10が、外周壁面12および周壁面21で
押さえられた状態にあるシールリング30の内周面33全面
で押圧されるので、大きな力で径方向に保持される。
【0029】その結果、燃料噴射弁1の挿入部10の外周
壁面12とシリンダヘッド2の挿入孔20の周壁面21との間
が、軸方向および周方向において、シールリング30の実
質的に全表面で密封されるので、シール面積が大きくな
り、シール性が向上する。また、燃料噴射弁1の挿入部
10が挿入孔20内で径方向に大きな力で保持されるので、
シリンダヘッド2に設けられる、燃料噴射弁1の径方向
での保持部材または保持部分を、軸方向に小さくするこ
とまたは省くことが可能となって、シリンダヘッド2の
軸方向の寸法が小さくなるため、シリンダヘッド2のコ
ンパクト化ができ、また軸方向の長さが短い挿入孔20で
あっても燃料噴射弁1を径方向に確実に保持することが
可能となって、シリンダヘッド2における燃料噴射弁1
の配置の自由度またはシリンダヘッド2における挿入孔
20の配置の自由度が増加する。
【0030】装着空間Sおよびシールリング30の断面形
状が共に長方形であるので、シールリング30は、両段差
壁面13,23、外周壁面12および周壁面21に対して、各壁
面12,13,21,23の接触面全面において略均等な面圧を
作用させることができて、全体のシール性が、部分的な
シール性の低下の影響を受けにくくなる。さらに、第
1,第2長方形が軸方向に長いため、シールリング30の
内周面33全面で押圧される軸方向の範囲が増加し、軸方
向でのシール性が向上すると共に、燃料噴射弁1が軸方
向の広い範囲に渡って径方向に保持される。
【0031】その結果、シールリング30が面圧を作用さ
せている各壁面12,13,21,23の接触面全面で略均等な
面圧が作用するため、安定して高いシール性を確保でき
る。さらに、装着空間Sおよびシールリング30の断面形
状が軸方向に長い長方形なので、軸方向でのシール性が
向上すると共に、挿入部10は、シールリング30の内周面
33全面からの略均等な面圧でかつ軸方向で一層広い範囲
で押圧されるので、燃料噴射弁1の径方向保持が一層確
実になされ、シリンダヘッド2のコンパクト化を一層進
めることが可能となり、またシリンダヘッド2に対する
燃料噴射弁1の配置の自由度およびシリンダヘッド2に
おける挿入孔20の配置の自由度が一層増加する。
【0032】さらに、第2間隙5から侵入した燃焼ガス
がシールリング30に作用したとしても、装着空間Sは、
実質的に全表面で面圧を作用させるシールリング30によ
り隙間なく充填されているので、シールリング30が装着
空間S内で大きく変形する余地はなく、これによって、
シールリング30と燃焼ガスとの接触面積は小さくなり、
シールリング30に作用する燃焼ガス圧によりシールリン
グ30に作用する力も小さいものとなって、シールリング
30の燃焼ガス圧による変形が抑制され、さらにはクリー
プによる変形も抑制されて、燃焼ガスが漏出することが
防止される。
【0033】その結果、装着空間Sはシールリング30に
より隙間なく充填されているので、侵入した燃焼ガス圧
によるシールリング30の変形、さらにはクリープによる
変形が抑制されて、それらに起因するシール性の低下が
防止され、高いシール性を確保でき、しかも長期に渡っ
て維持できる。
【0034】また、装着前のシールリング30の内径およ
び外径は、装着空間Sの軸方向長さの略全長に渡る範囲
で、装着空間Sの内径および外径にそれぞれ略等しいの
で、燃料噴射弁1の挿入部10が挿入孔20に挿入される
際、シールリング30が圧縮されるまでの挿入過程では、
シールリング30が径方向に圧縮されることがないか、ま
たは僅かに圧縮されるだけであり、その間の挿入荷重は
極めて小さく、また、シールリング30が軸方向に圧縮さ
れたとき、シールリング30の径方向の変形が直ちに外周
壁面12および周壁面21により押さえられ、径方向の高い
面圧を容易に発生させることができ、さらに、燃料噴射
弁1に嵌合されたシールリング30が、挿入孔20への燃料
噴射弁1の挿入時に外れにくくなる。
【0035】その結果、シールリング30が圧縮されるま
での挿入過程での挿入荷重は極めて小さいので、シリン
ダヘッド2への燃料噴射弁1の組付け性が向上し、しか
も両段差壁面13,23へシールリング30が当接した時点で
は、シールリング30の圧縮変形度合いは殆どなく、圧縮
変形余裕が大きいため、その後の挿入過程でシールリン
グ30を軸方向に比較的大きく圧縮変形できるので、潰し
代P1を大きくすることができて、軸方向および径方向の
面圧を大きくすることができる。しかも、シールリング
30が軸方向に圧縮されたとき、少ない圧縮量でも、径方
向の高い面圧を容易に発生させることができる。また、
燃料噴射弁1に嵌合されたシールリング30が、挿入孔20
への燃料噴射弁1の挿入時に外れにくいので、この点で
もシリンダヘッド2への燃料噴射弁1の組付け性が向上
する。したがって、良好な組付け性を確保した上で、シ
ール性を向上させることができる。
【0036】次に、本発明の第2実施例を、図2を参照
して説明する。この第2実施例は、第1実施例とは装着
空間Sおよびシールリング30の断面形状が相違し、その
他は基本的に同一の構成を有するものである。そのた
め、同一の部分についての説明は省略または簡略にし、
異なる点を中心に説明する。なお、第1実施例の部材と
同一の部材または対応する部材については、同一の符号
を使用した。
【0037】この第2実施例では、燃料噴射弁1の挿入
部10の大径部10aの外周壁面11と小径部10bの外周壁面12
とは、段部10cの、挿入方向に先細となる円錐面からな
る段差壁面13を介して接続される。一方、挿入孔20の大
径部20aの周壁面21と小径部20bの周壁面22とは、段部20
cの、前記挿入方向に先細となる円錐面からなる段差壁
面23を介して接続される。
【0038】そして、前記挿入完了状態において、段差
壁面13と、該段差壁面13と対向する段差壁面23と、外周
壁面12と、周壁面21と、第1,第2間隙4,5の両段差
壁面13,23を含む円錐面に囲まれて、後述するシールリ
ング30が装着される円筒状の装着空間Sが形成される。
この装着空間Sの断面形状は、軸方向に長い平行四辺形
(第1平行四辺形という)である。
【0039】一方、円筒状のシールリング30は、第1実
施例と同じ弾性材により形成され、その断面形状は、軸
方向に長い平行四辺形(第2平行四辺形という)であ
る。そして、シールリング30の、装着空間Sに装着され
る前の自然な状態での軸方向の辺の長さは、装着空間S
の軸方向長さよりも潰し代P2として所定値だけ長くさ
れ、また、その内径および外径は、第1実施例と同様
に、装着空間Sの軸方向長さの略全長に渡る範囲で、装
着空間Sの内径および外径と、それぞれ略等しくされ
る。
【0040】さらに、シールリング30の端面32と内周面
33とが交差する部分である内側隅部35における内角、す
なわち第2平行四辺形の内周面33側でかつ段差壁面23寄
りの端面32側の第2内側内角αは、外周壁面12と段差壁
面23の延長面とが交差する部分である内側隅部40におけ
る内角、すなわち第1平行四辺形の外周壁面12側でかつ
段差壁面23側の第1内側内角βよりも小さくされ、した
がって、シールリング30の端面31と外周面34とが交差す
る部分である外側隅部36における内角、すなわち第2平
行四辺形の外周面34側でかつ段差壁面13寄りの端面31側
の第2外側内角α(第2内側内角αの対角)も、周壁面
21と段差壁面13の延長面とが交差する部分である外側隅
部41における内角、すなわち第1平行四辺形の周壁面21
側でかつ段差壁面13側の第1外側内角β(第1内側内角
βの対角)よりも小さくされる。そして、第1内側内角
βおよび第1外側内角βは鋭角とされる。
【0041】それゆえ、燃料噴射弁1が挿入孔20に挿入
されるときは、先ず、小径部10bにシールリング30が嵌
合され、その軸方向の端面31が外側隅部36にて段差壁面
13に当接し、その状態で挿入部10が挿入孔20に先端10d
から挿入される。その際、図2の左半部に図示されるよ
うに、シールリング30の端面32が内側隅部35にて段差壁
面23に当接し始めた状態になるまでは、第1実施例と同
様に挿入荷重はきわめて小さい。その後、図2の左半部
に図示される位置から、シールリング30の弾性力および
外周壁面12および周壁面21からの抗力により生じる摩擦
力に打ち勝つ挿入荷重が加えられると、シールリング30
は内側隅部35および外側隅部36から圧縮されてゆくが、
シールリング30の両端面31,32と両段差壁面13,23とが
それぞれ全面で接触するまでは、両端面31,32と両段差
壁面13,23とのそれぞれの接触面積が小さいので、同じ
軸方向の圧縮量を得るための挿入荷重は小さくてすむ。
そして、燃料噴射弁1が潰し代P2だけ押し込まれた前記
所定位置で、燃料噴射弁1はシリンダヘッド2に固定さ
れ、図2の右半部に図示される挿入完了状態になる。
【0042】このとき、潰し代P2で圧縮されたシールリ
ング30は、第1実施例と同様に、実質的に、シールリン
グ30の全表面で挿入部10の外周壁面12および段差壁面13
と、挿入孔20の周壁面21および段差壁面23とに対して面
圧を作用させている。しかも、装着空間Sおよびシール
リング30の断面形状が前述の第1,第2平行四辺形とな
っているため、シールリング30の内側隅部35および外側
隅部36が他の部分に比べて大きい圧縮量で圧縮されるの
で、シールリング30は、燃焼ガスが侵入する第2間隙5
に隣接する内側隅部35および外部に連通する第1間隙4
に隣接する外側隅部36にて、他の部分よりも大きい面圧
を軸方向に作用させている。
【0043】この第2実施例によれば、第1実施例にお
いて装着空間Sおよびシールリング30の断面形状が共に
長方形であることに固有の作用および効果を除いて、第
1実施例と同じ作用および効果が奏されるほか、次の作
用および効果が奏される。
【0044】すなわち、シールリング30の内側隅部35の
第2内側内角αおよび外側隅部36の第2外側内角αは、
装着空間Sの内側隅部40の第1内側内角βおよび外側隅
部41の第1外側内角βよりもそれぞれ小さく、しかも第
1内側内角βおよび第1外側内角βは鋭角であるため、
これら内側隅部35および外側隅部36では、シールリング
30の両端面31,32と両段差壁面13,23とがそれぞれ全面
で接触するまでの両端面31,32と両段差壁面13,23との
それぞれの接触面積が小さくなり、燃料噴射弁1の挿入
部10の挿入過程で、シールリング30を軸方向に圧縮する
ときの挿入荷重は小さくなる。しかも、シールリング30
の、第2間隙5に隣接する部分である内側隅部35および
外部に連通する第1間隙4に隣接する部分である外側隅
部36が、他の部分に比べて大きい圧縮量で圧縮されるの
で、これら隅部35,36に軸方向の大きい面圧を作用させ
ることができ高いシール性を維持できる。
【0045】その結果、シールリング30を圧縮する際の
挿入荷重を低減することができるので、シリンダヘッド
2への燃料噴射弁1の組付け性を向上させることがで
き、しかもシールリング30において、燃焼ガスが侵入す
る第1間隙4に隣接する部分である内側隅部35、および
外部へ連通する第2間隙5に隣接する部分である外側隅
部36で大きな面圧を作用させることができるので、高い
シール性を維持できる。
【0046】次に、本発明の第3実施例を、図3を参照
して説明する。この第3実施例は、第1実施例とは装着
空間Sおよびシールリング30の断面形状が相違し、その
他は基本的に同一の構成を有するものである。そのた
め、同一の部分についての説明は省略または簡略にし、
異なる点を中心に説明する。なお、第1実施例の部材と
同一の部材または対応する部材については、同一の符号
を使用した。
【0047】この第3実施例では、燃料噴射弁1の挿入
部10の小径部10bの外周壁面12は、挿入方向に先細とさ
れた回転面である円錐面からなるテーパ部12aと該テー
パ部12aに接続されて先端10d寄りに位置する円柱面から
なる円柱部12bとからなる。一方、挿入孔20の段差壁面2
3の軸方向の位置は、前記挿入完了状態でテーパ部12aと
円柱部12bとの交差部の軸方向位置と同じにされる。
【0048】そして、前記挿入完了状態において、段差
壁面13と、該段差壁面13と対向する段差壁面23と、テー
パ部12aと、周壁面21と、第1,第2間隙4,5におい
て両段差壁面13,23を含む平面に囲まれて、後述するシ
ールリング30が装着される円筒状の装着空間Sが形成さ
れる。この装着空間Sの断面形状は、軸方向に長い台形
(第1台形という)である。
【0049】一方、円筒状のシールリング30は、第1実
施例と同じ弾性材により形成され、そのシールリング30
の断面形状は、軸方向に長い台形(第2台形という)で
ある。そして、シールリング30の、装着空間Sに装着さ
れる前の自然な状態での軸方向の辺の長さは、装着空間
Sの軸方向長さよりも潰し代P3として所定値だけ長くさ
れ、また、その外径は、装着空間Sの軸方向長さの略全
長に渡る範囲で、大径部20aの周壁面21により規定され
る装着空間Sの外径と略等しくされる。さらに、シール
リング30の端面31における内径は、テーパ部12aと段差
壁面13との交線で形成される円の直径と略等しくされ、
さらにシールリング30の内周面33はテーパ部12aと同一
頂角を有し挿入方向に先細とされた円錐面とされる。そ
れゆえ、第1台形および第2台形の平行な対辺の短辺の
長さは略等しくされる。
【0050】さらに、装着空間Sの、テーパ部12aと段
差壁面23とが交差して形成される内側隅部40における、
第1台形のテーパ部12a側でかつ段差壁面23側の第1内
側内角γと、シールリング30の、端面32と内周面33とが
交差して形成される内側隅部35における、第2台形の内
周面33側でかつ段差壁面23寄りの端面32側の第2内側内
角δは等しい角度であって共に鋭角であり、第1台形の
周壁面21側でかつ段差壁面23側の第1外側内角εおよび
第2台形の外周面34側でかつ段差壁面23寄りの端面32側
の第2外側内角θは共に直角である。そして、小径部10
bに嵌合されたシールリング30の端面31が段差壁面13に
当接した状態で、テーパ部12aの全面が内周面33と接触
しており、軸方向の同一位置でのテーパ部12aの外径と
内周面33の内径とは略等しくされる。それゆえ、後述す
る突出部分を除いて、シールリング30の内径は、テーパ
部12aにおいて装着空間Sの軸方向長さの略全長に渡る
範囲で、テーパ部12aにより規定される装着空間Sの内
径と略等しくされる。
【0051】それゆえ、燃料噴射弁1が挿入孔20に挿入
されるときは、先ず、小径部10bにシールリング30が嵌
合され、その端面31が段差壁面13に当接させられる。こ
の嵌合状態で、テーパ部12aよりも円柱部12bに向かって
軸方向に延びる端面32側の突出部分30aが、円柱部12bに
対して径方向にやや圧縮されており、この状態で、燃料
噴射弁1が挿入孔20に先端10dから挿入される。その
際、図3の左半部に図示されるように、シールリング30
の端面32が段差壁面23に当接し始めた状態になるまで
は、第1実施例と同様に挿入荷重は、突出部分30aが少
し圧縮されているために、突出部分30aの外径がやや大
きくなっている分、若干大きくなるものの、比較的小さ
い。その後、図3の左半部に図示される位置から、シー
ルリング30の弾性力に抗して、両端面31,32が両段差壁
面13,23にそれぞれ当接しているシールリング30を圧縮
しつつ、そして該圧縮によるシールリング30の径方向の
伸長を押さえるテーパ部12aおよび周壁面21からの抗力
により生じる摩擦力に打ち勝って、燃料噴射弁1を潰し
代P3だけ押し込んで、前記所定位置で、燃料噴射弁1は
シリンダヘッド2に固定されて、図1の右半部に図示さ
れる前記挿入完了状態になる。
【0052】このとき、潰し代P3で圧縮されたシールリ
ング30は、第1実施例と同様に、実質的に、シールリン
グ30の全表面で挿入部10の外周壁面12(テーパ部12a)
および挿入孔20の周壁面21に対して面圧を作用させてい
る。しかも、装着空間Sおよびシールリング30の断面形
状が前述の第1,第2台形となっているため、シールリ
ング30の突出部分30aにある内側隅部35が他の部分に比
べて大きい圧縮量で径方向に圧縮されるので、シールリ
ング30は、燃焼ガスが侵入する第2間隙5に隣接する内
側隅部35にて、他の部分よりも大きい径方向の面圧を作
用させている。
【0053】この第3実施例によれば、第1実施例にお
いて装着空間Sおよびシールリング30の断面形状が共に
長方形であることに固有の作用および効果を除いて、第
1実施例と同じ作用および効果が奏されるほか、次の作
用および効果が奏される。
【0054】すなわち、第1台形の第1内側内角γおよ
び第2台形の第2内側内角εは略等しい角度であって共
に鋭角であるので、シールリング30の、燃焼ガスが侵入
する第2間隙5に隣接する端面32近傍は径方向の幅が大
きい突出部分30aとなっているため、シールリング30が
圧縮された際、この突出部分30aは、予め圧縮されてい
る分、他の部分に比べて大きく径方向に押さえられるこ
とになって、径方向に大きい面圧が発生し、突出部分30
aでのシール性が高くなる。
【0055】その結果、シールリング30の、第2間隙5
に隣接する内側隅部35では、大きな径方向の面圧を作用
させることができること、そして装着空間Sおよびシー
ルリング30の断面形状が軸方向に長い台形なので、軸方
向でのシール性が向上することにより、高いシール性を
確保できる。
【0056】以下、前述した実施例の一部の構成を変更
した実施例について、変更した構成に関して説明する。
前記各実施例では、断面形状は、長方形、平行四辺形ま
たは台形であったが、これ以外の形状であってもよい。
また、第2実施例において、平行四辺形の特別な場合と
して、第1平行四辺形は長方形であってもよく、その場
合は第1内側内角βは直角となる。
【0057】前記第3実施例では、第1内側内角γと第
2内側内角δは等しくされ、第1外側内角εと第2外側
内角θは等しくされたが、装着前のシールリング30およ
び装着空間Sの内径および外径が略等しくなる程度で、
それら内角が厳密に等しくなっている必要はなく、また
挿入孔20の加工との関係で、第1外側内角εと第2外側
内角θは厳密に直角となっている必要はない。
【0058】前記各実施例では、燃料噴射弁1はシリン
ダヘッド2に設けられたが、燃料噴射弁が吸気通路に臨
んで取り付けられる内燃機関においても、燃料噴射弁と
吸気マニホルドまたは吸気管との間で、本発明のシール
構造は適用され得る。さらに、本発明のシール構造は、
燃料噴射弁1およびシリンダヘッド2以外の、回転面か
らなる外周壁面を有する第1部材と、該第1部材が挿入
された円孔からなる挿入孔を有する第2部材との間に適
用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示し、燃料噴射弁が挿入
されたシリンダヘッドの要部断面図であり、左半部は、
燃料噴射弁の挿入途中の状態を示し、右半部は挿入完了
状態を示す。
【図2】本発明の第2実施例を示し、図1と同様の図で
ある。
【図3】本発明の第3実施例を示し、図1と同様の図で
ある。
【符号の説明】
1…燃料噴射弁、2…シリンダヘッド、3…燃焼室、
4,5…間隙、10…挿入部、10c…段部、11,12…外周
壁面、13…段差壁面、20…挿入孔、20c…段部、21,22
…周壁面、23…段差壁面、30…シールリング、31,32…
端面、33…内周面、34…外周面、35…内側隅部、36…外
側隅部、40…内側隅部、41…外側隅部、L…中心軸線、
S…装着空間、P1,P2,P3…潰し代、α,β,γ,δ,
ε,θ…内角。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転面からなる外周壁面を有する段付き
    の第1部材と、該第1部材が挿入された円孔からなる段
    付きの挿入孔を有する第2部材との間の密封が、前記第
    1部材の段部と前記挿入孔の段部との間に形成された円
    筒状の装着空間に装着された弾性材からなる円筒状のシ
    ールリングによりなされるシール構造において、 前記装着空間への装着前の前記シールリングの軸方向長
    さは、前記装着空間の軸方向長さよりも長く、前記挿入
    孔への前記第1部材の挿入完了状態で、前記両段部の段
    差壁面により軸方向に圧縮された前記シールリングは、
    その軸方向の両端面が、前記両段差壁面の全面に対して
    それぞれ面圧を作用させ、その内周面の全面が、前記外
    周壁面に対して面圧を作用させ、その外周面の全面が、
    前記周壁面に対して面圧を作用させた状態で、前記第1
    部材を保持することを特徴とするシール構造。
  2. 【請求項2】 前記装着空間の断面形状は、軸方向に長
    い第1長方形であり、前記装着空間への装着前の前記シ
    ールリングの断面形状は、前記第1長方形よりも軸方向
    に長い第2長方形であることを特徴とする請求項1記載
    のシール構造。
  3. 【請求項3】 前記装着空間の断面形状は、軸方向に長
    い第1平行四辺形であり、前記装着空間への装着前の前
    記シールリングの断面形状は、前記第1平行四辺形より
    も軸方向に長い第2平行四辺形であり、該第2平行四辺
    形の前記内周面側でかつ前記挿入孔の前記段差壁面寄り
    の前記端面側の第2内角は、前記第1平行四辺形の前記
    外周壁面側でかつ前記挿入孔の前記段差壁面側の第1内
    角よりも小さく、該第1内角は鋭角または直角であるこ
    とを特徴とする請求項1記載のシール構造。
  4. 【請求項4】 前記外周壁面は、前記装着空間を形成す
    ると共に前記第1部材の挿入方向に先細の円錐面からな
    るテーパ部を有し、前記装着空間の断面形状は、軸方向
    に長い第1台形であり、前記装着空間への装着前の前記
    シールリングの断面形状は、前記第1台形よりも軸方向
    に長い第2台形であり、前記第1台形の前記テーパ部側
    でかつ前記挿入孔の前記段差壁面側の内角および前記第
    2台形の前記内周面側でかつ前記挿入孔の前記段差壁面
    寄りの前記端面側の内角は略等しい角度であって共に鋭
    角であり、前記第1台形の前記周壁面側でかつ前記挿入
    孔の前記段差壁面側の内角および第2台形の前記外周面
    側でかつ前記挿入孔の前記段差壁面寄りの前記端面側の
    内角は略等しい角度であって共に略直角であり、前記第
    1台形および前記第2台形の平行な対辺の短辺の長さが
    略等しいことを特徴とする請求項1記載のシール構造。
  5. 【請求項5】 前記装着空間への装着前の前記シールリ
    ングの内径および外径は、前記装着空間の軸方向長さの
    略全長に渡る範囲で、該装着空間の内径および外径にそ
    れぞれ略等しいことを特徴とする請求項1ないし請求項
    4のいずれか1項記載のシール構造。
JP2000270749A 2000-09-06 2000-09-06 シール構造 Expired - Lifetime JP4471476B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000270749A JP4471476B2 (ja) 2000-09-06 2000-09-06 シール構造

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000270749A JP4471476B2 (ja) 2000-09-06 2000-09-06 シール構造

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2002081549A true JP2002081549A (ja) 2002-03-22
JP4471476B2 JP4471476B2 (ja) 2010-06-02

Family

ID=18757133

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000270749A Expired - Lifetime JP4471476B2 (ja) 2000-09-06 2000-09-06 シール構造

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4471476B2 (ja)

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005052360A1 (ja) 2003-11-25 2005-06-09 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha 燃料噴射弁用燃焼ガスシール
JP2007078084A (ja) * 2005-09-14 2007-03-29 Kurashiki Kako Co Ltd 液体封入式防振装置及びその製造方法
JP2008523294A (ja) * 2004-12-07 2008-07-03 シエツフレル コマンディートゲゼルシャフト 制御弁
JP2014020426A (ja) * 2012-07-17 2014-02-03 Nok Corp シール構造
JP2015132323A (ja) * 2014-01-14 2015-07-23 株式会社デンソー 組付体、ポンプ、および、これを用いたエバポリークチェックシステム
CN110407292A (zh) * 2018-04-28 2019-11-05 芜湖美的厨卫电器制造有限公司 射流器及软水阀
CN110566732A (zh) * 2019-09-23 2019-12-13 黄子颢 一种管道连接件
CN111550343A (zh) * 2019-02-11 2020-08-18 卡特彼勒公司 用于燃料喷射器的密封结构

Cited By (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005052360A1 (ja) 2003-11-25 2005-06-09 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha 燃料噴射弁用燃焼ガスシール
JP2008523294A (ja) * 2004-12-07 2008-07-03 シエツフレル コマンディートゲゼルシャフト 制御弁
KR101239610B1 (ko) * 2004-12-07 2013-03-07 섀플러 테크놀로지스 아게 운트 코. 카게 제어 밸브의 축방향 선단부를 밀폐하기 위한 밀폐 부재 및 제어 밸브
JP2007078084A (ja) * 2005-09-14 2007-03-29 Kurashiki Kako Co Ltd 液体封入式防振装置及びその製造方法
JP2014020426A (ja) * 2012-07-17 2014-02-03 Nok Corp シール構造
EP2876335A4 (en) * 2012-07-17 2015-08-26 Nok Corp SEAL STRUCTURE
US9541025B2 (en) 2012-07-17 2017-01-10 Nok Corporation Sealing structure
JP2015132323A (ja) * 2014-01-14 2015-07-23 株式会社デンソー 組付体、ポンプ、および、これを用いたエバポリークチェックシステム
CN110407292A (zh) * 2018-04-28 2019-11-05 芜湖美的厨卫电器制造有限公司 射流器及软水阀
CN110407292B (zh) * 2018-04-28 2024-02-20 芜湖美的厨卫电器制造有限公司 射流器及软水阀
CN111550343A (zh) * 2019-02-11 2020-08-18 卡特彼勒公司 用于燃料喷射器的密封结构
CN110566732A (zh) * 2019-09-23 2019-12-13 黄子颢 一种管道连接件

Also Published As

Publication number Publication date
JP4471476B2 (ja) 2010-06-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2002327674A (ja) 内燃機関用点火装置
JP2002081548A (ja) シール構造
JP2002081549A (ja) シール構造
JP4853633B2 (ja) 密封装置
US6889956B2 (en) Poppet valve bushing with tolerance ring
JP4407863B2 (ja) シール装置
JPH0350365A (ja) 往復動ピストン機関用のシリンダヘツドパツキング
US7004476B2 (en) Combustion gas seal for injector
JP2009264129A (ja) 内燃機関の燃料噴射装置
JPH0491362A (ja) ディーゼルエンジンの燃料噴射ノズルのノズル先端部防熱装置
US9771911B2 (en) Fuel injection valve
JP2855926B2 (ja) 内燃機関のシリンダ
JP3218424B2 (ja) 電磁式燃料噴射弁のシール構造
JP3974268B2 (ja) 筒内噴射式エンジン
JPH08178070A (ja) シリンダヘッドガスケット
JPH08246994A (ja) 噴射ノズルガスケットの構造
JPH11173423A (ja) 密封装置
JP4240563B2 (ja) ダイキャスト製品の接合構造
JPS60162037A (ja) シリンダ・ヘツド・ガスケツト
JP7462436B2 (ja) 密封構造
JPH0513983Y2 (ja)
JPH0249415Y2 (ja)
JP2000220432A (ja) Pcvバルブ装置
JPH11264470A (ja) 内燃機関におけるシリンダのシール構造
JPH055336Y2 (ja)

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20061201

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20090421

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090630

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090714

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090907

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100302

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100302

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130312

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150