JP2002080709A - 難燃性ポリカーボネート樹脂組成物 - Google Patents

難燃性ポリカーボネート樹脂組成物

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JP2002080709A
JP2002080709A JP2000269830A JP2000269830A JP2002080709A JP 2002080709 A JP2002080709 A JP 2002080709A JP 2000269830 A JP2000269830 A JP 2000269830A JP 2000269830 A JP2000269830 A JP 2000269830A JP 2002080709 A JP2002080709 A JP 2002080709A
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polycarbonate resin
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aromatic polycarbonate
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Yuji Higaki
裕二 檜垣
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Teijin Ltd
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Teijin Chemicals Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、難燃性に優れた無機充填剤を含有
するポリカーボネート樹脂組成物を提供することを目的
とする。 【解決手段】 A成分、B成分、C成分及びD成分の合
計を100重量%とした時、芳香族ポリカーボネート樹
脂(A成分)96.8999〜24.95重量%、無機
充填剤(B成分)3〜55重量%、有機リン化合物(C
成分)0.1〜20重量%、アルカリ金属塩および/ま
たはアルカリ土類金属塩から選択される少なくとも1種
の金属塩(D成分)0.0001〜0.05重量%であ
る芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、難燃性に優れた無
機充填剤を含有する芳香族ポリカーボネート樹脂組成物
に関する。更に詳しくは、芳香族ポリカーボネート樹脂
に無機充填剤を配合した樹脂組成物に有機リン化合物と
ごく少量のアルカリ金属塩および/またはアルカリ土類
金属塩から選択される少なくとも1種の金属塩を含有す
る樹脂組成物であって、薄肉部での難燃性に優れる芳香
族ポリカーボネート樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】芳香族ポリカーボネート樹脂は、耐衝撃
性などの機械的特性に優れ、しかも難燃性、耐熱性など
に優れたエンジニアリングプラスチックスとして知られ
ている。しかし、充填剤で強化された芳香族ポリカーボ
ネート樹脂は、非強化の芳香族ポリカーボネート樹脂組
成物に比べて、強度および剛性は向上するものの難燃性
および耐衝撃性が大幅に劣る問題点がある。特にノート
型パーソナルコンピューターの筐体、携帯コンピュータ
ーの筐体、及び携帯端末機器等の薄肉筐体用成形品など
においては、十分な強度と剛性および薄肉成形性を有し
た上で、さらに耐衝撃性と難燃性のバランスのとれた樹
脂組成物の出現が強く要望されている。芳香族ポリカー
ボネート樹脂の難燃性を改良する方法としては、種々の
提案がなされている。例えば、特開昭64−22958
号公報には、難燃剤として有機ハロゲン化合物、難燃助
剤として三酸化アンチモンとを添加する方法が開示され
ている。しかしこれらの難燃性樹脂組成物は、燃焼時お
よび成形時に熱分解して有害なハロゲン化水素を発生
し、金型を腐食させたり、樹脂自身を劣化させたり、着
色させたりさらに作業環境を悪化させたりするという欠
点がある。ハロゲン化合物を含有する樹脂組成物は、燃
焼時に猛毒であるダイオキシンを発生するために社会問
題にもなっており、それでハロゲンを含有しない難燃剤
の要求が高まっている。そこでハロゲンを含有しないで
かつ難燃効果が高い赤リンを配合する方法(特開昭48
−85642号公報)やマイクロカプセル化された赤リ
ンを配合する方法(特開平6−116473号公報)が
開示されているが、樹脂組成物に赤リン又はマイクロカ
プセル化された赤リンを使用する系では、燃焼時に有害
なホスフィンガスが発生したり、着色性の制限という欠
点がある。また、リン系難燃剤単独としては、芳香族ホ
スフェイト化合物(特公昭48−38768号公報)、
ビスフェノールA・ポリホスフェート、ハイドロキノン
ビスホスフェート化合物(特開昭55−118957号
公報)、レゾルシンポリホスフェート化合物(特公昭6
3−65109号公報、特公平2−25381号公報な
ど)が開示されている。しかしながらこれらのリン化合
物で薄肉部における難燃化を可能にするためには、多量
の添加を必要としそのために耐衝撃性の低下や熱変形温
度が著しく低下するばかりではなく、しばしば滴下現象
を起こすなどの欠点がある。更に、燃焼時に有害なガス
を発生させずに難燃性を付与する方法としてシリコーン
樹脂、金属塩系難燃剤を配合することが知られている。
しかしながらシリコーン樹脂、金属塩系難燃剤単独で
は、無機充填剤で強化された芳香族ポリカーボネート樹
脂組成物において、薄肉部での高い難燃性を得ることが
できず、また多量に添加すると外観不良、熱安定性の低
下、耐衝撃性の低下等の問題が生じる。そこで、難燃剤
の添加量を低減する方法として、シリコーン樹脂と金属
塩系難燃剤を併用する方法(特許第2719486号公
報、特開平11−217494号公報等)が開示されて
いるが、無機充填剤で強化されたポリカーボネート樹脂
組成物においては、高温多湿な環境下に長時間放置する
と金属塩系難燃剤の吸湿性が高いためにポリカーボネー
ト樹脂を加水分解して成形品の機械的強度および耐衝撃
性が著しく低下する欠点がある。更に非強化のポリカー
ボネート樹脂組成物に比べて、高い難燃性を得ることが
困難である無機充填剤で強化されたポリカーボネート樹
脂組成物での薄肉筐体用成形品に求められる高い難燃性
を満足するものについては、かかる組成物は未だ十分な
ものとはいえない。次に金属塩系難燃剤とリン系難燃剤
を併用する方法(特開平2−92961号公報、特開平
10−306208号公報等)が開示されている。前者
のかかる公報に具体的に例示されたポリカーボネート樹
脂組成物は、薄肉部における高い難燃性を十分に満足す
るものではなく、更に高温成形時にはポリカーボネート
樹脂が分解を引き起こすことにより、機械的強度、耐衝
撃性が著しく低下する欠点がある。また後者のかかる公
報に具体的に例示されたポリカーボネート樹脂組成物
は、有機スルホン酸金属塩の添加量が多く、耐衝撃性お
よび耐湿熱特性において十分に満足できるものではな
く、また非強化のポリカーボネート樹脂組成物に比べて
高い難燃性を得ることが困難である無機充填剤で強化さ
れたポリカーボネート樹脂組成物での薄肉筐体用成形品
に求められる高い難燃性を満足するものについては、か
かる組成物は未だ十分なものとはいえない。このため機
械的特性特に耐衝撃性に優れるためにも少量の難燃剤で
優れた難燃効果を有し、かつ燃焼時に有害なガスの発生
が少ない優れた樹脂組成物の出現が要望されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、燃焼時に有
害なガスの発生の少ない難燃性に優れた無機充填剤を含
有する芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を提供するこ
とを目的とする。本発明者は、上記目的を達成すべく鋭
意検討を重ねた結果、非強化のポリカーボネート樹脂組
成物に比べて難燃性が低下する無機充填剤で強化された
芳香族ポリカーボネート樹脂組成物において、有機リン
化合物に添加量を著しく少なくしたアルカリ金属塩およ
び/またはアルカリ土類金属塩を組み合わせることによ
り、難燃性と機械的特性特に耐衝撃性が向上し目的とす
る薄肉部(厚み0.8mm以下)での高い難燃性と耐衝
撃性に優れることを見出し、本発明に到達した。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、A成分、B成
分、C成分及びD成分の合計を100重量%とした時、
芳香族ポリカーボネート樹脂(A成分)96.8999
〜24.95重量%、無機充填剤(B成分)3〜55重
量%、有機リン化合物(C成分)0.1〜20重量%、
アルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩から
選択される少なくとも1種の金属塩(D成分)0.00
01〜0.05重量%である芳香族ポリカーボネート樹
脂組成物および成形品に関する。
【0005】本発明でA成分として使用する芳香族ポリ
カーボネート樹脂は、通常二価フェノールとカーボネー
ト前駆体とを界面重縮合法、溶融エステル交換法で反応
させて得られたものの他、カーボネートプレポリマーを
固相エステル交換法により重合させたもの、または環状
カーボネート化合物の開環重合法により重合させて得ら
れるものである。
【0006】ここで使用される二価フェノールの代表的
な例としては、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,
4’−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)メタン、ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−
ジメチル)フェニル}メタン、1,1−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノール
A)、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)
フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ
−3,5−ジメチル)フェニル}プロパン、2,2−ビ
ス{(3−イソプロピル−4−ヒドロキシ)フェニル}
プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−フェ
ニル)フェニル}プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)−3,3−ジメチルブタン、2,4
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メ
チルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサン、1,1−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメ
チルシクロヘキサン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)フルオレン、9,9−ビス{(4−ヒドロキシ
−3−メチル)フェニル}フルオレン、α,α’−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)−o−ジイソプロピルベン
ゼン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m
−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、1,
3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−5,7−ジメチ
ルアダマンタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルス
ルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシ
ド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、
4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン、4,4’−
ジヒドロキシジフェニルエーテルおよび4,4’−ジヒ
ドロキシジフェニルエステルなどが挙げられ、これらは
単独または2種以上を混合して使用できる。
【0007】なかでもビスフェノールA、2,2−ビス
{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチル
ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−
3,3−ジメチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシク
ロヘキサンおよびα,α’−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)−m−ジイソプロピルベンゼンからなる群より選
ばれた少なくとも1種のビスフェノールより得られる単
独重合体または共重合体が好ましく、更に、ビスフェノ
ールAの単独重合体および1,1−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン
とビスフェノールA、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ
−3−メチル)フェニル}プロパンまたはα,α’−ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベ
ンゼンとの共重合体が好ましく使用される。特にビスフ
ェノールAの単独重合体が好ましい。
【0008】カーボネート前駆体としてはカルボニルハ
ライド、カーボネートエステルまたはハロホルメートな
どが使用され、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボ
ネートまたは二価フェノールのジハロホルメートなどが
挙げられる。
【0009】上記二価フェノールとカーボネート前駆体
を界面重縮合法または溶融エステル交換法によって反応
させて芳香族ポリカーボネート樹脂を製造するに当って
は、必要に応じて触媒、末端停止剤、二価フェノールの
酸化防止剤などを使用してもよい。また芳香族ポリカー
ボネート樹脂は三官能以上の多官能性芳香族化合物を共
重合した分岐ポリカーボネート樹脂であっても、芳香族
または脂肪族の二官能性カルボン酸を共重合したポリエ
ステルカーボネート樹脂であってもよく、また、得られ
た芳香族ポリカーボネート樹脂の2種以上を混合した混
合物であってもよい。
【0010】三官能以上の多官能性芳香族化合物として
は、フロログルシン、フロログルシド、または4,6−
ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキジフェニ
ル)ヘプテン−2、2,4,6−トリメチル−2,4,
6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,
3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、
1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタ
ン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒド
ロキシフェニル)エタン、2,6−ビス(2−ヒドロキ
シ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、4
−{4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エ
チル]ベンゼン}−α,α−ジメチルベンジルフェノー
ルなどのトリスフェノール、テトラ(4−ヒドロキシフ
ェニル)メタン、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニ
ル)ケトン、1,4−ビス(4,4−ジヒドロキシトリ
フェニルメチル)ベンゼン、またはトリメリット酸、ピ
ロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸および
これらの酸クロライドなどが挙げられ、中でも1,1,
1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,
1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフ
ェニル)エタンが好ましく、特に1,1,1−トリス
(4−ヒドロキシフェニル)エタンが好ましい。
【0011】かかる分岐ポリカーボネート樹脂を生ずる
多官能性化合物を含む場合、かかる割合は、芳香族ポリ
カーボネート全量中、0.001〜1モル%、好ましく
は0.005〜0.5モル%、特に好ましくは0.01
〜0.3モル%である。また特に溶融エステル交換法の
場合、副反応として分岐構造が生ずる場合があるが、か
かる分岐構造量についても、芳香族ポリカーボネート全
量中、0.001〜1モル%、好ましくは0.005〜
0.5モル%、特に好ましくは0.01〜0.3モル%
であるものが好ましい。尚、かかる割合については1
−NMR測定により算出することが可能である。
【0012】界面重縮合法による反応は、通常二価フェ
ノールとホスゲンとの反応であり、酸結合剤および有機
溶媒の存在下に反応させる。酸結合剤としては、例えば
水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属
水酸化物またはピリジンなどのアミン化合物が用いられ
る。有機溶媒としては、例えば塩化メチレン、クロロベ
ンゼンなどのハロゲン化炭化水素が用いられる。また、
反応促進のために例えばトリエチルアミン、テトラ−n
−ブチルアンモニウムブロマイド、テトラ−n−ブチル
ホスホニウムブロマイドなどの第三級アミン、第四級ア
ンモニウム化合物、第四級ホスホニウム化合物などの触
媒を用いることもできる。その際、反応温度は通常0〜
40℃、反応時間は10分〜5時間程度、反応中のpH
は9以上に保つのが好ましい。
【0013】また、かかる重合反応において、通常末端
停止剤が使用される。かかる末端停止剤として単官能フ
ェノール類を使用することができる。単官能フェノール
類は末端停止剤として分子量調節のために一般的に使用
され、また得られた芳香族ポリカーボネート樹脂は、末
端が単官能フェノール類に基づく基によって封鎖されて
いるので、そうでないものと比べて熱安定性に優れてい
る。かかる単官能フェノール類としては、一般にはフェ
ノールまたは低級アルキル置換フェノールであって、下
記一般式(1)で表される単官能フェノール類を示すこ
とができる。
【0014】
【化1】
【0015】(式中、Aは水素原子または炭素数1〜9
の直鎖または分岐のアルキル基あるいはフェニル基置換
アルキル基であり、rは1〜5、好ましくは1〜3の整
数である。) 上記単官能フェノール類の具体例としては、例えばフェ
ノール、p−tert−ブチルフェノール、p−クミル
フェノールおよびイソオクチルフェノールが挙げられ
る。
【0016】また、他の単官能フェノール類としては、
長鎖のアルキル基あるいは脂肪族ポリエステル基を置換
基として有するフェノール類または安息香酸クロライド
類、もしくは長鎖のアルキルカルボン酸クロライド類も
示すことができる。これらのなかでは、下記一般式
(2)および(3)で表される長鎖のアルキル基を置換
基として有するフェノール類が好ましく使用される。
【0017】
【化2】
【0018】
【化3】
【0019】(式中、Xは−R−O−、−R−CO−O
−または−R−O−CO−である、ここでRは単結合ま
たは炭素数1〜10、好ましくは1〜5の二価の脂肪族
炭化水素基を示し、nは10〜50の整数を示す。)
【0020】かかる一般式(2)の置換フェノール類と
してはnが10〜30、特に10〜26のものが好まし
く、その具体例としては例えばデシルフェノール、ドデ
シルフェノール、テトラデシルフェノール、ヘキサデシ
ルフェノール、オクタデシルフェノール、エイコシルフ
ェノール、ドコシルフェノールおよびトリアコンチルフ
ェノールなどを挙げることができる。
【0021】また、一般式(3)の置換フェノール類と
してはXが−R−CO−O−であり、Rが単結合である
化合物が適当であり、nが10〜30、特に10〜26
のものが好適であって、その具体例としては例えばヒド
ロキシ安息香酸デシル、ヒドロキシ安息香酸ドデシル、
ヒドロキシ安息香酸テトラデシル、ヒドロキシ安息香酸
ヘキサデシル、ヒドロキシ安息香酸エイコシル、ヒドロ
キシ安息香酸ドコシルおよびヒドロキシ安息香酸トリア
コンチルが挙げられる。
【0022】末端停止剤は、得られた芳香族ポリカーボ
ネート樹脂の全末端に対して少くとも5モル%、好まし
くは少くとも10モル%末端に導入されることが望まし
い。より好ましくは全末端に対して末端停止剤が80モ
ル%以上導入されること、すなわち二価フェノールに由
来する末端の水酸基(OH基)が20モル%以下である
ことがより好ましく、特に好ましくは全末端に対して末
端停止剤が90モル%以上導入されること、すなわちO
H基が10モル%以下の場合である。また、末端停止剤
は単独でまたは2種以上混合して使用してもよい。
【0023】溶融エステル交換法による反応は、通常二
価フェノールとカーボネートエステルとのエステル交換
反応であり、不活性ガスの存在下に二価フェノールとカ
ーボネートエステルとを加熱しながら混合して、生成す
るアルコールまたはフェノールを留出させる方法により
行われる。反応温度は生成するアルコールまたはフェノ
ールの沸点などにより異なるが、通常120〜350℃
の範囲である。反応後期には系を1.33×103〜1
3.3Pa程度に減圧して生成するアルコールまたはフ
ェノールの留出を容易にさせる。反応時間は通常1〜4
時間程度である。
【0024】カーボネートエステルとしては、置換され
ていてもよい炭素数6〜10のアリール基、アラルキル
基あるいは炭素数1〜4のアルキル基などのエステルが
挙げられる。具体的にはジフェニルカーボネート、ビス
(クロロフェニル)カーボネート、ジナフチルカーボネ
ート、ビス(ジフェニル)カーボネート、ジメチルカー
ボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネー
トなどが挙げられ、なかでもジフェニルカーボネートが
好ましい。
【0025】また、重合速度を速めるために重合触媒を
用いることができ、かかる重合触媒としては、例えば水
酸化ナトリウム、水酸化カリウム、二価フェノールのナ
トリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属化合物、水
酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム
などのアルカリ土類金属化合物、テトラメチルアンモニ
ウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキ
シド、トリメチルアミン、トリエチルアミンなどの含窒
素塩基性化合物、アルカリ金属やアルカリ土類金属のア
ルコキシド類、アルカリ金属やアルカリ土類金属の有機
酸塩類、亜鉛化合物類、ホウ素化合物類、アルミニウム
化合物類、珪素化合物類、ゲルマニウム化合物類、有機
スズ化合物類、鉛化合物類、オスミウム化合物類、アン
チモン化合物類マンガン化合物類、チタン化合物類、ジ
ルコニウム化合物類などの通常エステル化反応、エステ
ル交換反応に使用される触媒を用いることができる。触
媒は単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて
使用してもよい。これらの重合触媒の使用量は、原料の
二価フェノール1モルに対し、好ましくは1×10 -8
1×10-3当量、より好ましくは1×10-7〜5×10
-4当量の範囲で選ばれる。
【0026】また、かかる重合反応において、フェノー
ル性の末端基を減少するために、重縮反応の後期あるい
は終了後に、例えばビス(クロロフェニル)カーボネー
ト、ビス(ブロモフェニル)カーボネート、ビス(ニト
ロフェニル)カーボネート、ビス(フェニルフェニル)
カーボネート、クロロフェニルフェニルカーボネート、
ブロモフェニルフェニルカーボネート、ニトロフェニル
フェニルカーボネート、フェニルフェニルカーボネー
ト、メトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネート
およびエトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネー
トなどの化合物を加えることが好ましい。なかでも2−
クロロフェニルフェニルカーボネート、2−メトキシカ
ルボニルフェニルフェニルカーボネートおよび2−エト
キシカルボニルフェニルフェニルカーボネートが好まし
く、特に2−メトキシカルボニルフェニルフェニルカー
ボネートが好ましく使用される。
【0027】芳香族ポリカーボネート樹脂の分子量は特
定されないが、分子量が10,000未満であると高温
特性などが低下し、40,000を超えると成形加工性
が低下するようになるので、粘度平均分子量で表して1
0,000〜40,000のものが好ましく、14,0
00〜30,000のものが更に好ましく、特に好まし
くは、14,000〜23,000のものである。ま
た、芳香族ポリカーボネート樹脂の2種以上を混合して
も差し支えない。本発明でいう粘度平均分子量は塩化メ
チレン100mlに芳香族ポリカーボネート樹脂0.7
gを20℃で溶解した溶液から求めた比粘度(ηSP)を
次式に挿入して求める。 ηSP/c=[η]+0.45×[η]2c(但し[η]
は極限粘度) [η]=1.23×10-40.83 c=0.7
【0028】ここで、A成分の樹脂組成物中の割合とし
ては、A成分、B成分、C成分及びD成分の合計を10
0重量%とした時、96.8999〜24.95重量%
である。24.95重量%より少ないと難燃性が低下
し、96.8999重量%より多いと成形が困難にな
る。
【0029】次にB成分として使用する無機充填剤は、
一般に芳香族ポリカーボネート樹脂の強化に使用される
ものであれば特に限定されるものではなく、ワラストナ
イト、ゾノトライト、アタパルジャイトなどの鉱物繊維
類;ガラス繊維、ミルドファイバー、金属コートガラス
繊維などのガラス繊維類;炭素繊維、カーボンミルドフ
ァイバー、金属コート炭素繊維などの炭素繊維類;ステ
ンレス鋼線、銅線、アルミ線、タングステン線などの金
属繊維類;アルミナ繊維、ジルコニア繊維、炭化珪素繊
維、ボロン繊維などのセラミック繊維類、ほう酸アルミ
ニウムウィスカー、チタン酸カリウムウィスカー、塩基
性硫酸マグネシウムウイスカー、針状酸化チタン、針状
炭酸カルシウムなどの各種ウイスカー類などの繊維状充
填剤や、タルク、マイカ、ガラスフレーク、グラファイ
トフレーク等の板状充填剤、ガラスビーズ、ガラスバル
ーン、セラミックバルーン、カーボンビーズ、シリカ粒
子、チタニア粒子、アルミナ粒子、カオリン、クレー、
炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化セリウム、酸化亜鉛
等の各種粒子状充填剤が挙げられ、これらは二種以上併
用することができる。
【0030】この中で好ましい無機充填剤は、ガラス繊
維類、炭素繊維類、金属繊維類、セラミック繊維類など
の繊維状充填剤をあげることができ、中でも本発明の効
果が顕著であり好ましいのはガラス繊維類と炭素繊維類
であり、なかでも特に炭素繊維類が好ましい。かかる理
由としては、炭素繊維類は少量で高剛性、高強度が達成
可能である一方、良好な耐衝撃性が達成されにくく、ま
た特に難燃性を要求される場合には、炭素繊維の性質上
より多くの難燃剤を必要とし、かかる場合の耐衝撃性の
低下が顕著であることが挙げられる。
【0031】本発明における炭素繊維としては、セルロ
ース系、ポリアクリロニトリル系、ピッチ系などのいず
れも使用可能であり、また芳香族スルホン酸類またはそ
れらの塩のメチレン型結合による重合体と溶媒よりなる
原料組成物を紡糸または成形し、次いで炭化するなどの
方法に代表される不融化工程を経ない紡糸を行う方法に
より得られたものも使用可能である。更に気相成長法に
代表される紡糸工程を経ない製造法により製造されたも
のも使用可能である。
【0032】更にいわゆる汎用タイプ、中弾性率タイ
プ、高弾性率タイプのいずれも使用可能であるが、特に
ポリアクリロニトリル系の高弾性率タイプが好ましい。
また形状としてはチョップドストランド、ロービングス
トランドなどの形状のものである。また製法についても
溶融紡糸、溶剤紡糸のいずれの方法も使用可能であり、
更に溶剤紡糸については湿式紡糸、乾式紡糸のいずれも
使用可能である。
【0033】繊維径については、直径が0.5〜20μ
mのものが好ましく、1〜10μmのものが特に好まし
い。0.5μm未満では繊維同士が絡みやすく、繊維を
芳香族ポリカーボネート中に分散する工程において繊維
の折れが激しく、剛性向上の効率が低下し、20μmを
超えると繊維の表面積が低下することで樹脂への補強効
率が低下する。これらの炭素繊維は、酸化性ガス中で繊
維を加熱する気相酸化、酸化剤の溶液を用いる液相酸
化、電解浴中で炭素繊維を陽極酸化するなどの方法によ
り炭素繊維の表面を酸化することが望ましい。炭素繊維
は通常チョップドストランドとして集束剤により数千本
〜数万本を1単位として繊維長1〜10mm程度にカッ
トされており、これらのものが適宜使用可能である。
【0034】カーボンミルドファイバーは炭素繊維をカ
ットしたのち、更にボールミルなどにより粉砕を行い、
通常のチョップドストランド未満の長さに調整されるも
のである。かかる場合も元となる炭素繊維としては上記
の炭素繊維として挙げたものが使用可能である。
【0035】金属コ−ト炭素繊維としては、直径が1〜
20μmのものが特に好ましい。1μm未満では機械的
特性が十分でなくなり、20μmを越えるとやはり繊維
の本数低下から導電性が十分でなくなる。金属コ−ト炭
素繊維及び金属コートガラス繊維金属繊維は、金属繊維
に比して破損しやすいため繊維径による導電性低下が顕
著になりやすい。これらの導電性繊維は、シランカップ
リング剤、チタネ−トカップリング剤、アルミネ−トカ
ップリング剤等で表面処理したものが好ましい。またオ
レフィン系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹
脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリアミド系樹
脂等で集束処理したものが好ましい。ここでB成分の樹
脂組成物中の割合としては、A成分、B成分、C成分及
びD成分の合計を100重量%とした時、3〜55重量
%であり、好ましくは8〜30重量%である。3重量%
より少ないと強度が不十分であり、55重量%より多い
と難燃性が低下したり成形が困難になる。
【0036】本発明においてC成分として使用する有機
リン化合物としては、ホスホニウム塩、ホスフィン酸
塩、リン酸エステル、亜リン酸エステルなどを挙げるこ
とができる。より具体的には、トリフェニルホスフェー
ト、メチルネオペンチルホスファイト、ペンタエリスリ
トールジエチルジホスファイト、メチルネオペンチルホ
スフォネート、フェニルネオペンチルホスフェート、ペ
ンタエリスリトールジフェニルジホスフェート、ジシク
ロペンチルハイポジホスフェート、ジネオペンチルハイ
ポホスファイト、フェニルピロカテコールホスファイ
ト、エチルピロカテコールホスフェート、ジピロカテコ
ールハイポジホスフェートなどを挙げることができる。
【0037】ここで特に下記一般式(4)で表される1
種または2種以上のリン酸エステル化合物を挙げること
ができる。
【0038】
【化4】
【0039】(但し上記式中のXは、ハイドロキノン、
レゾルシノール、ビス(4−ヒドロキシジフェニル)メ
タン、ビスフェノールA、ジヒドロキシジフェニル、ジ
ヒドロキシナフタレン、ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケト
ン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)サルファイドから
誘導されるものが挙げられ、j、k、l、mはそれぞれ
独立して0または1であり、nは0〜5の整数であり、
またはn数の異なるリン酸エステルの混合物の場合は0
〜5の平均値であり、R1、R2、R3、およびR4はそれ
ぞれ独立して1個以上のハロゲン原子を置換したもしく
は置換していないフェノール、クレゾール、キシレノー
ル、イソプロピルフェノール、ブチルフェノール、p−
クミルフェノールから誘導されるものである。)
【0040】この中で好ましくは、上記式中のXは、ハ
イドロキノン、レゾルシノール、ビスフェノールAから
誘導されるものが挙げられ、j、k、l、mはそれぞれ
1であり、nは0〜3の整数であり、またはn数の異な
るリン酸エステルのブレンドの場合は0〜3の平均値で
あり、R1、R2、R3、およびR4はそれぞれ独立して1
個以上のハロゲン原子を置換したもしくは置換していな
いフェノール、クレゾール、キシレノールから誘導され
るものである。
【0041】かかるリン酸エステル系難燃剤の中でも、
モノホスフェート化合物としてはトリフェニルホスフェ
ート、縮合リン酸エステルとしてはレゾルシノールビス
(ジキシレニルホスフェート)およびビスフェノールA
ビス(ジフェニルホスフェート)が、難燃性が良好であ
りかつ成形時の流動性が良好であるなどの理由により最
も好ましく使用できる。
【0042】また、フェノキシホスファゼンオリゴマー
や環状フェノキシホスファゼンオリゴマーに代表される
ホスファゼン化合物も使用することが可能である。
【0043】有機リン化合物の量については、A成分、
B成分、C成分及びD成分の合計を100重量%とした
時、0.1〜20重量%、好ましくは3〜15重量%で
ある。0.1重量%未満では、難燃性が不十分であり、
20重量%を超えると機械的特性、耐熱性が不十分で好
ましくない。
【0044】本発明のD成分として使用されるアルカリ
金属塩およびアルカリ土類金属塩から選択される少なく
とも1種の金属塩としては、従来ポリカーボネート樹脂
を難燃化するのに使用されている各種の金属塩が使用可
能であるが、特に有機スルホン酸の金属塩、または硫酸
エステルの金属塩を挙げることができる。これらは単独
の使用だけでなく、2種以上を混合して使用することも
可能である。尚、本発明のアルカリ金属としては、リチ
ウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムが
挙げられ、アルカリ土類金属としては、ベリリウム、マ
グネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムが
挙げられ、特に好ましくはリチウム、ナトリウム、カリ
ウムである。
【0045】本発明の有機スルホン酸の金属塩として、
脂肪族スルホン酸のアルカリ金属塩、脂肪族スルホン酸
のアルカリ土類金属塩、芳香族スルホン酸のアルカリ金
属塩、芳香族スルホン酸のアルカリ土類金属塩等が挙げ
られる。かかる脂肪族スルホン酸金属塩の好ましい例と
しては、アルカンスルホン酸アルカリ(土類)金属塩、
かかるアルカンスルホン酸アルカリ(土類)金属塩のア
ルキル基の一部がフッ素原子で置換したスルホン酸アル
カリ(土類)金属塩、およびパーフルオロアルカンスル
ホン酸アルカリ(土類)金属塩を挙げることができ、こ
れらは1種もしくは2種以上を併用して使用することが
できる(ここで、アルカリ(土類)金属塩の表記は、ア
ルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩のいずれも含む意味
で使用する)。
【0046】アルカンスルホン酸アルカリ(土類)金属
塩に使用するアルカンスルホン酸の好ましい例として
は、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンス
ルホン酸、ブタンスルホン酸、メチルブタンスルホン
酸、ヘキサンスルホン酸、へプタンスルホン酸、オクタ
ンスルホン酸等があげられ、これらは1種もしくは2種
以上を併用して使用することができる。またかかるアル
キル基の一部がフッ素原子で置換した金属塩も挙げるこ
とができる。
【0047】一方、パーフルオロアルカンスルホン酸の
好ましい例としては、パーフルオロメタンスルホン酸、
パーフルオロエタンスルホン酸、パーフルオロプロパン
スルホン酸、パーフルオロブタンスルホン酸、パーフル
オロメチルブタンスルホン酸、パーフルオロヘキサンス
ルホン酸、パーフルオロヘプタンスルホン酸、パーフル
オロオクタンスルホン酸等があげられ、特に炭素数が1
〜8のものが好ましい。これらは1種もしくは2種以上
を併用して使用することができる。
【0048】かかるアルカンスルホン酸アルカリ(土
類)金属塩としては、エタンスルホン酸ナトリウム塩
が、パーフルオロアルカンスルホン酸アルカリ(土類)
金属塩としては、パーフルオロブタンスルホン酸カリウ
ム塩を特に好ましく挙げることができる。
【0049】芳香族スルホン酸アルカリ(土類)金属塩
に使用する芳香族スルホン酸としては、モノマー状また
はポリマー状の芳香族サルファイドのスルホン酸、芳香
族カルボン酸およびエステルのスルホン酸、モノマー状
またはポリマー状の芳香族エーテルのスルホン酸、芳香
族スルホネートのスルホン酸、モノマー状またはポリマ
ー状の芳香族スルホン酸、モノマー状またはポリマー状
の芳香族スルホンスルホン酸、芳香族ケトンのスルホン
酸、複素環式スルホン酸、芳香族スルホキサイドのスル
ホン酸、芳香族スルホン酸のメチレン型結合による縮合
体からなる群から選ばれた少なくとも1種の酸を挙げる
ことができ、これらは1種もしくは2種以上を併用して
使用することができる。
【0050】モノマー状またはポリマー状の芳香族サル
ファイドのスルホン酸アルカリ(土類)金属塩として
は、特開昭50−98539号公報に記載されており、
例えば、ジフェニルサルファイド−4,4’−ジスルホ
ン酸ジナトリウム、ジフェニルサルファイド−4,4’
−ジスルホン酸ジカリウムなどを挙げることができる。
【0051】芳香族カルボン酸およびエステルのスルホ
ン酸アルカリ(土類)金属塩としては、特開昭50−9
8540号公報に記載されており、例えば5−スルホイ
ソフタル酸カリウム、5−スルホイソフタル酸ナトリウ
ム、ポリエチレンテレフタル酸ポリスルホン酸ポリナト
リウムなどを挙げることができる。
【0052】モノマー状またはポリマー状の芳香族エー
テルのスルホン酸アルカリ(土類)金属塩としては、特
開昭50−98542号公報に記載されており、例えば
1−メトキシナフタレン−4−スルホン酸カルシウム、
4−ドデシルフェニルエーテルジスルホン酸ジナトリウ
ム、ポリ(2,6−ジメチルフェニレンオキシド)ポリ
スルホン酸ポリナトリウム、ポリ(1,3−フェニレン
オキシド)ポリスルホン酸ポリナトリウム、ポリ(1,
4−フェニレンオキシド)ポリスルホン酸ポリナトリウ
ム、ポリ(2,6−ジフェニルフェニレンオキシド)ポ
リスルホン酸ポリカリウム、ポリ(2−フルオロ−6−
ブチルフェニレンオキシド)ポリスルホン酸リチウムな
どを挙げることができる。
【0053】芳香族スルホネートのスルホン酸アルカリ
(土類)金属塩としては、特開昭50−98544号公
報に記載されており、例えばベンゼンスルホネートのス
ルホン酸カリウムなどを挙げることができる。
【0054】モノマー状またはポリマー状の芳香族スル
ホン酸アルカリ(土類)金属塩としては、特開昭50−
98546号公報に記載されており、例えばベンゼンス
ルホン酸ナトリウム、ベンゼンスルホン酸ストロンチウ
ム、ベンゼンスルホン酸マグネシウム、p−ベンゼンジ
スルホン酸ジカリウム、ナフタレン−2,6−ジスルホ
ン酸ジカリウム、ビフェニル−3,3’−ジスルホン酸
カルシウムなどを挙げることができる。
【0055】モノマー状またはポリマー状の芳香族スル
ホンスルホン酸アルカリ(土類)金属塩としては、特開
昭52−54746号公報に記載されており、例えばジ
フェニルスルホン−3−スルホン酸ナトリウム、ジフェ
ニルスルホン−3−スルホン酸カリウム、ジフェニルス
ルホン−3,3’−ジスルホン酸ジカリウム、ジフェニ
ルスルホン−3,4’−ジスルホン酸ジカリウムなどを
挙げることができる。
【0056】芳香族ケトンのスルホン酸アルカリ(土
類)金属塩としては、特開昭50−98547号公報に
記載されており、例えばα,α,α−トリフルオロアセ
トフェノン−4−スルホン酸ナトリウム、ベンゾフェノ
ン−3,3’−ジスルホン酸ジカリウムなどを挙げるこ
とができる。
【0057】複素環式スルホン酸アルカリ(土類)金属
塩としては、特開昭50−116542号公報に記載さ
れており、例えばチオフェン−2,5−ジスルホン酸ジ
ナトリウム、チオフェン−2,5−ジスルホン酸ジカリ
ウム、チオフェン−2,5−ジスルホン酸カルシウム、
ベンゾチオフェンスルホン酸ナトリウムなどを挙げるこ
とができる。
【0058】芳香族スルホキサイドのスルホン酸アルカ
リ(土類)金属塩としては、特開昭52−54745号
公報に記載されており、例えばジフェニルスルホキサイ
ド−4−スルホン酸カリウムなどを挙げることができ
る。
【0059】芳香族スルホン酸アルカリ(土類)金属塩
のメチレン型結合による縮合体としては、ナフタレンス
ルホン酸のホルマリン縮合物、アントラセンスルホン酸
のホルマリン縮合物などを挙げることができる。
【0060】一方、硫酸エステルのアルカリ(土類)金
属塩としては、特に一価および/または多価アルコール
類の硫酸エステルのアルカリ(土類)金属塩を挙げるこ
とができ、かかる一価および/または多価アルコール類
の硫酸エステルとしては、メチル硫酸エステル、エチル
硫酸エステル、ラウリル硫酸エステル、ヘキサデシル硫
酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエー
テルの硫酸エステル、ペンタエリスリトールのモノ、
ジ、トリ、テトラ硫酸エステル、ラウリン酸モノグリセ
ライドの硫酸エステル、パルミチン酸モノグリセライド
の硫酸エステル、ステアリン酸モノグリセライドの硫酸
エステルなどを挙げることができる。これらの硫酸エス
テルのアルカリ(土類)金属塩として好ましくはラウリ
ル硫酸エステルのアルカリ(土類)金属塩を挙げること
ができる。
【0061】また他のアルカリ(土類)金属塩として
は、芳香族スルホンアミドのアルカリ(土類)金属塩を
挙げることができ、例えばサッカリン、N−(p−トリ
ルスルホニル)−p−トルエンスルホイミド、N−
(N’−ベンジルアミノカルボニル)スルファニルイミ
ド、およびN−(フェニルカルボキシル)スルファニル
イミドのアルカリ(土類)金属塩などが挙げられる。上
記に挙げたD成分のうち、より好ましいアルカリ(土
類)金属塩として、芳香族スルホン酸のアルカリ(土
類)金属塩およびパーフルオロアルカンスルホン酸のア
ルカリ(土類)金属塩を挙げることができる。
【0062】D成分の量については、A成分、B成分、
C成分及びD成分の合計を100重量%とした時、0.
0001〜0.05重量%、好ましくは0.0001〜
0.01重量%である。0.0001重量%未満では、
難燃性が不十分であり、0.05重量%を超えると機械
的特性、耐湿熱特性が不十分で好ましくない。
【0063】更に本発明においては、難燃性を損なわな
い範囲においてE成分として耐衝撃性の向上を目的とし
て、ポリオルガノシロキサンゴム成分とポリアルキル
(メタ)アクリレートゴム成分とが分離できないように
相互に絡み合った構造を有している複合ゴムに一種又は
二種以上のビニル系単量体がグラフト重合された複合ゴ
ム系グラフト重合体を添加することも可能であり、より
良好な耐衝撃性が得られ、好ましく使用できるものであ
る。かかる本発明において使用される複合ゴム系グラフ
ト共重合体を得るには、まず3員環以上の各種の環状オ
ルガノシロキサン、例えばヘキサメチルシクロトリシロ
キサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメ
チルシクロペンタシロキサン等と、架橋剤及び/又はグ
ラフト交叉剤を用いて乳化重合によりポリオルガノシロ
キサンゴムのラテックスを調整し、次にアルキル(メ
タ)アクリレート単量体、架橋剤及びグラフト交叉剤と
をポリオルガノシロキサンゴムのラテックスに含浸させ
てから重合することによって得られる。ここで用いられ
るアルキル(メタ)アクリレート単量体としては、メチ
ルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルア
クリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキ
シルアクリレート等のアルキルアクリレート及びヘキシ
ルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート
等のアルキルメタクリレートが挙げられるが、特にn−
ブチルアクリレートを用いることが好ましい。
【0064】かかる複合ゴムにグラフト重合させるビニ
ル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン等
の芳香族ビニル化合物、アクリロニトリル、メタクリロ
ニトリル等のシアン化ビニル化合物、メチルメタクリレ
ート、2−エチルヘキシルメタクリレート等のメタクリ
ル酸エステル、メチルアクリレート、エチルアクリレー
ト、ブチルアクリレート等のアクリル酸エステル等が挙
げられ、これらは単独もしくは2種以上組み合わせて用
いられる。かかる複合ゴム系グラフト共重合体の中で
も、特に好ましいものとしては、三菱レイヨン(株)よ
りメタブレンS−2001あるいはSRK−200とい
う商品名で市販されているものが挙げられる。
【0065】かかる複合ゴム系グラフト重合体の量とし
ては、A成分及びD成分からなる組成物100重量部に
対して、1〜20重量部が好ましい。
【0066】本発明でF成分として用いるカルボキシル
基及び/又はカルボン酸無水物基を含有するオレフィン
系ワックスとは、オレフィン系ワックスを後処理によ
り、カルボキシル基及び/又はカルボン酸無水物基を含
有する化合物、好ましくはマレイン酸及び/又は無水マ
レイン酸で変性したものが挙げられる。更にエチレン及
び/又は1−アルケンを重合又は共重合する際にかかる
モノマー類と共重合可能なカルボキシル基及び/又はカ
ルボン酸無水物基を含有する化合物、好ましくはマレイ
ン酸及び/又は無水マレイン酸を共重合したものも挙げ
られ、かかる共重合をしたものはカルボキシル基及び/
又はカルボン酸無水物基が高濃度かつ安定して含まれる
ので好ましい。かかるワックスを配合することにより、
成形加工時のせん断による導電性繊維の破損を低減さ
せ、本来のアスペクト比を保持し、より高い電磁波遮蔽
効果が発現するものと考えられる。このカルボキシル基
やカルボン酸無水物基は、このオレフィン系ワックスの
どの部分に結合してもよく、またその濃度は特に限定さ
れないが、オレフィン系ワックス1g当り0.1〜6m
eq/gの範囲が好ましい。0.1meq/gより少な
くなると剛性及び耐衝撃性の改良効果が不十分になり、
6meq/gより多くなるとオレフィン系ワックス自身
の熱安定性が悪化するようになるので好ましくない。か
かるオレフィン系ワックスは、市販品としては例えばダ
イヤカルナ−PA30[三菱化学(株)の商品名]、ハ
イワックス酸処理タイプの2203A、1105A[三
井石油化学(株)の商品名]等が挙げられ、これら単独
で又は二種以上の混合物として用いられ、その量は、A
成分及びD成分からなる組成物100重量部に対して、
0.005〜5重量部である。
【0067】また本発明の組成物には、難燃性能を更に
向上させるために、G成分としてフィブリル形成能を有
するポリテトラフルオロエチレンを添加することも可能
である。かかるフィブリル形成能を有するポリテトラフ
ルオロエチレンはASTM規格においてタイプ3に分類
されているものである。更にかかるフィブリル形成能を
有するポリテトラフルオロエチレンは、1次粒子径が
0.05〜10μmの範囲のものが好ましく、2次粒子
径が50〜700μmのものが好ましい。かかるポリテ
トラフルオロエチレンはUL規格の垂直燃焼テストにお
いて試験片の燃焼テスト時に溶融滴下防止性能を有して
おり、かかるフィブリル形成能を有するポリテトラフル
オロエチレンは、例えば三井・デュポンフロロケミカル
(株)よりテフロン6Jとして、またはダイキン化学工
業(株)よりポリフロンとして市販されており容易に入
手できる。
【0068】かかるポリテトラフルオロエチレン(以下
単に“PTFE”と称することがある)は、通常の固体
形状の他、水性分散液形態のものも使用可能である。ま
たかかるフィブリル形成能を有するPTFEは樹脂中で
の分散性を向上させ、更に良好な難燃性および機械的特
性を得るために以下の形態のPTFE混合物を使用する
ことも可能である。
【0069】第1にPTFE分散液とビニル系重合体の
分散体との共凝集混合物を挙げることができる。具体的
には特開昭60−258263号公報に平均粒径0.0
5〜5μmのPTFE分散液とビニル系重合体の分散液
を混合し、30μmより大きいPTFE粒子を精製させ
ることなく凝固させ、かかる凝固物を乾燥することによ
りPTFE混合物を得る方法が記載されており、かかる
混合物の使用が可能である。
【0070】第2にPTFE分散液と乾燥したポリマー
粒子とを混合した混合物を挙げることができ、かかるポ
リマー粒子としては各種のものが使用できるが、より好
ましくはポリカーボネート樹脂粉末またはABS樹脂粉
末を使用したものである。かかる混合物については、特
開平4−272957号公報にPTFE分散液とABS
樹脂粉末との混合物について記載がされており、かかる
方法の使用が可能である。
【0071】第3にPTFE分散液と熱可塑性樹脂溶液
の混合物からそれぞれの媒体を同時に除去することによ
り得られたPTFE混合物を挙げることができ、具体的
にはスプレードライヤーを使用することにより媒体を除
去した混合物を挙げることができ、かかる混合物につい
ては特開平08−188653号公報に記載されてい
る。
【0072】第4にPTFE分散液中で他のビニル系単
量体を重合することにより得られたPTFE混合物を挙
げることができ、かかる混合物については特開平9−9
5583号公報に、PTFEラテックス中にスチレンお
よびアクリロニトリルを供給することによりPTFE混
合物を得る方法が具体的に記載されており、かかる混合
物等を使用することができる。
【0073】第5に、PTFE分散液とポリマー粒子分
散液を混合後、更に該混合分散液中でエチレン系不飽和
単量体を重合する方法を挙げることができ、かかる方法
は製造の簡便性とPTFEの分散の微細化を両立できる
点で好ましいPTFE混合物として挙げることができ
る。かかる混合物については特開平11−29679号
にその詳細が記載されており、すなわち粒子径0.05
〜1.0μmのPTFE分散液とポリマー粒子分散液と
を混合した分散液中で、エチレン性不飽和結合を有する
単量体を乳化重合した後、凝固またはスプレードライに
より粉体化されたPTFE混合物を好ましいものとして
挙げることができる。
【0074】ここでポリマー粒子としては、ポリプロピ
レン、ポリエチレン、ポリスチレン、HIPS、AS樹
脂、ABS樹脂、MBS樹脂、MABS樹脂、ASA樹
脂、ポリアルキル(メタ)アクリレート、スチレンおよ
びブタジエンからなるブロック共重合体およびその水添
共重合体、スチレンおよびイソプレンからなるブロック
共重合体、およびその水添共重合体、アクリロニトリル
−ブタジエン共重合体、エチレン−プロピレンのランダ
ム共重合体およびブロック共重合体、エチレン−ブテン
のランダム共重合体およびブロック共重合体、エチレン
とα−オレフィンの共重合体、エチレン−ブチルアクリ
レート等のエチレン−不飽和カルボン酸エステルとの共
重合体、アクリル酸エステル−ブタジエン共重合体、ポ
リオルガノシロキサンおよびポリアルキル(メタ)アク
リレートを含む複合ゴム、更にかかる複合ゴムにスチレ
ン、アクリロニトリル、ポリアルキルメタクリレート等
のビニル系単量体をグラフトした共重合体等を挙げるこ
とができるが、なかでもポリアルキル(メタ)アクリレ
ート、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂、ASA樹
脂が好ましい。
【0075】一方、エチレン系不飽和単量体としてはス
チレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p
−メトキシスチレン、o−メトキシスチレン、2,4−
ジメチルスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系
単量体;アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アク
リル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチ
ル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキ
シル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸
ドデシル、メタクリル酸ドデシル、アクリル酸シクロヘ
キシル、メタクリル酸シクロヘキシル等のアクリル酸エ
ステル系単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリ
ル等のシアン化ビニル系単量体;ビニルメチルエーテ
ル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル系単量
体;酢酸ビニル、酪酸ビニル等のカルボン酸ビニル系単
量体;エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフ
ィン単量体;ブタジエン、イソプレン、ジメチルブタジ
エン等のジエン系単量体等の中から選択することができ
る。これらの単量体は単独であるいは2種以上を混合し
て用いることができる。
【0076】かかる第5の形態のPTFE混合物として
は、三菱レイヨン(株)よりメタブレン「A3000」
(商品名)が市販されており、入手が容易であると共
に、本発明において好ましく使用することができる。
【0077】フィブリル形成能を有するポリテトラフル
オロエチレンの割合は本発明の芳香族ポリカーボネート
樹脂組成物100重量部中、3重量部以下であることが
好ましく、より好ましくは0.05〜1.5重量部、特
に好ましくは0.1〜1.0重量部である。3重量部の
範囲においては、十分な溶融滴下防止性能を得ることが
可能となる。
【0078】本発明では更に難燃性を向上することを目
的に、チャー形成樹脂を添加することも可能である。チ
ャー形成樹脂としては、ノボラック型フェノール樹脂、
クレゾール変性フェノール樹脂、ポリ(2,6−ジメチ
ル−1,4−フェニレンエーテル)、アリル化ポリ
(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、
2,6−ジフェニルポリフェニレンエーテル、ポリフェ
ニル、ポリエーテルサルフォン、ポリアリレート、ポリ
フェニレンスルフィド、ポリサルフォン、ポリエーテル
サルフォン等が挙げられ、これらの中から選ばれた1種
または2種以上組み合わせて用いることができる。この
うち、特に好ましいチャー形成樹脂は、ノボラック型フ
ェノール樹脂、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェ
ニレンエーテル)、ポリフェニレンスルフィドを挙げる
ことができる。
【0079】本発明の組成物には、トリメチルホスファ
イトのようなリン酸エステルあるいはトリフェニルホス
ファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、ジステ
アリルペンタエリスリト−ルジホスファイト、ビス
(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニ
ル)ペンタエリスリト−ルジホスファイトのような亜リ
ン酸エステルを全組成物に対して、0.001〜1重量
%を配合することにより、更に熱安定性が向上するので
好ましい。更に、本発明の目的を損なわない範囲で、各
種添加剤を添加してもよい。着色剤(カーボンブラッ
ク、酸化チタンなどの顔料、染料)、光拡散剤(アクリ
ル架橋粒子、シリコン架橋粒子、極薄ガラスフレーク、
炭酸カルシウム粒子など)、蛍光増白剤、蓄光顔料、蛍
光染料、帯電防止剤、流動改質剤、結晶核剤、無機およ
び有機の抗菌剤、光触媒系防汚剤(微粒子酸化チタン、
微粒子酸化亜鉛など)、グラフトゴムに代表される衝撃
改質剤、赤外線吸収剤、フォトクロミック剤を本発明の
目的を損なわない範囲で含むことができる。
【0080】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成
物は、上記各成分を同時に、または任意の順序でタンブ
ラー、V型ブレンダー、ナウターミキサー、バンバリー
ミキサー、混練ロール、押出機等の混合機により混合し
て製造することができる。好ましくは2軸押出機による
溶融混練が好ましく、更にその際、B成分はサイドフィ
ーダー等により第2供給口より、溶融混合された他の成
分中に供給することが好ましい。
【0081】かくして得られる樹脂組成物は押出成形、
射出成形、圧縮成形などの方法で容易に成形可能であ
り、またブロー成形、真空成形などにも適用できる。特
に射出成形やブロー成形においては、断熱層を有する金
型や、予め金型キャビティの表面のみを局所的に高温と
した金型を使用することにより製造されるものが好まし
い。上記の各種製造法により得られた成形品は、剛性と
耐衝撃性の両立に優れるものであり、薄肉筐体などの分
野に最適である。具体的には携帯型通信機器、ノート型
パソコン、自動車内部部品、特に電気自動車部品などの
分野が挙げられる。特に高い難燃性が要求される分野の
材料として最適である。
【0082】
【発明の実施の形態】以下に実施例を示し本発明を具体
的に説明する。本発明はこれに限定されるものではな
い。
【0083】[実施例1〜10、比較例1〜6]表1、
2記載の各成分を表1、2記載の配合割合でV型ブレン
ダ−で混合後、径30mmφのベント式二軸押出機
((株)日本製鋼所TEX30XSST)でシリンダ−
温度280℃でペレット化した。このペレットを100
℃で5時間乾燥後、射出成形機(住友重機械工業(株)
製SG−150U)によりシリンダ−温度280℃、金
型温度80℃で評価用試験片を作成し、評価結果を表1
に示した。 (a)難燃性:UL規格94Vに従い燃焼試験を実施し
た。 (b)衝撃強さ:ASTM D−256(アイゾットノ
ッチ付き、厚み3.2mm)により測定した。 (c)衝撃強さ:ASTM D−256(逆ノッチ付
き、厚み3.2mm)により測定した。 (d)曲げ弾性率:ASTM D−790により測定し
た。 (e)荷重たわみ温度:JIS K−7207に従っ
て、1.813MPa荷重にて測定した。
【0084】
【表1】
【0085】
【表2】
【0086】なお、表1、2記載の各成分を示す記号は
下記の通りである。 (A成分):PC:芳香族ポリカ−ボネ−ト樹脂(帝人
化成(株)L−1225、粘度平均分子量22,50
0) (B成分):B−1:ニッケルコ−ト炭素繊維(東邦レ
−ヨン(株)製ベスファイト MCHTA−C6−CS
(I)) :B−2:炭素繊維(東邦レ−ヨン(株)製ベスファイ
トHTA−C6−N) :B−3:ガラス繊維(日本電気硝子(株)製ECS−
03T−511) (C成分):FR−1;縮合リン酸エステル系難燃剤
(旭電化工業(株)製アデカスタブFP−500) :FR−2:縮合リン酸エステル系難燃剤(大八化学
(株)製CR−741) :FR−3:ホスファゼン化合物(大塚化学(株)製S
P−100) (D成分):金属塩−1;パーフロオロブタンスルホン
酸カリウム塩(大日本インキ化学工業(株)製メガファ
ックF−114) :金属塩−2;ジフェニルスルホンスルホン酸カリウム
塩(ユーシービージャパン製 KSS) (E成分):E−1:複合ゴム系グラフト共重合体(三
菱レイヨン(株)製 メタブレンS−2001) :E−2:複合ゴム系グラフト共重合体(三菱レイヨン
(株)製 メタブレンSRK−200) (E成分以外):E−3:メタクリル酸メチル−ブタジ
エン−スチレン共重合体(三菱レイヨン(株)製 メタ
ブレンC−223A) (F成分):F−1:カルボキシルグル−プを有するオ
レフィン系ワックス(三菱化成(株)製 ダイヤカルナ
−30) (G成分):G−1:PTFE フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレン
(ダイキン工業(株)製 ポリフロンFA−500) (その他):TMP:トリメチルホスフェート(大八化
学(株)製 TMP)
【0087】これらの表1、2から明らかなように、実
施例1と比較例1の比較から、B成分がないと高い難燃
性を達成することができるが、曲げ弾性率が非常に低
い。実施例1と比較例2、3からは、難燃剤として、C
成分だけでは、高い難燃性を達成することはできず、ま
たC成分とD成分を併用してもD成分の含有量が多い場
合は、高い難燃性および高い耐衝撃性を達成することは
できない。更に、比較例4から、C成分を含有量が多く
なると高い難燃性を達成することはできるが、耐熱性、
耐衝撃性が大幅に低下してしまう。更に、比較例6から
E成分以外のものでは、高い難燃性を達成することがで
きない。
【0088】
【発明の効果】本発明の樹脂組成物は、優れた難燃効果
を有しかつ機械的特性にも優れていることから、電子機
器の筐体を始め幅広い産業分野で好適であり、本発明で
得られた樹脂組成物が奏する工業的効果は格別なもので
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08K 5/49 C08K 5/49 7/06 7/06 9/02 9/02 C08L 23/26 C08L 23/26 27/18 27/18 51/08 51/08 Fターム(参考) 4F071 AA27 AA33X AA50 AA67X AA77 AA78 AB03 AB23 AB24 AC15 AD01 AF47 BA01 BB03 BB05 BB06 BC04 BC07 4J002 BB21Y BD15Z BN21X CG00W DA016 EV188 EV258 EW007 FA046 FB076 FD016 GN00 GQ00

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 A成分、B成分、C成分及びD成分の合
    計を100重量%とした時、芳香族ポリカーボネート樹
    脂(A成分)96.8999〜24.95重量%、無機
    充填剤(B成分)3〜55重量%、有機リン化合物(C
    成分)0.1〜20重量%、アルカリ金属塩および/ま
    たはアルカリ土類金属塩から選択される少なくとも1種
    の金属塩(D成分)0.0001〜0.05重量%であ
    る芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 更にポリオルガノシロキサンゴム成分と
    ポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分とが分離で
    きないように相互に絡み合った構造を有している複合ゴ
    ムに一種又は二種以上のビニル単量体がグラフト重合さ
    れた複合ゴム系グラフト重合体(E成分)をA成分、B
    成分、C成分及びD成分からなる組成物100重量部に
    対して、1〜20重量部を含んでなる請求項1に記載の
    芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 更にカルボキシル基および/又はカルボ
    ン酸無水物基から選択された少なくとも1種の官能基を
    有するポリオレフィンワックス(F成分)をA成分、B
    成分、C成分及びD成分からなる組成物100重量部に
    対して、0.05〜5重量部を含んでなる請求項1に記
    載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 更にフィブリル形成能を有するポリテト
    ラフルオロエチレン(G成分)をA成分、B成分、C成
    分及びD成分からなる組成物100重量部に対して、
    0.05〜3重量部を含んでなる請求項1に記載の芳香
    族ポリカーボネート樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 B成分が、炭素繊維または金属コート炭
    素繊維であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか
    1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 B成分が、ニッケルコート炭素繊維であ
    ることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載
    の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 D成分の量が0.0001〜0.01重
    量%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1
    項に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
  8. 【請求項8】 D成分が有機スルホン酸金属塩であるこ
    とを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の芳
    香族ポリカーボネート樹脂組成物。
  9. 【請求項9】 D成分がパーフルオロアルカン−スルホ
    ン酸金属塩または芳香族スルホンスルホン酸金属塩であ
    ることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載
    の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
  10. 【請求項10】 D成分がパーフルオロアルカン−スル
    ホン酸金属塩であることを特徴とする請求項1〜4のい
    ずれか1項に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成
    物。
  11. 【請求項11】 請求項1〜10のいずれか1項に記載
    された芳香族ポリカーボネート樹脂組成物から形成され
    た成形品。
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