JP2002060966A - リン酸塩処理性および成形性に優れたAl基材料およびその製造方法 - Google Patents

リン酸塩処理性および成形性に優れたAl基材料およびその製造方法

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JP2002060966A JP2000240163A JP2000240163A JP2002060966A JP 2002060966 A JP2002060966 A JP 2002060966A JP 2000240163 A JP2000240163 A JP 2000240163A JP 2000240163 A JP2000240163 A JP 2000240163A JP 2002060966 A JP2002060966 A JP 2002060966A
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秀和 井戸
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 作業性が良く、低コストで廃液処理が簡便で
あり、リン酸塩処理性および成形性に優れた6000系
を含むAl基材料の製造方法および該Al基材料を提供
する。 【解決手段】 表面に炭素微粒子を存在させたことを
特徴とするAl基材料であり、炭素微粒子を分散させた
溶液をAl基材料表面に塗布し、次いで該液体を揮発除
去することによって、あるいは有機物をAl基材料表面
に付着させ、次いで該有機物の分解温度以上に加熱して
該有機物を炭化させることによって製造される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リン酸塩処理性と
成形性に優れ、例えば自動車用部材などに好ましく用い
られるAl基材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車を軽量化するため、Al基
材料が採用されつつある。かかる自動車用途には、耐食
性に優れたAl−Mg合金である5000系、高強度で
耐食性に優れたAl−Mg−Si合金である6000
系、高強度のAl−Zn−Mg合金である7000系等
のAl合金材が用いられており、以下単にAl合金材と
して説明する。
【0003】このような自動車用部材では依然として鋼
材を用いる部分が多いため、鋼材とAl合金材とを一体
に組み付けた後、鋼材を想定した表面処理や塗装を行な
うのが一般的である。ところが、Al合金材は、鋼材に
比べて反応性が低いため、鋼材用のリン酸塩処理によっ
てはリン酸塩皮膜が十分に生成しないという問題があ
る。
【0004】そこで、Al合金材のリン酸塩処理性を改
善する方法がいくつか提案されている。
【0005】(1)フッ化物を用いる方法 従来から、リン酸塩処理浴にフッ化物を添加することに
よりAlの酸化皮膜の溶解を促進し、同時にアルミニウ
ムイオンがリン酸塩の析出を阻害するのを抑制するとい
う方法があり、この系を改良したものとして、更に鉄の
キレート化合物を含有させることで浴中に鉄イオンを存
在させ、これによりAl合金表面に緻密で均一且つ被覆
性の高いリン酸亜鉛皮膜を形成させる方法が提案されて
いる(特開平10−306382号公報)。
【0006】(2)Al板の表面処理による方法 Al板表面に亜鉛めっき層を形成させることで、リン酸
塩皮膜の形成を阻害するAlイオンの溶出を抑制する方
法が提案されている(特開昭61−157693号公
報)。
【0007】(3)酸化皮膜を制御する方法 Al−Mg系合金表面に形成された酸化物層の厚さと該
酸化物層中のMg濃度が該合金のリン酸塩処理性に影響
を与えることから、これらを一定の範囲に制限する方法
(特開平5−70970号公報、特開平2−25094
4号公報)が提案されている。
【0008】(4)Al材の表面に金属を析出させる方
法 リン酸亜鉛皮膜生成の核となる金属微粒子を、一定範囲
の被覆率で存在させる方法(特開平10−265965
号公報)や、リン酸塩処理時にリン酸塩反応のカソード
となり得る金属を不連続的に被覆してリン酸塩結晶の析
出を促進する方法(特開平5−112892号公報)が
提案されている。
【0009】しかし、上記(1)〜(4)の方法には夫
々以下のような問題点が存在する。
【0010】(1)の方法では、Al−Mg−Si系
(6000系)合金に適用する場合、Al合金表面での
Siの濃化に起因して反応性が低下するため、その効果
が必ずしも十分ではない。
【0011】(2)の方法では、作業が繁雑でコストが
上昇する。
【0012】(3)の方法はいずれもAl−Mg系(5
000系)合金には有効であるが、Al−Mg−Si系
(6000系)合金の場合ではMgの寄与が小さい上
に、上記(1)と同様にSiの濃化による反応性の低下
があるため、効果が十分ではない。
【0013】(4)の方法はいずれも有力な方法である
が、両者に共通して重金属を含む廃液処理の問題があ
り、また特開平10−265965号公報に開示の方法
では、安定して金属微粒子を埋め込むことが難しいとい
う問題もある。
【0014】また、Al材の適用においては、成形性や
溶接性も重要な改善テーマとなっており、いくつかの方
法が提案されている。例えば、特開平5−320932
号公報には、Al板の表面の酸化層を除去した後クロメ
ート処理を行い、その上に潤滑性無機化合物層を設ける
ことによって溶接性、加工性、耐食性を改善することが
開示されている。更に、特開平5−311454号公報
には、AlあるいはAl合金板表面に第1層としてクロ
メート層を、その上に第2層としてエポキシ樹脂と潤滑
剤を含む有機皮膜を夫々設けることによって、成形性な
どを改善することが開示されている。この他、特開平5
−306474号公報には、Al材表面に第1層として
Al酸化物が60%以上からなる陽極酸化皮膜を、その
上に潤滑性無機化合物からなる第2層を夫々形成させる
ことによって、成形性、溶接性、耐食性を改善すること
が開示されている。
【0015】しかし、特開平5−320932号公報お
よび特開平5−311454号公報に開示の方法では、
クロメート処理を行う関係上、六価クロムに関連して廃
液処理や作業性に問題がある。また、特開平5−306
474号公報に開示の方法では、陽極酸化にコストがか
かることや、陽極酸化皮膜が塗装前処理であるリン酸塩
処理性を阻害するため、塗膜密着性に問題がある。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記事情に
着目してなされたものであり、その目的は、作業性が良
く、低コストで廃液処理が簡便であり、リン酸塩処理性
および成形性に優れた6000系を含むAl基材料の製
造方法および該Al基材料を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決し得た本
発明に係るリン酸塩処理性および成形性に優れたAl基
材料とは、表面に炭素微粒子を存在、好ましくは付着さ
せたところに要旨を有するものである。ここで、上記炭
素微粒子は上記Al基材料表面に0.01g/m2以上
存在することが好ましく、また該炭素微粒子の径は少な
くとも0.01μmであることが好ましい。
【0018】本発明のAl基材料は、炭素微粒子を分散
させた液体をAl基材料表面に塗布し、次いで該液体を
揮発除去することによって、あるいは有機物をAl基材
料表面に付着させ、次いで該有機物の分解温度以上に加
熱して該有機物を炭化させることによって製造される
が、Al基材料表面に炭素微粒子を直接付着させること
によって製造しても良い。
【0019】更に、上記のAl基材料をリン酸塩処理す
ることで、耐糸錆性に優れたAl基材料が得られる。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明において、Al基材料表面
の炭素微粒子はリン酸塩処理液中でカソードとして作用
することで反応性を高めると共に、リン酸塩析出のため
の結晶核となるため、該基材料のリン酸塩処理性を著し
く向上させる。
【0021】また、上記炭素微粒子は固体潤滑剤として
作用し、Al基材料の成形時において金型との衝撃や摺
動によるかじりなどを抑制するため、該基材料の成形性
を向上させる。
【0022】この他、本発明の炭素微粒子は、以下の理
由によりAl基材料の溶接性をも向上させる。
【0023】一般に、Al材を鋼材の場合と同一の銅系
電極を用いて連続的にスポット溶接を繰り返すと、電極
先端の通電径が徐々に拡大し、これに伴う電流密度の低
下によってナゲット径が減少して電極寿命となるが、A
l材の場合は鋼材に比べてその電極先端径の拡大速度が
著しく大きいことが知られている。これは、電極先端の
通電部に溶融Alが付着してその酸化物が堆積したり、
Al表面のMg酸化物が溶着したりすることで絶縁層が
形成され、この絶縁層と電極との間でスパークが生じ、
その際に電極が虫食い状に欠損していくためと考えられ
ている。
【0024】しかし、本発明のAl基材料においては、
導電性粒子である炭素微粒子が電極とAl基材料との接
触抵抗を低下させるため、スポット溶接時の電極接触側
材料表面の接触抵抗を接合側材料表面よりも低くできる
ことにより、電極の劣化が抑制され、結果として溶接性
が向上するのである。
【0025】本発明において、炭素微粒子は、その効果
をより有効に発揮させるためには0.01g/m2
上、好ましくは0.1g/m2以上、更に好ましくは
0.4g/m2以上存在させることがよい。なお、この
量があまりに多すぎるとAl基材料の露出部分が少なく
なることから、リン酸塩処理時のアノード反応が抑制さ
れてリン酸塩処理性の向上効果が低減する傾向にあるた
め、1.5g/m2以下、好ましくは1.0g/m2
下、更に好ましくは0.8g/m2以下が推奨される。
【0026】また、本発明において、炭素微粒子の径
は、リン酸塩の粒径が一般に2〜10μmであることか
ら、該リン酸塩の結晶核としての効果をより有効に発揮
させるためには少なくとも0.01μm、好ましくは
0.05μm以上、更に好ましくは0.1μm以上であ
ることが推奨される。なお、リン酸塩未着部を低減させ
るためには1μm以下、好ましくは0.5μm以下、更
に好ましくは0.3μm以下であることが推奨される。
【0027】本発明で用いられる炭素微粒子の種類は、
特に限定されないが、例えばランプブラックやアセチレ
ンブラックなどのカーボンブラック、天然黒鉛、石炭コ
ークスなどの人造黒鉛などを用いることができる。この
中でも、特に黒鉛は結晶構造が層状で潤滑性に優れるた
め、Al基材料の成形性向上効果が顕著である。
【0028】本発明のAl基材料には、Al(1000
系)の他、Al−Cu(2000系)、Al-Mn(3
000系)、Al−Si(4000系)、Al−Mg
(5000系)、Al−Mg−Si(6000系)、A
l−Zn−Mg(7000系)などの合金が用いられ
る。
【0029】次に、本発明のAl基材料の製造方法につ
いて説明する。
【0030】本発明のAl基材料は、Al基材料の表面
に炭素微粒子を分散させた液体を塗布し、該液体を揮発
除去することによって製造し得る。この操作により、分
散炭素微粒子がAl基材料表面に存在するようになる。
このため、上記液体としては、水;メタノール、エタノ
ール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−
ブタノールなどのアルコール類;n−ペンタン、n−ヘ
キサン、n−ヘプタン、シクロヘキサンなどの脂肪族あ
るいは環状炭化水素;アセトン、メチルエチルケトンな
どのケトン類;テトラヒドロフランなど、比較的低沸点
で揮発し易いものが好ましい。これらの液体は1種類の
みを使用しても良いし、2種類以上を混合して使用して
も良い。中でも水は、火災などの心配も無く取り扱いが
容易で、人体に対する毒性も無いことから特に推奨され
る。
【0031】また、本発明のAl基材料は、Al基材料
の表面に有機物を付着させ、次いでこれを該有機物の分
解温度以上に加熱して該有機物を炭化させることによっ
ても製造し得る。
【0032】上記有機物は、Al基材料表面にそのまま
付着させる他、溶液として、あるいは該有機物の粒子を
分散させた分散液として、該表面に塗布しても良い。
【0033】有機物溶液を用いる場合、溶媒としては、
水;メタノール、エタノール、n−プロパノール、is
o−プロパノール、n−ブタノールなどのアルコール
類;n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シク
ロヘキサンなどの脂肪族あるいは環状炭化水素;アセト
ン、メチルエチルケトンなどのケトン類;テトラヒドロ
フランなど、比較的低沸点で揮発し易いものが好まし
い。これらの溶媒は1種類のみを使用しても良いし、2
種類以上を混合して使用しても良い。中でも水は、火災
などの心配も無く取り扱いが容易で、人体に対する毒性
も無いことから特に推奨される。従って、有機物として
も水溶性有機物の利用が推奨される。
【0034】また、有機物粒子を分散させる液体として
も、上記有機物溶液を用いる場合の溶媒と同じものを用
いることができるが、同じ理由から、水が特に推奨され
る。
【0035】上記有機物は、炭化のための作業性の観点
から分解温度が400℃未満のものが好ましく、更にア
ルコール性水酸基のように加熱により分解する官能基を
有するものが好ましい。具体的には、水溶性有機物とし
てはグルコース、ガラクトースなどの単糖、スクロース
(ショ糖)、ラクトース、マルトース、セロビオースな
どの二糖などが好ましい。この他、水溶性のデンプン
や、非水溶性の有機物であるセルロース、キチン、キト
サンなどの多糖などが好ましい。更に、ポリエチレン、
ポリプロピレンなどの合成高分子の微粒子を用いること
もできる。また、上記有機物は固体である必要はなく、
液体であっても良い。上記加熱温度は、有機物が分解す
れば良いので、上記の糖類を使用した場合は300℃以
上でかつAl合金材の他の物性に影響を与えない温度で
あれば良い。但し、有機物が炭素微粒子としてAl基材
料表面に残存するように、非酸化性雰囲気下で加熱する
か、空気中などの酸化性雰囲気下で加熱する際はその時
間を調節する。
【0036】この他、本発明のAl基材料は、Al基材
料の表面に上記の炭素微粒子を直接付着させて製造する
こともできる。
【0037】このように本発明によれば、良好なリン酸
塩処理性、成形性、更には溶接性を有するAl基材料を
得ることができると共に、有害な重金属や有機溶媒を使
用せずに製造できるため人体への悪影響がほとんどな
く、廃液処理の問題も軽減できる。特に、Siを含有す
る6000系のAl基材料においても、従来は困難であ
った上記の各効果が確保できる点で有用である。更に、
上記Al基材料をリン酸塩処理することで良好な耐糸錆
性を有するAl基材料を得ることができる。
【0038】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べ
る。但し、下記実施例は本発明を制限するものではな
く、前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施するこ
とは全て本発明の技術的範囲に包含される。
【0039】実施例1 6000系Al−Mg−Si合金板(70×150×
0.5mm)をアルカリ脱脂し、この表面に表1に示す
炭素微粒子1gを水10mlに分散させたものを塗布し
た。炭素微粒子の径と存在量は、下記に示す方法によっ
て求めた。
【0040】[炭素微粒子の径]炭素微粒子付着後のA
l合金板の表面を走査型電子顕微鏡(日本電子社製JS
M5410)によって5000倍、すなわち観察視野が
20μm×26μmの写真を撮影し、かかる視野中に存
在する全炭素微粒子の最大外接円直径を測定してこの平
均値を炭素微粒子の径とした。
【0041】[炭素微粒子の存在量]炭素微粒子付着後
のAl合金板を1モル/リットルの塩酸に室温で浸漬し
て表面を十分に溶解させ、その溶液をグラスフィルター
で濾過して得られた炭素を燃焼させた。これにより発生
した二酸化炭素量をガスクロマトグラフィーで測定し、
この値から存在量を算出した。
【0042】上記処理後のAl合金板を下記に示すリン
酸塩処理性試験、耐食性試験および成形性試験に供し
た。なお、比較例として、アルカリ脱脂のみを行ったA
l合金板についても、下記の各試験に供した。
【0043】[リン酸塩処理性試験]Znイオン:0.
1〜10g/リットル,リン酸イオン:1.0〜40g
/リットル,硝酸イオン:0.1〜10g/リットルを
含有し、且つ遊離フッ化物イオンを50〜1000pp
mの範囲で含有する水溶液に、ニッケルイオン:0.1
〜3g/リットル,マンガンイオン:0.1〜2g/リ
ットル,コバルトイオン:0.1〜2g/リットル,鉄
イオン:0.1〜1g/リットル,亜硝酸イオン0.1
〜1g/リットル,無機過酸化物および/または過酸化
水素:0.01〜1g/リットルを適宜加えてリン酸塩
処理液を調製した。かかるリン酸塩処理液を70℃に保
ち、この中に上記Al合金板を30秒間浸漬してリン酸
塩処理を行った。リン酸塩処理後のAl合金板を30%
硝酸に室温で60秒間浸漬し、浸漬前後のAl合金板の
重量変化からリン酸塩付着量を算出した。
【0044】[耐食性試験]上記リン酸塩処理後のAl
合金板をカチオン型電着塗装し、次いで中塗り、更に上
塗り塗装したものに、合金素地まで達するクロスカット
を入れた後、JISZ2371に準拠して塩水噴霧を2
4時間行った。これを75%RH,40℃の湿潤状態に
40日間置いた後、クロスカットからの最大糸錆長さを
測定した。
【0045】[成形性試験]上記Al合金板を、ポン
チ:50mmφ・R8、ダイス:53mmφ・R5、ブ
ランク径:110mmφ、しわ押え力:3.6トンの条
件で深絞り成形し、割れが発生するまでの成形高さを測
定することにより成形性を評価した。評価は下記の基準
で行った。 ◎:15mm以上,○:14mm以上15mm未満,
△:13mm以上14mm未満,×:13mm未満。
【0046】結果を表1に示す。
【0047】
【表1】
【0048】表1のNo.1〜7のAl合金板は本発明
の要件を満足する実施例であり、良好な成形性を有する
と共に、リン酸塩処理によりリン酸塩皮膜が良好に形成
されており、該処理後の最大糸錆長さが小さい。
【0049】一方、No.8のAl合金板は、炭素微粒
子が存在せず、本発明の要件を満足しない比較例である
が、リン酸塩処理によるリン酸塩皮膜の付着量が少な
く、該処理後の最大糸錆長さが増大した。また、成形性
も低下した。
【0050】実施例2 6000系Al−Mg−Si合金板(70×150×
0.5mm)をアルカリ脱脂し、この表面に5質量%シ
ョ糖水溶液を塗布した。これを乾燥した後、空気中40
0℃で1分間加熱し、ショ糖を炭化させて炭素微粒子と
した。このAl合金板に付着している炭素微粒子の径お
よび存在量を上記の方法により測定すると共に、上記の
リン酸塩処理性試験、耐食性試験および成形性試験に供
した。
【0051】なお、比較例としてアルカリ脱脂の後、シ
ョ糖水溶液を塗布することなく上記加熱処理をしたAl
合金板についても上記の各試験に供した。
【0052】結果を表2に示す。
【0053】
【表2】
【0054】表2のNo.9のAl合金板は本発明の要
件を満足する実施例であり、良好な成形性を有すると共
に、リン酸塩処理によるリン酸塩皮膜の形成が良好で、
該処理後の最大糸錆長さが小さい。
【0055】一方、No.10のAl合金板は、炭素微
粒子が存在せず、本発明の要件を満足しない比較例であ
るが、リン酸塩処理によるリン酸塩皮膜の付着が不十分
で、該処理後の最大糸錆長さが増大した。また、成形性
も低下した。
【0056】
【発明の効果】本発明は上記のように構成されており、
リン酸塩処理時にAl基材料表面に存在する炭素微粒子
がリン酸イオンの生成を促進すると共にリン酸塩結晶の
結晶核として作用することから、Al基材料のリン酸塩
処理性が向上すると共に該処理後は良好な耐糸錆性を発
現する。なお、本発明によればAl−Si−Mg合金で
ある6000系であっても、上記リン酸塩処理性が50
00系のAl合金と比べて遜色ないことから、例えば自
動車用部材として好ましく用いられる。また、本発明の
炭素微粒子は潤滑剤としても作用するため、Al基材料
の成形性も向上する。更に、本発明では有害な重金属や
有機溶媒を使用しないため、人体への悪影響が少なく、
廃液処理のための負担も大幅に軽減される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4K022 AA02 BA05 BA31 BA36 CA22 DA06 DB24 EA04 4K026 AA09 AA22 BA03 BB08 BB09 BB10 CA16 CA23 CA26 CA28 CA32 CA35 DA03 EA10 EA13 EA17 4K044 AA06 AB02 BA18 BB03 BB11 BC02 BC05 CA24 CA53 CA62

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面に炭素微粒子を存在させたことを特
    徴とするリン酸塩処理性および成形性に優れたAl基材
    料。
  2. 【請求項2】 前記炭素微粒子を表面に付着させたもの
    である請求項1に記載のAl基材料。
  3. 【請求項3】 前記炭素微粒子が0.01g/m2以上
    存在するものである請求項1または2に記載のAl基材
    料。
  4. 【請求項4】 前記炭素微粒子の径が少なくとも0.0
    1μmである請求項1〜3のいずれかに記載のAl基材
    料。
  5. 【請求項5】 炭素微粒子を分散させた液体をAl基材
    料表面に塗布し、次いで該液体を揮発除去することを特
    徴とするリン酸塩処理性および成形性に優れたAl基材
    料の製造方法。
  6. 【請求項6】 有機物をAl基材料表面に付着させ、次
    いで該有機物の分解温度以上に加熱して該有機物を炭化
    させることを特徴とするリン酸塩処理性および成形性に
    優れたAl基材料の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1〜4に記載のAl基材料をリン
    酸塩処理したものである耐糸錆性に優れたAl基材料。
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