JP2002060961A - 焼結体の化成被膜形成方法及び化成被膜を施した希土類金属磁石 - Google Patents

焼結体の化成被膜形成方法及び化成被膜を施した希土類金属磁石

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JP2002060961A
JP2002060961A JP2000241209A JP2000241209A JP2002060961A JP 2002060961 A JP2002060961 A JP 2002060961A JP 2000241209 A JP2000241209 A JP 2000241209A JP 2000241209 A JP2000241209 A JP 2000241209A JP 2002060961 A JP2002060961 A JP 2002060961A
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裕之 星
Setsuo Ando
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 人体に有害なクロムを含有せず、且つクロム
被膜に匹敵する密着性と耐食性を有する被膜を生成する
化成処理液を提供する。 【解決手段】 焼結体の表面あるいは外面に化成被膜を
形成する焼結体の化成被膜形成方法であって、焼結体を
アルカリ液による洗浄後、又は無洗浄で亜鉛化合物及び
リン酸水溶液からなる化成処理液中に浸漬することを特
徴とする焼結体の化成被膜形成方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は希土類金属を含む焼
結磁石等の表面処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】希土類金属磁石の中で特にNd−Fe−
B系希土類金属磁石は極めて錆び易いために、従来より
その表面にメッキや化成処理による被膜を形成して錆び
を防いでいる。そして化成処理による被膜形成方法とし
ては特開昭60−63902号公報に記載されているよ
うに、製造コストの面からクロム酸塩処理(クロメート
処理)が最も一般的に使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記クロメート処理
は、処理液中および生成した被膜中に6価クロムを含有
している。この6価クロムは人体に長時間接触すると皮
膚から体内へと侵入し、排出されること無く体内に蓄積
され、クロムアレルギー、クロム潰瘍、更には蒸気を吸
引することによって肺癌を引き起こすとさえ言われてい
る。従って、処理液の廃棄の問題、さらにクロメート処
理された製品の廃棄の問題などが重要視されつつある。
このような背景の中、欧州では2003年からクロムの規制
が行われようとしている。それに先立ってクロムを使わ
ない化成処理に関する研究も多々行われており、既に実
用化されているものさえある。ところが、希土類金属磁
石においては、まだそのような実例が見当たらない。高
性能な磁石の需要が増大する中で、希土類金属磁石の必
要性は今後更に増してゆくであろう。従って本発明の第
一の目的は、人体に有害なクロムを含有せず、且つクロ
ム被膜に匹敵する密着性と耐食性を有する被膜を生成す
る化成処理液を提供することである。また、第二の目的
は、その化成処理液の希土類金属磁石への適用方法を提
供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明では、リン酸水溶
液に亜鉛化合物である酸化亜鉛を添加し、反応促進剤と
して微量の硝酸イオンを添加した化成処理液を用いるこ
とにより、上記課題を解決した。以下に、この化成処理
液を使用した理由を述べる。リン酸塩化成処理は、鉄鋼
材に対する非クロム酸化成処理として注目を集めてい
る。なかでも最も良く知られているのがリン酸亜鉛処理
である。この場合は、水に不溶のリン酸亜鉛被膜(ホパ
イト)が析出することによって優れた耐食性を得てい
る。また、素地から溶出した鉄がフォスフォフィライト
として被膜中に取り込まれることによって、被膜の密着
性を向上させている。ネオジウム-鉄-ボロン系磁石をは
じめとする希土類金属磁石も鉄鋼材と同様に成分元素と
して鉄を含有しており、リン酸亜鉛処理を行うことによ
って優れた耐食性と密着性が期待される。また、リン酸
亜鉛処理では、処理液の原料となるリン酸、酸化亜鉛、
硝酸ともに安価であり量産にも適している.以上の理由
から発明者らはリン酸亜鉛化成処理液を希土類金属磁石
に適用するに至った。
【0005】次にその詳細を述べる。本発明は焼結体の
表面あるいは外面に化成被膜を形成する焼結体の化成被
膜形成方法であって、焼結体をアルカリ液による洗浄
後、又は無洗浄で亜鉛化合物及びリン酸水溶液からなる
化成処理液中に浸漬することを特徴とするものであり、
更には化成処理液が0.05〜0.20(モル/l)の
亜鉛を含み、リンと亜鉛のモル比(P/Zn)が2.4
〜9.5であることを特徴とするものであり、更には焼
結体の表面あるいは外面に化成被膜を形成する焼結体の
化成被膜形成方法であって、焼結体を硝酸を除く酸性液
による洗浄後、0.49〜1.22(モル/l)のリン
を含み、リンと亜鉛のモル比(P/Zn)が2.4〜
5.9である化成処理液中に浸漬することを特徴とする
ものである。
【0006】また本発明は表面あるいは外面に化成処理
方法によって化成被膜を施した希土類金属磁石であっ
て、アルカリ液による洗浄後、又は無洗浄で亜鉛化合物
及びリン酸水溶液からなる化成処理液中に浸漬して化成
被膜は主要元素としてリン及び亜鉛を含有することを特
徴とするものであり、更には化成処理液が0.15〜
0.2(モル/l)の亜鉛を含み、リンと亜鉛のモル比
(P/Zn)が2.39〜3.18であることを特徴と
するものであり、更には希土類金属磁石はR−T−B系
焼結磁石(RはYを含む希土類元素の少なくとも1種で
あり、TはFe又はFeとCoである)であることを特
徴とするものである。
【0007】P/Znが2.3より小さくなると、酸化
亜鉛が溶解しきれず溶け残ってしまう。逆に3.2より
大きくなると処理中に発泡現象が観察され、これは素地
が溶出したもの考えられ、磁力の低下を招くので磁石に
適用するには不適切である。リン酸濃度が高いほど被膜
の密着性は向上するが、処理液のPHは、1.0〜2.
0の酸性が好ましい。特に好ましくは1.3〜1.8で
ある。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の化成処理プロセスについ
て、その一例を以下に述べる。まず、希土類金属磁石の
被処理物をアルカリ脱脂処理もしくは酸処理し、被処理
物表面を清浄化した後、充分に水洗した。酸処理として
は希硫酸又はその塩、希塩酸又はその塩、あるいは希硝
酸又はその塩を単独あるいは複数で組み合わせることが
できる。本発明では希硫酸液のみ、あるいは希硫酸と硝
酸塩の組み合わせで使用した。アルカリ脱脂処理には、
水酸化ナトリウムと炭酸ナトリウムを主成分とする水溶
液を使用した。前処理後充分に水洗を行なった後、リン
酸亜鉛化成処理液に浸漬して化成処理被膜を施した。処
理後、充分な水洗を行い室温で乾燥した。
【0009】表1は主要成分組成が、Nd:26.2、
Pr:5.0、Dy:0.8、B:0.97、Co:
3.0、Al:0.1、Ga:0.1、Cu:0.1、
Fe:bal(いずれもwt%)であるR−T−B系焼
結磁石体に化成処理により被膜を形成したものの耐食性
の試験結果、及び使用した化成処理液の組成、性状、処
理条件等を示したものである。
【0010】
【表1】
【0011】表1に示した各試験の内、A、Bグループ
のものは全て1vol%硫酸水溶液で前処理したもの、
Cグループのものは0.5wt%の硫酸水溶液に硝酸ナ
トリウムを加えたもので前処理したもの、Dグループの
ものは水酸化ナトリウム50gと炭酸ナトリウム50g
を水1000mlに溶解したもので前処理したもの、E
グループのものは前処理を省いたもので、本発明では無
洗浄と称する。但し無洗浄とは称するが、加工後の付着
物を取る程度の水による超音波洗浄等は含むものであ
る。耐食性は恒温恒湿試験(60℃、RH90%、20
0hr)にて評価した。
【0012】表中Aグループは化成処理液中の亜鉛の濃
度を0.2(モル/l)に固定して、リンの濃度を変化
させたときの被膜の耐食性を試験したものである。この
結果では試験No1のものを除いて概ね良好な耐食性を
示したが、試験No2におけるリン濃度が0.49(モ
ル/l)で、Zn/Pのモル比が2.39のときに最も
良い耐食性を示した。Bグループ乃至Eグループは、前
記Aグループで最も良い耐食性を示した試験No2の化
成処理液の組成を含み、化成処理液のリン濃度を0.4
9(モル/l)に固定して、亜鉛濃度を変化させたとき
の被膜の耐食性を試験したものである。Cグループのも
のは耐食性が悪く、全ての組成の化成処理液のものにお
いて赤錆が発生していた。
【0013】Dグルーブ、即ちアルカリ液による前処理
を行なったものでは全てにおいて良好な耐食性を示した
が、特に試験No14と15、即ちリン濃度が0.49
(モル/l)で亜鉛濃度が0.15〜0.20(モル/
l)のものが最も良い耐食性を示した。Eグループ、即
ち無洗浄では全てにおいてDグループと同様の良好な耐
食性を示したが、特に試験No18と19、即ちリン濃
度が0.49(モルl/l)で亜鉛濃度が0.15〜
0.20(モル/l)のものが最も良い耐食性を示し
た。
【0014】被処理物表面をEDX分析した結果、ネオジ
ウム、鉄などの下地成分に加えて、処理液成分であるリ
ンと亜鉛が検出された。図1は表1のAグループに対応
したもので、亜鉛濃度を固定してリン濃度を変化させた
ときの化成処理被膜表面のリン及び亜鉛のEDX検出量変
化を示している。なお、前処理は1vol%硫酸水溶液を用
い、40℃で10分間の処理を行っている。リン検出量は処
理液中のリン酸濃度が大きくなるほど増加する傾向にあ
る。亜鉛検出量はリン酸濃度が0.98mol/lで最小となっ
ている。亜鉛とリンの検出量の比が一定で無いのは、す
べてのリンが亜鉛と等しく結合しているわけではなく、
フォスフォフィライトが析出したことを示唆している。
従って、リン酸濃度が大きくなるにつれて被膜の密着性
が向上していると考えられる。下地成分の検出量は常に
一定値をとるはずであるが、リン酸濃度が増加するにつ
れて鉄は減少し、ネオジウムは増加している。これは、
ネオジウムよりも鉄の方がリン酸に溶けやすいことを示
している。
【0015】図2、図3、図4、図5は表1のB、C、
D、Eグループに対応したもので、処理液中のリンの濃
度を一定とし、亜鉛濃度を変化させたときの化成処理被
膜表面のリン及び亜鉛のEDX分析結果を示している。な
お、処理条件は60℃、3分である。前処理として酸洗し
た場合には、リンと亜鉛の検出量は亜鉛濃度とともに増
加している。しかし、アルカリ脱脂洗浄、前処理なしの
ものではともに亜鉛濃度が0.102mol/lで最大となってい
る。
【0016】図6乃至図10は前記図1乃至図5に順に
対応した化成処理被膜近傍の鉄及びネオジウムのEDX分
析結果を示している。下地である鉄及びネオジウムの検
出量は、リン濃度を増加していった場合と同様に、亜鉛
濃度増加に伴い鉄検出量が低下、ネオジウム検出量が上
昇している。また、同濃度での鉄とネオジウムの検出量
の比を見ると、酸洗した場合のネオジウム検出量の方が
低くなっている。従って、硫酸に対してはネオジウムの
方が溶けやすいことがわかる。
【0017】前記した結果から、被膜の耐食性という観
点からみれば、最も好ましい化成処理液組成は、リン濃
度が0.49(モル/l)、亜鉛濃度が0.154(モ
ル/l)、PHが1.46であり、前処理は硝酸を含む
酸性水溶液以外のもので良いことがわかる。処理温度は
60℃が好ましい。この温度は多少変動しても被膜の性
質に影響は無いが、液温が低いと被膜の生成速度が遅く
なり、それだけ酸化のおそれがある。また、温度が高く
なると液蒸発が激しく液管理が容易でなくなる。処理時
間は、量産に適した時間を考えると、3分程度が最も好
ましい。
【0018】表2は表1に示した試験に使用したR−T
−B系希土類磁石の各前処理後における減磁率および熱
減磁率を試験したものを示したものである。表2中の素
材とは前処理や化成処理を行なっていないものを示して
おり、前処理は1vol%の硫酸水溶液、硝酸ナトリウ
ムを含む0.5wt%硫酸水溶液、水酸化ナトリウム5
0gと炭酸ナトリウム50gを1000mlの水に溶解
した水溶液を各々用いて洗浄した。以降便宜上これらを
順に前処理、前処理、前処理とする。表2中の減
磁率とは前処理および化成処理を施していない試料(表
2中の素材に相当)に対する各処理後の試料のフラック
ス低下率を示し、熱減磁率とは前処理直後の試料に対す
る熱処理(85℃、2Hr)後の試料のフラックス低下
率を示している。
【0019】
【表2】
【0020】表3は表1に示した試験に使用したR−T
−B系希土類磁石の各化成処理後における減磁率および
熱減磁率を試験したものを示したものである。化成処理
液は表1に示した試験の中のリン濃度を0.49(モル
/l)に固定して、亜鉛濃度を各々0.20、0.1
5、0.05としたものを使用し、これに反応促進剤と
して硝酸を加えたものである。以降これらを便宜上化成
処理I、化成処理II化成処理IIIと称す。化成処理IIに
使用した化成処理液は実際的にはリン酸10ml、酸化
亜鉛3.75g、硝酸3mlを水287mlに溶解した
ものである。
【0021】
【表3】
【0022】本試験に使用した希土類金属磁石がR−T
−B系焼結磁石体(RはYを含む希土類元素の少なくと
も1種であり、TはFe又はFeとCoである)である
場合の組成限定理由を以下に説明する。以下、単に%と
記してあるのは重量%を意味する。R−T−B系焼結磁
石体は主要成分のRとBとTとの総計を100%として、
R:27〜34%、B:0.5〜2%、残部Tからなり、R
14B型金属間化合物を主相とするものである。又、前
記R−T−B系焼結磁石体の総重量を100%としたと
き、不可避不純物成分として0.6%以下、より好ましく
は0.3%以下、特に好ましくは0.2%未満の酸素の含有が
許容され、0.2%以下、より好ましくは0.1%以下の炭素
の含有が許容され、0.08%以下の窒素の含有が許容さ
れ、0.02%以下の水素の含有が許容され、0.2%以下、
より好ましくは0.05%以下、特に好ましくは0.02%以下
のCaの含有が許容される。Rとして(Nd,Dy)又
はDy又はPr又は(Dy,Pr)又は(Nd,Dy,
Pr)が実用上選択される。R量は27〜34%が好まし
い。Rが27%未満では固有保磁力iHcが大きく低下し、3
4%を超えると残留磁束密度Brが大きく低下する。B量
は0.5〜2%が好ましい。B量が0.5%未満では実用に耐
えるiHcが得られず、2%超ではBrが大きく低下する。
より好ましいB量は0.8〜1.5%である。
【0023】磁気特性を改善するために、Nb,Al,
Co,Ga及びCuの少なくとも1種を適量含有するこ
とが好ましい。Nbの含有量は0.1〜2%とされる。N
bの添加により焼結過程でNbのホウ化物が生成し、結
晶粒の異常粒成長が抑制される。Nb含有量が0.1%未
満では添加効果を得られず、2%超ではNbのホウ化物
の生成量が多くなりBrが大きく低下する。Alの含有量
は0.02〜2%とされる。Al含有量が0.02%未満では添
加効果を得られず、2%超ではBrが急激に低下する。C
o含有量は0.3〜5%とされる。Co含有量が0.3%未満
ではキュリー点及び耐食性を向上する効果を得られず、
5%超ではBr及びiHcが大きく低下する。Ga含有量は
0.01〜0.5%とされる。Ga含有量が0.01%未満ではiHc
の向上効果を得られず、0.5%超ではBrの低下が顕著に
なる。Cu含有量は0.01〜1%とされる。Cuの微量添
加はiHcの向上をもたらすが、Cu含有量が1%を超え
ると添加効果は飽和し、Cu含有量が0.01%未満では添
加効果を得られない。また本試験の試料として縦5mm
×横5mm×厚み1mm(磁化方向)の直方体形状のR
−T−B系焼結磁石体を使用した。
【0024】表2において、前処理後における減磁率は
試験No2のPHの高い前処理で大きく、試験No3
のPHの低い前処理ではそれより小さい値を示しお
り、試験No4のアルカリ液である前処理では0%と
良好な値を示している。従って減磁率の大小の最大要因
は前処理における素地の溶出であると考えられる。磁石
の表面処理においては素地の溶出は重要な問題であり、
これを抑制することが望ましい。この観点からいえば酸
による前処理は好ましくない。
【0025】表3において、試験No1、No2、No
3の化成処理I、化成処理IIものは減磁率が約1%であ
り、熱減磁率は表2の試験No1の素材に比して小さい
から、被膜としての機能は充分にははたしているもので
あり、従来より実施されているクロメート処理にも匹敵
するものである。しかし試験No4の化成処理IIIのよ
うに、表1に示した化成処理液の発泡現象が見られるも
のでは、熱減磁率が素材に比して劣るようになり、磁石
体に施すには適当でない。
【0026】
【発明の効果】本発明のリン酸亜鉛化成処理液を希土類
磁石に用いれば、人体や環境に有害なクロムを使わず
に、ある程度耐食性のよい化成処理被膜を得ることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の焼結体の化成被膜形成方法におけるリ
ンの濃度に対して形成された被膜中の亜鉛及びリンの変
化を示す線図である。
【図2】本発明の焼結体の化成被膜形成方法における亜
鉛の濃度に対して形成された被膜中の亜鉛及びリンの変
化を示す線図である。
【図3】本発明の焼結体の化成被膜形成方法における亜
鉛の濃度に対して形成された被膜中の亜鉛及びリンの変
化を示す線図である。
【図4】本発明の焼結体の化成被膜形成方法における亜
鉛の濃度に対して形成された被膜中の亜鉛及びリンの変
化を示す線図である。
【図5】本発明の焼結体の化成被膜形成方法における亜
鉛の濃度に対して形成された被膜中の亜鉛及びリンの変
化を示す線図である。
【図6】本発明の焼結体の化成被膜形成方法におけるリ
ンの濃度に対して形成された被膜中の鉄及びネオジウム
の変化を示す線図である。
【図7】本発明の焼結体の化成被膜形成方法における亜
鉛の濃度に対して形成された被膜中の鉄及びネオジウム
の変化を示す線図である。
【図8】本発明の焼結体の化成被膜形成方法における亜
鉛の濃度に対して形成された被膜中の鉄及びネオジウム
の変化を示す線図である。
【図9】本発明の焼結体の化成被膜形成方法における亜
鉛の濃度に対して形成された被膜中の鉄及びネオジウム
の変化を示す線図である。
【図10】本発明の焼結体の化成被膜形成方法における
亜鉛の濃度に対して形成された被膜中の鉄及びネオジウ
ムの変化を示す線図である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成13年10月5日(2001.10.
5)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 焼結体の化成被膜形成方法及び化成被
膜を施した希土類金属磁石
【特許請求の範囲】
【請求項】 表面に化成処理方法によって化成被膜を
施した希土類金属磁石であって、前記化成被膜は主要元
素としてリン及び亜鉛を含有することを特徴とする化成
被膜を施した希土類金属磁石。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は希土類金属を含む焼
結磁石等の化成皮膜形成方法および化成被膜を施した希
土類金属磁石に関する。
【0002】
【従来の技術】希土類金属磁石の中で特にNd−Fe−
B系希土類金属磁石は極めて錆び易いために、従来より
その表面にメッキや化成処理による被膜を形成して錆び
を防いでいる。そして化成処理による被膜形成方法とし
ては特開昭60−63902号公報に記載されているよ
うに、製造コストの面からクロム酸塩処理(クロメート
処理)が最も一般的に使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記クロメート処理
は、処理液中および生成した被膜中に6価クロムを含有
している。この6価クロムは人体に長時間接触すると皮
膚から体内へと侵入し、排出されること無く体内に蓄積
され、クロムアレルギー、クロム潰瘍、更には蒸気を吸
引することによって肺癌を引き起こすとさえ言われてい
る。従って、処理液の廃棄の問題、さらにクロメート処
理された製品の廃棄の問題などが重要視されつつある。
このような背景の中、欧州では2003年からクロムの規制
が行われようとしている。それに先立ってクロムを使わ
ない化成処理に関する研究も多々行われており、既に実
用化されているものさえある。ところが、希土類金属磁
石においては、まだそのような実例が見当たらない。高
性能な磁石の需要が増大する中で、希土類金属磁石の必
要性は今後更に増してゆくであろう。従って本発明の第
一の目的は、人体に有害なクロムを含有せず、且つ焼結
体に対しクロム被膜に匹敵する密着性と耐食性を有する
化成被膜の形成方法を提供することである。また、第二
の目的は、その化成処理液の希土類金属磁石への適用方
法を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明では、リン酸水溶
液に亜鉛化合物である酸化亜鉛を添加し、反応促進剤と
して微量の硝酸イオンを添加した化成処理液を用いるこ
とにより、上記課題を解決した。以下に、この化成処理
液を使用した理由を述べる。リン酸塩化成処理は、鉄鋼
材に対する非クロム酸化成処理として注目を集めてい
る。なかでも最も良く知られているのがリン酸亜鉛処理
である。この場合は、水に不溶のリン酸亜鉛被膜(ホパ
イト)が析出することによって優れた耐食性を得てい
る。また、素地から溶出した鉄がフォスフォフィライト
として被膜中に取り込まれることによって、被膜の密着
性を向上させている。ネオジウム-鉄-ボロン系磁石をは
じめとする希土類金属磁石も鉄鋼材と同様に成分元素と
して鉄を含有しており、リン酸亜鉛処理を行うことによ
って優れた耐食性と密着性が期待される。また、リン酸
亜鉛処理では、処理液の原料となるリン酸、酸化亜鉛、
硝酸ともに安価であり量産にも適している.以上の理由
から発明者らはリン酸亜鉛化成処理液を希土類金属磁石
に適用するに至った。
【0005】次にその詳細を述べる。本発明は焼結体の
表面あるいは外面に化成被膜を形成する焼結体の化成被
膜形成方法であって、焼結体をアルカリ液による洗浄
後、又は無洗浄で亜鉛化合物及びリン酸水溶液からなる
化成処理液中に浸漬することを特徴とするものであり、
更には化成処理液が0.05〜0.20(モル/l)の
亜鉛を含み、リンと亜鉛のモル比(P/Zn)が2.3
〜9.55であることを特徴とするものである。また、
焼結体を硝酸を除く酸性液によって洗浄する場合、0.
24超〜1.22(モル/l)のリンを含み、リンと亜
鉛のモル比(P/Zn)が2.4〜5.9である化成処
理液中に浸漬することが好ましい。
【0006】また本発明は表面に化成処理方法によって
化成被膜を施した希土類金属磁石であって、アルカリ液
による洗浄後、又は無洗浄で亜鉛化合物及びリン酸水溶
液からなる化成処理液中に浸漬しており、焼結体として
化成被膜の主要元素がリン及び亜鉛を含有することを特
徴とするものである。更には化成処理液が0.15〜
0.2(モル/l)の亜鉛を含み、リンと亜鉛のモル比
(P/Zn)が2.39〜3.18であることが好まし
い。また、希土類金属磁石はR−T−B系焼結磁石(R
はYを含む希土類元素の少なくとも1種であり、TはF
e又はFeとCoである)であることが好ましい。
【0007】P/Znが2.3より小さくなると、酸化
亜鉛が溶解しきれず溶け残ってしまう。逆に9.55よ
り大きくなると処理中に発泡現象が観察されることがあ
り、このとき素地成分が溶出していると考えられ、磁力
の低下を招くので磁石に適用するには不適切である。
3.2以下であれば微発泡の発生も極力低減でき好まし
い。リン酸濃度が高いほど被膜の密着性は向上するが、
処理液のPHは、1.0〜2.0の酸性が好ましい。特
に好ましくは1.3〜1.8である。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の化成皮膜形成方法プロセ
スについて、その一例を以下に述べる。まず、希土類金
属磁石の被処理物をアルカリ脱脂処理もしくは酸処理
し、被処理物表面を清浄化した後、充分に水洗した。酸
処理としては希硫酸又はその塩、希塩酸又はその塩を単
独あるいは複数で組み合わせることができる。本実施例
では希硫酸液のみを使用し、比較例においては希硫酸と
硝酸塩の組み合わせで使用した。また、別の実施例では
アルカリ脱脂処理を用いたものとして、水酸化ナトリウ
ムと炭酸ナトリウムを主成分とする水溶液を使用した。
また、別の実施例では無洗浄のものを使用した。前処理
後充分に水洗を行なった後、リン酸亜鉛化成処理液に浸
漬して化成処理被膜を施した。処理後、充分な水洗を行
い室温で乾燥した。
【0009】表1は主要成分組成が、Nd:26.2、
Pr:5.0、Dy:0.8、B:0.97、Co:
3.0、Al:0.1、Ga:0.1、Cu:0.1、
Fe:bal(いずれもwt%)であるR−T−B系焼
結磁石体に下記各条件の化成処理により化成被膜を形成
したものの耐食性の試験結果、及び使用した化成処理液
の組成、性状、処理条件等を示したものである。
【0010】
【表1】
【0011】表1に示した各試験の内、A、Bグループ
のものは全て1.8wt%硫酸水溶液で前処理したも
の、Cグループのものは0.5wt%の硫酸水溶液に硝
酸ナトリウムを加えたもので前処理したもの、Dグルー
プのものは水酸化ナトリウム50gと炭酸ナトリウム5
0gを水1000mlに溶解したもので前処理したも
の、Eグループのものは前処理を省いたもので、本発明
では無洗浄と称する。但し無洗浄とは称するが、加工後
の付着物を取る程度の水による超音波洗浄等は含むもの
である。耐食性は恒温恒湿試験(60℃、RH90%、
200hr)にて評価した。表中の○/×は焼結体表面
に赤錆の発生の有無を示す。また○の右肩に付けた
「+」は液発泡の頻度を相対的に示すものである。
【0012】表中Aグループは化成処理液中の亜鉛の濃
度を0.2(モル/l)に固定して、リンの濃度を変化
させたときの被膜の耐食性を試験したものである。この
結果では試験No1のものを除いて概ね良好な耐食性を
示したが、試験No2におけるリン濃度が0.49(モ
ル/l)で、Zn/Pのモル比が2.39のときに最も
良い耐食性を示した。Bグループ乃至Eグループは、前
記Aグループで最も良い耐食性を示した試験No2の化
成処理液の組成を含み、化成処理液のリン濃度を0.4
9(モル/l)に固定して、亜鉛濃度を変化させたとき
の被膜の耐食性を試験したものである。Cグループの硝
酸ナトリウムを施したものは耐食性が悪く、全ての組成
の化成処理液のものにおいて赤錆が発生していた。
【0013】Dグルーブ、即ちアルカリ液による前処理
を行なったものでは全てにおいて良好な耐食性を示した
が、特に試験No14と15、即ちリン濃度が0.49
(モル/l)で亜鉛濃度が0.15〜0.20(モル/
l)のものが最も良い耐食性を示した。Eグループ、即
ち無洗浄では全てにおいてDグループと同様の良好な耐
食性を示したが、特に試験No18と19、即ちリン濃
度が0.49(モルl/l)で亜鉛濃度が0.15〜
0.20(モル/l)のものが最も良い耐食性を示し
た。
【0014】被処理物表面をEDX分析した結果、ネオジ
ウム、鉄などの下地成分に加えて、処理液成分であるリ
ンと亜鉛が検出された。図1は表1のAグループに対応
したもので、亜鉛濃度を固定してリン濃度を変化させた
ときの化成処理被膜表面のリン及び亜鉛のEDX検出量変
化を示している。なお、前処理は1.8wt%硫酸水溶
液を用い、40℃で10分間の処理を行っている。リン検出
量は処理液中のリン酸濃度が大きくなるほど増加する傾
向にある。亜鉛検出量はリン酸濃度が0.98mol/lで最小
となっている。亜鉛とリンの検出量の比が一定で無いの
は、すべてのリンが亜鉛と等しく結合しているわけでは
なく、フォスフォフィライトが析出したことを示唆して
いる。従って、リン酸濃度が大きくなるにつれて被膜の
密着性が向上していると考えられる。下地成分の検出量
は常に一定値をとるはずであるが、リン酸濃度が増加す
るにつれて鉄は減少し、ネオジウムは増加している。こ
れは、ネオジウムよりも鉄の方がリン酸に溶けやすいこ
とを示している。
【0015】図2、図3、図4、図5は表1のB、C、
D、Eグループに対応したもので、処理液中のリンの濃
度を一定とし、亜鉛濃度を変化させたときの化成処理被
膜表面のリン及び亜鉛のEDX分析結果を示している。な
お、処理条件は60℃、3分である。
【0016】図6乃至図10は前記図1乃至図5に順に対
応した化成処理被膜近傍の鉄及びネオジウムのEDX分析
結果を示している。下地である鉄及びネオジウムの検出
量は、リン濃度を増加していった場合と同様に、亜鉛濃
度増加に伴い鉄検出量が低下、ネオジウム検出量が上昇
している。また、同濃度での鉄とネオジウムの検出量の
比を見ると、酸洗した場合のネオジウム検出量の方が低
くなっている。従って、硫酸に対してはネオジウムの方
が溶けやすいことがわかる。
【0017】前記した結果から、被膜の耐食性という観
点からみれば、最も好ましい化成処理液組成は、リン濃
度が0.49(モル/l)、亜鉛濃度が0.15(モル
/l)、PHが1.46であり、前処理は硝酸を含む酸
性水溶液以外のもので良いことがわかる。処理温度は6
0℃が好ましい。この温度は多少変動しても被膜の性質
に影響は無いが、液温が低いと被膜の生成速度が遅くな
り、それだけ酸化のおそれがある。また、温度が高くな
ると液蒸発が激しく液管理が容易でなくなる。処理時間
は、量産に適した時間を考えると、3分程度が最も好ま
しい。
【0018】表2は表1に示した試験に使用したR−T
−B系希土類磁石の各前処理後における減磁率および熱
減磁率を試験したものを示したものである。表2中の素
材とは前処理や化成処理を行なっていないものを示して
おり、前処理は1.8wt%の硫酸水溶液、硝酸ナトリ
ウムを含む0.5wt%硫酸水溶液、水酸化ナトリウム
50gと炭酸ナトリウム50gを1000mlの水に溶
解した水溶液を各々用いて洗浄した。以降便宜上これら
を順に前処理(実施例)、前処理(比較例)、前処
理(実施例)とする。表2中の減磁率とは化成処理前
(前処理を施す場合には前処理前)の各R−T−B系希
土類磁石の総磁束量Φ11に対する処理後の各R−T−
B系希土類磁石素材の総磁束量Φ12の低下率を示し、
下記式により求めた。 減磁率=[(Φ11−Φ12)/Φ11]×100
(%) また熱減磁率とは、得られた化成皮膜被覆R−T−B系
希土類磁石の熱履歴による減磁率を示し、化成皮膜被覆
R−T−B系希土類磁石を室温において飽和条件で着磁
したときの総磁束量Φ21と、化成皮膜被覆R−T−B
系希土類磁石を大気中で85℃で2時間加熱後、室温ま
で冷却した後に飽和条件で着磁したときの総磁束量Φ
22とから、下記式により求めた。 熱減磁率=[(Φ21−Φ22)/Φ21]×100
(%)
【0019】
【表2】
【0020】表3は表1に示した試験に使用したR−T
−B系希土類磁石の各化成処理後における減磁率および
熱減磁率を試験したものを示したものである。化成処理
液は表1に示した試験の中のリン濃度を0.49(モル
/l)に固定して、亜鉛濃度を各々0.20、0.1
5、0.05としたものを使用し、これに反応促進剤と
して硝酸を加えたものである。以降これらを便宜上化成
処理I、化成処理II化成処理IIIと称す。化成処理IIに
使用した化成処理液は実際的にはリン酸10ml、酸化
亜鉛3.75g、硝酸3mlを水287mlに溶解した
ものである。
【0021】
【表3】
【0022】本試験に使用した希土類金属磁石がR−T
−B系焼結磁石体(RはYを含む希土類元素の少なくと
も1種であり、TはFe又はFeとCoである)である
場合の組成限定理由を以下に説明する。以下、単に%と
記してあるのは重量%を意味する。R−T−B系焼結磁
石体は主要成分のRとBとTとの総重量を100%とし
て、R:27〜34%、B:0.5〜2%、残部Tからなり、R
14B型金属間化合物を主相とするものである。
又、前記R−T−B系焼結磁石体の総重量を100%とし
たとき、不可避不純物成分として0.6%以下、より好ま
しくは0.3%以下、特に好ましくは0.2%未満の酸素の含
有が許容され、0.2%以下、より好ましくは0.1%以下の
炭素の含有が許容され、0.08%以下の窒素の含有が許容
され、0.02%以下の水素の含有が許容され、0.2%以
下、より好ましくは0.05%以下、特に好ましくは0.02%
以下のCaの含有が許容される。Rとして(Nd,D
y)又はDy又はPr又は(Dy,Pr)又は(Nd,
Dy,Pr)が実用上選択される。R量は27〜34%が好
ましい。Rが27%未満では固有保磁力iHcが大きく低下
し、34%を超えると残留磁束密度Brが大きく低下する。
B量は0.5〜2%が好ましい。B量が0.5%未満では実用
に耐えるiHcが得られず、2%超ではBrが大きく低下す
る。より好ましいB量は0.8〜1.5%である。
【0023】磁気特性を改善するために、Nb,Al,
Co,Ga及びCuの少なくとも1種を適量含有するこ
とが好ましい。Nbの含有量は0.1〜2%とされる。N
bの添加により焼結過程でNbのホウ化物が生成し、結
晶粒の異常粒成長が抑制される。Nb含有量が0.1%未
満では添加効果を得られず、2%超ではNbのホウ化物
の生成量が多くなりBrが大きく低下する。Alの含有量
は0.02〜2%とされる。Al含有量が0.02%未満では添
加効果を得られず、2%超ではBrが急激に低下する。C
o含有量は0.3〜5%とされる。Co含有量が0.3%未満
ではキュリー点及び耐食性を向上する効果を得られず、
5%超ではBr及びiHcが大きく低下する。Ga含有量は
0.01〜0.5%とされる。Ga含有量が0.01%未満ではiHc
の向上効果を得られず、0.5%超ではBrの低下が顕著に
なる。Cu含有量は0.01〜1%とされる。Cuの微量添
加はiHcの向上をもたらすが、Cu含有量が1%を超え
ると添加効果は飽和し、Cu含有量が0.01%未満では添
加効果を得られない。また本試験の試料として縦5mm
×横5mm×厚み1mm(磁化方向)の直方体形状のR
−T−B系焼結磁石体を使用した。
【0024】表2において、前処理後における減磁率は
試験No2のPHの高い前処理で大きく、試験No3
のPHの低い前処理ではそれより小さい値を示しお
り、試験No4のアルカリ液である前処理では0%と
良好な値を示している。従って減磁率の大小の最大要因
は前処理における素地の溶出であると考えられる。磁石
の表面処理においては素地の溶出は重要な問題であり、
これを抑制することが望ましい。この観点からいえば酸
よりもアルカリ液による前処理の方が好ましい。
【0025】表3において、試験No1、No2、No
3の化成処理I、化成処理IIものは減磁率が約1%であ
り、熱減磁率は表2の試験No1の素材に比して小さい
から、被膜としての機能は充分にははたしているもので
あり、従来より実施されているクロメート処理にも匹敵
するものである。しかし試験No4の化成処理IIIのよ
うに、表1に示した化成処理液の発泡現象が見られるよ
うになるので、熱減磁率が素材に比して劣ることにな
る。よってZn量は1.0超が好ましい。
【0026】
【発明の効果】本発明のリン酸亜鉛化成処理液を希土類
磁石に用いれば、人体や環境に有害なクロムを使わず
に、ある程度耐食性のよい化成処理被膜を得ることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の焼結体の化成被膜形成方法におけるリ
ンの濃度に対して形成された被膜中の亜鉛及びリンの変
化を示す線図である。
【図2】本発明の焼結体の化成被膜形成方法における亜
鉛の濃度に対して形成された被膜中の亜鉛及びリンの変
化を示す線図である。
【図3】本発明の焼結体の化成被膜形成方法における亜
鉛の濃度に対して形成された被膜中の亜鉛及びリンの変
化を示す線図である。
【図4】本発明の焼結体の化成被膜形成方法における亜
鉛の濃度に対して形成された被膜中の亜鉛及びリンの変
化を示す線図である。
【図5】本発明の焼結体の化成被膜形成方法における亜
鉛の濃度に対して形成された被膜中の亜鉛及びリンの変
化を示す線図である。
【図6】本発明の焼結体の化成被膜形成方法におけるリ
ンの濃度に対して形成された被膜中の鉄及びネオジウム
の変化を示す線図である。
【図7】本発明の焼結体の化成被膜形成方法における亜
鉛の濃度に対して形成された被膜中の鉄及びネオジウム
の変化を示す線図である。
【図8】本発明の焼結体の化成被膜形成方法における亜
鉛の濃度に対して形成された被膜中の鉄及びネオジウム
の変化を示す線図である。
【図9】本発明の焼結体の化成被膜形成方法における亜
鉛の濃度に対して形成された被膜中の鉄及びネオジウム
の変化を示す線図である。
【図10】本発明の焼結体の化成被膜形成方法における
亜鉛の濃度に対して形成された被膜中の鉄及びネオジウ
ムの変化を示す線図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01F 1/08 H01F 1/04 H

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 焼結体の表面あるいは外面に化成被膜を
    形成する焼結体の化成被膜形成方法であって、焼結体を
    アルカリ液による洗浄後、又は無洗浄で亜鉛化合物及び
    リン酸水溶液からなる化成処理液中に浸漬することを特
    徴とする焼結体の化成被膜形成方法。
  2. 【請求項2】 化成処理液が0.05〜0.20(モル
    /l)の亜鉛を含み、リンと亜鉛のモル比(P/Zn)
    が2.4〜9.5であることを特徴とする請求項1に記
    載の焼結体の化成被膜形成方法。
  3. 【請求項3】 焼結体の表面あるいは外面に化成被膜を
    形成する焼結体の化成被膜形成方法であって、焼結体を
    硝酸を除く酸性液による洗浄後、0.49〜1.22
    (モル/l)のリンを含み、リンと亜鉛のモル比(P/
    Zn)が2.4〜5.9である化成処理液中に浸漬する
    ことを特徴とする焼結体の化成被膜形成方法。
  4. 【請求項4】 表面あるいは外面に化成処理方法によっ
    て化成被膜を施した希土類金属磁石であって、アルカリ
    液による洗浄後、又は無洗浄で亜鉛化合物及びリン酸水
    溶液からなる化成処理液中に浸漬して化成被膜は主要元
    素としてリン及び亜鉛を含有することを特徴とする化成
    被膜を施した希土類金属磁石。
  5. 【請求項5】化成処理液が0.15〜0.2(モル/
    l)の亜鉛を含み、リンと亜鉛のモル比(P/Zn)が
    2.39〜3.18であることを特徴とする請求項4に
    記載の化成被膜を施した希土類金属磁石。
  6. 【請求項6】 希土類金属磁石はR−T−B系焼結磁石
    (RはYを含む希土類元素の少なくとも1種であり、T
    はFe又はFeとCoである)であることを特徴とする
    請求項4又は5に記載の化成被膜を施した希土類金属磁
    石。
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