JP2002057255A - フィン間隔算出装置および方法 - Google Patents

フィン間隔算出装置および方法

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JP2002057255A
JP2002057255A JP2000243647A JP2000243647A JP2002057255A JP 2002057255 A JP2002057255 A JP 2002057255A JP 2000243647 A JP2000243647 A JP 2000243647A JP 2000243647 A JP2000243647 A JP 2000243647A JP 2002057255 A JP2002057255 A JP 2002057255A
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fin
flow velocity
maximum flow
calculating
fins
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JP2000243647A
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Makoto Ito
誠 伊東
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Original Assignee
NEC Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ヒートシンクの放熱効率の良いフィン間隔を
比較的簡単に算出することのできるフィン間隔算出装置
および方法を実現すること。 【解決手段】 ヒートシンクのフィンが所定間隔で縦向
きに設置され自然空冷されるとする。フィン間隔におけ
るフィン温度Twを、1回の実験あるいはシミュレーシ
ョン結果から求め(ステップS61)、グラスホフ数G
rを求める(ステップS62)。境界層厚さδを求める
(ステップS63)。次に最大流速発生位置δUmaxをフ
ィンの壁から境界層厚さδの3分の1として求める(ス
テップS64)。最後に最適フィン間隔yを算出する
(ステップS65)。このようにして求めたフィン間隔
でヒートシンクを設計する。フィンが1枚であると仮定
することで算出が比較的簡単になる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は半導体パッケージ等
の電子部品の熱を放熱させるヒートシンクのフィンにつ
いてその間隔を算出するフィン間隔算出装置および方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】電子部品の高密度実装が急速に進展して
いる。電子部品を基板に高密度に実装すれば、これに伴
い単位面積当たりの電子部品の消費電力や発熱量が増大
することが通常である。そこで、これらの熱を効率的に
外部に放出する一手法としてヒートシンクを基板面に取
り付ける場合が非常に多くなってきている。ヒートシン
クを取り付けて効率的な放熱を達成するためには、放熱
性の最も良い形状のヒートシンクを選定することが重要
である。
【0003】このため、従来ではたとえば実開平6−2
9148号公報に開示されているようにフィンの形状を
渦巻状にしたり、特開平8−222665号公報に示さ
れているように、本来平板状となるフィンに半円状の複
数の突起を設けるといった形状面での工夫が行われてい
る。また、特開平5−21665号公報では、平板状の
フィンを複数並設した代表的な形状のヒートシンクの外
側に位置するフィンとしての内部フィンの更に外側にこ
れらのフィンよりも長い寸法の外部フィンを設けるとい
った提案を行っている。
【0004】このような各種の提案のヒートシンクは、
それぞれが適用される電子部品に対して一定の効果を有
する。しかしながら、ヒートシンクについて1つの形状
を選択したらそれで設計がすべて終了するわけではな
い。特開平5−21665号公報では強制的に空冷する
ヒートシンクを扱っているが、自然対流を利用するヒー
トシンクの場合にはフィンの間をどのように空気が流
れ、放熱が行われるかを考察しながらフィンの間隔(以
下フィン間隔という。)等を設定する必要がある。
【0005】ある制限された空間にヒートシンクを配置
する場合、フィンの数を多くすれば放熱の効率も良くな
ると考えがちであるが、これによってフィンの間隔が狭
まると熱抵抗が増して却って放熱の効率が悪くなる場合
もある。また、フィンの厚さが厚ければ、当然ながら制
限された容積の空間に配置するフィンの数も減少する。
したがって、ヒートシンクを設計するためには簡単なモ
デルに置き換えて、フィンの間隔等を考察しなければ、
単にフィンの形状だけを工夫しても放熱性に優れたヒー
トシンクを実現することができない。
【0006】図8はこのような考察に適した単純な形状
のヒートシンクの一例を示したものである。この例では
図示しない300mm(ミリメートル)四方のプリント
基板上に発熱源としての50mm四方の電子部品11を
配置し、これにスリット型ヒートシンク12を取り付け
るものとしている。プリント基板はたとえばガラスエポ
キシ樹脂製である。ヒートシンク12はアルミニウム製
であり、電子部品11と接触している側の面積は50m
m四方となっている。スリットは重力方向に設けられて
いる。ヒートシンク12の高さHは25mm固定とす
る。
【0007】このような条件の下で、フィン13の厚さ
D、間隔S、ベース14の厚さTを自由に設定して、最
も放熱性の良い形状のヒートシンクを設計するものとす
る。ここで、電子部品11はたとえば発熱量が5W(ワ
ット)であり、環境温度は25℃で、自然空冷環境であ
るとする。この際の電子部品11の温度が最小となるヒ
ートシンク12を設計することになる。
【0008】特に装置の小型化を図るような場合には、
すでに簡単に説明したようにヒートシンク12を含めた
各部品の外形寸法が重要な要件となる。したがって、こ
の例のようにヒートシンク12の外形を設定し、フィン
13の厚さD、間隔S、ベースの厚さTの3つの変数を
設計パラメータとすることが多い。
【0009】従来ではこのような場合、最適のフィン間
隔Sを求めようとすると、(1)各種のヒートシンクを
試作して、実際の温度を測定しながら最適値を決定した
り、(2)熱流体シミュレーションのソフトウェアを使
用して、これら3つのパラメータを用いて最適値を計算
するようにしていた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ところが、前者の手法
によるとフィン13の厚さD、間隔S、ベース14の厚
さTの3者の組み合わせが非常に多くなるため製作およ
び測定に非常に時間がかかるだけでなく、製作および測
定の費用もかかるという問題がある。
【0011】また、後者の熱流体シミュレーションのソ
フトウェアを使用する場合も、熱流体シミュレーション
の一般化されたソフトウェアを使用して最適な値を求め
ることになる。したがって、数値計算に非常に時間がか
かるという問題があった。
【0012】そこで本発明の目的は、ヒートシンクの放
熱効率の良いフィン間隔を比較的簡単に算出することの
できるフィン間隔算出装置および方法を提供することに
ある。
【0013】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明で
は、(イ)複数枚並設されたフィンを有するヒートシン
クのその1枚のフィンのみが空気中に置かれたものと仮
定して求めたそのフィンの温度を使用してグラスホフ数
を求める無次元数算出部と、(ロ)この無次元数算出部
で算出したグラスホフ数を使用してフィンについての境
界層厚さを求める境界層厚さ算出部と、(ハ)フィンと
これに対向するフィンとの間を自然空冷の状態で流れる
空気の最大流速発生位置を1枚のフィンのみが空気中に
置かれたと仮定しその壁面から起算して流速が最大とな
る位置として求める最大流速発生位置算出部と、(ニ)
この最大流速発生位置算出部で算出した最大流速発生位
置を基にしてフィンとこれに対向するフィンとの間の放
熱に最も効果的なフィン間隔を算出する最適フィン間隔
算出手段とをフィン間隔算出装置に具備させる。
【0014】すなわち請求項1記載の発明では、無次元
数算出部で自然空冷の状態におけるグラスホフ数を求
め、このグラスホフ数を使用して境界層厚さ算出部で境
界層厚さを算出する。そして、1枚のフィンのみが空気
中に置かれたと仮定しその壁面から起算して流速が最大
となる位置を最大流速発生位置算出部で算出する。ある
限られた空間に複数のフィンが並設される場合の最も放
熱が効果的なフィン同士の間隔は、フィンの壁面から起
算して流速が最大となる位置の2倍等の所定倍と考える
ことができる。そこで最適フィン間隔算出手段は、最大
流速発生位置を基に最適フィン間隔を算出する。このよ
うに請求項1記載の発明では、1枚のフィンについて求
めた値を基にしてフィン同士の間隔を考察することにし
ているので、計算が単純化しヒートシンクの放熱効率の
良いフィン間隔を比較的簡単に算出することができるよ
うになる。
【0015】請求項2記載の発明では、(イ)複数枚並
設されたフィンを有するヒートシンクのその1枚のフィ
ンのみが空気中に置かれたものと仮定して求めたそのフ
ィンの温度を使用してレイノルズ数を求める無次元数算
出部と、(ロ)この無次元数算出部で算出したレイノル
ズ数を使用してフィンについての境界層厚さを求める境
界層厚さ算出部と、(ハ)フィンとこれに対向するフィ
ンとの間を強制空冷の状態で流れる空気の最大流速発生
位置を1枚のフィンのみが空気中に置かれたと仮定しそ
の壁面から起算して流速が最大となる位置として求める
最大流速発生位置算出部と、(ニ)この最大流速発生位
置算出部で算出した最大流速発生位置を基にしてフィン
とこれに対向するフィンとの間の放熱に最も効果的なフ
ィン間隔を算出する最適フィン間隔算出手段とをフィン
間隔算出装置に具備させる。
【0016】すなわち請求項2記載の発明では、無次元
数算出部で強制空冷の状態におけるレイノルズ数を求
め、このレイノルズ数を使用して境界層厚さ算出部で境
界層厚さを算出する。そして、1枚のフィンのみが空気
中に置かれたと仮定しその壁面から起算して流速が最大
となる位置を最大流速発生位置算出部で算出する。ある
限られた空間に複数のフィンが並設される場合の最も放
熱が効果的なフィン同士の間隔は、フィンの壁面から起
算して流速が最大となる位置の2倍等の所定倍と考える
ことができる。そこで最適フィン間隔算出手段は、最大
流速発生位置を基に最適フィン間隔を算出する。このよ
うに請求項2記載の発明では、1枚のフィンについて求
めた値を基にしてフィン同士の間隔を考察することにし
ているので、計算が単純化しヒートシンクの放熱効率の
良いフィン間隔を比較的簡単に算出することができるよ
うになる。
【0017】請求項3記載の発明では、請求項1または
請求項2記載のフィン間隔算出装置で、最大流速発生位
置算出部は境界層厚さの値に3分の1あるいはその近傍
の所定の値を掛けることで最大流速発生位置を算出する
ことを特徴としている。
【0018】すなわち請求項3記載の発明では、境界層
厚さの値に3分の1あるいはその近傍の所定の値を掛け
ることで最大流速発生位置を算出できることを実験等で
見出している。これにより、簡単な数値演算で最大流速
発生位置の算出が可能になる。
【0019】請求項4記載の発明では、請求項1または
請求項2記載のフィン間隔算出装置で、最適フィン間隔
算出手段は壁面から最大流速発生位置算出部の算出した
最大流速発生位置までの距離の2倍を最適フィン間隔と
することを特徴としている。
【0020】すなわち請求項4記載の発明では、フィン
間隔が広がっていっても流速自体が最大流速に至った後
は対流等によって流速がむしろある程度減少したりして
放熱が効果的に行われない点に着目して、最大流速に至
った位置の2倍を最適フィン間隔とすることにして、フ
ィンの数を増加させることによる方熱の効果も配慮して
いる。
【0021】請求項5記載の発明では、(イ)複数枚並
設されたフィンを有するヒートシンクのその1枚のフィ
ンのみが空気中に置かれたものと仮定して求めたそのフ
ィンの温度を使用してグラスホフ数を求める無次元数算
出ステップと、(ロ)この無次元数算出ステップで算出
したグラスホフ数を使用してフィンについての境界層厚
さを求める境界層厚さ算出ステップと、(ハ)フィンと
これに対向するフィンとの間を自然空冷の状態で流れる
空気の最大流速発生位置を1枚のフィンのみが空気中に
置かれたと仮定しその壁面から起算して流速が最大とな
る位置として求める最大流速発生位置算出ステップと、
(ニ)この最大流速発生位置算出ステップで算出した最
大流速発生位置を基にしてフィンとこれに対向するフィ
ンとの間の放熱に最も効果的なフィン間隔を算出する最
適フィン間隔算出ステップとをフィン間隔算出方法に具
備させる。
【0022】すなわち請求項5記載の発明では、無次元
数算出ステップで自然空冷の状態におけるグラスホフ数
を求め、このグラスホフ数を使用して境界層厚さ算出部
で境界層厚さを算出する。そして、1枚のフィンのみが
空気中に置かれたと仮定しその壁面から起算して流速が
最大となる位置を最大流速発生位置算出ステップで算出
する。ある限られた空間に複数のフィンが並設される場
合の最も放熱が効果的なフィン同士の間隔は、フィンの
壁面から起算して流速が最大となる位置の2倍等の所定
倍と考えることができる。そこで最適フィン間隔算出ス
テップでは、最大流速発生位置を基に最適フィン間隔を
算出する。このように請求項5記載の発明では、1枚の
フィンについて求めた値を基にしてフィン同士の間隔を
考察することにしているので、計算が単純化しヒートシ
ンクの放熱効率の良いフィン間隔を比較的簡単に算出す
ることができるようになる。
【0023】請求項6記載の発明では、(イ)複数枚並
設されたフィンを有するヒートシンクのその1枚のフィ
ンのみが空気中に置かれたものと仮定して求めたそのフ
ィンの温度を使用してレイノルズ数を求める無次元数算
出ステップと、(ロ)この無次元数算出ステップで算出
したレイノルズ数を使用してフィンについての境界層厚
さを求める境界層厚さ算出ステップと、(ハ)フィンと
これに対向するフィンとの間を強制空冷の状態で流れる
空気の最大流速発生位置を1枚のフィンのみが空気中に
置かれたと仮定しその壁面から起算して流速が最大とな
る位置として求める最大流速発生位置算出ステップと、
(ニ)この最大流速発生位置算出ステップで算出した最
大流速発生位置を基にしてフィンとこれに対向するフィ
ンとの間の放熱に最も効果的なフィン間隔を算出する最
適フィン間隔算出ステップとをフィン間隔算出方法に具
備させる。
【0024】すなわち請求項6記載の発明では、無次元
数算出ステップで強制空冷の状態におけるレイノルズ数
を求め、このレイノルズ数を使用して境界層厚さ算出ス
テップで境界層厚さを算出する。そして、1枚のフィン
のみが空気中に置かれたと仮定しその壁面から起算して
流速が最大となる位置を最大流速発生位置算出ステップ
で算出する。ある限られた空間に複数のフィンが並設さ
れる場合の最も放熱が効果的なフィン同士の間隔は、フ
ィンの壁面から起算して流速が最大となる位置の2倍等
の所定倍と考えることができる。そこで最適フィン間隔
算出ステップでは、最大流速発生位置を基に最適フィン
間隔を算出する。このように請求項6記載の発明では、
1枚のフィンについて求めた値を基にしてフィン同士の
間隔を考察することにしているので、計算が単純化しヒ
ートシンクの放熱効率の良いフィン間隔を比較的簡単に
算出することができるようになる。
【0025】
【発明の実施の形態】
【0026】
【実施例】以下実施例につき本発明を詳細に説明する。
【0027】図1は本発明の一実施例におけるフィン間
隔算出装置の構成を表わしたものである。このフィン間
隔算出装置31は、無次元数算出部32と、境界層厚さ
算出部33と、最大流速発生位置算出部34と、最適フ
ィン間隔算出部35で構成されている。これらの各部
は、たとえば汎用のパーソナルコンピュータを構成する
図示しないCPU(中央処理装置)、ROM(リード・
オンリ・メモリ)、RAM(ランダム・アクセス・メモ
リ)およびキーボードやディスプレイ等の入出力機器に
よって実現することができる。ここで、ROMにはフィ
ン間隔算出装置31を実現するための後に説明する制御
を行うためのプログラムやその他の固定的なデータが格
納されるようになっている。RAMはCPUがプログラ
ムを実行する上で一時的に必要となるデータを格納する
メモリである。
【0028】本実施例では、図8に示したヒートシンク
のモデルについて最適なフィン間隔を算出する。図1を
具体的に説明する前に、本発明の原理を説明する。
【0029】図2は、フィンの各種の間隔について熱輸
送の流速分布と温度分布の関係を示したものである。同
図(a)がフィン13の間隔が広い場合であり、同図
(b)、(c)の順に間隔が狭くなっている。これらの
図で実線41はフィン13の間における自然対流による
流速分布を示している。フィン13に近いほどその抵抗
によって流速は落ちる。破線42は温度分布を示してい
る。流速が早くなれば、放熱がそれだけ効率的に行われ
るので温度は低下する。
【0030】同図(c)に示すようにフィン間隔が狭い
と2枚のフィン13の中央位置でも流速はそれほど上が
らず、熱輸送が十分でないので温度があまり低下しな
い。一方、同図(a)に示したようにフィン13の間隔
を広くとっても中央位置での流速は同図(b)と同程度
となる。したがって、中央付近は熱輸送に無駄があり、
全体的にフィン13をより狭い間隔で配置した方が放熱
が効率的に行われることになる。同図(b)では2枚の
フィン13の中央位置で流速が最大となっており、この
ようなフィン間隔に設定するとヒートシンクの設計を効
率的に行えると考えられる。そこで、本発明では最大流
速に至る位置を予め探ることで、最良のフィン間隔を設
定することにしている。
【0031】図3は、対向配置された2枚のフィンと流
速分布および温度分布を表わしたものである。実線41
は流速分布を示しており、破線42は温度分布を示して
いる。このような2枚のフィン13の相互による影響を
考えてこれらの分布曲線を求めるのは、理論式が非常に
複雑になり、計算に多くの時間を必要とする。
【0032】一方、図4はフィン13がただ1枚存在す
ると仮定した場合の流速分布41および温度分布42を
示している。流速はある位置で“0”に収束し、温度は
室温に収束する。これらの収束点は境界層領域44と静
止流体領域45の境界線上に位置している。この点は図
3についても同様である。フィン13が1枚であると仮
定すると、流速分布および温度分布は他のフィンの影響
を考慮する必要がないので、すでに確立されている自然
対流熱伝達理論式を使用して比較的簡単に求めることが
できる。そこで、本発明ではフィン13がただ1枚存在
すると想定して、流速分布が最大となる位置を算出する
ようにしている。
【0033】図5は、図4を分かりやすく図解し直した
ものであり、フィン13が1枚の場合の温度分布T、流
速分布u、境界層厚さδの関係を図解したものである。
無次元数としてのグラスホフ数およびヌセルト数を使用
すると、理論的にこのようなフィン13が1枚の場合の
温度分布T、流速分布u、境界層厚さδおよび放熱量Q
を求めることができる。なお、グラスホフ数Grは自然
空冷の場合の値であり、強制空冷の場合にはレイノルズ
数算出部を使用する。ここでグラスホフ数Grは次の
(1)式で、平均ヌセルト数Nuは次の(2)式で求め
られる。
【0034】
【数1】
【0035】ここでgは重力加速度、βは空気の体積膨
張係数、Twはヒートシンクのフィン13の温度、T
は雰囲気温度、Lはフィン13の長さ、νは空気の動粘
性係数である。
【0036】
【数2】
【0037】ここでGrはグラスホフ数を、またPrは
空気のプラントル数である。
【0038】図6は、図1に示したフィン間隔算出装置
の動作の流れを示したものである。図8に示したように
フィン13が縦向きとなるように設置し、自然空冷を行
うものとする。本発明ではフィンが1枚と仮定して計算
を行うので、熱せられた1枚の平板(フィン13)が空
気中に置かれるものと仮定する。まず、(1)式に代入
するために、フィン間隔におけるフィン温度Twを、1
回の実験あるいはシミュレーション結果から求めておく
(ステップS61)。そしてこの求めたフィン温度Tw
を使用して、図1に示した無次元数算出部32で(1)
式を基にしてグラスホフ数Grを求める(図6ステップ
S62)。
【0039】次に境界層厚さ算出部33で、次の式
(3)を使用して境界層厚さδを求める(ステップS6
3)。この(3)式には先に求めたグラスホフ数を代入
すればよい。
【0040】 δ=3.93Pr-1/2(0.952+Pr)1/4Gr-1/4L ……(3)
【0041】次に最大流速発生位置算出部34は、最大
流速発生位置δUmaxをフィン13の壁から境界層厚さδ
の3分の1として求める。すなわち、最大流速発生位置
δUm axは(4)式により求まる(ステップS64)。
【0042】δUmax=δ/3 ……(4)
【0043】最後に最適フィン間隔算出部35では次の
(5)式よりフィン13同士の効率が最も良い間隔とし
ての最適フィン間隔yを算出する(ステップS65)。
【0044】y=2×δUmax ……(5)
【0045】次に具体例を挙げてフィン間隔算出の様子
を説明する。図8で示した条件の下で、ヒートシンクの
長さLが50mm、雰囲気温度Tが25゜C、フィン
間隔1mmにおけるフィン13の温度が74゜Cとす
る。このときのグラスホフ数Grは次の(6)式のよう
にして算出される。 Gr=(9.81×0.00336×49.0×0.053)/(0.175×104)=6.58×105 ……(6)
【0046】次にこのグラスホフ数Grを使用して境界
層厚さδを算出すると、次の(7)式のようになる。 δ=3.93×0.71-1/2×(0.952+0.71)1/4×(6.58×105)-1/4×0.05 =0.0093 ……(7)
【0047】すなわちこの例の場合、境界層厚さδは
9.3mmとなる。最大流速発生位置δUmaxはフィン1
3の壁から境界層厚さδの3分の1の位置である。境界
層厚さδを(4)式に代入すると次の(8)式となる。 δUmax=0.0093/3=0.0031 ……(8)
【0048】このようにして最大流速発生位置δUmax
3.1mmとなるので、最適フィン間隔yは(5)式に
最大流速発生位置δUmaxの値を代入して次の(9)式の
ようになる。 y=2×0.0031=0.0062 ……(9)
【0049】このようにしてフィン13の間隔を6.2
mmに設定すると最も効率のよい放熱を行うことができ
ることになる。
【0050】図7は、この例における部品温度と等価の
フィンの温度とフィン間隔の関係を示したものである。
既に説明したようにフィン間隔が6.2mmよりも狭い
と空気の流れの関係でフィン13あるいは部品の温度が
上昇することになる。フィン間隔が6.2mmよりも広
くても空気の流れがそれ以上良くなるわけではなく、却
って単位スペースに占めるフィン13の総数が減少する
ことになるので、放熱の効率が低下し、部品温度が上昇
することになる。
【0051】発明の変形可能性
【0052】以上、自然対流あるいは自然空冷環境にお
けるフィン間隔の算出を行ったが、強制空冷を行う場合
の最適フィン間隔yも全く同様に算出することができ
る。ただしこの場合にはグラスホフ数Grを使用せずに
レイノルズ数を使用することになる。
【0053】また実施例では図8に示したような平板状
のフィンを並設したヒートシンクについて説明したが、
従来各種提案されたようなこれと異なる形状のヒートシ
ンクについても本発明を同様に適用することができる。
この際に、最大流速発生位置δUmaxと境界層厚さδの関
係が(4)式に示した値と狂うような場合には、実験あ
るいはシミュレーション解析によって適宜変更すればよ
い。
【0054】
【発明の効果】以上説明したように請求項1および請求
項5記載の発明によれば、1枚のフィンのみが自然空冷
の状態に置かれているものとしてグラスホフ数を求め、
このグラスホフ数を使用して境界層厚さを算出し、これ
を基にして最大流速発生位置を算出し、最適フィン間隔
を算出するので、計算が大幅に短縮化され、ヒートシン
クの設計時間の節約と大幅なコストダウンを図ることが
できる。
【0055】また請求項2および請求項6記載の発明に
よれば、1枚のフィンのみが強制空冷の状態に置かれて
いるものとしてグラスホフ数を求め、このグラスホフ数
を使用して境界層厚さを算出し、これを基にして最大流
速発生位置を算出し、最適フィン間隔を算出するので、
計算が大幅に短縮化され、ヒートシンクの設計時間の節
約と大幅なコストダウンを図ることができる。
【0056】更に請求項3記載の発明によれば、請求項
1または請求項2記載のフィン間隔算出装置で、最大流
速発生位置算出部は境界層厚さの値に3分の1等の所定
の値を掛けることで最大流速発生位置を算出するので、
算出が極めて単純化する。
【0057】また請求項4記載の発明によれば、請求項
1または請求項2記載のフィン間隔算出装置で、最適フ
ィン間隔算出手段は壁面から最大流速発生位置算出部の
算出した最大流速発生位置までの距離の2倍を最適フィ
ン間隔とするので単純に最大流速発生位置を示す数値を
2倍にすればよく、算出が極めて単純化する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例におけるフィン間隔算出装置
の構成を表わしたブロック図である。
【図2】フィンの各種の間隔について熱輸送の流速分布
と温度分布の関係を示した説明図である。
【図3】対向配置された2枚のフィンと流速分布および
温度分布を表わした特性図である。
【図4】フィンがただ1枚存在すると仮定した場合の流
速分布および温度分布を示した特性図である。
【図5】フィンが1枚の場合の温度分布T、流速分布
u、境界層厚さδの関係を図解した説明図である。
【図6】図1に示したフィン間隔算出装置の動作の流れ
図である。
【図7】実施例で具体的な設計態様における部品温度と
フィン間隔を示した特性図である。
【図8】単純な形状のヒートシンクの一例を示した斜視
図である。
【符号の説明】
12 スリット型ヒートシンク 13 フィン 32 無次元数算出部 33 境界層厚さ算出部 34 最大流速発生位置算出部 35 最適フィン間隔算出部 T 温度分布 u 流速分布 Gr グラスホフ数 Nu 平均ヌセルト数 δ 境界層厚さ

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数枚並設されたフィンを有するヒート
    シンクのその1枚のフィンのみが空気中に置かれたもの
    と仮定して求めたそのフィンの温度を使用してグラスホ
    フ数を求める無次元数算出部と、 この無次元数算出部で算出したグラスホフ数を使用して
    前記フィンについての境界層厚さを求める境界層厚さ算
    出部と、 前記フィンとこれに対向するフィンとの間を自然空冷の
    状態で流れる空気の最大流速発生位置を1枚のフィンの
    みが空気中に置かれたと仮定しその壁面から起算して流
    速が最大となる位置として求める最大流速発生位置算出
    部と、 この最大流速発生位置算出部で算出した最大流速発生位
    置を基にして前記フィンとこれに対向するフィンとの間
    の放熱に最も効果的なフィン間隔を算出する最適フィン
    間隔算出手段とを具備することを特徴とするフィン間隔
    算出装置。
  2. 【請求項2】 複数枚並設されたフィンを有するヒート
    シンクのその1枚のフィンのみが空気中に置かれたもの
    と仮定して求めたそのフィンの温度を使用してレイノル
    ズ数を求める無次元数算出部と、 この無次元数算出部で算出したレイノルズ数を使用して
    前記フィンについての境界層厚さを求める境界層厚さ算
    出部と、 前記フィンとこれに対向するフィンとの間を強制空冷の
    状態で流れる空気の最大流速発生位置を1枚のフィンの
    みが空気中に置かれたと仮定しその壁面から起算して流
    速が最大となる位置として求める最大流速発生位置算出
    部と、 この最大流速発生位置算出部で算出した最大流速発生位
    置を基にして前記フィンとこれに対向するフィンとの間
    の放熱に最も効果的なフィン間隔を算出する最適フィン
    間隔算出手段とを具備することを特徴とするフィン間隔
    算出装置。
  3. 【請求項3】 前記最大流速発生位置算出部は境界層厚
    さの値に3分の1あるいはその近傍の所定の値を掛ける
    ことで最大流速発生位置を算出することを特徴とする請
    求項1または請求項2記載のフィン間隔算出装置。
  4. 【請求項4】 前記最適フィン間隔算出手段は壁面から
    最大流速発生位置算出部の算出した最大流速発生位置ま
    での距離の2倍を最適フィン間隔とすることを特徴とす
    る請求項1または請求項2記載のフィン間隔算出装置。
  5. 【請求項5】 複数枚並設されたフィンを有するヒート
    シンクのその1枚のフィンのみが空気中に置かれたもの
    と仮定して求めたそのフィンの温度を使用してグラスホ
    フ数を求める無次元数算出ステップと、 この無次元数算出ステップで算出したグラスホフ数を使
    用して前記フィンについての境界層厚さを求める境界層
    厚さ算出ステップと、 前記フィンとこれに対向するフィンとの間を自然空冷の
    状態で流れる空気の最大流速発生位置を1枚のフィンの
    みが空気中に置かれたと仮定しその壁面から起算して流
    速が最大となる位置として求める最大流速発生位置算出
    ステップと、 この最大流速発生位置算出ステップで算出した最大流速
    発生位置を基にして前記フィンとこれに対向するフィン
    との間の放熱に最も効果的なフィン間隔を算出する最適
    フィン間隔算出ステップとを具備することを特徴とする
    フィン間隔算出方法。
  6. 【請求項6】 複数枚並設されたフィンを有するヒート
    シンクのその1枚のフィンのみが空気中に置かれたもの
    と仮定して求めたそのフィンの温度を使用してレイノル
    ズ数を求める無次元数算出ステップと、 この無次元数算出ステップで算出したレイノルズ数を使
    用して前記フィンについての境界層厚さを求める境界層
    厚さ算出ステップと、 前記フィンとこれに対向するフィンとの間を強制空冷の
    状態で流れる空気の最大流速発生位置を1枚のフィンの
    みが空気中に置かれたと仮定しその壁面から起算して流
    速が最大となる位置として求める最大流速発生位置算出
    ステップと、 この最大流速発生位置算出ステップで算出した最大流速
    発生位置を基にして前記フィンとこれに対向するフィン
    との間の放熱に最も効果的なフィン間隔を算出する最適
    フィン間隔算出ステップとを具備することを特徴とする
    フィン間隔算出装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011044619A (ja) * 2009-08-22 2011-03-03 Stanley Electric Co Ltd ヒートシンクおよび冷却システム
CN106783050A (zh) * 2016-12-27 2017-05-31 全球能源互联网研究院 一种散热片及其设计方法及装置及变压器
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