JP2002048240A - シール材 - Google Patents

シール材

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JP2002048240A
JP2002048240A JP2000231170A JP2000231170A JP2002048240A JP 2002048240 A JP2002048240 A JP 2002048240A JP 2000231170 A JP2000231170 A JP 2000231170A JP 2000231170 A JP2000231170 A JP 2000231170A JP 2002048240 A JP2002048240 A JP 2002048240A
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rubber
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carbon film
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substrate
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JP2000231170A
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Masaki Kawahigashi
正記 川東
Nobuo Keijo
伸雄 慶上
Kazuhiko Kobiki
一彦 木挽
Seigo Kawashima
誠五 川島
Yasufumi Fukushima
康文 福島
Junichi Tsujimoto
順一 辻本
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Mitsubishi Cable Industries Ltd
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Mitsubishi Cable Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ゴム基材の表面にダイヤモンド状炭素膜を設
けたシール材において、良好なシール性を示すシール
材、特に、高温環境下においても良好なシール性が持続
されるシール材を提供することを目的としている。 【解決手段】 表面粗さが0.001〜10μmRaの
ゴム基材の表面にダイヤモンド状炭素膜を設ける。さら
に好ましくはダイヤモンド状炭素膜の平均厚みを0.1
〜10μmに設定する。また、高温環境下においても良
好なシール性が持続されるように、ゴム基材のゴムをフ
ッ素ゴム、シリコーンゴム、フルオロシリコーンゴム及
びアクリルムゴムから選ばれる少なくとも1種のゴム、
特に、フッ素ゴムにフッ化ビニリデン−六フッ化プロピ
レン共重合体(より好ましくはポリオール架橋したも
の)を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はシール材に関し、特
にゴム基材(ゴム成形体)の表面にダイヤモンド状炭素
膜を設けてなるシール材に関する。
【0002】
【従来の技術】ゴムを成形してなるシール材(以下、単
にゴムシール材ともいう)は、産業機械、自動車、航空
機、半導体製造装置等の各種機械(装置)における要素
(部品)間のシール性が要求される箇所に装着して使用
されている。
【0003】ゴムシール材はゴムが有する柔軟性と弾性
とによって細かい空間を閉止し得るものであるが、一般
にその適用箇所が可動部であるか固定部であるかによっ
て、パッキン、ガスケットと呼ばれたり、また、その形
状からOリング、Dリング、Uパッキン、Vパッキン等
と呼ばれる。
【0004】ところで水道のゴムパッキン等は回転する
シャフトに接触した状態で使用されるものであり、この
ような可動部材に接触して使用されるゴムシール材で
は、相手部材に対するゴムの滑り摩擦係数が大きい程、
シール性は概ね良好であるが、可動部材の動作性が低下
するとともに、ゴムの磨耗が大きいために、その寿命が
低下する。また、Oリングはねじやフランジに密接させ
て目的のシール性が得られるものであるが、長期の使用
によってはねじやフランジに膠着し、容易に取り替える
ことができなくなってしまう。このような問題に対し
て、特開平10−53870号公報では、ゴムシール材
の表面にダイヤモンド状炭素膜(DLC膜:Diamo
nd−Like Carbon Films)を設ける
ことにより、ダイヤモンド状炭素膜が有する潤滑性によ
ってゴムシール材の表面摩擦係数が減少して、上記の不
具合を解消できると記載されている。
【0005】ダイヤモンド状炭素膜とは、ダイヤモンド
のように硬い炭素膜と言う意味でつけられた言葉であ
り、アモルファス構造を有し、結晶粒界をもたない炭素
膜であって、潤滑性を有する高硬度(ビッカース硬さ
(Hv)で概ね2000〜4000程度)の膜である。
従来、ダイヤモンド状炭素膜は金属面や半導体面に設け
て使用されてきた。上記公報は、ゴムや樹脂の表面にも
ダイヤモンド状炭素膜を形成できるようにしたダイヤモ
ンド状炭素膜の製造方法を提案したもので、ダイヤモン
ド状炭素膜を表面に設けたゴム材料の一具体例として、
前述のダイヤモンド状炭素膜を表面に設けたゴムシール
材を開示している。
【0006】本発明者らは上記公報に記載された方法に
従ってゴム基材(ゴム成形体)の表面にダイヤモンド状
炭素膜を設けたOリングを作製し、そのシール性を検討
した結果、ゴム基材(ゴム成形体)単体で良好なシール
性を示しても、表面にダイヤモンド状炭素膜を設けた場
合には必ずしも良好なシール性を示さないことがわかっ
た。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記事情に
鑑み、ゴム基材の表面にダイヤモンド状炭素膜を設けた
シール材において、良好なシール性を示すシール材、特
に、高温環境下においても良好なシール性が持続される
シール材を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成すべく、
本発明者等は鋭意研究した結果、表面粗さが0.001
〜10μmRaのゴム基材の表面にダイヤモンド状炭素
膜を設けることにより、良好なシール性が得られること
を見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は以
下の特徴を有している。
【0009】(1)表面粗さが0.001〜10μmR
aのゴム基材の表面にダイヤモンド状炭素膜を設けてな
るシール材。 (2)ダイヤモンド状炭素膜の平均厚みが0.1〜10
μmである上記(1)記載のシール材。 (3)ゴム基材のゴムがフッ素ゴム、シリコーンゴム、
フルオロシリコーンゴム及びアクリルムゴムから選ばれ
る少なくとも1種のゴムである上記(1)または(2)
記載のシール材。 (4)ゴム基材のゴムがフッ素ゴムを少なくとも含み、
当該フッ素ゴムがフッ化ビニリデン−六フッ化プロピレ
ン共重合体である上記(1)または(2)記載のシール
材。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明のシール材は表面粗さが
0.001〜10μmRaのゴム基材の表面にダイヤモ
ンド状炭素膜を設けたものであり、ゴム基材の表面粗さ
が上記の特定範囲にあることで、良好なシール性が得ら
れる。ここで、ゴム基材の表面粗さは、キーエンス社
製、表面形状測定顕微鏡(型式VK−8500)を用い
て、ゴム基材の表面に赤外光を照射し、反射光を分析す
ることにより測定した値である。ゴム基材の表面粗さが
0.001〜10μmRaの範囲であれば、ダイヤモン
ド状炭素膜を薄く形成することで、ゴム基材の表面粗さ
が略そのまま、シール材の表面粗さとなって発現するこ
ととなり、その結果として、良好なシール性が得られ
る。表面粗さが0.001μmRaより小さいゴム基材
は作製が困難であり、ゴム基材の表面粗さが10μmR
aより大きくなると、ゴム基材へのダイヤモンド状炭素
膜の密着性が低下するとともに、シール材の表面のシー
ルする相手部材への密着性が低下してしまう。ゴム基材
の表面粗さは0.01〜5μmRaが好ましく、特に好
ましくは0.1〜1μmRaである。
【0011】本発明のシール材では、ダイヤモンド状炭
素膜が有する潤滑性により、シール材が接触する相手部
材(金属)へのシール材の膠着、及び、相手部材が可動
部材である場合のシール材の磨耗も抑制される。
【0012】シール性の観点からは、ダイヤモンド状炭
素膜はゴム基材表面の実際にシールに関わる部分(シー
ルする相手部材と接触する部分)にのみ設ければよい
が、シール材の耐熱性を考慮した場合、ゴム基材の全面
に設けるのが好ましい。すなわち、ゴムシール材の問題
として、高温度下で使用される場合にゴムが熱酸化によ
り劣化(老化)して、伸縮性及び強度の低下を起こし、
目的のシール性が得られなくなるという問題があるが、
ゴム基材のダイヤモンド状炭素膜で被覆されている部分
は外部酸素との接触が断たれ、熱酸化が防止される。よ
って、ゴム基材の全面にダイヤモンド状炭素膜を設ける
ことで、ゴム基材は完全に外部酸素との接触が断たれ、
ゴム基材の熱酸化が略完全に防止され、シール材を高温
下で使用しても、ゴム基材の老化が抑制されて、伸縮性
及び強度の低下が起こらず、シール性の低下が抑制され
る。
【0013】本発明のシール材において、ダイヤモンド
状炭素膜の厚みは、平均厚みが0.1〜10μm程度、
好ましくは0.1〜5μm程度である。10μmより大
きいとシール材が変形しにくくなって、シール性が低下
する傾向を示し、0.1μmより小さいと相手部材(金
属)へのシール材の膠着防止の効果が十分に得られなく
なる虞がある。尚、ダイヤモンド状炭素膜の平均厚み
は、例えば電子顕微鏡を用いて断面を観察することで測
定される。
【0014】ゴム基材としては、HNBR(水素添加ニ
トリルゴム)、NBR(ニトリルゴム)、EPDM(エ
チレン−プロピレン−ジエンゴム)、EPM(エチレン
−プロピレンゴム)、フッ素ゴム、シリコーンゴム、フ
ルオロシリコーンゴム、アクリルゴム等の従来からゴム
シール材に使用されているゴムを所望のシール材の形状
に成形したものが使用される。これらのゴムは1種また
は2種以上を組み合わせて用いることができる。ゴムは
架橋(加硫)ゴム、未架橋ゴムのいずれでもよく、ま
た、ゴムには必要に応じて後述の充填剤等の添加剤が配
合される。
【0015】従来から高温度下で使用されるゴムシール
材には、フッ素ゴム、シリコーンゴム、アクリルゴム等
の耐熱性のゴムが使用されている。本発明においても、
シール材の耐熱性(特に耐熱酸化性)をより向上させる
ために、ゴム基材として、フッ素ゴム、フルオロシリコ
ーンゴム、シリコーンゴムおよびアクリルゴム等の耐熱
性のゴムを用いるのが好ましい。これらの耐熱性ゴムは
1種または2種以上を組み合わせて用いることができ、
特にフッ素ゴムを少なくとも用いるのが好ましい。ゴム
基材をかかる耐熱性ゴムで構成することで、200℃以
上の高温度下でも、ゴム基材の熱酸化による老化が抑制
されて、良好なシール性が維持される。
【0016】上記フッ素ゴムとしては、フッ化ビニリデ
ン−六フッ化プロピレン−四フッ化エチレン共重合体、
フッ化ビニリデン−パーフルオロビニルエーテル−四フ
ッ化エチレン共重合体、四フッ化エチレン−パーフルオ
ロビニルエーテル共重合体、フッ化ビニリデン−プロピ
レン−四フッ化エチレン共重合体、パーフルオロビニル
エーテル−エチレン−四フッ化エチレン共重合体、フッ
化ビニリデン−六フッ化プロピレン共重合体等が挙げら
れ、これらは1種または2種以上を組み合わせて用いる
ことができる。シール材の耐熱老化性をより向上させる
観点からは、少なくともフッ化ビニリデン−六フッ化プ
ロピレン共重合体、四フッ化エチレン−パーフルオロビ
ニルエーテル共重合体等の二元系(二元共重合)フッ素
ゴムを用いるのが好ましく、特に好ましくは二元系(二
元共重合)フッ素ゴムを、ビスフェノールA、ビスフェ
ノールB、ビスフェノールAF、1,3,5−トリヒド
ロキシベンゼン、ヒドロキシレゾルシン、2−t−ブチ
ルヒドロキノン等のポリヒドロキシ芳香族化合物や含フ
ッ素ポリヒドロキシ芳香族化合物等のポリオール(架橋
剤)で架橋した架橋ゴムを用いるのがよい。また、フッ
素ゴムは耐熱性だけでなく耐薬品性に優れたゴムである
が、有機過酸化物で架橋したフッ素ゴムは耐薬品性が特
に良好である。よって、シール材が薬品に曝される環境
下で使用されるものである場合には、有機過酸化物で架
橋したフッ素ゴムを用いるのが好ましい。有機過酸化物
としては、ベンゾイルパーオキサイド、ビス(3,5,
5−トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド、ラウロ
イルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−
ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシ−
2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソ
ブチレート、ジクミルパーオキサイド、1,3−ビス
(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,
5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−
ヘキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブ
チルパーオキシ)ヘキサン、ジt−ブチルパーオキサイ
ド等が挙げられる。
【0017】シリコーンゴムとしては、ポリジメチルシ
リコーンゴム、メチルビニルシリコーンゴム、メチルフ
ェニルシリコーンゴム等が挙げられ、これらは1種また
は2種以上を組み合わせて用いることができる。フルオ
ロシリコーンゴムとしては、メチルトリフルオロプロピ
ルビニルシリコーンゴム等が挙げられる。これらシリコ
ーンゴムやフルオロシリコーンゴムは架橋して用いるの
が好ましく、架橋剤としては、通常、有機過酸化物が使
用される。有機過酸化物としては、前記フッ素ゴムの架
橋剤として例示したものを同様に用いることができる。
【0018】アクリルゴムは、アクリル酸アルキルエス
テルを主成分とし、架橋性ビニルモノマーを共重合させ
た重合体である。アクリル酸アルキルエステルとして
は、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エ
チルヘキシルアクリレート等が挙げられ、これらは1種
または2種以上を組み合わせて用いることができる。架
橋性ビニルモノマーとしては、2−クロロエチルビニル
エーテル、ビニルクロロアセテート等のハロゲン基含有
化合物、アリルグリシジルエーテル、グリシジルエーテ
ル等のエポキシ化合物、エチリデンノルボルネン等のジ
エン化合物等が挙げられ、これらは1種または2種以上
を組み合わせて用いることができる。通常、架橋性ビニ
ルモノマーにハロゲン基含有化合物を用いる場合は金属
石鹸(例えばステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カ
リウム等)を架橋剤に用いて架橋し、架橋性ビニルモノ
マーにエポキシ化合物を用いる場合はアミン化合物(例
えばヘキサメチレンジアミン等)を架橋剤に用いて架橋
し、架橋性ビニルモノマーにジエン化合物を用いる場合
は硫黄、有機過酸化物(例えば、ジクミルパーオキサイ
ド等)を架橋剤に用いて架橋する。
【0019】ゴム基材を架橋ゴムで構成する場合、ゴ
ム、架橋剤の種類によっても異なるが、未架橋のゴム1
00重量部当たり架橋剤を通常1.0〜5.0重量部程
度、好ましくは2.0〜4.0重量部程度使用する。
【0020】本発明のシール材においてより良好なシー
ル性を得るためにはゴム基材の硬度が重要であり、ゴム
基材はショアーA硬度が40〜100の範囲にあるもの
が好ましく、ショアーA硬度が70〜90の範囲にある
ものが特に好ましい。ショアーA硬度が40〜100の
範囲内にあれば、シール材の変形性が良好で、より良好
なシール性が得られる。ここで、ショアーA硬度はJI
S K 6253に規定の方法で測定した値である。ゴ
ム基材の硬度はゴムの分子量や架橋度、ゴムに配合する
充填剤の種類や量等によって調整される。
【0021】通常ゴムシール材にはゴム硬度の調整等を
目的に充填剤を配合することが多いが、本発明のシール
材においても、必要に応じて、ゴム基材(ゴム)の硬度
の調整を目的に充填剤を配合することができる。充填剤
としては、カーボンブラック;シリカ、酸化チタン、酸
化鉛、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、珪藻土、アルミ
ナ、酸化カルシウム、酸化鉄、酸化スズ、酸化アンチモ
ン、フェライト類等の酸化物;水酸化マグネシウム、水
酸化アルミニウム、水酸化カルシウム等の水酸化物;塩
基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウ
ム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、ドーソナイト、ハイ
ドロタルサイト等の炭酸塩;硫酸バリウム、硫酸カルシ
ウム等の硫酸塩;ケイ酸アルミニウム(クレー、カリオ
ナイト、パイロフィライト)、ケイ酸マグネシウム(タ
ルク)、ケイ酸カルシウム(ウオラストナイト、ゾノト
ライト)、クレー、モンモリロナイト、ベントナイト、
活性白土およびマイカ等のケイ酸塩;窒化アルミニウ
ム、窒化ホウ素、窒化ケイ素等の窒化物が挙げられる。
これらの化合物は1種または2種以上を組み合わせて用
いることができる。充填剤の配合量は、ゴム基材とダイ
ヤモンド状炭素膜との密着性を考慮して、ゴム100重
量部当たり通常1〜60重量部程度、好ましくは5〜3
0重量部程度である。
【0022】ゴム基材には、必要に応じて充填剤以外の
添加剤を更に配合してもよく、かかる添加剤としては、
滑剤、可塑剤等が挙げられる。滑剤としては、ステアリ
ン酸等が挙げられ、可塑剤としては、ジオクチルフタレ
ート、ジオクチルセバケート等が挙げられる。また、ゴ
ムを架橋ゴムとする場合、架橋剤以外に架橋助剤を配合
することもできる。
【0023】ゴム基材は、ゴム(未架橋ゴム)と、必要
に応じて配合する添加剤(架橋剤や架橋剤以外の他の添
加剤)等を、例えば、ニーダー、バンバリーミキサー等
の混練機を用いて混練した後、射出成形機、圧縮成形
機、押出成形機等を用いて所望のシール材の形状に成形
して得ることができる。ゴムを架橋(加硫)する場合、
ゴムの成形中および成形後のいずれで行ってもよい。ゴ
ムの架橋(加硫)条件は特に限定はされないが、比較的
短時間の一次加硫(予備加硫)を行った後、該一次加硫
の加熱温度と同温またはそれよりも高温で比較的長時間
の二次加硫を行う態様が好ましい。
【0024】本発明において、ゴム基材表面へのダイヤ
モンド状炭素膜の形成は、従来公知の方法で行うことが
でき、例えば、従来の技術で説明した特開平10−53
870号公報に記載された方法に従って、プラズマCV
D法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等で
形成される。炭素膜形成のための原料ガスとしては、メ
タン(CH4)、エタン(C26)、プロパン(C
38)、ブタン(C410)、アセチレン(C22)、
ベンゼン(C66)、四フッ化炭素(CF4)、六フッ
化二炭素(C26)などの炭素化合物ガス等が使用さ
れ、また炭素膜形成の際に用いるキャリアガスとして
は、アルゴン(Ar)、ネオン(Ne)、キセノン(X
e)、ヘリウム(He)などの不活性ガスや水素ガス、
あるいはそれらの混合物等が使用される。なお、炭素膜
形成の前に、ゴム基材の表面に紫外線および/または電
子線を照射する前処理を行う、さらに、かかる前処理の
工程とダイヤモンド状炭素膜の形成工程との間でゴム基
材の表面をフッ素含有ガスおよび/または水素含有ガス
のプラズマによるプラズマ処理を施してもよい。
【0025】本発明のシール材は、ゴム基材を各種形状
に成形することで、各種用途のシール材に使用できる。
すなわち、Oリング、Dリング、Xリング、Uパッキ
ン、Vパッキン等の運動用シール(パッキン)、ゴムガ
スケット等の固定用シールとして使用することができ
る。これらのうちでも、Oリングの場合に本発明の効果
は最も顕著である。
【0026】
【実施例】以下、本発明の実施例と比較例を示して、本
発明をより具体的に説明する。 (実施例1)原料ゴムにフッ化ビニリデン−六フッ化プ
ロピレン共重合体(100重量部)を用い、架橋剤にポ
リオール(2重量部)を使用し、1次加硫(165℃×
20分)と2次加硫(250℃×24時間)を行って、
W=3.53mm、ID=24.99mmのOリング状
のゴム基材を成形した。該ゴム基材の表面粗さは0.4
μmRaであった。次に、該ゴム基材の表面全域に特開
平10−53870号公報に記載された方法に従ってプ
ラズマCVD法で平均厚み1.0μmのダイヤモンド状
炭素膜を形成してOリングを完成させた。
【0027】(実施例2)原料ゴムをフッ化ビニリデン
−六フッ化プロピレン−四フッ化エチレン共重合体に代
え、成形用金型に実施例1で用いたものよりもキャビテ
ィーの内面の表面粗さが大きいものを使用した以外は、
実施例1と同様にして、W=3.53mm、ID=2
4.99mmのOリング状のゴム基材を成形した。該ゴ
ム基材の表面粗さは0.8μmRaであった。次に、該
ゴム基材の表面全域に特開平10−53870号公報に
記載された方法に従ってプラズマCVD法で平均厚み
0.1μmのダイヤモンド状炭素膜を形成してOリング
を完成させた。
【0028】(実施例3)原料ゴムにメチルトリフルオ
ロプロピルビニルシリコーンゴムを用い、架橋剤にベン
ゾイルパーオキサイド(ゴム100重量部当たり2.0
重量部)を使用し、1次加硫(165℃×15分)と2
次加硫(200℃×4時間)を行って、W=3.53m
m、ID=24.99mmのOリング状のゴム基材を成
形した。該ゴム基材の表面粗さは0.9μmRaであっ
た。次に、該ゴム基材の表面全域に特開平10−538
70号公報に記載された方法に従ってプラズマCVD法
で平均厚み5.0μmのダイヤモンド状炭素膜を形成
し、Oリングを完成させた。
【0029】(実施例4)実施例3で作製したゴム基材
の表面全域に、特開平10−53870号公報に記載さ
れた方法に従ってプラズマCVD法で平均厚み10μm
のダイヤモンド状炭素膜を形成し、Oリングを完成させ
た。
【0030】(実施例5)原料ゴムにアクリルゴム(エ
チレンアクリルゴム)を使用し、当該ゴム100重量部
当たりステアリン酸ナトリウム3重量部、硫黄0.2重
量部を配合し、1次加硫(175℃×10分)と2次加
硫(170℃×3時間)を行って、W=3.53mm、
ID=24.99mmのOリング状のゴム基材を成形し
た。該ゴム基材の表面粗さは0.9μmRaであった。
次に、該ゴム基材の表面全域に特開平10−53870
号公報に記載された方法に従ってプラズマCVD法で平
均厚み1.0μmのダイヤモンド状炭素膜を形成し、O
リングを完成させた。
【0031】(比較例1)実施例1で作製したゴム基材
をそのままOリングとして使用した。
【0032】以上の実施例及び比較例で作製したOリン
グについて、空気中でOリングを300℃で7時間放置
した後、Oリングを、2枚の板(材質:SUS 30
4、サイズ:縦5cm×横5cm×厚み1cm)の間に
圧縮率25%で挟み、かかる圧縮状態のまま板と共に水
中に24時間放置し、板とOリングによって区画された
空間に水が浸入するかを観察してシール性を評価した。
その結果、実施例1〜5のOリングはいずれも空間への
水の浸入がなかったのに対し、比較例1のOリングは空
間に水が浸入していた。
【0033】
【発明の効果】以上の説明により明らかなように、本発
明のシール材は良好なシール性と優れた耐熱老化性を有
し、しかも、接触する相手部材(金属)に対して膠着す
ることがないので、高温環境下で比較的長期にわたって
良好なシール性を維持し得る。よって、従来のシール材
よりも長寿命であり、しかも、交換すべき時には、相手
部材(金属)に膠着していないため、容易に交換でき
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 木挽 一彦 和歌山県有田市箕島663番地 三菱電線工 業株式会社箕島製作所内 (72)発明者 川島 誠五 和歌山県有田市箕島663番地 三菱電線工 業株式会社箕島製作所内 (72)発明者 福島 康文 和歌山県有田市箕島663番地 三菱電線工 業株式会社箕島製作所内 (72)発明者 辻本 順一 大阪府大阪市北区天満橋1丁目8番30号 OAPタワー 三菱電線工業株式会社関西 支社内 Fターム(参考) 3J040 EA46 FA06 FA07 HA15 4F006 AA04 AB62 AB63 DA01 4K030 BA28 CA00 FA01 JA01 LA11

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面粗さが0.001〜10μmRaの
    ゴム基材の表面にダイヤモンド状炭素膜を設けてなるシ
    ール材。
  2. 【請求項2】 ダイヤモンド状炭素膜の平均厚みが0.
    1〜10μmである請求項1記載のシール材。
  3. 【請求項3】 ゴム基材のゴムがフッ素ゴム、シリコー
    ンゴム、フルオロシリコーンゴム及びアクリルムゴムか
    ら選ばれる少なくとも1種のゴムである請求項1または
    2記載のシール材。
  4. 【請求項4】 ゴム基材のゴムがフッ素ゴムを少なくと
    も含み、当該フッ素ゴムがフッ化ビニリデン−六フッ化
    プロピレン共重合体である請求項1または2記載のシー
    ル材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2005050069A1 (ja) 2003-11-21 2005-06-02 Daikin Industries, Ltd. 表面コーティングされたシール材
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