JP2002042814A - 非水二次電池用正極活物質およびそれを用いた非水二次電池 - Google Patents

非水二次電池用正極活物質およびそれを用いた非水二次電池

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JP2002042814A
JP2002042814A JP2000228220A JP2000228220A JP2002042814A JP 2002042814 A JP2002042814 A JP 2002042814A JP 2000228220 A JP2000228220 A JP 2000228220A JP 2000228220 A JP2000228220 A JP 2000228220A JP 2002042814 A JP2002042814 A JP 2002042814A
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aqueous secondary
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lithium
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Kazutaka Uchitomi
和孝 内富
Tokuji Ueda
上田  篤司
Masahiro Kasai
昌弘 葛西
Takahiro Yamaki
孝博 山木
Shigeo Aoyama
青山  茂夫
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Hitachi Ltd
Maxell Holdings Ltd
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Hitachi Ltd
Hitachi Maxell Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 放電曲線の平坦部が金属リチウム電位基準で
4.5V以上の作動電圧を示し、かつ4.5V以上の高
電位領域での放電容量が大きく、しかも負荷特性が優れ
た非水二次電池用正極活物質および非水二次電池を提供
する。 【解決手段】 一般式LiNix y Mn2-x-y
4 (ただし、Mは少なくとも3価のFe、Coのいずれ
か一方を含有する少なくとも一種の元素であり、x、y
は、2x+y+≧1.00、0<y≦0.30である)
で表されるスピネル型リチウムニッケルマンガン複合酸
化物で非水二次電池用正極活物質を構成し、その正極活
物質を用いて、非水二次電池を構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、非水二次電池用正
極活物質およびそれを用いた非水二次電池に関し、さら
に詳しくは、放電曲線の平坦部が金属リチウム電位基準
で4.5V以上の作動電圧を示し、かつ4.5V以上の
高電位領域での放電容量が大きく、しかも負荷特性が優
れた非水二次電池用正極活物質および非水二次電池に関
する。
【0002】
【従来の技術】近年、携帯電話やノート型パソコンなど
のポータブル電子機器の発達や、電気自動車の実用化な
どに伴い、小型軽量でかつ高容量の二次電池が必要とさ
れるようになってきた。現在、この要求に応える高容量
二次電池として、正極にLiCoO2 を用い、負極に炭
素系材料を用いたリチウムイオン二次電池が商品化され
ている。
【0003】上記リチウムイオン二次電池は、エネルギ
ー密度が高く、かつ小型、軽量化が図れることから、ポ
ータブル電子機器の電源として非常に有望視されてい
る。そして、このリチウムイオン二次電池の正極活物質
として使用されているLiCoO2 は、製造が容易であ
り、かつ取り扱いが容易なことから、リチウムイオン二
次電池を含む非水二次電池において、好適な正極活物質
として多用されている。
【0004】しかしながら、LiCoO2 は希少金属で
あるコバルト(Co)を原料として製造されるために、
今後、資源不足が深刻になると予想される。また、コバ
ルト自体の価格も高く、価格変動も大きいために、安価
で、しかも供給の安定している正極活物質の開発が望ま
れる。
【0005】そのため、非水二次電池用の正極活物質と
して、LiCoO2 に代えて、スピネル型結晶構造を有
するリチウムマンガン酸化物系材料が注目されている。
このスピネル型構造のリチウムマンガン酸化物には、L
2 Mn4 9 、Li4 Mn 5 12、LiMn2 4
どがあり、中でも、LiMn2 4 がLi(リチウム)
電位に対して4V領域で充放電が可能であることから、
盛んに研究が行われている(特開平6−76824号公
報、特開平7−73883号公報、特開平7−2308
02号公報、特開平7−245106号公報など)。
【0006】ところで、電池の高エネルギー密度化を図
るためには高電位の正極活物質を用いることが1つの方
法であり、また、電気自動車用電源としては300V以
上の高電圧が必要とされるが、LiCoO2 を正極活物
質とする場合は作動電圧が4.2V程度であるため、接
続する電池数が多くなる。そのため、LiCoO2 より
高電圧の正極活物質を用いることが必要になってくる
が、前記のようなスピネル型リチウムマンガン酸化物は
作動電圧が4V以下であるため、LiCoO2 を用いる
場合よりも容量が小さい上に、300Vの高電圧を得る
ためには接続する電池数がLiCoO2 を用いる場合よ
りさらに多くなる。また、負極活物質も高容量であるこ
とが望ましいことから、高容量化が期待できる金属酸化
物、金属窒化物や低温焼成炭素材料を負極活物質として
用いることが考え得るが、それらはLiCoO2 との組
み合わせでは電池電圧が低下してエネルギー密度の低下
を招くため、それらの金属酸化物、金属窒化物などや低
温焼成炭素材料についても、LiCoO2 より高電圧で
作動する正極活物質と組み合わせて用いることによっ
て、その高容量化し得るという特性を発揮させることが
要望されている。
【0007】そのため、スピネル型リチウムマンガン酸
化物においても高電圧化が検討されており、例えばマン
ガンサイトを遷移金属で置換した複合型のリチウムマン
ガン複合酸化物では、金属リチウム電位基準で4.5V
以上の作動電圧が得られることが確認されており〔例え
ば、C.Sigala et al.,SolidSt
ate Ionics,81,167(1995)
他〕、それらの中でもマンガンサイトをニッケルで置換
したスピネル型リチウムニッケルマンガン複合酸化物は
高容量の正極活物質として期待されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ようなスピネル型リチウムニッケルマンガン複合酸化物
は、放電曲線の平坦部が金属リチウム電位基準で4.5
V以上の作動電圧を示すが、4V以下の低電位領域にも
平坦部を有するため、4.5V以上の高電位領域での放
電容量が少なくなり、高電圧領域での放電容量が充分に
得られないという問題があった。
【0009】また、上記のような高電圧のスピネル型リ
チウムニッケルマンガン複合酸化物は、低電流密度では
高い放電容量が得られるが、電気自動車用途などのため
に大電流での急速放電を行うと容量減少が大きく、負荷
特性が劣るという問題もあることが判明した。
【0010】本発明は、上記のような従来技術の問題点
を解決し、放電曲線の平坦部が金属リチウム電位基準で
4.5V以上の作動電圧を示すという高い作動電圧を有
し、かつ4.5V以上の高電位領域での放電容量が大き
く、しかも負荷特性が優れた非水二次電池用正極活物質
および非水二次電池を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、非水二次電池
用正極活物質を、一般式LiNix y Mn2-x-y 4
(ただし、Mは少なくとも3価のFe、Coのいずれか
一方を含有する少なくとも1種の元素であり、x、y
は、2x+y≧1.00、0<y≦0.30である)で
表されるスピネル型リチウムニッケルマンガン複合酸化
物で構成することによって、上記課題を解決したもので
ある。
【0012】すなわち、上記一般式LiNix y Mn
2-x-y 4 で表されるスピネル型リチウムニッケルマン
ガン複合酸化物は、放電曲線の平坦部が金属リチウム電
位基準で4.5V以上の作動電圧を示し、かつ4.5V
以上の高電位領域での放電容量が大きく、しかも負荷特
性が優れた非水二次電池用正極活物質となり得る。
【0013】
【発明の実施の形態】つぎに、本発明者らが本発明を完
成するにいたった経過や、上記一般式LiNix y
2-x-y 4 で表されるスピネル型リチウムニッケルマ
ンガン複合酸化物の放電曲線の平坦部が金属リチウム電
位基準で4.5V以上の作動電圧を示し、かつ4.5V
以上の高電位領域での放電容量が大きく、しかも負荷特
性が優れた非水二次電池用正極活物質となり得る理由、
ならびに本発明の好ましい実施の形態について詳細に説
明する。
【0014】前記のように、マンガンサイトをニッケル
で置換したスピネル型リチウムニッケルマンガン複合酸
化物は、金属リチウム電位基準で4.5V以上の作動電
圧を示すものの、4.5V以上の高電位領域で放電でき
る容量が少なく、また、負荷特性も劣っているという問
題があった。これは上記スピネル型リチウムニッケルマ
ンガン複合酸化物の結晶内での電荷のバランスと結晶構
造の安定性の欠如に基因するものと考えられる。
【0015】すなわち、従来の無置換の4V級のスピネ
ル型リチウムマンガン酸化物(LiMn2 4 )は、そ
の構成比から明らかなように、Mn(マンガン)の平均
価数が3.5価であり、通常、3価のMnと4価のMn
とが等量混在している。しかしながら、実際に充放電に
関与するのは3価のMnだけであり、LiMn2 4
組成中の3価のMnが多くなるほど放電容量が大きくな
ることが明らかにされている。従って、低電位での放電
容量を増加させるためには3価のMnを多く含有させれ
ばよいが、3価のMnを結晶内に含有させると、4V以
下の低電位領域でも平坦部を生じることになる。この現
象は、Ni(ニッケル)を単に導入した場合も同様であ
り、マンガンサイトをNiで置換することにより、4.
5V以上の高電位領域で放電することが可能になるが、
結晶中の3価のMnの存在により4V以下の低電位領域
でも放電曲線の平坦部を生じることになる。
【0016】そこで、本発明者らは、上記Ni置換のス
ピネル型リチウムニッケルマンガン複合酸化物とは異な
る結晶構造および電荷状態とすべく、Niとともに結晶
中への固溶が容易な種々の置換元素について検討した結
果、3価のFe(鉄)またはCo(コバルト)で置換す
ることにより、4V以下の低電位領域での放電容量分を
4.5V以上の高電位領域に転換できることを見出し
た。つまり、3価のFeまたはCoを導入することによ
り、Mnが優先的に4価の状態をとるため、3価のMn
の割合を低減することができ、その結果、4V以下の低
電位領域での放電容量分を4.5V以上の高電位領域に
転換することができるようになるものと考えられる。
【0017】また、本発明者らは、FeまたはCoの置
換量およびその時のNiの置換量についても検討したと
ころ、上記FeまたはCo置換のスピネル型リチウムニ
ッケルマンガン複合酸化物を一般式LiNix y Mn
2-x-y 4 (ただし、Mは少なくとも3価のFe、Co
のいずれか一方を含有する少なくとも1種の遷移金属元
素)で表したとき、そのx、yが、2x+y=1.0
0、0<y≦0.30の範囲でのみ、4V以下の低電位
領域での放電容量を4.5V以上の高電位領域の放電容
量に転換することができることも見出した。NiとFe
またはCoの置換量が上記一般式LiNix y Mn
2-x-y 4 (ただし、Mは少なくとも3価のFe、Co
のいずれか一方を含有する少なくとも1種の元素であ
り、x、yは、2x+y≧1.00、0<y≦0.30
である)の範囲外になると、3価のMnを4価のMnと
するための置換量が不足し、また、Ni単独で置換した
場合には、NiO相が結晶内に生じ、電荷のバランスが
崩れてMnが3価になりやすく、4V以下の低電位領域
で平坦部を生じやすくなる。そのため、本発明では、N
iの置換量をx、FeまたはCoの置換量をyで表した
ときに、2x+y=1.00、0<y≦0.30の範囲
にすることにより、3価のMnの生成を抑制し、結晶中
に4価のMnの存在量を増加させ、4.5V以上の高電
位領域での放電容量を大きくしている。ただし、置換さ
れるMn量が増えると容量の減少が大きくなるために、
yは好ましくは0.1以上、0.2以下である。なお、
本発明にいう放電曲線の平坦部とは、0.2Cで放電し
た時の電位(V)を放電容量(C)で微分したdV/d
Cが−0.030以上の箇所を意味する。
【0018】つぎに、上記FeまたはCoで置換したス
ピネル型リチウムニッケルマンガン複合酸化物の結晶構
造の安定性について説明する。まず、従来のNiのみで
置換したLiNiMnO4 を4.5V以上の高電圧で充
電した場合、所定サイクル後に4.5V以上の高電圧で
の充電状態における結晶構造に格子定数の異なる2つの
立方晶相が存在することを確認した。このように高電圧
の充電状態での結晶構造に2相が存在するため、リチウ
ムイオンの脱離によって結晶の収縮が不均一になり、結
晶構造の安定性が低下し、結晶中のリチウムイオンの経
路を閉塞して負荷特性を低下させるものと考えられる。
これに対して、本発明では、NiとともにFeまたはC
oで置換したスピネル型リチウムニッケルマンガン複合
酸化物にすることにより、高電圧での充電時においても
結晶構造の分離を生ずることなく、高い結晶構造の安定
性を保持するので、リチウムイオンの挿入・脱離が均一
に起こり、優れた負荷特性を達成できる。つまり、本発
明の一般式LiNix yMn2-x-y 4 で表されるス
ピネル型リチウムニッケルマンガン複合酸化物は、4.
5V以上に充電した時の粉末X線回折による結晶構造が
ほぼ単一相であり、従って、高電圧での充電時において
も結晶構造の分離を生じることなく、それに基づいて、
優れた負荷特性を達成できる。
【0019】なお、前記粉末X線回折は、4.5V以上
まで充電する充放電を5サイクル行った後の充電状態で
端子間電圧を安定させ、アルゴン中で正極を取り出して
気密試料台を用いて粉末X線回折を行ったものである。
【0020】本発明の一般式LiNix y Mn2-x-y
4 で表されるスピネル型リチウムニッケルマンガン酸
化物の合成法としては、例えば、そのリチウム(Li)
源、マンガン(Mn)源、ニッケル(Ni)源および鉄
(Fe)源またはコバルト(Co)源となる化合物同士
を混合し、焼成する方法が採用される。
【0021】上記リチウム源としては、例えば、水酸化
リチウム・一水和物、硝酸リチウム、炭酸リチウム、酢
酸リチウム、臭化リチウム、塩化リチウム、クエン酸リ
チウム、フッ化リチウム、ヨウ化リチウム、乳酸リチウ
ム、シュウ酸リチウム、リン酸リチウム、ピルビン酸リ
チウム、硫酸リチウム、酸化リチウムなどが挙げられ、
それらの中でも炭酸リチウムが特に好ましい。また、マ
ンガン源としては、例えば、二酸化マンガン、炭酸マン
ガン、硝酸マンガンなどが挙げられ、それらの中でも二
酸化マンガンが特に好ましい。そして、ニッケル源とし
ては、例えば、硝酸ニッケル、酸化ニッケルなどが挙げ
られ、鉄源としては、例えば、酸化鉄、蓚酸鉄、水酸化
鉄などが挙げられ、コバルト源としては、例えば、炭酸
コバルト、水酸化コバルト、硝酸コバルトなどが挙げら
れる。
【0022】合成にあたっての焼成条件は、特に限定さ
れることはないが、750〜850℃で5〜15時間と
することが好ましい。また、焼成時の雰囲気も、特に限
定されることはないが、酸素ガス雰囲気中で行うことが
好ましい。つまり、酸素ガス雰囲気にすることにより、
反応の進行が容易になって、一般式LiNix y Mn
2-x-y 4 で表されるスピネル型リチウムニッケルマン
ガン酸化物を不純物の含有量が少ない状態で得ることが
できる。
【0023】また、酸素ガスの流量としては、0.1m
l/分以上にすることが好ましく、1ml/分以下がよ
り好ましい。ガス流量が少ない場合、つまり、ガス流速
が遅い場合には、スピネル構造への反応性に差異が生
じ、不純物が残存するおそれがある。また、3価のMn
の生成を抑制するためにも、焼成は2回行うことが好ま
しく、特に500〜700℃で仮焼してから、焼成を2
回行うのが好ましい。そして、焼成を2回行う場合、2
回目の焼成温度を1回目の焼成温度よりも高くすること
が好ましく、特に最初の焼成温度を750〜800℃に
し、2回目の焼成温度を800〜850℃にするのが好
ましい。
【0024】本発明の正極活物質は、一般式LiNix
y Mn2-x-y 4 で表されるスピネル型リチウムニッ
ケルマンガン複合酸化物で構成されるが、そのNix
y Mn2-x-y 部分を構成元素のみで示すと、NiFeM
n、NiCoMnのほか、3価のFeまたはCoの一部
を、Cu、Cr、Zn、Alなどの他の元素でさらに置
換することができる。そのような場合を例示すると、N
iFeCoMn、NiFeCuMn、NiCoCuM
n、NiFeZnMn、NiCoZnMn、NiFeC
oCuMn、NiFeCoZnMnなどが挙げられ、上
記置換元素の導入は、Fe、Coなどと同様に酸化物な
どの形態で、焼成にあたって添加すればよい。なお、上
記置換元素は、FeまたはCoの一部を置換する形態と
することが好ましく、その場合、置換量はFeまたはC
oとの合算量で本発明の範囲内とすればよく、また、マ
ンガンの価数変化を抑制するためにも3価の遷移金属元
素を導入することが好ましい。
【0025】本発明の非水二次電池を構成するにあた
り、正極は、例えば、上記一般式LiNix y Mn
2-x-y 4 で表されるスピネル型リチウムニッケルマン
ガン酸化物からなる正極活物質に、必要に応じて、例え
ば鱗片状黒鉛、アセチレンブラックなどのような電子伝
導助剤と、例えばポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフ
ルオロエチレンなどのバインダーを加えて混合し、得ら
れた正極合剤を溶剤に分散させて、正極合剤含有ペース
トを調製し(この場合、バインダーはあらかじめ有機溶
剤に溶解させておいてから正極活物質などと混合しても
よい)、得られた正極合剤含有ペーストをアルミニウム
箔などからなる導電性基体に塗布し、乾燥して導電性基
体に正極合剤層を形成し、必要に応じて加圧成形する工
程を経ることによって作製される。ただし、正極の作製
方法は、上記例示の方法に限られることなく、他の方法
によってもよい。上記正極合剤層についてさらに詳しく
説明すると、導電性基体に塗布した正極合剤含有ペース
ト中の溶剤などの揮発性成分は乾燥工程で蒸発し、導電
性基体に形成された正極合剤層は、一般式LiNix
y Mn2-x-y 4 で表されるスピネル型リチウムニッケ
ルマンガン酸化物からなる正極活物質と必要に応じて添
加されたバインダーや電子伝導助剤などとの混合物から
なる正極合剤で構成される。
【0026】上記正極と対向させる負極の活物質として
は、リチウムイオンをドープ・脱ドープできるものであ
ればよく、そのような負極活物質としては、例えば、黒
鉛、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素類、有機
高分子化合物の焼成体、メソカーボンマイクロビーズ、
炭素繊維、活性炭などの炭素系材料が挙げられる。ま
た、リチウムやリチウム含有化合物も負極活物質として
用いることができる。そのリチウム含有化合物としては
リチウム合金とそれ以外のものとがある。上記リチウム
合金としては、例えば、リチウム−アルミニウム、リチ
ウム−鉛、リチウム−インジウム、リチウム−ガリウ
ム、リチウム−インジウム−ガリウムなどが挙げられ
る。リチウム合金以外のリチウム含有化合物としては、
例えば、錫酸化物、珪素酸化物、ニッケル−珪素系合
金、マグネシウム−珪素系合金、タングステン酸化物、
リチウム鉄複合酸化物などが挙げられる。それらの負極
活物質のうち、黒鉛が容量密度が大きい点で特に好まし
い。なお、上記負極活物質には、その製造直後にリチウ
ムを含んでいないものもあるが、活物質として作用する
際には、リチウムを含んだ状態になる。
【0027】負極は、例えば、上記負極活物質に、必要
に応じて、正極の場合と同様のバインダーなどを加え、
混合して負極合剤を調製し、それを溶剤に分散させてペ
ーストにし(バインダーはあらかじめ溶剤に溶解させて
おいてから負極活物質などと混合してもよい)、得られ
た負極合剤含有ペーストを銅箔などからなる負極集電体
に塗布し、乾燥して、負極合剤層を形成し、必要に応じ
て加圧成形する工程を経ることによって作製される。た
だし、負極の作製方法は、上記例示の方法に限られるこ
となく、他の方法によってもよい。上記負極合剤層につ
いてもさらに詳しく説明すると、負極集電体に塗布した
負極合剤含有ペースト中の溶剤などの揮発性成分は乾燥
工程で蒸発し、導電性基体上に形成された負極合剤層
は、負極活物質と必要に応じて添加されたバインダーな
どとの混合物からなる負極合剤で構成される。
【0028】本発明において正極や負極の作製にあたっ
て使用するバインダーとしては、例えば、ポリフッ化ビ
ニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアクリル
酸、スチレンブタジエンゴムなどが挙げられる。また、
正極の作製にあたって使用する電子伝導助剤としては、
例えば、黒鉛、グラファイト、アセチレンブラック、カ
ーボンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維のほ
か、金属粉末、金属繊維などが挙げられる。
【0029】また、正極や負極の作製にあたって使用す
る集電体としては、例えば、アルミニウム、銅、ステン
レス鋼、ニッケル、チタンまたはそれらの合金などから
なる箔、パンチドメタル、エキスパンドメタル、網など
が挙げられるが、正極の集電体としては特にアルミニウ
ム箔が好ましく、負極の集電体としては特に銅箔が好ま
しい。
【0030】本発明の非水二次電池において、非水電解
質としては、通常、非水系の液状電解質(以下、これを
「電解液」という)が用いられる。そして、その電解液
としては有機溶媒などの非水溶媒にリチウム塩などの電
解質塩を溶解させた非水溶媒系の電解液が用いられる。
【0031】上記電解液の調製にあたって用いる非水溶
媒としては、特に限定されるものではないが、鎖状エス
テルを主溶媒として用いることが適している。そのよう
な鎖状エステルとしては、例えば、ジメチルカーボネー
ト、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネー
ト、酢酸エチル、プロピオン酸メチルなどの鎖状のCO
O−結合を有する有機溶媒が挙げられる。この鎖状エス
テルが電解液の主溶媒であるということは、これらの鎖
状エステルが全電解液溶媒中の50体積%より多い体積
を占めることを意味しており、特に鎖状エステルが全電
解液溶媒中の65体積%以上を占めることが好ましい。
【0032】電解液の溶媒として、この鎖状エステルを
主溶媒にすることが好ましいとしているのは、鎖状エス
テルが全電解液溶媒中の50体積%を超えることによっ
て、電池特性、特に低温特性が改善されるからである。
【0033】ただし、電池容量の向上を図るためには、
電解液溶媒を上記鎖状エステルのみで構成するよりも、
電解液溶媒として、上記鎖状エステルに誘電率の高いエ
ステル(誘電率30以上のエステル)を混合して用いる
ことが好ましい。そのような誘電率の高いエステルが全
電解液溶媒中で10体積%以上になると容量の向上が明
確に発現するようになり、誘電率の高いエステルが全電
解液溶媒中で20体積%以上になると容量の向上がより
一層明確に発現するようになる。ただし、誘電率の高い
エステルの全電解液溶媒中で占める体積が多くなりすぎ
ると、電池の放電特性が低下する傾向があるので、誘電
率の高いエステルの全電解液溶媒中で占める量として
は、上記のように好ましくは10体積%以上、より好ま
しくは20体積%以上の範囲内で、40体積%以下が好
ましい。
【0034】上記誘電率の高いエステルとしては、例え
ば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、
ブチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、エチレン
グリコールサルファイトなどが挙げられ、特にエチレン
カーボネート、プロピレンカーボネートなどの環状構造
のものが好ましく、とりわけ環状のカーボネートが好ま
しく、具体的にはエチレンカーボネートが最も好まし
い。
【0035】また、上記誘電率の高いエステル以外に併
用可能な溶媒としては、例えば、1,2−ジメトキシエ
タン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2
−メチル−テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルなど
が挙げられる。そのほか、アミン系またはイミド系有機
溶媒や、含イオウ系または含フッ素系有機溶媒なども用
いることができる。
【0036】上記電解液の調製にあたって非水溶媒に溶
解させるリチウム塩などの電解質塩としては、例えば、
LiPF6 、LiCF3 SO3 、LiC4 9 SO3
LiCF3 CO2 、Li2 2 4 (SO3 2 、Li
N(CF3 SO2 2 、LiC(CF3 SO2 3 、L
iC4 2n+1SO3 (n≧2)などが単独でまたは2種
以上混合して用いられる。特にLiPF6 やLiC4
9 SO3 などは電気伝導度が高く、充放電特性が良好な
ことから好ましい。このリチウム塩などの電解質塩の電
解液中の濃度は、特に限定されるものではないが、電解
液中に0.3〜1.7mol/l、特に0.4〜1.5
mol/l程度が好ましい。
【0037】また、本発明においては、上記電解液以外
に、ゲル状ポリマー電解質や固体電解質なども用いるこ
とができる。上記ゲル状ポリマー電解質は、上記電解液
をゲル化剤によってゲル化したものに相当するが、その
ゲル化にあたっては、例えば、ポリフッ化ビニリデン、
ポリエチレンオキサイド、ポリアクリロニトリルなどの
直鎖状ポリマーまたはそれらのコポリマー、紫外線や電
子線などの活性光線の照射によりポリマー化する多官能
モノマー(例えば、ペンタエリスリトールテトラアクリ
レート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレー
ト、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレー
ト、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレ
ート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートなど
の四官能以上のアクリレートおよび上記アクリレートと
同様の四官能以上のメタクリレートなど)などが用いら
れる。ただし、モノマーの場合、モノマーそのものが電
解液をゲル化するのではなく、上記モノマーをポリマー
化したポリマーがゲル化剤として作用する。
【0038】上記のように多官能モノマーを用いて電解
液をゲル化させる場合、必要であれば、重合開始剤とし
て、例えば、ベンゾイル類、ベンゾインアルキルエーテ
ル類、ベンゾフェノン類、ベンゾイルフェニルフォスフ
ィンオキサイド類、アセトフェノン類、チオキサントン
類、アントラキノン類などを使用することができ、さら
に重合開始剤の増感剤としてアルキルアミン類、アミノ
エステルなども用いることもできる。
【0039】そして、固体電解質としては、無機系固体
電解質、有機系固体電解質のいずれも用いることができ
る。
【0040】本発明において、セパレータとしては、例
えば、微孔性樹脂フィルム、不織布などが好適に用いら
れる。上記微孔性樹脂フィルムとしては、例えば、微孔
性ポリエチレンフィルム、微孔性ポリプロピレンフィル
ム、微孔性エチレン−プロピレンコポリマーフィルムな
どが挙げられる。また、上記不織布としては、例えば、
ポリプロピレン不織布、ポリエチレン不織布、ポリエチ
レンテレフタレート不織布、ポリブチレンテレフタレー
ト不織布などが挙げられる。
【0041】本発明の非水二次電池において、電解質と
して電解液を用いる場合は、セパレータとしては上記例
示の微孔性樹脂フィルムや不織布などを通常の状態で用
いるが、ゲル状ポリマー電解質を用いる場合、そのゲル
状ポリマー電解質の支持体として用いている不織布など
にセパレータとしての役割を兼ねさせてもよい。さら
に、電解質として固体電解質を用いる場合には、その固
体電解質にセパレータの役割を兼ねさせてもよい。
【0042】また、電解質として電解液を用いる場合、
電池組立にあたって、電解液は電池ケース内に電極群を
挿入した後に該電池ケース内に注入されるが、ゲル状ポ
リマー電解質を用いる場合は、あらかじめ電極や支持体
にゲル状ポリマー電解質を保持させておいてもよい。
【0043】
【実施例】以下に本発明の実施例に関して説明する。た
だし、本発明はそれらの実施例のみに限定されるもので
はない。
【0044】実施例1〜2 リチウム源として炭酸リチウムを用い、マンガン源とし
て二酸化マンガンを用い、ニッケル源として水酸化ニッ
ケルを用い、鉄源として酸化鉄を用い、それらの粉末を
それぞれ所定量秤量し、エタノールを溶媒として、遊星
型ボールミルで混合した。エタノールを除去して得られ
た混合粉末を空気中600〜650℃で12時間仮焼し
た後、酸素気流中750〜800℃で12時間焼成し、
さらに800〜850℃で12時間焼成した。得られた
焼成物を粉砕して後記の表1に示す組成で鉄を構成元素
として含有するスピネル型リチウムニッケルマンガン複
合酸化物を得た。得られた実施例1〜2のスピネル型リ
チウムマンガン複合酸化物の組成をICP発光分析法に
より分析し、秤量組成通りに合成できていることを確認
した。
【0045】また、上記リチウムニッケルマンガン複合
酸化物を粉末X線回折により分析したところ、スピネル
構造に固有の回折線が観察されたことから、得られたリ
チウムニッケルマンガン複合酸化物はスピネル構造のリ
チウムニッケルマンガン複合酸化物であることが確認さ
れたが、わずかにNiO相に基因するピークも観察され
た。
【0046】実施例3 実施例1のスピネル型リチウムニッケルマンガン複合酸
化物の合成において、酸化鉄の代わりにコバルト源とし
て水酸化コバルトを所定量用いた以外は、実施例1と同
様にして、後記の表1に示す組成でコバルトを構成元素
として含有するスピネル型リチウムニッケルマンガン複
合酸化物を得た。
【0047】得られたリチウムニッケルマンガン複合酸
化物をX線回折により分析したところ、スピネル構造に
固有の回折線が観察されたことから、得られたリチウム
ニッケルマンガン複合酸化物はスピネル構造のリチウム
ニッケルマンガン複合酸化物であることが確認された
が、わずかにNiO相に基因するピークも観察された。
【0048】比較例1 実施例1のスピネル型リチウムニッケルマンガン複合酸
化物の合成において、酸化鉄添加をやめ、その酸化鉄の
添加量に相当する分、二酸化マンガンを増量した以外
は、実施例1と同様にして、後記の表1に示す組成のス
ピネル型リチウムニッケルマンガン複合酸化物を得た。
【0049】得られたリチウムニッケルマンガン複合酸
化物を粉末X線回折により分析したところ、スピネル構
造に固有の回折線が観察され、得られたリチウムマンガ
ン複合酸化物はスピネル構造のリチウムマンガン複合酸
化物であることが確認されたが、わずかにNiO相に基
因するピークも観察された。
【0050】比較例2 実施例1のスピネル型リチウムニッケルマンガン複合酸
化物の合成において、水酸化ニッケルと酸化鉄の量を減
量した以外は、実施例1とほぼ同様にして、後記の表1
に示す組成のスピネル型リチウムニッケルマンガン複合
酸化物を得た。
【0051】得られたリチウムニッケルマンガン複合酸
化物を粉末X線回折により分析したところ、スピネル構
造に固有の回折線が観察されたことから、得られたリチ
ウムニッケルマンガン複合酸化物はスピネル構造のリチ
ウムニッケルマンガン複合酸化物であることが認められ
たが、わずかにNiO相に基因するピークも観察され
た。
【0052】以上のようにして得られた各スピネル型リ
チウムニッケルマンガン複合酸化物を用いて、モデルセ
ルを作製し、その放電特性および負荷特性を測定し、か
つそのスピネル型リチウムニッケルマンガン複合酸化物
のサイクル後の充電時の結晶構造を調べた。
【0053】上記モデルセルの作製にあたって正極は、
上記各実施例および比較例で製造されたスピネル型リチ
ウムニッケルマンガン複合酸化物をそれぞれ87重量
部、黒鉛を8.7重量部およびポリフッ化ビニリデンを
4.3重量部計り取り、N−メチル−2−ピロリドンを
加えて充分に混合してペースト状にし、得られた正極合
剤含有ペーストをアルミニウム箔からなる正極集電体に
塗布し、乾燥して正極合剤層を形成した後、所定厚みに
プレス機で加圧成形し、ペレット状に作製した。
【0054】上記のように作製したペレット状正極を作
用極とし、対極および参照極にリチウム箔を用い、Li
PF6 をジメチルカーボネートとエチレンカーボネート
との体積比2:1の混合溶媒に1.0mol/lの濃度
に溶解させた非水電解質溶液を電解液とし、モデルセル
を作製して、その特性評価を行った。
【0055】放電特性は、各モデルセルを5.1Vまで
0.2Cの定電流充電し、その後、0.2Cの定電流で
放電を行い、3.5Vを放電終止電圧として、初期放電
容量を測定した。この初期放電容量測定時の放電曲線を
図1に示す。図1中、曲線aは実施例1の放電曲線を示
し、曲線bは実施例2の放電曲線を示し、曲線cは実施
例3の放電曲線を示し、曲線dは比較例1の放電曲線を
示し、曲線eは比較例2の放電曲線を示す。ただし、比
較例1と比較例2はほぼ同一の放電曲線になったため、
図1では同じ放電曲線で示している。
【0056】図1に示す放電曲線から明らかなように、
ニッケルのみで置換した比較例1のスピネル型リチウム
マンガン複合酸化物やNi、Feで置換していても組成
比が本発明の範囲外である比較例2のスピネル型リチウ
ムマンガン複合酸化物は、4.5V以上の高電位領域に
も平坦部を有するが、4V以下の低電位領域にも平坦部
を有し、高電圧領域の放電容量が小さくなっていること
がわかる。これは、マンガンの一部を置換する際に結晶
内での電荷のバランスが崩れ、3価のマンガンが結晶中
に含まれたためと考えられる。これに対し、本発明のニ
ッケルとともに少なくとも3価のFeまたはCoで置換
した実施例1〜3のスピネル型リチウムニッケルマンガ
ン複合酸化物は、4V以下の低電位領域に平坦部がな
く、4.5V以上の高電位領域が増加していることがわ
かる。これは、3価のFeまたはCoを特定量のみ導入
することにより、FeまたはCoが優先的に3価をとる
ことで3価のMnの生成を低減でき、3価のMnに基因
する低電位領域の放電容量分が高電位領域に転換された
ためであると考えられる。
【0057】つぎに、上記各モデルセルについて負荷特
性を評価した。つまり、負荷特性は、上記と同様に0.
2Cで充電した後、2Cで放電し、その2C放電時の放
電容量を測定し、0.2C放電時の放電容量(前記の初
期放電容量と同じ)に対する比〔(2C放電時の放電容
量/0.2C放電時の放電容量)×100〕を求め、そ
れによって評価した。その結果を表1に正極活物質とし
てのスピネル型リチウムニッケルマンガン複合酸化物の
組成とともに示す。
【0058】
【表1】
【0059】表1に示す結果から明らかなように、実施
例1〜3のスピネル型リチウムニッケルマンガン複合酸
化物は、FeまたはCoの少なくとも1種を置換元素と
して結晶中に含有しているため、結晶の安定性が向上
し、負荷特性が優れた正極活物質であることがわかる。
これに対して、Niのみで置換した比較例1のスピネル
型リチウムニッケルマンガン複合酸化物では、図1の初
期放電曲線に示すように、低電流密度ではある程度の放
電容量が得られるが、高電流密度においては低電流密度
時の放電容量の20%程度の容量しか得られず、負荷特
性が劣っていた。また、比較例2のスピネル型リチウム
ニッケルマンガン複合酸化物も、組成比が本発明の範囲
外であるため、結晶の安定性が低く、負荷特性が劣って
いた。
【0060】つぎに、上記負荷特性に及ぼす結晶構造の
安定性を調べるため、実施例1、実施例3、比較例1お
よび比較例2のモデルセルに使用したスピネル型リチウ
ムニッケルマンガン複合酸化物の充電時の結晶構造を粉
末X線回折により調べた。すなわち、各モデルセルを上
記初期放電容量の測定条件で5サイクル充放電を行った
後、0.5Cで5.1Vまで充電した状態で端子間電圧
を安定させ、アルゴン中に正極を取り出して気密試料台
を用い、CuKα線、50kV、200mAで粉末X線
回折を行った。その結果を、図2に示す。
【0061】図2中の比較例1の回折図からわかるよう
に、比較例1のスピネル型リチウムニッケルマンガン複
合酸化物は、ニッケルで置換しただけであるため、サイ
クル後に5.1Vまで充電した状態では回折線の各ピー
クが2つに***し、格子定数が異なる2つの立方晶相が
共存していた。また、比較例2のスピネル型リチウムニ
ッケルマンガン複合酸化物は、比較例1のスピネル型リ
チウムニッケルマンガン複合酸化物ほどには完全に2相
に分離しないものの、若干2相が共存していることがわ
かる。これに対して、NiとともにFeで置換した実施
例1のスピネル型リチウムニッケルマンガン複合酸化物
やNiとともにCoで置換した実施例3のスピネル型リ
チウムニッケルマンガン複合酸化物は、図2に示すよう
に、単一相のみの結晶構造となっており、2相分離が抑
制されていることがわかる。また、実施例1のスピネル
型リチウムニッケルマンガン複合酸化物や実施例3のス
ピネル型リチウムニッケルマンガン複合酸化物では、充
電前の格子体積と上記充電後の格子体積を比較すると、
格子体積が5%以上減少していることも確認された。こ
れらの結果から、特定量の3価のFeまたはCoで置換
することにより、Li(リチウム)イオンの脱離時にお
ける構造変化に対する安定性が高まり、Liイオンの挿
入脱離反応が均一に起こるようになり、Liイオン経路
の閉塞を抑制することができ、Liイオン経路が確保さ
れることによって、負荷特性が向上するようになるもの
と考えられる。
【0062】
【発明の効果】以上説明したように、本発明では、放電
曲線の平坦部が金属リチウム電位基準で4.5V以上と
いう高電圧の作動電圧を示し、かつ4.5V以上の高電
位領域での放電容量が大きく、しかも負荷特性が優れた
非水二次電池用正極活物質および非水二次電池を提供す
ることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1〜3および比較例1〜2の初期放電曲
線を示す図である。
【図2】実施例1、実施例2、比較例1および比較例2
のスピネル型リチウムニッケルマンガン複合酸化物の充
放電5サイクル後に5.1Vまで充電した状態で測定し
た粉末X線回折図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 上田 篤司 大阪府茨木市丑寅一丁目1番88号 日立マ クセル株式会社内 (72)発明者 葛西 昌弘 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所内 (72)発明者 山木 孝博 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所内 (72)発明者 青山 茂夫 大阪府茨木市丑寅一丁目1番88号 日立マ クセル株式会社内 Fターム(参考) 5H029 AJ03 AK03 AL07 AL12 AM03 AM04 AM05 AM07 DJ16 DJ17 HJ02 HJ18 5H050 AA08 BA17 CA08 CB07 CB08 CB12 EA09 EA10 EA24 FA17 FA19 HA02 HA18

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式LiNix y Mn2-x-y
    4 (ただし、Mは少なくとも3価のFe、Coのいずれ
    か一方を含有する少なくとも1種の元素であり、x、y
    は、2x+y≧1.00、0<y≦0.30である)で
    表されるスピネル型リチウムニッケルマンガン複合酸化
    物からなることを特徴とする非水二次電池用正極活物
    質。
  2. 【請求項2】 放電曲線の平坦部が金属リチウム電位基
    準で4.5V以上の作動電圧を示すことを特徴とする請
    求項1記載の非水二次電池用正極活物質。
  3. 【請求項3】 4.5V以上に充電した時の粉末X線回
    折による結晶構造が単一相であることを特徴とする請求
    項1記載の非水二次電池用正極活物質。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の非水二
    次電池用正極活物質を用いたことを特徴とする非水二次
    電池。
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