JP2002029742A - 希土類金属酸化物粉末及びその製造方法 - Google Patents

希土類金属酸化物粉末及びその製造方法

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oxide powder
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Shinichi Kakita
進一 柿田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】緻密な焼結体を与える希土類金属酸化物粉末を
提供する。 【解決手段】平均粒径10〜200nmの範囲内にある
一次粒子からなる鱗片状二次粒子により構成されること
を特徴とする希土類金属酸化物粉末、及びそれを製造す
る方法に係る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な希土類金属
酸化物粉末及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】酸化イットリウムに代表されるイットリウ
ム、スカンジウム、ランタニド系の希土類酸化物粉末
は、各種のセラミックスの原料として多用されている。
特に、酸化物系ファインセラミックスにおいては、主成
分として使用されるほか、焼結安定剤、焼結促進剤等の
助剤又は添加剤として使用されたり、あるいは各反応過
程における触媒として使用されており、その重要性は近
年ますます高まりつつある。
【0003】これに対し、希土類金属酸化物粉末の焼結
は非常に困難と言われている。例えば、佃 (窯業協会
誌、84[12]585(1976))又は Greskovich (Ceramics Bull
etin:American Ceramics Society, 52[2]473(1973))に
よって報告されているように、イットリア(Y23)を
比較的高密度で焼結させるためには約2200℃で長時
間焼結させることが必要とされている。また、 Dutta
(Mat.Res.Bull., 4, 791(1969))らの報告では、ホット
プレス法による強制的な緻密化が必要とされている。こ
れらの技術では、焼結条件、焼結方法等を改良するもの
であるが、これらを改良しても希土類酸化物粉末の焼結
性を改善するのには限界がある。
【0004】希土類金属酸化物粉末を主成分として焼結
体を作製する際に求められる特性の中で最も重要なもの
は焼結性である。Herring のスケール則(守吉他「セラ
ミックスの焼結」内田老鶴圃)等で示されているとお
り、粉末を構成している一次粒子の粒径を小さくするこ
とは個々の粉末が焼結する際の拡散距離を短くでき、粉
末の焼結特性を飛躍的に向上できる。
【0005】ところが、焼結性を向上させるということ
は、一次粒子の表面エネルギーが著しく高くなることを
意味する。すなわち、微粒子化するほど粒子間の静電引
力(物理的結合)等の作用が強くなって焼結特性を向上
させる反面、一次粒子の凝集力を強めることになり、粉
砕困難な二次粒子を形成しやすくなる。結局は、粉砕が
完全に行われない限りは焼結性を向上させることは困難
である。
【0006】一般的にセラミックスの原料粉末を製造す
る場合は、溶液中でシュウ酸塩、水酸化物等の中間体を
形成し、この中間体を仮焼することによって目的とする
原料を得る。この中間体の母体として一次粒子が形成さ
れるが、一次粒子サイズは非常に微細なものであり、仮
焼途中で個々の一次粒子間の焼結が進行することによっ
て非常に強固なネック形成(粒子どうしが何らかの拡散
機構により化学結合を形成)がされると物理的結合の場
合より粉砕がさらに困難となる。強固な一次粒子の凝集
が生じたとき、これを粉砕するためにホットミル等の処
理時間の長い粉砕方法を適用したり、アトライター又は
振動ミルのような破砕性能の高い装置を使用しなければ
ならなくなる。また、これらによって粉砕を試みたとし
ても、凝集状態によってはある一定粒度までしか破砕が
進行しないことがある。最近、斎藤らの報告 (J.Am.Cer
am.Soc.,81[8]2023(1998))によれば、炭酸イットリウム
を中間体とし、これらの中間体を700〜1100℃に
仮焼し、得られた酸化イットリウム粉末を焼結すること
によって比較的緻密な透光性焼結体が作製されたとされ
ている。ところが、この報告の中の仮焼粉末の電子顕微
鏡写真では、一次粒子が強固なネックを形成しており、
これはさらなる焼結性改善の必要性を示唆している。
【0007】実用化段階にある希土類酸化物粉末の製法
としては、例えばイットリウムの無機酸溶液とアンモニ
ア水(又は苛性ソーダ水)を反応させて水酸化イットリ
ウムを沈殿させる方法がある。しかしながら、この沈殿
物は非晶質のゲル状沈殿物を形成しやすい。このゲル状
沈殿物はろ過性が悪いため、生産性が低く、さらに純水
洗浄による不純物除去が困難である。また、このゲル状
沈殿物では、その粒子形態、粒径等の制御が困難であ
る。
【0008】イットリウムの無機酸溶液と蓚酸とを反応
させて蓚酸イットリウムを沈殿させ、この沈殿物を仮焼
してY23粉末を得る方法がある。しかしながら、この
方法では、仮焼後の酸化物がフロック状の粗大かつ硬い
凝集粒子を形成しており、粉砕することが困難である。
また、イットリウム無機酸塩としてYCl3が一般的に
使用されているため、沈殿中に塩素が残存しやすく、仮
焼の際に塩化水素ガスが発生しやすいため、装置腐食や
環境対策を講じる必要もある。
【0009】イットリウムの無機酸溶液から蓚酸アンモ
ニウムの複塩を沈殿させる方法がある(例えば、特開平
5−279022号、特開平5−279023号、特開
昭55−28905号等)。しかしながら、これらの方
法では、沈殿形成前に蓚酸とアンモニアとを予め反応さ
せておく必要があり、そのプロセスが煩雑である。ま
た、これにより得られる粉末も焼結性等の点において改
善の余地がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、従来技
術では、粉砕性、分散性、焼結性等のいずれかに問題が
あるため、緻密な希土類金属酸化物の焼結体を工業的規
模で提供することが困難ないしは不可能であるというの
が実情である。
【0011】従って、本発明の主たる目的は、これら従
来技術の問題を解消し、緻密な焼結体を与える希土類金
属酸化物粉末を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者は、これら従来
技術の問題に鑑み、鋭意研究を重ねた結果、特定の性状
を有する希土類酸化物粉末が上記目的を達成できること
を見出し、ついに本発明を完成するに至った。
【0013】すなわち、本発明は、下記の希土類金属酸
化物粉末及びその製造方法に係るものである。
【0014】1.平均粒径10〜200nmの範囲内に
ある一次粒子からなる鱗片状二次粒子により構成される
ことを特徴とする希土類金属酸化物粉末。
【0015】2.希土類金属塩の水溶液中にアルカリ水
溶液を添加することにより中間体を生成させた後、当該
中間体を600〜1000℃で仮焼する方法であって、
(1)当該水溶液の温度が0〜50℃であり、(2)ア
ルカリ水溶液の添加速度を当該希土類金属の酸化物1モ
ル当たり2〜30モル/分とすることにより、上記第1
項に記載の希土類金属酸化物粉末を製造する方法。
【0016】
【発明の実施の形態】1.希土類金属酸化物粉末 本発明の希土類金属酸化物粉末は、平均粒径10〜20
0nmの範囲内にある一次粒子からなる鱗片状二次粒子
により構成されることを特徴とする。
【0017】本発明粉末における希土類金属としては特
に限定されず、スカンジウム、イットリウムのほか、ラ
ンタニド系列(ランタン、セリウム、プラセオジム、ネ
オジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガ
ドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウ
ム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム及びルテチ
ウム)が挙げられる。
【0018】一次粒子の平均粒径は通常10〜200n
m程度、好ましくは15〜170nmとする。平均粒径
が10nm未満である場合又は200nmを超える場合
は、焼結性等が低下するおそれがあるので好ましくな
い。
【0019】本発明粉末は、上記一次粒子からなる鱗片
状(フレーク状)二次粒子により構成される。この二次
粒子のアスペクト比は通常1を超えるものであれば良い
が、好ましくは3〜100程度、特に5〜90とすれば
良い。本発明粉末のアスペクト比は、例えば合成時にお
けるアルカリ水溶液の添加速度(滴下速度)、溶液温
度、溶液濃度等により制御することができる。
【0020】本発明粉末では、二次粒子が、実質的に一
次粒子が単層状に配列することにより構成されているこ
とが好ましい。このような二次粒子は、特に優れた粉砕
性を発揮することができる。本発明の効果を妨げない範
囲内において、一次粒子が単層状に配列することにより
構成されている二次粒子以外の二次粒子が含まれていて
も良い。例えば、部分的に一次粒子が二層になっている
二次粒子、全体的に二層以上になっている二次粒子等が
含まれていても良い。
【0021】二次粒子の平均粒径は特に限定されない
が、通常は50〜20000nm程度、好ましくは50
〜15000nmとすれば良い。また、二次粒子の平均
厚さも上記アスペクト比を満たす限り特に限定されない
が、通常は10〜200nm程度、好ましくは15〜1
70nmとすれば良い。なお、本発明における平均厚さ
に関し、一次粒子が単層状で配列して構成していると想
定し、一次粒子の平均粒径をもって上記二次粒子の平均
厚さとする。
【0022】本発明粉末のBET比表面積は特に限定的
でなく、最終製品の用途等に応じて適宜設定すれば良
い。通常は2〜50m2/g程度、好ましくは15〜3
5m2/gとすれば良い。このような範囲にBET比表
面積を設定することによって、より粉砕しやすい粉末と
することができる。2.希土類金属酸化物粉末の製造方法 本発明粉末の製造方法は、希土類金属塩の水溶液中にア
ルカリ水溶液を添加することにより中間体を生成させた
後、当該中間体を600〜1000℃で仮焼する方法で
あって、(1)当該水溶液の温度が0〜50℃であり、
(2)アルカリ水溶液の添加速度を当該希土類金属の酸
化物1モル当たり2〜30モル/分とすることにより、
上記1の希土類金属酸化物粉末を製造するものである。
【0023】希土類金属塩としては、水可溶性塩であれ
ば特に限定されない。例えば、希土類金属の硝酸塩、硫
酸塩、塩化物等の無機酸塩、あるいは希土類金属の酢酸
塩、シュウ酸塩等の有機酸塩等を使用することができ
る。これらは単独で又は2種以上で使用することができ
る。例えば、希土類金属がイットリアであればYC
3、Y(NO33、Y(CH3COO)3等の塩類を用
いることができる。
【0024】希土類金属塩の水溶液の濃度は、用いる希
土類金属塩の種類等に応じて適宜設定すれば良いが、通
常は酸化物換算で0.02〜0.3モル/リットル程
度、好ましくは0.03〜0.2モル/リットルとすれ
ば良い。
【0025】次いで、上記水溶液にアルカリ水溶液を添
加する。添加方法は、例えば滴下により実施すれば良
い。アルカリの種類は特に限定されず、例えば水酸化ナ
トリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、アン
モニア水(NH4OH)等が挙げられる。本発明では、
アルカリ水溶液の添加速度を当該希土類金属の酸化物1
モル当たり2〜30モル/分程度、好ましくは10〜2
0モル/分とする。
【0026】アルカリ水溶液の総添加量は、希土類金属
塩の水溶液中に含まれる希土類金属の当量又はそれ以上
となるようにすれば良い。すなわち、希土類金属塩の水
溶液を中和すれば良い。
【0027】本発明方法において、アルカリ水溶液を添
加する場合における希土類金属塩の水溶液の温度は、通
常0〜70℃程度、好ましくは10〜35℃の範囲内に
制御する。上記温度が0℃未満の場合又は70℃を超え
る場合は、粉砕性等が低下し、粉砕しにくい粉末が生成
されるおそれがある。
【0028】アルカリ水溶液の添加は、その添加が完了
した後における希土類金属塩の水溶液のpHが、通常
7.5〜9.5程度の範囲、特に8〜8.5の範囲を維
持できるようにすることが好ましい。
【0029】アルカリ水溶液の添加により中間体が沈殿
物として生成する。一般に、中間体は鱗片状粒子からな
る粉末(粒子)により構成されている。例えば希土類金
属がイットリウムの場合は、鱗片状の結晶性水酸化イッ
トリウム、塩基性炭酸イットリウム等の粒子が沈殿物と
して生成する。
【0030】生成した中間体は、ろ過、遠心分離等の公
知の固液分離方法により回収した後、必要に応じて水洗
しても良い。その後、必要に応じて乾燥処理を行うこと
もできる。乾燥方法は自然乾燥及び強制乾燥(加熱乾
燥)のいずれでも良く、強制乾燥の場合は通常50〜1
50℃程度で加熱すれば良い。
【0031】次に、上記中間体を600〜1000℃
(好ましくは600〜950℃)で仮焼する。仮焼温度
が600℃未満の場合は残留揮発成分が残留したり、焼
結密度が上がらなくなるおそれがある。また1000℃
を超える場合は鱗片状二次粒子内部の一次粒子間の結合
が非常に強くなって粉砕性が低下するおそれがある。仮
焼雰囲気は特に限定されないが、通常は大気中又は酸化
性雰囲気中とすれば良い。仮焼時間は特に制限されず、
仮焼温度等に応じて適宜決定すれば良い。
【0032】本発明粉末を用いて焼結体等を製造する場
合は、例えば本発明の希土類金属酸化物粉末を含む原料
粉末を成形し、焼結すれば良い。本発明粉末を主原料と
して得られた焼結体のほか、副原料(例えば、焼結助
剤、ZrO2用安定化剤、Al合金用強化材等の添加
剤)として使用して得られた焼結体も本発明焼結体に包
含される。
【0033】本発明では、成形に先立って必要により予
め粉砕することもできる。粉砕方法は公知の方法に従え
ば良く、例えばボールミル、振動ミル等を使用すること
ができる。粉砕後の平均粒径は、最終製品の使用目的等
に応じて適宜設定すれば良いが、通常は0.01〜0.
5μm程度とすれば良い。本発明粉末は、容易に粉砕す
ることができる。
【0034】成形方法は、例えばプレス成形、CIP
法、ドクターブレード法等の公知の成形方法を適宜採用
することができる。この場合、本発明の効果を妨げない
範囲内で原料粉末に公知の樹脂系バインダー、焼結助剤
等を適宜配合しても良い。
【0035】上記成形体の焼結は、大気中又は酸化性雰
囲気中(好ましくは純酸素雰囲気中)で通常1600〜
1750℃程度で実施すれば良い。仮焼時間は焼結温度
等に応じて適宜設定することができる。また、本発明で
は、必要に応じてホットプレス法により成形と焼結を同
時に実施しても良い。このようにして得られた本発明の
焼結体は高い相対密度を有し、通常は1650℃で3時
間焼成後の相対密度が99%以上、好ましくは99.5
%以上という高い値を示す。
【0036】
【発明の効果】本発明によれば、分散性、反応性、粉砕
性及び焼結性に優れた希土類金属酸化物粉末を提供する
ことができる。これにより、単成分系又は複合系の高密
度焼結体を比較的低い焼結温度で製造することが可能と
なる。その結果、単成分系及び複合系希土類酸化物セラ
ミックスを工業的規模で生産することが可能となる。
【0037】また、本発明粉末は容易に粉砕できること
から、非酸化物系セラミックスの焼結助剤、粉末冶金の
粒成長抑制剤等の添加剤として使用する場合には、使用
量が少量で済むだけでなく、それらの添加による悪影響
もないため、従来品を用いる場合よりも優れた特性を付
与することができる。
【0038】このように、本発明粉末は、焼結体の主原
料として使用できるほか、副原料として使用することが
できる。
【0039】本発明粉末を主原料として得られる焼結体
としては、例えばY23焼結体等の単独酸化物焼結体の
ほか、Y−Sc系酸化物焼結体、YIG焼結体、YAG
焼結体等のイットリウムを含むガーネット系、ペロブス
カイト系等の焼結体等が挙げられる。これらの焼結体
は、特に透光性材料、耐プラズマ・耐ハロゲン材料等と
して好適に使用できる。例えば透光性材料として赤外線
透過窓、レーザー発振子、放電灯発光管、蛍光体等の用
途、耐プラズマ・耐ハロゲン材料として金属溶融ルツ
ボ、プラズマエッチング半導体製造装置用内壁材・窓材
(監視窓)等の用途にそれぞれ有利である。そのほか、
超高温炉心管、水素焼結炉等の絶縁碍子等として使用す
ることも可能である。また、本発明粉末を主原料として
使用する場合、触媒等としてLaMnO3粉末、LaC
eO3粉末等をそのまま使用することもできる。
【0040】また、本発明粉末を副原料として使用する
場合、例えば1)Si34、SiC、AlN等の非酸化
物系焼結体の焼結助剤又は粉末冶金における焼結助剤、
2)ジルコニア焼結体等の安定化剤、着色剤、3)アル
ミニウム系合金等における強度増加剤、粒成長抑制剤等
の各種添加剤として使用できる。本発明粉末を添加剤と
して使用して得られた焼結体は、例えば上記1)では構
造材料、耐熱材料、絶縁材料等の用途、上記2)では酸
素イオン導電性セラミックス(固体電解質燃料電池、酸
素センサー等)、構造材料(光ファイバー用フェルール
カッター、粉砕メディア等)、上記3)では構造材料等
に有利である。
【0041】本発明の希土類金属酸化物粉末は、これら
の用途に限られず、その他の電気・電子材料、医療材
料、構造材料等への応用に期待できる。
【0042】
【実施例】以下、実施例及び比較例を示し、本発明の特
徴とするところをより一層明確にする。但し、本発明の
範囲は、これら実施例に限定されるものではない。
【0043】実施例1 (1)粉末の合成 まず酸化イットリウム換算で0.03モル/リットルの
Y(NO33水溶液(50リットル)中に0.8モル/
リットルのNH4OH水溶液を添加して沈殿を形成させ
た。このときのNH4OH水溶液の添加速度は、酸化イ
ットリウム1モル当たり18モル/分とした。NH4
H水溶液の添加完了後のpHは8.3であった。また、
NH4OH水溶液の添加中の溶液温度は18〜20℃と
なるように調節した。
【0044】得られた鱗片状中間体は、フィルタープレ
スによりろ過し、純水による洗浄を5回繰り返した。洗
浄された中間体は、100℃に加熱して付着水分を除去
した後、さらに630℃で5時間仮焼することによって
粉末を得た。
【0045】次いで、容量2リットルのポットミルに上
記粉末300g、直径5mmのZrO2製ボール1.2
kg及びエチルアルコール0.8リットルを加え、3時
間粉砕処理を行った。その後、エチルアルコールを蒸発
させ、乾燥した粉砕粉末を得た。得られた粉末を直径3
0mm、高さ10mmのタブレット形状に金型成形し、
さらに98MPaの成形圧でCIP(冷間等方圧プレ
ス)を行い、成形体を得た。この成形体を純酸素雰囲気
にて1650℃で3時間の焼結を行うことにより焼結体
を得た。
【0046】表1には、上記粉末及び焼結体の特性を示
す。なお、表1中に示す各特性は以下のようにして測定
・算出した。 (1)粉末の一次粒子径及び二次粒子径(粉砕前) FE−SEM(電界放射走査型電子顕微鏡)により観察
し、任意に選んだ100個の粒子の粒径の平均値を示
す。 (2)アスペクト比 粒子の平均粒径を平均厚さで除した値を示す。 (3)比表面積 BET法により測定した値を示す。 (4)粉砕前及び粉砕後の平均粒子径 X線透過法により測定した値を示す。 (5)焼結後の相対密度 Y23の理論密度(5.03g/cm3)に対する相対
密度(%)を示す。
【0047】
【表1】
【0048】実施例2〜9 NH4OH水溶液の添加速度及び仮焼温度を表1に示す
ように変更したほかは実施例1と同様にして粉末及び焼
結体を製造した。各粉末及び焼結体について実施例1と
同様にその物性を測定した。その結果を表1に示す。
【0049】また、実施例9の粉末についてFE−SE
Mによる観察を行った。そのイメージを図1に示す。図
1からも明らかなように、本発明粉末は鱗片状の二次粒
子から構成されていることがわかる。また、一次粒子が
単層状で配列することにより二次粒子が構成されている
こともわかる。
【0050】比較例1〜6 NH4OH水溶液の添加速度及び仮焼温度を変更するこ
とにより、得られる粉末の一次粒子径及び二次粒子径が
表2に示すようにしたほかは実施例1と同様にして粉末
及び焼結体を製造した。各粉末及び焼結体について実施
例1と同様にその物性を測定した。その結果を表2に示
す。
【0051】
【表2】
【0052】表1及び表2の対比からも明らかなよう
に、比較例の粉末は粉砕性が低く、低い相対密度の焼結
体しか得られないことがかわる。これに対し、本発明品
は粉砕性に優れ、焼結後の相対密度99%以上を確実に
達成できることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例9で製造された粉末(二次粒子)の粒子
構造を示すイメージ図である。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】平均粒径10〜200nmの範囲内にある
    一次粒子からなる鱗片状二次粒子により構成されること
    を特徴とする希土類金属酸化物粉末。
  2. 【請求項2】鱗片状二次粒子のアスペクト比が5〜10
    0である請求項1記載の希土類金属酸化物粉末。
  3. 【請求項3】BET比表面積が2〜50m2/gである
    請求項1又は2に記載の希土類金属酸化物粉末。
  4. 【請求項4】二次粒子の平均粒径50〜20000μm
    及び平均厚さ10〜200μmである請求項1〜3のい
    ずれかに記載の希土類金属酸化物粉末。
  5. 【請求項5】二次粒子が、実質的に一次粒子が単層状に
    配列することにより構成されている請求項1〜4のいず
    れかに記載の希土類金属酸化物粉末。
  6. 【請求項6】請求項1〜5のいずれかに記載の希土類金
    属酸化物粉末を含む原料粉末を成形し、焼成して得られ
    た焼結体。
  7. 【請求項7】希土類金属塩の水溶液中にアルカリ水溶液
    を添加することにより中間体を生成させた後、当該中間
    体を600〜1000℃で仮焼する方法であって、
    (1)当該水溶液の温度が0〜50℃であり、(2)ア
    ルカリ水溶液の添加速度を当該希土類金属の酸化物1モ
    ル当たり2〜30モル/分とすることにより、請求項1
    〜5のいずれかに記載の希土類金属酸化物粉末を製造す
    る方法。
  8. 【請求項8】希土類金属塩の水溶液の濃度が当該希土類
    金属の酸化物換算で0.02〜0.3モル/リットルで
    ある請求項7記載の製造方法。
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Cited By (12)

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