JP2002017394A - 乳酸発酵によるアントシアニン色素の抽出法 - Google Patents

乳酸発酵によるアントシアニン色素の抽出法

Info

Publication number
JP2002017394A
JP2002017394A JP2000200604A JP2000200604A JP2002017394A JP 2002017394 A JP2002017394 A JP 2002017394A JP 2000200604 A JP2000200604 A JP 2000200604A JP 2000200604 A JP2000200604 A JP 2000200604A JP 2002017394 A JP2002017394 A JP 2002017394A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
lactic acid
anthocyanin pigment
extracting
anthocyanin
fermentation
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000200604A
Other languages
English (en)
Inventor
Akio Tsukui
亜紀夫 津久井
Ryujiro Shiina
隆次郎 椎名
Tetsuyoshi Wada
哲義 和田
Kazuya Hayashi
一也 林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NICHINOU KAGAKU KOGYO KK
Wada Sugar Refining Co Ltd
Original Assignee
NICHINOU KAGAKU KOGYO KK
Wada Sugar Refining Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NICHINOU KAGAKU KOGYO KK, Wada Sugar Refining Co Ltd filed Critical NICHINOU KAGAKU KOGYO KK
Priority to JP2000200604A priority Critical patent/JP2002017394A/ja
Publication of JP2002017394A publication Critical patent/JP2002017394A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 アントシアニン色素を抽出した後の残渣も再
利用することができる乳酸発酵によるアントシアニン色
素の抽出法を提供する。 【解決手段】 アントシアニン色素を含む植物原料を乳
酸菌により乳酸発酵させ、培養させた乳酸菌の代謝産物
である乳酸の抽出作用によりアントシアニン色素を含有
する有色の発酵液を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アントシアニン色
素を抽出した後の残渣も再利用することができる乳酸発
酵によるアントシアニン色素の抽出法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般的にアントシアニン色素を含有する
植物原料からアントシアニン色素を抽出し、色素製剤を
製造する場合、抽出に0.5%程度の硫酸を用いる方法
が知られている。この方法に用いられる硫酸は、食品に
利用可能な鉱酸(無機酸)として価格的に優れている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記方
法では、アントシアニン色素を抽出した後の残渣にも硫
酸が残存するため、利用分野がほとんどなく、産業廃棄
物として廃棄されているのが現状である。
【0004】また、例えば第2884499号特許公報
には、アントシアニン色素を有するいも類に限定された
方法ではあるが、ギ酸を抽出溶媒として用いた方法が開
示され、色素抽出後の残渣を家畜飼料として再利用でき
ることが記載されている。さらに残渣の利用などを考慮
してクエン酸のような有機酸が用いられている場合もあ
るが、これらは価格が高く、製品への利用は困難であ
る。そこで、本発明者らは、比較的低コストにアントシ
アニン色素を抽出することができ、さらにアントシアニ
ン色素を抽出した後の残渣も幅広い用途に利用すること
ができる方法を提案することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記に鑑み提
案されたもので、アントシアニン色素を含む植物原料を
乳酸菌により乳酸発酵させ、培養させた乳酸菌の代謝産
物である乳酸の作用(固液抽出)によりアントシアニン
色素を含有する有色の発酵液を得ることを特徴とする乳
酸発酵によるアントシアニン色素の抽出法を提案するも
のである。
【0006】本発明に適用されるアントシアニン色素を
含む植物原料は、前記第2884499号特許公報に記
載される従来の方法のようにいも類に限定されるもので
はなく、アントシアニン色素を含有するものであれば、
特にその植物原料の種類、部位等について限定するもの
ではない。また、植物原料中に乳酸発酵に必要な糖類を
含むものが望ましいが、必要であればショ糖等を添加し
て乳酸発酵させればよい。そして、植物原料からアント
シアニン色素を抽出した後の残渣を、食品として利用す
る場合には、食品原料として適した植物原料を予め選択
して用いればよいし、飼料又は肥料として利用する場合
も同様に、それぞれに適した植物原料を選択すればよ
い。
【0007】
【発明の実施の形態】前記本発明のアントシアニン色素
の抽出法について、以下により詳細に説明する。まず、
アントシアニン色素を含む植物原料を収穫後、良く水洗
する。その際、70%エタノール若しくは1%次亜塩素
酸溶液に漬けて殺菌すればさらに効果がある。次に、植
物原料を裁断し、2〜4倍量程度の加水をする。このと
きの加水量は裁断した植物原料が完全に浸る程度であれ
ば十分である。また、その際、加水する水は、必ずしも
滅菌水ではなくても良く、水道水を用いても問題はな
い。この溶液中に、前記加水量に対して2〜5%の塩化
ナトリウム(食塩)を添加する。この塩化ナトリウム
(食塩)は、スターターとして添加する乳酸菌を効率良
く増殖させ、雑菌の繁殖を防ぎ、腐敗を防止する作用も
果たす。さらに、塩化ナトリウム(食塩)は、植物原料
中のポリフェノールオキシダーゼの活性を抑え、変色を
防止する作用も果たす。
【0008】その後、食塩水中の植物原料の裁断物に、
乳酸菌スターターを添加する。この乳酸菌スターターの
添加量は、植物原料に対して0.2〜5.0%程度が良
好であるが、0.1%程度でも抽出時間が長くなるもの
の問題はない。また、抽出時間を短縮化するために、添
加量を増やすようにしても良い。乳酸菌スターターは、
マザーカルチャー(マザースターター)を用いて培養調
製したバルクスターターを培養液に添加する。この場
合、洗浄菌体或いは凍結乾燥菌体でも良い。凍結乾燥菌
体を用いる場合には、0.001〜0.05%程度の添
加量でよい。発酵温度は15〜35℃であるが、アント
シアニン色素の分解を防ぐためには20〜27℃で発酵
させることが望ましい。これは温度によるアントシアニ
ン色素の熱分解と乳酸菌の生産するβ-glucosidaseによ
るアントシアニン色素の酵素分解を防ぐことを目的とす
る。さらにより確実にこれらの熱分解及び酵素分解を抑
えるためには15〜20℃程度の乳酸菌の生育最低温度
に近いところで培養するのがよいが、この場合培養日数
が伸びる。また、添加する乳酸菌は、通常のLactobacil
lusでよいが、中でも植物発酵物に多いLactobacillus p
lantrumを用いると生育等良好な結果を示す。
【0009】このように本発明のアントシアニン色素の
抽出法は、アントシアニン色素を含有する植物原料を乳
酸菌により乳酸発酵を行い、培養させた乳酸菌の代謝産
物である乳酸の作用(固液抽出)により、アントシアニ
ン色素を含有する橙〜赤紫色の発酵液を得ることができ
る。発酵液からのアントシアニン色素の分離精製(液液
抽出)は公知の手段にて行えば良い。
【0010】
【実施例】[実施例1;赤キャベツ原料よりアントシア
ニン色素を抽出する方法]赤キャベツ原料を70%エタ
ノール或いは1%次亜塩素酸溶液に浸漬して殺菌した
後、各葉を剥ぎ、試料に対して4倍量の加水、食塩2
%、ショ糖2%を添加した。この調製液に対して0.1
%乳酸菌スターター(L.plantrum)を0.85%生理食
塩水で菌体洗浄を行った後に添加し、アントシアニン色
素の分解を極力抑えるために27℃で培養した。赤キャ
ベツ組織よりのアントシアニン色素の溶出(固液抽出)
は、上記温度における培養では18時間培養時程度から
観察され、90時間培養後には大部分のアントシアニン
色素の溶出(固液抽出)が行われた。90時間培養後に
得られる有色の発酵液の液量は加水量と同量程度であ
り、pHは3.6で、乳酸%は1%であった。また、こ
の発酵液からのアントシアニン色素の分離精製(液液抽
出)は、メタクリル酸エステル系樹脂やスチレン−ジビ
ニルベンゼン系樹脂のような合成吸着樹脂を用いた常法
(定法)のカラム分離操作に準じて行うことができた。
こうして乳酸発酵により抽出されたアントシアニン色素
の性状は、図1,2に示すように高速液体クロマトグラ
フィー(HPLC)分析より、通常の酸添加抽出法とあ
まり差がないことが確認された。また、1%乳酸による
抽出と比較して乳酸発酵法による抽出率は7〜9割であ
った。
【0011】[実施例2;アントシアニン色素含有馬鈴
薯よりアントシアニン色素を抽出する方法]アントシア
ニン色素含有馬鈴薯を収穫後、4℃程度の低温条件下で
2〜4ヶ月貯蔵し、低温貯蔵により塊茎中の還元糖、シ
ョ糖などの乳酸菌が利用可能な糖を増加させる。この
時、処理液に1〜2%程度のショ糖を添加する場合はこ
の作業は必要がない。そして、塊茎を70%エタノール
或いは1%次亜塩素酸溶液に浸漬して殺菌した後、裁断
し、2倍量程度の加水をした。この溶液中に、加水量に
対して5%の食塩を添加した。この調製液に1.0%乳
酸菌スターターを添加し、アントシアニン色素の分解を
抑えるために27℃で培養した。馬鈴薯塊茎組織よりの
アントシアニン色素の溶出(固液抽出)は、上記温度に
おける培養では18時間培養時程度から観察され、90
時間培養後には大部分のアントシアニン色素の溶出(固
液抽出)が行われた。90時間培養後に得られる有色の
発酵液のpHは3.7で、乳酸量は約1%であった。ま
た、この発酵液からのアントシアニン色素の分離精製
(液液抽出)は、常法(定法)に準じて行うことができ
た。こうして乳酸発酵により抽出されたアントシアニン
色素の性状が、通常の酸添加抽出法とあまり差がないこ
とを、前記実施例1と同様に高速液体クロマトグラフィ
ー(HPLC)分析により確認した。また、1%乳酸に
よる抽出と比較して乳酸発酵法による抽出率は6〜8割
であった。
【0012】以上本発明の実施例を示したが、本発明は
前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲
に記載の構成を変更しない限りどのようにでも実施する
ことができる。
【0013】
【発明の効果】以上説明したように本発明の赤キャベツ
やアントシアニン色素を含有する馬鈴薯などの植物原料
から鉱酸を添加することなくアントシアニン色素を抽出
することができ、その残渣を食品、飼料、或いは肥料等
として利用することができる。さらに、産業廃棄物とし
て排出されるものの量が軽減し、環境に対して配慮した
ものといえる。また、本発明のアントシアニン色素の抽
出法は、特殊な設備やクエン酸のような高価な薬品を使
用するものではなく、低コストで、実用的価値が高いも
のである。
【図面の簡単な説明】
【図1】酸添加抽出法(1%乳酸)により抽出された赤
キャベツアントシアニン色素の高速液体クロマトグラフ
ィー(HPLC)の分析チャートである。
【図2】本発明における乳酸発酵により抽出された赤キ
ャベツアントシアニン色素の高速液体クロマトグラフィ
ー(HPLC)の分析チャートである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 椎名 隆次郎 千葉県千葉市花見川区幕張本郷2−17−28 (72)発明者 和田 哲義 東京都中央区佃2−1−1−605 (72)発明者 林 一也 東京都北区田端5−5−16 Fターム(参考) 4B064 AF41 CA02 CC03 CD02 CD22 DA16 4B065 AA30Y AC14 BB03 BB14 BB26

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アントシアニン色素を含む植物原料を乳
    酸菌により乳酸発酵させ、生じる乳酸の作用によりアン
    トシアニン色素を含有する有色の発酵液を得ることを特
    徴とする乳酸発酵によるアントシアニン色素の抽出法。
  2. 【請求項2】 植物原料を塩化ナトリウム水溶液中に浸
    漬した状態で乳酸菌を添加することを特徴とする請求項
    1に記載の乳酸発酵によるアントシアニン色素の抽出
    法。
JP2000200604A 2000-07-03 2000-07-03 乳酸発酵によるアントシアニン色素の抽出法 Pending JP2002017394A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000200604A JP2002017394A (ja) 2000-07-03 2000-07-03 乳酸発酵によるアントシアニン色素の抽出法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000200604A JP2002017394A (ja) 2000-07-03 2000-07-03 乳酸発酵によるアントシアニン色素の抽出法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002017394A true JP2002017394A (ja) 2002-01-22

Family

ID=18698449

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000200604A Pending JP2002017394A (ja) 2000-07-03 2000-07-03 乳酸発酵によるアントシアニン色素の抽出法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002017394A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008043299A (ja) * 2006-08-21 2008-02-28 Soken Kk 古代米を原料とした飲食品
JP2012095623A (ja) * 2010-11-05 2012-05-24 Fujiko Omoto 色素抽出方法、着色塩の製造方法および色素
CN102827894A (zh) * 2012-08-10 2012-12-19 上海交通大学 一种从萝卜发酵液中分离花色苷色素和乳酸的方法
JP2018029569A (ja) * 2016-08-26 2018-03-01 アサマ化成株式会社 生果実ピューレの風味と保存安定性を有する加工果実ピューレの製造方法
CN109251108A (zh) * 2018-11-28 2019-01-22 廖艺 一种植物营养液及其制备和施用方法
CN111138401A (zh) * 2019-12-31 2020-05-12 华南协同创新研究院 一种从荔枝皮中制备低聚原花青素的方法

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008043299A (ja) * 2006-08-21 2008-02-28 Soken Kk 古代米を原料とした飲食品
JP4759472B2 (ja) * 2006-08-21 2011-08-31 株式会社創研 古代米を原料とした飲食品
JP2012095623A (ja) * 2010-11-05 2012-05-24 Fujiko Omoto 色素抽出方法、着色塩の製造方法および色素
CN102827894A (zh) * 2012-08-10 2012-12-19 上海交通大学 一种从萝卜发酵液中分离花色苷色素和乳酸的方法
CN102827894B (zh) * 2012-08-10 2014-02-19 上海交通大学 一种从萝卜发酵液中分离花色苷色素和乳酸的方法
JP2018029569A (ja) * 2016-08-26 2018-03-01 アサマ化成株式会社 生果実ピューレの風味と保存安定性を有する加工果実ピューレの製造方法
CN109251108A (zh) * 2018-11-28 2019-01-22 廖艺 一种植物营养液及其制备和施用方法
CN109251108B (zh) * 2018-11-28 2021-07-09 廖艺 一种植物营养液及其制备和施用方法
CN111138401A (zh) * 2019-12-31 2020-05-12 华南协同创新研究院 一种从荔枝皮中制备低聚原花青素的方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Behera Citric acid from Aspergillus niger: a comprehensive overview
Sawant et al. Fungal citric acid production using waste materials: a mini-review
CN101579132B (zh) 一种从虾头和虾壳中提取蛋白质和甲壳素的方法
CN102599587A (zh) 一种用芒果的皮和肉制作芒果原汁的方法
CN101129203A (zh) 一种鱼提取液及鱼肉膏的生产方法
CN101962666A (zh) 一种利用甲壳废弃物制备甲壳素、l-乳酸钙和复合氨基酸或肽的方法
JP2002017394A (ja) 乳酸発酵によるアントシアニン色素の抽出法
CN109504573B (zh) 一种用果蔬垃圾制备的洗涤液组合物及其制备方法
Stasiak et al. Acetic acid bacteria-perspectives of application in biotechnology-a review
JP6213756B1 (ja) プラセンタエキスの製造方法、プラセンタエキス含有粉体の製造方法および加工食品の製造方法
CN101984854A (zh) 一种利用低值海鱼生产纯天然味精的方法
CN107259540A (zh) 诺丽果旱性酵素
JPS63213501A (ja) ペクチンの製造法
CN106834006A (zh) 一种苹果酒及其制备方法
KR20010007764A (ko) 매실-키토산 균일 액상 조성물
KR20150095331A (ko) 천연 녹 제거제의 제조방법
KR100267484B1 (ko) 무화과를 이용한 양조식초의 제조방법
CN109810864B (zh) 虾酒的制造方法
KR101994959B1 (ko) 밀크시슬 식초의 제조방법
CN112826082A (zh) 一种香菇酵素的制备方法
JP7424701B1 (ja) 土壌改良材、土壌改良材の製造方法および堆肥
US3123538A (en) Method for cultivating
US3150983A (en) Process for the production of seasonings from mushrooms with cellulase produced by microorganisms and the resulting product
JPS60118174A (ja) 変質防止法
JP2005058004A (ja) 農作物の乳酸発酵のための前処理方法および乳酸製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20040203