JP2002013081A - ゴム物品補強用スチールフィラメント及びゴム物品補強用スチールコード - Google Patents

ゴム物品補強用スチールフィラメント及びゴム物品補強用スチールコード

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JP2002013081A
JP2002013081A JP2000196766A JP2000196766A JP2002013081A JP 2002013081 A JP2002013081 A JP 2002013081A JP 2000196766 A JP2000196766 A JP 2000196766A JP 2000196766 A JP2000196766 A JP 2000196766A JP 2002013081 A JP2002013081 A JP 2002013081A
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adhesion
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    • D07ROPES; CABLES OTHER THAN ELECTRIC
    • D07BROPES OR CABLES IN GENERAL
    • D07B1/00Constructional features of ropes or cables
    • D07B1/06Ropes or cables built-up from metal wires, e.g. of section wires around a hemp core
    • D07B1/0606Reinforcing cords for rubber or plastic articles
    • D07B1/0666Reinforcing cords for rubber or plastic articles the wires being characterised by an anti-corrosive or adhesion promoting coating
    • DTEXTILES; PAPER
    • D07ROPES; CABLES OTHER THAN ELECTRIC
    • D07BROPES OR CABLES IN GENERAL
    • D07B2205/00Rope or cable materials
    • D07B2205/30Inorganic materials
    • D07B2205/3021Metals
    • D07B2205/3085Alloys, i.e. non ferrous
    • D07B2205/3089Brass, i.e. copper (Cu) and zinc (Zn) alloys

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  • Electroplating Methods And Accessories (AREA)
  • Ropes Or Cables (AREA)
  • Tires In General (AREA)
  • Wire Processing (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来スチールコードの被覆ゴム組成物に添加
されていた接着促進剤を減少もしくは無添加とした場合
にあっても、スチールコードと被覆ゴムとの間に優れた
接着性を付与するための方途を、スチールコードを構成
するフィラメントに施すブラスめっきにおいて確立す
る。 【解決手段】 フィラメントの周面に 表面の銅濃度が
15〜45アトミック%のブラスめっきを施したゴム物
品補強用スチールフィラメントにおいて、該ブラスめっ
きの表面からフィラメント半径方向内側に15nmの深
さまでの表層領域に、Co及びNiのいずれか少なくと
も1種を含有させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、空気入りタイヤ
や工業用ベルト等のゴム物品の補強材として使用される
スチールフィラメント及びスチールコード、特にゴムと
の接着性に優れたスチールフィラメント及びスチールコ
ードに関するものである。
【0002】
【従来の技術】ゴム物品の典型例である空気入りラジア
ルタイヤでは、そのベルトやカーカスに、ブラスめっき
が施されたスチールフィラメントの複数本を撚り合わせ
て成る、又はスチールフィラメントの単線から成るスチ
ールコードをゴムで被覆したものを適用し、主にスチー
ルコードによる補強をはかっている。そして、スチール
コードをタイヤの補強材として活用するには、該スチー
ルコードを被覆するゴムと確実に接着する必要があり、
そのためにスチールコードを構成するフィラメントの周
面にはブラスめっきが施されている。
【0003】このブラスめっきに関しては、ゴムとの接
着性を確保するために、ブラスにおける銅と亜鉛の割合
やめっき厚を適正化すること等が検討され、これらに関
する一定の知見が確立している。
【0004】かような知見に基づいて適正化された、ブ
ラスめっきをスチールコードを構成するフィラメントに
施すことによって、ゴムとの接着性は改善されるが、そ
れでもなお、接着相手であるゴムに対して種々の条件が
要求されている。例えば、タイヤを一定の時間内に加硫
成形するには、コードとゴムとの接着速さやそれらの完
全な結合により充分な接着力を確保することが求められ
る。すなわち、いわゆる初期接着性が要求されるため、
ゴム中に接着促進剤としてCo塩やNi塩を相当の割合
で添加したり、硫黄を高い比率で配合すること等が必要
となる。
【0005】ところが、このように添加された硫黄を含
む接着促進剤は、接着反応を促進するのに有効である
が、未加硫ゴムから接着促進剤の滲み出し、いわゆる薬
品ブルームが生じるために、例えばタイヤの成形工程に
おいて未加硫ゴムシートを貼り合わせる際の作業性が低
下する共に、未加硫ゴムシートとその周辺ゴムとの密着
性や接着性が阻害され、さらに加硫ゴムにおいては接着
促進剤の残渣がゴム分子の切断反応、すなわち加硫戻り
を引き起こし、タイヤの耐久性を低下させる原因にもな
っている。
【0006】このような問題の発生を防止する観点か
ら、スチールコードと接着する被覆ゴム中の接着促進剤
を減少させることを所期して、接着促進剤の種類、特に
Co塩やNi塩の酸の種類を変更することや、被覆ゴム
とコードとの間に接着促進剤(コバルト金属塩)を薄膜
として存在させることによって接着促進剤を含まないゴ
ム組成物とコードとの接着性を改善する、試みがなされ
ている。後者の技術としては、例えば特開平10−32
4753号公報に開示されている。
【0007】ちなみに、この接着促進剤、中でもコバル
ト金属塩などの接着促進剤が高価であるため、被覆ゴム
中の接着促進剤を減少させることは、上記のタイヤ性能
の向上に加えて、ゴムの配合コストを低減するのにも有
利であり、省資源の観点からも重要なことである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
接着促進剤の種類を変更することは、部分的な最適化を
施すことにすぎなく、コバルト含量は基本的に同一にせ
ざるを得ないため、結果として、初期接着性を改良すれ
ば耐久接着性が低下したりブルーム性が低下したりす
る、二律背反をまぬがれない。
【0009】一方、特開平10−324753号公報に
開示の被覆ゴムとコードとの間に接着促進剤を薄膜とし
て存在させる手法は、確かに被覆ゴムにおけるCoの配
合を省略することが可能であるが、接着反応以前に逆に
被覆ゴム中に拡散するCo割合が多くなるため、数十μ
m程度の厚さの接着促進剤を含む薄膜を設ける必要があ
り、Coの削減効果が十分であるとはいえないことか
ら、さらなる改善が望まれていた。
【0010】以上のように、ブラスめっきを施したフィ
ラメントによるスチールコードと被覆ゴムとの接着に関
しては、その初期接着性に優れることが要求されること
は勿論、タイヤが使用中に劣化環境に置かれた際に、コ
ード及びゴム接着界面を含むゴム材の劣化を起因とする
故障が発生しないこと、さらにタイヤ製造工程での作業
性や配合コストの抑制など、様々な要求を考慮しなくて
はならない。
【0011】そこで、この発明は、従来スチールコード
の被覆ゴム組成物に添加されていた接着促進剤を減少も
しくは無添加とした場合にあっても、スチールコードと
被覆ゴムとの間に優れた接着性を付与するための方途
を、スチールコードを構成するフィラメントに施すブラ
スめっきにおいて確立することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】発明者らは、上記の課題
を解決するために、ブラスめっきとゴムとの接着反応を
支配する因子について鋭意究明したところ、ブラスめっ
きの表層領域、つまり酸化亜鉛リッチのブラス層にCo
またはNiを適宜含ませることが、接着促進剤を減量も
しくは無添加とした被覆ゴムとの間に、極めて良好な接
着を確保するのに有効であることを見出した。
【0013】さらに、上記知見を前提にして、ブラスめ
っきの基本組成を同じにしてフィラメントに施しためっ
きの極表層の組成を制御して実験を行った結果、ゴム加
硫後の耐熱及び耐湿接着性などの接着耐久性とは独立
に、ゴム加硫時の初期接着性の改善が可能であることを
見出した。すなわち、接着耐久性が基本的にはめっきの
バルク組成に依存するのに対して、初期接着性はめっき
表層、具体的にはめっき表面におけるCu含有量と、表
面から半径方向内側に15nmの深さまでの表層領域に
おける、めっき表面におけるCu含有量と、Cuの拡散
を促進させるCoまたはNiの存在及びその含有量とに
よって支配されることを明らかにし、この発明を完成し
たのである。
【0014】この発明の要旨構成は、次のとおりであ
る。 (1) フィラメントの周面に、表面の銅濃度が15〜45
アトミック%のブラスめっきを施したゴム物品補強用ス
チールフィラメントにおいて、該ブラスめっきの表面か
らフィラメント半径方向内側に15nmの深さまでの表
層領域に、Co及びNiのいずれか少なくとも1種を含
有することを特徴とするゴム物品補強用スチールフィラ
メント。
【0015】(2) 上記(1) において、表層領域に含有さ
れるCo及びNiのいずれか1種または2種の合計が
0.1アトミック%以上かつ表層領域のCu含有量以下
であることを特徴とするゴム物品補強用スチールフィラ
メント。
【0016】(3) 上記(1) において、表層領域に含有さ
れるCo及びNiのいずれか1種または2種の合計が
0.5〜5.0アトミック%であることを特徴とするゴ
ム物品補強用スチールフィラメント。
【0017】(4) 上記(1) ないし(3) のいずれかにおい
て、表層領域に含有されるCo及びNiの総量の50ア
トミック%以上が、酸化物に含まれないCo及び/また
はNiであることを特徴とするゴム物品補強用スチール
フィラメント。
【0018】(5) 上記(1) ないし(4) のいずれかにおい
て、ブラスめっきの平均厚みが0.13〜0.30μm
であることを特徴とするゴム物品補強用スチールフィラ
メント。
【0019】(6) 上記(1) ないし(5) のいずれかにおい
て、フィラメント直径が0.40mm以下であることを
特徴とするゴム物品補強用スチールフィラメント。
【0020】(7) 上記(1) ないし(6) のいずれかに記載
のスチールフィラメントの複数本を撚り合わせて成るこ
とを特徴とするゴム物品補強用スチールコード。
【0021】
【発明の実施の形態】さて、発明者らは、フィラメント
の周面に施したブラスめっきについて、めっき表面から
その深さ方向における成分組成と初期接着性との関係を
明らかにするため、通常使用しているブラスめっきフィ
ラメントへCoイオン注入を行って、接着促進剤を減量
もしくは無添加とした被覆ゴムとの接着性を検討した。
すなわち、イオンプランテーションの技術を用いて、イ
オン注入時間とブラスめっき表面のCo含有量との関
係、及び例えば図1に示すイオン化率とCo含有量の深
さ方向分布との関係を、予め把握して、めっき表層のC
o含有量を種々に制御し、初期接着性との関係を調査し
た。
【0022】その結果、めっき表面から15nmの深さ
までCoを含有させることが、初期接着性の改善に最も
有効であることを新たに見出し、この発明を完成するに
至ったのである。すなわち、めっき表面から深さ方向に
Co含有領域を拡げて、その領域の拡大過程の種々の段
階において、初期接着性を評価したところ、Co含有領
域を深さ方向に拡げるほど、初期接着性は改善される
が、15nmをこえる深さにまでCo含有領域を拡げて
も、それ以上に初期接着性が改善されることはなく、そ
の効果が15nmの深さを境に飽和することが、判明し
た。
【0023】一方、めっき表面のみのCo含有量を増加
して同様に初期接着性を評価したところ、一定の深さま
でCoが拡散されていなければ、初期接着性の改善効果
は小さく、実際にコバルト金属塩を減量もしくは無添加
とした被覆ゴムとの初期接着性が確保されるレベルにな
いことも判明した。
【0024】さらに、めっき表面から15nmの深さま
での表層領域におけるCo含有量について検討したとこ
ろ、その含有量が0.1アトミック%未満では上記の初
期接着性の改善効果に乏しく、一方表層領域のCu含有
量をこえると初期接着性の改善効果が飽和するため、
0.1アトミック%以上表層領域のCu含有量以下の範
囲とすることが好ましい。より好ましくは、0.5〜
5.0アトミック%の範囲とすることが推奨される。
【0025】なお、めっき表面から15nmの深さまで
の表層領域に限定してCoを含有させる際、イオン注入
を用いると、先に図1に例示したように、Coの含有は
めっき表面から深さ方向に漸減する濃度勾配を示すこと
になる。この場合、上記の表層領域におけるCo含有量
とは、後述する通り、X線光電子分光(XPS)法を用
いて図3のようなデプスプロファイルを作成し、表層領
域全体のCu、Zn、Coの全アトミック量に対するC
oアトミック%量を算出して得る。これは、Niの場合
も同様である。
【0026】ここで、めっき表面から15nmの深さま
での表層領域にCoを含有させることによって初期接着
性が改善するのは、Coがめっき表面から15nmの深
さまで拡散して初めて、加硫接着時におけるめっき内部
のCuの有効な拡散を実現させることができるからであ
る。また、この深さをこえる領域にCoがめっき中に拡
散していたとしても、その効果は飽和することが明らか
であり、Coの増加によるコスト増をまねくことにな
る。上記の知見は、Coの場合に限らず、Niの場合も
同様であった。
【0027】以上、めっき表面から深さ方向にCoを含
有させるに当りイオン注入技術を用いたが、ブラスめっ
きの表層領域にCoまたはNiを入れ込む、他の方法を
検討したところ、ブラスめっきを施したフィラメント
を、例えば水1l当たりに水100重量部に対して5〜
10重量部のコバルト金属塩と適度な界面活性剤とを分
散させたコロイドに浸して乾燥させる工程を繰り返した
後に、150℃〜250℃の温度で熱処理を施すことに
よっても、Coを15nm深さのめっき内部まで拡散さ
せることができた。その際、コードを液に浸す回数、乾
燥回数及び熱拡散回数のいずれか少なくとも1つを制御
することによって、表層のコバルト含有量を調整可能で
ある。かように製造したフィラメントのめっき深さ方向
において、Cu、Zn及びCoの光電子分光分析を用い
て元素定量した結果の一例を、Co含有量について図2
に示す。
【0028】同様に、スチールコードを製造する際、そ
のフィラメントの伸線工程において、潤滑剤中に接着促
進剤であるCoやNiの金属塩を適量添加し、伸線時の
発熱を利用してCoやNiを15nmのめっき内部まで
拡散させることも可能である。
【0029】次に、めっき表面における、Cu含有量に
ついて鋭意検討した。すなわち、めっきの基本組成は、
初期接着性に加えて、ゴム加硫後の耐熱及び耐湿接着性
などの接着耐久性を考慮する必要があり、接着耐久性の
観点から、最表面におけるCu含有量を45アトミック
%以下、好ましくは40アトミック%以下に制限する必
要がある。一方、初期接着性を確保するには一定量以上
のCuの含有が必要であり、Cu含有量を15アトミッ
ク%以上、好ましくは25アトミック%以上とする。
【0030】ちなみに、この発明に従ってめっき基本組
成及びCo含有量を規制した際の、めっき表層領域を含
む、めっき深さ方向の各成分の濃度分布の典型例を、図
3に示す。
【0031】また、表層領域に含有されるCo及びNi
の総量の50アトミック%以上が、酸化物に含まれない
Co及び/またはNiであることが好ましい。なぜな
ら、酸素と結びついた酸化コバルト等は強固な結合のた
め極めて安定であり、CoないしはCoイオンの金属中
での拡散や移動が不可能となる。その結果としてCoと
Cuとの交換反応や置換反応が進まなくなり、接着促進
剤としての役割を果たし得なくなるからである。
【0032】なお、表層領域に含有される酸化物に含ま
れないCoまたはNiの定量は、めっき表面をX線光電
子分光法にて測定した結果に基づく、例えば図4に示す
Coのスペクトル模式図における、酸化物と金属との面
積比から両者の存在比から求めることができる。
【0033】さらに、ブラスめっきの平均厚みを0.1
3〜0.30μm とすることが有利である。すなわち、
めっき平均厚みが0.13μm 未満になると、鉄地が露
出する部分が増加し初期接着性が阻害され、0.30μ
m を超えると、ゴム物品使用中の熱によって過剰に接着
反応が進行し脆弱な接着しか得られなくなるからであ
る。
【0034】なお、フィラメント直径は0.40mm以
下であることが有利である。なぜなら、0.40mmを
超えると、使用したゴム物品が曲げ変形下でくり返し歪
みを受けたときに、表面歪が大きくなり、座屈を引き起
し易くなるからである。
【0035】
【実施例】表1及び表2に示す仕様に従って製造された
スチールコードについて、JISG3510(199
2)の参考に規定されたゴム接着試験方法に準拠して、
ゴム接着性の試験を行った。その結果を、表1及び2に
併記する。この接着試験で使用したゴムの配合は、表3
に示すとおりである。なお、表1には被覆ゴムに一般に
用いる量の半分程度のコバルト金属塩を添加した場合の
接着性能を示し、表2にはコバルト塩を無添加の場合の
被覆ゴムとの接着性能を示した。
【0036】また、めっきにおけるCoの定量は、X線
光電子分光法を用いて、めっき表面からSiO2 のエッ
チングスピード換算で15nm以上の深さまで、Cu、
Zn、Co、O及びCの特徴的な光電子をモニターにし
てアルゴンエッチングを行いながら、各深さiに存在す
る元素量を定量し、Cui アトミック%及びCoi アト
ミック%をそれぞれ求め、さらに15nmまでのデプス
プロファイル(図3参照)を作成し、その領域でのC
u、Zn及びCoの相対面積から表層領域のCoアトミ
ック%を算出した。なお、めっき厚さは、0.25μm
である。
【0037】ここで、Cui アトミック%及びCoi
トミック%は、 Cui アトミック%=[fcu Cuin/(fcuCuin+fznZnin+f
coCoin) ]×100 Coi アトミック%=[fco Coin/(fcuCuin+fznZnin+f
coCoin) ]×100 ただし、fcu, fzn, fco は各元素の感度係数であり、C
in、Znin、Co inは深さiの位置での各元素のカウ
ント数で単位はcount per secondである。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】
【表3】
【0041】表1における比較例1には、在来のフィラ
メントを用いた1×3×0.30(mm)構造のスチー
ルコードと通常使用される被覆ゴムとの接着剥離試験結
果を示した。また、比較例2には、比較例1のコードと
コバルト金属塩を半分に減らした被覆ゴムとの接着性を
評価した結果を示した。
【0042】比較例1においては、145℃で30分加
硫すれば明らかにゴム付き90%以上の良好な接着性が
得られるが、145℃、20分加硫では50%程度のゴ
ム付きしか得られない。さらに、比較例2に見られるよ
うに、相手の被覆ゴム中の接着促進剤を半減すると、そ
の接着性能の低下は明瞭に現れ、実際のタイヤには適用
し得ないレベルに至ることがわかる。
【0043】これらの比較例に比し、この発明に従って
めっき組成を規制した発明例1、2、3、4及び5で
は、145℃30分加硫で全てゴム付き100%の極め
て良好な接着性を確保できた。さらに、145℃20分
加硫した場合にすら、75%から100%のゴム付きを
確保できることが確認された。これはタイヤの加硫時間
短縮に貢献できる可能性を示すものであり、生産性向上
に大きく寄与するものである。なお、発明例5は、比較
例1と同じフィラメントを単純に水1l当たりに水10
0重量部に対して5〜10重量部のコバルト金属塩と適
度な界面活性剤を分散させたコロイドに浸し、乾燥させ
る工程を繰り返して処理し、撚り合わせた1×3構造コ
ードと通常使用される被覆ゴムとの接着剥離試験結果で
ある。
【0044】次に、表2の比較例4は、比較例1のコー
ドすなわち在来のコードと接着促進剤であるコバルト塩
を添加しなかった被覆ゴムとの接着事例であり、145
℃30分加硫ではゴム付き30%程度の接着性しか得ら
れず、145℃20分加硫に至っては接着を確保できな
い。
【0045】これらの比較例に比し、この発明に従って
めっき組成を規制した発明例6、7、8、9及び10で
は、145℃30分加硫でゴム付きが85%〜95%
と、比較例1とほぼ同等以上の良好な接着性を確保でき
た。なお、発明例10は、Coの存在状態として酸化物
が主になったときにCoの活性が十分でなくなる結果、
接着性向上の効果が若干低減することを示している。こ
こに、コバルト金属は高価である上、供給安定性に欠け
ることからタイヤ産業にとっては様々な問題を抱えた材
料であるが、ゴム中に添加するのでなければ使用量を大
幅に減らすことが可能であり、タイヤコストのみでなく
資源の有効活用の観点からもメリットをもたらす。更に
コバルト塩添加ゴムは熱によって劣化が促進され、タイ
ヤの耐久性を低下させる原因にもなっている現状にあっ
て、その添加量の半減もしくは無添加を可能にすること
はタイヤの長寿命化の観点から新しい段階に踏み出せる
可能性も与えるものである。なお、Coに代えて、Ni
でも同様の効果が得られることを確認している。
【0046】
【発明の効果】この発明によれば、スチールコードを構
成するフィラメントに施すブラスめっきの表層領域にお
ける成分の規制によって、接着促進剤を減少もしくは無
添加とした被覆ゴムとの間に優れた接着性が確保される
から、被覆ゴム材における接着促進材の削減または省略
を、コード及びゴム複合体の性能を犠牲にすることなし
に、実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 イオンプランテーションによってCoをブラ
スめっき表面に注入した時のめっき表面から内部への深
さ方向Co含有量の分布を示す図である。
【図2】 コバルト金属塩を含むコロイドに浸漬、乾燥
して200℃でCoをめっき内部に熱拡散させた時のめ
っき表面から内部への深さ方向Co含有量の分布を示す
図である。
【図3】 ブラスめっきにおける各成分の深さ方向の濃
度分布を示す図である。
【図4】 ブラスめっき表面のCoの状態をX線光電子
分光法で回折したときのスペクトル模式図である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C25D 7/06 C25D 7/06 U

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フィラメントの周面に、表面の銅濃度が
    15〜45アトミック%のブラスめっきを施したゴム物
    品補強用スチールフィラメントにおいて、該ブラスめっ
    きの表面からフィラメント半径方向内側に15nmの深
    さまでの表層領域に、Co及びNiのいずれか少なくと
    も1種を含有することを特徴とするゴム物品補強用スチ
    ールフィラメント。
  2. 【請求項2】 請求項1において、表層領域に含有され
    るCo及びNiのいずれか1種または2種の合計が0.
    1アトミック%以上かつ表層領域のCu含有量以下であ
    ることを特徴とするゴム物品補強用スチールフィラメン
    ト。
  3. 【請求項3】 請求項1において、表層領域に含有され
    るCo及びNiのいずれか1種または2種の合計が0.
    5〜5.0アトミック%であることを特徴とするゴム物
    品補強用スチールフィラメント。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれかにおいて、
    表層領域に含有されるCo及びNiの総量の50アトミ
    ック%以上が、酸化物に含まれないCo及び/またはN
    iであることを特徴とするゴム物品補強用スチールフィ
    ラメント。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれかにおいて、
    ブラスめっきの平均厚みが0.13〜0.30μm であ
    ることを特徴とするゴム物品補強用スチールフィラメン
    ト。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし5のいずれかにおいて、
    フィラメント直径が0.40mm以下であることを特徴
    とするゴム物品補強用スチールフィラメント。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし6のいずれかに記載のス
    チールフィラメントの複数本を撚り合わせて成ることを
    特徴とするゴム物品補強用スチールコード。
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