JP2002012073A - 背後からの衝撃時に頸部を保護する装置が備えられた車両用座席 - Google Patents

背後からの衝撃時に頸部を保護する装置が備えられた車両用座席

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JP2002012073A
JP2002012073A JP2001169366A JP2001169366A JP2002012073A JP 2002012073 A JP2002012073 A JP 2002012073A JP 2001169366 A JP2001169366 A JP 2001169366A JP 2001169366 A JP2001169366 A JP 2001169366A JP 2002012073 A JP2002012073 A JP 2002012073A
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Fabrice Charras
シャラ ファブリス
Bernard Courtois
クルトワ ベルナール
Yacine Ziar
ジアル ヤシーヌ
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Faurecia Sieges dAutomobile SAS
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 背後から衝撃を受けた場合に頸部を保護する
装置を有する車両用空席を提供する。 【解決手段】 自動車用座席が、下側部分１０にピボッ
ト運動するように取り付けられヘッドレスト５を有する
上側部分１１を含む背もたれ部の強度部材９を有し、強
度部材９の２つの部分は、背後から衝撃が加わった場
合、搭乗者の背中が強度部材の上側部分のスラスト部材
２２にもたれかかった時に、背もたれ強度部材の上側部
分および背もたれの正面の上側領域がヘッドレストとと
もに前方にピボット運動するように、こわれる寸法とな
っている上方部分を調節する制御装置によって一緒に接
続されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、背後からの衝撃時
に頸部を保護する装置が設けられた車両用座席に関す
る。
【０００２】特に、本発明は、ヘッドレストが上に取り
付けられ、パッドを支持する強度部材を備えて背もたれ
を有し、背もたれは搭乗者の背中を支えるよう作られた
正面を有し、前記背もたれの強度部材は、互いに関して
移動可能な２つの部分、すなわち下側部分とヘッドレス
トを支持する上側部分を有し、前記上側部分は、該上側
部分下側部分に対して動くだけそれぞれ後方および前方
に傾斜している第１および第２の角度位置の間を回転軸
のまわりをピボット運動するように下側部分にピボット
運動するように取り付けられており、背もたれ自体の正
面は２つの重なった領域、すなわち下側領域とそれぞれ
背もたれ強度部材の下側部分および上側部分に固定され
ている上側領域を持ち、背もたれ強度部材の上側部分
は、車両に背後から衝撃が加わった場合に、スラスト部
材が背もたれのパッドに押し込まれながら、搭乗者の背
中が前記スラスト部材に対して後方にもたれかかること
によって、背もたれの強度部材の上側部分をその第２の
角度位置の方に押しやるように前記上側部分の回転軸の
高さより下で背もたれ内に配置されたスラスト部材を有
しており、背もたれ強度部材の上側部分と下側部分は、
通常は上側部分が不意にピボット運動するのを防止する
ロック装置によって互いに連結されており、前記ロック
装置は、背後からの衝撃があった場合に、背もたれの上
側部分がその第２の角度位置になく、前記スラスト部材
が所定の値を超える後向きの力を受けた時に壊れるよう
な大きさになっており、前記ヘッドレストは背後からの
衝撃があった場合にその上側部分と同じ運動をするよう
に、背もたれの上側部分に取り付けられている車両用座
席に関するものである。
【０００３】
【従来の技術】このように、車両に背後からの衝撃が加
わった場合に、背もたれの上側部分は、第１に、ヘッド
レストが搭乗者の頸部の項部により近づき、それによっ
てその項部を有効に保持し、第２に、背もたれの上側部
分の後向きの傾きが小さくなり、これによって座ってい
る搭乗者が傾き作用によって上方に投げ出されるおそれ
が少なくなって、搭乗者の頸部の項部がヘッドレストよ
り上の位置を取るのが防止されるように、ヘッドレスト
と共に前方にピボット運動する。
【０００４】これによって、搭乗者が怪我をするおそれ
が低下する。
【０００５】ＷＯ−Ａ−９７／１０１１７号明細書に
は、上記の種類の車両用座席の例が記載されている。
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記明
細書に記載の座席は、背もたれの上側部分がその第２の
角度位置に達した時に、該上側部分のピボット運動が突
然止まることで、座席の搭乗者が衝撃を受ける危険性が
生じるという欠点を持っている。
【０００７】したがって、本発明の特定の目的は、これ
らの欠点を軽減することにある。
【０００８】
【課題を解決するための手段】このために、本発明によ
れば、当該種類の座席は、ロック装置が、制御部材によ
って駆動される調整制御機構を含み，該調整制御機構
は、前記背もたれ強度部材の上側部分を、制御部材の作
動の関数として、その第１の角度位置と第２の角度位置
の間を移動させ、かつ前記スラスト部材が前記所定の値
を越える後方に向う力を受けない限り制御部材が作動さ
せられていない時は背もたれ強度部材の前記上側部分を
ロックするようになっていることを特徴とする。
【０００９】本発明の好ましい実施態様においては、以
下の構成の１つまた２つ以上を用いることができる。
【００１０】・背もたれ強度部材の上側部分が、上側部
分が前方にピボット運動するのと同時に上方に移動する
ように下側部分の上に取り付けられている。
【００１１】・背もたれ強度部材の上側部分が、スラス
ト部材を構成する水平な下側横材を有するフレームであ
る。
【００１２】・前記制御機構が、一群の歯と噛み合う少
なくとも１つの回転駆動部材を有しており、該駆動部材
の一方と一群の歯は、背もたれ強度部材の上側部分と連
結されており、駆動部材の他方は、一群の歯に対する駆
動部材の移動によって、背もたれ強度部材の上側部分の
傾きが変わるように強度部材の下側部分と連結してお
り、一群の歯は背後からの衝撃があった場合に、漸次塑
性変形して、駆動部材が回転することなく、一群の歯に
沿って動けるようになっており、したがって一群の歯が
エネルギー吸収手段を構成している。
【００１３】・背もたれ強度部材の上側部分が、滑り路
内にスライド可能に収容されたピボット軸によって強度
部材の下側部分上にピボット運動するように取り付けら
れ、少なくとも１つのピボット軸が駆動部材を有し、一
群の歯が対応する滑り路に形成されている。
【００１４】・背もたれ強度部材の上側部分が、滑り路
内にスライド可能に収容されたピボット軸によって強度
部材の下側部分上にピボット運動するように取り付けら
れ、ピボット軸の少なくとも１つがリンクに取り付けら
れており、該ピボット軸の１つと、これに対応する滑り
路が背もたれ強度部材の上側部分に取り付けられ、ピボ
ット軸の他方が強度部材の下側部分に取り付けられ、背
後からの衝撃があった場合に、リンクの移動に伴ってピ
ボット軸が滑り路内で対応した移動を行い、リンクが塑
性変形し得ることで、エネルギー吸収手段を構成するよ
うに、リンクが、滑り路を含む背もたれ強度部材の部分
に対して、制御機構によって移動可能である。
【００１５】・制御機構が、リンクに対応する滑り路を
含む背もたれ強度部材部分上を回転するよう取り付けら
れた歯車を有し、該歯車はリンクに形成されたラックと
噛み合っている。
【００１６】・リンクが、第１の端部と第２の端部の間
を延びる溝が設けられた１枚のシート状金属の形態をし
ており、該溝は、第１の端部に拡大された部分を有し、
該拡大部分から該溝の第２の端部まで延びる比較的狭い
部分を有し、リンクに取り付けられたピボット軸は前記
拡大部分と実質的に遊びがなく、溝は、少なくとも、背
もたれ強度部材の上側部分がその第１の角度位置にある
時に、ピボット軸が滑る滑り路に実質的に対応して配置
されており、溝は、背後からの衝撃があった場合に背も
たれ強度部材の上側部分がその第２の角度位置の方へ移
動すると、前記ピボット軸が溝の第２の端部の方へ移動
するのを可能にしつつ漸次塑性変形するようになってい
る。
【００１７】・制御機構が、背もたれ強度部材の下側部
分によって支持され、かつ背もたれの下側部分にピボッ
ト運動するように取り付けられ、背もたれの上側部分に
蝶番で取り付けられた歯付きリンクと噛み合う歯車を駆
動し、制御機構は、歯車を回転させることができる一方
で、背後からの衝撃があった場合に、歯車が所定の値を
超える回転トルクを受けた時には常に、制御部材が作動
されない場合は歯車にブレーキをかけるようになってい
る。
【００１８】・制御機構は、背もたれ強度部材の下側部
分上に取り付けられ、かつ下側部分上にピボット運動す
るように取り付けられている歯付きカムと噛み合う歯車
を含んでおり、該カムは、上側部分がその第２の角度位
置の方にのみ移動できるように背もたれ強度部材の上側
部分に取り付けられた部材と接触するベアリング縁部を
有し、背もたれ強度部材の上側部分は、その第１の角度
位置の方へ弾性的に付勢されている。
【００１９】・背もたれ強度部材の上側部分に取り付け
られた前記部材が、上側部分を、背もたれ強度部材の下
側部分上にピボット運動するように取り付けられたリン
クに接続している。
【００２０】
【発明の実施の形態】本発明の他の特徴および利点は、
以下に記載される各種実施形態（本発明はそれに限定さ
れるものではない）についての以下の説明から、さらに
は添付の図を参照することにより明らかになる。これら
の図においては、同じ参照符号を用いて同一または類似
の部材を示してある。
【００２１】図１は、車両用座席１、特に、車両の床３
上に取り付けられた座席本体２と、横方向水平軸Ｘのま
わりにピボット運動するように本体２に取り付けられた
背もたれ４を有する自動車の前部座席を示している。
【００２２】背もたれ４は、パッド４ａを有し、ヘッド
レスト５も有する金属製強度部材を有する。背もたれ４
は、搭乗者の背中を支持するよう作られた正面部６を有
し、正面部６自体は下側領域７と上側領域８に分割さ
れ、それらの傾きは、以下に説明するように、自動車が
背後からの衝撃を受けた場合に変化し得るようになって
いる。
【００２３】このために、本発明の第１の実施形態に関
する図２〜図４に示したように、背もたれ４の強度部材
９は互いに対して移動し得る２つの部分、具体的には、
横方向軸Ｘのまわりをピボット運動するように座席本体
２に取り付けられ、背もたれ４の正面の下側領域７に固
定されている下側部分１０と、仮想ピボット軸Ｘ’（図
１）のまわりでピボット運動するように下側部分１０に
取り付けられており、かつ背もたれ４の正面の上側領域
８に取り付けられている上側部分１０で構成されてい
る。
【００２４】ここで考えている特定の例では、背もたれ
強度部材の下側部分１０は、横軸Ｘのまわりをピボット
運動するように座席本体２に取り付けられ、かつ下側横
材によって互いに連結されている２つの垂直側板１２を
有する。
【００２５】各側板１２は、背もたれ４の各側にある対
応する位置に配置され、それぞれ各第１の端部１５から
各第２の端部１６まで上方向、かつ後方に傾斜している
下側溝１４を有する。
【００２６】さらに、２つの側板１２は、それぞれ背も
たれ４の対向する両側に互いに合致するように配置さ
れ、各々が第１の端部１８から第２の端部１９まで上方
および前方に延びている上側溝１７をも有する。
【００２７】背もたれ強度部材の上側部分１１はさら
に、例えば管状部材の金属断面部材を有する。この部材
は概ねＵ字形となるように曲げられ、頂部横材と、若干
後方に湾曲している剛性のある横材２２（図２）によっ
て底部末端近くで互いに連結されている２個の側枝部２
１を有している。
【００２８】横材２２は、座席本体２よりわずかに高い
が、背もたれ強度部材の上側部分１１の仮想ピボット軸
Ｘ’より下に（図１参照）背もたれ４の内側に、配置さ
れている。
【００２９】さらに、強度部材の上側部分１１に属する
各側枝部２１は、対応する下側溝１４に係合し、通常は
この溝の第１の端部１５にある下側ピボット軸２３と、
対応する溝１７に係合する上側ピボット軸２４を有す
る。
【００３０】最後に、背もたれの強度部材９は、「第１
の」角度位置と呼ぶ上記の位置に前記強度部材の上側部
分１１を通常保持するロック装置も有する。
【００３１】図２に示したように、下側溝１４の一方に
該溝の縦方向の縁部の一方を形成する一群の歯３０が設
けられている。
【００３２】さらに、溝１４に沿って移動するピボット
軸２３は、軸ＸおよびＸ’に平行に延び、ノブ３２によ
って回転し得る２個のフィンガー３１を持つ回転部材を
含む。
【００３３】これら２本のフィンガー３１は、側枝部２
１の一方と背もたれ強度部材の上側部分１１の横材２２
に取り付けられたソケット３３内に入り込み、その結果
フィンガー３１が溝１４に沿って移動すると、背もたれ
強度部材の上側部分１１の対応する角度移動が生じる。
【００３４】さらに、歯付き溝１４を有する側板１２に
取り付けられた弾性金属ワイヤ３４が、フィンガー３１
を一群の歯３０内に付勢するように、ソケット３３に連
続的にもたれかかっている。
【００３５】一群の歯３０、フィンガー３１、ノブ３
２、ソケット３３、およびバネ３４はノブ３２を回すこ
とで、背もたれ強度部材の上側部分１１の下側部分１０
に対する傾きを調節することができる制御機構３５を構
成している。
【００３６】したがって、この傾きは、フィンガー３１
が対応する溝１４の第１の端部１５にあることが認めら
れるときの、強度部材１１の前記第１の角度位置（図
３）と、フィンガー３１が対応する溝１４の第２の端部
１６にあるときの、強度部材１１の前記第２の角度位置
（図４）の間で調整することができる。
【００３７】この調節は、座席１の座り心地を改善する
役目をする。
【００３８】制御機構３５は可逆的ではない。すなわ
ち、それは通常、ノブ３５が操作されない限り、ロック
されたままである。
【００３９】しかしながら、背もたれ強度部材の上側部
分１１がその第２の角度位置にない時に、自動車が背後
から十分に大きい衝撃を受けると、フィンガー３１が対
応する溝１４の端部１６の方へ移動し、それによって背
もたれ強度部材の上側部分１１が、図４に示したよう
に、その第２の角度位置まで移動できるように一群の歯
３０が漸次破壊される。
【００４０】この動きの間、一群の歯３０が漸次塑性変
形することによって衝撃エネルギーの一部が吸収され、
前述したように、背もたれ４の正面の上側領域８がヘッ
ドレスト５ともに前方および上方に移動する。
【００４１】背もたれ強度部材の上側部分１１が、座席
の使用者によって、図４に示した、第２の角度位置に既
に設定されている時に背後から衝撃があると、この上側
部分１１は前記の第２の角度位置にとどまり、背もたれ
４が搭乗者を保護するのに最適な位置にすでにあること
から、それは問題とはならない。
【００４２】図５〜７に示した、本発明の第２の実施形
態においては、溝１４および１７のいずれも***部を持
たず、溝１４の一方にあるピボット軸２３は、歯車３８
と噛み合うラック３７を備えたクランク状のリンク３６
に取り付けられている。
【００４３】歯車３８は、対応する側板１２上にピボッ
ト運動するように取り付けられ、従来の種類の非可逆的
伝動装置３９に連結されていて、伝動装置３９自体は回
転ノブ４０によって操作される。
【００４４】このようにリンク３６、そのラック３７、
歯車３８、伝動装置３９、およびノブ４０は、ノブ４０
を操作することによって、歯車３８とピボット軸２３の
間の距離を変える役目をする非可逆的駆動機構４１を構
成している。
【００４５】したがって、ピボット軸２３を対応する溝
１４に沿って、背もたれ強度部材の上側部分１１の上述
の第１の角度位置に対応する溝１４の第１の端部１５
（図６）と、背もたれ強度部材の上側部分１１の上述の
第２の角度位置に対応する溝１４の第２の端部１６（図
７）の間を移動させることが可能である。
【００４６】これに対して、背もたれ４の上側部分１１
に力が加わったとしても、ノブ４０が操作されない限
り、歯車３８はロックされたままである。
【００４７】しかしながら、自動車に背後から十分に大
きな衝撃が加わった場合には、リンク３６が漸次塑性変
形して、第２の実施形態に関して前述したように、上側
部分１１がすでに第２の角度位置に調節されていない限
り、背もたれ４の上側部分１１がピボット運動して、そ
の第２の角度位置に入ることができる。
【００４８】この塑性変形を容易にするため、リンク３
６は、ピボット軸２３が遊びなしに収容される拡大部分
を形成する第１の端部４３から、比較的に狭い第２の端
部４４まで延びる楔状の溝４２を備えた１枚の金属板で
あることが有利であり、ピボット軸２３と第２の端部４
４の間にある溝４２の部分４５は通常の状態下ではピボ
ット軸２３が溝に沿って移動するのを防ぐのに十分に狭
くなっている。
【００４９】溝４２は、背もたれ強度部材の上側部分１
１がその第１の角度位置にある時には、隣接する溝１４
と実質的に重なるように配置されているのが望ましい
（図６）。
【００５０】このようにして、自動車に対して背後から
の衝撃が加わった場合には、ピボット軸２３が移動する
につれて、溝４２が塑性変形し、これによって衝撃エネ
ルギーの一部を吸収する。
【００５１】図８および９に示した本発明の第３の実施
形態においては、背もたれ強度部材の下側部分の側板１
２は、上方向および前方に延びる上側溝１７をも有し、
それらの各々はやはり、背もたれ強度部材の頂部部分１
１に取り付けられたピボット軸２４を収容している。
【００５２】第２の実施形態と同じように、これらの上
側溝１７は平滑である。
【００５３】さらに、やはり本発明の第２の実施形態と
同じく、背もたれ強度部材の上側部分１１の角度位置
は、従来の非可逆型の伝動装置３９を駆動する回転ノブ
４０によって調節することができる。一例として、伝動
装置３９は、ドイツ特許３７３４３６３号、米国特許５
５９３２１０号、フランス特許８４３６６８号または米
国特許１５２９２４８号に開示された種類のものであっ
てよい。
【００５４】この伝動装置のハウジング３９ａは側板１
２に固定されており、その伝動装置の入口軸３９ｂはノ
ブ４０に固定されていて、伝動装置の出口軸３９ｃは、
円弧部分を占めている一群の歯５１と噛み合っている歯
車５０に取り付けられ、他端が側板１２上にピボット運
動するように取り付けられているリンク５２の一端上に
形成されている。
【００５５】さらに、リンク５２は好ましくは、背もた
れの上側部分１１の前記下側端に横材２２を取り付ける
ピボット軸５４によって背もたれ強度部材の上側部分１
１の下側端に連結されている。
【００５６】座席の反対側には同様のリンク（ただし、
歯を持たない）が設けられており、２つのリンク間を延
び、それらの動きを同期させるリンクバーがある。
【００５７】伝動装置３９は、歯車５０に所定のトルク
が加わらない場合には、ノブ４０による作動がなければ
その歯車５０が動くのを防止するようになっている。
【００５８】これに対して、前記所定のトルクより大き
いトルクが歯車５０に加えられると、伝動装置３９は歯
車５０を回転させることができるが、それでもなおその
運動にはブレーキがかかっている。
【００５９】このように、座席が取り付けられている自
動車に背後から激しい衝撃があった場合、搭乗者の背中
が横材２２を後方に動かし、これによって、背もたれ強
度部材の上側部分１１の下側端がリンク５２とともに上
方および後方に移動し、一方背もたれ強化部材の上側部
分１１の頂部端は溝１７に従って上方および前方に移動
し、この運動は伝動装置３９によってブレーキをかけら
れていて、伝動装置が摩擦によって前記運動のエネルギ
ーの一部を吸収するように、前述の所定のトルクを越え
るトルクを歯車５０に発生する。
【００６０】本発明の第４の実施形態においては、図１
０に示したように、背もたれ強度部材の上側部分は、第
３の実施形態の場合と同じく、上方および前方に延びる
傾斜溝１７内をスライドする上側ピボット軸２４と、ピ
ボット軸５７によって側板１２に取り付けられているロ
ッカリンク５６に取り付けられているピボット軸５５に
よって各側板１２に連結されている。
【００６１】ロッカリンク５６は、バネ５８、例えば、
一端がロッカリンク５６のフック５９に固定され、他端
が背もたれ４の上側部分１１に取り付けられた中間金属
部品６１の穴６０に固定されている引張りバネによっ
て、ピボット軸５５を前方に動かすのに相当するその回
転方向に偏倚されている。
【００６２】リンク５６の角度位置、従って背もたれ４
の上側強度部材１１の角度位置は、図８および９に関し
て前述したのと同一または類似のノブ４０、非可逆的伝
動装置３９、および歯車５０を含む調節機構４１によっ
て調節される。
【００６３】歯車５０は、ピボット軸６４のまわりをピ
ボット運動するように側板１２上に取り付けられたカム
６３上にある環状の一群の歯６２と噛み合っている。カ
ム６３は、後方を向き、背もたれ強化部材の上側部分１
１の下端近傍にあるリンク５６のピボット軸５５と接触
している支持縁６５を有する。
【００６４】自動車用座席の通常の使用においては、バ
ネ５８は、ピボット軸５５をカム６３のアバットメント
縁部６５で支えられた状態に保つに十分な力を有してい
る。
【００６５】これに対して、交通事故によって自動車に
背後から衝撃が加わると、使用者の骨盤が背もたれの上
側部分１１の横材２２にもたれかかり、それによってリ
ンク５６がバネ５８からの弾性的な付勢力に対して後方
にピボット運動し、一方ピボット軸２４は対応する溝１
７内を前方および上方に移動する。
【００６６】この運動中に、衝撃エネルギーの一部がバ
ネ５８によって吸収される。
【００６７】この衝撃エネルギーは、背もたれ４の反対
側にある、ピボット軸２４および５５の近傍にある背も
たれ強度部材の上側部分１１に溶接された上記の中間部
品６１によって、背もたれ強度部材の上側部分１１の運
動終了後にも吸収されるのが有利である。
【００６８】一例として、前記中間部品は、背もたれ強
度部材の上側部分１１の方に延びるフランジ６６と、各
々が金属板６１から切り出されたタブ６８を含むウェブ
６７を有する溝形断面部材である。
【００６９】各タブ６８は、側板１２に平行に実質的に
水平方向で前方に延びるように１８０°折り曲げられて
いるのが望ましい。
【００７０】さらに、各タブ６８は、対応するピボット
軸２４または５５に固定するのに適した穴６９または何
らかの他の固定手段を有している。
【００７１】このようにして、自動車が背後からの衝撃
を受けた後に、中間部品６１は最初にその衝撃に抗し、
同時に背もたれ強度部材の上側部分１１が、その第２の
角度位置へと移動する。その後、ピボット軸２４と５５
が一旦それらの当接位置に達すると、タブ２８は中間部
品６１を構成する溝形断面部材のウェブ６７の金属シー
トを有し、したがって衝撃エネルギーのさらに別の一部
を吸収する働きをする。
【００７２】図１０に示した実施形態では、しかるべき
場合に、完全に非可逆的である制御機構、特に電動モー
タによって作動する制御機構によって歯車５０を駆動で
きることもわかる。
【００７３】さらに、これらの実施形態のいずれにおい
ても、上側溝１７と、これに関連するピボット軸２４を
リンクに代えることもできるであろう。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の車両用座席の概略図である。
【図２】本発明の第１の実施形態における、図１の座席
の背もたれ強度部材の一部を示す分解斜視図である。
【図３】それぞれ２つの最も端の角度位置にある強度部
材の上側部分を示す図２の背もたれ強度部材の部分概略
図である。
【図４】それぞれ２つの最も端の角度位置にある強度部
材の上側部分を示す図２の背もたれ強度部材の部分概略
図である。
【図５】本発明の第２の実施形態における、図１の座席
の背もたれ強度部材の部分斜視図である。
【図６】それぞれ２つの最も端の角度位置にある前記強
度部材の上側部分を示す図５の強度部材の部分概略図で
ある。
【図７】それぞれ２つの最も端の角度位置にある前記強
度部材の上側部分を示す図５の強度部材の部分概略図で
ある。
【図８】本発明の第３の実施態様における、図１の座席
の背もたれ強度部材の部分概略図である。
【図９】図８の強度部材の制御機構を示す詳細断面図で
ある。
【図１０】本発明の第４の実施形態における、図１の座
席の背もたれ強度部材の部分斜視図である。
【符号の説明】
１ 自動車用座席 ２ 座席本体 ３ 車両の床 ４ 背もたれ ４ａ パッド ５ ヘッドレスト ６ 正面部 ７ 下側領域 ８ 上側領域 １０ 下側部分 １１ 上側部分 １２ 垂直側板 １４ 下側溝（滑り路） １５ 第１の端部 １６ 第２の端部 １７ 上側溝 １８ 第１の端部 １９ 第２の端部 ２０ 頂部横材 ２１ 側枝部 ２２ スラスト部材（下側横材） ２３ 下側ピボット軸 ２４ 上側ピボット軸 ３０ 歯 ３１ フィンガー ３２ ノブ ３３ ソケット ３４ 弾性金属ワイヤ（バネ） ３５ 制御機構 ３６ リンク ３７ ラック ３８ 歯車 ３９ 非可逆的伝動装置 ３９ａ ハウジング ３９ｂ 入口軸 ３９ｃ 出口軸 ４０ 回転ノブ ４１ 非可逆的制御機構 ４２ 溝 ４３ 第１の端部 ４４ 第２の端部 ４５ 相対的に狭い部分 ５０ 歯車 ５１ 歯 ５２ リンク ５４ ピボット軸 ５５ 部材 ５６ リンク ５７ ピボット軸 ５８ バネ ５９ フック ６０ 穴 ６１ 金属シート ６２ 歯 ６３ カム ６４ ピボット軸 ６５ 支持縁部（アバットメント縁部） ６６ フランジ ６７ ウェブ ６８ タブ ６９ 穴
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ヤシーヌ ジアル フランス国 91260 ジュヴィシィ シュ ル オルジュ リュ ジャン−ジャック ルソ ７ Ｆターム(参考） 3B087 DC07

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 ヘッドレスト（５）が上に取り付けら
    れ、パッド（４ａ）を支持する強度部材（９）を備えた
    背もたれ（４）を有し、前記背もたれは搭乗者の背中を
    支えるよう作られた正面（６）を有し、前記背もたれの
    強度部材（９）は、互いに関して移動可能な２つの部
    分、すなわち下側部分（１０）と、前記ヘッドレスト
    （５）を支持する上側部分（１１）を有し、前記上側部
    分は、該上側部分が下側部分（１０）に対して動くだけ
    それぞれ後方および前方に傾斜している第１および第２
    の角度位置の間で回転軸（Ｘ’）のまわりをピボット運
    動するように、前記下側部分上にピボット運動するよう
    に取り付けられており、背もたれ自体の前記正面（６）
    は２つの重なった領域、すなわちそれぞれ背もたれ強度
    部材の下側部分（１０）および上側部分（１１）に固定
    されている下側領域（７）と上側領域（８）を持ち、背
    もたれ強度部材の前記上側部分（１１）は、車両に背後
    から衝撃が加わった場合に、スラスト部材が背もたれの
    前記パッド（４ａ）に押し込まれながら、搭乗者の背中
    が前記スラスト部材に対して後方にもたれかかることに
    よって、背もたれの強度部材の上側部分（１１）をその
    第２の角度位置の方に押しやるように前記上側部分（１
    １）の回転軸（Ｘ’）の高さより下で前記背もたれ
    （４）内に配置されたスラスト部材（２２）を有してお
    り、背もたれ強度部材の上側部分と下側部分（１１，１
    ０）は、通常は前記上側部分（１１）が不意にピボット
    運動するのを防止するロック装置（１４，２３，３５，
    ４１）によって互いに連結されており、前記ロック装置
    は、背後からの衝撃があった場合に、背もたれの上側部
    分（１１）がその第２の角度位置になく、前記スラスト
    部材（２２）が所定の値を超える後向きの力を受けた時
    に壊れるような大きさになっており、前記ヘッドレスト
    （５）は背後からの衝撃があった場合に前記上側部分
    （１１）と同じ運動をするように、前記背もたれの上側
    部分（１１）に取り付けられている車両用座席におい
    て、 前記ロック装置が制御部材（３２，４０）によって駆動
    される調整制御機構（３５，４１）を含み，該調整制御
    機構は、前記背もたれ強度部材の上側部分（１１）を、
    前記制御部材（３２，４０）の作動の関数として、その
    第１の角度位置と第２の角度位置の間を移動させ、かつ
    前記スラスト部材（２２）が前記所定の値を越える後方
    に向う力を受けない限り前記制御部材が作動させられて
    いない時は前記背もたれ強度部材の前記上側部分をロッ
    クするようになっていることを特徴とする車両用座席。
  2. 【請求項２】 前記背もたれ強度部材の上側部分（１
    １）が、該上側部分が前方にピボット運動するのと同時
    に上方に移動するように、前記下側部分（１０）の上に
    取り付けられている、請求項１記載の座席。
  3. 【請求項３】 前記背もたれ強度部材の上側部分（１
    １）が、前記スラスト部材を構成する水平な下側横材
    （２２）を有するフレームである、請求項１または２記
    載の座席。
  4. 【請求項４】 前記制御機構が、一群の歯（３０）と噛
    み合う少なくとも１つの回転駆動部材（３１）を有して
    おり、該回転駆動部材の一方と前記一群の歯は、前記背
    もたれ強度部材の上側部分（１１）と連結されており、
    前記駆動部材の他方は、前記一群の歯（３０）に対する
    駆動部材（３１）の移動によって、前記背もたれ強度部
    材の上側部分（１１）の傾きが変わるように前記強度部
    材の下側部分（１０）と連結しており、前記一群の歯
    （３０）は背後からの衝撃があった場合に、漸次塑性変
    形して、前記駆動部材（３１）が回転することなく、前
    記一群の歯に沿って動けるようになっており、したがっ
    て前記一群の歯がエネルギー吸収手段を構成している、
    請求項１から３のいずれか１項記載の座席。
  5. 【請求項５】 前記背もたれ強度部材の上側部分（１
    ０）が、滑り路（１４，１７）内にスライド可能に収容
    されたピボット軸（２３，２４）によって前記強度部材
    の下側部分（１１）上にピボット運動するように取り付
    けられ、少なくとも１つのピボット軸（２３）が前記駆
    動部材（３１）を有し、前記一群の歯（３０）が対応す
    る滑り路（１４）に形成されている、請求項４記載の座
    席。
  6. 【請求項６】 前記背もたれ強度部材の上側部分（１
    １）が、前記滑り路（１４、１７）内にスライド可能に
    収容されたピボット軸（２３，２４）によって前記強度
    部材の下側部分（１０）上にピボット運動するように取
    り付けられ、前記ピボット軸の少なくとも１つ（２３）
    がリンク（３６）に取り付けられており、該ピボット軸
    の１つ（２３）と、これに対応する滑り路（１４）が前
    記背もたれ強度部材の上側部分（１１）に取り付けら
    れ、前記ピボット軸の他方が前記強度部材の下側部分
    （１０）に取り付けられ、背後からの衝撃があった場合
    に、前記リンク（３６）の移動に伴って前記ピボット軸
    （２３，２４）が滑り路（１４，１７）内で対応した移
    動を行い、前記リンク（３６）が塑性変形し得ること
    で、エネルギー吸収手段を構成するように、前記リンク
    （３６）が、前記滑り路を含む背もたれ強度部材の部分
    （１０）に対して、前記制御機構（４１）によって移動
    可能である、請求項１から５のいずれか１項記載の座
    席。
  7. 【請求項７】 前記制御機構（４１）が、前記リンクに
    対応する滑り路を含む背もたれ強度部材部分（１０）上
    を回転するよう取り付けられた歯車（３８）を有し、該
    歯車は前記リンク（３６）に形成されたラック（３７）
    と噛み合っている、請求項６記載の座席。
  8. 【請求項８】 前記リンクが、第１の端部と第２の端部
    （４３，４４）の間を延びる溝（４２）が設けられた１
    枚のシート状金属の形態をしており、該溝は、その第１
    の端部に拡大された部分を有し、該拡大部分から該溝の
    第２の端部（４４）まで延びる比較的狭い部分（４５）
    を有し、前記リンク（３６）に取り付けられたピボット
    軸（２３）は前記拡大部分と実質的に遊びがなく、前記
    溝（４２）は、少なくとも、前記背もたれ強度部材の上
    側部分（１１）がその第１の角度位置にある時に、前記
    ピボット軸（２３）が滑る滑り路（１４）に実質的に対
    応して配置されており、前記溝（４２）は、背後からの
    衝撃があった場合に前記背もたれ強度部材の上側部分
    （１１）がその第２の角度位置の方へ移動すると、前記
    ピボット軸（２３）が前記溝の第２の端部（４４）の方
    へ移動するのを可能にしつつ漸次塑性変形するようにな
    っている、請求項６または７記載の座席。
  9. 【請求項９】 前記制御機構（４１）が、前記背もたれ
    強度部材の下側部分（１０）によって支持され、前記背
    もたれの下側部分（１０）にピボット運動するように取
    り付けられ、かつ背もたれの上側部分（１１）に蝶番で
    取り付けられた歯付きリンク（５２）と噛み合う歯車
    （５０）を駆動し、前記制御機構は、歯車（５０）を回
    転させることができる一方で、背後からの衝撃があった
    場合に、前記歯車（５０）が所定の値を超える回転トル
    クを受けた時には常に、前記制御部材（４０）が作動さ
    れない場合は前記歯車（５０）にブレーキをかけるよう
    になっている、請求項１から８のいずれか１項記載の座
    席。
  10. 【請求項１０】 前記制御機構は、前記背もたれ強度部
    材の下側部分（１０）上に取り付けられ、かつ前記下側
    部分（１０）上にピボット運動するように取り付けられ
    ている歯付きカム（６３）と噛み合う歯車（５０）を含
    んでおり、該カム（６３）は、前記上側部分（１１）が
    その第２の角度位置の方にのみ移動できるように前記背
    もたれ強度部材の上側部分（１１）に取り付けられた部
    材（５５）と接触するベアリング縁部（６５）を有し、
    前記背もたれ強度部材の前記上側部分（１１）は、その
    第１の角度位置の方へ弾性的に付勢されている、請求項
    １から９のいずれかに記載の座席。
  11. 【請求項１１】 前記背もたれ強度部材の上側部分（１
    １）に取り付けられた前記部材（５５）が、前記上側部
    分（１１）を、前記背もたれ強度部材の下側部分（１
    ０）上にピボット運動するように取り付けられたリンク
    （５６）に接続している、請求項１０記載の座席。
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