JP2001513788A - 二重特異性、共刺激性を有するキメラタンパク質によるt−細胞増殖の共刺激 - Google Patents

二重特異性、共刺激性を有するキメラタンパク質によるt−細胞増殖の共刺激

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Abstract

(57)【要約】 a)標的細胞上の特異的表面細胞を認識する結合性領域およびb)これと共有結合したT細胞増殖を共刺激する能力を有する領域からなる可溶性の、二重特異性融合タンパク質は,前記標的細胞に対するT細胞を特異的に共刺激させるために使用することが出来る。

Description

【発明の詳細な説明】 二重特異性、共刺激性を有するキメラタンパク質によるT−細胞増殖の共刺激 本発明は、新規なキメラタンパク質をコードする核酸、その相当する遺伝子産物 およびその用途に係り、かかる発明において、当該キメラタンパク質が、特異的 に標的細胞上の表面分子を認識する結合性領域およびBリンパ球、Tリンパ球ま たは抗原提示細胞の表面上に自然発現する共刺激性リーガンドの細胞外領域また はかかる共刺激性リーガンドの対抗レセプター(counterrecepto r)から由来する結合性領域とからなる二つの結合性領域を有するものである。 腫瘍拒絶反応の最も有効な機構は、腫瘍特異的Tリンパ球によって仲介されるの である(Greenberg、P.D.、1991、Melief、C.J.、1 992)。このことは、腫瘍発達に好都合である。即ち,腫瘍は、例えば主要組 織適合遺伝子複合体(MHC)細胞の欠失による効率的な抗原提示を防止する( Doyl、A.ら、1985、Lassam、N.およびJay、G.、198 9)または抗原処理の欠陥(Restifo、N.P.ら、1993、Crom me、F.V.ら、1994)など種々の方策によって免疫監視を逃れるからで ある。腫瘍細胞が免疫監視系を逃れるもう一つの機構は、共刺激性分子が不存在 しないことである(Lundberg、A.ら、1993)。活性化とクローン増 殖のためには、T細胞は、ペプチド保有MHC分子と相互作用を及ぼすT細胞受 容体(TCR)から供与される一次シグナルに加えて共刺激性シグナルを必要と する(Rudd、C.E.ら、1994)。共刺激が共存しないTCR刺激によっ て、免疫不応答性およびクローンアネルギー誘導とが生起され得る(Hardi ng、F.A.ら、1992;Gimmi、C.D.ら、1993;Tan、P .C.ら、1993)。CD28は、CD4+およびCD8+T細胞の主要な共 刺激性シグナルレセプターである。B7−1(CD80)およびB7−2(CD 86)を含むB7ファミリータンパク質のメンバーは、抗原提示細胞(APC) 上の自然のリガンドである(Gimmi、C.Dら、1991;Linsley 、P.W.ら、1991;Galvin、F.ら、1992;Hathcock 、K.S.ら、1993;Freeman、G.J.ら、Science、19 93;Azuma、M.ら、1993)。 腫瘍免疫原性を増大させるべく多くの試みが、これまでに行われてきた。この際 、B7ファミリーの共刺激分子のメンバーを有する腫瘍細胞を得るためのいくつ かの方策が、将来性のある結果を生み出している。最近、B分子の膜貫通領域と 分子内領域は、T細胞の共刺激剤としてその活性には必要とされないことが明ら かにされている。マウスB7−1またはB7−2の細胞外領域が細胞表面で発現 しかつGPIアンカーを経由して細胞膜中に挿入することが、イン ビトロおよびインビボでT細胞を共刺激させるには充分である(Brunsch wig、E.G.ら、1995)。T細胞のインビボ増殖を共刺激することも、 腫瘍細胞中にてCHO細胞で発現させた後、細胞ライゼートから精製した組み換 えGPI−結合型ヒトB7−1を組入れることによって行われている(McHu ghら、1995)。この方策は、腫瘍細胞を異質遺伝子でトランスフェクトす ることなく、細胞膜にB7分子を挿入することを可能ならしめるのであるが、一 方ではこのような分子をインビボで利用する可能性は、標的細胞特異性を持たな いため制限されている。 プロフェッショナルAPCの利用可能性とは別に、腫瘍細胞に対するT細胞依存 的拒絶反応は、共刺激性シグナルを腫瘍細胞表面に直接提示することによって実 現できる。いくつかのマウス腫瘍細胞をB7−1(Chen.L.ら、1992 ;Townsend、S.E.およびAllison、J.P.、1993;L i、Y,ら、1994)またはB7−2(Hodge、J.W.ら、1994; Yang,G.ら、1995)でトランスフェクトすることによって、マウスに おいてB7発現腫瘍に対するT細胞依存的拒絶反応を誘導させ、かつ非経口的B 7−陰性腫瘍細胞によるその後の攻撃を防御するするのである(Chenら、1 992;Yangら、1995;Basker、S.ら、1993)。 Alvarez−VallinaらはEur.J.Immunol.26(19 96)2304−2309において,scFv−CD28融合遺伝子とその構築 および機能的特性化について報告している。この遺伝子産物は、遺伝子導入後T 細胞内において産生させ、次いで膜貫通タンパク質として細胞膜中に挿入される 。Alvarez−Vallinaらによって報告されたこの融合タンパク質は 、、T細胞それ自体で産生されるシグナル伝達キメラ分子である。 本発明は、標的細胞の表面に対する共刺激性分子についての新規なアプローチか らなる。かかるアプローチは、好ましくは腫瘍特異的抗原に特異的な単鎖抗体領 域(scFv)に融合せしめた共刺激性分子の細胞外領域(即ち膜貫通領域また は細胞内領域を伴わない)からなり、好ましくは高率で過発現されたヒト腺ガン のI型成長因子レセプターからなるキメラ融合タンパク質に基づくものである。 このような分子は、機能的に活性であり、可溶性でありかつ細胞内領域がないた め膜局在性ではなく、例えばB7対抗レセプターやErbB2に結合する。この 融合タンパク質は、腫瘍特異的抗原を発現する標的細胞の表面に特異的に局在し ており、これによって共刺激シグナルを発するので、T細胞増殖が増大するので ある。本発明は、ガンの免疫療法に有効な腫瘍ワクチンをこのようなキメラリガ ンドを腫瘍細胞表面に向けて適合させることによって創 製することができることを証明するものである。 本発明は、以下から構成される可溶性で、二重特異性融合タンパク質を使用する ことを含んで成るものである:即ち、標的細胞に対するT細胞を特異的に共刺激 させるための以下からなる可溶性の二重特異性融合タンパク質を使用することか ら成る:即ち、 a)標的細胞上の特異的表面細胞を認識する結合性領域、および b)これと共有結合したT細胞増殖を共刺激する能力を有する領域。 本発明は更には、患者の前記標的細胞に対するT細胞を特異的に共刺激させるた めの前記融合細胞を含んでなる治療剤を製造する方法をも含むものである。この 治療剤は、局所的にまたは全身的に投与することができる。 驚くべきことに、本発明に従ったキメラ融合タンパク質を用いることによって極 めて特異的な細胞活性化が可能であることが見出されたのである。公知の細胞刺 激方法(例えば、当該細胞表面上でのB7刺激など)とは異なり、本発明に従え ば、腫瘍特異的表面抗原を有さない標的細胞を共存させた状態では細胞刺激を実 質的に一切行うことがないのである。従って、本発明に従った方法を使用した場 合、細胞のバックグラウンド刺激は一切行われない。 本発明に従った融合タンパク質は、細胞内領域を一切有さないが故にそれ自体で はシグナル伝達機能を有さない二つの結合性領域から構成されているのであるが 、細胞外に局在している場合は可溶状態で存在し、scFv領域を介した抗原と B7領域を介したCD28との双方と結合を行った場合T細胞の野生型CD28 を活性化するはずである。即ち、本発明の分子は、抗原依存性のシグナル伝達活 性化作用を有するのである。本発明に従った融合タンパク質は、結果的に特異的 免疫応答を刺激するに到る効果を有するが故に特異性を有するのである。 本発明に従った”標的細胞”なる用語は、好ましくは同遺伝子型細胞、腫瘍細胞 または病原体(例えば、ウイルス、最近、酵母、菌など)に感染した細胞を意味 する。 従って、本発明のもう一つの実施態様においては、例えばT細胞群に由来する細 胞毒性T細胞を特異的に活性化することも、本発明に従った融合タンパク質を用 いて実施することができるのであり、この場合当該融合タンパク質は、当該T細 胞上の共刺激性領域の特異的対抗レセプターに結合するのである。かかる場合、 IL−2を使用することによって事前処理を行うことが適当である。本発明のま たもう一つの実施態様においては、かかる共刺激は、T細胞の生体外または生体 内トランスフェクションと組合せることができる。この場合、T細胞は、所望と する遺伝子を有するウイルス性または非ウイルス性の遺伝子治療用ベクターで形 質導入させ、かくして得られた形質導入細胞を例えばポジテ ィブまたはネガティブ選択システムによって選別するのである。次いで、かかる T細胞は未だ静止状態にあるので、好ましくは本発明に従って共刺激性シグナル を介して刺激させ、インビトロまたはインビボでの増殖を開始させるのである。 本発明に従えば、共刺激性分子は、標的細胞の表面に対して方向ずけられるので あるが、かかる標的細胞は、好ましくはヒトB7−2の細胞外CD28結合性領 域に標的細胞特異的認識領域を付与されてなるものである。細胞表面抗原の均質 的な変性・代替物が、ヒトのガン細胞中においてすでに同定されている。このよ うなerbB2遺伝子は、185−キロダルトンの膜貫通糖タンパク質であって 、上皮成長因子(EGF)レセプター、ErbB−3やErbB−4なども含む I型レセプターチロシンキナーゼ(RTK)ファミリーの一員である(Pele s、E.およびYarden、Y.、1993)。ErbB2の過剰発現は、*** 、卵巣、肺、胃や唾液腺など、患者にとって好ましくない予後と相関関係を有す る種々の部位において発生するヒト腺ガンにおいてしばしば観察されている(H ynes、N.E.、1993)。ガン発生においてこのものが果たす役割とその 位置が、細胞表面上の接近可能な個所であるため、ErbB2は、直接治療の対 象となるのである。ヒトErbB2の細胞外領域に対して特異的であるモノクロ ーナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞のmRNAから、抗体の重鎖と軽鎖と の可変領域が合成リンカー配列を介して接続されてなる組み換え型単一鎖(sc Fv)抗体領域が以前構築されたことがある(Wels、W.ら、1992)。こ の組み換え型結合性領域をいくつかの融合タンパク質に導入し、例えば酵素、ト キシンまたは遺伝子形質導入した細胞毒性T細胞(Moritz、D.ら、19 94)などの異種のエフェクター機能を、腫瘍細胞を発現するErbB2に対し て特異的に対向させるために使用されてきた(Wels、W.ら、、Bio/T echnology、1992;Wels、W.ら、Cancer Res.、 1992)。 このような方策は、現実の抗腫瘍免疫応答とは独立しており、定着確立した腫瘍 を除去する上で有効となり得るが(Wels、W.ら、Cancer Res.、 1992)、腫瘍の再発可能性を防止し得るだけの長期間の保護または全身的免 疫を付与するものではない。逆に、本発明に従った分子は、特異的、T細胞依存 性抗腫瘍免疫応答の生成を支持・促進する可能性がある。本発明によれば、かか るキメラタンパク質は二重機能を有することが明らかとなっている;即ち、本キ メラタンパク質は、標的細胞を発現するErbB2の表面にscFv領域を介し て特異的に局在しかつ可溶性または細胞表面上CTLA−4と相互作用を行うの である。また同様に、この融合タンパク質は、FACS分析で測定した場合に低 いレベルのCD28を発現するJurkat細胞の表面 にも結合する。標的細胞を発現するErbB2を用いたインビトロ実験において 、本発明に従ったキメラタンパク質は、B7領域を介してPMA活性化同遺伝子 型のT細胞に対して共刺激作用を発揮したのである。 本発明に従った細胞表面を標的とした融合タンパク質は、予め活性化したT細胞 を共刺激することができたのである。以前に、可溶性B7−1−Ig融合タンパ ク質は1ないし10ug/mlの濃度においては、抗CD3抗体と組合せ使用し てもT細胞増殖をほんの僅かしか増大せしめなかったのであるが、プラスチック 表面に固定化した場合活性が高くなっていた(Linsleyら、1991)。こ れらの知見に対して最も可能性のある説明は、CD28表面は、ある程度のT細 胞活性化閾値に到達するためにはT細胞の表面でクラスターを形成する必要があ る、ということである(Ledbetter、J.A.ら、1990)。最近にな って、ジサルファイド−結合CTLA−4ホモダイマーが、極めて早い速度でモ ノマー性のB7−1またはB7−2の二分子と結合することが証明されたのであ る(Linsley、P.S.ら、1995)。このことはまた、CDCD28が B7ファミリーのメンバーと結合する場合−この結合は、B7−1よりもB7− 2に対してより早い速度で生起するのであるが一にも当てはまることは、大いに あり得ることである(Linsley、P.S.ら、1994)。抗体領域または 膜にアンカー固定したB7分子を介して標的細胞表面にアンカー固定したB7融 合タンパク質は一般的には、同時にCD28分子と多重に接触するのであり、こ れによって相互作用を安定化し、またCD28の架橋を生じさせるに到る可能性 がある。 本発明によれば、共刺激性分子、好ましくはヒトB7−2の細胞外領域は、抗体 領域を介して細胞表面に対向せた場合、T細胞を活性化させるための共刺激性シ グナルを発することができるのである。マウスモデル系における最近の研究の結 果、B7−1をトランスフェクトさせた腫瘍細胞は、B7−2遺伝子でトランス フェクトさせた腫瘍細胞よりもT細胞を活性化させる上でより効果的であること が示唆されている(Gajewski、T.F.ら、1996;Matulon is、U.ら、1996)。最近の報文において、マウスB7−1およびB7− 2の細胞外領域は、T−リンパ腫瘍細胞系EL−4の表面においてGPIアンカ ー固定されたペプチドとして発現している旨が発表されたが、これに基づくと、 EL−4トランスフェクタントを発現するB7−2は、PMA−刺激した一次T 細胞の増殖を高めるうえで少なくともB7−1トランスフェクタントと同時程度 の効果を有するように思われる(Brunschwigら、1995)。 E.coli発現系における組み換え型B7−2225タンパク質(アミノ酸 1−225)も作成されているが、このものは、B7対抗レセプターには結合す ることができなかった。このことは異なって、本発明に従えば、生物学的に活性 な、可溶性のリンパ球レセプターおよびそのリガンドは、酵母Pichia p astorisにおいて産生させることができるのである。B7-2225およびB7 −2225−scFv(FRP5)タンパク質およびPichiapastori s培養上済み液から精製して得られた切断型ヒトCTLA−4分子は、それぞれ のレセプターに対して特異的な結合性を示した。 本発明に従えば、機能的に活性であるB7−2融合タンパク質は、特異的な結合 性領域を介してSTY細胞の表面に対向せることができる。この融合タンパク質 がモジュラー構造を有するがゆえに、類似した分子であって、標的細胞特異性を 変えるかまたは免疫調節領域を変えた分子も得ることができる。このような分子 は従って、ガンの免疫治療のための有用な試薬である。 標的細胞上の表面抗原を認識する好ましい結合性領域としては、レセプターチロ シンキナーゼErbBファミリーのメンバーに対して特異的な成長因子領域また は組み換え型抗体領域(例えば、単鎖Fv領域;ジサルファイド架橋Fv領域) が挙げられれ、例えばEGFレセプター、変異型EGFレセプター(EGFRv III)、ErbB2(HER2、new)、ErbB3(HER3)、ErbB4 (HER4)など上皮由来の種々の腫瘍細胞上に過剰発現されているものが挙げ られる。このような結合性領域はそこで、腫瘍細胞または病原体に感染した細胞 など標的細胞の表面における発現が増大しているかまたはそこに限定している異 なった分子に結合することができるのである。このような結合性領域には、他の 成長因子およびサイトカインレセプターに結合する結合性領域、またはメラノー マ細胞の表面に発現するアルファ−MSHなどのペプチドリガンドレセプターと 結合する領域、または成長因子、サイトカインまたは例えばEGP−2またはモ ノクローナル抗体MOC−31によって認識される38キロダルトンのすい臓ガ ン抗体などのペプチドリガンドレセプターではない表面分子に結合する領域、ま たは感染宿主細胞の表面に発現する病原体抗体に結合する領域などが挙げられる 。 共刺激性リガンドおよび共刺激性リガンドの対抗レセプターの好ましい領域は、 Bリンパ球、プロフェッショナル抗体提示細胞またはTリンパ球の表面に発現す るB7−1(CD80)、B7−2(CD86)、B7−3、CD40、CD11a /18(LFA−1)、CD19、CD22、CD58(LFA−3)、CD59、 CD54、CD106(VCAM)、CD72、VTLA−4、CD28、CD4 0リガンド(CD40L)、CD54(ICAM−1)、CD45 RO、CD43、CD49d/29、CD5などから誘導される。 少なくとも二つの結合性領域を有する組み換え型キメラ分子は、標的細胞の表面 分子を認識する結合性領域をコードする核酸および共刺激性リガンドまたはその 対抗レセプターから誘導された結合性領域をコードする核酸を単離し、次いでこ れらの核酸を単一のオープンリーディングフレームで融合することによって誘導 させるのである。 本発明に従った、腫瘍細胞または病原体に感染した細胞等の標的細胞の表面分子 を認識する結合性領域および共刺激性リガンドから誘導された結合性領域(例え ばB7−1、B7−2など)とを包含するキメラ分子は、ワクチンとして機能す る可能性があり、また標的細胞の表面に特異的に局在し、かくして標的細胞に共 刺激活性を付与しかつまた標的細胞に特異的な細胞性免疫応答を容易にすること となる(例えば、Tリンパ球の活性化を共刺激することによって)。このことは、 ほ乳動物(患者;農場動物;ペット)をこのようなキメラ融合タンパク質で全身 処理するか、かかるキメラ融合タンパク質を腫瘍内に注入するか、またはかかる キメラ融合タンパク質を病原体に感染した組織内に注入することによって達成す ることができるであろう。またはその代わりに、かかるキメラ融合タンパク質は 、患者由来の腫瘍浸潤性リンパ球、即ちリンパ球活性化キラー細胞(LAK)、ま たはその他の患者由来のリンパ球製剤を、可能ならば例えばインターロイキン2 、インターロイキン12などの活性化サイトカインの共存下に加えて標的抗原を 発現する細胞の存在下で活性化させ、次いでかかる活性化リンパ球を患者の体内 に養子免疫伝達させるために生体外で使用することができるであろう。または、 かかる患者由来のリンパ球を、キメラ抗体レセプター(例えば、このキメラ共刺 激性分子で認識される標的細胞の表面上の同一抗原に特異的な結合性領域、即ち 標的細胞の表面上の異なる抗原を認識する結合性領域と例えばD3複合体のゼー タ鎖またはその他の分子などの分子から誘導せられた細胞内領域とから構成され るキメラタンパク質をコードする核酸)で形質導入したリンパ球から構成されて いてもよい。 下記する実施例、参考例、配列および図面は、本発明の理解を援助するために記 載されるものであり、本発明の範囲は添付したクレームにおいて記載されている 。修正・変更は、本明細書において記載された方法について本発明の精神から逸 脱することなく種々可能である旨了解される。 図の説明 図1:組み換え型B7−2タンパク質の構築と酵母における発現。(A)は、ヒ トB7−2のアミノ酸1ないし225をコードする酵母発現プラスミドpPI C9−B7−2225(上部パネル)とB7−2フラグメントをErbB2に特異 的な単一鎖抗体領域scFv(FRP5)に融合させたものをコードするpPI C9−B7−2225−scFv(FRV5)(下部パネル)内部におけるB7− 2遺伝子の概略図である。酵母Pichia pastoris内における発現 は、アルコールオキシダーゼプロモータ(AOX1)によって調節され、酵母α 因子分泌シグナル(α)を介して細胞外空間に配向される。M、c−Myc t ag;H、ポリヒスチジン tag。(B)B7−2225−scFv(FRP5 )融合タンパク質のSDS−PAGE分析。レーン1は、Pichia pas toris 培養上済み液から精製したクーマッシー染色したB7−2225−sc Fv(FRV5)タンパク質;レーン2および3、融合タンパク質のC−末端c −Myc tagに特異的なモノクローナル抗体9E10を用いた精製B7−2225 −scFv(FRV5)(レーン2)およびN−グリコシダーゼF処理後の B7−2225−scFv(FRV5)(レーン3)のイムノブロット分析。M、分 子量標準物質(kDa)。 図2:B7−2225−scFv(FRP5)とCTLA−4との結合。B7−22 25 −scFv(FRV5)とCHO細胞(A)および50倍モル過剰の可溶性C TLA−4タンパク質(C)の不存在下(A,B)または存在下でヒトCTLA −4cDNAによって安定にトランスフェクトしたCHO−CTLA−4細胞と の結合は、モノクローナル抗体9E10とFITC標識(A)またはPE標識( B、C)したヤギ抗マウスIgGを用いたFACS分析によって検出した。 図3:B7−2225−scFv(FRV5)とErbB2との結合。(A)は、 バクテリアで発現させたグルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)−Er bB2融合タンパク質(レーン2)またはGSTコントロールタンパク質(レーン 3)とともに培養した後グルタチオン結合アガロースビーズで沈殿させたB7− 2225−scFv(FRP5)タンパク質のモノクローナル抗体9E1 0によるイムノブロット分析。M、分子量標準物質(kDa)。(B)B7−222 5 −scFv(FRP5)のマウスHC11細胞およびヒトErbB2cDNA で安定にトランスフェクトしたHC11−ErbB2細胞との結合は、モノクロ ーナル抗体9E10とFITC標識したヤギ抗マウスIgGによるFACS分析 によって検出した。 図4:B7−2225−scFv(FRP5)による同一遺伝子型T細胞の共刺激 。(A)HC11−ErbB2細胞およびPMAで事前刺激したBalb/cマウ ス由来の一次T細胞を明示したように10ng/mlの精製B7−2225−sc Fv(FRP5)の存在下または不存在下で培養した。細胞の増殖は、[3H] −チミジン取り込みによって測定した。(B)細胞を(A)において記述したよ うに、明示した可溶CTLA−4タンパク質または0.5ug/mlの抗−B7 −2抗体を添加するかまたは添加せずに処理した。それぞれの数値は、三回の測 定から求めた。標準偏差は、誤差バーで示してある。 図5:B7−2225−scFv(FRP5)による共刺激は、細胞表面のErb B2への結合に依存して変わる。(A)HC11−ErbB2細胞を図4の凡例に おいて記載したように事前刺激したT細胞で明示した通り濃度を上げた精製B7 −2225−scFv(FRP5)またはB7−2225の存在下で培養した。コント ロール細胞は、組み換え型タンパク質の不存在下で処理した。細胞の増殖は、[3 H]−チミジン取り込みによって測定した。(B)HC11−ErbB2細胞 または非経口HC11細胞をB7−2225−scFv(FRP5)で処理し、明示 した通り5倍過剰量の事前刺激した同一遺伝子型T細胞とともに培養し、細胞の 増殖は、[3H]−チミジン取り込みによって測定した。コントロールは、T細 胞または標的細胞の不存在下での[3H]−チミジン取り込みのバックグラウン ドを示す。それぞれの数値は、三回の測定から求めた。標準偏差は、誤差バーで 示してある。 実施例1 B7−2225−scFv(FRP5)融合遺伝子の構築 ヒトB7−2(アミノ酸1ないし225、B7−2225と称する)の細胞外領域 、ErbB2特異的scFv(FRP5)および免疫学的検出とアフィニティー 精製を容易にする合成配列タグをコードする融合遺伝子を酵母発現ベクターpP IC9(Invitrogen)のAvrII部位とNotI部位に挿入した。 このベクターにおいては、遺伝子発現は、メタノール誘導アルコールオキシダー ゼI(AOXI)プロモータによって制御されており、またこの遺伝子産物は、 N−末端α−因子分泌シグナルを介して媒体中に分泌される。pPIC9もまた 、Pichia pastoris HIS4変異下部GS115(Invit rogen)でのポジティブ選択を行うための機能性ヒスチジノールデヒドロゲ ナーゼ(HIS4)遺伝子を含んでいる。B7−2225cDNAは、ヒト末梢 血単角細胞(PBMC)cDNAの全RNAから逆転写を行い、次いで、pCR 産物の5’−末端にSaIIとNheI制限部位を、また3’−末端にClaI 、BgIIIとXbaI制限部位をそれぞれ導入するオリゴヌクレオチドB7− 2センス5’−AAAAGTCGACGCTAGCGCTGCTCCTCTG− 3’(SEQ ID No:1)とB7−2−アンチセンス5’−AAAACTC TAGAGATCTATCGATAGGAATGTGGTCTGG−3’(SE Q ID NO:2)を用いてPCRを行うことによって誘導されたものである 。このB7−2225cDNA断片、scFv(FRP5)をコードするcDNA (Welsら、Bio/Technology、1992)およびモノクローナ ル抗体(Mab)9E10によって認識されるMyeタグをコードする合成配列 (Evan、E.I.ら、1985)ならびにポリヒスチジンタグをシングルオ ープンリーディングフレーム内に組み込んで、その後発現ベクターpPIC9に 挿入した。対照として、scFv(FRP5)領域を欠落する類似B7−2225 遺伝子を構築した。この構築物の完全さを制限解析とDNA配列決定によって確 認した。 実施例2 a)細胞系と細胞培養条件 CHO細胞およびヒトCTLA−4cDNAで安定にトランスフェクトしたCH O−CTLA−4細胞を、2mMのグルタミン、50uMβ−メルカプトエタノ ール、10%加熱不活性化処理したウシ胎子血清(FBS)と1mg/m 1G418(CHO−CTLA−4)とを含むデオキシリボヌクレオシドによる MEMα中に保持した。Balb/c誘導HC11マウス乳腺上皮細胞およびヒ トerbB2cDNAで安定にトランスフェクトしたHC11−ErbB2細胞 (HC11 R1#11)を上記したように8%FBSと5ug/mlウシイン スリンを添加したRPMI1640で増殖させた(Hynes,N.E.ら、1 990)。Pichia pastoris GS 115酵母細胞(Invi trogen)を、緩衝処理した最小グリセリン−コンプレックス培地(BMG Y)中で伝播させ、組み換えタンパク質の発現を、販売業者の勧告に従って緩衝 処理した最小メタノールコンプレックス培地(BMMY)で誘発させた。 b)組み換えタンパク質の発現と精製 キメラ融合タンパク質B7−2225−scFv(FRP5)の構築と酵母中での 発現 ErbB2特異的scFv(FRP5)抗体領域(Welsら、Bio/Tec hnology、1992)に融合させたヒトB7−2(アミノ酸1ないし22 5、B7−2225と称する)の細胞外領域をコードするキメラ遺伝子を構築し、 1A図に図示する酵母発現ベクターpPIC9に挿入した。得られたプラスミド pPIC9−B7−2225−scFv(FRP5)は、メタノール誘導性アルコ ールオキシダーゼ1(AOX1)プロモーターの制御下にB7−2225−scF v(FRP5)と称するキメラ融合タンパク質をコードするものであるが、この タンパク質は、酵母由来のN−末端α−因子分泌シグナル、ヒトB7−2のアミ ノ酸1ないし225領域,scFv(FRP5)抗体領域、Mab 9E10に よって認識されるMycエピトープ(Evanら、1985)および組み換えタ ンパク質のNi2+アフィニティ−クロマトグラフィーによる精製を容易ならしめ るポリヒスチジンクラスターとから構成されるものである。 このB7−2225−scFv(FRP5)タンパク質を、Pichia pas toris GS115株内において発現させ、Ni2+アフィニティークロマト グラフィーとゲル濾過によって精製した。酵母培養液の上済み液1リット ルから精製した可溶性組み換えタンパク質の収量は、典型的には0.5mgであ った。この生成物についてSDS−PAGEとMab 9E10イムノブロット による分析を行ったところ、二段階の精製の後で90%以上の精度であることが 判った(図1B)。このB7−2225−scFv(FRP5)分子は、非還元条件 下でのSDS−PAGEで測定されているようにモノマーとして酵母培養液の上 済み液中および精製フラクション中に存在しているのである(データはここに示 さない)。分子量の計算値が55.95kDaであるのとは異なり、このタンパ ク質は、還元性の条件下におけるSDS−PAGEにおいては、見かけの分子量 がほぼ80ないし110kDaであるいくつかのバンドのスミアとして移動する (図1B)。このタンパク質をN−グリコシダーゼで処理したところ、見かけの分 子量がほぼ60kDaにまで低下したが、このことは、酵母発現のB7−2225 −scFv(FRP5)タンパク質の見かけの分子量が高くなるのは、主として N−結合グルコシル化による翻訳後修飾に起因するものであることを示している 。 線状化pPIC9−B7−2225とpPIC9−B7−2225−scFv(FRP 5)プラスミドとのDNAを、エレクトロポレーションによるPichia astoris GS115細胞の形質転換を行うために使用した(Score r、C.A.ら、1994)。His4+/メタノール資化+(mut+)酵母コロ ニーを選択培地上において確立された慣用プロトコールに従って(Barr、K .A.ら、1992)単離し、メタノールで誘導したところ、B7−2225また はB7−2225−scFv(FRP5)発現クローンを、Mab 9E10を用 いた培養上済み液をイムノブロット分析することによって同定した。大規模な発 現を行わせるために、単一コロニーをそれぞれpH8のBMGY培地において3 のOD600になるまで成育させ、培地をpH8のメタノール含有BMMY培地 と交換し、タンパク質発現を30℃で誘発させた。酵母細胞を20、000Gで の遠心分離することによって除去した。可溶性のB7−2225およびB7−2225 −scFv(FRP5)融合タンパク質を含有する上済み液を45umのフィル ターに通し、次いでNi2+−飽和キレート性セファロースカラム(Pharm acia Biotech)にかけ、C−末端ポリヒスチジンタグを介して結合 させた組み換えタンパク質を PBS中250mMのイミダゾールを用いて溶出させた。このB7−2225−s cFv(FRP5)タンパク質をさらにSuperdex200カラム(Pha rmacia Biotech)を用いたゲル濾過によって精製し、この融合タ ンパク質を含有するフラクションをSDS−PAGEおよびMab 9E10を 用いたイムノブロッティングで同定し、収集し、限外濾過で濃縮し、次いでPB Sに対して透析した。酵母由来のB7−2225−scFv(FRP5)タンパク 質の翻訳後修飾を脱グルコシル化反応で分析した。0.2ugの精製融合タンパ ク質を0.1%SDSを含むPBS中において100℃にまで10分間加熱した 。Triton X−100を最終濃度が1%となるように添加し、このタンパ ク質をN−グルコシダーゼF(Boehringer Ingelheim G mbH、DE)とともに全反応容積を100ulとして37℃において16時間 培養した。次いでこの試料をSDS−PAGEとMab 9E10によるイムノ ブロッティングで分析した。 実施例3 結合分析 a)精製したB7−2225−scFv(FRP5)が、CTLA−4発現細胞に 特異的に結合する。 B7−2は、T細胞の表面上のB7対抗レセプターCD28およびCTLA−4 と結合するのである(Hathcockら、1993;Freemanら、Sc ience、1993;Azumaら、1993)。B7−2領域の機能性を検 討するために、組み換えB7−2225−scFv(FRP5)の細胞表面上のC TLA−4に対する結合性をFACS分析によって試験した。ヒトCTLA−4 のcDNAで安定にトランスフェクトさせたCHO−CTLA−4細胞をB7− 2225−scFv(FRP5)とともに培養し、特異的に結合させた融合タンパ ク質をMab 9E10およびFITC−標識ヤギ抗マウスIgGを用いて検出 した。得られた結果を図2Aに示す。CHO対照細胞ではなくCHO−CTLA −4細胞に対するB7−2225−scFv(FRP5)の有意な結合は、検出す ることが可能であった。相当する結果は、scFv領域を 欠落するB7−2225および抗−CTLA−4抗体を用いて得られた。CTLA −4へのB7−2225−scFv(FRP5)結合特異性は、競合検定試験でさ らに確認した。可溶性B7−2タンパク質と同様にして、ヒトCTLA−4のア ミノ酸1ないし125を含んで成る組み換えタンパク質をPichia pas toris において発現させ、培養上済み液から精製した。CHO−CTLA− 4細胞をB7−2225−scFv(FRP5)とともに特異的競合物として50 倍モル過剰の可溶性CTLA−4タンパク質の存在下または不存在下で培養し、 B7−2225−scFv(FRP5)の結合性をMab 9E10およびPE− 標識可ヤギ抗マウスIgGを用いたFACS分析によって検討した。図2Bおよ び図Cにおいて示すように、可溶性CTLA−4タンパク質は、B7−2225− scFv(FRP5)のVHO−CTLA−4細胞への結合を殆ど完璧に阻止し た。これらのデータから、B7−2225−scFv(FRP5)のB7−2領域 が機能的に活性でありかつ特異的にB7対抗レセプターと相互作用することが明 らかとなった。 B7−2225−scFv(FRP5)のB7対抗レセプターCTLA−4に対す る結合性は、CHO−CTLA−4と対照として親のCHO細胞を用いたFAC S分析によって測定決定した。5 x 105のトリプシン化細胞を0.1また はlugのB7−2225−scFv(FRP5)タンパク質とともに4℃におい て45分間培養し、次いで3ugのMab 9E10およびFITC−またはP Eで標識化したヤギ抗マウスIgG(PharMingen)と共に30分間培 養した。B7−2225−scFv(FRP5)の結合は、FACSスキャン(B ecton−Dickinson)を用いて検出した。同様に、マウス乳腺表皮 細胞を発現するErbB2へのB7−2225−scFv(FRP5)の結合は、 FACS分析によって求めた。同様にErbB2に対するB7−2225−scF v(FRP5)の結合も、ErbB2タンパク質の N−末端部を含有しかつErbB2特異的Mab FRP5によって認識される 組み換えグルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)融合タンパク質を用い て試験した。バクテリアを用いて発現させたGSTまたはGST−ErbB2融 合タンパク質(19ug)をそれぞれ200ulのグルタチオン結合アガロース ビーズに結合させた。このビーズを4ugのB7−2225−scFv(FRP5 )とともに培養し、PBSで洗浄し、特異的に結合させたタンパク質をSDS− PAGEおよびB7−2225−scFv(FRP5)タンパク質に特異的に結合 するMabを用いたイムノブロッティングによって分析した。 実施例4 細胞増殖測定 a)B7−2225−scFv(FRP5)は、同遺伝子型T細胞増殖に対する共 刺激作用を有する。 キメラB7−2225−scFv(FRP5)タンパク質は、CTLA−4および 細胞表面上のErbB2に結合するので、二重特異性を有する。いくつかの研究 報告によれば、ヒトB7−1またはB7−2は、マウスB7対抗レセプターCD 28またはCTLA−4と機能的に相互作用を及ぼすことができまたそれとは逆 の相互作用が可能であることが明らかとなっている(Freeman、G.J. ら、J.Exp.Med.、1993;Cai、Y.C.ら、1995)。精製し たB7−2225−scFv(FRP5)が細胞の表面に提示された場合、T細胞 増殖を共刺激することができるか否かを決定するために、同遺伝子型リンパ球反 応(SLR)を、MPAとIL−2で事前刺激処理したBalb/cマウス由来 の一次T細胞およびBalb/c揺らいで、その表面においてヒトErbB2を 発現するマウスHC11−ErbB2とを用いて実施した。このHC11−Er bB2細胞をB7−2225−scFv(FRP5)(10ng/ml)で処理し 、次いで5倍過剰量の事前刺激処理T細胞とともに培養した。B7−2225−s cFv(FRP5)処理を行った場合、この融合タンパク質の不存在下で処理し た細胞と比較してT細胞増殖が強度の増大し た(図4A)。500モル倍の可溶性CTLA−4または30モル倍の阻害性抗B 7−2抗体FUN−1(PharMingen)を添加することによって、B7 −2225−scFv(FRP5)の持つ刺激性効果が全く低減した(図4B)。こ のことは、観察されたT細胞増殖の刺激が、B7−2領域がT細胞上にあるその 同族対抗レゼプターと特異的に相互作用を及ぼすことに起因することを示してい る。 b)B7−2225−scFv(FRP5)の細胞表面ErbB2への結合が、T 細胞の共刺激には必要である。 細胞表面に結合したB7−2225−scFv(FRP5)は、T細胞増殖のため の共刺激性シグナルを付与する。細胞表面での提示がB7−2225−scFv( FRP5)の共刺激性活性に必要であるか否かを検討するために、HC11−E rbB2細胞および同遺伝子型T細胞を用いたSLR実験を、精製B7−2225 −scFv(FRP5)またはErbB2特異的抗体領域を欠落する類似B7− 2225タンパク質を共存させ、かつその濃度を上昇させて上記したように実施し た。図5Aに図示するように、B7−2225は、培養に共存させたもののHC1 1−ErbB2細胞表面とは結合することができないので、T細胞増殖を刺激し なかったが、他方ではB7−2225−scFv(FRP5)分子は10ng/m l以上の濃度では、T細胞増殖を強度に増大させた。B7−2225−scFv( FRP5)の共刺激活性が、細胞表面ErbB2への結合度に対して依存してい ることは、HC11−Erb2と親HC11細胞を用いた類似SLR実験におい て確認された。B7−2225−scFv(FRP5)(1ug/ml)存在下で のHC11−ErbB2は、−HC11細胞ではそうではないが―T細胞増殖を 強度に刺激することになったのであるが、このことは、このキメラタンパク質を ErbB2発現細胞の細胞表面に提示す ることが、その共刺激活性に必要であることを示している(図5B)。これらのデ ータから、B7−2225−scFv(FRP5)分子は、ErbB2発現標的細 胞に対して極めて特異性が高くかつErbB2陰性細胞とのHNにおいては、可 溶性形としてのみ存在する場合はT細胞増殖を増大させないことが明らかとなっ た。 Balb/cマウス由来の脾臓細胞を、NH4Clを用いた低張性溶解によって それから赤血球を除去し、次いで報告において記載されているように(Coli gan、J.E.ら、1993)ナイロン−ウールシリンジ中を通過させた。こ の濃縮細胞製剤は、FACS分析で測定したところT細胞は85%以上、B細胞 (Ig+)は5%以下また他の細胞はほぼ10%含有していた。濃縮一次T細胞 を、10ng/mlのPMA(Sigma)と50IU/mlの組み換えヒトI L−2(Boehringer Mannheim GmbH、DE)とを含有 する培地で48時間事前刺激処理した。2x104個のマイトマイシン処理HC 11またはHC11−ErbB2細胞を1、10、100または1000ng/ mlのB7−2225−scFv(FRP5)融合タンパク質とともに96個のウ エルのプレートで2時間培養した。比較対照細胞をscFv(FRP5)領域を 欠落したB7−2225融合タンパク質で処理するかまたは未処理のまま放置した 。1x105個の事前刺激処理したT細胞を、各ウエルに添加し、細胞をさらに 8%のFBSと20IU/mlの組み換えヒトIL−2を添加したRPMI培地 で全用量を200ul/wellとして2時間培養した。得られた細胞を0.2 5uCi/wellの[3H]−チミジン(DuPont)で20時間パルス処 理し、[3H]−チミジンの取り込み量を液体シンチレーション計数器(Bec kman)で測定した.
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 37/04 A61K 37/62 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(GH,GM,KE,LS,M W,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY ,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL,AM ,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY, CA,CH,CN,CU,CZ,DE,DK,EE,E S,FI,GB,GE,GH,GM,GW,HU,ID ,IL,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ, LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MD,M G,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,PL,PT ,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL, TJ,TM,TR,TT,UA,UG,US,UZ,V N,YU,ZW

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1. 標的細胞に対するT細胞を特異的に共刺激させるための以下からなる可溶 状態にある二重特異性融合タンパク質を含んで成る治療剤を製造する方法: a)標的細胞上の特異的表面細胞を認識する結合性領域、および b)これと共有結合したT細胞増殖を共刺激する能力を有する領域。 2.前記結合性領域が、前記標的細胞の表面で発現した成長因子またはサイトカ インレセプターに結合している、請求項1において請求された方法。 3. 前記結合性領域が、前記標的細胞の表面で発現したErbBチロシンキナ ーゼに対して特異的な結合性領域である、請求項1において請求された方法。 4. 前記結合性領域が、前記標的細胞の表面で発現した病原体(例えば、ウイ ルス、バクテリア、酵母、菌など)の抗原に結合している、請求項1において請 求された方法。 5. 前記共刺激性領域が、T細胞の表面上のB7対抗レセプターを結合する、 B7分子の結合性領域である、請求項1ないし4項に記載された方法。 6. 前記共刺激性領域が、T細胞の表面上の対抗レセプターを結合する、CD 40L分子の結合性領域である、請求項1ないし4項に記載された方法。 7. 前記標的細胞が腫瘍細胞である、、請求項1ないし6項に記載された方法 。 8. 前記標的細胞が病原体(例えば、ウイルス、バクテリア、酵母、菌など) に感染した細胞である、請求項1ないし7項に記載された方法。 9. 前記T細胞が同遺伝子型のT細胞である、請求項1ないし8項に記載され た方法。 10. 前記T細胞が、患者由来の腫瘍浸潤性リンパ球、リンホカイン活性化キ ラー細胞または細胞毒性T細胞である、請求項1ないし9項に記載された方法。 11. 前記T細胞が、細胞毒性T細胞でありかつ前記患者がIL−2で治療さ れ、次いで可溶状性の二重特異性融合タンパク質で治療される、請求項1ないし 10項に記載された方法。 12. 標的細胞に対するT細胞を特異的に共刺激させるための以下からなる可 溶性二重特異性融合タンパク質の用途: a)標的細胞上の特異的表面細胞を認識する結合性領域、および b)これと共有結合したT細胞増殖を共刺激する能力を有する領域。
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