JP2001510488A - ポリエチレンテレフタレート廃棄物からのテレフタル酸及びエチレングリコールの回収方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 本発明の対象は、ポリエチレンテレフタレート廃棄物からのテレフタル酸及びエチレングリコールの回収方法である。本発明では、ポリエチレンテレフタレートをアンモニア及びアルカリ金属の重炭酸塩、カルバミン酸アンモニウム並びに尿素からなる群から選択された試薬物質と共に水溶液中で１５０〜２８０℃の温度に加熱し、この試薬物質は計算量以上の量で使用される。

Description

【発明の詳細な説明】 ポリエチレンテレフタレート廃棄物からの テレフタル酸及びエチレングリコールの回収方法 本発明の対象は、ポリエチレンテレフタレート廃棄物からのテレフタル酸及び エチレングリコールの回収方法である。 ポリエチレンテレフタレートは、びんや容器、工業用形物、合成繊維、絶縁フ ォイル及び他の日用品の製造に一般的な材料として用いられており、世界的に生 産量が今なお増加していることから、その膨大な実用価値の他に、廃棄物量も急 速に増加している。 ポリエチレンテレフタレートの化学的性質により、非常に過酷な大気条件に対 して極めて高い抵抗性を有するプラスチックとして、その廃棄物は微生物的分解 や自然分解を受けず、変化しない形状で非常に有害で環境の永続的な汚染であり 続ける。 同時に、ポリエチレンテレフタレート製造のための原料、例えばエチレングリ コール及びテレフタル酸は今なお高価である。 ポリエチレンテレフタレート廃棄物の再粒化体を製造して任意の製品の形成過 程において主原料に添加しても廃棄物問題の解決にはならず、その燃焼が同様に 有害であるために当座しのぎにすぎない。 現在までに、米国特許明細書第４５４２２３９号によりポリエチレンテレフタ レートからのテレフタル酸の回収方法が知られており、この方法は使用済みの容 器や飲料のビンを含む適当に砕いた廃棄物の加温及び加圧下での水酸化アンモニ ウムを含有する媒体との反応、及び形成されたテレフタル酸の水溶性ジアンモニ ウム塩水溶液の酸性化によるテレフタル酸の沈殿に基づいている。テレフタル酸 の分離後に残った溶液の一部はアルカリ性媒体で処理してアンモニウムを分離し 、充填材料として基質の一部に、テレフタル酸の分離後に残った溶液の第二の部 分と共に再利用された。 独国特許出願第１９６２９０４２．２号から、ポリエチレンテレフタレート廃 棄物からのテレフタル酸及びエチレングリコールの製造方法が知られている。こ の方 法はＩ族の金属の炭酸塩又は炭酸アンモニウムの微アルカリ性媒体中でｐＨ値を 低下させることによって、望ましくない副反応が何も起こらず製品の汚染が防止 されるように行われる。 公知の方法では、適当に砕かれたポリエチレンテレフタレート廃棄物を温度を 徐々に好ましくは２００℃まで上昇させながらアルカリ金属又はアンモニア炭酸 塩の水溶液で処理し、その後ポリエステルの蒸解が完了するまで温度を一定に保 つ。反応中に形成される二酸化炭素は、一定の圧力下で反応環境から永続的に除 去し、飽和時まで、アルカリ金属、好ましくはナトリウムＮａ、カリウムＫの水 酸化物の水溶液、又はアンモニア水に吸収させる。反応混合物は、固体不純物の 除去及び冷却の後、好ましくは３重量％の濃度の過酸化水素水溶液中で酸化処理 し、その後、テレフタル酸の沈殿が完了するまで、溶液を酸溶液、好ましくは鉱 酸溶液で中和する。エチレングリコール及び中和に用いた酸の塩による溶液中に 得られたテレフタル酸の懸濁液から固相を分離し、次いでこの固相を洗浄及び／ 又は結晶化並びに乾燥を含む精製処理にかけ、結果として所望の含水量のテレフ タル酸を得る。水の留去及び中和に用いた酸の塩の分離後、得られた溶液からエ チレングリコールを留去する。生成した二酸化炭素を水酸化物又はアンモニア溶 液中に吸収させた結果形成された炭酸塩は、その後バッチとして使用され公知の 方法により処理される。 本発明の方法では、砕いたポリエチレンテレフタレート廃棄物をアンモニア及 びアルカリ金属の重炭酸塩、カルバミン酸アンモニウム並びに尿素を含む群から 選択された試薬物質と共に加熱し、この試薬物質は１５０〜２８０℃の間の温度 で計算量以上の量による水溶液として使用される。 ポリエチレンテレフタレートを蒸解した後に得られたテレフタル酸塩の水溶液 を独国特許出願第１９６２９０４２．２号から知られる方法によってさらに加工 するが、この方法は、高温の溶液をろ過し、ろ液を鉱酸で中和してテレフタル酸 を分離し、テレフタル酸を水で洗浄して水から最終的な結晶化を行い、得られた ろ液を中和して蒸留又は抽出を用いてエチレングリコールを分離することを含む 。 本発明の方法を用いて行われる反応は１８０〜２００℃の間の温度範囲におい て好ましい経過が得られる。 本発明の方法は、市場に要求される高純度の製品の製造を可能にし、自然環境 の永続的で有害な汚染である廃棄物を利用する可能性をもたらすものである。 実施例Ｉ．ミキサーを備え部分的に水を入れた加熱済みのオートクレーブに、フ ォイルのスクラップや工業用形物のかけらの形状をとる切断ポリエチレンテレフ タレート廃棄物１０００ｇを、炭酸水素ナトリウム（ＮａＨＣＯ₃）８７５ｇの 水１０リットル溶液と共に入れ、反応器の内容物を２００℃まで加熱し、ポリエ チレンテレフタレートの蒸解が完了し二酸化炭素の形成が止まるまでその温度を 保った。その後オートクレーブを放圧し、二酸化炭素と過剰の水を分離し、得ら れた溶液を熱いうちに活性炭を有するフィルターでろ過した。ろ液を塩酸で中和 し、遠心分離を用いてテレフタル酸の沈殿を反応溶液から分離した。得られた生 成物を蒸留水で洗浄し水から結晶化して、テレフタル酸８６４ｇを得た。同時に 、炭酸ジエチルでの抽出を用いて、中和したろ液からエチレングリコールを分離 し、エチレングリコール３２２．６ｇを得た。 実施例II．ミキサーを備え、部分的に水を入れた加熱済みのオートクレーブに、 ビンや布地のスクラップの形状をとる砕いたポリエチレンテレフタレート廃棄物 １０００ｇを、炭酸水素カリウム（ＫＨＣＯ₃）１０４３ｇの水１０リットル溶 液と共に入れ、反応器の内容物を１９０℃まで加熱し、ポリエチレンテレフタレ ートの蒸解が完了し二酸化炭素の形成が止まるまでその温度を保った。その後、 オートクレーブを放圧し、二酸化炭素を分離し、得られた溶液を熱いうちに活性 炭を有するフィルターでろ過した。ろ液をオルトリン酸で中和し、遠心分離を用 いてテレフタル酸の沈殿を反応溶液から分離した。得られた生成物を蒸留水で洗 浄し、水から結晶化して、テレフタル酸８６４．２ｇを得た。同時に、中和した ろ液から蒸留を用いてエチレングリコールを分離し、エチレングリコール３２２ ．５ｇ及びほぼ理論量の無機塩を得た。 実施例III．ミキサーを備え、部分的に水を入れた加熱済みのオートクレーブに 、フィルムやビンのスクラップの形状をとる砕いたポリエチレンテレフタレート 廃棄物１０００ｇを、炭酸水素アンモニウム（ＮＨ₄ＨＣＯ₃）８２３ｇの水１０ リットル溶液と共に入れた。その後、反応器の内容物を１８５℃まで加熱し、ポ リエチレン テレフタレートの蒸解が完了し二酸化炭素の形成が止まるまでその温度を保った 。オートクレーブを放圧し、二酸化炭素及び水の過剰分を除去し、二酸化炭素は アンモニア溶液が入った反応器に吸収させた。反応器内で得られた炭酸水素アン モニウムは、投入混合物の調製における次のバッチに用いた。オートクレーブ内 に形成された生成物の水溶液を、熱いうちに活性炭を有するフィルターでろ過し た。冷却したろ液を硫酸で酸性化し、テレフタル酸の沈殿析出物を遠心分離で反 応液から分離した。得られた生成物は蒸留水で洗浄し、水から結晶化して、テレ フタル酸８６３ｇを得た。溶液からは、テレフタル酸の沈殿及び溶媒留去の後、 エチレングリコール３２２ｇ及び理論量のアンモニウム塩を得た。 実施例IV．ミキサーを備え、部分的に水を入れた加熱済みのオートクレーブに、 フィルムやビンのスクラップの形状をとる砕いたポリエチレンテレフタレート廃 棄物１０００ｇを、カルバミン酸アンモニウム（ＮＨ₄ＣＯＮＨ₂）４０７ｇの水 １０リットル溶液と共に入れた。その後、反応器の内容物を２００℃まで加熱し 、ポリエチレンテレフタレートの蒸解までその温度を保った。オートクレーブを 放圧し、二酸化炭素及び水の過剰分を除去した。オートクレーブ内に形成された 生成物の水溶液を熱いうちに活性炭を有するフィルターでろ過した。冷却したろ 液を硫酸で酸性化し、テレフタル酸の沈殿を速心分離でろ液から分離した。得ら れた生成物を蒸留水で洗浄しテレフタル酸８６２ｇを得た。溶液からは、沈殿及 び分離の後、エチレングリコール３２１ｇが蒸留処理を用いて分離され、残さは 硫酸アンモニウムであった。 実施例Ｖ．ミキサーを備え、部分的に水を入れた加熱済みのオートクレーブに、 合成繊維製造後廃棄物の形状をとる砕いたポリエチレンテレフタレート廃棄物１ ０００ｇを、水１０リットル中の溶液の形態をとる尿素（ＮＨ₂ＣＯＮＨ₂）３１ ３ｇの溶液と共に入れた。その後、反応器の内容物を２００℃まで加熱し、ポリ エチレンテレフタレートの蒸解が完了するまでその温度を保ち、熱いうちにフィ ルターでろ過した。冷却したろ液を硫酸で酸性化し、沈殿したテレフタル酸を遠 心分離で分離し、洗浄・結晶化して生成物８６４ｇを得た。残った溶液からエチ レングリコール３２２ｇが得られ、その後の結晶化の結果、硫酸アンモニウムが 分離された。 実施例における基質及び生成物の相互の量を、ポリエチレンテレフタレート１ ０００重量部に対して計算して表１に提示する。 表１ 上記実施例において得られたテレフタル酸の化学分析の結果を表２に提示する 。 表２

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １． 適当に砕いたポリエチレンテレフタレート廃棄物を加温下で微アルカリ性 水溶液で処理し、固体不純物の分離及び冷却の後、反応混合物を酸で中和し得ら れた混合物から固相を分離して精製及び乾燥し、残った溶液からエチレングリコ ールを分離する、ポリエチレンテレフタレート廃棄物からのテレフタル酸及びエ チレングリコールの回収方法であって、ポリエチレンテレフタレートを、アンモ ニア及びアルカリ金属の重炭酸塩、カルバミン酸アンモニウム並びに尿素を含む 群から選択された試薬物質と共に水溶液中で１５０〜２８０℃の温度に加熱し、 試薬物質を計算量以上の量で使用することを特徴とする方法。 ２． 砕いたポリエチレンテレフタレートを水溶液中で１８０〜２００℃の温度 に加熱することを特徴とする、請求項１に記載の方法。 ３． 工程中に形成される二酸化炭素を少なくとも部分的にアルカリ溶液に吸収 させて再利用することを特徴とする、請求項１又は２に記載の方法。