【発明の詳細な説明】
硬質ポリウレタンフォームにおけるペンタンとシクロペンタンの相溶性を向上さ
せるためのブチレンオキシド(BO)をベースとするポリオールの使用
ポリエーテルポリオールはポリウレタン及びポリイソシアヌレートフォーム(
フォーム)の製造において用いられ、通常、スクロース、ソルビトール、又はグ
リセロールのような開始剤を用いてプロピレンオキシド及び/又はエチレンオキ
シドより製造される。ポリエーテルポリオールより製造されるポリウレタンフォ
ームは、建築、器具、自動車、及びカーペット用途を含む種々の用途に用いられ
ている。特に硬質フォームは器具及び建築用途に用いられている。ポリウレタン
フォーム組成物の製造に用いられるポリオールブレンドは、他の成分に加えて発
泡剤を含む。発泡剤はフォーム内に気泡構造を形成するために用いられる。ハロ
ゲン化炭化水素のような従来の発泡剤のあるものは、環境に有害であることが認
められている。
ポリエステルポリオールはポリウレタン及びポリイソシアヌレートフォーム(
フォーム)の製造に用いられ、通常エチレングリコール誘導体及び/又はプロピ
レングリコール誘導体、及び例えば無水フタル酸、ジメチルテレフタレート、及
びアジピン酸のようなカルボン酸及び/又はカルボン酸誘導体(以後、カルボキ
シル成分という)より製造される。ポリエステルポリオールより製造されるポリ
ウレタンフォームは、建築、器具、シールド、及び現場発泡用途を含む多くの用
途において用いられている。ポリウレタンフォーム組成物の製造に用いられる配
合ポリエステルポリオールブレンドは、
他の成分に加えて発泡剤を含む。発泡剤はフォーム内に気泡構造を形成するため
に用いられる。ハロゲン化炭化水素のような従来の発泡剤のあるものは、環境に
有害であることが認められており、そのようなハロゲン化炭化水素を代替するこ
とがある状況においては望ましい。
非ハロゲン化炭化水素発泡剤、すなわち炭化水素発泡剤(HCBA)は従来の
ハロゲン化炭化水素発泡剤の重要な代替品である。ペンタン及びシクロペンタン
のような炭化水素はポリウレタン系において発泡剤として用いることに成功し、
環境のオゾン層に有害であるとは考えられていない。発泡剤としての炭化水素の
使用は、例えば米国特許第3,072,582号に示されている。しかしながら、現在炭
化水素発泡剤の使用には問題がある。
ポリマー組成物における炭化水素発泡剤の不溶性は、特にポリウレタン及びポ
リイソシアヌレートフォーム製品の製造において加工上の問題を引き起こす。以
後、本発明において、「ポリウレタン」とはポリウレタンポリマーとポリイソシ
アヌレートポリマーの両者を意味するものとする。HCBAの溶解性はポリオー
ルブレンドにおいて、特に芳香族ポリエステルポリオールを含むものにおいて低
い。フォーム組成物からのHCBAの相分離の可能性は、HCBAを用いる際に
均一な混合物もしくは分散液を維持するために注意をはらうことを必要にする。
従来のポリオールブレンドにおけるHCBAを使用する1つの方法は、混合物か
らのHCBAの分離を防ぐためにポリオールブレンドに混入させるHCBAの量
を低濃度に制限することである。HCBAの分離は避けられるが、ポリウレタン
フォーム組成物に実際に含まれる発泡剤の量はポリウレタンフォーム製品の品質
を決定する重要な要因である。フォーム組成物における発泡剤の濃度が低すぎる
と、フォームの品質に悪影響がある。例
えば、発泡剤の量があまりに少ないと、フォームの密度は高くなりすぎる。低密
度フォーム、すなわち2.51b/ft3未満の密度を有するフォームを製造するために
は、従来の発泡剤を用いる場合に望ましいよりも多くの水を含むことが必要とな
る。フォーム組成物中の水の量を多くすると、炭化水素又はハロゲン化炭化水素
発泡剤と比較してフォームからの二酸化炭素の拡散速度が比較的速いため、フォ
ームの寸法安定性及び長期間の熱伝動性に悪影響を与えることになる。
ペンタン及びシクロペンタンのようなHCBAは、エチレンオキシド及び/又
はプロピレンオキシドを用いて製造したポリオールに特に不相溶性である。芳香
族ポリエステルポリオールはほんの限られた量のHCBAのみを混入することが
できる。界面活性剤はポリオールブレンドの成分を相溶性にすることを促進する
が、ポリオールブレンドにHCBAを相溶性にするには完全に有効ではない。
ポリウレタンフォームの製造分野において、ポリウレタンフォーム組成物に炭
化水素発泡剤を使用することが望ましい。ポリウレタンフォームの製造分野にお
いて、ポリエステルポリオールを含むポリウレタンフォーム組成物に炭化水素発
泡剤を用いることが望ましい。また、ポリウレタンフォームの製造分野において
、炭化水素発泡剤を含むがさらなる水を必要としないポリウレタンフォーム組成
物から低密度フォームを製造することが望ましい。最後に、ポリウレタンフォー
ムの製造分野において、フォーム組成物中に低密度フォームを与える濃度で、組
成物から相分離を起こさない炭化水素発泡剤を含むことが望ましい。
一態様において、本発明は、ブチレンオキシドから実質的に誘導されたポリオ
ール、及び少なくとも1種のHCBAを含み、前記ポリオール中のこのHCBA
の溶解度はブチレンオキシドから誘導さ
れないポリオール中のHCBAの溶解度より少なくとも30%高い、ポリエーテル
ポリオールブレンドである。
他の態様において、本発明は、ブチレンオキシドから実質的に誘導されたポリ
オール、及び少なくとも1種のHCBAを含み、前記ポリオール中のこのHCB
Aの溶解度はブチレンオキシドから誘導されないポリオール中のHCBAの溶解
度より少なくとも30%高い、ポリエーテルポリオールブレンドから製造されたフ
ォームである。
さらに他の態様において、本発明は、以下の工程、(1)ポリイソシアネートと
ポリエーテルポリオールブレンドを混合することにより反応性混合物を形成する
こと、このポリエーテルポリオールブレンドはブチレンオキシドから実質的に誘
導されたポリオール、触媒、界面活性剤、及び少なくとも1種のHCBAを含み
、前記ポリオール中のこのHCBAの溶解度はブチレンオキシドから誘導されな
いポリオール中のHCBAの溶解度より少なくとも30%高い、(2)この反応性混
合物を成形型に注ぐこと、(3)この反応性混合物を不粘着性フォームに硬化させ
ること、及び(4)所望により成形型からフォームを取り出すこと、を含むフォー
ムの製造方法である。
他の態様において、本発明は、カルボキシル部分及びオキシアルキレン部分を
含むポリエステルポリオールを含み、(a)このポリオールのオキシルキレン部分
がブチレンオキシドより実質的に誘導されたものであり、(b)炭化水素発泡剤が
組成物の少なくとも1〜100重量部存在する、ポリオールブレンドである。
他の態様において、本発明は、一成分として、カルボキシル部分及びオキシア
ルキレン部分を含むポリエステルポリオールを含み、(a)このポリオールのオキ
シルキレン部分がブチレンオキシドより実質的に誘導されたものであり、(b)炭
化水素発泡剤が組成物の少なく
とも1〜100重量部存在する、ポリオールブレンドを用いて製造されたポリウレ
タン硬質フォームである。
さらに他の態様において、本発明は、以下の工程、(1)ポリイソシアネートと
ポリオールブレンドを混合することにより反応性混合物を形成すること、このポ
リオールブレンドはカルボキシル部分及びオキシアルキレン部分を含むポリエス
テルポリオールを含み、(a)このポリオールのオキシルキレン部分がブチレンオ
キシドより実質的に誘導されたものであり、(b)炭化水素発泡剤が組成物の少な
くとも1〜100重量部存在する、(2)この反応性混合物を注ぐこと、及び(3)この
反応性混合物を不粘着性フォームに硬化させること、を含むフォームの製造方法
である。
一実施態様において、本発明は、ポリウレタン及びポリイソシアヌレートフォ
ームの製造に有効な配合したポリエーテルポリオールブレンド(ポリエーテルポ
リオール)である。本発明のポリエーテルポリオールはポリオール及び少なくと
も1種のHCBAを所望の成分と共に含む。本発明において有効なポリオールは
、脂肪族及び芳香族ポリエーテルポリオールを含む、1,2-ブチレンオキシド(ブ
チレンオキシド)より実質的に誘導されたポリエーテルポリオールである。例え
ば、本発明において有効なポリオールを得るためにビスフェノールAを改質する
ことができる。本発明のポリオールはブチレンオキシドモノマーのみから、又は
ブチレンオキシドと他のオキシドモノマーの混合物から製造される。例えば、本
発明のポリエーテルポリオールは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド及び
2,3−ブチレンオキシドのような炭素数2〜4のアルキレンオキシド及びブチレ
ンオキシドの組合せから製造される。本発明のポリオールは、少なくとも25重量
パーセントのブチレンオキシドを含む場合にブチレンオキシドから実質的に誘導
される。好ましくは、本発明
のポリオールは、少なくとも50重量パーセント、より好ましくは少なくとも70重
量パーセント、最も好ましくは少なくとも80重量パーセントのポリオールがブチ
レンオキシドより誘導される場合、ブチレンオキシドから実質的に誘導される。
ブチレンオキシドから実質的に誘導されるポリオール(BOポリオール)はポリ
ウレタンの製造に適した条件においてイソシアネート基と反応する。
本発明のポリオールは、ポリエーテルポリオールの製造分野において公知の方
法により製造される。その方法は、例えば米国特許第3,153,002号に記載されて
いる。通常、本発明のポリオールは、触媒の存在下においてブチレンオキシドを
開始剤と反応させることにより製造される。アルキレンオキシドに対する開始剤
の比率は、本発明に用いるに適したポリオールの製造に有効な比率であればよく
、ベースポリオールの官能数及び目的とする分子量によってきまる。触媒は塩基
性でも酸性でもよい。本発明のポリオールは、例えば、触媒の存在下においてブ
チレンオキシドを開始剤、例えばエチレングリコールもしくはプロピレングリコ
ールと混合することにより製造される。
本発明の実施における使用に適した触媒は、例えばアミン化合物、例えばジメ
チルシクロヘキシルアミン、ジメチルエタノールアミン、及びジエチルエタノー
ルアミン、及びこれらの混合物、I族及びII族金属水酸化物、例えは水酸化ナト
リウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化リチウム
、及びこれらの混合物を含む。特に好ましいものは、水酸化カリウム、トリメチ
ルアミン、及びジメチルシクロヘキシルアミンである。
この触媒は、開始剤の重量を基準として、1〜10パーセント、好ましくは2〜
8パーセント、より好ましくは2〜6パーセントの量存在する。重合を行うため
に有利には高温が用いられる。好適な温
度は100℃以上の温度である。好ましくは、この温度範囲は100〜135℃である。
より好ましくは、この温度範囲は110〜130℃である。最も好ましくは、この温度
範囲は120〜130℃である。
本発明の実施において有効な開始剤の例は、活性水素含有化合物を含む。活性
水素含有化合物は、少なくとも1個の水素原子が陰性原子、例えば硫黄、窒素も
しくは酸素に結合している官能基を有する化合物である。有効な活性水素含有化
合物は、ヒドロキシル、アミノ、及びメルカプチル官能基のあらゆる組合せを含
む。そのような材料の例は、以下のものより単独でもしくは混合物として選択さ
れる。(a)ポリヒドロキシアルカン、(b)非還元糖及び糖誘導体、(c)ポリフェノ
ール、及びアミン。有効なポリヒドロキシアルカンの例は、エチレングリコール
、プロピレングリコール、1,3-ジヒドロキシプロパン、1,4-ジヒドロキシブタン
、及び1,6-ジヒドロキシヘキサン、グリセロール、1,2,4-トリヒドロキシブタン
、1,2,6-トリヒドロキシヘキサン、1,1,1-トリメチロールエタン、1,1,1-トリメ
チロールプロパン、ペンタエリトリトール、ポリカプロラクトン、キシリトール
、アラビトール、ソルビトール、マニトール、及びこれらの混合物を含む。本発
明の実施において開始剤として有効な糖及び糖誘導体の例は、スクロース、フル
クトース、マンノース、ガラクトース、グルコース、及びこれらの混合物を含む
。少なくとも1個の活性水素を有するアルキル及びアリールエーテル、並びに糖
のアルキレンオキシド付加物も有効である。ビスレノール、例えば2,2-(4,4'-
ヒドロキシフェニル)プロパン、アルキルフェノール、例えばドデシルフェノー
ル、オクチルフェノール、デシルフェノール等のフェノール由来の化合物、及び
ホルムアルデヒドとフェノールの縮合より得られるポリフェノール、並びにこれ
らの混合物も本発明の実施において有効なポリオールの形成に適している。特に
好まし
い開始剤はポリヒドロキシ化合物、例えばグリセロール、糖、例えばスクロース
、及びこれらの混合物である。
本発明のポリオールは、アルキレンオキシドとアミン開始剤もしくはアミン開
始剤の混合物から製造される。脂肪族アミンが本発明の実施における開始剤とし
て適しており、例えばエチレンジアミン、エタノールアミン、ジエチレントリア
ミン、アミノエチルエタノールアミン及びこれらの混合物を含む。芳香族アミン
も本発明のポリオールの製造に適しており、二官能性もしくは多官能性芳香族ア
ミンを含む。好適な芳香族アミンは、トルエンジアミン(TDA)の異性体(例
えば2,6-TDA、2,4-TDA)、メチレンジアミン(MDA)の異性体(例えば2,2'-MD
A、2,4'-MDA、4,4'-MDA)、MDAのオリゴマー(例えば3〜6個の芳香族環を
有する異性体化合物の混合物)、芳香族アミンのアルキル誘導体(例えば4-メチ
ル-2,6-TDA及びジメチル-MDAの異性体)、TDAのハロゲン化誘導体(例えば3
-クロロ-2,4-TDA)、及びこれらの混合物を含む。
本発明のポリオールは200〜3500の範囲の分子量を有する。好ましくは、本発
明のポリオールの分子量は250〜2500である。より好ましくは、この分子量は250
〜2000であり、最も好ましくは250〜1500である。
本発明のポリオールの官能価は2.0より高い。好ましくは、この官能価は2.5〜
7.5であり、より好ましくは3〜7.5であり、最も好ましくは3.1〜7である。
他の実施態様において、本発明は、ポリウレタン及びポリイソシアヌレートフ
ォームの製造に有効な配合ポリエーテルポリオールブレンドである。本発明の配
合ポリオールブレンドは、少なくとも1種のポリエステルポリオール及び少なく
とも1種のHCBAを他の所望の成分と共に含む。本発明の実施において有効な
ポリエステル
ポリオールのポリオール部分はブチレンオキシドジオール(ブチレングリコール
)から実質的に誘導される。他のポリオールも本発明の実施において有効である
。本発明のポリエステルポリオールは、カルボン酸及び/又はカルボン酸誘導体
(以後まとめてカルボキシル成分という)を実質的にブチレンオキシドから誘導
されたポリオールと反応させることにより製造される。
本発明の実施に適したカルボキシル成分は、ジカルボン酸、例えばアジピン酸
、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、及びこれらの混合物、無水カルボン
酸、例えば無水フタル酸、ジカルボン酸エステル、例えばジメチルテレフタル酸
エステルを含む。
また、本発明のポリエステルポリオールは、カルボキシル成分を、2〜8個の
炭素原子を有するポリオール、60〜7500の分子量を有するオリゴマーポリオール
、又はこれらの混合物と共にブチレンオキシドから実質的に誘導されるポリオー
ルと反応させることにより製造される。本発明のオリゴマーポリオール混合物は
二相分子量分布を有する。好ましくは、用いられるオリゴマーポリオールの分子
量は60〜165と300〜7500、より好ましくは100〜165と300〜7000、最も好ましく
は100〜165と300〜6800である。例えば、本発明のポリエステルポリオールはブ
チレンオキシドポリオールと、エチレングリコール、プロピレングリコール、及
び1,2-シクロヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、又はこれらの混合物と
の組合せより製造される。
本発明のポリエステルポリオールの製造に用いられるポリオールは2.0〜3.0の
官能価を有する。好ましくは、この官能価は2.0〜2.6、より好ましくは2.0〜2.4
、最も好ましくは2.0〜2.3である。本発明のポリエステルポリオールの製造に用
いられるポリオールは少なくとも40〜100重量パーセントのブチレングリコール
モノ
マーユニットを含む。好ましくは、ポリオールの50〜100重量パーセント、より
好ましくは70〜100重量パーセント、最も好ましくは80〜100重量パーセントはブ
チレングリコールモノマーより誘導される。本発明のポリオールは所望により、
このポリオールをアルキレンオキシドと公知の方法によって反応させることによ
り鎖延長される。ブチレンオキシドより実質的に誘導されるポリオール(BOポ
リオール)はポリウレタンの製造に適した条件においてイソシアネート基と反応
される。
本発明のポリエステルポリオールは過剰の低分子量グリコール及び/又はポリ
オールを用いて製造される。これは有利にはポリエステルポリオールの製造にお
いて有利である。過剰の低分子量グリコール及びポリオールはポリエステルポリ
オールの製造方法における溶媒もしくは希釈剤として有効である。この過剰のポ
リオールはポリウレタンフォーム組成物の粘度を低下させる作用も有し、これに
よりポリウレタンフォームの製造を促進する。過剰のグリコール及び/又はポリ
オールは本発明のポリオールもしくはフォームの製造工程におけるいずれの段階
で加えてもよい。例えば、過剰のグリコールもしくはポリオールはポリオールが
得られる前又は得られた後に加えてもよい。
本発明のポリエステルポリオールはポリオールの製造分野において公知の方法
により製造される。そのような方法は、例えば米国特許第5,169,877号、4,439,5
49号、4,444,918号、及び4,469,824号に記載されている。
本発明のポリエステルポリオールは200〜3500の範囲の分子量を有する。好ま
しくは、本発明のポリエステルポリオールの分子量は250〜2500である。より好
ましくは、この分子量は250〜2000であり、最も好ましくは250〜1500である。
本発明の発泡剤は2〜8個の炭素原子を有する非ハロゲン化炭化水素を含む。
好適な炭化水素発泡剤は、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘ
プタン、及びオクタンの飽和及び不飽和異性体を含む。例えば、n-ブタン、イ
ソブタン、ペンタン、イソペンタン、2-メチルペンタン、及び2,2-ジメチルペ
ンタン、並びにこれらの混合物が適している。環式炭化水素発泡剤が本発明の実
施において有効である。例えば、シクロペンタン、シクロブタン、シクロペンタ
ン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、及びシクロオクタン、シクロペンテン、
シクロヘキセン、シクロヘキサジエン、シクロペンタジエン、メチルシクロヘキ
サン、並びにこれらの混合物を用いることができる。酸素化炭化水素も本発明の
実施において発泡剤として有効である。酸素化発泡剤の例は、2〜12個の炭素原
子を有するアルキルエーテルを含む。好適なアルキルエーテルは、例えばジメチ
ルエーテル、ジエチルエーテル、エチル、メチルエーテル、ジイソプロピルエー
テル、エチル、イソプロピルエーテル、並びにこれらの混合物を含む。好ましい
発泡剤はブタン、イソブタン、ペンタン、イソペンタン、及びシクロペンタンで
ある。
本発明の発泡剤は、均質な単一相を有するポリオールブレンドを形成すること
のできるあらゆる比率でポリオールと混合してよい。「均質な単一相混合物」と
は、ポリオールブレンドが2つの相もしくは層に分離しないことを意味する。こ
のポリオールブレンドは発泡剤が2〜7日以内でポリオールから分離しない安定
な混合物である。本発明のポリオールブレンドは低密度ポリウレタンフォームの
形成に有効なあらゆる量のHCBAを含む。本発明のポリエーテルポリオールブ
レンドは、ポリオール100部に対して少なくとも8部含む。好ましくは、本発明
のポリエーテルポリオールはポリオール100部に対して少なくとも12部、より好
ましくは少なくとも14部、
最も好ましくは少なくとも15部含む。
HCBAの溶解度は、ブチレンオキシドから実質的に誘導されたポリオールに
おいて、ブチレンオキシドから実質的に誘導されない対応するポリオールにおけ
るHCBAの溶解度と比較して高い。この対応するポリオールは同じ当量及び官
能価を有するポリオールである。ポリオールの当量及び官能価はポリオールの製
造分野の当業者に公知の方法によって決定される。本発明において、ブチレンオ
キシドから実質的に誘導されたポリオール中のHCBAの溶解度は少なくとも30
%増加する。好ましくは、この溶解度は少なくとも45%、より好ましくは少なく
とも50%増加する。さらにより好ましくは、この溶解度は少なくとも75%、最も
好ましくは少なくとも100%増加する。
また、発泡剤はポリウレタン形成混合物のイソシアネート成分に含ませてもよ
い。0〜100パーセントの発泡剤がイソシアネートに含まされる。好ましくは0
〜75パーセントの発泡剤がイソシアネートに含まされる。より好ましくは0〜50
パーセント、最も好ましくは、0〜25パーセントの発泡剤がイソシアネートに含
まされる。
本発明のポリウレタン形成混合物に用いられる配合ポリオールブレンドは所望
の成分を含むことができる。本発明のポリオールブレンドは、例えばポリウレタ
ン触媒、界面活性剤、難燃剤、水、充填剤、顔料、及び架橋剤を含むことができ
る。
本発明のポリウレタンフォームの製造に適したポリウレタン触媒の例は、3級
アミン触媒、例えばトリエチレンジアミン、N-メチルモルホリン、ジメチルエタ
ノールアミン、ペンタメチルジメチレントリアミン、N-エチルモルホリン、ジエ
チルエタノールアミン、N-ココモルホリン、1-メチル-4-ジメチルアミノエチル
ピペラジン、ビス(N,N-ジメチルアミノエチル)エーテル、並びにこれらのあら
ゆる混合物である。
本発明に適した触媒は、Saunders and Frisch,Polyurethanes.Chemistry and
Technology in High Polymers Vol.XVI,PP.94-97(1962)に記載されているよう
なイソシアヌレートの形成を触媒するものを含む。そのような触媒は三量化触媒
と呼ばれる。この触媒の例は、脂肪族及び芳香族3級アミン化合物、有機金属化
合物、カルボン酸のアルカリ金属塩、フェノール、及び対称トリアジン誘導体を
含む。好ましい触媒はカルボン酸のカリウム塩、例えばオクタン酸カリウム及び
2-エチルヘキサン酸のカリウム塩、並びに3級アミン、例えば2,4,6-トリス(ジ
メチルアミノメチル)フェノールである。
アミン触媒は通常ポリオール組成物100重量部に対し0.1〜5部、好ましくは0.
2〜3部の量で用いられる。有機金属触媒も適しており、その例は有機鉛、有機鉄
、有機水銀、有機ビスマス、及び好ましくは有機錫化合物を含む。最も好ましい
ものは有機錫化合物、例えばジブチル錫ジラウレート、ジメチル錫ジラウレート
、オクタン酸第一錫、塩化第一錫等である。有機金属化合物は通常ポリオール組
成物100重量部に対し0.05〜0.2部の量で用いられる。
所望により含まれる界面活性剤の例は、シリコーン界面活性剤であり、そのほ
とんどは少なくとも1個のポリオキシアルキレンセグメント及び1個のポリ(ジ
メチルシロキサン)セグメントを含むブロックコポリマーである。他の界面活性
剤は、長鎖アルコールのポリエチレングリコールエーテル、長鎖アルキルスルフ
ェートエステルの3級アミンもしくはアルコールアミン塩、アルキルスルホン酸
エステル及びアルキルアリールスルホン酸を含む。米国出願番号08/342,299(199
6年7月23日発行)に記載されているようなエチレンオキシドとブチレンオキシド
から製造される界面活性剤も本発明に
おいて有効である。界面活性剤は所望によりポリオール組成物又はポリイソシア
ネート組成物に含めてもよい。用いる場合、ポリオール100重量部に対して0.1〜
3部、好ましくは0.2〜2.5部の界面活性剤が適している。
架橋剤の例は、ジエタノールアミン及びメチレンビス(o-クロロアニリン)、
及びこれらの混合物である。フォームの加工性及び特性を向上させるため気泡開
放剤、離型剤、難燃剤、充填剤、及び他の添加剤の使用は当該分野において周知
である。
さらに他の実施態様において、本発明は、イソシアネート混合物と配合ポリオ
ールブレンドの組合せから製造されるポリウレタン形成混合物である。「イソシ
アネート」及び「ポリイソシアネート」は、本発明の実施において有効なイソシ
アネート化合物が分子あたり少なくとも2個のイソシアネート部分を含むことを
意味し、相互に用いられる。ポリウレタンポリマーの製造分野において公知かつ
用いられるあらゆるイソシアネートが本発明の実施において適している。
有効なイソシアネートは、例えば米国特許大4,785,027号に記載されている。
好適なイソシアネートの例は、トルエンジイソシアネート(TDI)の異性体、
例えば2,4-トルエンジイソシアネート及び2,6-トルエンジイソシアネート、TD
Iのプレポリマー(このTDIはのプレポリマーはポリウレタンフォームの製造
において有効であることが知られている化合物である)、MDIのオリゴマー混
合物(この混合物はMDIと3個以上の芳香族環を有するMDIのオリゴマーを
含む)、ビス(4-イソシアナトフェニル)メタン(MDI)、MDIのプレポリ
マー(このMDIのプレポリマーはポリウレタンフォームの製造において有効で
あることが知られている化合物である)、MDIのオリゴマー混合物、ビス(イ
ソシアナトエ
チルフメレート)、ジアニシジンジイソシアネート、トルイジンジイソシアネー
ト、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、及びこの種の少なくとも2種の好適
な化合物の混合物を含む。好ましいものは、TDI、MDI、TDIのプレポリ
マー、MDIのプレポリマー、MDIのオリゴマー混合物、又はこれらの混合物
である。
他の実施態様において、本発明は本発明のポリエーテルポリオールを用いて製
造されるポリウレタンフォームである。本発明のポリウレタンフォームは、フォ
ームの製造にBOポリオール及びHCBAを用いることで改良した従来の方法に
より製造される。通常、本発明のポリウレタンフォームは、ポリオール組成物を
イソシアネート混合物と反応させることにより製造される。ポリウレタン形成性
反応性混合物を成形型に注ぎ、又は射出成形もしくは反応射出成形(RIM)に
より加工する。射出成形及びRIMは、Macromolecules-2,Hans-Georg Elias編
(2版、1984)に記載されている。本発明のフォームは、ブロックフォーム、ダ
ブルバンド積層、不連続パネル、又は適所注入(pour-in-place)法により製造さ
れる。各方法はポリウレタンフォームの製造分野において公知である。本発明に
よって製造されたポリウレタンフォームは建築、自動車、及びカーペット用途に
おいて有効である。
実施例
以下の実施例及び比較例は本発明を説明するものである。これらの実施例及び
比較例は本発明の範囲を制限するものではない。
実施例1
28.731bsのスクロース、22.51bsのグリセロール、及び1.21bsのジメチルエタ
ノールアミンからなるスラリーに攪拌しながら0.11b/minの速度で108ポンドのブ
チレンオキシドを加えた。この添加は
120℃で行った。ブチレンオキシドをすべて加えた後、このポリオール混合物を1
20℃でさらに4時間攪拌した。このポリオールは100°Fで1735センチストーク
の粘度、及び14.95のヒドロキシルパーセント(%OH)を有していた。ヒドロ
キシル当量は114であった。
実施例2
50〜100gのポリオールを4オンスの容器に計量することによりn-ペンタンとシ
クロペンタン(c-ペンタン)のポリオールサンプル中の溶解度を測定した。この
サンプルは従来のプロピレンオキシドをベースとするポリオール及びそのBOを
ベースとする同族体であった。このBOをベースとするポリオールはPOをベー
スとする同族体と同じ当量を有する。このポリオールサンプルに炭化水素溶質を
加えた。発泡剤の損失を防ぐため容器に蓋をし、次いで透明な溶液が得られるま
でゆっくり加熱した。容器を室温まで冷却し、ここで混合物が曇っていることは
サンプル中の溶質の溶解度を越えていることを示している。溶液が透明のままで
ある場合、さらに溶質を加え、曇った混合物が得られるまで繰り返す。このテス
トにおいて、曇った混合物は、2日以内にポリオールが2層に分離することを示
しているものとする。表1に示す溶解度は、サンプルを室温に冷却した後に透明
な溶液が得られる、ポリオールの重量を基準とした溶質の最高濃度(pph)である
。
*本発明の例ではない
aすべての比率で完全に溶解
実施例3
85部のTerate(商標)(Cape Industries製)、15部の実施例1で製造したBOポ
リオール、2.5部のEP-250(商標)(Goldschmidt Chemical Corp.製)、2.2部のDABC
O(商標)K-15(Air Products製)、0.6部のPelron(商標)9650(Pelron Corp.製)、0.
5部のPolycat(商標)5(Air Products製)、及び0.5部の水を混合することによりポ
リオールブレンドを製造した。このブレンドに21.6部のシクロペンタンを加えた
。この混合物を均一なブレンドが得られるまで攪拌した。このブレンドに229.2
部のPAPI(商標)580(The Dow Chemical Companyの商標)を加え、得られた反応性
混合物を高速ミキサーを用いてすぐに混合した。この混合物をカップに注ぎ、発
泡させて硬質フォームを形成した。
実施例4
75部のVoranol(商標)490(The Dow Chemical Co.の商標、当量114)、12.5部の
Voranol(商標)800(The Dow Chemical Co.の商標)、
12.0部のメチルジエタノールアミン、0.5部のアミノエチルエタノールアミン、1
.5部のPolycat(商標)5、1.0部のTMR(商標)5(Air Products製)、1.0部のToyocat(
商標)MR(Tosoh,Inc.製)、3.0部のDabco(商標)DC5357(Air Products製)、1.59
部の水、及び18.5部のシクロペンタンを混合することによりポリオールブレンド
を製造した。このブレンドに198.8部のPAPI(商標)27を加え、この混合物を高
速ミキサーを用いてすぐに混合した。この混合物を50℃に加熱しておいた9”×
2”×16”の成形型に注ぎ、混合物を発泡させて硬質フォームを形成した。この
フォームの製造に用いたポリオールブレンドのサンプルは放置すると24時間以内
に分離した。
このフォームを圧縮強度(X、Y)、コア密度、寸法安定性(凍結(-30℃)及
び湿潤エージング(158℃)、及びKファクターについてテストした。圧縮強度はA
STM D-1621によって測定した。寸法安定性はASTM D-2126により測定し、表2に
示すデータは28日後のものである。KファクターはASTM C518-85により測定した
。コア密度はASTM D-1622により測定した。このフォーム特性を表2に示す。
実施例5
実施例4の方法を繰り返した。フォームの物性を表2に示す。
実施例6
実施例4の方法を繰り返した。フォームの物性を表2に示す。
実施例7
実施例1に記載のBOポリオールを75部用いることを除き、実施例4の方法を
繰り返した。このフォームの製造に用いたポリオールブレンドのサンプルは7日
間放置しても分離しなかった。このフォームの物性を表2に示す。
実施例8
実施例7の方法を繰り返した。このフォームの物性を表2に示す
。
実施例9
実施例7の方法を繰り返した。このフォームの物性を表2に示す。
*本発明の例ではない
実施例10
ジメチルテレフタレート(1mol)、1,2-ブチレングリコール(1.44mol)、チタン(
IV)イソプロポキシド(2mL)、及びVORASURF504(The Dow Chemical Companyの商標
)(0.14mo1)の混合物を215℃の温度に加熱し、この温度に6時間保持した。エス
テル交換反応によってこの反応混合物中に形成したメタノールを蒸留した。この
エステル交換反応は約20%のVORASURF 504エステル交換生成物からなる混合物を
得るまで行った。
実施例11〜16
表3に示す成分を、この表3に示す比率で混合することによってポリウレタン
フォーム組成物を製造した。ポリエステルポリオール触媒、難燃剤、界面活性剤
、及び水を混合することにより配合ポ
リオールブレンドを製造した。このブレンドにイソペンタンを加えた。得られた
混合物を均一なブレンドが得られるまで攪拌した。このブレンドにPAPI 580(The
Dow Chemical Companyの商標)とイソペンタン(イソペンタンは実施例12〜16に
おいて用い、実施例11ではHCFC-141bを発泡剤として用いた)の混合物を加え、
得られた混合物を高速ミキサーを用いてすぐに8秒間混合した。このフォームの
物性を表4に示す。用いたテスト法は表5に示した。
a成分の濃度は、ポリオール100重量部に対する重量部である。b
本発明の例ではない。*
The Dow Chemical Co.の商標1
無水フタル酸をベースとするポリエステルポリオール、ヒドロキシル価238、官
能価2.0、Stepan Co.製2
実施例1のジメチルテレフタレートをベースとする実験ポリオール、ヒドロキ
シル価378.5、官能価2.03
オクタン酸カリウムをベースとする触媒、Moody Co.製4
Air Products製の触媒5
AKZO Nobel製の難燃剤6
Goldschmidt Chemical Corp.製の界面活性剤7
Elf Altochem.製のフルオロカーボン発泡剤8
高分子MDI、139.0
a本発明の例ではない
実施例17
以下の方法により本発明の実験ポリエステルポリオールDを製造した。ジメチ
ルテレフタレート(194g、1.0mol)、1,2-ブチレングリコール(137.7g、1.53mol)
及び触媒としてのチタン(IV)イソプロポキシド(2mL)の混合物をメタノールを除
去しながらゆっくり190℃に加熱した。190〜200℃で6時間加熱後、この反応混
合物を冷却し、十分な1,2-ブチレングリコールを加えてOH#を315又は235にし
た。実験ポリエステルポリオールE及びFも同様にして製造した。n-ペンタン及
びシクロペンタンの溶解度を以下のようにして測定した。
多くのポリオール中の炭化水素発泡剤の溶解度を以下の方法によって測定した
。75gのポリオールを透明なガラス瓶に加えた。炭化水素を1gづつ加え、サン
プルを激しく混合し、数時間放置した。溶解度の限界に達すると、炭化水素の添
加を0.5gづつにした。溶解度の限界を決定した後、この溶解度限界におけるポリ
オールと炭化水素の混合物を数日間、相分離について観察した。この結果を表6
に示す。
a本発明の例ではない
bHoechst-Celanese製
cStepan Co.製
実施例18
以下の方法により、ポリオールB及びポリオールFからポリウレタンフォーム
を製造した。表5に示す成分をこの表に示す比率で混合することによりポリウレ
タンフォーム組成物を製造した。ポリエステルポリオール、触媒、界面活性剤、
及び水を混合することにより配合ポリオールブレンドを製造した。このブレンド
にシクロペンタンを加えた。得られた混合物を激しく攪拌した。このブレンドに
PAPI 580(The Dow Chemical Companyの商標)を加え、得られた反応性混合物を高
速ミキサーを用いて10秒間混合した。この混合物を箱に注ぎ、発泡させて硬質フ
ォームを形成した。このフォームの特性を測定し、表7に示す。
a本発明の例ではない*
The Dow Chemical Co.の商標
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(72)発明者 ネルソン,ギルバート エル.
アメリカ合衆国,テキサス 77566,レイ
ク ジャクソン,ガーランド コート 64
(72)発明者 レイゴン,シー.アール.
アメリカ合衆国,テキサス 77566,レイ
ク ジャクソン,サウス ヤウポン スト
リート 132