【発明の詳細な説明】
末端オキシラン基を有する単量体、オリゴマーおよび重合体、その製造方法およ
び放射線照射下でのカチオン重合
本発明は放射線照射下で重合可能な脂環式エポキシ官能基を有する新規な単量
体、オリゴマーおよび重合体、並びに既知のカチオン重合系と比べて改良された
耐溶媒性を示す脂環式エポキシ官能基を有する該単量体、オリゴマーおよび重合
体を含んでなる組成物のカチオン重合により得られるコーテイングに関する。
コーテイング産業は化学作用、並びに特に溶媒、洗剤、クリーナー、酸洗い剤
(pickling agents)、および表面に作用したり色、耐性、多孔性などのその本質
的な性質を改変したりすることが可能な他の物質に対する改良された耐性を示す
物質を絶えず探求している。さらに、同産業は、上記の改良された耐性を有して
おりながらコーテイングの形態で、薄いまたは厚い層状で重合可能であり、且つ
熱硬化または照射技術、例えば紫外線照射もしくは電離放射線、例えばガンマ線
、X線もしくは電子線、の1種のいずれかに対する信頼性を有する材料も探求し
ている。その理由は、これらの技術はこの産業においては、得られる高い重合速
度およびそのようにして得られるコーテイング特性の一貫性に基づく信頼性およ
び生産性に関する確固たる評判を獲得しているからである。
コーテイングは、脂環式エポキシ官能基を有するオリゴマーおよび重合体、特
にポリエステルおよびポリエーテル、を含んでなる組成物の重合によりこれまで
に得られている。そこで、特許US−A−3,968,135は、中性溶媒および
配位溶媒を含んでなる溶媒の存在下における、利用可能な配位部位を有するトリ
カルボン酸クロム(III)化合物によ
る、オキシラン基を含んでなる化合物と有機カルボン酸化合物との反応に関する
触媒促進法を開示している。この方法はモノエポキシ化合物とジ−もしくはポリ
カルボン酸との反応またはジエポキシドと一塩基酸(monoacid)との反応に適用さ
れる。特に、この文献はエポキシドがエポキシド化カルボン酸ジシクロヘキセン
でありうること並びに多官能性酸がカルボキシル末端部を含んでなるポリエステ
ルまたはポリエーテルでありうることを開示している。しかしながら、反応させ
る化合物の間のモル比は全ての利用可能な酸性官能基が得られた物質の直ちに起
きる完全な架橋結合を生ずるようなものである。それ故、この文献中の実施例は
75℃においてわずか15分間で架橋結合可能なトリエポキシド/二塩基酸(dia
cid)および三塩基酸(triacid)/ジエポキシド系をより特に記載している。これ
らの系は、溶液またはエマルションの形態で、コーテイング組成物として使用す
ることができる。この文献にはカチオン系光開始剤は記載されていない。
しかしながら、多くの用途範囲に対して、これらの重合体は所望する性質の完
全な妥協を与えていない。これらの用途に関しては、さらに、ポリアクリレート
類、ポリウレタン類またはこれらの重合体の単量体構成部分の一方もしくは他方
をベースにした入手できる組成物があることが望ましい。最後に、異なるベース
重合体から出発する全てのこれらの組成物に関しては、特に紫外線または電離放
射線の効果により照射下で満足に重合することが最近の工業的条件下では望まれ
ている。
上記の問題を解決するために、本発明は一般式(I):
[式中、
− A1は約250〜10,000の間の分子量を有するポリエステルブロック、
約500〜5000の間の分子量を有するポリウレタンブロック、モノ−もしく
はポリカルボン酸の炭化水素含有骨格およびポリカルボン酸と脂環式ジエポキシ
ドとの付加物から選択され、該付加物は好ましくはxモルの脂環式ジエポキシド
とx+2モルのジカルボン酸との反応により得られたものであり、
− mは1〜6の数であり、
− R1はR1が結合している酸素原子に関してα位置に位置するヒドロキシル基
を有し、適宜1個もしくは複数個の置換基を有する、脂環式基であり、
− R2は連鎖末端部に位置するオキシラン基を有し、適宜1個もしくは複数個
の置換基を有する、第2の脂環式基であり、そして
− Bは1個もしくはそれ以上の共有結合、酸素原子、並びに適宜酸素および/
または珪素原子を有する直鎖状、分枝鎖状または環式の炭化水素を含有する基か
ら選択される]
で示されるもの、および一般式(II)
[式中、
− A2は少なくとも1種のビニル単量体のホモ重合体および共重合体から選択
されるブロックであり、
− nは約0〜15の整数であり、条件としてYが硫黄である時にはn
は少なくとも1に等しく、そして
− Yは硫黄原子、−CR'R”基(ここでR'およびR”は各々が炭素数が1〜
4の脂肪族基である)およびそれらの混合物から選択され、
− qは1〜2の範囲の整数または非整数であり、
− R1、BおよびR2は上記の式(I)で定義されている通りである]
で示されるものから選択される新規なカテゴリーの単量体、オリゴマーおよび重
合体を提供する。
本発明を完全に理解するために、R1、R2、A1、A2およびBの用語の各々
を以下でさらに詳細に定義する。
R1およびR2は好ましくはあまり立体障害されていない1個もしくはそれ以上
の置換基、好ましくは炭化水素含有置換基、を有することができる好ましくは5
〜6員の環を有する脂環式基である。そのような置換基の例は炭素数1〜9のア
ルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ヘキシル、
2−エチルヘキシル、n−オクチルおよびn−ノニル、を含んでなる。これらの
脂環式基R1およびR2は必ずそれ以外に、R1が結合している酸素原子に関して
α位置にある一方の(R1)ヒドロキシル基および環式連鎖の末端部に位置する
他方の(R2)オキシラン基を有する。
脂環式基R1およびR2は例えば下記の式のように酸素原子または1個もしくは
それ以上の、好ましくは1もしくは2個の、共有結合でありうる成分Bにより互
いに連結している:
成分Bは、炭素含有連鎖中に1個もしくはそれ以上の酸素および/または珪素
原子を含むことができる直鎖状、分枝鎖状または環式の炭化水素含有基からなっ
ていてもよい。そのようなB基の例として挙げられるものは以下のものである:
− −(CH2)n−アルキレン基(ここでnは約1〜12の整数である)、
− −CH=CH−基、
− 式
またはの基、
− 式
または
の基、
− 式(X)
の基、
− 式(XI)
[式中、mは約0〜20、好ましくは1〜6、の整数である]
の基、
− 式(XII)[式中、R3は脂環式基、例えば1,4−シクロヘキサン、1,3−シクロヘキサ
ン、1,2−シクロヘキサンなどであり、該環式基は適宜オキシラン基を有する
ことができる]
の基、
− 式(XIII)
[式中、m1およびm2は各々が約1〜6の整数でありそしてn1およびn2は各々
が0〜2の整数である]
の基、
− 式(XIV)
[式中、pは約1〜10、好ましくは1〜3、の整数でありそしてR4、R5、R6
およびR7は炭素数が1〜4のアルキル基、好ましくはメチル基、から各々独立
して選択される]
の基、
− 式(XV)[式中、pは約1〜10、好ましくは1〜3、の整数であり、R4、R5、R7、
R8、R9およびR10は炭素数が1〜4のアルキル基、好ましくはメチル基、から
各々独立して選択され、R6は炭素数が1〜4のアルキル基、好ましくはメチル
基、および炭素数が6〜9のアリール基、好ましくはフェニル基、から選択され
、そしてR2は上記の式(I)と同じ意味を有する]
の基、
− 式(XVI)
[式中、R4、R5、R6およびR7は炭素数が1〜4のアルキル基、好ましくはメ
チル基、から各々独立して選択され、pは約1〜20、好ましくは1〜6、の整
数であり、そしてR2は上記の式(I)と同じ意味を有する]
の基。
上記のように、A1は好ましくは飽和脂肪族一塩基酸、例えばラウリン酸もし
くはステアリン酸、または不飽和脂肪族一塩基酸、例えばオレイン酸、炭素数が
約4〜40の飽和もしくは不飽和脂肪族二塩基酸、例えばマレイン酸、フマル酸
、琥珀酸、アジピン酸、グルタル酸、アゼライン酸、デカンジカルボン酸および
1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、並びに二量体酸、芳香族二塩基酸、例え
ばテレフタル酸およびイソフタル酸、並びにトリカルボン酸、例えばクエン酸お
よび炭素数が60まででありうる三量体酸、から選択されるモノ−もしくはポリ
カルボン酸の炭化水素含有骨格でありうる。
A1はまた、少なくとも1種の脂肪族もしくは芳香族ジカルボン酸または対応
する無水物と少なくとも1種のポリオールとの重縮合から得られる約250〜1
0,000の間の、好ましくは1000〜5000の間の、分子量を有するポリ
エステルブロックであってもよい。このポリオールはトリ−、テトラ−、ペンタ
−もしくはヘキサヒドロキシル化グリコールまたはポリオール、例えばエチレン
グリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジ
オール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ジトリメチロー
ルプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリ
トールおよび1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)−1,3,5−トリアジ
ン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン(すなわちトリス(2−ヒドロキシ
エチル)−イソシアヌル酸)でありうる。それは又、脂環式ジオール、例えば2
,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン(すなわち水素化された
ビスフェノールA)、1,4−シクロヘ
キサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジオール、2,2,4,4−テトラメ
チル−1,3−シクロブタンジオールまたは4,8−ビス(ヒドロキシメチル)ト
リシクロ[5.2.1.02,6]デカン(すなわちトリシクロデカンジメタノール)で
あってもよい。このポリエステルの製造に際し使用できるジカルボン酸(または
対応する無水物)としては、琥珀酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、イ
ソフタル酸、テレフタル酸および1,4,5,6,7,7−ヘキサクロロ−5−ノル
ボルネン−2,3−ジカルボン酸、無水琥珀酸、無水マレイン酸並びに無水トリ
メリト酸および無水テトラクロロフタル酸が挙げられる。
最後に、A1は少なくとも1種の有機ポリイソシアナートと少なくとも1種の
ポリヒドロキシル化された酸の重縮合から得られた約500〜5000の間の、
好ましくは1500〜400の間の、分子量を有するポリウレタンブロックであ
ってもよい。そのような酸の例としてはジヒドロキシメチルプロピオン酸が挙げ
られる。さらに、この重縮合には、上記のポリエステルの製造用に使用されたも
ののようなポリオールを使用することもできる。
このポリウレタンの製造で使用できる有機ポリイソシアナート類として、1分
子当たり少なくとも2個のイソシアナート官能基を含んでなる化合物、例えば脂
肪族、脂環式もしくは芳香族ジイソシアナート、が挙げられる。適当な脂肪族ジ
イソシアナート類の例として、1,4−ジイソシアナトブタン、1,6−ジイソシ
アナトヘキサン、1,6−ジイソシアナト−2,2,4−トリメチルヘキサンおよ
び1,12−ジイソシアナトドデカンが挙げられる。特に適当な脂環式ジイソシ
アナート類は1,3−ジイソシアナトシクロヘキサン、1,4−ジイソシアナトシ
クロヘ
キサン、2,4−ジイソシアナト−1−メチルシクロヘキサン、1,3−ジイソシ
アナト−2−メチルシクロヘキサン、1−イソシアナト−2−(イソシアナトメ
チル)シクロペンタン、1,1'−メチレンビス[4−イソシアナトシクロヘキサ
ン]、1,1'−(1−メチルエチリデン)ビス[4−イソシアナトシクロヘキサン
]、5−イソシアナト−1−イソシアナトメチル−1,3,3−トリメチルンクロ
ヘキサン(イソホロンジイソシアナート)、1,3−および1,4−ビス(イソシ
アナトメチル)シクロヘキサン、1,1'−メチレンビス[4−イソシアナト−3
−メチルシクロヘキサン]および1−イソシアナト−4(もしくは3)−イソシ
アナトメチル−1−メチルシクロヘキサンを含む。特に適当な芳香族ジイソシア
ナート類は1,4−ジイソシアナトベンゼン、1,1'−メチレンビス[4−イソシ
アナトベンゼン]、2,4−ジイソシアナト−1−メチルベンゼン、1,3−ジイ
ソシアナト−2−メチルベンゼン、1,5−ジイソシアナトナフタレン、1,1'
−(1−メチルエチリデン)ビス[4−イソシアナトベンゼン)並びに1,3−お
よび1,4−ビス(1−イソシアナト−1−メチルエチル)ベンゼンを含む。3
個もしくはそれ以上のイソシアナート基を含んでなる芳香族もしくは脂肪族ポリ
イソシアナート類、例えば1,1',1”−メチリジントリス[4−イソシアナトベ
ンゼン]、ヘキサメチレンジイソシアナートの三量体およびアニリン/ホルムア
ルデヒド縮合物のホスゲン化により得られるポリフェニルポリメチレンポリイソ
シアナート類、を使用することもできる。有機ポリイソシアナートの合計量はA1
ブロック中のポリウレタンの10〜60重量%でありうる。
上記のように、A2は少なくとも1種のビニル単量体、特にアクリル
酸もしくはメタクリル酸エステルに由来する繰り返し単位を少なくとも含んでな
る重合体ブロックである。このブロックはそのようなエステルのホモ重合体また
は数種のそのようなエステルの共重合体、一般的にはランダム共重合体、或いは
少なくとも1種の(メタ)アクリル酸エステルおよび該(メタ)アクリル酸エス
テルと共重合可能な1種(またはそれ以上)のビニル芳香族単量体の共重合体で
ありうる。A2ブロックの組成に関与しうるアクリル酸およびメタクリル酸エス
テル類としては、エステル基中の炭素数が約1〜20のアクリレート類およびメ
タクリレート類、例えばメチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、イソブ
チル、n−ブチル、tert−ブチル、2−エチルヘキシルおよびn−オクチル
アクリレート類、並びにn−ペンチル、n−ヘキシル、n−オクチル、n−ドデ
シル、n−テトラデシル、イソボルニル、メチルおよびエチルメタクリレート類
、並びにヒドロキシル化(メタ)アクリレート類、例えばヒドロキシエチルもし
くはヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート類が挙げられる。A2ブロックの
組成に関与しうる他のビニル単量体としては、主として(メタ)アクリルアミド
類、ビニル芳香族単量体、例えばスチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレ
ンおよび同様に置換された(特に1個もしくはそれ以上のハロゲン原子により置
換された)スチレン類、並びにさらに酢酸ビニルが挙げられる。
本発明の別の面によると、一般式(XVII)
[式中、A1およびmは式(I)で定義されている通りである](式I
の化合物を得る目的のため)
または一般式(XVIII)
[式中、A2、Y、qおよびnは式(II)で定義されている通りである](式II
の化合物を得る目的のため)
で示される単量体または重合体化合物と、一般式(XIX)
[式中、BおよびR2は式(I)および(II)で定義されている通りである]
の脂環式ジエポキシドとの反応させることにより、ジエポキシド(XIX)対式(X
VII)または(XVIII)の単量体または重合体のモル比は、化合物(XIX)の少な
くとも1個のエポキシド官能基が他の可能なその後の反応に利用できるように残
っているものである、式(I)および(II)の単量体、オリゴマーおよび重合体
の製造方法にも関する。
本発明による方法の顕著な特徴は、特に特許US−A−3,968,135の教
示とは対照的に、単量体または重合体(XVII)または(XVIII)中に存在するカ
ルボン酸官能基との反応が、少なくとも1個の脂環式エポキシ官能基を含んでな
る目的生成物が得られるように反応条件が選択されることにある。より特に、カ
ルボン酸1当量当たり少なくとも2エポキシ当量を使用することが好ましい。
式(XVII)の化合物は下記のものから選択される:
− A1が炭化水素含有骨格を構成しており、そしてその幾つかの例はA1の定義
の場合に上記で指摘したモノ−もしくはポリカルボン酸類、
− A1がポリエステルブロックを構成しており、そしてその幾つかの例はA1の
定義の場合に上記で指摘したカルボキシル末端部を含んでなるポリエステル類、
それらの製造法は当業者に既知でありそしてそれらの酸価は一般的に約5〜45
0mgのKOH/gで変動する。
− A1が中心ブロックを構成しており、その幾つかの例はA1の定義の場合に上
記で指摘したとおりであり、そしてその製造法は当業者に既知であるカルボキシ
ル官能基を含有するポリウレタン類。
式(XVIII)の化合物は、当業者に既知の方法で、少なくとも1種の有機過酸
化物タイプ(例えば過酸化ベンゾイル)またはジアゾ化合物タイプ、例えば2,
2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、のフリーラジカル開始剤、並び
にカルボン酸官能基を含んでなる少なくとも1種の連鎖移動剤の存在下において
、或いはカルボン酸官能基を含んでなるジアゾタイプの開始剤、例えば4,4'−
アゾビス(4−シアノ吉草酸)または組み合わせて使用されるこれらの2種の化
合物の存在下において、少なくとも1種のアクリル酸もしくはメタクリル酸エス
テルおよび適宜少なくとも1種のビニル芳香族単量体のラジカル単独重合または
共重合により得られる。連鎖移動剤の例としては、炭素数2〜16のメルカプト
カルボン酸類、例えばメルカプト酢酸、2−メルカプトおよび3−メルカプトプ
ロピオン酸類、2−メルカプト安息香酸類、メルカプト琥珀酸、メルカプトイソ
フタル酸などが挙げられる。当業者は、フリーラジカル開始剤および連鎖移動剤
の性質および量並びに重合条件、特に重合温度、を選択することにより、式(XV
III)の重合体の分子量の調節方
法を完全に認識している。本発明の実施のためには、約5000〜20,000
の範囲の分子量を有する重合体(XVIII)を選択することが一般的に好ましい。
本発明による方法で使用される式(XIX)の化合物は当業者に既知でありそし
て特に下記のものから選択することができる:
− ジカルボン酸類の脂環式エステル類のジエポキシド類、例えば式(XX)
[式中、mは約0〜20、好ましくは1〜6、の整数であり、そして脂肪族環の
各炭素原子は1個もしくは2個の置換基、好ましくはあまり立体障害されていな
い好ましくは炭化水素含有置換基、例えば炭素数が約1〜9の直鎖状アルキル基
、を有していてもよい]
で示されるもの。そのような式(XX)のジエポキシド類の個々の例はシュウ酸ビ
ス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)、アジピン酸ビス(3,4−エポキ
シシクロヘキシルメチル)、アジピン酸ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシ
クロヘキシルメチル)およびピメリン酸ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル
メチル)である。
− 式(XXI)
[式中、脂肪族環の各炭素原子は1個もしくは2個の置換基、好ましくはあまり
立体障害されていない好ましくは炭化水素含有置換基、例えば炭素数が約1〜9
の直鎖状アルキル基、を有していてもよい]
で示される3,4−エポキシシクロヘキサンカルボン酸3,4−エポキシシクロヘ
キシルメチル類。そのような式(XXI)で示されるジエポキシド類の個々の例は
、3,4−エポキシシクロヘキサンカルボン酸3,4−エポキシシクロヘキシルメ
チル、3,4−エポキシ−1−メチルシクロヘキサンカルボン酸3,4−エポキシ
−1−メチルシクロヘキシルメチル、6−メチル−3,4−エポキシシクロヘキ
サンカルボン酸6−メチル−3,4−エポキシシクロヘキシルメチル、3,4−エ
ポキシ−3−メチルシクロヘキサンカルボン酸3,4−エポキシ−3−メチルシ
クロヘキシルメチルおよび3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキサンカルボ
ン酸3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキシルメチルである。
− 式(XXII)[式中、脂肪族環の各炭素原子は1個もしくは2個の、好ましくはあまり立体障
害されていない置換基、例えば炭素数が約1〜9の直鎖状アルキル基またはハロ
ゲン原子、を有していてもよい]
で示されるジエポキシド類。
− 式(XXIII)
で示される1,2,5,6−ジエポキシ−4,7−メタノペルヒドロインデン。
− 式
で示される2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−3',4'−エポキシ−1,
3−ジオキサン−5−スピロシクロヘキサン
− 式で示される1,2−エチレンジオキシビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメタ
ン)。
− 式(XXVI)
で示されるジ(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル
− 式
で示されるジエポキシシクロヘキサン類。
− 式[式中、nは約0〜10の整数である]、
[式中、R11は数1〜8のアルキル基(特にメチル基)および炭素数6〜9のア
リール基(特にフェニル基)から選択される]、並びにの珪素を有するジエポキシシクロヘキサン類。
式(XXX)〜(XXXIV)の化合物は特にJ.V.Crivello and J.L.Lee,J .Polym .Sci.
,Poly.Chem.,1990,Vol.28,479-503およびJ.V.Crivello,Adv .in Polym.Sci.
,1984,62,1の教示に従い製造することができる。
式(I)および(II)の化合物の製造のための本発明による方法の反応は好ま
しくは少なくとも1種の溶媒の存在下でそして熱を加えて行な
われる。溶媒としては、式(XVII)および(XVIII)の化合物中に存在するカル
ボキシル基の良好な溶媒和を与えうる化合物が好ましく選択されるであろう。例
として、芳香族炭化水素類、例えばトルエンおよびキシレン、が挙げられる。反
応温度は当然使用する溶媒の沸騰温度の関数として選択されそして一般的には約
100℃〜150℃の範囲である。反応の進行度は既知の手段、例えば特に反応
混合物の酸価の測定、により監視することができる。反応は一般的には酸数が5
mgKOH/gに等しいかまたはそれ以下になる時に終了したとみなされる。
本発明による方法の反応は、望ましくは、エポキシド官能基とカルボン酸官能
基との間の反応を加速および促進させることが知られている触媒量の化合物の存
在下で加速させることができる。そのような化合物としては、一方では例えばク
ロムの如き遷移金属をベースとした触媒、例えば塩化3価クロムまたはトリカル
ボン酸3価クロムが挙げられ、それは適宜1種もしくはそれ以上のフタル酸と炭
素数が約6〜20のアルコールとのエステル中で希釈されていてもよい。トリカ
ルボン酸クロム(III)としては、酪酸塩、ペンタン酸塩、ヘキサン酸塩、2−
エチルヘキサン酸塩、デカン酸塩、オレイン酸塩、ステアリン酸塩、トレル酸塩
、クレシル酸塩、安息香酸塩、アルキル安息香酸塩、アルコキシ安息香酸塩およ
びナフテン酸塩が挙げられる。触媒としては、ハロゲン化第4級アンモニウム類
、例えば塩化ベンジルトリメチルアンモニウム、または塩化第二鉄も挙げられる
。触媒量とは一般的には、式(XVII)または(XVIII)の単量体もしくは重合体
並びに式(XIX)の脂環式ジエポキシドの合計に関して促進剤を約0.2重量%ま
での範囲の割合で使用することを意味すると理解される。
さらに別の面によると、本発明は式(I)または式(II)の単量体、オリゴま
ーまたは重合体の放射線照射下での重合に関する。その理由はこれらの化合物の
R2基中の遊離エポキシ官能基の存在の故に、後者は照射下でそれら自身の重合
に役立つからであり、その重合に関してはそれらは高い割合で特別な傾向を示し
そして特に耐性、多孔性、化学作用(例えば溶媒、洗剤、クリーナーおよび酸洗
い剤による)に対する耐性および表面外観に関して優れた性能を有するコーテイ
ングを与える。
これらの驚異的な結果は、少なくとも1種の式(I)または式(II)の単量体
、オリゴマーまたは重合体を含んでなる組成物を少なくとも1種のカチオン重合
光開始剤の存在下においてそして適宜この光開始剤の存在下でカチオン重合可能
な別の化合物の存在下において放射線照射下で重合することにより得られる。
カチオン光開始剤として知られる多数の化合物群を本発明による重合方法に使
用することができる。これらの化合物の中でも、錯ハロゲン化物の芳香族ジアゾ
ニウム塩類、例えば、特に、テトラクロロ鉄(III)酸2,4−ジクロロベンゼン
ジアゾニウム、テトラクロロ鉄(III)酸p−ニトロベンゼンジアゾニウム、テ
トラクロロ鉄(III)酸p−モルホリンベンゼンジアゾニウム、ヘキサクロロ錫
(IV)酸2,4−ジクロロベンゼンジアゾニウム、ヘキサクロロ錫(IV)酸p−
ニトロベンゼンジアゾニウム、テトラフルオロホウ酸2,4−ジクロロベンゼン
ジアゾニウム、ヘキサフルオロ燐酸p−クロロベンゼンジアゾニウム、ヘキサフ
ルオロ燐酸2,4−ジクロロベンゼンジアゾニウム、ヘキサフルオロ燐酸2,4,
6−トリクロロベンゼンジアゾニウム、ヘキサフルオロ燐酸2,4,6−トリブロ
モベンゼンジアゾニウム、ヘキサフルオロ燐酸p−ニ
トロベンゼンジアゾニウム、ヘキサフルオロ燐酸o−ニトロベンゼンジアゾニウ
ム、ヘキサフルオロ燐酸4−ニトロ−o−トルエンジアゾニウム、ヘキサフルオ
ロ燐酸2−ニトロ−p−トルエンジアゾニウムおよびヘキサフルオロ燐酸6−ニ
トロ−2,4−キシレンジアゾニウムが挙げられる。
式
[式中、
− Ar1およびAr2は炭素数が4〜20の同一もしくは相異なる芳香族基、例
えばフェニル、チエニル、フラニルおよびピラゾリルである。Ar1およびAr2
基は、適宜、1個もしくはそれ以上の縮合ベンゾ核、例えばナフチル、ベンゾチ
エニル、ジベンゾチエニル、ベンゾフラニルもしくはジベンゾフラニル、および
/または1個もしくはそれ以上の置換基、例えばハロゲン、ニトロ、ヒドロキシ
ル、カルボキシル、アニリノ、N−アルキルアニリノ、エステル、スルホエステ
ル、アミド、カルバモイル、スルファニル、アルコキシ、アルキル、アリール、
アリールオキシ、アリールスルホニルもしくはペルフルオロアルキル、を有して
いてもよく、
− Zは酸素および硫黄原子、炭素−炭素結合、スルホン、カルボキシル、スル
ホキシドおよびアミン基、並びに式(XXXVI)
の基から選択され、
ここで
− R12およびR13は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基および炭素数2〜4
のアルケニル基から選択され、
− nは0または1に等しく、
− X-はテトラフルオロホウ酸塩、ヘキサフルオロホウ酸塩、ヘキサフルオロ
砒酸塩、ヘキサクロロアンチモン酸塩およびヘキサフルオロアンチモン酸塩から
選択されるハロゲン化された錯アニオンである]
の芳香族ヨードニウムの錯塩も挙げられる。
そのようなヨードニウム塩の例は特にテトラフルオロホウ酸ジフェニルヨード
ニウム、ジ(4−メチルフェニル)ヨードニウム、フェニル(4−メチルフェニ
ル)ヨードニウム、ジ(4−ヘプチルフェニル)ヨードニウム、ジ(ナフチル)
ヨードニウム、ジ(4−フェノキシフェニル)ヨードニウム、フェニル(2−チ
エニル)ヨードニウムおよび2,2'−ジフェニルヨードニウム、ヘキサフルオロ
燐酸ジ(3−ニトロフェニル)ヨードニウム、ジ(4−クロロフェニル)ヨード
ニウムおよびジ(4−トリフルオロメチルフェニル)ヨードニウム、テトラフル
オロホウ酸ジフェニルヨードニウム、ジ(2,4−ジクロロフェニル)ヨードニ
ウム、ジ(4−ブロモフェニル)ヨードニウム、ジ(4−メトキシフェニル)ヨ
ードニウム、ジ(3−カルボキシフェニル)ヨードニウム、ジ(3−トキシカル
ボニルフェニル)ヨードニウム、ジ(3−メトキシスルホニルフェニル)ヨード
ニウム、ジ(4−アセトアミドフェニル)ヨードニウムおよびジ(2−ベンゾチ
エニル)ヨードニウム、ヘキサフルオロ燐酸ジ(4−メチルフェニル)ヨードニ
ウム、ヘキサフルオロ砒酸ジフェ
ニルヨードニウム並びにヘキサフルオロアンチモン酸3,5−ジメチルヨードニ
ウムである。
使用できるカチオン光開始剤としては、特許US−A−4,026,705、4
,032,673、4,069,056、4,136,102および4,173,476
に開示されているようなカチオン部分がオニウム塩を含んでなるホウ酸オニウム
類、または特許出願WO−A−90/11303に開示されているようなオキソ
イソチオクロマニウム塩、或いは特許US−A−4,973,722および4,9
92,572並びに特許出願EP−A−203,829、EP−A−323,58
4およびEP−A−354,181に開示されているようなアニオン性ホウ酸塩
部分が式
[式中、aおよびbは0〜4の範囲の整数であり、a+b=4であり、各Xはa
=0〜3を有するハロゲン原子またはa=0〜2を有するOH官能基であり、そ
してR記号は同一もしくは相異なっていてよく各々が− カチオン部分が周期律
表(Chem.& Eng.News,vol.63,No.5,26)の15〜17族からの元素のオ
ニウム塩である場合には少なくとも1個の電子−吸引基によりまたは少なくとも
2個のハロゲン原子により置換されたフェニル基、或いは
− カチオン部分が周期律表の4〜10族からの金属の有機金属塩である場合に
は少なくとも1個の電子−吸引基または1個のハロゲン原子により置換されたフ
ェニル基、或いは
− カチオン部分がいずれであろうとも、適宜少なくとも1個の電子−吸引基ま
たは1個のハロゲン原子により置換される、少なくとも2個の
芳香族環を含んでなるアリール基
である]
を有するような有機金属塩も挙げられる。
そのような化合物の例としては、特にテトラキス(ペンタフルオロフェニル)
ホウ酸ジフェニルヨードニウム、(4−オクチルオキシフェニル)フェニルヨー
ドニウム、(ドデシルフェニル)ヨードニウム、
(η5−シクロペンタジエニル)(η6−クメン)Fe+、(η5−シクロペンタジ
エニル)(η6−トルエン)Fe+および(η5−シクロペンタジエニル)(η6−
メチルナフタレン)Fe+が挙げられる。
使用できるカチオン光開始剤としては、芳香族スルホニウムの錯塩、例えば式
(XXXVIII)[式中、
− R14、R15およびR16は同一もしくは相異なりそして(Ar1およびAr2に
関して上記に定義されている通りである)炭素数4〜20の芳香族基および炭素
数1〜20のアルキル基から選択され、但しR14、R15およびR16の少なくとも
1個は芳香族基であり、
− Zは式(XXXVI)中で定義されている通りであり、
− nは0または1の値を有し、そして
− X-はテトラフルオロホウ酸塩、ヘキサフルオロ燐酸塩、ヘキサフルオロ砒
酸塩、ヘキサクロロアンチモン酸塩およびヘキサフルオロアン
チモン酸塩から選択されるハロゲン化された錯アニオンである]
で示されるもの、も挙げられる。
これらの塩の例として、テトラフルオロホウ酸トリフェニルスルホニウム、メ
チルジフェニルスルホニウム、4−ブトキシフェニルジフェニルスルホニウム、
4−アセトキシフェニルジフェニルスルホニウム、ジ(メトキシナフチル)メチ
ルスルホニウム、4−アセトアミドフェニルジフェニルスルホニウム、トリフル
オロジフェニルスルホニウム、10−フェニル−9−オキソチオキサンテニウム
および5−メチル−10−オキソチアンスレニウム、ヘキサフルオロ燐酸ジメチ
ルフェニルスルホニウム、トリフェニルスルホニウム、トリトリルスルホニウム
、トリス(4−フェノキシフェニル)スルホニウム、トリス(4−チオメトキシ
フェニル)スルホニウム、ジ(カルボメトキシフェニル)メチルスルホニウム、
ジメチルナフチルスルホニウム、フェニルメチルベンジルスルホニウム、10−
メチルフェノキサンテニウム、10−フェニル−9,9−ジメチルチオキサンテ
ニウム、10−フェニルチオキサンテニウム、5−メチルチアンスレニウムおよ
び5−メチル−10,10−ジオキソチアンスレニウム、ヘキサフルオロアンチ
モン酸トリフェニルスルホニウム、アニシルジフェニルスルホニウム、4−クロ
ロフェニルジフェニルスルホニウム、ジ(メトキシスルホニルフェニル)メチル
スルホニウムおよび5−メチル−N−メチルフェノチアジニウム並びにヘキサフ
ルオロ砒酸ジフェニルナフチルスルホニウムおよびジ(4−エトキシフェニル)
メチルスルホニウムが特に挙げられる。
使用できるカチオン光開始剤として、一般式(XXXIX)
[式中、
− R17は適宜置換される炭素数6〜13の1価の芳香族基であり、
− R18はアルキル、シクロアルキルおよび置換されたアルキル基から選択され
る炭素数1〜8の1価の脂肪族基であり、
− R19は構造が脂肪族または芳香族基から選択される複素環式であるかまたは
縮合環を含んでなる構造を形成する多価の有機基であり、
− Xは硫黄、セレンおよびテルルから選択され、
− Mは金属または半金属であり、
− Qはハロゲンであり、
− aは0〜3の範囲の整数であり、
− bは0〜2の間の値を有し、
− cは0または1の値を有し、
− a+b+cの合計は3に等しいかまたはXの原子価に等しく、
− d=e−fであり、
− fはMの原子価の値を有しそして2〜7の範囲の整数であり、
− eはfより大きくそして8までの範囲の整数である]
で示されるVIa族からのオニウム塩類も挙げられる。
Mは遷移金属、例えばアンチモン、鉄、錫、ビスマス、アルミニウム、ガリウ
ム、インジウム、チタン、ジルコニウム、スカンジウム、バナジウム、クロム、
マンガンおよびセシウム、希土類金属、例えばランタニ
ド(例えばセリウム)またはアクチニド(例えばトリウムもしくはウラン)、ま
たは半金属、例えばホウ素、燐および砒素であってよい。錯アニオン[MQe](e- f)-
は、例えば、BF4 -、PF6 -、AsF3 -、SbF6 -、FeCl4 -、SnCl6 -
、SbCl6 -、BiCl5 --、AlF6 3-、TiF6 --およびZrF6 -である。
使用できるカチオン光開始剤の他の群は一般式(XL)
[式中、
− Mはアンチモン、鉄、錫、ビスマス、アルミニウム、チタン、ジルコニウム
、バナジウム、クロム、マンガンおよびセシウムから選択される遷移金属であり
、
− Ar1およびAr2は式(XXXV)中で定義されている基であり、そして
− XはBF4 -、PF6 -、AsF3 -、SbF6 -、FeCl4 -、SnCl6 -、Sb
Cl6 -、BiCl5 --、AlF6 3-、TiF6 --およびZrF6 -から選択されるハ
ロゲン化錯アニオンである]
で示される遷移金属の芳香族錯塩類からなる。
そのような化合物の例としては、式(XLI):
で示されるヘキサフルオロ燐酸(1−)(η5−2,4−シクロペンタジエン−
1−イル)−[(1,2,3,4,5,6−η)−(1−メチルエチル)ベンゼン]鉄
(1+)が特に挙げられる。
使用できるカチオン光開始剤の他の群は式(XLII):
[式中、
− Arは適宜置換される芳香族基、例えばフェニル、ビフェニルまたはナフチ
ルであり、
− Xは式
のビスフェニルスルホニオ基であり、
ここでR20〜R29は各々独立して水素およびハロゲン原子またはニトロ、アルコ
キシ、アルキル、フェニル、フェノキシ、アルキルチオ、フェニルチオ、ベンジ
ルオキシおよびヒドロキシアルキル基から選択され、
− aは1〜4の数であり、bは0〜3の数であり、a+bは1〜4の数であり
そしてnは1〜4の数であり、そして
− Zは式
MQm(OH)1 (XLIV)
のハロゲン化物であり、
ここでMはホウ素、燐、砒素およびアンチモン原子から選択され、Qはハロゲン
であり、mは3〜6の数であり、1は0または1でありそしてm+1は4〜6の
数である]
で示される化合物からなる。
以上で示したように、式(I)または(II)の化合物の放射線照射下での重
合は同じ光開始剤によりカチオン重合可能な他の化合物の存在下で行なうことが
でき、換言すると、この場合には、本発明による方法は
一方で(A)式(I)または(II)の化合物をそして他方で(B)そのような
別の化合物を含んでなる混合物を放射線照射下で重合することからなる。重合速
度および得られる重合生成物の性能に関して導かれる顕著な利点を保有するため
には、そのような混合物が少なくとも20重量%の化合物(A)および、したが
って多くとも80重量%の化合物(B)を含んでなることが好ましい。
種々のカテゴリーの化合物(B)がそのような組成物の放射線照射下での重合
に適する。それらの決定は本質的には一方ではそれらが選択されたカチオン光開
始剤の存在下における放射線照射下の重合可能性に依存し、そして他方では使用
する式(I)または(II)の化合物(A)とのそれらの混和性に依存する。そ
のような化合物(B)の非−限定的な例として、下記のものが挙げられる:
− 非−脂環式モノエポキシド類、例えば一官能性もしくは多官能性の脂肪族モ
ノエポキシド類、例えば、特にグリシジル、2−(ノルボルン−2−イルオキシ
)エチル、2−(ジメタノデカヒドロナフチ−2−イルオキシ)エチル、4,5
−エポキシペンチル、5,6−エポキシヘキシル、6,7−エポキシヘプチル、7
,8−エポキシオクチル、8,9−エポキシノニル、9,10−エポキシデシル、
11,12−エポキシドデシル、2,3−エポキシブチル、3−フェニル−2,3
−エポキシプロピルおよびオクタヒドロ−2,5−メタノ−2H−ウンデノ[1,
2−b]オキシレニルアクリレート類およびメタクリレート類、
− 一官能性もしくは多官能性の脂環式モノエポキシド類、例えば5(6)−ヒ
ドロキシ−2−[2,1'−エポキシエチル]−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、3,
4−エポキシシクロヘキシルメチル、2−(1,2−エポ
キシ−4,7−メタノペルヒドロインデン−5(6)−イルオキシ)−エチル、
5,6−エポキシ−4,7−メタノペルヒドロインデン−2−イル、1,2−エポ
キシ−4,7−メタノペルヒドロインデン−5−イル、2,3−エポキシ−シクロ
ペンテニルメチルおよび3,4−エポキシシクロヘキシルメチル化ポリカプロラ
クトンアクリレート類およびメタクリレート類、式:
[式中、R30は水素およびメチル基から選択されそしてnは約1〜10の範囲の
整数である]
を有する3,4−エポキシシクロヘキシルメチル化ポリカプロラクトン、
− 式
の4−ビニルシクロヘキサンモノエポキシド、
式のビニルノルボルネンモノエポキシド、
式
のリモネンモノエポキシド、
および式
のリモネンジエポキシド、
− 脂肪族ジエポキシド類、例えば一般式
[式中、mは2〜12の範囲の整数である]
の多価アルコール類のジグリシジルエーテル類、特に1,4−ブタンジオールジ
グリシジルエーテル(1,4−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)ブタン)また
は式
のジエチレングリコールジグリシジルエーテル(ビス[2−(2,3−エポキシプ
ロポキシ)エチル]エーテル)並びに2,3−ビス(2,3−エポキシプロポキシ
)−1−プロパノールおよび1,3−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)−2−
プロパノール、
− 少なくとも1個の芳香族核を有する多価フェノール類のポリグリシジルエー
テル類およびそれらとアルキレンオキシドとの付加物、例えばビスフェノール化
合物、例えばビスフェノールA、ビスフェノールFおよびビスフェノールSまた
はそれらのエチレンオキシド、プロピレンオキシドもしくはブチレンオキシド付
加物とエピクロロヒドリンとの反応により製造されるもの、ノボラック、クレゾ
ール−ノボラックまたはブロモフェノール−ノボラックタイプのエポキシ樹脂、
並びにトリスフェノールメタントリグリシジルエーテル。これらのポリエポキシ
ド化樹脂の一般的構造は特に式
(ビスフェノールA誘導体用)、および[式中、R31は水素およびメチル基から選択される]
(ノボラックエポキシ−フェノールおよびエポキシークレゾール樹脂用)
により表される。
− 芳香族および複素環式のグリシジル化アミノ樹脂、例えば式
のテトラグリシジルメチレンジアニリンから誘導される樹脂、
− トリグリシジル−p−アミノフェノールから誘導される樹脂、トリアジンを
ベースとした樹脂および式
のエポキシ−ヒダントイン樹脂、
− 脂環式エポキシアルコール類および(メタ)アクリロイルイソシアナートま
たはイソシアナトエチル(メタ)アクリレートまたはm−イソプロペニル−α,
α−ジメチルベンジルイソシアナートの付加物、例えばN−(3,4−エポキシ
シクロヘキシル)メトキシカルボニル(メタ)アクリルアミド、N−(5,6−
エポキシ−4,7−メタノペルヒドロインデン−2−イル)オキシカルボニル(
メタ)アクリルアミド並びに式
[式中、R30は水素およびメチル基から選択されそしてnは1〜10の範囲の整
数である]
の3,4−エポキシシクロヘキシルメチル化ポリカプロラクトンおよび(メタ)
アクリロイルイソシアナートの付加物、
− 不飽和天然化合物のエポキシド化誘導体、例えば、エポキシド化大豆油、お
よび不飽和合成重合体のエポキシド化誘導体、例えば、エポキシド化ポリブタジ
エン、
− 脂肪族ビニルエーテル類、例えばトリエチレングリコールジビニル
エーテルおよびヒドロキシブチルビニルエーテル、環式ビニルエーテル類、例え
ば1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、アクロレインオリゴ
マー類、4−メチルジヒドロピランおよび3,4−ジヒドロピラン−2−メタノ
ールの誘導体、並びにアルキルビニルエーテル類、
− プロペニルエーテル類、例えば炭酸プロピレンのプロペニルエーテルおよび
式
A(OCH=CHCH3)n (LVII)
[式中、nは1〜6の範囲の整数でありそしてAは環式エーテル類、ポリエーテ
ル類および炭素数が2〜20の直鎖状、分枝鎖状または環式アルカン類から選択
される]
の化合物。そのような化合物の例は1,2−ジプロペノキシエタン、1,4−ジプ
ロペノキシブタン、1,6−ブロペノキシヘキサン、1,3−ジプロペノキシプロ
パン、1,4−シクロヘキサンジメタノールジプロペニルエーテル、1,4−シク
ロヘキサンジプロペニルエーテル、1,2−ジプロペノキシプロパン、1,10−
ジプロペノキシデカン、1,8−ジプロペノキシオクタン、1,2,3−トリプロ
ペノキシプロパン、1,2,3,4−テトラプロペノキシブタン、ソルビトールヘ
キサプロペニルエーテル、トリメチロールプロパントリプロペニルエーテル、ペ
ンタエリスリトールテトラプロペニルエーテル、1,2−ジプロペノキシシクロ
ペンタン、1,3−ジプロペノキシペルフルオロプロパン、ジエチレングリコー
ルジプロペニルエーテル、テトラエチレングリコールジプロペニルエーテルおよ
び3,4−ジプロペノキシテトラヒドロフランを含む。
− オキセタン類、例えば3,3−ビス(クロロメチル)オキセタン、
式
[式中、Rはアリーレン基(例えばフェニレン基)であり、R32は水素並びにメ
チルおよびエチル基から選択され、そしてnは少なくとも2に等しい整数である
]
の4,4−ジアルキル−2−アルコキシオキセタン類、および置換されたオキセ
タン類、例えば特許US−A−5,463,084に開示されているもの。
放射線照射による重合方法の実施のために使用されるカチオン光開始剤の量は
重合可能な有機物質の量、換言すると式(I)または(II)の化合物(A)およ
び場合により後者と混合されていてもよい化合物(B)の合計重量、に関係する
。光開始剤の一般的な割合は重合可能な有機物質の約0.1〜約10重量%、好
ましくは約1〜5重量%の間、である。
本発明の特定の面によると、放射線照射下で重合にふされる組成物は、さらに
放射線照射下で二重またはハイブリッド架橋機構により硬化可能である少なくと
も1種の単量体またはオリゴマー化合物、例えばウレタン−アクリレート、ポリ
エステル−アクリレートまたはエポキシ−アクリレートを含むことができる。こ
の場合には、2種の架橋機構が同時にまたは連続して起き、例えばラジカル重合
により硬化可能な化合物が挙げられる。カチオン光開始剤が芳香族スルホニウム
塩である場合には、光開始剤の分解に際し、同時にカチオンおよびフリーラジカ
ルを供給す
るためラジカル開始剤は必要ない。或いは、上記のカチオン光開始剤およびラジ
カル開始剤、例えばベンゾフェノン、ベンジルジメチルアセタール、シクロヘキ
シルフェニルケトン、チオキサントン類およびラジカル重合を引き起こすために
使用されるその他の開始剤の組み合わせ、を使用することもできる。使用される
2種の開始剤の各々の割合およびそれらの合計量は組成物の配合および予定され
る用途の関数として変化する。
さらに、本発明による放射線照射方法により得られる重合生成物のある特定の
使用に関しては、化合物(A)および(B)を含んでなる重合可能な組成物に組
成物の粘度を低下させることができる少なくとも1種のヒドロキシル化化合物(
例えばエタノール)および/または連鎖−移動剤として作用することができるか
もしくは重合可能な組成物を可撓性にすることができる少なくとも1種のポリヒ
ドロキシル化化合物またはアルデヒドを加えることも有用でありうる。後者の化
合物の中では、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ベンズアルデヒ
ド、ペンタエリトリトール、トリメチロールプロパンおよびヒドロキシル末端部
を含んでなるオリゴマー類、例えばポリエステルポリオール類、ポリエーテルポ
リオール類、ヒドロキシル化ポリカプロラクトン類およびヒドロキシル化ポリブ
タジエン類が特に挙げられる。
本発明による重合方法を実施するためには、化学光線の照射による通常の硬化
方法の助けをかりることができる。照射は電離放射線(粒子もしくは非−粒子)
または非−電離放射線であることができる。電子または荷電した核を発生するい
かなる源も適切な電子線源として使用することができる。粒子放射線は、例えば
、電子加速器(約50〜500Ke
Vの電圧条件および1〜10メガラッドの照射条件下)、例えばファンデルグラ
ッフ加速器、および放射性元素、例えばコバルト−60、ストロンチウム−90
などにより発生させることができる。10-3〜2000オングストロームの領域
の放射線を発生するいかなる源も非−電離、非−粒子放射線源として使用するこ
とができる。適切な源には紫外線放射真空ランプ、例えばキセノンまたはクリプ
トンアーク、が包含される。約150nm〜約500nmの放射線を発生する源
を適切な非−電離放射線源として使用することができる。適切な源には好ましく
は約100〜1000mJ/cm2のエネルギーを供給する水銀アーク、炭素ア
ーク、タングステンフィラメントランプ、紫外線ランプ、エキシマーランプおよ
びレーザーが包含される。
放射線で硬化可能なコーテイング組成物を非−電離放射線、例えば紫外線放射
により硬化しなければならない時には、上記のカチオン光開始剤以外の光開始剤
または光活性化剤を組成物に加えることができる。良く知られた例には、2,2
−ジエトキシアセトフェノン、2−、3−もしくは4−ブロモアセトフェノン、
ベンズアルデヒド、ベンゾイン、ベンゾフェノン、9,10−ジブロモアントラ
セン、4,4'−ジクロロベンゾフェノン、2,3−ペンタンジオン、ヒドロキシ
シクロヘキシルフェニルケトンおよび(チオ)キサントン類が包含される。その
ような光開始剤は一般的には、重合可能な組成物の重量基準で約0.1〜10重
量%そして好ましくは1〜5重量%の範囲の量で加えられる。
本発明のさらに別の特定の面によると、組成物はいわゆる「暗所における架橋
」機構により重合することもできる。この場合には、フリーラジカルにより開始
される重合とは対照的に、放射線への暴露が止んだ後
にも重合は続く。この機構はある場合に、例えば多孔性基質の孔の中の架橋を改
良するため、接着剤用、エレクトロニクス用コーテイングなどに使用することが
できる。
本発明による照射方法にかけられる組成物は、化合物(A)および適宜化合物
(B)、連鎖−移動剤または可撓化剤、追加の光開始剤(紫外線照射の場合)お
よび光活性化剤の他に、
− 少なくとも1種の重合体フィルムの延展性を改良しうる湿潤剤または表面改
質剤、例えばシリコーンもしくは弗素化生成物またはポリエーテルまたはこの特
定の性質に寄与することが知られている他の化合物、
− 少なくとも1種のそれ自体は既知の接着促進剤、
− 少なくとも1種の、照射下で架橋可能なコーテイング組成物において一般的
に使用されている無機充填剤(例えば、特に、カオリン、シリカ、硫酸バリウム
、炭酸カルシウムもしくは滑石)または有機充填剤、
− 有機重合体バインダー中のペーストの形態であるかもしくはそうでない少な
くとも1種の無機顔料、または有機着色剤、並びに
−適宜、帯電防止剤、発泡防止剤、湿潤剤および増粘剤のカテゴリーから選択さ
れる1種もしくはそれ以上の添加剤
を含んでなることができる。
以上で挙げられた種々の任意の添加剤は本発明の概念では照射コーテイング技
術において良く知られている割合で使用される。
本発明による照射重合方法で使用される樹脂組成物は基質上にコーテイングの
形態で、例えばブラシを用いるコーテイング、噴霧によるコーテイング、カーテ
ン−コーテイング技術によるコーテイングなどの如何なる方法によっても適用す
ることができる。適宜そして予定される特定
の用途の要求により、照射の前または後に基質を処理段階、例えば組成物の重合
反応を促進させるかまたは完了させるための熱処理、にかけることができる。後
者の場合には、熱による後処理の温度および期間は当該基質の性質に依存する方
法で選択され、後処理温度は一般に約50℃〜約300℃の間、好ましくは約7
0℃〜150℃の間であり、後処理の期間は一般に2、3秒〜約24時間の間で
ある。
別の面によると、本発明は上記の照射方法により得られる重合組成物の少なく
とも1つの層でコーテイングされた基質にも関する。この基質は極めて種々の性
質ものであることができ、特に木材、金属、例えば鋼およびアルミニウム、プラ
スチック、例えばポリオレフィン類、ポリカーボネート類、飽和および不飽和ポ
リエステル類、フェノールおよびフェノールーホルムアルデヒド樹脂、ポリアミ
ド類、ポリ(塩化ビニル)、エチレンおよびアクリル系単量体の共重合体、ポリ
メタクリレート類などでありうる。
非常に変動する基質に対するそれらの接着性の故に、式(I)または式(II)
の単量体、オリゴマーまたは重合体をベースにした重合組成物は非常に多くの工
業的用途、例えば
− 全ての上記の基質上の薄い、厚いまたは中程度の厚さのコーテイング、
− 特に自己−接着性フィルムの製造用に、特に可塑化したポリ(塩化ビニル)
、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(エチレンテレフタレート)または紙を
ベースにした感圧接着剤、この用途では、A2ブロックが本質的にアクリル系単
量体から誘導される式(II)の単量体、オリゴマーまたは重合体の助けをかりる
ことが好ましい、
− 透明なワニス、
− 自動車用の発泡体または塩化ビニル製のラベル用のフィルム、
− 物質の2つの同一もしくは相異なる層のためのローリング接着剤、
− 特に三次元対象のためのステレオリトグラフィー、
− 特にグラフィックアーツ用の、印刷インキ、
を見いだすことができる。
下記の実施例は本発明をさらに詳細に説明する。部および百分率は、断らない
限り、重量による。実施例1
ジエチレングリコールおよび過剰のアジピン酸の混合物を窒素雰囲気下で0.
2%のトリス(2−エチルヘキサン酸)ブチル錫(M&Tケミカルズ・インコー
ポレーテッド(M&T Chemicals Inc.)社によりファスカット(Fascat)4102の品
名で販売されている)の存在下で、水を蒸留除去しながら、1000の分子量お
よびASTM標準D974−64により測定した酸価118mgのKOH/gが
得られるまで、220℃に加熱することにより、カルボキシル末端部を含んでな
るポリエステルが製造される。
262gの3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘ
キサン(ダイセル・ケミカル・インダストリーズ(Danicel Chemical Industries
)によりセロキシド(Celloxide)2021Pの品名で販売されている)および23
1gのトルエンの混合物を反応器中で加熱還流し(120℃)、それに1時間に
わたり、上記で製造されたカルボキシル末端部を含んでなるポリエステル200
gと65gのトルエンおよび0.1%のアエロジェット・ソリド・プロパルジョ
ン・カンパニー(Ae
rojet Solid Propulsion Company)社によりAMC−2の品名で販売されている
C7−C11アルコール類のオルトフタル酸エステル類のマトリックス中5.1%の
2−エチルヘキサン酸クロムからなる触媒の混合物をゆっくり加える。酸価が4
mgのKOH/gに低下するまで反応器中120℃で撹拌を続ける。混合物を次
に80℃に冷却しそしてトルエンを高真空下で蒸留除去する。
反応生成物を引き続きゲル透過クロマトグラフィーにより、
−装置:メルク−ヒタチ(Merck-Hitachi)AS2000自動射出器が装備されて
いるメルク−ヒタチL6000高圧ポンプ、
−カラム:40℃の温度の2×PLゲル3μM混合E300×7.5mm、
−検出器:ウォーターズ(Waters)RI401示差回折計、
−溶離剤:安定化されたテトラヒドロフラン、
−流速:1ml/分、
−射出量:100μl、
−データ処理:GPC/SEC級PLソフトウェア、
−目盛り:ポリスチレン標準およびセロキシド2021P
を使用することにより分析する。
この分析により反応生成物が28%の未反応セロキシド2021Pおよび72
%の本発明によるエポキシ脂環式末端部を含んでなるポリエステルからなること
を測定することが可能になる。さらに、M.Chakrabarty,Analyst,95,page 85
(1970)の方法により測定した反応生成物のエポキシ当量は309gである。実施例2
実施例1の通りであるが反応を2000の分子量および57mgのKOH/g
の酸価となるまで続けることにより、カルボキシル末端部を含んでなるポリエス
テルが製造される。
このポリエステルを次に、ポリエステルの量(412g)およびトルエンの量
(ジエポキシドを溶解させるための338g、触媒およびポリエステルを溶解さ
せるための112g)以外は前の実施例の通りにしてジエポキシドであるセロキ
シド2021Pと反応させる。
前の実施例の通りにして分析される最終生成物は438gのエポキシ当量を有
しておりそして78%の本発明によるエポキシ脂環式末端部を含んでなるポリエ
ステルおよび22%の未反応セロキシド2021Pからなっている。
さらに、反応生成物を下記のものに。より分析する:
−パーキン−エルマー1760器具によるフーリエ変換赤外分光計、スペクトル
はフィルムの形態で臭化ヨウ化タリウム結晶(KRS−5)上で4cm-1の解像
度で記録される。これらのスペクトルは3512cm-1(OHバンド)、173
4cm-1(エステル官能基のC=Oバンド)、1255、1176および113
6cm-1(エステル官能基のC−Oバンド)における吸収により同定される。
−溶媒としてのCDCl3および参照としてのテトラメチルシランを使用する6
0MHzの周波数におけるプロトン核磁気共鳴。得られたスペクトルは1.63
ppm(アジピン酸および脂環式CH2)、2.32ppm(アジピン酸CH2)
、3.0ppm(エポキシ)、3.6ppm(エーテルCH2)、4.15ppm(
エステルCH2)および4.7ppm(エステルCH)の化学シフトを示す。実施例3
262g(1モル)の3,4-エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキ
シシクロヘキサンセロキシド2021P、0.1%のAMC−2触媒および19
5gのトルエンの混合物を反応器中で115℃に加熱する。30.7g(0.21
モル)のアンピン酸を一部分ずつこの溶液に1時間にわたり加える。酸価が1m
gのKOH/gに低下するまで撹拌を115℃において続ける。80℃に冷却し
そしてトルエンを高真空下で蒸留除去した後に、最終生成物を集めそして前の実
施例の通りにして分析する。それは189gのエポキシ当量を有しておりそして
51%の本発明によるエポキシ脂環式末端部を含んでなる二塩基酸および49%
の未反応セロキシド2021Pからなることが証明された。実施例4
0.75モルのイソホロンジイソシアナート、0.38モルのジヒドロキシメチ
ルプロピオン酸および200ppmのトリノニルフェニルホスフィンの混合物を
50℃にゆっくり加熱する。発熱ピーク後に、この混合物を75℃で3時間撹拌
する。反応が完了した時に、0.75モルのPPG1025の品名でシェル(Shel
l)により販売されているポリ(プロピレングリコール)および250ppmのジ
ラウリン酸ジブチル錫をさらに添加し、撹拌を85℃で9時間続け、そして得ら
れたポリウレタンを次に濾別する。
262gのセロキシド2021P、0.1%のAMC−2触媒および667g
のトルエンを反応器中で105℃に加熱する。1606gの上記で得られたポリ
ウレタン(17mgのKOH/gの酸価を有する)および0.1%の触媒の26
0gのトルエン中溶液をこの混合物に1時間
にわたりゆっくり加える。酸価が4mgのKOH/gに低下するまで撹拌を11
5℃で続けそして次に80℃に冷却した後にトルエンを高真空下で蒸留除去する
。前の実施例の通りにして分析された最終生成物は1136gのエポキシ当量を
有しておりそして93%の本発明によるエポキシ脂環式末端部を含んでなるポリ
ウレタンおよび7%の未反応セロキシド2021Pからなっている。実施例5
500gのアクリル酸メチル、500gのメタクリル酸n−ブチル、25gの
メルカプトプロピオン酸および2gの2,2'−アゾビス−(2−メチルブチロニ
トリル)開始剤の666gのトルエン中溶液を最初に製造する。
この溶液の1/4を反応器に加えそして加熱還流し、そして次に発熱ピーク後
に残りの3/4を90分間にわたりゆっくり加える。共重合体溶液を次に120
℃で4時間撹拌しそして2gの開始剤を一部分ずつ30分毎に加える。反応混合
物を次に冷却する。
158gのセロキシド2021Pおよび352gのトルエンの混合物を別の反
応器中で加熱還流する。以上で製造されたアクリル系共重合体溶液中のAMC−
2触媒の0.1%溶液を引き続きこの混合物に1時間にわたりゆっくり加える。
酸価が2mgのKOH/gに低下するまで撹拌を115℃において続ける。80
℃に冷却しそしてトルエンを高真空下で蒸留除去した後に、最終生成物を集めそ
して次に前の実施例の通りにして分析する。そのエポキシ当量は1225gであ
りそしてそれは92%の本発明によるエポキシ脂環式末端部を含んでなるポリア
クリレートおよび8%の未反応セロキシド2021Pからなっていることが証明
される。実施例6
ポリエステルの製造以外は実施例1の工程を繰り返し、そのポリエステル用に
はジエチレングリコールが16%の割合のトリメチロールプロパンにより置換さ
れそして反応を2000の分子量および87.4mgのKOH/gの酸価となる
まで続ける。
実施例1の通りにして分析された最終生成物は380gのエポキシ当量を有し
ておりそして79%の本発明によるエポキシ脂環式末端部を含んでなるポリエス
テルおよび21%の未反応セロキシド2021Pからなっている。実施例7
反応を3000の分子量および39.2mgのKOH/gの酸価となるまで続
けたこと以外は実施例2の通りにしてカルボキシル末端部を含んでなるポリエス
テルを製造する。
このポリエステルを引き続きジエポキシドであるセロキシド2021Pと、ポ
リエステルの量(627g)およびトルエンの量(ジエポキシドを溶解させるた
めの444g、触媒およびポリエステルを溶解させるための148g)以外は前
の実施例の通りにして、反応させる。
実施例1の通りにして分析された最終生成物は568gのエポキシ当量を有し
ておりそして83%の本発明によるエポキシ脂環式末端部を含んでなるポリエス
テルおよび17%の未反応セロキシド2021Pからなっている。実施例8
ジエチレングリコールを等モル量のブタンジオールで完全に置換しそ
して反応を2000の分子量および70.1mgのKOH/gの酸価となるまで
続けること以外は、実施例2の工程を繰り返す。
実施例1の通りにして分析された最終生成物は405gのエポキシ当量を有し
ておりそして78%の本発明によるエポキシ脂環式末端部を含んでなるポリエス
テルおよび22%の未反応セロキシド2021Pからなっている。実施例9
アジピン酸を等モル量のアゼライン酸で完全に置換すること以外は、実施例3
の工程を繰り返す。
実施例1の通りにして分析された最終生成物は198gのエポキシ当量を有し
ておりそして54%の本発明によるエポキシ脂環式末端部を含んでなる二塩基酸
および46%の未反応セロキシド2021Pからなっている。実施例10
アジピン酸を等モル量のデカンジカルボン酸で完全に置換すること以外は、実
施例3の工程を繰り返す。
実施例1の通りにして分析された最終生成物は201gのエポキシ当量を有し
ておりそして54%の本発明によるエポキシ脂環式末端部を含んでなる二塩基酸
および46%の未反応セロキシド2021Pからなっている。実施例11
アジピン酸を等モル量の琥珀酸で完全に置換すること以外は、実施例3の工程
を繰り返す。
実施例1の通りにして分析された最終生成物は187gのエポキシ当
量を有しておりそして52%の本発明によるエポキシ脂環式末端部を含んでなる
ポリエステルおよび48%の未反応セロキシド2021Pからなっている。実施例12
アジピン酸を等モル量のラウリン酸で完全に置換すること以外は、実施例3の
工程を繰り返す。
実施例1の通りにして分析された最終生成物は232gのエポキシ当量を有し
ておりそして63%の本発明によるエポキシ脂環式末端部を含んでなる一塩基酸
および37%の未反応セロキシド2021Pからなっている。実施例13
アジピン酸を等モル量のテレフタル酸で完全に置換すること以外は、実施例3
の工程を繰り返す。
実施例1の通りにして分析された最終生成物は196gのエポキシ当量を有し
ておりそして55%の本発明によるエポキシ脂環式末端部を含んでなる二塩基酸
および45%の未反応セロキシド2021Pからなっている。実施例14
下記の2つの例外を別として、実施例5の工程を繰り返す:
−第1工程では、使用する開始剤は和光純薬化学工業株式会社によりヴァゾ(Vaz
o)501の品名で販売されている4,4'−アゾビス(4−シアノ吉草酸)である
。
−最終工程(他の反応器)では、185gのセロキシド2021Pおよび388
gのトルエンが使用される。
実施例1の通りにして分析された最終生成物は1067gのエポキシ当量を有
しておりそして91%の本発明によるエポキシ脂環式末端部を含んでなるポリア
クリレートおよび9%の未反応セロキシド2021Pからなっている。実施例15
262gのセロキシド2021P、292g(2モル)のアジピン酸、0.1%
のAMC−2触媒および892gのトルエンの混合物を反応器中で115℃に加
熱する。酸価が78mgのKOH/gに低下するまで撹拌を続ける。786g(
3モル)のセロキシド2021Pを次に一段階で加えそして酸価が1mgのKO
H/gに低下するまで撹拌を続ける。80℃に冷却しそしてトルエンを高真空下
で蒸留除去した後に、最終生成物を集めそして前の実施例の通りにして分析する
。それは341gのエポキシ当量を有しておりそして80%の本発明によるエポ
キシ脂環式末端部を含んでなる二塩基酸および20%の未反応セロキシド202
1Pからなっていることが証明される。実施例16
前の実施例で得られた生成物から出発した、架橋された配合物の種々の性質を
種々の基質上で螺旋フィルム延伸器により手動により製造された10μmの厚さ
のフィルム上で試験した。
試験した各配合物は70部のセロキシド2021P、30部の前の実施例から
のエポキシ脂環式末端部を含んでなる生成物(本発明による)および3重量部の
ミネソタ・マイニング・アンド・マニュファクチュアリング(Minnesota Mining
and Manufacturing)社によりFX−512の品名で販売されている60%のヘキ
サフルオロ燐酸トリフェニルスルホ
ニウムおよび40%のγ−ブチロラクトンからなるカチオン系光開始剤からなっ
ている。
測定した性質は下記の通りである:
− その架橋速度RC(1分間当たりのメートルで表示されそして80W/cm
の出力の紫外線照射ランプ下で指で触って(操作者による触覚に対する評価)乾
燥フィルムが得られる前進速度および滑石粒子がもはやコーテイングの表面にも
はや付着しないような速度TR(1分間当たりのメートルで表示される)により
測定した、配合物の反応性、
− アセトン耐性RA(基質から分離するまでフィルムに投与されるアセトンに
よる2倍摩擦運動数として表示される)により24時間後に測定した、耐溶媒性
、
− 秒で表示されそしてASTM標準D4366により測定される、約24時間
後のケーニッヒ硬度KH、
− %で表示されそして種々の基質:ALU(アルミニウム)、PET(ポリエ
ステル)、PVC(ポリ(塩化ビニル))、ガラス、PE(ポリエチレン)およ
びPP(ポリプロピレン)に関してASTM標準D−3002による接着試験に
より測定される、23℃における接着力。
これらの種々の測定の結果を以下の表にまとめる。 セロキシド2021P出発物質に対して行われた対応する測定の結果もこの表
に比較用に示されている。これらの結果は、本発明によるエポキシ脂環式末端部
を含んでなる重合体を30重量%含んでなる架橋した組成物に関しては、溶媒耐
性(RA)において非常に大きな改良を示し、それは満足のいく架橋速度を保ち
つつ且つ種々の基質に対する接着力を保つかまたは改良しつつ得られる。