JP2001353825A - 易引裂性積層体およびその製造方法 - Google Patents

易引裂性積層体およびその製造方法

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JP2001353825A
JP2001353825A JP2000177481A JP2000177481A JP2001353825A JP 2001353825 A JP2001353825 A JP 2001353825A JP 2000177481 A JP2000177481 A JP 2000177481A JP 2000177481 A JP2000177481 A JP 2000177481A JP 2001353825 A JP2001353825 A JP 2001353825A
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JP
Japan
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ethylene
easily tearable
elution
polymer
resin material
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Application number
JP2000177481A
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English (en)
Inventor
Ippei Kagaya
一平 加賀谷
Masahiro Wakayama
昌弘 若山
Yoshimasa Saito
好正 斉藤
Hiroshi Kasahara
洋 笠原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Japan Polyolefins Co Ltd
Original Assignee
Japan Polyolefins Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 易引裂性基材とこれに隣接した各層との間の
接着性が良好で、引裂性に優れ、かつヒートシール性に
も優れた易引裂性積層体およびその製造方法を提供す
る。 【解決手段】 易引裂性基材からなる易引裂性基材層
(I)と、(A)(a)密度が0.86〜0.97g/
cm3 、(b)メルトフローレートが0.01〜100
g/10分、(c)分子量分布(Mw/Mn)が1.5
〜4.5、(d)連続昇温溶出分別法(TREF)によ
る溶出温度−溶出量曲線の積分溶出曲線から求めた全体
の25%が溶出する温度T25と全体の75%が溶出する
温度T75との差T75−T25および密度dが、T75−T25
≦−670×d+644の関係を満足するエチレン
(共)重合体を含有する樹脂材料からなる樹脂材料層
(II)とを有する易引裂性積層体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリプロピレン、
ポリアミド、ポリエステル、エチレン−酢酸ビニル共重
合体鹸化物などの配向された易引裂性基材を有する易引
裂性積層体、易引裂性基材とシーラント層とを有する易
引裂性積層体、あるいは、さらにプラスチック基材、ア
ルミニウムなどの金属基材、紙、セロハン、不織布、織
布などの基材を含む易引裂性積層体、およびそれらの製
造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系
樹脂(以下「PP」と略す)は、プラスチック等の基材
に押出ラミネートされて一般的な軽包装におけるシーラ
ントとして汎用されている。中でもPPは、ポリエチレ
ンより耐熱、耐油性に優れることから、特に耐熱性を要
求される包装材料のシーラントとして積層体の最内層に
用いられている。このような一般的な軽包装において
は、手で簡単に開封できる易引裂性(易カット性)が要
求されることがある。包装材を手で簡単に開封できるよ
うにする方法としては、包材端部へ切り込みを入れる方
法、包材表面にレーザーによってあるいは機械的にすじ
を付ける方法など各種の方法が実用化されている。
【0003】また、このような包装材としては、一軸ま
たは二軸延伸された易引裂性基材上にPPを積層した易
引裂性積層体を用いたものが提案されている。PPを易
引裂性基材上に積層する方法としては、無延伸PPフィ
ルム(CPPフィルム)を用いたドライラミネート法、
または基材の上に直接PPを押出す押出ラミネート法等
などが挙げられる。
【0004】しかしながら、PPは、手でカットしよう
とするとそれ自身が伸びてしまい、きれいにカットでき
ない。そのため、PPからなるシーラント層を有する包
装材では、上述のいずれの方法でも、十分な易引裂性は
得られなかった。すなわち、PPからなるシーラント層
と基材との接着強度が弱いと、包装材をカットする際
に、シーラント層が基材とともにカットできない。PP
は樹脂強度が強く、伸びやすいため、基材とともにカッ
トされないPPが伸びてしまい、包装材の引裂性を悪化
させているものと考えられる。
【0005】PPは、極性の官能基をもたないため反応
性に乏しく、接着剤とも接着しにくい。そのため、ドラ
イラミネート法によってPPフィルムを基材上に積層す
る場合、PPフィルムの表面にコロナ処理などで極性基
を導入し、接着性の向上を図ることが行われる。しかし
ながら、それでも他の熱可塑性プラスチックフィルムと
比べると接着性が低いという問題点があった。
【0006】PPの押出ラミネート法は、200m/m
in以上の高速成形が可能で、低コストで大量生産に適
している。しかしながら、押出ラミネートされたPP
は、基材との接着強度が弱く、さらにアンカーコート剤
に対する接着が弱いために、使用できる基材が限定され
ていた。例えば、2軸延伸ポリプロピレン基材(以下
「OPP」と略す)へ熱溶着を利用してPPを貼り合わ
せる方法と、紙基材にPPを含浸させ貼り合わせる方法
が一般的であった。
【0007】このため、PPの押出ラミネートにおける
接着強度改良には各種の方法が提案されてきた。溶融状
態のポリオレフィン樹脂の接合面側にオゾンを含む混合
気を吹き付けて、ポリオレフィン樹脂表面に積極的に極
性基を導入する方法(特開昭57−157724号公
報)や、ポリオレフィン樹脂へのオゾン処理と、接着前
にインラインで基材にコロナ放電等の表面処理を併用す
る方法(特開平7−314629号公報)などが提案さ
れている。
【0008】溶融状態の樹脂の接合面側にオゾンを含む
混合気を吹き付ける方法によって、ポリエチレンを用い
た場合、樹脂表面に積極的に極性基が導入され接着強度
が向上したものの、引裂性を向上させるまでの十分な接
着強度は得られなかった。また、PPを用いた場合、紙
に対する接着強度は改善されたものの、プラスチック基
材やそのアンカーコート面に対する接着強度はほとんど
改善が見られなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】よって、本発明の目的
は、配向されたポリプロピレン、ポリアミド、ポリエス
テル等の易引裂性基材とこれに隣接した各層との間の接
着性が良好で、引裂性に優れ、かつヒートシール性にも
優れた易引裂性積層体およびその製造方法を提供するこ
とにある。また、本発明の目的は、耐熱性、耐油性、ヒ
ートシール性に優れたシーラント層を有し、各層間の接
着性が良好で、引裂性に優れた易引裂性積層体およびそ
の製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
に鑑み鋭意検討した結果、基材上に樹脂材料を押出ラミ
ネートするに際し、特定の樹脂材料を使用し、好ましく
はオゾン処理等の表面処理を併用して押出ラミネートす
ることで、上記課題を解決できることを見出し、本発明
に至った。
【0011】すなわち、本発明の易引裂性積層体は、易
引裂性基材からなる易引裂性基材層(I)と、(I)下
記(a)〜(d)の要件を満足するエチレン(共)重合
体を含有する樹脂材料からなる樹脂材料層(II)とを有
すること特徴とする。 (a)密度が0.86〜0.97g/cm3 、(b)メ
ルトフローレートが0.01〜100g/10分、
(c)分子量分布(Mw/Mn)が1.5〜4.5、
(d)連続昇温溶出分別法(TREF)による溶出温度
−溶出量曲線の積分溶出曲線から求めた全体の25%が
溶出する温度T25と全体の75%が溶出する温度T75
の差T75−T25および密度dが、下記(式1)の関係を
満足すること (式1) T75−T25≦−670×d+644
【0012】また、本発明の易引裂性積層体は、さら
に、シーラント層(III)を有することが望ましい。ま
た、シーラント層(III)の材質は、ポリプロピレン系
樹脂であることが望ましい。また、本発明の易引裂性積
層体は、さらに、他の基材層(IV)を有していてもよ
い。
【0013】また、前記(A)エチレン(共)重合体
は、さらに下記(e)および(f)の要件を満足する
(A1)エチレン(共)重合体であることが望ましい。 (e)25℃におけるオルソジクロロベンゼン(ODC
B)可溶分量X(重量%)、密度dおよびメルトフロー
レート(MFR)が下記(式2)および(式3)の関係
を満足すること (式2)d−0.008logMFR≧0.93の場合 X<2.0 (式3)d−0.008logMFR<0.93の場合 X<9.8×103×(0.9300−d+0.008
logMFR)2+2.0 (f)連続昇温溶出分別法(TREF)による溶出温度
−溶出量曲線のピークが複数個存在すること
【0014】また、前記(A)エチレン(共)重合体
は、さらに下記(g)および(h)の要件を満足する
(A2)エチレン(共)重合体であることが望ましい。 (g)連続昇温溶出分別法(TREF)による溶出温度
−溶出量曲線のピークが一つであり、かつT75−T25
よび密度dが、下記(式4)の関係を満足すること (式4) T75−T25≧−300×d+285 (h)融点ピークを1ないし2個有し、かつそのうち最
も高い融点Tmlと密度dが、下記(式5)の関係を満足
すること (式5) Tml≧150×d−17
【0015】また、前記(A2)エチレン(共)重合体
は、さらに下記(i)の要件を満足することが望まし
い。 (i)メルトテンション(MT)とメルトフローレート
(MFR)が、下記(式6)を満足すること (式6) logMT≦−0.572×logMFR+
0.3 また、前記(A)エチレン(共)重合体は、少なくとも
共役二重結合をもつ有機環状化合物と周期律表第IV族の
遷移金属化合物を含む触媒の存在下に製造されたもので
あることが望ましい。
【0016】また、本発明の易引裂性積層体の製造方法
は、易引裂性基材からなる易引裂性基材層(I)と、
(A)エチレン(共)重合体を含有する樹脂材料からな
る樹脂材料層(II)とを有する易引裂性積層体の製造方
法であって、易引裂性基材上に(A)エチレン(共)重
合体を含む樹脂材料を押出ラミネートするに際し、樹脂
材料と接する側の易引裂性基材の表面および/または易
引裂性基材と接する側の樹脂材料の溶融膜の表面に、コ
ロナ処理および/またはオゾン処理を施すことを特徴と
する。また、前記オゾン処理は、樹脂材料の溶融膜の表
面積に対しオゾン処理量0.01〜1g/m2 の範囲で
行われることが望ましい。
【0017】
〔本発明における易引裂性基材〕
(I)易引裂性基材層に用いられる易引裂性基材は、易
引裂性を有する基材であれば、特に限定はされない。こ
のような易引裂性基材としては、例えば、ポリエチレン
(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド(P
A)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポ
リエステル、エチレン−酢酸ビニル共重合体鹸化物(E
VOH)、ポリ塩化ビニリデン樹脂(PVDC)等のプ
ラスチック基材の一軸または二軸延伸物、あるいは一軸
または二軸圧延物等の配向基材が挙げられる。このほか
には、紙、箔などの金属基材(Al、Fe、Cu)、セ
ロハンなどが挙げられる。
【0018】〔本発明における樹脂材料〕本発明におけ
る樹脂材料層(II)は、(A)下記(a)〜(d)の要
件を満足するエチレン(共)重合体を含有する樹脂材料
からなるものである。 (a)密度が0.86〜0.97g/cm3 、(b)メ
ルトフローレートが0.01〜100g/10分、
(c)分子量分布(Mw/Mn)が1.5〜4.5、
(d)連続昇温溶出分別法(TREF)による溶出温度
−溶出量曲線の積分溶出曲線から求めた全体の25%が
溶出する温度T25と全体の75%が溶出する温度T75
の差T75−T25および密度dが、下記(式1)の関係を
満足すること (式1) T75−T25≦−670×d+644
【0019】本発明における(A)エチレン(共)重合
体は、エチレンの単独重合体、または、エチレンと炭素
数3〜20、好ましくは炭素数3〜12のα−オレフィ
ンとを共重合させることにより得られるエチレン・α−
オレフィン共重合体である。炭素数3〜20のα−オレ
フィンとしては、プロピレン、1−ペンテン、4−メチ
ル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−
デセン、1−ドデセンなどが挙げられる。また、これら
α−オレフィンの含有量は、合計で通常30モル%以
下、好ましくは3〜20モル%以下の範囲で選択される
ことが望ましい。
【0020】本発明における(A)エチレン(共)重合
体の(a)密度は、0.86〜0.97g/cm3 、好
ましくは0.89〜0.95g/cm3 の範囲である。
密度が0.86g/cm3 未満では、剛性(腰の強
さ)、耐熱性が劣るものとなる。また、密度が0.97
g/cm3 を超えると、引裂強度、耐衝撃性等が不十分
となる。
【0021】本発明における(A)エチレン(共)重合
体の(b)メルトフローレート(以下、MFRと記す)
は、0.01〜100g/10分、好ましくは0.05
〜30g/10分、さらに好ましくは0.1〜10g/
分の範囲である。MFRが0.01g/10分未満で
は、成形加工性が劣り、100g/10分を超えると、
引裂強度、耐衝撃性等が劣る。
【0022】本発明における(A)エチレン(共)重合
体の(c)分子量分布(Mw/Mn)は、1.5〜4.
5の範囲、好ましくは2.0〜4.0、さらに好ましく
は2.5〜3.0の範囲である。Mw/Mnが1.5未
満では、成形加工性が劣り、Mw/Mnが4.5を超え
ると、引裂強度、耐衝撃性等が劣る。ここで、エチレン
(共)重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、ゲルパー
ミエイションクロマトグラフィー(GPC)により重量
平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)を求め、そ
れらの比(Mw/Mn)を算出することにより求めるこ
とができる。
【0023】本発明における(A)エチレン(共)重合
体は、例えば、図1に示すように、(d)連続昇温溶出
分別法(TREF)による溶出温度−溶出量曲線の積分
溶出曲線から求めた全体の25%が溶出する温度T25
全体の75%が溶出する温度T75との差T75−T25およ
び密度dが、下記(式1)の関係を満足する。 (式1) T75−T25≦−670×d+644 T75−T25と密度dが上記(式1)の関係を満足しない
場合には、低温ヒートシール性が劣るものとなる。
【0024】このTREFの測定方法は下記の通りであ
る。まず、試料を酸化防止剤(例えば、ブチルヒドロキ
シトルエン)を加えたODCBに試料濃度が0.05重
量%となるように加え、140℃で加熱溶解する。この
試料溶液5mlを、ガラスビーズを充填したカラムに注
入し、0.1℃/分の冷却速度で25℃まで冷却し、試
料をガラスビーズ表面に沈着する。次に、このカラムに
ODCBを一定流量で流しながら、カラム温度を50℃
/hrの一定速度で昇温しながら、試料を順次溶出させ
る。この際、溶剤中に溶出する試料の濃度は、メチレン
の非対称伸縮振動の波数2925cm-1に対する吸収を
赤外検出機で測定することにより連続的に検出される。
この値から、溶液中のエチレン共重合体の濃度を定量分
析し、溶出温度と溶出速度の関係を求める。TREF分
析によれば、極少量の試料で、温度変化に対する溶出速
度の変化を連続的に分析出来るため、分別法では検出で
きない比較的細かいピークの検出が可能である。
【0025】本発明における(A)エチレン(共)重合
体は、さらに後述の(e)および(f)の要件を満足す
る(A1)エチレン(共)重合体、または、さらに後述
の(g)および(h)の要件を満足する(A2)エチレ
ン(共)重合体のいずれかであることが好ましい。
【0026】本発明における(A1)エチレン(共)重
合体の(e)25℃におけるODCB可溶分の量X(重
量%)と密度dおよびMFRは、下記(式2)および
(式3)の関係を満足しており、 (式2)d−0.008logMFR≧0.93の場
合、 X<2.0 (式3)d−0.008logMFR<0.93の場
合、 X<9.8×103×(0.9300−d+0.008
logMFR)2+2.0 の関係を満足しており、好ましくは、 d−0.008logMFR≧0.93の場合、 X<1.0 d−0.008logMFR<0.93の場合、 X<7.4×103×(0.9300−d+0.008
logMFR)2+2.0 の関係を満足しており、さらに好ましくは、 d−0.008logMFR≧0.93の場合、 X<0.5 d−0.008logMFR<0.93の場合、 X<5.6×103×(0.9300−d+0.008
logMFR)2+2.0 の関係を満足している。
【0027】ここで、上記25℃におけるODCB可溶
分の量Xは、下記の方法により測定される。試料0.5
gを20mlのODCBにて135℃で2時間加熱し、
試料を完全に溶解した後、25℃まで冷却する。この溶
液を25℃で一晩放置後、テフロン(登録商標)製フィ
ルターでろ過してろ液を採取する。試料溶液であるこの
ろ液を赤外分光器によりメチレンの非対称伸縮振動の波
数2925cm-1付近の吸収ピーク強度を測定し、予め
作成した検量線により試料濃度を算出する。この値よ
り、25℃におけるODCB可溶分量が求まる。
【0028】25℃におけるODCB可溶分は、エチレ
ン(共)重合体に含まれる高分岐度成分および低分子量
成分であり、耐熱性の低下や成形体表面のべたつきの原
因となり、衛生性の問題や成形体内面のブロッキングの
原因となる為、この含有量は少ないことが望ましい。O
DCB可溶分の量は、共重合体全体のα−オレフィンの
含有量および分子量、即ち、密度とMFRに影響され
る。従ってこれらの指標である密度およびMFRとOD
CB可溶分の量が上記の関係を満たすことは、共重合体
全体に含まれるα−オレフィンの偏在が少ないことを示
す。
【0029】また、本発明における(A1)エチレン
(共)重合体は、(f)連続昇温溶出分別法(TRE
F)により求めた溶出温度−溶出量曲線において、ピー
クが複数個存在するものである。この複数のピーク温度
は85℃から100℃の間に存在することが特に好まし
い。このピークが存在することにより、融点が高くな
り、また結晶化度が上昇し、成形体の耐熱性および剛性
が向上する。
【0030】ここで、(A1)エチレン(共)重合体
は、図2に示されるように、連続昇温溶出分別法(TR
EF)により求めた溶出温度−溶出量曲線において実質
的にピークが複数個の特殊なエチレン・α−オレフィン
共重合体である。一方、図3のエチレン共重合体は、連
続昇温溶出分別法(TREF)により求めた溶出温度−
溶出量曲線において実質的にピークを1個有するエチレ
ン・α−オレフィン共重合体であり、従来の典型的なメ
タロセン系触媒によるエチレン共重合体がこれに該当す
る。
【0031】本発明における(A2)エチレン(共)重
合体は、図1に示すように、(g)連続昇温溶出分別法
(TREF)による溶出温度−溶出量曲線のピークが一
つであり、T75−T25および密度dが、下記(式4)の
関係を満足するものである。 (式4) d<0.950g/cm3 のとき T75−T25≧−300×d+285 d≧0.950g/cm3 のとき T75−T25≧0 T75−T25と密度dが上記(式4)の関係を満足しない
場合には、ヒートシール強度と耐熱性が劣ることにな
る。
【0032】また、本発明における(A2)エチレン
(共)重合体は、(h)融点ピークを1ないし2個有
し、かつそのうち最も高い融点Tmlと密度dが、下記
(式5)の関係を満足するものである。 (式5) Tml≧150×d−17 融点Tm1と密度dが上記(式5)の関係を満足しない
と、耐熱性が劣るものとなる。
【0033】また、(A2)エチレン(共)重合体の中
でも、さらに下記(i)の要件を満足するエチレン
(共)重合体が好適である。 (i)メルトテンション(MT)とメルトフローレート
(MFR)が、下記(式6)の関係を満足すること (式6) logMT≦−0.572×logMFR+
0.3 MTとMFRが上記(式6)の関係を満足することによ
り、フィルム成形等の成形加工性が良好なものとなる。
【0034】ここで、(A2)エチレン(共)重合体
は、図1に示されるように、TREFピークが1つであ
るものの、従来の典型的なメタロセン系触媒によるエチ
レン共重合体は上記(式4)を満足せず、従来の典型的
なメタロセン系触媒によるエチレン共重合体とは区別さ
れるものである。
【0035】本発明における(A)エチレン(共)重合
体は、前記のパラメーターを満足すれば触媒、製造方法
等に特に限定されるものではないが、好ましくは少なく
とも共役二重結合を持つ有機環状化合物と周期律表第IV
族の遷移金属化合物を含む触媒の存在下にエチレンを重
合、またはエチレンとα−オレフィンとを共重合させて
得られる直鎖状のエチレン(共)重合体であることが望
ましい。このような直鎖状のエチレン(共)重合体は、
分子量分布および組成分布が狭いため、機械的特性に優
れ、ヒートシール性、耐熱ブロッキング性等に優れ、し
かも耐熱性の良い重合体である。
【0036】本発明における(A)エチレン(共)重合
体の製造は、特に以下のa1〜a4の化合物を混合して
得られる触媒で重合することが望ましい。 a1:一般式Me11 p2 q(OR3r1 4-p-q-r で表
される化合物(式中Me1 はジルコニウム、チタン、ハ
フニウムを示し、R1 およびR3 はそれぞれ炭素数1〜
24の炭化水素基、R2 は、2,4−ペンタンジオナト
配位子またはその誘導体、ベンゾイルメタナト配位子、
ベンゾイルアセトナト配位子またはその誘導体、X1
ハロゲン原子を示し、p、qおよびrはそれぞれ0≦p
≦4、0≦q≦4、0≦r≦4、0≦p+q+r≦4の
範囲を満たす整数である) a2:一般式Me24 m(OR5n2 z-m-n で表される
化合物(式中Me2 は周期律表第I〜III 族元素、R4
およびR5 はそれぞれ炭素数1〜24の炭化水素基、X
2 はハロゲン原子または水素原子(ただし、X2 が水素
原子の場合はMe2 は周期律表第III 族元素の場合に限
る)を示し、zはMe2 の価数を示し、mおよびnはそ
れぞれ0≦m≦z、0≦n≦zの範囲を満たす整数であ
り、かつ、0≦m+n≦zである) a3:共役二重結合を持つ有機環状化合物 a4:Al−O−Al結合を含む変性有機アルミニウム
オキシ化合物および/または硼素化合物
【0037】以下、さらに詳説する。上記触媒成分a1
の一般式Me11 p2 q(OR3r1 4-p-q-r で表され
る化合物の式中、Me1 はジルコニウム、チタン、ハフ
ニウムを示し、これらの遷移金属の種類は限定されるも
のではなく、複数を用いることもできるが、共重合体の
耐候性の優れるジルコニウムが含まれることが特に好ま
しい。R1 およびR3はそれぞれ炭素数1〜24の炭化
水素基で、好ましくは炭素数1〜12、さらに好ましく
は1〜8である。具体的にはメチル基、エチル基、プロ
ピル基、イソプロピル基、ブチル基などのアルキル基;
ビニル基、アリル基などのアルケニル基;フェニル基、
トリル基、キシリル基、メシチル基、インデニル基、ナ
フチル基などのアリール基;ベンジル基、トリチル基、
フェネチル基、スチリル基、ベンズヒドリル基、フェニ
ルブチル基、ネオフイル基などのアラルキル基などが挙
げられる。これらは分岐があってもよい。R2 は、2,
4−ペンタンジオナト配位子またはその誘導体、ベンゾ
イルメタナト配位子、ベンゾイルアセトナト配位子また
はその誘導体を示す。X1 はフッ素、ヨウ素、塩素およ
び臭素などのハロゲン原子を示す。pおよびqはそれぞ
れ、0≦p≦4、0≦q≦4、0≦r≦4、0≦p+q
+r≦4の範囲を満たすを整数である。
【0038】上記触媒成分a1の一般式で示される化合
物の例としては、テトラメチルジルコニウム、テトラエ
チルジルコニウム、テトラベンジルジルコニウム、テト
ラプロポキシジルコニウム、トリプロポキシモノクロロ
ジルコニウム、テトラエトキシジルコニウム、テトラブ
トキシジルコニウム、テトラブトキシチタン、テトラブ
トキシハフニウムなどが挙げられ、特にテトラプロポキ
シジルコニウム、テトラブトキシジルコニウムなどのZ
r(OR)4 化合物が好ましく、これらを2種以上混合
して用いても差し支えない。また、前記2,4−ペンタ
ンジオナト配位子またはその誘導体、ベンゾイルメタナ
ト配位子、ベンゾイルアセトナト配位子またはその誘導
体の具体例としては、テトラ(2,4−ペンタンジオナ
ト)ジルコニウム、トリ(2,4−ペンタンジオナト)
クロライドジルコニウム、ジ(2,4−ペンタンジオナ
ト)ジクロライドジルコニウム、(2,4−ペンタンジ
オナト)トリクロライドジルコニウム、ジ(2,4−ペ
ンタンジオナト)ジエトキサイドジルコニウム、ジ
(2,4−ペンタンジオナト)ジ−n−プロポキサイド
ジルコニウム、ジ(2,4−ペンタンジオナト)ジ−n
−ブトキサイドジルコニウム、ジ(2,4−ペンタンジ
オナト)ジベンジルジルコニウム、ジ(2,4−ペンタ
ンジオナト)ジネオフイルジルコニウム、テトラ(ジベ
ンゾイルメタナト)ジルコニウム、ジ(ジベンゾイルメ
タナト)ジエトキサイドジルコニウム、ジ(ジベンゾイ
ルメタナト)ジ−n−プロポキサイドジルコニウム、ジ
(ジベンゾイルメタナト)ジ−n−ブトキサイドジルコ
ニウム、ジ(ベンゾイルアセトナト)ジエトキサイドジ
ルコニウム、ジ(ベンゾイルアセトナト)ジ−n−プロ
ポキサイドジルコニウム、ジ(ベンゾイルアセトナト)
ジ−n−ブトキサイドジルコニウム等があげられる。
【0039】上記触媒成分a2の一般式Me24 m(O
5n2 z-m-n で表される化合物の式中Me2 は周期
律表第I〜III 族元素を示し、リチウム、ナトリウム、
カリウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、ホウ素、
アルミニウムなどである。R4およびR5 はそれぞれ炭
素数1〜24の炭化水素基、好ましくは炭素数1〜1
2、さらに 好ましくは1〜8であり、具体的にはメチ
ル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル
基などのアルキル基;ビニル基、アリル基などのアルケ
ニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル
基、インデニル基、ナフチル基などのアリール基;ベン
ジル基、トリチル基、フェネチル基、スチリル基、ベン
ズヒドリル基、フェニルブチル基、ネオフイル基などの
アラルキル基などが挙げられる。これらは分岐があって
もよい。X2 はフッ素、ヨウ素、塩素および臭素などの
ハロゲン原子または水素原子を示すものである。ただ
し、X2が水素原子の場合はMe2 はホウ素、アルミニ
ウムなどに例示される周期律表第III 族元素の場合に限
るものである。また、zはMe2 の価数を示し、mおよ
びnはそれぞれ、0≦m≦z、0≦n≦zの範囲を満た
す整数であり、かつ、0≦m+n≦zである。
【0040】上記触媒成分a2の一般式で示される化合
物の例としては、メチルリチウム、エチルリチウムなど
の有機リチウム化合物;ジメチルマグネシウム、ジエチ
ルマグネシウム、メチルマグネシウムクロライド、エチ
ルマグネシウムクロライドなどの有機マグネシウム化合
物;ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛などの有機亜鉛化合
物;トリメチルボロン、トリエチルボロンなどの有機ボ
ロン化合物;トリメチルアルミニウム、トリエチルアル
ミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソブチル
アルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリデシル
アルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド、エチ
ルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムセス
キクロライド、ジエチルアルミニウムエトキサイド、ジ
エチルアルミニウムハイドライドなどの有機アルミニウ
ム化合物等の誘導体が挙げられる。
【0041】上記触媒成分a3の共役二重結合を持つ有
機環状化合物は、環状で共役二重結合を2個以上、好ま
しくは2〜4個、さらに好ましくは2〜3個有する環を
1個または2個以上もち、全炭素数が4〜24、好まし
くは4〜12である環状炭化水素化合物;前記環状炭化
水素化合物が部分的に1〜6個の炭化水素残基(典型的
には、炭素数1〜12のアルキル基またはアラルキル
基)で置換された環状炭化水素化合物;共役二重結合を
2個以上、好ましくは2〜4個、さらに好ましくは2〜
3個有する環を1個または2個以上もち、全炭素数が4
〜24、好ましくは4〜12である環状炭化水素基を有
する有機ケイ素化合物;前記環状炭化水素基が部分的に
1〜6個の炭化水素残基またはアルカリ金属塩(ナトリ
ウムまたはリチウム塩)で置換された有機ケイ素化合物
が含まれる。特に好ましくは分子中のいずれかにシクロ
ペンタジエン構造をもつものが望ましい。
【0042】上記の好適な化合物としては、シクロペン
タジエン、インデン、アズレンまたはこれらのアルキ
ル、アリール、アラルキル、アルコキシまたはアリール
オキシ誘導体などが挙げられる。また、これらの化合物
がアルキレン基(その炭素数は通常2〜8、好ましくは
2〜3)を介して結合(架橋)した化合物も好適に用い
られる。
【0043】環状炭化水素基を有する有機ケイ素化合物
は、下記一般式で表示することができる。 ALSiR4-L ここで、Aはシクロペンタジエニル基、置換シクロペン
タジエニル基、インデニル基、置換インデニル基で例示
される前記環状水素基を示し、Rはメチル基、エチル
基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基などのアル
キル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブト
キシ基などのアルコキシ基;フェニル基などのアリール
基;フェノキシ基などのアリールオキシ基;ベンジル基
などのアラルキル基で示され、炭素数1〜24、好まし
くは1〜12の炭化水素残基または水素を示し、Lは1
≦L≦4、好ましくは1≦L≦3である。
【0044】上記成分a3の有機環状炭化水素化合物の
具体例としては、シクロペンタジエン、メチルシクロペ
ンタジエン、エチルシクロペンタジエン、1,3−ジメ
チルシクロペンタジエン、インデン、4−メチル−1−
インデン、4,7−ジメチルインデン、ブチルシクロペ
ンタジエン、1―メチルー3―プロピルシクロペンタジ
エンとインデン、1―メチルー3―ブチルシクロペンタ
ジエンとインデン、プロピルシクロペンタジエン、1―
メチルー3―エチルシクロペンタジエン、1,2,4−
トリメチルシクロペンタジエンシクロヘプタトリエン、
メチルシクロヘプタトリエン、シクロオクタテトラエ
ン、アズレン、フルオレン、メチルフルオレンのような
炭素数5〜24のシクロポリエンまたは置換シクロポリ
エン、モノシクロペンタジエニルシラン、ビスシクロペ
ンタジエニルシラン、トリスシクロペンタジエニルシラ
ン、モノインデニルシラン、ビスインデニルシラン、ト
リスインデニルシラン、メチルシクロペンタジエントリ
メチルシランなどが挙げられる。
【0045】本発明においては、 a4:有機アルミニ
ウム化合物と水との反応によって得られるAl−O−A
l結合を含む変性有機アルミニウム化合物および/また
は硼素化合物が使用される。該有機アルミニウム化合物
と水との反応によって得られるAl−O−Al結合を含
む変性有機アルミニウム化合物の具体例としては、アル
キルアルミニウム化合物と水とを反応させることにより
得られる、通常アルミノキサンと称される変性有機アル
ミニウムオキシ化合物が挙げられる。この変性有機アル
ミニウムオキシ化合物としては、分子中に通常1〜10
0個、好ましくは1〜50個のAl−O−Al結合を含
有するものが挙げられる。また、変性有機アルミニウム
化合物は線状でも環状でもいずれでもよい。
【0046】有機アルミニウムと水との反応は通常不活
性炭化水素中で行われる。該不活性炭化水素としては、
ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ベン
ゼン、トルエン、キシレン等の脂肪族、脂環族、芳香族
炭化水素が好ましい。水と有機アルミニウム化合物との
反応比(水/Alモル比)は通常0.25/1〜1.2
/1、好ましくは0.5/1〜1/1であることが望ま
しい。
【0047】また、硼素化合物としては、 デカボラ
ン、ジカルバノナボラン、Ag[CB1 112]、Ph3
C[C2912]、Ph3C[Co(C2912)2]、P
3[CB1112]、Ph(CH2)2NH[C2
912]、Ph(CH2)2NH[CB1112]、Ph(CH
2)2NH[Co(C2911) 2]、等が挙げられる。好
ましい例としては、N,N’−ジメチルアニリウムテト
ラ(ペンタフロオロフェニル)ボレート、トリチルテト
ラキスペンタフルオロボレート、フェロセニウムテトラ
キスペンタフルオロボレート、トリスペンタフルオロボ
ラン等から選択される少なくとも1種の硼素化合物が挙
げられる。
【0048】上記触媒はa1〜a4を混合接触させて使
用しても良いが、好ましくは無機担体および/または粒
子状ポリマー担体(a5)に担持させて使用することが
望ましい。該無機物担体および/または粒子状ポリマー
担体(a5)とは、炭素質物、金属、金属酸化物、金属
塩化物、金属炭酸塩またはこれらの混合物あるいは熱可
塑性樹脂、熱硬化性樹脂等が挙げられる。該無機物担体
に用いることができる好適な金属としては、鉄、アルミ
ニウム、ニッケルなどが挙げられる。具体的には、Si
2、Al23、MgO、ZrO2、TiO2、B23
CaO、ZnO、BaO、ThO2等またはこれらの混
合物が挙げられ、SiO2−Al23、SiO2−V
25、SiO2−TiO2、SiO2−V25、SiO2
MgO、SiO2−Cr23等が挙げられる。これらの
中でもSiO2およびAl23からなる群から選択され
た少なくとも1種の成分を主成分とするものが好まし
い。また、有機化合物としては、熱可塑性樹脂、熱硬化
性樹脂のいずれも使用でき、具体的には、粒子状のポリ
オレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニ
ル、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリスチレン、ポ
リノルボルネン、各種天然高分子およびこれらの混合物
等が挙げられる。
【0049】上記無機物担体および/または粒子状ポリ
マー担体は、このまま使用することもできるが、好まし
くは予備処理としてこれらの担体を有機アルミニウム化
合物やAl−O−Al結合を含む変性有機アルミニウム
化合物などに接触処理させた後に成分a5として用いる
こともできる。
【0050】本発明における(A)エチレン(共)重合
体の製造方法は、前記触媒の存在下、実質的に溶媒の存
在しない気相重合法、スラリー重合法、溶液重合法等で
製造され、実質的に酸素、水等を断った状態で、ブタ
ン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水
素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水
素、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環族
炭化水素等に例示される不活性炭化水素溶媒の存在下ま
たは不存在下で製造される。重合条件は特に限定されな
いが、重合温度は通常15〜350℃、好ましくは20
〜200℃、さらに好ましくは50〜110℃であり、
重合圧力は低中圧法の場合通常常圧〜70kg/cm2
G、好ましくは常圧〜20kg/cm2 Gであり、高圧
法の場合通常1500kg/cm2 G以下が望ましい。
重合時間は低中圧法の場合通常3分〜10時間、好まし
くは5分〜5時間程度が望ましい。高圧法の場合、通常
1分〜30分、好ましくは2分〜20分程度が望まし
い。また、重合は一段重合法はもちろん、水素濃度、モ
ノマー濃度、重合圧力、重合温度、触媒等の重合条件が
互いに異なる2段階以上の多段重合法など特に限定され
るものではない。特に好ましい製造方法としては、特開
平5−132518号公報に記載の方法が挙げられる。
【0051】本発明における(A)エチレン(共)重合
体は、上述の触媒成分の中に塩素等のハロゲンのない触
媒を使用することにより、ハロゲン濃度としては多くと
も10ppm以下、好ましくは5ppm以下、さらに好
ましくは実質的に含まない(ND:2ppm以下)もの
とすることが可能である。このような塩素等のハロゲン
フリーのエチレン(共)重合体を用いることにより、従
来のような酸中和剤(ハロゲン吸収剤)を使用する必要
がなくなり、化学的安定性、衛生性が優れ、特に食品用
包装材料、医療用等の分野において好適に活用されるク
リーンな単層フィルム、そのフィルムを用いた積層体等
の成形体を提供することができる。
【0052】本発明における樹脂材料は、上記(A)エ
チレン(共)重合体以外に、他のポリオレフィン樹脂を
含んでいてもよい。他のポリオレフィン樹脂としては、
例えば、高圧ラジカル重合法によるエチレン系(共)重
合体、チーグラー型触媒等を用いる高・中・低圧法およ
びその他、公知の方法によるエチレン単独重合体、エチ
レンと炭素数3〜12のα−オレフィンとの共重合体等
の他のポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等が
挙げられる。
【0053】前記高圧ラジカル重合法エチレン系(共)
重合体としては、高圧ラジカル重合法によって得られた
分岐状低密度ポリエチレン(LDPE)、エチレン・ビ
ニルエステル共重合体、エチレンとα,β−不飽和カル
ボン酸またはその誘導体との共重合体などが挙げられ
る。
【0054】分岐状低密度ポリエチレン(以下「LDP
E」と略す)は、一般に1000〜3500気圧の高圧
下でパーオキサイド等の遊離基発生剤の存在下で重合す
ることで得られ、多くの長鎖分岐を有することを特徴の
1つとしている。その長鎖分岐を有する構造のために優
れた押出特性を持っていることが知られており、押出ラ
ミネート法には特に好適に用いられる。この時の重合に
用いられる反応器は、オートクレーブタイプあるいはチ
ューブラータイプのいずれであってもよい。
【0055】LDPEのメルトフローレート(JIS
K6922による。エチレン系樹脂は190℃における
測定値を示し、以下「MFR」と略す)は、1〜100
g/10分であり、1〜50g/10分が好ましい。1
g/10分以下では成形が困難であるとともにPPの分
散性が悪い。100g/10分以上ではネックインが大
きく押出ラミネート成形性が悪い。また、LDPEの密
度は、0.91〜0.94g/cm3 、さらに好ましく
は0.91〜0.935g/cm3 の範囲である。この
範囲であれば、メルトテンションが適切な範囲となり、
成形加工性が向上する。LDPEのメルトテンション
は、1.5〜25g、好ましくは3〜20g、さらに好
ましくは3〜15gである。また、LDPEの分子量分
布Mw/Mnは、3.0〜12、好ましくは4.0〜
8.0である。
【0056】前記エチレン・ビニルエステル共重合体と
は、高圧ラジカル重合法で製造されるエチレンを主成分
とするプロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、カプロン酸ビ
ニル、カプリル酸ビニル、ラウリル酸ビニル、ステアリ
ン酸ビニル、トリフルオル酢酸ビニルなどのビニルエス
テル単量体との共重合体である。中でも、特に好ましい
ものとしては、酢酸ビニルを挙げることができる。ま
た、エチレン50〜99.5重量%、ビニルエステル
0.5〜50重量%、他の共重合可能な不飽和単量体0
〜49.5重量%からなる共重合体が好ましい。特に、
ビニルエステルの含有量は3〜30重量%、好ましくは
5〜25重量%の範囲である。エチレン・ビニルエステ
ル共重合体のMFRは、0.01〜50g/10分、好
ましくは0.05〜30g/10分、さらに好ましくは
0.1〜10g/10分の範囲である。
【0057】前記エチレンとα,β−不飽和カルボン酸
またはその誘導体との共重合体としては、エチレン・
(メタ)アクリル酸またはそのアルキルエステル共重合
体が挙げられ、これらのコモノマーとしては、アクリル
酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メ
チル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリ
ル酸プロピル、メタクリル酸プロピル、アクリル酸イソ
プロピル、メタクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−
ブチル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸シクロヘ
キシル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ラウ
リル、メタクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、
メタクリル酸ステアリル、アクリル酸グリシジル、メタ
クリル酸グリシジル等を挙げることができる。この中で
も特に好ましいものとして、(メタ)アクリル酸のメチ
ル、エチル等のアルキルエステルを挙げることができ
る。特に、(メタ)アクリル酸エステルの含有量は3〜
30重量%、好ましくは5〜25重量%の範囲である。
エチレンとα,β−不飽和カルボン酸またはその誘導体
との共重合体のMFRは0.01〜50g/10分、好
ましくは0.05〜30g/10分、さらに好ましくは
0.1〜10g/10分である。
【0058】前記チーグラー型触媒等を用いる高・中・
低圧法およびその他の公知の方法によるエチレン単独重
合体もしくはエチレンと炭素数3〜12のα−オレフィ
ンとの共重合体としては、密度0.94〜0.97g/
cm3 の高密度ポリエチレン、密度が0.91〜0.9
4g/cm3 の直鎖状低密度ポリエチレン(LLDP
E)、密度が0.86〜0.91g/cm3 の超低密度
ポリエチレン(VLDPE)、密度が0.86〜0.9
1g/cm3 のエチレン・プロピレン共重合体ゴム、エ
チレン・プロピレン・ジエン共重合体ゴム等のエチレン
・α−オレフィン共重合体ゴムを挙げることができる。
【0059】前記チーグラー型触媒によるLLDPEと
は、密度が0.91〜0.94g/cm3 、好ましくは
0.91〜0.93g/cm3 の範囲のエチレン・α−
オレフィン共重合体であり、α−オレフィンは、炭素数
3〜20、好ましくは炭素数4〜12の範囲のものであ
り、具体的にはプロピレン、1−ブテン、4−メチル−
1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等が挙げら
れる。
【0060】また、前記チーグラー型触媒による超低密
度ポリエチレン(VLDPE)とは、密度が0.86〜
0.91g/cm3 、好ましくは0.88〜0.905
g/cm3 の範囲のエチレン・α−オレフィン共重合体
であり、LLDPEとエチレン・α−オレフィン共重合
体ゴム(EPR、EPDM)の中間の性状を示すポリエ
チレンである。
【0061】また、前記エチレン・α−オレフィン共重
合体ゴムとは、密度が0.86〜0.91g/cm3
満のエチレン・プロピレン共重合体ゴム、エチレン・プ
ロピレン・ジエン共重合体ゴム等が挙げられ、該エチレ
ン・プロピレン系ゴムとしては、エチレンおよびプロピ
レンを主成分とするランダム共重合体(EPM)、およ
び第3成分としてジエンモノマー(ジシクロペンタジエ
ン、エチリデンノルボルネン等)を加えたものを主成分
とするランダム共重合体(EPDM)が挙げられる。
【0062】本発明における樹脂材料としては、後述の
シーラント層(III)を用いる場合には、上述の(A)
エチレン(共)重合体とシーラント層(III)用の樹脂
との混合物を使用することが、層間接着性の点で望まし
い。該混合物の組成は、シーラント層(III)用の樹脂
の種類、シーラント層(III)の目的、用途等により適
宜選択される。例えば、シーラント層(III)用の樹脂
がPPの場合においては、上述の(A)エチレン(共)
重合体(以下SPEと略す)99〜10重量%、PP1
〜90重量%の範囲、好ましくはSPE80〜30重量
%、PP20〜70重量%の範囲で選択される。
【0063】〔本発明におけるシーラント層〕本発明の
易引裂性積層体は、少なくとも前記易引裂性基材層
(I)と樹脂材料層(II)とを有していれば、各層間の
接着性が良好となり、本発明の目的である、優れた引裂
性を達成することができる。また、優れたヒートシール
性も達成することができる。本発明の易引裂性積層体の
好ましい他の態様は、これら易引裂性基材層(I)、樹
脂材料層(II)の他に、シーラント層(III)を有する
ものである。
【0064】本発明におけるシーラント層(III)用の
樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系
樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ホット
メルト系接着剤等、一般的に使用されているシーラント
を用いることができる。特に、ポリエチレン系樹脂、ポ
リプロピレン系樹脂などのポリオレフィン系樹脂は、押
出ラミネート成形が可能であり、生産性、経済性(安価
である)等において有利である。特に、ポリプロピレン
系樹脂は耐熱性、耐油性等が要求される用途において優
位である。
【0065】前記ポリプロピレン系樹脂(以下、PPと
略す)としては、プロピレン単独重合体、エチレン−プ
ロピレンランダム共重合体、あるいはエチレン−プロピ
レンブロック共重合体、または炭素数が4〜16のα−
オレフィンとのランダムあるいはブロック共重合体、あ
るいはこれらの多元共重合体が挙げられる。PPのメル
トフローレート(JIS K6921による。PP系樹
脂は230℃における測定値を示し、以下「MFR」と
略す)は、1〜100g/10分が好ましく、10〜5
0g/10分が成形性の面から特に好ましい。MFRは
1g/10分以下であるとドローダウン性が悪く、モー
ター負荷や樹脂圧力が過大となって実質的に押出ラミネ
ート成形が困難である。MFRが100g/10分を超
えるとネックインが極端に大きくなるとともに樹脂強度
も低下し成形が困難であり、かつ製品物性も悪化する。
【0066】本発明において用いられるPPに、ポリエ
チレン系樹脂を高濃度でブレンドし、組成物化すること
により、PP系組成物でもオゾン処理による極性基導入
が可能となる。望ましくは、アンカーコート剤との併用
によって、各種基材フィルムに対する接着強度の向上を
達成することができる。さらに、ポリエチレン系樹脂と
して、LDPEおよびLLDPEの両方を用いることに
より、ポリエチレン系樹脂をPPに高濃度でブレンド
し、組成物化したときに発生するドローダウン性の低下
を抑えることができる。
【0067】さらに、本発明におけるPP系組成物に
は、所望により慣用の添加剤、例えば酸化防止剤、可塑
剤、滑剤、各種安定剤、ブロッキング防止剤、帯電防止
剤、顔料、各種の無機・有機充填剤などが添加されてい
てもよい。本発明で使用されるPP系組成物を得るに
は、上記各成分を、ヘンシェルミキサー、リボンミキサ
ー等により混合する方法、混合したものをさらにオープ
ンロール、バンバリーミキサー、ニーダー、押出機等を
用いて溶融混練する方法を適宜用いればよい。
【0068】〔本発明における他の基材〕他の基材層
(IV)に用いられる他の基材としては、特に限定される
ものではないが、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリ
アミド6・66、ポリアミド12等のポリアミド系樹脂
のほか、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテ
レフタレート等のポリエステル系樹脂、エチレン−酢酸
ビニル共重合体鹸化物、ポリスチレン、PP、ポリエチ
レン、ポリカーボネート等の熱可塑性樹脂のフィルムが
好適に用いられる。これらフィルムは、1軸または2軸
延伸等により配向されていてもよい。また、アルミニウ
ム、鉄、銅、錫等の金属箔、紙、セロハン、ポリプロピ
レン系、ポリエステル系等の不織布、織布等も好適に用
いられる。これら基材には印刷等が施されていてもよ
い。
【0069】〔本発明の易引裂性積層体〕本発明の易引
裂性積層体の好ましい態様は、易引裂性基材上にSPE
を含有する樹脂材料を押出ラミネート法により押出ラミ
ネートすることによって、易引裂性基材層(I)上に樹
脂材料層(II)を形成した積層体である。さらに、本発
明における易引裂性基材には、表面処理としてアンカー
コート処理が施されていることが望ましい。この他に、
オゾン処理、コロナ処理、プラズマ処理、フレーム処
理、電子線照射処理、紫外線照射処理等の公知の表面処
理技術を施されていてもよい。また、印刷、彫刻、エン
ボスなどの前処理が施されていてもよい。
【0070】アンカーコート処理に用いられるアンカー
コート剤としては、イソシアネート系アンカーコート
剤、ポリエチレンイミン系アンカーコート剤、ポリブタ
ジエン系アンカーコート剤、有機チタン系アンカーコー
ト剤等がある。これらは、基材と溶融樹脂の間の接着強
度を向上させ、いずれも好適に用いられる。イソシアネ
ート系アンカーコート剤には、ドライラミネーション用
接着剤と同様、一液反応型と二液反応型があり、両者が
好適に用いられる。固形分濃度は1〜19重量%である
ことが好ましい。固形分塗布量は0.01〜2.4g/
2であることが好ましい。
【0071】ポリエチレンイミン系アンカーコート剤
は、非常に反応性に富むエチレンイミンから重合された
ポリエチレンイミンを主成分としている。ポリエチレン
イミンは水溶性であるため、アンカーコート剤として用
いる際には、水と低級アルコールなどの混合液等が希釈
剤として使用される。ポリブタジエン系アンカーコート
剤は、1,2−ポリブタジエン鎖の両末端を水酸基また
はカルボキシル基で変性し、水分散化したものである。
【0072】有機チタン系アンカーコート剤は、金属チ
タンと有機基の炭素とが直接結合した構造を有するもの
である。このような有機チタン系アンカーコート剤に
は、Ti−O−C型結合をしているアルキルチタネート
のほか、チタンアシレート、チタンキレート等がある。
中でも、アルキルチタネートが好適に用いられる。
【0073】アルキルチタネートは、一般式Ti(O
R)4 で表される。Rとしては、アルキル基〔Cn
2n+l 、例えばメチル基(−CH3 )、エチル基(−C2
5)など〕、または、アリル基(CH2=CH−CH2
−)等が例示できる。代表的なアルキルチタネートとし
ては、テトライソプロピルチタネート〔TPT、Ti
(OC 374、無色液体〕、テトラノルマルブチルチ
タネート〔TBT、Ti(OC 494 、微黄色液
体〕、テトラステアリルチタネート〔TST、Ti(O
1837))4 、黄色ワックス状固体〕などがあげられ
る。溶剤としては、へキサンあるいはトルエン等が用い
られる。有機チタン系アンカーコート剤を基材に塗工し
た後、乾燥工程で溶剤を蒸発させてから、加水分解と、
その時遊離するアルコールが蒸発することによって硬化
膜が得られる。
【0074】本発明の易引裂性積層体の具体例として
は、易引裂性基材層(I)/樹脂材料層(II)、易引裂
性基材層(I)/樹脂材料層(II)/シーラント層(II
I)、易引裂性基材層(I)/樹脂材料層(II)/他の
基材層(IV)、易引裂性基材層(I)/樹脂材料層(I
I)/他の基材層(IV)/シーラント層(III)が挙げら
れる。
【0075】より具体的には、OPP/SPE、OPA
/AC/SPE、OPET/AC/SPE、OEVOH
/AC/SPE、OPP/AC/SPE、紙/SPE、
LD/紙/SPE、OPP/SPE/Al/SPE、O
PP/SPE/CPP、OPP/SPE/PP+HD/
CPP、OHD/SPE+LD/CPP、 OPP/S
PE/Al、 OPP/SPE/HD、OPP/SPE
/PP+HD/CPP、OPP/SPE/Al/SPE
/CPP等が挙げられる。(ただし、OPP:配向ポリ
プロピレン、OPA:配向ポリアミド、AC:アンカー
コート剤、SPE:(A)エチレン(共)重合体、OP
ET:配向ポリエステル、OEVOH:配向エチレン−
酢酸ビニル共重合体鹸化物、Al:アルミニウム箔であ
る)。
【0076】本発明の易引裂性積層体の各層の厚さは、
一般の包装材としては、易引裂性基材層(I)が、10
〜50μm、好ましくは10〜40μm、より好ましく
は10〜30μm、樹脂材料層(II)が、10〜50μ
m、好ましくは10〜40μm、より好ましくは10〜
30μm、シーラント層(III)が3〜50μm、好ま
しくは5〜30μm、より好ましくは5〜20μmの範
囲で選択される。特に、シーラント層(III)は、易引
裂性基材上に、樹脂材料および/または他の基材層(I
V)用の樹脂と共押出ラミネートすることにより、従来
のシーラント層より薄肉成形が可能である。
【0077】〔本発明の易引裂性積層体の製造方法〕本
発明の易引裂性積層体は、好ましくは押出ラミネート法
により成形される。易引裂性基材上に、(A)エチレン
(共)重合体を含む樹脂材料を押出ラミネートするに際
し、樹脂材料と接する側の易引裂性基材の表面および/
または易引裂性基材と接する側の樹脂材料の溶融膜の表
面に、コロナ処理および/またはオゾン処理が施され
る。
【0078】図4は、本発明の易引裂性積層体の製造に
用いられる押出ラミネート装置の一例を示す概略断面図
である。この押出ラミネート装置は、樹脂材料の溶融膜
1を押し出すTダイ2と、該溶融膜1を易引裂性基材3
に圧着するためのプレッシャーロール4および冷却ロー
ル5と、オゾンガスを吹き出すノズル6とを具備して概
略構成される。該押出ラミネート法は、Tダイ2より押
出した樹脂材料の溶融膜1を易引裂性基材3上に連続的
に成形・圧着する方法であり、成形と接着を同時に行う
加工法である。なお、樹脂材料と他の基材(IV)用の樹
脂とを同時にTダイから押し出す共押出ラミネート法で
あってもかまわない。
【0079】押出ラミネート成形時の成形温度は、一般
には200〜350℃であり、240〜310℃が望ま
しい。該成形温度が200℃未満では、十分な接着強度
が得られず、350℃を超えると、成形性が悪化するう
え、得られた易引裂性積層体の臭い、ヒートシール性等
の製品物性が悪化する。
【0080】Tダイとしては、コートハンガー型、スト
レートマニホールド型などが挙げられ、いずれも好適に
用いられる。また、幅と厚さを調整するディッケルとし
ても、アウターディッケル、インナーディッケルなど各
種の方式が挙げられ、いずれも好適に用いられる。中で
も、各種の幅の製品を製造する必要上、幅調整をできる
機構を備え、Tダイ成形で必ず発生するネックインによ
る厚さむらへの影響を相殺するため、ストレートマニホ
ールドのインナーディッケルタイプのTダイがより好適
に用いられる。
【0081】Tダイ2のリップ面から溶融膜1が冷却ロ
ール5に触れるまでの距離をエアギャップと呼び、この
間で押出樹脂は酸化され接着性が向上する。エアギャッ
プは、通常70mm〜300mmであり、100mm〜
200mmが好適である。本発明における押出ラミネー
ト法では、このエアギャップ間でオゾン処理により樹脂
材料の溶融膜表面を酸化させることが望ましい。オゾン
処理はオゾンを含んだ空気を溶融膜に吹き付けることに
よって行われる。
【0082】オゾンを発生する方法は、工業的には空気
中の酸素をオゾン化することによって行われており、無
声放電式、沿面放電式等がある。中でも、高濃度では無
声放電式が好ましい。本発明におけるオゾン処理量TO3
(g/m2 )は下記式7によって示される。
【0083】
【数1】
【0084】ここで、[O3 ]=オゾン発生濃度(g/
Nm3 )、QO3=オゾン流量(Nm 3 /hr)、V=成
形速度(m/hr)、W=オゾン処理巾(m) このオゾン処理量は、樹脂材料の溶融膜の単位面積あた
りに吹き付けられるオゾンのg数である。オゾン処理量
は0.01〜1g/m2 である。オゾン処理量が0.0
1g/m2 未満では、十分な接着強度が得られず、積層
体の引裂性が低下する。オゾン処理量が1g/m2 を超
えると、オゾンが周囲に拡散し、作業環境の悪化、機器
の腐食、製品の臭い悪化などを引き起こす恐れがある。
【0085】オゾン発生濃度は、一定体積の空気中に含
まれるオゾンの重量で表される。本発明におけるオゾン
発生濃度は、1〜100g/Nm3 (Nm3 とは標準状
態での1m3 を表す)が好ましく、10〜70g/ N
3 がさらに好ましい。オゾン発生濃度が1g/Nm3
より低濃度では、必要な表面酸化を得るために吹き付け
るオゾンの風量を著しく多くする必要があり、毒性のあ
るオゾンを作業環境に撒き散らす結果となって好ましく
ない。100g/ Nm3 を超える高濃度のオゾンは設
備上生成が困難である。
【0086】オゾンを吹き付ける方法としては、ステン
レス等の耐腐食性配管(図示略)で樹脂材料の溶融膜1
の近傍に導かれたオゾンをノズル6から吹き付ける方法
が好ましい。その位置は、図4に示すような、Tダイ2
の横から易引裂性基材3に沿った空気流にオゾンを乗せ
られる位置、または、図5に示すような、樹脂材料の溶
融膜1に直接オゾンを吹き付ける位置などが好ましい。
【0087】このノズル6の幅を本発明においてオゾン
処理巾とする。オゾン処理巾は溶融膜の幅より狭いこと
が必要である。溶融膜より広いとオゾンが反対面や冷却
ロール近傍に拡散し、成形機の腐食、ラミネート製品の
臭いの悪化、作業環境の悪化などを引き起こす。一般的
には溶融膜1の巾よりオゾン処理巾を2〜10cm狭く
することが好ましい。なお必要に応じて煙や不要なオゾ
ンを排気する局所排気設備を備えていることが好まし
い。
【0088】オゾンを吹き付ける流量は、生産する積層
体の幅によって調整する必要があり、幅1mあたりの吹
き付け量は0.5Nm3 /hr〜10Nm3 /hr(h
rは1時間を示す)が好ましく、1Nm3 /hr〜8N
3 /hrがより好ましい。0.5Nm3 /hr未満で
は、必要な表面酸化を得るために吹き付けるオゾンの濃
度を著しく濃くする必要があり、実用上困難である。1
0Nm3 /hrを超えると、毒性のあるオゾンを作業環
境に撒き散らす結果となって好ましくない。
【0089】オゾンによって表面酸化された樹脂材料の
溶融膜1は、冷却ロール5とプレッシャーロール4によ
って易引裂性基材3に圧着、貼合される。冷却ロール5
は、内部に熱媒を循環させて温度を調節できるものであ
る。熱媒としては、一般に水が用いられる。温度は5℃
〜60℃、より好ましくは20〜40℃である。5℃未
満では、ロール表面の結露を抑えることが困難で、60
℃を超えると、ロールに樹脂材料が貼りついて剥がれに
くくなる。プレッシャーロール4は、金属ロール表面に
各種耐熱弾性体を巻きつけたものである。耐熱弾性体の
材質としては、ネオプレン(登録商標)、ハイパロン
(登録商標)、シリコンなどの各種ゴム、テフロン等が
一般的に用いられる。プレッシャーロール4は内部から
水冷されたものがより好ましい。
【0090】本発明における押出ラミネート法では、押
出された溶融膜1が易引裂性基材3と接触する以前に、
易引裂性基材3表面にアンカーコート処理を行い、表面
を活性化させておくことが望ましい。アンカーコートの
種類と必要性に応じて、エージングを行ってもよい。イ
ソシアネート系アンカーコート剤、ポリブタジエン系ア
ンカーコート剤の乾燥温度および時間は、30〜70
℃、24〜72時間が好ましく、40〜50℃、24〜
48時間がより好ましい。
【0091】
【実施例】次に、本発明を実施例により説明する。な
お、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
本実験例における試験方法は以下の通りである。 [密度]JIS K6760に準拠した。 [MFR]JIS K6760に準拠した。 [Mw/Mn]GPC(ウォータース社製150C型)
を用い、溶媒として135℃のODCBを使用した。カ
ラムはショウデックス HT806Mを使用した。
【0092】[TREF]カラムを140℃に保った状
態で、カラムに試料を注入して0.1℃/分で25℃ま
で降温し、ポリマーをガラスビーズ上に沈着させた後、
カラムを下記条件にて昇温して各温度で溶出したポリマ
ー濃度を赤外検出器で検出した。(溶媒:ODCB、流
速:1ml/分、昇温速度:50℃/hr、検出器:赤
外分光器(波長2925cm-1)、カラム:0.8cm
φ×12cmL(ガラスビーズを充填)、試料濃度:
0.05重量%) [DSCによるTm1の測定]厚さ0.2mmのシートを
熱プレスで成形し約5mgの試料を打ち抜き230℃で
10分保持後2℃/分にて0℃迄冷却後、再び10℃/
分で170℃迄昇温し、現れた最高温ピークの頂点の温
度を最高ピーク温度Tmlとした。
【0093】[MT]溶融させたポリマーを一定速度で
延伸したときの応力をストレインゲージにて測定するこ
とにより決定した。測定試料は造粒してペレットにした
ものを用い、東洋精機製作所製MT測定装置を使用して
測定した。使用するオリフィスは穴径2.09mmφ、
長さ8mmであり、測定条件は樹脂温度190℃、押出
速度20mm/分、巻取り速度15m/分である。 [ハロゲン濃度]蛍光X線法により測定し、10ppm
以上の塩素が検出された場合はこれをもって分析値とし
た。10ppmを下回った場合は、ダイアインスツルメ
ンツ(株)製TOX−100型塩素・硫黄分析装置にて
測定し、2ppm以下についてはNDとし、実質的には
含まれないものとした。
【0094】実施例および比較例において使用した各層
の材料、易引裂性積層体の製造方法、易引裂性積層体の
各物性値の測定方法は、下記に示す通りである。 (1)易引裂性積層体の各層の材料 [易引裂性基材層(I)] (I-1)二軸延伸ポリプロピレンフィルム(配向ポリ
プロピレン、厚さ:25μm、二村化学工業社製) (I-2)二軸延伸ポリエステルフィルム(配向ポリエ
チレンテレフタレート、厚さ:12μm、ユニチカ社
製) (I-3)二軸延伸ポリエステルフィルム(配向ポリエ
チレンテレフタレート、厚さ:25μm、ユニチカ社
製)
【0095】[樹脂材料層(II)]エチレン共重合体
(A11)は、次の方法で重合した。 (固体触媒の調製)電磁誘導攪拌機を備えた触媒調製装
置に、窒素下で精製したトルエン1000ml、テトラ
エトキシジルコニウム(Zr(OEt)4 )22gおよ
びインデン74gを加え、90℃に保持しながらトリプ
ロピルアルミニウム100gを100分かけて滴下し、
その後、同温度で2時間反応させた。40℃に冷却した
後、メチルアルモキサンのトルエン溶液(濃度2.5m
mol/ml)を3200ml添加し2時間撹拌した。
次にあらかじめ450℃で5時間焼成処理したシリカ
(グレース社製、#952、表面積300m2 /g)2
000gを加え、室温で1時間攪拌の後、40℃で窒素
ブローおよび減圧乾燥を行い、流動性のよい固体触媒
(イ)を得た。
【0096】(気相重合)連続式の流動床気相重合装置
を用い、重合温度80℃、全圧20kgf/cm 2 Gで
エチレンと1−ヘキセンの共重合を行った。前記固体触
媒(イ)を連続的に供給し、エチレン、1−ヘキセンお
よび水素を所定のモル比に保つように供給して重合を行
い、エチレン共重合体(A11)を得た。このエチレン
共重合体(A11)の物性値を表1に示す。
【0097】エチレン共重合体(A21)は、次の方法
で重合した。 (固体触媒の調製)電磁誘導攪拌機を備えた触媒調製装
置に、窒素下で精製したトルエン1000ml、テトラ
ブトキシジルコニウム(Zr(OBu)4 )22gおよ
びインデン40gおよびメチルプロピルシクロペンタジ
エン21gを加え、90℃に保持しながらトリプロピル
アルミニウム100gを100分かけて滴下し、その
後、同温度で2時間反応させた。40℃に冷却した後、
メチルアルモキサンのトルエン溶液(濃度2.5mmo
l/ml)を2000ml添加し2時間撹拌した。次に
あらかじめ450℃で5時間焼成処理したシリカ(グレ
ース社製、#952、表面積300m2 /g)2000
gを加え、室温で1時間攪拌の後、40℃で窒素ブロー
および減圧乾燥を行い、流動性のよい固体触媒(ロ)を
得た。
【0098】(気相重合)連続式の流動床気相重合装置
を用い、重合温度80℃、全圧20kgf/cm 2 Gで
エチレンと1−ヘキセンの共重合を行った。前記固体触
媒(ロ)を連続的に供給し、エチレン、1−ヘキセンお
よび水素を所定のモル比に保つように供給して重合を行
い、エチレン共重合体(A21)を得た。このエチレン
共重合体(A21)の物性値を表1に示す。
【0099】
【表1】
【0100】樹脂材料(II-1):エチレン共重合体
(A11)85重量%にLDPE(密度=0.918g
/cm3 、MFR=7.0g/10分)15重量%を配
合した混合物 樹脂材料(II-2):エチレン共重合体(A21)85
重量%にLDPE(密度=0.918g/cm3 、MF
R=7.0g/10分)15重量%を配合した混合物 樹脂材料(II-3):エチレン共重合体(A11)9
9.85重量%にLDPE(密度=0.918g/cm
3 、MFR=12g/10分)0.15重量%を配合し
た混合物 樹脂材料(II-4):エチレン共重合体(A11)85
重量%にエチレン−メチルメタアクリル酸共重合体(E
MAA)0.15重量%を配合した混合物
【0101】[シーラント層(III)] (III-1)ランダムポリプロピレン(密度:0.90g
/cm3 、MFR:21g/10分、エチレン含量:5
重量%) [他の基材層(IV)] (IV-1)ランダムポリプロピレン(密度:0.9g/
cm3 、MFR:21g/10分、エチレン含量:3重
量%)80重量%と、高密度ポリエチレン(密度:0.
96g/cm3 、MFR:20g/10分)20重量%
とからなる混合物 (IV-2)ランダムポリプロピレン(密度:0.9g/
cm3 、MFR:21g/10分、エチレン含量:3重
量%)95重量%と、高密度ポリエチレン(密度:0.
96g/cm3 、MFR:20g/10分)5重量%と
からなる混合物 (IV-3)ホモポリプロピレン(密度:0.9g/cm3
、MFR:18g/10分)80重量%と、高密度ポ
リエチレン(密度:0.96g/cm3 、MFR:20
g/10分)20重量%とからなる混合物
【0102】(2)易引裂性積層体の製造 上記各層(樹脂材料層(II)、シーラント層(III)お
よび他の基材層(IV))用の材料のペレットを、φ90
mm径1台、φ65mm径2台の押出機を有する共押出
ラミネート成形機(モダンマシナリー社製)を使用し、
以下の条件で易引裂性基材に押出ラミネートし、積層体
を製造した。さらに積層体を製造した後、40℃で48
時間エージング処理を行った。 エアギャップ:120mm 成形時樹脂温度:280℃ ラミネート速度:100m/分 アンカーコート:ウレタン系アンカーコート剤 アンカー乾燥温度:80℃ オゾン処理濃度:表中参照 オゾン処理流量:表中参照 オゾン処理巾(ノズル巾):800mm ラミネート厚さ:20μm、 ラミネート幅:860mm
【0103】(3)接着強度の測定 上記工程によって得られた積層体を、流れ方向に15m
m幅の短冊状に切り出し、基材とラミネート膜との界面
で剥離し、剥離速度300mm/分、T剥離での剥離強
度(g/15mm幅)をもって接着強度とした。 (4)ヒートシール強度 上記工程によって得られた積層体を、ヒートシーラーで
温度110〜150℃の各温度でシールし、流れ方向に
15mm幅の短冊状に切り出し、基材とラミネート膜と
の界面で剥離し、剥離速度300mm/分、180°剥
離での剥離強度(g/15mm幅)をもってヒートシー
ル強度とした。 (5)手切れ性(剪断)の評価 上記工程によって得られた積層体にカミソリによって流
れ方向と直角に切り込みを入れ、この切り込みから手で
ゆっくりと引き裂いた。このときの裂け方で手切れ性を
4段階で評価した。 ◎:糸引きはなく切れる ○:わずかな糸引きがあるが直線的に切れる。 △:部分的に膜状に伸びがみられるが直線的に切れる。 ×:樹脂組成物層が伸びて切れない。
【0104】[実施例1、2]易引裂性基材層(I)で
ある、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(I-1)(O
PP)(幅860mm、厚さ25μm、二村化学工業社
製)に、樹脂材料(II-1)を引取り速度100m/
分、表2に示すラミネート厚さで押出ラミネートし、易
引裂性積層体を製造した。ここで、押出ラミネートは、
OPP(I-1)へのコロナ放電処理を行った後、アン
カーコート処理(大日精化社製、2710A/B)を施
し、溶融膜の樹脂材料(II-1)へオゾン処理を施しな
がら行った。易引裂性積層体の接着強度、手切れ性を評
価し、それら結果を表2に示した。
【0105】[比較例1、2]樹脂材料層(II)とし
て、実施例1の樹脂材料(II-1)の代わりにチーグラ
ー系触媒による線状低密度ポリエチレン(LLDPE、
密度:0.905g/cm3 、MFR:10g/10
分)(比較例1)、分岐状低密度ポリエチレン(LDP
E、密度:0.918g/cm3 、MFR:7g/10
分)(比較例2)を用いた以外は、実施例1と同様に行
い、積層体を製造した。評価結果を表2に示した。
【0106】
【表2】
【0107】[実施例3〜5]実施例1で用いたOPP
(I-1)上に、実施例1で用いた樹脂材料(II-1)
と、シーラント層(III)としてランダムポリプロピレ
ン(III-1)を、表3に示す厚さで共押出ラミネートし
て、3層構造の易引裂性積層体を製造した。該積層体の
評価結果を表3に示した。
【0108】
【表3】
【0109】[実施例6〜18]実施例1で用いたOP
P(I-1)上に、実施例1で用いた(II-1)の樹脂材
料、他の基材層(IV)としてランダムポリプロピレンと
高密度ポリエチレンとの混合物(IV-1)、およびシー
ラント層(III)としてランダムポリプロピレン(III-
1)を、表4および表5に示す厚さ、条件等で共押出ラ
ミネートして、4層構造の易引裂性積層体を製造した。
該積層体の評価結果を表4および表5に示した。得られ
た易引裂性積層体は、OPPと樹脂材料層(II)との接
着性が良好であり、易引裂性を示し、接着強度の低下は
見られなかった。
【0110】
【表4】
【0111】
【表5】
【0112】[実施例19〜32]実施例3の易引裂性
基材のOPP(I-1)の代わりに、 幅860mm、厚
さ12μmの二軸延伸ポリエステルフィルム(I-2)
(ユニチカ社製、以下OPETと略す)に、実施例3と
同様に樹脂温度280℃、引取り速度100m/分、表
6〜8に示すラミネート厚で、(II)、(III)および
/または(IV)を共押出ラミネートし、易引裂性積層体
を製造した。ここで、押出ラミネートは、OPET(II
-2)へのコロナ放電処理を行った後、アンカーコート
処理(大日精化社製、2710A/B)を施し、溶融膜
の樹脂材料(II-1)へオゾン処理を施しながら行っ
た。得られた易引裂性積層体は、OPETと樹脂材料層
(II)との接着性が良好であり、易引裂性を示し、接着
強度の低下は見られなかった。結果を表6〜8に示し
た。
【0113】
【表6】
【0114】
【表7】
【0115】
【表8】
【0116】[実施例33〜39]実施例19で使用し
た12μm厚の二軸延伸ポリエステルフィルム(I-
2)の代わりに25μm厚の二軸延伸ポリエステルフィ
ルム(I-3)を用いた以外は、実施例19と同様にし
て易引裂性積層体を製造した。その評価結果を表9に示
した。得られた易引裂性積層体は、OPETと樹脂材料
層(II)との接着性が良好であり、易引裂性を示し、接
着強度の低下は見られなかった。
【0117】
【表9】
【0118】実施例19〜36までの易引裂性積層体に
ついてヒートシール強度を測定した。その結果を表10
に示した。本発明の易引裂性積層体は、130℃以上の
温度では、2.1〜5.5kg/15mm幅と、従来の
CPPシーラント積層体より格段に優れたヒートシール
強度を有することがわかった。
【0119】
【表10】
【0120】[比較例3〜6]実施例19〜36に用い
たOPET(I-3)に、アンカーコート処理および表
面処理等を施し、表10に示す厚さのCPPを押出ラミ
ネートし、積層体を製造した。上記と同様にして、ヒー
トシール強度を測定し、その結果を表10に示した。ヒ
ートシール温度120〜130℃において、1.5kg
/15mm幅前後の値を示した。
【0121】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の易引裂性
積層体は、易引裂性基材からなる易引裂性基材層(I)
と、(A)上述の(a)〜(d)の要件を満足するエチ
レン(共)重合体を含有する樹脂材料からなる樹脂材料
層(II)とを有するので、配向されたポリプロピレン、
ポリアミド、ポリエステル等の易引裂性基材とこれに隣
接した各層との間の接着性が良好で、引裂性に優れ、か
つヒートシール性にも優れる。また、本発明の易引裂性
積層体がさらにシーラント層(III)を有すれば、通
常、単体では引裂性のよくないシーラント層を用いて、
易引裂性積層体ができる。また、本発明の易引裂性積層
体がさらに他の基材層(IV)を有すれば、基材層(I)
のみでは実現できない光沢、ガスバリア等の複数の特徴
を兼ね備えたものができる。
【0122】また、前記(A)エチレン(共)重合体
が、さらに上述の(e)および(f)の要件を満足する
(A1)エチレン(共)重合体であれば、易引裂性積層
体の耐熱性、衛生性、剛性が向上する。また、前記
(A)エチレン(共)重合体が、さらに上述の(g)お
よび(h)の要件を満足する(A2)エチレン(共)重
合体であれば、易引裂性積層体の耐熱性、ヒートシール
強度、低温ヒートシール性が向上する。また、前記(A
2)エチレン(共)重合体が、さらに上述の(i)の要
件を満足すれば、易引裂性積層体の成形加工性が向上す
る。
【0123】また、前記(A)エチレン(共)重合体
が、少なくとも共役二重結合を持つ有機環状化合物と周
期律表第IV族の遷移金属化合物を含む触媒の存在下にエ
チレンとα−オレフィンを共重合させて得られる直鎖状
のエチレン共重合体であれば、易引裂性積層体の機械的
特性、ヒートシール性、耐熱ブロッキング性、耐熱性が
向上する。
【0124】また、本発明の易引裂性積層体の製造方法
によれば、易引裂性基材上に(A)エチレン(共)重合
体を含む樹脂材料を押出ラミネートするに際し、樹脂材
料と接する側の易引裂性基材の表面および/または易引
裂性基材と接する側の樹脂材料の溶融膜の表面に、コロ
ナ処理および/またはオゾン処理を施しているので、易
引裂性基材とこれに隣接した各層との間の接着性が良好
で、引裂性に優れ、かつヒートシール性にも優れた易引
裂性積層体を製造することができる。また、本発明の易
引裂性積層体の製造方法において、前記オゾン処理が、
樹脂材料の溶融膜の表面積に対しオゾン処理量0.01
〜1g/m2 の範囲で行われていれば、作業環境に悪影
響を及ぼすことなく、易引裂性基材とこれに隣接した層
との間の接着性が良好で、引裂性に優れ、かつヒートシ
ール性にも優れた易引裂性積層体を製造することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明における(A)または(A2)のエチ
レン(共)重合体の溶出温度−溶出量曲線を示すグラフ
である。
【図2】本発明における(A1)エチレン(共)重合体
の溶出温度−溶出量曲線を示すグラフである。
【図3】メタロセン系触媒によるエチレン共重合体の溶
出温度−溶出量曲線を示すグラフである。
【図4】 本発明の易引裂性積層体の製造に用いられる
押出ラミネート装置の一例を示す概略断面図である。
【図5】 本発明の易引裂性積層体の製造に用いられる
押出ラミネート装置の他の例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1…溶融膜、3…易引裂性基材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 斉藤 好正 神奈川県川崎市川崎区夜光二丁目3番2号 日本ポリオレフィン株式会社技術本部研 究開発センター内 (72)発明者 笠原 洋 神奈川県川崎市川崎区夜光二丁目3番2号 日本ポリオレフィン株式会社技術本部研 究開発センター内 Fターム(参考) 4F100 AK04B AK07C AK42 AK46 AL01B AT00D BA02 BA03 BA04 BA10A BA10C BA10D EC032 EH112 EH232 EJ132 EJ38 EJ552 JA06B JA07B JA13B JB07B JD02 JJ03 JK03A JL00 JL08B JL11 JL12C JN21 YY00B

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 易引裂性基材からなる易引裂性基材層
    (I)と、(A)下記(a)〜(d)の要件を満足する
    エチレン(共)重合体を含有する樹脂材料からなる樹脂
    材料層(II)とを有すること特徴とする易引裂性積層
    体。 (a)密度が0.86〜0.97g/cm3 、 (b)メルトフローレートが0.01〜100g/10
    分、 (c)分子量分布(Mw/Mn)が1.5〜4.5、 (d)連続昇温溶出分別法(TREF)による溶出温度
    −溶出量曲線の積分溶出曲線から求めた全体の25%が
    溶出する温度T25と全体の75%が溶出する温度T75
    の差T75−T25および密度dが、下記(式1)の関係を
    満足すること (式1) T75−T25≦−670×d+644
  2. 【請求項2】 さらに、シーラント層(III)を有する
    ことを特徴とする請求項1記載の易引裂性積層体。
  3. 【請求項3】 シーラント層(III)の材質が、ポリプ
    ロピレン系樹脂であることを特徴とする請求項2記載の
    易引裂性積層体。
  4. 【請求項4】 さらに、他の基材層(IV)を有すること
    を特徴とする請求項1ないし3いずれか一項に記載の易
    引裂性積層体。
  5. 【請求項5】 前記(A)エチレン(共)重合体が、さ
    らに下記(e)および(f)の要件を満足する(A1)
    エチレン(共)重合体であることを特徴とする請求項1
    ないし4いずれか一項に記載の易引裂性積層体。 (e)25℃におけるオルソジクロロベンゼン(ODC
    B)可溶分量X(重量%)、密度dおよびメルトフロー
    レート(MFR)が下記(式2)および(式3)の関係
    を満足すること (式2)d−0.008logMFR≧0.93の場合 X<2.0 (式3)d−0.008logMFR<0.93の場合 X<9.8×103×(0.9300−d+0.008
    logMFR)2+2.0 (f)連続昇温溶出分別法(TREF)による溶出温度
    −溶出量曲線のピークが複数個存在すること
  6. 【請求項6】 前記(A)エチレン(共)重合体が、さ
    らに下記(g)および(h)の要件を満足する(A2)
    エチレン(共)重合体であることを特徴とする請求項1
    ないし4いずれか一項に記載の易引裂性積層体。 (g)連続昇温溶出分別法(TREF)による溶出温度
    −溶出量曲線のピークが一つであり、かつT75−T25
    よび密度dが、下記(式4)の関係を満足すること (式4) T75−T25≧−300×d+285 (h)融点ピークを1ないし2個有し、かつそのうち最
    も高い融点Tmlと密度dが、下記(式5)の関係を満足
    すること (式5) Tml≧150×d−17
  7. 【請求項7】 前記(A2)エチレン(共)重合体が、
    さらに下記(i)の要件を満足することを特徴とする請
    求項6記載の易引裂性積層体。 (i)メルトテンション(MT)とメルトフローレート
    (MFR)が、下記(式6)を満足すること (式6) logMT≦−0.572×logMFR+
    0.3
  8. 【請求項8】 前記(A)エチレン(共)重合体が、少
    なくとも共役二重結合をもつ有機環状化合物と周期律表
    第IV族の遷移金属化合物を含む触媒の存在下に製造され
    たものであることを特徴とする請求項1ないし7いずれ
    か一項に記載の易引裂性積層体。
  9. 【請求項9】 易引裂性基材からなる易引裂性基材層
    (I)と、(A)下記(a)〜(d)の要件を満足する
    エチレン(共)重合体を含有する樹脂材料からなる樹脂
    材料層(II)とを有する易引裂性積層体の製造方法であ
    って、 易引裂性基材上に、(A)エチレン(共)重合体を含む
    樹脂材料を押出ラミネートするに際し、樹脂材料と接す
    る側の易引裂性基材の表面および/または易引裂性基材
    と接する側の樹脂材料の溶融膜の表面に、コロナ処理お
    よび/またはオゾン処理を施すことを特徴とする易引裂
    性積層体の製造方法。 (a)密度が0.86〜0.97g/cm3 、 (b)メルトフローレートが0.01〜100g/10
    分、 (c)分子量分布(Mw/Mn)が1.5〜4.5、 (d)連続昇温溶出分別法(TREF)による溶出温度
    −溶出量曲線の積分溶出曲線から求めた全体の25%が
    溶出する温度T25と全体の75%が溶出する温度T75
    の差T75−T25および密度dが、下記(式1)の関係を
    満足すること (式1) T75−T25≦−670×d+644
  10. 【請求項10】 前記オゾン処理が、樹脂材料の溶融膜
    の表面積に対しオゾン処理量0.01〜1g/m2 の範
    囲で行われることを特徴とする請求項9の易引裂性積層
    体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004330420A (ja) * 2003-04-30 2004-11-25 Nippon Matai Co Ltd 紙容器用積層体及びその製造方法
JP2005255173A (ja) * 2004-03-09 2005-09-22 Toyo Seikan Kaisha Ltd 突き刺し開口性に優れたフィルム状蓋材
JP2006168225A (ja) * 2004-12-16 2006-06-29 Tosoh Corp 易引き裂き性フィルム

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